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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60B
管理番号 1344261
審判番号 不服2017-13178  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-06 
確定日 2018-10-02 
事件の表示 特願2014-137723号「車両用ホイールの加飾方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月28日出願公開、特開2016- 13804号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、平成26年7月3日の出願であって、平成28年3月7日付けで拒絶理由が通知され、同年5月11日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月20日付けで拒絶理由が通知され、同年12月26日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月31日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願の請求項1、3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、4、6、7に記載された技術的事項に基いて、請求項2?3に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、4?7に記載された技術的事項に基いて、請求項4に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2007-99151号公報
2.特開2004-29489号公報(周知技術を例示する文献)
3.特開2009-95704号公報
4.特開平11-57594号公報(周知技術を例示する文献)
5.特開2007-1432号公報
6.特開2009-172452号公報(周知技術を例示する文献)
7.特開昭60-55412号公報(周知技術を例示する文献)

第3 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は、平成29年9月6日に提出された手続補正書の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
リム、及び複数のスポークを有するディスクを備える車両用ホイールにおいて車両に装着した状態で外側から見える3次元形状のホイール意匠面を加飾する方法であって、
ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料で線や点を描くように吐出塗布して前記スポークに描画で表現可能なタイプの加飾層を形成する車両用ホイールの加飾方法。
【請求項2】
リム、及び複数のスポークを有するディスクを備える車両用ホイールにおいて車両に装着した状態で外側から見える3次元形状のホイール意匠面を加飾する方法であって、
防食及びレベリングを兼ねた下地塗装を施した後のホイール意匠面の全体に第1の色の溶剤塗料を塗装して第1の色のベース色層を形成した後に、このベース色層上の一部において第1の色とは異なる第2の色の溶剤塗料を吐出塗布して第2の色の加飾層を形成する工程においてホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料を吐出塗布して前記スポークに加飾層を形成する車両用ホイールの加飾方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ホイールの加飾方法において、
前記ディスペンサーにより塗料溜りや液だれが抑制される高い粘度の溶剤塗料を吐出塗布して前記加飾層を形成する車両用ホイールの加飾方法。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1項に記載の車両用ホイールの加飾方法において、
前記スポークの天面と側面との境界の尖り部に対してディスペンサーにより溶剤塗料を吐出塗布して前記加飾層を形成する車両用ホイールの加飾方法。」

第4 各引用文献の記載
1 引用文献1の記載等
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-99151号公報(以下原査定と同様に「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。また、以下「(1a)」?「(1e)」の記載事項は、それぞれ「記載事項(1a)」?「記載事項(1e)」という。以下同様。)。

(1a)「【請求項5】
軽合金ホイールの塗膜形成方法であって、軽合金ホイール基体に最上層がクリアーコート層となる多層の着色部を形成する工程と、前記形成された着色部の一部を加工して軽合金ホイール基体を出す光輝面を形成する工程と、前記光輝面と着色部の両方にクリアートップコート層を設けることを特徴とする軽合金ホイールの塗膜形成方法。」

(1b)「【0001】
本発明は、金属調の塗装が施された、アルミニウム合金などを基体とする軽合金ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(例えば乗用車)部品である軽合金ホイールでは、高質感をもった外観を呈するようにするために、基体の表面に多層からなる塗装が施される。近年、さらに高質感を高めるために、デザイン面の全てを色彩塗料で覆わず、軽合金金属の金属面を透明性塗料のみで覆った光輝品の切削仕上げが製造されている。
【0003】
特許文献1には、光輝アルミロードホイールの製造方法として、ディスクの表側面に飾り穴を有したアルミロードホイール素材に塗装を施してアルミロードホイールを製造するに際して、アルミロードホイール素材の少なくともディスクの表側面全体に電解着色アルマイト処理を行ったのち、切削加工により光輝面を形成すると共に当該光輝面に対してクロメート処理を行い、次いで飾り穴の周縁部および光輝面にクリアー塗装を行うことが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、つるつる感や防食性、作業者の切り傷対策、飛び石による塗膜損傷低減、を達成するためのアルミホイールの塗膜とその塗装方法として、アルミホイールの鋳肌面上にカチオンあるいはアニオン電着プライマー層を形成し、その上にアクリル系溶剤カラー層を形成し、切削後、さらにその上にかつ切削面にアクリル系クリアー層を順に形成することが記載されている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、軽合金ホイールのディスク面に塗装を施して着色し、その後例えば、スポークの表面側のみを切削加工し、塗装による着色部と切削加工により表皮した軽合金の材質自体を際立たせた光輝面の2色を出そうとすると、その両者の境目が綺麗なラインを描かないという問題が発生する。これは、スポークの表面側を切削加工する際、境目の部分で、着色部のプライマー層、カラーベースコート層やメタリック層が割れたり剥げたりするためである。また、切削屑がこのカラーベースコート層やメタリック層にぶつかって発生する外観不良(たたかれ)が発生することもある。このような不具合が発生すると、再度塗装を施して着色部を設けるか、手直しなどによって両者の境目のラインが綺麗に見えるように修正しなければならず、コスト高になる原因であった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決し、塗装による着色部と、軽合金素材が有する光輝色部をデザイン面に持つ軽合金ホイール素材を製造する際、その両者の境目が綺麗に分かれ、かつたたかれ等の外観不良を出さないようにするための塗装方法と、その塗装方法によって形成された塗膜を有する軽合金ホイールを提供することを目的とする。」

(1c)「【0012】
本発明によれば、軽合金ホイール基体の光輝面を出すための切削加工を行う前に、カラーコート層の上にクリアーコート層を施すので、切削加工されるカラーコート層の端部でカラーコート層が割れたり剥がれたりすることが無くなる。これにより、光輝面と着色部の境界線が明確になり、外観不良の発生が極めて少なくなる。
従来よりもクリアーコート層を1層分多く塗装するコストよりも、カラーコート層が割れたり剥がれたりした時の塗装のし直しや、手直しによる人件費が無くなるコストの方が大きく、全体的な塗装設備としてコストが安いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の軽合金ホイールとして使用するものはJIS規格AC4CH材などを使用した低圧鋳造さらには一体型鋳造によるものが好適である。鋳造軽合金ホイールは鋳肌に凹凸を持つため、プライマー層はこの凹凸を隠すことができる膜厚となる粉体塗装であることが好ましい。
【0014】
軽合金ホイールの基体(軽合金素材)表面は、プライマー層を設ける前に前処理が施される。この前処理には、一般に、脱脂と酸洗を行い、その後化成処理が施される。化成処理液として一般的にはクロム酸クロムやリン酸クロムを用いたクロメート処理が適用されるが、環境保護の観点からノンクロムの化成処理液として、Ti酸やZr酸を用いたものが使用される。
【0015】
プライマー塗料は、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系の樹脂を使用できる。水酸基の配向による金属への密着性の良好なエポキシ系粉体塗料(グリシジルエーテル型(例えばビスフェノールA型)、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、環状オキシラン型エポキシ樹脂を主体とする)を用いることが好ましい。エポキシ系粉体塗料としては、価格及び基体との密着性の点から、特に、酸末端ポリエステル樹脂を硬化剤とするグルシジル基/カルボキシル基架橋型エポキシ樹脂からなり、固形分濃度が高い(40?60質量%)エポキシ・ポリエステル系粉体塗料が好ましい。エポキシ・ポリエステル/ハイブリッド系粉体塗料を、150?180℃の温度で、10?30分間焼付けることにより、平滑でかつ強固な高分子架橋塗膜が形成される。プライマー層の膜厚は、上記のように軽合金ホイールの鋳肌の凹凸を隠す必要がある場合、40?200μm程度の厚さで形成される。塗膜装置には静電塗装装置が一般的に用いられる。
【0016】
カラーベース塗料として、例えばアクリル、ポリエステル、エポキシ樹脂等からなり溶剤を含むものがある。プライマー層にエポキシ-ポリエステル系のハイブリット粉体塗料を用いた場合、熱硬化性のアクリル樹脂系着色塗料を用いることが好ましい。アクリル樹脂や硬化剤、顔料などを有機溶剤に溶解もしくは分散してなる熱硬化性塗料が好ましい。環境保護のために有機溶剤の割合が少ないハイソリッド系のものが好ましく、例えばアクリル樹脂と硬化剤、顔料などがvol%で全体の50%以上のものが好ましい。軽合金ホイールへの塗布方法として、エアスプレ-や静電塗装などで塗装することが好ましい。膜圧は10?40μmが一般的である。
【0017】
メタリック塗料を上層に塗装する場合、カラーベース塗料には顔料が用いられ、黒色に近い濃彩色系のベース層とする必要がある。有機顔料、無機顔料、炭素系顔料(例えば、カーボンブラック、グラファイト等)、メタリック粉末などの公知の顔料を適宜使用し、黒色系の濃彩色ベース層とする。他、防錆顔料、硬化触媒、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、ワキ防止剤等の添加剤を配合することができる。
【0018】
メタリック塗料は、金属調(めっき調)の外観を持つもの全てを含むものである。例えば、クロム、アルミニウム、ニッケルおよびそれらの合金の金属箔(フレーク)を含む塗料か、ニッケル、金、銀、銅、クロムおよびそれらの合金などを蒸着などにより被覆した層を指す。金属箔は蒸着した金属薄帯を粉砕したものが好ましい。例えば、平均厚みが10Å以上500Å以下で、平均径が3μm以上50μm以下のフレークを含むものが好ましい。これら金属箔がある部分に投射された光はメタリック層で反射し、金属箔がない部分に投射された光はその下のクリアー層を介してカラーベース層で反射するため、カラーベース層の色調を反映した外観性に優れた金属調塗膜となる。カラーベース層は濃彩色のものが好ましく、チタン合金のような鋼の色合いを出すことができる。金属箔のアスペクト比(金属フレークの幅/厚さ)は300超?800が好ましく、更に好ましくは400?700が好ましい。
【0019】
メタリック顔料となる偏平な(鱗片状の)フレークの多くは、クリアー層5に沿って平行に並ぶように(配向された)状態で、クリアー層5との界面近傍に偏在している。フレークの配向を容易にするために、リーフィング化されたアルミニウムフレークを使用することもできる。リーフィング化されたアルミニウムフレークは飽和脂肪酸(例えばステアリン酸)などで被覆することにより得られる。このアルミニウムフレークは、クリアー層と平行に配向され、これにより反射光や干渉光により高い輝度感をもった塗膜が得られる。このメタリック層の厚さは0.05?10μm、好ましくは0.1?3μmである。メタリック層の厚さが0.05μm未満であると、紫外線がクリアー層に到達し易くなり、耐候性が低下し、その厚さが10μmを越えると、層形成時間が長くなる。
【0020】
この蒸着アルミニウムフレークは、アルミニウムをプラスチックフィルムの表面に蒸着後粉砕し、基材を溶解除去することにより作成される。厚さが非常に薄く、アスペクト比は300超のものを用いるため、クリアー層に沿って平行に並ぶように配向される。また本発明では、リーフィング化されたアルミフレークとともに蒸着アルミフレークを添加することにより、さらに高い輝度感を得ることが可能である。さらに本発明では、リーフィング化されたアルミニウムフレーク及び/又は蒸着アルミニウムフレークの他に、粉砕アルミニウムフレークを添加することにより、別の意匠感を創出することが可能である。
【0021】
また、メタリック塗料の顔料として、平均粒径が300nm以下の黒色顔料を添加することが好ましい。平均粒径が300nmより大きいと、クリアー層とベース層を通過する可視光が顔料7,8により遮断され、その下地のベース層2にまで到達できなくなる。渋みの有るシルバーの色調、高級感の有るチタン合金肌のような色調を出すためにはベース層の濃彩色が外部から入射される可視光の反射壁となり、再度クリアー層にまで反射しなければならない。よって、この黒色顔料およびイエロー顔料の粒度を所定の値まで小さくする必要がある。
【0022】
メタリック層に含まれる黒色系顔料としては、フリップフロップ性を向上させるために、例えば黒色乃至茶色または青色の色相を呈する無機顔料あるいは有機着色顔料を用い得る。これらの顔料としては、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、マグネタイト、ヘマタイト(茶色)、銅・クロムブラック、コバルトブラック、銅・マンガン・鉄ブラック等の無機黒色顔料、群青、紺青、コバルトイブルー等の無機青色顔料、フタロシアンブルー等の有機青色顔料が挙げられる。
また、イエロー系顔料として、黄鉛、黄色酸化鉄、黄色系LiFeO_(2)黄色系酸化チタン粉末など、適宜使用可能である。
【0023】
前記したように、クリアーコート層、クリアートップコート層は、例えば、有機溶剤にポリマーまたはオリゴマーを溶解した溶剤系クリアー塗料または粉体系クリアー塗料を使用して形成することが可能である。クリアー塗料としては、透明性、光沢、耐候性等に優れたアクリル塗料、例えば、固形分濃度が40?50質量%程度のアクリル溶剤塗料を用いることが好ましい。アクリル塗料には、アクリル系モノマーとエポキシ基、カルボキシル基、水酸基等の官能性モノマーを溶液重合させて得られる熱硬化性アクリル樹脂が使用される。特に、メラミンを架橋剤とした硬化性アクリル樹脂が使用され、樹脂固形分濃度が40?50質量%程度のアクリル溶剤塗料を用いることが好ましい。クリアー層4は、メタリックベース層の表面に塗布後、130?180℃の温度で焼付けることにより、例えば10?40μmの厚さに形成される。クリアーコート層、クリアートップコート層は、同じ塗料を用いても、異なる塗料を用いてもよい。」

(1d)「【0024】
(実施例1)
以下本発明の詳細を添付図面により説明する。
図1は本発明の金属調塗膜の断面を模式的に示す図である。図1(c)において、30は、Al、Mg、Fe等の金属またはそれらの合金で鋳造により形成された基体であり、図3における軽合金ホイールのスポーク部のA-A断面を示す。本発明の軽合金ホイールは、その表面に粉体樹脂によるプライマー層11、カラーベースコート層12、クリアーコート層13、及びクリアートップコート層14からなる塗膜を有する着色部15と、クリアートップコート層14のみからなる光輝面16を持つ。
【0025】
通常、この塗膜を形成する前に、耐食性を高めるために基体30の表面に前処理が施される。基体30が鋳物などのアルミニウム合金の場合は、アルカリ脱脂、及びクロメート処理に代表される化成処理を施す。化成被膜は、3mg/m^(2)以上(好ましくは5?20mg/m^(2))の付着量を有するように形成される。化成処理後の基体30は、水洗、乾燥される。
【0026】
Al-Si-Mg系合金(JIS AC4CH材相当)からなる基体(低圧鋳造による一体型アルミホイール)をアルカリ脱脂、クロメート処理後、純水で水洗し、乾燥して、前処理を施した。
その後、プライマー層11として、エポキシ・ポリエステル/ハイブリッド系粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により約100μmの厚さに積層し、150?180℃の温度で、30?60分間焼付けた。その後、被覆したプライマー層の上に、アクリルハイソリッド系のシルバー系の熱硬化性樹脂(日本ペイント工業社製のアクリルメラミン樹脂系塗料)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、100?130℃で10?30分間焼付け、カラーベースコート層を形成した。その後、アクリルハイソリッド系の透明な熱硬化性樹脂(溶剤系クリアー、日本ペイント(株)製)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、130?160℃で焼付け、クリアーコート層13を形成した。このときの軽合金ホイール基体と塗膜の構成は、図1(a)に模式的に示すものである。
その後、光輝面を形成するために、軽合金ホイールを旋盤加工機に取付け、スポーク部の中央部デザイン面側とデザイン面の周囲を、ほぼ平坦になるように切削加工を施し、軽合金ホイール基体が表層に出した光輝面を作成した。このときの軽合金ホイール基体と塗膜の構成は、図1(b)に模式的に示すものである。この切削工程の際、プライマー層11、カラーベースコート層12の端部は、クリアーコート層13により覆われているために割れや剥がれが起きず、光輝面16と着色部15の境界は綺麗なライン状となり、外観不良の発生率は0.5%以下となった。
その後、軽合金ホイールを旋盤加工機から外し、先ほど形成した光輝面16と着色部15の両方の上面に、アクリルハイソリッド系の透明な熱硬化性樹脂(溶剤系クリアー、日本ペイント(株)製)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、130?160℃で焼付け、クリアートップコート層14を形成した。このときの軽合金ホイール基体と塗膜の構成は、図1(c)に模式的に示すものである。
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様に、軽合金ホイール基体にアルカリ脱脂、クロメート処理後、純水で水洗し、乾燥して、前処理を施した。
その後、プライマー層11として、エポキシ・ポリエステル/ハイブリッド系粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により約100μmの厚さに積層し、150?180℃の温度で、30?60分間焼付けた。その後、被覆したプライマー層の上に、アクリルハイソリッド系の黒色の熱硬化性樹脂(日本ペイント工業社製のアクリルメラミン樹脂系塗料)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、100?130℃で10?30分間焼付け、カラーベースコート層を形成した。このカラーベースコート層の上に、蒸着アルミニウムフレーク(平均厚さが170Å、平均粒径が14μm)15質量部、平均粒径200Åのカーボンブラック10質量部、バインダー樹脂(ポリエステル系樹脂)100質量部と、キシレン100質量部を混練したメタリック塗料を膜厚が0.5μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、100?130℃で20分間焼付けて、厚さ0.5μmのメタリック層を形成した。その後、アクリルハイソリッド系の透明な熱硬化性樹脂(溶剤系クリアー、日本ペイント(株)製)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、130?160℃で焼付け、クリアーコート層13を形成した。
その後、光輝面16を形成するために、軽合金ホイールを旋盤加工機に取付け、スポーク部の中央部デザイン面側とデザイン面の周囲を、ほぼ平坦になるように切削加工を施し、軽合金ホイール基体が表層に出した光輝面16を作成した。この切削工程の際、プライマー層11、カラーベースコート層12の端部は、クリアーコート層13により覆われているために割れや剥がれが起きず、光輝面16と着色部15の境界は綺麗なライン状となり、外観不良の発生率は0.5%以下となった。
その後、軽合金ホイールを旋盤加工機から外し、先ほど形成した光輝面16と着色部15の両方の上面に、アクリルハイソリッド系の透明な熱硬化性樹脂(溶剤系クリアー、日本ペイント(株)製)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、130?160℃で焼付け、クリアートップコート層14を形成した。このときの軽合金ホイール基体と塗膜の構成は、図2に模式的に示すものである。」

(1e)引用文献1には以下の図が示されている。





また、上記記載事項及び図示内容によれば、以下の事項が認められる。
(1f)段落【0005】?【0006】の「軽合金ホイールのディスク面に塗装を施して着色し、その後例えば、スポークの表面側のみを切削加工し、塗装による着色部と切削加工により表皮した軽合金の材質自体を際立たせた光輝面の2色を出そうとすると、その両者の境目が綺麗なラインを描かないという問題が発生する。・・・本発明は・・・塗装による着色部と、軽合金素材が有する光輝色部をデザイン面に持つ軽合金ホイール素材を製造する際、その両者の境目が綺麗に分かれ、かつたたかれ等の外観不良を出さないようにするための塗装方法・・・を提供することを目的とする。」(記載事項(1b))という記載及び図3(記載事項1(e))の図示内容を参照すると、軽合金ホイールは、リム、及び複数のスポークを有するディスクを備えることが認定できる。

(1g)段落【0026】の「光輝面を形成するために、軽合金ホイールを旋盤加工機に取付け、スポーク部の中央部デザイン面側とデザイン面の周囲を、ほぼ平坦になるように切削加工を施し、軽合金ホイール基体が表層に出した光輝面を作成した。このときの軽合金ホイール基体と塗膜の構成は、図1(b)に模式的に示すものである」という記載(記載事項(1d))並びに図1(b)及び図3(記載事項(1e))の図示内容を参照すると、デザイン面が3次元形状であることが認定できる。

(1h)【請求項5】の「軽合金ホイールの塗膜形成方法であって、軽合金ホイール基体に最上層がクリアーコート層となる多層の着色部を形成する工程と、前記形成された着色部の一部を加工して軽合金ホイール基体を出す光輝面を形成する工程と、前記光輝面と着色部の両方にクリアートップコート層を設ける・・・軽合金ホイールの塗膜形成方法。」(記載事項(1a))という記載及び段落【0026】の「プライマー層11として、・・・粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により・・・積層し、・・・被覆したプライマー層の上に・・・樹脂系塗料・・・を・・・スプレーガンにより吹付け、・・・カラーベースコート層を形成し・・・透明な熱硬化性樹脂(溶剤系クリアー、日本ペイント(株)製)を膜厚が30μmとなるようにスプレーガンにより吹付け、・・・クリアーコート層13を形成した。・・・」(記載事項(1b))という記載を参照すると、プライマー層11として、粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により積層し、被覆したプライマー層の上に樹脂系塗料をスプレーガンにより吹付け、カラーベースコート層を形成し、透明な熱硬化性樹脂をスプレーガンにより吹付け、クリアーコート層13を形成することは、軽合金ホイール基体に最上層がクリアーコート層となる多層の着色部を形成する工程の具体的態様である。

以上の記載事項(1a)?(1e)及び認定事項(1f)?(1h)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「塗装による着色部と、軽合金素材が有する光輝色部をデザイン面に持ち、デザイン面が3次元形状であり、リム、及び複数のスポークを有するディスクを備え、自動車部品である軽合金ホイールの塗膜形成方法であって、軽合金ホイール基体1に最上層がクリアーコート層13となる多層の着色部を形成する工程と、前記形成された着色部の一部を加工して軽合金ホイール基体1を出す光輝面16を形成する工程と、前記光輝面16と着色部の両方にクリアートップコート層14を設ける工程とを含む軽合金ホイールの塗膜形成方法において、
軽合金ホイールは、その表面に粉体樹脂によるプライマー層11、カラーベースコート層12、クリアーコート層13、及びクリアートップコート層14からなる塗膜を有する着色部15と、クリアートップコート層14のみからなる光輝面16を持ち、
上記軽合金ホイール基体1に最上層がクリアーコート層13となる多層の着色部を形成する工程は、プライマー層11として、粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により積層し、被覆したプライマー層11の上に樹脂系塗料をスプレーガンにより吹付け、カラーベースコート層12を形成し、透明な熱硬化性樹脂をスプレーガンにより吹付け、クリアーコート層13を形成するものである
軽合金ホイールの塗膜形成方法。」

2 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献2として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2004-29489号公報(以下原査定と同様に「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2a)「【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の構成用件を満足することにより、目的とする画像形成装置を提供できることを見出した。
すなわち、本発明の第1の態様によれば、少なくとも、感光体と、感光体の膜厚変化によって帯電電位が変化する帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理を行う画像処理手段とを有する画像形成装置であって、前記書き込み手段による光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて、ビーム径35μm以下のレーザービーム光で行われ、かつ、前記感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有し、さらに該電荷輸送層上に電荷輸送物質及びフィラーを含有し書き込み光に対する透過率が90%以上である保護層を有し、該電荷輸送層及び保護層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0021】
さらに、本発明の第2の態様では、少なくとも、感光体と、感光体の膜厚変化に依存せず帯電電位が一定である帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理を行う画像処理手段とを有する画像形成装置において、前記書き込み手段によって光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて、ビーム径35μm以下のレーザービーム光で行われ、かつ、前記感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有し、さらに該電荷輸送層上に電荷輸送物質及びフィラーを含有し書き込み光に対する透過率が90%以上である保護層を有し、該電荷輸送層及び保護層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
・・・
【0029】
後述する実施例で具体的に示すように、本発明の第1の態様である、直流電圧を印加した帯電方式の場合には、初期の状態で感光体画像領域全面での最大膜厚箇所と最小膜厚箇所とでの膜厚差(以下、単に膜厚差と称する)が1.5μm以下であれば、明度差で測定できる出力画像の濃度変化は小さく、膜厚差のこの範囲が出力画像の安定性を保証することが分かった。本発明の装置では、大量の通紙を行った後でも、偏磨耗が抑えられるため膜厚差の増大は比較的少なく出力画像の明度差もそれほど大きくはならない。
【0030】
直流電圧を印加した接触帯電方式又はスコロトロンを使用する画像形成装置では、感光体の膜厚に依存して帯電電位が変化するといった特徴がある。実際には、発明者らの行った実験では、感光体膜厚の変化1μmにつき10V程度変化するという結果を得ている。10Vの帯電電位の変化は、画像濃度を一定にするといった点では非常に影響が大きく、この結果として出力画像に濃度差が発生する。そのため、帯電手段として直流電圧を印加した接触帯電方式を使用する画像形成装置では、上記の条件に加えてさらに膜厚差が1.5μm以下であることが、長期の使用にわたって出力画像の明度を一定にするという観点から、重要である。
【0031】
一方、帯電装置が交流重畳電圧を印加した接触帯電装置の場合には、後述する実施例で具体的に示すように、初期の状態で感光体の膜厚差が3.5μm以下であれば、明度差で測定できる出力画像の濃度変化は小さく、この膜厚差範囲が出力画像の安定性を確実にすることが分かった。この膜厚差範囲であれば、大量の通紙を行った後でも膜厚差の増大は比較的少なく、出力画像の明度差もそれほど大きくはならない。しかしながら、上記のような保護層の透過率等の条件を満たしていない場合には、濃度変化を防ぐために感光体の膜厚差を感光体ドラムの画像出力範囲の全面に亘って1.5μm以下にコントロールしなければならず、感光体ドラムの製造という点では感光体製造上のネックとなり、歩留まりの悪化を引き起こし、コストアップの要因となってしまう。したがって、本発明の第2の態様においては、上記の条件に加えて膜厚差を3.5?1.5μm程度に抑える方法が、長期の使用においても出力画像の明度安定性を保証するコストの点からみて優れている。
【0032】
帯電手段として交流重畳電圧を印加した接触帯電装置を使用した場合には、直流電圧を印加した帯電装置やスコロトロンを使用した場合に比べて、感光体の膜厚差の許容範囲が広いことが分かる。これは、直流電圧を印加した接触帯電装置やスコロトロンでは帯電電位が変化するのに対して、交流重畳電圧を印加した帯電装置では帯電電位は感光体の膜厚に依存せず一定であることが、この違いの理由である。交流重畳電圧を印加した帯電手段を使用した場合においても、出力画像の明度は変化する。このときの明度を変化させてしまう要因は、感光体の膜厚の変化によって、感光体の静電容量が変化し感光体上に蓄積される電荷量が変化するためである。書き込みによって電荷発生層で発生するフォトキャリアの量は、感光体上に蓄積される電荷量にはほとんど関係しないため、露光後の電位の下がり方が、感光体の膜厚によって変わってしまう。このことは、露光エネルギーの点からみると、感光体の感度が変化していると見ることもできる。このことが、帯電手段の方式によって、出力画像の明度を一定に保証する感光体膜厚の変化の許容範囲の違いが起こることの原因である。
【0033】
使用する帯電手段の方式によって感光体膜厚の許容範囲が異なる理由は上述のとおりである。したがって、例えば直流電圧印加方式の接触帯電装置やスコロトロンを使用した場合においても、制御装置などを用いて感光体の帯電電位を一定(感光体膜厚に依存せず)にすることができれば、比較的感光体の膜厚差に対して許容範囲の広い条件を提示することができる。
【0034】
膜厚差をこのようにする製造方法に関して、一般的に用いられている浸漬塗工法を用いて説明する。浸漬塗工法はその名前の通り、感光体材料の塗布液を収容した容器(浸漬塗布槽)と感光体基体とを相対移動させて感光体基体を塗布液中に浸漬させたのち引上げることで、感光体基体上に塗布液を塗工する方法である。通常はさらに、引上げた感光体基体を静止させて自然乾燥(指触乾燥)し、その後オーブン等で完全に乾燥させることにより感光体が作製される。そして、電子写真感光体を短時間で製造するため、塗布液の溶媒としては、通常、速乾性の溶媒が用いられる。これにより、塗布液の乾燥速度を速めて短時間で固化を行なうことができるが、浸漬後、引上げから指触乾燥するまでの間、周囲の微弱な空気流でも、それにより発生した溶媒蒸気の流れが、形成される感光層に厚さムラを与えることになってしまう。
【0035】
通常はこのような厚さムラを低減させるために、溶媒の蒸気密度をコントロールしたり、周囲の風の流れを一定にしたり、塗布液の固形分濃度高くして、ゆっくりとした速度で引き上げる等の方法を取っている。このような方法を取ることで、膜厚差を3.5μm以下とすることが可能となる。さらに、特開平2001-194814号公報記載の方法のように、周囲の影響や気流の適正化のために、感光体基体の回りにフードを設置する方法をとることで、膜厚差を1.5μm以下とすることが可能である。
【0036】
またスプレー塗工の場合は、スプレー時の気流、液の吐出量や、スプレーガンと感光体基体間の距離、スプレーガンの送り速度(感光体基体長手方向の送り速度)及び感光体基体の回転速度の均一性により、感光層の均一性(膜厚差)が変化し、一般的に気流の乱れがなく、スプレーガンと感光体基体間の距離、液吐出量、スプレーガンの送り速度、感光体基体の回転速度が一定かつ、均一であれば、膜厚差の少ない感光層を与えることが可能である。逆にこれらの条件を変えることで膜厚差を変えることが可能である。」

(2b)引用文献2には以下の図が示されている。



3 引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献4として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平11-57594号公報(以下原査定と同様に「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。

(4a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁機構を有する吐出ガンと、基材とを相対的に移動させながら、基材表面に接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体を前記吐出ガンのノズルから吐出して基材上に線状に吐出塗布する方法に関する。なお本発明では、液状体とは、熱可塑性樹脂のごとく、加熱溶融することにより液状体をなすものも含むものとして用いる。
【0002】
【従来の技術】従来から、液晶基板の製造工程や電子基板の製造工程等において、弁機構を有する吐出ガンと、被塗物である基材とを相対的に移動させながら、基材表面に接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体を前記吐出ガンのノズルから吐出して、基材上に細線を描画するように吐出塗布することは、広く実施されている行為である。
【0003】上記した従来の液状体の吐出塗布方法に用いられている、弁機構を有する吐出ガン装置の実施例として、実公平7-33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサが知られている。この装置は弁機構の開閉動作に電磁アクチュエーターを用いたもので、その詳細は同公報に詳述されているので、同公報を参照されたい。また同公報には被塗物である基材及び基材とディスペンサとの関係の説明が欠けているが、ディスペンサと被塗布物である基材とは、相対的に移動可能に構成され、例えばX軸Y軸移動可能のロボット装置等によって基材に対してディスペンサが移動するか、又はディスペンサに対して基材が移動するように構成される。
【0004】また別の実施例として、弁機構の開閉動作にエアアクチュエーターを用いた事例を図2に示す。すなわち図2は、液状体を吐出塗布するための装置の概要を示したもので、符号1は吐出ガンで、該吐出ガン1はエアオペレートタイプを示す。2は液状体供給装置であり、3は吐出ガン1の操作用エアをオン・オフ制御する電磁弁で、該電磁弁3は制御装置4からの制御信号によって開閉動作が行われる。5は吐出ガン1の操作用のエア供給源であり、6は被塗布物である基材を示す。
【0005】図2に示す吐出ガン1においても、吐出ガン1と被塗布物である基材6とは、相対的に移動可能に構成されており、例えばX軸Y軸移動可能のロボット装置等によって基材6に対して吐出ガン1が移動するか、又は吐出ガン1に対して基材6が移動するように構成される。このように構成された液状体の吐出塗布装置では、制御装置4からの制御信号を受けて電磁弁3が開状態になると、エア供給源5から操作エアが吐出ガン1ヘ供給される。すると吐出ガン1のピストン7が、ばね8の押し圧力に抗して上方へ押し上げられる。そして吐出ガン1の弁機構を構成するニードル9もピストン7に直結しているので同時に上方へ引き上げられ、弁機構は開となる。
【0006】そして液状体供給装置2から供給される液状体は、吐出ガン1の弁機構の開動作によりノズル10から吐出し、吐出ガン1に対し相対移動する基材6の面上に線状に塗布される。符号11は基材上に塗布された液状体を示す。塗布の終了は、制御装置4からの制御信号により電磁弁3が切り替わり、吐出ガン1のピストン7を押し上げていたエア圧が大気開放されると、ピストン7は、ばね8の力で押し下げられ、ニードル9が弁機構を閉じて液状体の吐出が停止する。
【0007】前記した実公平7-33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサ及び図2に例示した吐出ガンによる、液状体の線状塗布における弁機構の開閉動作と液状体の塗布パターンを図3に示す。
【0008】すなわち、図3は、弁機構の開閉動作のタイミング12と塗布パターン11の関連を示す模式図である。図は横軸に時間をとったもので下側に示す線図が弁機構の開閉動作12を示し、これに同期して、上側が液状体の塗布パターン11を示している。もちろんこの図は模式的に拡大誇張して表したものなので、実際の液状体塗布パターン11は、パターンの線幅Hがおよそ50?150ミクロンといった極めて細い線幅で塗布されることも珍しいことでわない。この図3で明らかなように従来の塗布方法では、塗布の開始から塗布の終了まで弁機構は開いたままであり、また塗布終了時点Aで塗布量が急激に増加して線幅が拡大していることが理解されよう。」

(4b)「【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明する。本発明では、先ず弁機構を有する吐出ガンと、基材とが相対的に移動するように構成された液状体の吐出塗布装置を用いて、前記吐出ガンのノズルから液状体を基材表面に吐出塗布する方法において、吐出ガンの弁機構をパルス状に開閉作動させながら液状体を基材表面に連続したドット状に吐出塗布することにより実質的に線状に塗布される。そしてその塗布パターンはミクロ的な視野から観察すれば、一つのドットごとにパターンの線幅は若干の広いところと狭いところができるが、全体的に観察すればほぼ均一な線幅となって塗布され、従来技術に比べて塗布終了時点で線幅が広くなることもなく実質的に高い製品品質を得ることができる。また1ドットごとの液状体の吐出は、ニードルのピストンポンプ的な作用に依存するので、液状体の圧力は極めて低圧力で吐出させることができる。
【0015】また弁機構を吐出ガンと基材との相対速度に比例させて毎分2000?20000サイクルの範囲内でパルス状に開閉作動させることにより、カーブなどを描くように塗布する場合の相対速度を可変させて塗布する場合においても、常に一定の線幅で塗布することができる。また弁機構を吐出ガンと基材との相対速度に比例させて毎分2000?20000サイクルの範囲内でパルス状に開閉作動させることは、実験による吐出ガンの構造的な臨界を示したもので、開閉動作が前記値から外れると液状体の粘度特性の影響も受け易く、塗布される線幅が不安定となるためである。
【0016】
【実施例】以下本発明の液状体の吐出塗布方法を、その実施例を示す図と共に具体的に説明する。なお塗布に用いた装置は従来技術で説明した実公平7-33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサ及び図2に示すものと基本的に同一の装置を用いた。また、制御装置4への入力情報として、図示していないX軸Y軸移動のロボットからの速度信号を取り入れ、制御装置4に組み込まれた演算機能によって、速度に比例した開閉信号を実公平7-33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサのソレノイド装置へあるいは図2の電磁弁3へ出力するように構成した。従って塗布装置の詳細な説明は省略する。次に図1は、本発明による弁機構のパルス状開閉タイミング13と塗布パターン14の関連を示す模式図である。
【0017】図1は横軸に時間をとったもので、下側に示す線図13は弁機構がパルス状に開閉動作していることを示し、これに同期して、上側が液状体の塗布パターン14を示したものである。もちろんこの図は模式的に拡大誇張して表したものなので、実験による塗布パターンでは、パターンの線幅Hはおよそ0.10ミリであり、全長にわたって安定した線幅が得られた。また液状体の液圧は0.5?1.0kg/cm^(2)と従来の15?20kg/cm^(2) に比べて極めて低圧で正常な吐出塗布ができた。また実公平7-33907号公報に開示された弁機構の開閉動作に電磁アクチュエーターを用いた装置は、図2に例示したエアオペレートタイプの吐出塗布装置に比べて高速応答性が優れている。」

(4c)引用文献4には以下の図が示されている。



4 引用文献5の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献5として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-1432号公報(以下原査定と同様に「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。

(5a)「【0005】
そこで、本発明は、アルミホイールへ化粧模様を付する際の工程が複雑でないようにした方法を提供することを目的とする。さらに、この発明は、このようにして化粧模様を形成するのに好適な二輪車用アルミホイールを提供することを目的とするものである。さらに本発明の目的は、他部品によって隠れない位置に化粧用溝が形成された二輪車用アルミホイールを提供することにある。さらに他の目的は、強度に影響ない位置に化粧模様のための溝を形成した二輪車用アルミホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、アルミホイールの両側のリム部で、回転軸に対して略直交する方向にある領域に化粧模様用の溝を形成し、この溝内に粘性を持った塗装用組成物を吐出充填してなる二輪車用アルミホイールに化粧模様を形成する方法であることを特徴とする。」

(5b)「【0011】
ホイール全体を静電塗装などによって第1層塗装をすると、溝内にこの第1相塗装と前記塗装用組成物による第2層塗装が形成される。この溝はホイールへ研削加工によって形成される他、アルミホイールを鋳造する際に一体に形成するようにしても良い。この溝は模様に相当するものであり、例えば、ホイールの円周方向に形成されたストライプの他、ホイールの径方向に形成された部分を含む、例えば波型であっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係わる二輪車用アルミホイールの一部正面図であり、図2は、このアルミホイールのII-II断面図である。符号10はこのアルミホールのスポーク部であり、このスポーク部の端部、すなわちアルミホイールの中心方向の端部は図示しないハブ部に連結されている。スポーク部はハブから数本放射状になって円周縁を成すリム部12に連結されている。
【0013】
リム部12は、アルミホイールの正面に臨む平面部、すなわちアルミホイールの軸方向に略直交方向に位置する領域11と、スポーク部10に向かってアルミホイールの軸方向の車体側に向かって傾斜する曲がり部13とから構成されている。
【0014】
符号16はタイヤである。リム部のタイヤ側先端からややアルミホイールの中心部寄りに略断面矩形状の円周溝14が領域13に形成されている。
【0015】
この溝のアルミホイールの径方向(以下、単に「径方向」という)の開口幅は、3-6mmの範囲で、この溝のアルミホイールの軸方向(以下、単に「軸方向」という。)の深さは0.5mm?1mmの範囲で形成されている。勿論、これらの幅や深さは適宜選択可能である。
【0016】
この溝はリムの両側に対称に形成されている。この溝内には塗装用組成物が充填される。図3は溝の断面図であり、溝の開口端部20、溝の底面の端部22には溝深さの1/2以上の半径を持つRが形成されている。
【0017】
次に、図に示すアルミホイールを作成する方法について説明する。このアルミホイールは、Al-Si-Mg系合金を溶解、鋳造(例えば低圧鋳造)又は鍛造後機械加工を施して得られた素材からなる。機械加工の際に、円周状のストライプ溝をリム部に形成する。
【0018】
次いで、アルミホイールの表面に塗装を施す。アルミホイールの塗装は、静電塗装の他、粉体塗装を用いても良い。塗装の後、前記溝内に粘性を持った塗料を充填する。
【0019】
この充填は専用装置又はディスペンサ(定量充填装置)によって行われる。使用する塗料は顔料と樹脂を含んだ組成物であり、樹脂としては粘稠性の熱硬化性樹脂が使用できる。
【0020】
アルミホィールの溝に塗装用組成物を充填した後、加熱硬化させる。この結果、溝内の塗膜はベース塗装層とラインストライプの塗装層の2層から構成されている。
【0021】
溝の形状は円周状のラインばかりでなく、径方向へも変形した、例えば波型や渦巻き形状でも良い。溝の始点と終点とを一致させなくても良い。」

(5c)引用文献5には以下の図が示されている。



5 引用文献6の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献6として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2009-172452号公報(以下原査定と同様に「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。

(6a)「【請求項1】
被塗布物と接触して該被塗布物に塗布液を塗布する接触塗布手段を有する塗布装置と、
該塗布装置を操作して、前記被塗布物に前記接触塗布手段を接触させた状態で移動させ、前記塗布装置に接触塗布を行わせるロボットアームと、
前記ロボットアームに前記塗布装置とともに装着され、前記塗布装置が前記被塗布物上に形成した前記塗布液の塗布パターンを撮影する撮影手段と、
該撮影手段の撮影した画像データを解析し、前記塗布液の塗布パターン形成状態に関する情報を生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段が生成する前記塗布液の塗布パターン形成状態に関する情報に基づき、前記塗布装置の塗布動作、または前記ロボットアームの動作をフィードバック制御する制御手段と、
を有することを特徴とする自動塗布システム。」

(6b)「【0002】
従来より、塗装ロボットのような自動塗装システムが知られている。塗装ロボットの場合、スプレーガンをロボットハンドで操作し、所期の塗装結果が得られるようあらかじめプログラムした経路で対象物に沿って移動させつつ、コンプレッサなどから得られる加圧エアを用いて塗料をスプレーガンのノズルから噴射させる構造が用いられている。
【0003】
従来の塗装ロボットのような自動塗装システムでは、上記のようなスプレーないしエアブラシ式の塗装ヘッドが多いが、塗装の形態や仕様、使用したい塗料や対象物の特性によっては必ずしもスプレーないしエアブラシ式の塗装ヘッドが適しているとは限らない。
【0004】
たとえば、手塗りの場合には、筆や刷毛(ブラシ)、フェルトペンのチップのような含浸体を塗料の塗布体として用いて行なういわゆる接触塗装の手法がある。このような接触塗装の手法は、直線や曲線、あるいは文字などのパターンを表現する場合に必要とされ、
また、塗装領域と、非塗装領域とが明確に区画されるような形態で塗料が塗布される必要がある場合にも適している。さらに、このような接触塗装の手法には、塗布体先端の形状や固さ、大きさ(太さ)などを選択することにより多彩な表現が可能であり、またマスキングなどを行わなくても塗装が可能である、などの利点がある。
【0005】
また、上記のような接触塗装の手法では、筆や刷毛のような塗布体に塗料を付けながら手塗り作業を行なうだけではなく、塗料を収容し、加圧により(あるいは重力によって)塗料を先端の塗布体に供給するようにした塗布用具(たとえば下記の特許文献1)を利用することも考えられる。」

(6c)「【0020】
図1は本発明を採用した自動塗装システムの概要を示している。
【0021】
図1において符号100は塗料を接触塗布するサーボガンで、このサーボガン100は、ロボットアーム200により操作される。
【0022】
サーボガン100の詳細は後述するが、サーボガン100の先端には、塗料の塗布体としてディスペンサーチップ180が装着されている。ディスペンサーチップ180は、塗料が浸透可能なフェルト様の含浸体(軟質多孔質体)から形成された塗布体チップを有し、図1では不図示の経路より塗料がディスペンサーチップ180に対して供給される。
【0023】
このサーボガン100をロボットアーム200により操作し、ディスペンサーチップ180を被塗布物(塗装対象)に接触させた状態で移動することにより、被塗布物上に塗布パターンを形成する。
【0024】
ロボットアーム200の操作は、制御部900により制御する。塗布パターンの形状により、被塗布物上に線、文字、画像などを塗料で表現することができる。このように、被塗布物上で塗布パターンは、線、文字、画像など任意の表現となるが、以下では便宜上、塗料の塗布パターン(塗布軌跡)の形成動作を「描画」とも称する。
【0025】
この描画処理は、制御部900がロボットアーム200の制御に同期してサーボガン100の動作を制御することにより行なわれる。こうして行なわれる描画、すなわち塗布パターンの形成は、制御部900が描画プログラム901に沿ってロボットアーム200、およびサーボガン100の動作を制御することにより行なわれる。ロボットアーム200、およびサーボガン100は制御部900によりインターフェース902を介して制御される。
【0026】
さらに、本実施例では、実際の塗布パターンの形成状態を検出し、検出した塗布パターンの形成状態に関する情報をロボットアーム200、およびサーボガン100の動作にフィードバックすることにより、所期の条件で塗布パターンを形成できるようにするための制御機構を設けている。
【0027】
本実施例では、このために、撮影手段としてCCDカメラ800を設けサーボガン100の形成する塗布パターンを追尾(追従)するようにCCDカメラ800を制御する。後述の例では、CCDカメラ800はサーボガン100とともにロボットアーム200に塔載され、後述の駆動機構を介してサーボガン100の形成する塗布パターンを追尾(追従)する姿勢をとるよう制御される。
・・・
【0038】
ここで、図2に図1の自動塗装システムの構成例を、また、図3に図2におけるサーボガン100の基本構成の例をより具体的に示す。
【0039】
図2は本発明を採用した自動塗装システムの全体構成を、図3は図2の自動塗装システムにおいて、ロボットアーム200で操作される塗装ヘッドとしてのサーボガン100の構成を詳細に示している。以下では、まず図3によりサーボガン100の基本構成を説明し、続いて同サーボガン100を用いた図2の自動塗装システムについて述べる。
・・・
【0080】
次に図2を参照して、本実施例の塗装システムの全体構成につき説明する。
【0081】
図2において、図3で説明したサーボガン100は、ロボットアーム200のアーム先端に支持されている。ロボットアーム200はたとえば3軸制御(たとえばテーブル回転2軸、アーム回転1軸)が可能な公知のロボットアーム200である。また、塗装用途によっては走行式など駆動方式が異なるもの、軸数が異なるものなどを用いてもよい。
【0082】
自動塗装処理は、ロボットアーム200でサーボガン100を操作し、塗装対象物(不図示)にサーボガン100先端のディスペンサーチップ180を接触させるとともに、塗装対象物とサーボガン100の間に相対移動を生じさせることによって行なう。このようにして、塗装対象物上に所定の塗料塗布パターンを形成することができる。このような塗装処理により、直線、曲線、文字、画像、塗り潰しなどの表現が可能となる。
【0083】
ロボットアーム200の制御、およびサーボガン100の塗料充填および塗布に関する制御は、制御部900によって行う。
・・・
【0087】
本実施例では、ロボット操作盤300により、ロボットアーム200でアーム先端のサーボガン100を動かし、サーボガン100のディスペンサーチップ180を対象物に接触させ、塗料を所定の塗布パターン(形状)に沿って塗布するようプログラミングする。
・・・
【0190】
以上では、描画プログラムを実行する制御部900が、描画の方向転換を検出し、CCDカメラ800を描画に追従させる例を示した。しかしながら、CCDカメラ800の姿勢制御を行なう制御手段は、ロボットアーム200側に設けられていてもよい。この場合は、制御部900からロボットアーム200に送信される指令を解析し、ロボットアーム先端の移動方向の方向転換を検出して、CCDカメラ800の姿勢を制御する制御回路をロボットアーム200に塔載しておけばよい。」

(6d)引用文献6には以下の図が示されている。



6 引用文献7の記載
原査定の拒絶の理由に引用文献7として示され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭60-55412号公報(以下原査定と同様に「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。

(7a)第1ページ左欄第3行?第17行
「2 特許請求の範囲
(1) 曲面上のポイントP_(0)に応じた位置データ(x,y,z)と該ポイントにおける作業ヘツドの中心軸ベクトルの単位成分(i,j,k)を求め、これら位置データと中心軸ベクトルの単位成分と該曲面の表面から作業ヘツド迄の距離Dを用いて、作業ヘツドの位置制御データ(X,Y,Z)を
X=x+i・D
Y=y+j・D
Z=z+k・D
より求め、該求めた位置制御データを用いて前記作業ヘツドの位置制御用のNCデータを作成することを特徴とするNCデータ作成方法。」

(7b)第2ページ左上欄第4行?右上欄第2行
「<産業上の利用分野>
本発明はNCデータ作成方法に係り、特に曲面の表面から所定距離だけ離れた通路に沿つて作業ヘツドを移動させて塗装などの作業を実行する機械のNCデータ作成方法に関する。
<従来技術>
ワーク面への塗装をロボツトにより行なう塗装ロボツトにおいては、塗装精度上塗料を吐き出すノズル(ヘツド)を塗装曲面から所定距離だけ離れた通路に沿つて、且つ塗装曲面に対し一定角度となるように移動させながら塗装を行なう必要がある。
このため、従来のプレイバツク式ロボツトにおいて通路の教示作業に際しては、作業ヘツドを塗装曲面より一定距離Dだけ離れた位置に且つ作業ヘツドが塗装曲面に対し一定角度となるように位置決めし、該位置を教示していた。」

(7c)第2ページ右上欄第17行?左下欄第15行
「<発明の概要>
本発明は曲面の表面から所定距離だけ離れた通路に沿つて作業ヘツドを移動させて塗装などの作業を実行する機械のNCデータ作成方法である。
第1図は本発明の概略説明図であり、曲面CS上のポイントP_(0)に応じた位置データ(x,y,z)と該ポイントにおける作業ヘツドWHDの中心軸ベクトルBRの単位成分(i,j,k)と、作業時における該曲面の表面から作業ヘツドWHD先端迄の距離Dを用いて、作業ヘツドの位置制御データ(x,y,z)を
X=x+i・D
Y=y+j・D
Z=z+k・D
より求め、該求めた位置制御データを用いて前記作業ヘツドの位置制御用のNCデータを作成するNCデータ作成方法である。」

(7d)引用文献7には以下の図が示されている。



第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「リム」、「スポーク」、「ディスク」及び「自動車部品である軽合金ホイール」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「リム」、「スポーク」、「ディスク」及び「車両用ホイール」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「デザイン面」が車両に装着した状態で外側から見えることは明らかであるから、引用発明の「デザイン面」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「ホイール意匠面」に相当する。

ウ 上記ア、イを踏まえると、引用発明の「塗装による着色部と、軽合金素材が有する光輝色部をデザイン面に持ち、デザイン面が3次元形状であり、リム、及び複数のスポークを有するディスクを備え、自動車部品である軽合金ホイールの塗膜形成方法」は、本願発明1の「リム、及び複数のスポークを有するディスクを備える車両用ホイールにおいて車両に装着した状態で外側から見える3次元形状のホイール意匠面を加飾する方法」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点1>
「リム、及び複数のスポークを有するディスクを備える車両用ホイールにおいて車両に装着した状態で外側から見える3次元形状のホイール意匠面を加飾する方法。」

<相違点1>
本願発明1は、「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料で線や点を描くように吐出塗布して前記スポークに描画で表現可能なタイプの加飾層を形成する」ものであるのに対し、
引用発明は、「プライマー層11として、粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により積層し、被覆したプライマー層の上に樹脂系塗料をスプレーガンにより吹付け、カラーベースコート層を形成し、透明な熱硬化性樹脂をスプレーガンにより吹付け、クリアーコート層13を形成する」「軽合金ホイール基体に最上層がクリアーコート層となる多層の着色部を形成する工程」と「前記形成された着色部の一部を加工して軽合金ホイール基体を出す光輝面を形成する工程」を含むものである点。

(2)判断
以下、相違点1について検討する。

ア 引用文献2の段落【0034】?【0036】の「膜厚差をこのようにする製造方法に関して、・・・スプレー塗工の場合は、・・・液の吐出量や、スプレーガンと感光体基体間の距離、スプレーガンの送り速度(感光体基体長手方向の送り速度)・・・により、感光層の均一性(膜厚差)が変化し、一般的に気流の乱れがなく、スプレーガンと感光体基体間の距離、液吐出量、スプレーガンの送り速度、感光体基体の回転速度が一定かつ、均一であれば、膜厚差の少ない感光層を与えることが可能である。」(記載事項(2a))という記載を参照すると、スプレー塗工において、液の吐出量やスプレーガンの送り速度を制御することは周知の技術的事項(以下「周知の技術的事項1」という。)といえる。
また、引用文献4の段落【0001】の「本発明は、弁機構を有する吐出ガンと、基材とを相対的に移動させながら、基材表面に接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体を前記吐出ガンのノズルから吐出して基材上に線状に吐出塗布する方法に関する。」(記載事項(4a))という記載、段落【0014】?【0016】の「吐出ガンの弁機構をパルス状に開閉作動させながら液状体を基材表面に連続したドット状に吐出塗布することにより実質的に線状に塗布される。そしてその塗布パターンはミクロ的な視野から観察すれば、一つのドットごとにパターンの線幅は若干の広いところと狭いところができるが、全体的に観察すればほぼ均一な線幅となって塗布され、・・・弁機構を吐出ガンと基材との相対速度に比例させて毎分2000?20000サイクルの範囲内でパルス状に開閉作動させることにより、カーブなどを描くように塗布する場合の相対速度を可変させて塗布する場合においても、常に一定の線幅で塗布することができる。・・・X軸Y軸移動のロボットから・・・」(記載事項(4b))という記載及び図1?2(記載事項(4c))の図示内容を参照すると、接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体に関し、液状体を吐出ガンのノズルから吐出して基材上に線状に吐出塗布することは周知の技術的事項(以下「周知の技術的事項2」という。)といえる。
さらにまた、引用文献6の段落【0023】の「サーボガン100をロボットアーム200により操作し、ディスペンサーチップ180を被塗布物(塗装対象)に接触させた状態で移動することにより、被塗布物上に塗布パターンを形成する。」という記載及び段落【0081】?【0087】の「図3で説明したサーボガン100は、ロボットアーム200のアーム先端に支持されている。ロボットアーム200はたとえば3軸制御(たとえばテーブル回転2軸、アーム回転1軸)が可能な公知のロボットアーム200である。・・・自動塗装処理は、ロボットアーム200でサーボガン100を操作し、塗装対象物(不図示)にサーボガン100先端のディスペンサーチップ180を接触させるとともに、塗装対象物とサーボガン100の間に相対移動を生じさせることによって行なう。このようにして、塗装対象物上に所定の塗料塗布パターンを形成することができる。このような塗装処理により、直線、曲線、文字、画像、塗り潰しなどの表現が可能となる。・・・ロボット操作盤300により、ロボットアーム200でアーム先端のサーボガン100を動かし、サーボガン100のディスペンサーチップ180を対象物に接触させ、塗料を所定の塗布パターン(形状)に沿って塗布するようプログラミングする。」という記載(いずれも記載事項(6c))、並びに引用文献7の第2ページ左上欄第4行?右上欄第2行の「ワーク面への塗装をロボツトにより行なう塗装ロボツトにおいては、塗装精度上塗料を吐き出すノズル(ヘツド)を塗装曲面から所定距離だけ離れた通路に沿つて、且つ塗装曲面に対し一定角度となるように移動させながら塗装を行なう必要がある。」(記載事項(7b))という記載及び第2ページ右上欄第17行?左下欄第15行の「曲面CS上のポイントP_(0)に応じた位置データ(x,y,z)と該ポイントにおける作業ヘツドWHDの中心軸ベクトルBRの単位成分(i,j,k)と、作業時における該曲面の表面から作業ヘツドWHD先端迄の距離Dを用いて、作業ヘツドの位置制御データ(x,y,z)をX=x+i・D Y=y+j・D Z=z+k・Dより求め、該求めた位置制御データを用いて前記作業ヘツドの位置制御用のNCデータを作成するNCデータ作成方法である。」(記載事項(7c))という記載を参照すると、塗装ヘッドをNCプログラムに従って3軸あるいは6軸のマニピュレータで移動させることは、周知の技術的事項(以下「周知の技術的事項3」という。)といえる。

イ しかしながら、引用発明は「前記形成された着色部の一部を加工して軽合金ホイール基体を出す光輝面を形成する」工程を前提として、軽合金ホイール基体において「被覆したプライマー層の上に樹脂系塗料をスプレーガンにより吹付け、カラーベースコート層を形成」するものであるところ、引用文献1の各記載を参照しても、塗料を線や点状に吹付け形成する工程は記載されておらず、また最終的に形成される着色部の形態も線や点状ではなく、むしろ面状の形態といえる。また、周知の技術的事項2は、液状体を吐出ガンのノズルから吐出して基材上に線状に吐出塗布するものであり、引用文献4の各記載を参照しても、最終的に面状の層の形態となるとはいえない。
そうすると、層を線や点状に形成する工程がなく、また最終的に形成される層の形態が線や点状でもない引用発明に、液状体を線状に吐出塗布するものである周知の技術的事項2を適用する動機付けがあるとはいえない。

ウ さらにまた、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料で線や点を描くように吐出塗布して前記スポークに描画で表現可能なタイプの加飾層を形成する」というものであるところ、上記周知の技術的事項1及び周知の技術的事項3はいずれも「塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料で線や点を描くように吐出塗布」するものでもないから、引用発明にこれら周知の技術的事項1、3を適用しても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項には至らない。

エ そうすると、当業者といえども、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項1)、引用文献4に記載された技術的事項(周知の技術的事項2)、引用文献6?7に記載された技術的事項(周知の技術的事項3)から、相違点1に係る本願発明1の「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料で線や点を描くように吐出塗布して前記スポークに描画で表現可能なタイプの加飾層を形成する」ことを容易に想到することはできない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項1)、引用文献4に記載された技術的事項(周知の技術的事項2)、引用文献6?7に記載された技術的事項(周知の技術的事項3)に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
(1)対比
上記「1(1)」を踏まえて、本願発明2と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「プライマー層11」に関し、引用文献1の段落【0015】の「プライマー層の膜厚は、上記のように軽合金ホイールの鋳肌の凹凸を隠す必要がある場合、40?200μm程度の厚さで形成される。」(記載事項(1c))という記載を参照すると、「プライマー層11」はレベリングの作用のある下地といえる。また、防食の作用のあることも明らかである。
そうすると、引用発明の「プライマー層11」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明2の「防食及びレベリングを兼ねた下地塗装」に相当する。

イ 引用発明の「カラーベースコート層12」に関し、引用文献1の段落【0016】の「カラーベース塗料として、・・・例えばアクリル、ポリエステル、エポキシ樹脂等からなり溶剤を含む」(記載事項(1c))という記載を参照すると、「カラーベースコート層12」は溶剤塗料を塗装したものといえる。

ウ 上記ア、イを踏まえると、引用発明の「プライマー層11として、粉体塗料を、軽合金ホイール基体1に静電塗装により積層し、被覆したプライマー層11の上に樹脂系塗料をスプレーガンにより吹付け、カラーベースコート層12を形成」することは、本願発明2の「防食及びレベリングを兼ねた下地塗装を施した後のホイール意匠面の全体に第1の色の溶剤塗料を塗装して第1の色のベース色層を形成した後に、このベース色層上の一部において第1の色とは異なる第2の色の溶剤塗料を吐出塗布して第2の色の加飾層を形成する工程においてホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料を吐出塗布して前記スポークに加飾層を形成する」ことと、「防食及びレベリングを兼ねた下地塗装を施した後のホイール意匠面の全体に第1の色の溶剤塗料を塗装して第1の色のベース色層を形成」することの限度で一致する。

以上のことから、本願発明2と引用発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点2>
「リム、及び複数のスポークを有するディスクを備える車両用ホイールにおいて車両に装着した状態で外側から見える3次元形状のホイール意匠面を加飾する方法であって、
防食及びレベリングを兼ねた下地塗装を施した後のホイール意匠面の全体に第1の色の溶剤塗料を塗装して第1の色のベース色層を形成する車両用ホイールの加飾方法。」

<相違点2>
本願発明2は、「第1の色のベース色層を形成した後に」、「このベース色層上の一部において第1の色とは異なる第2の色の溶剤塗料を吐出塗布して第2の色の加飾層を形成する工程」において「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料を吐出塗布して前記スポークに加飾層を形成する」ものであるのに対し、
引用発明は、「第1の色のベース色層を形成した後に」、「このベース色層上の一部において第1の色とは異なる第2の色の溶剤塗料を吐出塗布して第2の色の加飾層を形成する工程」を有するものではない点。

(2)判断
以下、相違点2について検討する。

ア 引用文献5の段落【0017】?【0019】の「アルミホイールは、Al-Si-Mg系合金を溶解、鋳造(例えば低圧鋳造)又は鍛造後機械加工を施して得られた素材からなる。機械加工の際に、円周状のストライプ溝をリム部に形成する。・・・アルミホイールの表面に塗装を施す。・・・塗装の後、前記溝内に粘性を持った塗料を充填する。・・・この充填は専用装置又はディスペンサ(定量充填装置)によって行われる。」(記載事項(5b))を参照すると、引用文献5には、アルミホイールのリム部にストライプ溝を形成し、アルミホイールの表面に塗装を施した後、溝内に粘性を持った塗料を充填することが記載されている。
しかしながら、引用文献5に記載された技術的事項は、「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料を吐出塗布して前記スポークに加飾層を形成する」ものではない点で、上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項とは異なる。

イ また、上記「1(2)ア」で述べた周知の技術的事項1?3も「このベース色層上の一部において第1の色とは異なる第2の色の溶剤塗料を吐出塗布して第2の色の加飾層を形成する工程」において「ホイール意匠面となるスポークに沿って塗布面と一定のクリアランスを保持して相対的にディスペンサーをNCプログラムに従って3軸又は5軸の各方向に移動させて送り速度と塗料吐出量の双方を制御しながら溶剤塗料を吐出塗布して前記スポークに加飾層を形成する」ものではない。

ウ そうすると、引用発明に上記引用文献5に記載された技術的事項、上記周知の技術的事項1?3を適用しても、上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項には至らない。
したがって、本願発明2は、当業者であっても引用発明、引用文献5に記載された技術的事項、引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項1)、引用文献4に記載された技術的事項(周知の技術的事項2)、引用文献6?7に記載された技術的事項(周知の技術的事項3)に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明3?4について
請求項3?4は、請求項1又は2を直接的又は間接的に引用しているところ、本願発明3?4は、少なくとも本願発明1又は本願発明2の構成を更に限定して発明を特定するものであるから、引用文献3を参酌しても、上記1、2で述べたと同様の理由により、本願発明3?4は、引用発明、引用文献5に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項、引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項1)、引用文献4に記載された技術的事項(周知の技術的事項2)、引用文献6?7に記載された技術的事項(周知の技術的事項3)に基いて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

第6 原査定について
以上のとおり、本願発明1、3は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、4、6、7に記載された技術的事項に基いて、本願発明2?3は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、4?7に記載された技術的事項に基いて、本願発明4は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-14 
出願番号 特願2014-137723(P2014-137723)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平野 貴也田々井 正吾  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
中田 善邦
発明の名称 車両用ホイールの加飾方法  
代理人 宮崎 栄二  
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