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審決分類 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 取り消して特許、登録 B62K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 B62K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62K
管理番号 1344347
審判番号 不服2017-13867  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-19 
確定日 2018-10-09 
事件の表示 特願2015-561755号「サスペンション構造およびこれを含む駆動アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年9月12日国際公開、WO2014/138743、平成28年5月26日国内公表、特表2016-515063号、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2014年3月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年3月8日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年10月23日に国際出願翻訳文提出書と同時に手続補正書が提出され、平成28年9月21日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月26日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成30年1月10日に前置報告がされ、同年5月9日に審判請求人から前置報告に対する上申書が提出されたものである。

第2.補正の却下の決定
1.補正の却下の決定の結論
平成29年9月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

2.補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、補正前の請求項1を、補正後の請求項1に変更する補正事項(以下、「補正事項」という。)を含むものである。
本件補正前の請求項1及び補正後の請求項1は、それぞれ以下のとおりである。

ア.本件補正前の請求項1
「車両の駆動アセンブリに使用し、前記駆動アセンブリの駆動輪に枢着されるサスペンション構造であって、そのうち前記駆動輪が回転軸を含み、前記サスペンション構造が、第1サスペンションアームと、第2サスペンションアームと、第3サスペンションアームと、緩衝部材を含み、
前記第1サスペンションアームが第1固定端と、前記第1固定端の反対側の第1揺動端を備え、そのうち前記第1固定端が第1枢着点で前記車両に枢着され、
前記第2サスペンションアームが第2固定端と、前記第2固定端の反対側の第2揺動端を備え、そのうち前記第2固定端が第2枢着点で前記車両に枢着され、
前記第3サスペンションアームがフロント揺動端と、前記フロント揺動端の反対側のリア揺動端と、前記フロント揺動端と前記リア揺動端の間に位置する輪軸点を備え、前記フロント揺動端が第1揺動点で前記第1サスペンションアームの前記第1揺動端に枢動可能に連結され、前記リア揺動端が第2揺動点で前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結され、そして前記駆動輪の前記回転軸が前記輪軸点上に配置され、前記駆動輪が伝動要素を介して動力生成装置に連結されており、
前記緩衝部材が前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームの間に設置され、前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームにそれぞれ枢動可能に連結された2つの端部を備え、
前記緩衝部材の前記2つの端部の一方の端部が、前記第1枢着点において前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結され、前記2つの端部の他方の端部が、前記第2揺動点において前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結されたことを特徴とする、サスペンション構造。」

イ.本件補正後の請求項1
「車両の駆動アセンブリに使用し、前記駆動アセンブリの駆動輪に枢着されるサスペンション構造であって、そのうち前記駆動輪が回転軸を含み、前記サスペンション構造が、第1サスペンションアームと、第2サスペンションアームと、第3サスペンションアームと、緩衝部材を含み、
前記第1サスペンションアームが第1固定端と、前記第1固定端の反対側の第1揺動端を備え、そのうち前記第1固定端が第1枢着点で前記車両に枢着され、
前記第2サスペンションアームが第2固定端と、前記第2固定端の反対側の第2揺動端を備え、そのうち前記第2固定端が第2枢着点で前記車両に枢着され、
前記第3サスペンションアームがフロント揺動端と、前記フロント揺動端の反対側のリア揺動端と、前記フロント揺動端と前記リア揺動端の間に位置する輪軸点を備え、前記フロント揺動端が第1揺動点で前記第1サスペンションアームの前記第1揺動端に枢動可能に連結され、前記リア揺動端が第2揺動点で前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結され、そして前記駆動輪の前記回転軸が前記輪軸点上に配置され、前記駆動輪が伝動要素を介して動力生成装置に連結されており、
前記緩衝部材が前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームの間に設置され、
前記緩衝部材は、前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結された第1端と、
前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端および前記第3サスペンションアームの前記リア揺動端に枢動可能に連結された第2端と、を有することを特徴とする、サスペンション構造。」(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付したものである。)

(2)本件補正の適否の判断
本件補正の補正事項は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「緩衝部材」の「一方の端部」に関し、「前記第1枢着点において前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結され」とあったものを、「前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結され」とする補正を含むものである。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明における「前記第1枢着点において」との限定を省くものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、本件補正は,請求項の削除,誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下する。

第3.原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1?15に係る発明は、次の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:米国特許第4058181号明細書

第4.本願発明
本件補正は、上記「第2.補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願請求項1?15に係る発明(以下、「本願発明1?15」という。)は、平成28年12月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、第2.2.(1)ア.に記載したとおりである。

第5.引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、[訳文]は当審で作成し、下線も当審で付した。

(1)1欄4行?6行
「This invention relates to motorcycle suspension systems and more particularly to a rear suspension for motorcycles.」
[訳文]
「本発明は、自動二輪車のサスペンションシステムに関し、特に自動二輪車用のリアサスペンションに関するものである。」

(2)3欄39行?41行
「The frame 11 carries a motor and transmission assembly 20 and a gasoline tank 21 in usual fashion. 」
[訳文]
「フレーム11は、モータトランスミッションアセンブリ20とガソリンタンク21を通常の形態で搭載している。」

(3)3欄48行?4欄4行
「A gusset plate 22 is connected at the junction of lower member 12 and rear member 15, and a second gusset plate 23 is connected at the junction of vertical members 15 and 18. Pivotally secured to plate 22 is a rearwardly extending horizontal swing arm 24. A second rearwardly extending swing arm 25 is pivoted adjacent one end in gusset plate 23. The other end of each of swing arms 24 and 25 is pivoted at opposite ends of a vertical link 26 so that the arms are spaced apart and generally parallel. The rear wheel 28 is journalled on shaft 29 in opening 30 in link 26. The said one end of swing arm 25 extends angularly downwardly from the pivot point 25a in gusset plate 23 so that a bell crank 25b is formed. Shock absorber 31 and spring 32 are jointly connected at one end to plate 32 intermediate the ends of arm 24 and at the other end to the free end of bell crank arm 25b. This combination of spring and shock absorber can be any of the conventional types used in motorcycles, e.g. the coil over type or the internal coil type, or any other equivalent type.The length of the bell crank arm 25b in any given system will determine the progression of the rise in the spring pressure and in order to make this adjustable for different riding conditions, additional mounting positions 25c, 25d, 25e may be provided. 」
[訳文]
「下部部材12と後方部材15との接合部に接続されているガセットプレート22と、垂直部材15及び18の接続点に接続された第2のガセットプレート23が設けられている。プレート22に枢着され後方に延在する水平揺動アーム24が設けられている。ガセットプレート23の端部に隣接して枢着されている第2の後方に延在する揺動アーム25が設けられている。該揺動アーム24及び25の他端は、縦方向リンク26の端部及び反対側の端部に軸支されており、アームは間隔をあけられかつほぼ平行であるようになっている。後輪28は、リンク26内の開口部30の軸29に軸支されている。揺動アーム25の前記一端は、ガセットプレート23の枢動点25aから角度下方に延びてベルクランク25bが形成される。ショックアブソーバ31およびスプリング32は、その一端がアーム24の中間に配置されたプレート32に接続され、他端がベルクランクアーム25bの自由端に接続される。スプリングとショックアブソーバの組み合わせは、自動二輪車で使われる慣用のものであってよく、外部コイル型又は内部コイル型、または他の任意の同等のタイプとすることができる。任意のシステムにおいてベル型クランクアーム25bの長さは、バネ圧の上昇の進行を決定し、これは、異なる走行状態に対して調整可能にするために、追加の取付け位置25c、25d、25eを設けてもよい。」

(4)4欄11行?16行
「In addition the system, because of the generally parallel swing arm arrangement maintains substantially constant chain tension, maintains a substantially constant contact patch and minimizes wheel base change during suspension movement. 」
[訳文]
「システムであって、ほぼ平行な揺動アームの配置は実質的に一定のチェーン張力を維持するため、実質的に一定の接触パッチを維持し、懸濁液を移動中にホイールベース変化を最小にする。」

(5)図2として、以下の図面が記載されている。

(6)記載事項(5)の図示内容によれば、第2のガセットプレート23がガセットプレート22より上方の位置において後方部材15に接続されていることが看取できる。

(7)記載事項(2)、(4)の記載内容及び記載事項(5)の図示内容によれば、後輪28がチェーンを介してモータトランスミッションアセンブリ20に連結されていると認められる。

(8)記載事項(5)の図示内容によれば、ショックアブソーバ31およびスプリング32が揺動アーム25と揺動アーム24の間に設置されていることが看取できる。さらに、記載事項(3)の記載内容を併せみると、ショックアブソーバ31およびスプリング32は、他端がベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25eに接続される態様が記載されていると認められる。

以上の記載事項及び認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「自動二輪車用のリアサスペンションであって、
下部部材12と後方部材15との接合部に接続されているガセットプレート22と、該ガセットプレート22より上方の位置において後方部材15に接続されている第2のガセットプレート23が設けられ、ガゼットプレート22に枢着され後方に延在する揺動アーム24と、ガセットプレート23の端部に隣接して枢着されている後方に延在する揺動アーム25が設けられ、該揺動アーム24及び25の他端は、縦方向リンク26の端部及び反対側の端部に軸支されており、該揺動アーム24及び25は間隔をあけられ、かつほぼ平行であるようになっており、チェーンを介してモータトランスミッションアセンブリ20に連結されている後輪28は、縦方向リンク26内の開口部30の軸29に軸支されており、
揺動アーム25の一端は、ガセットプレート23の枢動点25aから角度下方に延びてベルクランク25bが形成されていて、ショックアブソーバ31およびスプリング32は、揺動アーム25と揺動アーム24の間に設置され、他端がベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25eに接続され、その一端が揺動アーム24の中間に配置されたプレートに接続された自動二輪車用のリアサスペンション。」

第6.対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.後者の「自動二輪車」及び「後輪28」は、前者の「車両」及び「駆動輪」に相当する。後者の「自動二輪車用のリアサスペンション」は、「自動二輪車」の駆動アセンブリに使用し、該駆動アセンブリの「後輪28」に枢着されるものであることは明らかであるから、前者の「車両の駆動アセンブリに使用し、前記駆動アセンブリの駆動輪に枢着されるサスペンション構造」に相当するものといえる。また、後者の「後輪28」は「軸29」を含むことは明らかであるところ、後者の「軸29」は前者の「回転軸」に相当し、後者の「揺動アーム25」、「揺動アーム24」、「縦方向リンク26」及び「ショックアブソーバ31およびスプリング32」は、前者の「第1サスペンションアーム」、「第2サスペンションアーム」、「第3サスペンションアーム」及び「緩衝部材」に相当するから、後者の「自動二輪車用のリアサスペンション」は、前者の「サスペンション構造であって、そのうち前記駆動輪が回転軸を含み、前記サスペンション構造が、第1サスペンションアームと、第2サスペンションアームと、第3サスペンションアームと、緩衝部材を含」むとの構成を充足する。

イ.後者の「揺動アーム25」及び「揺動アーム24」が、それぞれ固定端と該固定端の反対側の揺動端を備えること、後者の「縦方向リンク26」が揺動端と該揺動端の反対側の揺動端を備えることは明らかであり、後者の「下部部材12と後方部材15との接合部に接続されているガセットプレート22」及び「ガセットプレート22より上方の位置において後方部材15に接続されている第2のガセットプレート23」は「自動二輪車」の車体側に取り付けられる構成要素であり、前者の「車両に枢着され」における「車両」に相当するといえる。
また、後者の「縦方向リンク26内の開口部30」は前者の「前記フロント揺動端と前記リア揺動端の間に位置する輪軸点」に相当し、後者の「後輪28」が「チェーンを介してモータトランスミッションアセンブリ20に連結されている」との構成は、前者の「前記駆動輪が伝動要素を介して動力生成装置に連結されており」との構成に相当する。
そうすると、後者の「ガゼットプレート22に枢着され後方に延在する揺動アーム24と、ガセットプレート23の端部に隣接して枢着されている後方に延在する揺動アーム25が設け、該揺動アーム24及び25の他端は、縦方向リンク26の端部及び反対側の端部に軸支されており、該揺動アーム24及び25は間隔をあけられ、かつほぼ平行であるようになっており、チェーンを介してモータトランスミッションアセンブリ20に連結されている後輪28は、縦方向リンク26内の開口部30の軸29に軸支されてい」る構成は、前者の「前記第1サスペンションアームが第1固定端と、前記第1固定端の反対側の第1揺動端を備え、そのうち前記第1固定端が第1枢着点で前記車両に枢着され、前記第2サスペンションアームが第2固定端と、前記第2固定端の反対側の第2揺動端を備え、そのうち前記第2固定端が第2枢着点で前記車両に枢着され、前記第3サスペンションアームがフロント揺動端と、前記フロント揺動端の反対側のリア揺動端と、前記フロント揺動端と前記リア揺動端の間に位置する輪軸点を備え、前記フロント揺動端が第1揺動点で前記第1サスペンションアームの前記第1揺動端に枢動可能に連結され、前記リア揺動端が第2揺動点で前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結され、そして前記駆動輪の前記回転軸が前記輪軸点上に配置され、前記駆動輪が伝動要素を介して動力生成装置に連結されており」との構成に相当するといえる。

ウ.後者の「ショックアブソーバ31およびスプリング32は、揺動アーム25と揺動アーム24の間に設置され、他端がベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25eに接続され、その一端が揺動アーム24の中間に配置されたプレートに接続された」構成と前者の「前記緩衝部材が前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームの間に設置され、前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームにそれぞれ枢動可能に連結された2つの端部を備え、前記緩衝部材の前記2つの端部の一方の端部が、前記第1枢着点において前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結され、前記2つの端部の他方の端部が、前記第2揺動点において前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結された」構成とは、「前記緩衝部材が前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームの間に設置され、前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームにそれぞれ枢動可能に連結された2つの端部を備え」との構成の限度で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「車両の駆動アセンブリに使用し、前記駆動アセンブリの駆動輪に枢着されるサスペンション構造であって、そのうち前記駆動輪が回転軸を含み、前記サスペンション構造が、第1サスペンションアームと、第2サスペンションアームと、第3サスペンションアームと、緩衝部材を含み、
前記第1サスペンションアームが第1固定端と、前記第1固定端の反対側の第1揺動端を備え、そのうち前記第1固定端が第1枢着点で前記車両に枢着され、
前記第2サスペンションアームが第2固定端と、前記第2固定端の反対側の第2揺動端を備え、そのうち前記第2固定端が第2枢着点で前記車両に枢着され、
前記第3サスペンションアームがフロント揺動端と、前記フロント揺動端の反対側のリア揺動端と、前記フロント揺動端と前記リア揺動端の間に位置する輪軸点を備え、前記フロント揺動端が第1揺動点で前記第1サスペンションアームの前記第1揺動端に枢動可能に連結され、前記リア揺動端が第2揺動点で前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結され、そして前記駆動輪の前記回転軸が前記輪軸点上に配置され、前記駆動輪が伝動要素を介して動力生成装置に連結されており、
前記緩衝部材が前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームの間に設置され、前記第1サスペンションアームと前記第2サスペンションアームにそれぞれ枢動可能に連結された2つの端部を備えたサスペンション構造。」

(相違点)
本願発明1は、「前記緩衝部材の前記2つの端部の一方の端部が、前記第1枢着点において前記第1サスペンションアームの前記第1固定端に枢動可能に連結され、前記2つの端部の他方の端部が、前記第2揺動点において前記第2サスペンションアームの前記第2揺動端に枢動可能に連結された」構成であるのに対し、
引用発明は、「揺動アーム25の一端は、ガセットプレート23の枢動点25aから角度下方に延びてベルクランク25bが形成されていて、ショックアブソーバ31およびスプリング32は、」「その一端がベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25eに接続され、他端が揺動アーム24の中間に配置されたプレートに接続された」構成である点。

(2)相違点についての判断
引用発明が、「ショックアブソーバ31およびスプリング32」の「一端がベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25eに接続され」る構成であることは、記載事項(3)に記載されているように、自動二輪車の異なる走行状態に対して、バネ圧の上昇の進行を調整可能にするためのものであり、走行状態に応じて、「ショックアブソーバ31およびスプリング32」の接続位置を、「ベルクランクアーム25bの自由端に設けられた追加の取付け位置25c、25d、25e」から選択して、取付け位置を変更するものである。
そうすると、引用発明において、「ショックアブソーバ31およびスプリング32」の「一端」の接続位置を、本願発明1のように、揺動アーム25の枢着点において前記揺動アーム25の固定端に枢動可能に連結される構成を採ると、接続位置を変更する際にベルクランクアーム25bをも取り外してしまうこととなり、引用発明の取付け位置を変更するという機能が有効に働かないことになるので、「ショックアブソーバ31およびスプリング32」の接続位置を、揺動アーム25の枢着点において枢動可能に連結される構成に変更する動機付けはないといえる。
また、「ショックアブソーバ31およびスプリング32」の「他端」の接続位置についても、「揺動アーム24の中間」から「縦方向リンク26」の揺動点(揺動アーム24の他端が、縦方向リンク26の端部に軸支される点)に変更することは、引用文献1の明細書全体を通してみても、記載ないし示唆がされていないので、当業者が適宜設計し得るものとはいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2?15について
本願発明2?15も、本願発明1と同様の構成を備えているものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。

第7.むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-26 
出願番号 特願2015-561755(P2015-561755)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B62K)
P 1 8・ 56- WY (B62K)
P 1 8・ 572- WY (B62K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前原 義明杉田 隼一結城 健太郎畔津 圭介  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 島田 信一
出口 昌哉
発明の名称 サスペンション構造およびこれを含む駆動アセンブリ  
代理人 藤原 賢司  
代理人 岡部 博史  
代理人 桝田 剛  
代理人 山下 未知子  
代理人 鮫島 睦  
代理人 立花 顕治  

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