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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1344323
審判番号 不服2017-15269  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-13 
確定日 2018-10-09 
事件の表示 特願2016-507841「情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月17日国際公開、WO2015/137481、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2015年3月13日(優先権主張 2014年3月14日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年6月2日付けで拒絶理由通知がなされ、平成29年7月10日付けで手続補正がなされたが、平成29年8月2日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年10月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年10月13日付けの手続補正の補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成29年10月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1.本件補正について

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1、7、9、10を、次の通りに補正することを含むものである(下線は、請求人により付されたものである。)。

「【請求項1】
ネットワークを介して、1又は2以上の端末と通信する情報提供装置通信部と、
所定の機器の障害に関する、文字情報、画像情報、音声情報の少なくともいずれかを障害情報として、第1の端末から取得する障害情報取得部と、
前記第1の端末、又は前記第1の端末と異なる第2の端末の少なくともいずれかに、情報提供画面を提供する処理を制御する画面管理部と、
前記所定の機器のユーザを特定する情報、又は障害案件を特定する情報の少なくともいずれかを、第1の識別情報として取得する第1の識別情報取得部と、
前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定部と、
を備え、
前記画面管理部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し、
前記情報提供装置通信部は、1又は2以上の保守可能日から選択された、保守希望日を、前記第1の端末から受信し、
前記第1の端末に、前記第2の識別情報を通知し、前記第2の端末に、前記保守希望日と前記第2の識別情報とを通知する、通知部を備える、情報提供装置。」

「【請求項7】
1又は2以上の端末に情報を提供する情報提供装置と、
前記情報提供装置が提供する情報を管理し、前記情報提供装置と通信する情報管理装置と、を含む情報提供システムであって、
前記情報提供装置は、
ネットワークを介して、前記端末と通信する情報提供装置通信部と、
所定の機器の障害に関する、文字情報、画像情報、音声情報の少なくともいずれかを障害情報として、第1の端末から取得する障害情報取得部と、
前記第1の端末、又は前記第1の端末と異なる第2の端末の少なくともいずれかに、情報提供画面を提供する画面管理部と、
前記所定の機器のユーザを特定する情報、又は障害案件を特定する情報の少なくともいずれかを、第1の識別情報として取得する第1の識別情報取得部と、
前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定部と、
を備え、
前記画面管理部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し、
前記情報提供装置通信部は、1又は2以上の保守可能日から選択された、保守希望日を、前記第1の端末から受信し、
前記情報提供装置は、前記第1の端末に、前記第2の識別情報を通知し、前記第2の端末に、前記保守希望日と前記第2の識別情報とを通知する、通知部をさらに備え、
前記情報管理装置は、
前記障害情報を記憶する障害情報記憶部と、
前記情報提供装置からの要求に応じて、前記障害情報記憶部から前記障害情報を抽出する情報管理装置制御部と、
を備える情報提供システム。」

「【請求項9】
情報提供装置が、
ネットワークを介して、1又は2以上の端末と通信する通信工程と、
所定の機器の障害に関する、文字情報、画像情報、音声情報の少なくともいずれかを障害情報として、第1の端末から取得する障害情報取得工程と、
前記第1の端末、又は前記第1の端末と異なる第2の端末の少なくともいずれかに、情報提供画面を提供する画面管理工程と、
前記所定の機器のユーザを特定する情報、又は障害案件を特定する情報の少なくともいずれかを、第1の識別情報として取得する第1の識別情報取得工程と、
前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定工程と、
を実行し、
前記画面管理工程において、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定工程において、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し、
前記通信工程において、1又は2以上の保守可能日から選択された、保守希望日を、前記第1の端末から受信し、
前記情報提供装置が、前記第1の端末に、前記第2の識別情報を通知し、前記第2の端末に、前記保守希望日と前記第2の識別情報とを通知する、通知工程を実行する、情報提供方法。」

「【請求項10】
ネットワークを介して、1又は2以上の端末と通信する通信処理と、
所定の機器の障害に関する、文字情報、画像情報、音声情報の少なくともいずれかを障害情報として、第1の端末から取得する障害情報取得処理と、
前記第1の端末、又は前記第1の端末と異なる第2の端末の少なくともいずれかに、情報提供画面を提供する画面管理処理と、
前記所定の機器のユーザを特定する情報、又は障害案件を特定する情報の少なくともいずれかを、第1の識別情報として取得する第1の識別情報取得処理と、
前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定処理と、
を情報提供装置を制御するコンピュータに実行させ、
前記通信処理において、1又は2以上の保守可能日から選択された、保守希望日を、前記第1の端末から受信し、
前記画面管理処理において、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定処理において、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し、
前記第1の端末に、前記第2の識別情報を通知し、前記第2の端末に、前記保守希望日と前記第2の識別情報とを通知する、通知処理を、前記コンピュータに実行させる、プログラム。」

2.新規事項の追加の有無について

(1) 本件補正後の請求項1には、「前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定部」、及び、「前記画面管理部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し」が記載されている。
上記記載によれば、画面管理部は、障害の内容に応じた情報提供画面が予め生成されている場合には、当該情報提供画面に障害情報を表示させる処理を実行し、障害の内容に応じた情報提供画面が予め生成されていない場合には、障害情報を表示する情報提供画面を生成するものであり、したがって、上記情報提供画面が予め生成されているか否かに応じて、異なる処理を行うものである。
また、第2の識別情報決定部は、障害の内容に応じた情報提供画面が予め生成されている場合には、当該情報提供画面に対応する第2の識別情報を決定し、当該情報提要画面が予め生成されていない場合には、第1の識別情報に基づいて第2の識別情報を決定するものであり、したがって、上記情報提供画面が予め生成されているか否かに応じて決定を変えるものである。

(2)これに対して、本願の出願当初の特許請求の範囲、明細書または図面(以下、「当初明細書等」という。)には、第2の識別情報決定部について次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した)。

ア.「[0057] 画面管理部207は、所定の機器のユーザ、又は障害案件に応じた情報提供画面を生成する。例えば、画面管理部207は、障害情報を提示するウェブページを、情報提供画面として生成しても良い。」

イ.「[0060] 例えば、画面管理部207が顧客毎の情報提供画面を生成する場合、第1の識別情報は、保守対象機器の各ユーザを特定する情報であることが好ましい。具体的には、第1の識別情報は、保守対象機器の各ユーザを特定するユーザIDであっても良い。
[0061] また、画面管理部207が、障害案件毎の情報提供画面を生成する場合、第1の識別情報は、保守対象機器の障害の報告毎に割り当てられる番号等であることが好ましい。」

ウ.「[0065] 第2の識別情報決定部208は、障害情報を表示する情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、第1の識別情報に基づいて決定する。」

エ.「[0068] 画面管理部207が、障害案件毎の情報提供画面を生成する場合、第2の識別情報決定部208は、障害案件毎に異なる第2の識別情報を決定する。」

オ.「[0069] また、画面管理部207が、2以上の情報提供画面を予め生成しておいても良い。そして、画面管理部207は、障害案件の内容等に応じて、予め生成した情報提供画面を割り当てても良い。例えば、情報提供画面がウェブページである場合、第2の識別情報決定部208は、予め生成した2以上のウェブページから、障害案件の内容等に応じて、ウェブウェブページを選択しても良い。そして、第2の識別情報決定部208は、当該ウェブページのアドレスを、第2の識別情報として決定しても良い。」

カ.「[0090] ステップS3において、第2の識別情報決定部208は、第1の識別情報に基づいて、ウェブページのアドレス等を第2の識別情報として決定する。」

キ.「[0097] 図7は、情報提供画面に相当する、ウェブページを表示する処理の一例を示すフローチャートである。
[0098] ステップS41において、画面管理部207は、顧客情報、及び対象機器情報を、第2の識別情報に対応するウェブページに設定する。そして、ステップS42において、情報提供装置通信部201は、顧客情報、及び対象機器情報が設定された、ウェブページを更新する。そして、ステップS43において、第1の端末4は、顧客情報、及び対象機器情報が設定された、ウェブページを表示する。

ク.「[0104] また、ステップS46において、情報提供装置通信部201は、障害情報として入力された文字情報、画像情報、音声情報等を受信する。ステップS47において、画面管理部207は、障害情報を入力してウェブページを更新する。」

前記ア.?カ.によれば、画面管理部と第2の識別情報決定部について、以下のような実施形態が記載されているといえる。
・画面管理部は顧客毎の情報提供画面を生成し、第1の識別情報は顧客のユーザIDであり、第2の識別情報決定部は当該ユーザIDに基づいて第2の識別情報を決定する実施形態。
・画面管理部は障害案件毎の情報提供画面を生成し、第1の識別情報は障害の報告毎に割り当てられる番号であり、第2の識別情報決定部は当該番号に基づいて第2の識別情報を決定する実施形態。
・画面管理部は2以上の情報提供画面を予め生成し、障害案件の内容に応じて予め生成した情報提供画面を割り当て、第2の識別情報決定部は障害案件の内容に応じてウェブウェブページ(情報提供画面)を選択し、当該ウェブページのアドレスを第2の識別情報として決定する実施形態。

また、前記キ.ク.によれば、ウェブページを表示する処理として、情報提供装置通信部が第2の識別情報に対応するウェブページを第1の端末に表示し、その第1の端末から障害情報を受信すると、画面管理部が、障害情報を入力してウェブページを更新することが記載されている。すなわち、画面管理部は、上記更新により、障害情報を表示する情報提供画面を生成するといえる。

上記のように、当初明細書等には、画面管理部が顧客毎の情報提供画面を生成する場合と、画面管理部が障害案件毎の情報提供画面を生成する場合と、画面管理部が2以上の情報提供画面を予め生成し、障害案件の内容に応じて予め生成した情報提供画面を割り当てる場合とに関する、それぞれの実施形態が単に並記されているだけで、障害の内容に応じた情報提供画面が予め生成されているか否かの判断に基づいて、処理や決定を変えるような構成は記載されていない。
したがって、本件補正後の請求項1に記載された「前記画面管理部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し」は、当初明細書等に記載されておらず示唆もされていない。
また、本件補正後の請求項1に記載された「前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定部」、「前記第2の識別情報決定部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し」も、当初明細書等に記載されておらず示唆もされていない。

(3)よって、請求項1に係る補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
また、本件補正後の請求項7、9,10も、請求項1の「前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記情報提供画面を閲覧可能とする、第2の識別情報を、前記第1の識別情報に基づいて決定する、第2の識別情報決定部」、「前記画面管理部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面に、前記障害情報を表示させる処理を実行し、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されていない場合には、前記障害情報を表示する前記情報提供画面を生成し、
前記第2の識別情報決定部は、前記障害の内容に応じた前記情報提供画面が予め生成されている場合には、予め生成されている前記情報提供画面に対応する、前記第2の識別情報を取得し」に対応する構成を有している。
したがって、請求項7、9,10に係る補正も、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

3.むすび

上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

平成29年10月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-10に係る発明は、平成29年7月10日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-25 
出願番号 特願2016-507841(P2016-507841)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 55- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 加寿磨  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 相崎 裕恒
石川 正二
発明の名称 情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法、及びプログラム  
代理人 青木 充  
代理人 内田 潔人  
代理人 ▲高▼橋 幹夫  
代理人 加藤 朝道  

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