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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1344522 |
審判番号 | 不服2017-13788 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-15 |
確定日 | 2018-09-20 |
事件の表示 | 特願2016-102572「遊技場用管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日出願公開、特開2016-147135〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成24年9月3日に出願した特願2012-193107号の一部を平成28年5月23日に新たな特許出願(特願2016-102572号)としたものであって、平成29年3月28日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年4月17日に意見書が提出されたところ、平成29年8月30日付け(発送日:平成29年9月5日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年9月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Lは本願発明を分説するため当審で付した。)。 「【請求項1】 A 各遊技機と対応する位置に設置され、当該遊技機で使用する遊技価値を記憶管理することが可能な端末装置と、各端末装置が記憶管理する遊技価値の情報を収集して集中的に管理する集中管理装置とを備えた遊技場用管理システムにおいて、 B 前記端末装置は、 貨幣を受付けて、その残高金額を記憶する残高金額記憶手段と、 C 前記残高金額の範囲内で、遊技に使用可能な遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、 D 遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値の大きさを特定する遊技価値特定手段と、 E 前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを記録することが可能な一般記録媒体を収納する一般記録媒体収納手段と、 F 前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録し、当該一般記録媒体を発行する一般記録媒体処理手段と、 G 前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者により装着された会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶し、当該会員記録媒体を遊技者へ返却する会員記録媒体処理手段と、 H 前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶する携帯端末処理手段と、 I 前記一般ID及び前記会員IDと対応付けて記憶された遊技価値を読出して、当該遊技価値を遊技に再度使用できるようにする遊技価値再遊技手段と、を備え、 J 前記遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出し、 K 当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できるように構成されるとともに、 L 前記会員記録媒体処理手段は、前記一般記録媒体が挿入されている状態で前記会員記録媒体が挿入されたときは、当該一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさを、当該会員記録媒体の会員IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさに合算して記憶するとともに、当該一般記録媒体を回収することが可能に構成されることを特徴とする遊技場用管理システム。」 3 原査定の概要 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1及び2に記載された発明に基いて、請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1乃至3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.特開2011-194077号公報 引用文献2.特開2006-6503号公報 引用文献3.特開2007-282663号公報 4 刊行物に記載された事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2011-194077号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 (1-a)「【0026】 図1に示すように、本発明に係る遊技システムでは、遊技客がパチンコ機ごとに設けられる各台計数機能付きの各台装置へ携帯端末をタッチすることで、各台装置で計数されたパチンコ玉の計数値(以下、「持玉数」と記載する)を携帯端末へ関連付ける(以下、「チャージ」と記載する)ことができる。 ・・・ 【0034】 図2は、本実施例に係る遊技システムが適用される遊技店内の構成図である。同図に示すように、遊技店に設置された管理装置20には、LAN(LocalAreaNetwork)等のネットワーク経由で、島コントローラ40と、島端計数機50と、精算機60と、景品管理装置70と、携帯端末処理機80とが接続されている。 【0035】 また、島コントローラ40の配下には、複数組の各台装置10およびパチンコ機30が接続されている。なお、同図には、2台の島コントローラ40のみを示しているが、管理装置20には所定数の島コントローラ40が接続されるものとする。また、各台装置10は、島コントローラ40と各パチンコ機30との間に介在し、一つの島コントローラ40に対して、所定数の各台装置10が接続されるものとする。 【0036】 管理装置20は、会員情報22a、カード情報22bおよび持玉情報22cを記憶部22に記憶しており、IDmまたはカードへ関連付けられた持玉に関する情報等を管理している。」 (1-b)「【0044】 図3に示すように、各台装置10は、通信I/F(インターフェース)11と、携帯読取部12と、表示操作部13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、携帯識別子取得部15aと、携帯ロック要求部15bと、持玉情報受信部15cと、チャージ要求部15dとをさらに備えており、記憶部14は、持玉情報14aとを記憶する。 ・・・ 【0050】 また、表示操作部13の操作部には、チャージ要求操作を受け付けるチャージボタンおよび持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行う持玉払出ボタン等を備えている。さらに、表示操作部13では、パチンコ玉の払出指示操作を受け付けるとともに、払出が行われたパチンコ玉の数が減算された持玉数の残数等を表示する。」 (1-c)「【0052】 図4に示すように、各台装置10は、各台装置10の装置状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部31と、パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部32とを備えている。 【0053】 また、各台装置10は、チャージ要求操作や持玉払出操作を受け付けたり、遊技客が所有する持玉数や残額を表示したりする表示操作部13を備えている。なお、表示操作部13での表示や操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイなどを用いることとしてもよいし、簡素な表示出力を行う7セグメントLEDなどを表示部品として用いることとしてもよい。 【0054】 また、各台装置10は、パチンコ玉を払い出すノズルを備えた持玉払出部34と、持玉数や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の受け付け、会員カードの返却、一般カードの発行を行うカードR/W部35とを備えている。なお、カードR/W部35の内部には、数枚の一般カードが収納されているものとする。 【0055】 さらに、各台装置10は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取る携帯読取部12を備えている。ここで、携帯読取部12と携帯端末との通信手段は特に限定する必要はなく、たとえば非接触ICチップを用いることとしてもよいし、赤外線通信を用いることとしてもよい。 【0056】 また、各台装置10は、獲得玉を計数する玉計数部36と、獲得玉を貯留する玉貯留部37とを備えており、同図に示すパチンコ機30の下皿38から獲得玉を玉貯留部37へ誘導し、玉計数部36で獲得玉の数量を計数する各台計数機能を有する。なお、遊技客の携帯端末のIDmへ関連付けられた持玉数がある場合には、玉計数部36で計数された計数値をかかる持玉数へ加算する。」 (1-d)「【0059】 また、パチンコ機30の上皿39には、各台装置10の制御部15と電気的に接続されている玉貸ボタンが設けられており、この玉貸ボタンが押下された場合は、紙幣挿入部32へ挿入された各種紙幣の残額あるいはカードR/W部35に挿入されたカードまたは携帯端末へ関連付けられた残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出する。」 (1-e)「【0064】 持玉情報受信部15cは、携帯ロック要求部15bが管理装置20へ送信したIDmへ関連付けられる持玉数や残額を管理装置20から受信して、記憶部14の持玉情報14aへ登録する処理を行う処理部である。」 (1-f)「【0066】 つぎに、管理装置20の構成について説明する。管理装置20は、通信I/F21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、携帯ロック処理部23aと、チャージ処理部23bと、ロック解除処理部23cとをさらに備えており、記憶部22は、会員情報22aと、カード情報22bと、持玉情報22cとを記憶する。 ・・・ 【0069】 また、記憶部22は、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶し、IDmへ関連付けて持玉数や残額を持玉情報22cとして記憶する。なお、会員情報22a、カード情報22bおよび持玉情報22cの詳細については後述することとする。」 (1-g)「【0079】 図5に示すように、会員情報22aは、「会員ID」項目と、「IDm」項目とを含んでいる。「会員ID」項目は、遊技店の会員を一意に識別することができる識別子である。「IDm」項目は、携帯会員が所有する携帯端末の識別子であり、会員IDへ関連付けられている。なお、会員IDとIDmとが同じであってもよい。 【0080】 また、会員カードを所有する会員の場合は、会員IDへ関連付けて会員カードの識別子であるカードIDを記憶することとしてもよいし、会員IDとカードIDとが同じであってもよい。」 (1-h)「【0084】 図6に示すように、カード情報22bは、各台装置10の識別子である「台番号」項目と、台番号へ関連付けられて「カードID」項目と、「IDm」項目と、「携帯端末ロック」項目と、「持玉数」項目と、「残額」項目とを含んでいる。 【0085】 「カードID」項目は、台番号に対応するカードIDであり、「IDm」項目は、ロック携帯端末として登録されるIDmであり、ロック携帯端末として登録された際に、「携帯端末ロック」項目を「あり」とする。「持玉数」項目および「残額」項目は、台番号に対応する各台装置10へ関連付けられている持玉数および残額である。 ・・・ 【0087】 したがって、「カードID」項目は、各台装置10へセットされている一般カードのカードIDとなる。また、各台装置10へ会員カードが挿入されている場合には、会員カードのカードIDとなる。 ・・・ 【0089】 また、図6の2行目には、台番号002の各台装置10にセットされたカードID0021の一般カードへ持玉数3000玉、残額5000円が関連付けられていることを示す。」 (1-i)「【0094】 なお、持玉数および残額を「IDm」項目へ関連付けることとしたが、会員カードを所有する会員によってチャージ要求された場合には、会員カードのカードIDへ関連付けることとしてもよい。 ・・・ 【0096】 まず、図8に示すように、各台装置10に備える携帯読取部12では、遊技客の所有する携帯端末がタッチされたことによって、携帯端末を受け付けたならば(ステップS101)、かかる携帯端末のIDmを読み取る(ステップS102)。」 (1-j)「【0112】 なお、上述した実施例では、チャージボタン押下によるチャージ要求操作によって携帯端末へ持玉数および残額を関連付けてチャージすることとした。しかし、各台装置10では、カード返却ボタン押下によって持玉数および残額を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ関連付けて排出してもよい。この場合、管理装置20が一般カードのカードIDとともに持玉数および残額を持玉情報22cへ登録してもよいし、また、各台装置10が排出する一般カードへ持玉数および残額を関連付けてもよい。」 (1-k)「【図面の簡単な説明】 【0023】 ・・・【図4】図4は、各台装置の外観図である。」との記載を参酌すると、図4には、各台装置10が各パチンコ機に隣接する位置に設けられていることが図示されている。 以上の記載事項から、以下の認定をすることができる。 (a)上記【0026】には「パチンコ機ごとに設けられる各台計数機能付きの各台装置」と記載され、上記図4には、「各台装置10が各パチンコ機に隣接する位置に設けられている」ことが図示され、上記【0034】?【0035】には「遊技システム」において「管理装置20には・・・島コントローラ40・・・が接続され」、「島コントローラ40の配下には、複数組の各台装置10・・・が接続されている」と記載されており、「各台装置10は、島コントローラ40と各パチンコ機30との間に介在」するとも記載されている。 つまり、各台装置10が、パチンコ機ごとに隣接する位置に設けられ、管理装置20と接続する島コントローラ40と各パチンコ機30との間に介在していることが記載されている。 また、上記【0044】には「各台装置10は・・・記憶部14・・・を備えて」おり、「記憶部14は、持玉情報14a・・・を記憶する」と記載されており、上記【0064】には、「持玉数や残額を管理装置20から受信して、記憶部14の持玉情報14aへ登録する」と記載されている。 これらの記載によれば、各台装置10は持玉数を記憶しており、また、管理装置から受信した持玉数を登録していることから、持玉数を管理しているともいえる。 つまり、各台装置10は、持玉数を記憶管理することが可能であることが記載されている。 そして、上記【0066】には「管理装置20は・・・記憶部22・・・を備えている」と記載されており、上記【0069】には「記憶部22は、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶し」と記載されており、上記【0035】?【0036】には「管理装置20には所定数の島コントローラ40が接続され・・・一つの島コントローラ40に対して、所定数の各台装置10が接続され・・・管理装置20は・・・IDmまたはカードへ関連付けられた持玉に関する情報等を管理している。」と記載されている。 つまり、管理装置20は、複数台の各台装置と接続され、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶していること、および、IDmまたはカードへ関連付けられた持玉に関する情報等を管理していることが記載されている。 そして、管理装置20は、IDmまたはカードへ関連付けられた持玉に関する情報等を管理しており、持玉に関する情報等は、台毎にカード情報22bとしても記憶されているのであるから、カード情報22bとして記憶される台番号へ関連付けられた持玉数や残額に関する情報も、管理装置20によって管理されている。 そうすると、刊行物1には、各パチンコ機30ごとに隣接する位置に設けられ、島コントローラ40を介して管理装置20と接続する、持玉数を記憶管理することが可能な各台装置10と、複数台の各台装置10と接続され、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶部22に記憶し、持玉に関する情報等を管理する管理装置20を備えた遊技システムが記載されているといえる。 (b)上記【0052】には「各台装置10は・・・パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部32・・・を備えている」と記載されており、【0053】には「各台装置10は・・・遊技客が所有する持玉数や残額を表示したりする表示操作部13を備えている」と記載されているので、 刊行物1には、各台装置10は、各種紙幣を受け付けて、その残高金額を表示する表示操作部13を備えていることが記載されているといえる。 (c)上記【0059】には、「各台装置10の制御部15・・・紙幣挿入部32へ挿入された各種紙幣の残額・・・から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出する」と記載されているので、 刊行物1には、各台装置10の制御部15は、挿入された各種紙幣の残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出させることが記載されているといえる。 (d)上記【0056】には、「各台装置10は、獲得玉を計数する玉計数部36・・・を備え・・・玉計数部36で計数された計数値を・・・持玉数へ加算する」と記載されているので、 刊行物1には、各台装置10の玉計数部36は、獲得玉を計数し、計数された計数値を持玉数へ加算することが記載されているといえる。 (e)上記【0054】には、「各台装置10は・・・持玉数や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の受け付け、会員カードの返却、一般カードの発行を行うカードR/W部35とを備え・・・カードR/W部35の内部には、数枚の一般カードが収納されている」と記載されている。つまり、各台装置10は一般カードを収納するカードR/W部35を備えている。 また、上記(d)の認定のとおり、各台装置10は「獲得玉を計数し、計数された計数値」を「持玉数へ加算」しているので、持玉数は獲得玉の計数値を含む。 そして、上記【0112】には、「各台装置10では、カード返却ボタン押下によって持玉数および残額を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ関連付けて排出してもよい。この場合、管理装置20が一般カードのカードIDとともに持玉数および残額を持玉情報22cへ登録してもよいし、また、各台装置10が排出する一般カードへ持玉数および残額を関連付けてもよい。」と記載されている。このうち、「一般カードへ持玉数および残額を関連付け」るとは、管理装置20への登録と対比的に記載されていることから、一般カード自体に持玉数および残額等を記録するとの意味であることが明らかである。 したがって、刊行物1には、各台装置10は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を記録することが可能な一般カードを収納するカードR/W部35を備えることが記載されているといえる。 (f)上記【0084】?【0085】には、「カード情報22bは、各台装置10の識別子である「台番号」項目と、台番号へ関連付けられて「カードID」項目と、「IDm」項目と、「携帯端末ロック」項目と、「持玉数」項目と、「残額」項目とを含・・・「カードID」項目は、台番号に対応するカードIDであり、「IDm」項目は、ロック携帯端末として登録されるIDm・・・「持玉数」項目および「残額」項目は、台番号に対応する各台装置10へ関連付けられている持玉数および残額である」と記載されている。 また、上記【0087】には、「「カードID」項目は、各台装置10へセットされている一般カードのカードIDとなる」と記載されており、上記(a)の認定のとおり、管理装置20はカード情報22bを記憶部22に記憶しているので、管理装置20は、台番号と一般カードのカードID、持玉数を関連づけて記憶している。 そして、上記【0054】には「一般カードの発行を行うカードR/W部35とを備え」と記載されているので、刊行物1には、管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、一般カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶し、各台装置10のカードR/W部35は当該カードIDの一般カードを発行することが記載されているといえる。 (g)上記(f)の認定に加え、【0087】には、「「カードID」項目は、・・・各台装置10へ会員カードが挿入されている場合には、会員カードのカードIDとなる」とも記載されており、【0054】には「会員カードの返却・・・を行うカードR/W部35とを備え」と記載されているので、刊行物1には、管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、挿入された会員カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶し、各台装置10のカードR/W部35は会員カードを返却することが記載されているといえる。 (h)上記【0055】には「各台装置10は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取る携帯読取部12を備えている」、上記【0069】には「記憶部22は、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶し、IDmへ関連付けて持玉数や残額を持玉情報22cとして記憶する」と記載されており、上記(a)の認定のとおり、管理装置20はカード情報22bを記憶部22に記憶している。 そして、上記【0079】には「「IDm」項目は、携帯会員が所有する携帯端末の識別子であり、会員IDへ関連付けられている」、【0080】には「会員IDとカードIDとが同じであってもよい」と記載されており、【0056】には「獲得玉を計数する玉計数部・・・遊技客の携帯端末のIDmへ関連付けられた持玉数がある場合には、玉計数部36で計数された計数値を・・・持玉数へ加算する」と記載されている。 さらに、【0094】には、「持玉数および残額を「IDm」項目へ関連付けることとしたが・・・会員カードのカードIDへ関連付けることとしてもよい」と記載されているので、 刊行物1には、各台装置10の携帯読取部12は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取り、管理装置20の記憶部22は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を、当該IDmに関連付けられた会員IDと関連付けて記憶することが記載されているといえる。 (i)上記【0044】?【0050】には、「各台装置10は・・・表示操作部13・・・を備え」「表示操作部13の操作部には・・・持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行う」と記載されており、上記(f)(g)の認定のとおり、一般カードのカードID又は会員カードのカードIDと遊技客が遊技中に獲得した持玉数は関連付けされて管理装置20の記憶部22に記憶されており、上記【0064】には「管理装置20へ送信したIDmへ関連付けられる持玉数や残額を管理装置20から受信して、記憶部14の持玉情報14aへ登録する」と記載され、上記【0090】には、「持玉数および残額を「IDm」項目へ関連付けることとしたが・・・会員カードのカードIDへ関連付けることとしてもよい」と記載されているから、 刊行物1には、管理装置20の記憶部22は、一般カードのカードID及び会員カードのカードIDと関連付けて各台の持玉数を記憶しており、各台装置10の表示操作部13は、管理装置20に記憶された持玉数を受信して、受信した持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行うことが記載されているといえる。 (j)上記【0096】には、「各台装置10に備える携帯読取部12では、遊技客の所有する携帯端末がタッチされたことによって、携帯端末を受け付けたならば(ステップS101)、かかる携帯端末のIDmを読み取る」と記載されており、上記【0064】には「管理装置20へ送信したIDmへ関連付けられる持玉数や残額を管理装置20から受信して、記憶部14の持玉情報14aへ登録する」と記載されており、上記(h)の認定のとおり、持玉数は会員IDへ予め関連付けられたIDmに関連付けて記憶されているのだから、 刊行物1には、各台装置10の携帯読取部12は、遊技客の所有する携帯端末の携帯端末のIDmを読み取った時は、会員IDへ予め関連付けられたIDmに関連して記憶された持玉数を読み出すことが記載されているといえる。 (k)上記【0112】には、「各台装置10では、カード返却ボタン押下によって持玉数および残額を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ関連付けて排出してもよい・・・各台装置10が排出する一般カードへ持玉数および残額を関連付けてもよい。」と記載されており、上記【0054】には「持玉数や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の受け付け」と記載されており、上記【0089】には、「台番号002の各台装置10にセットされたカードID0021の一般カードへ持玉数3000玉・・・が関連付けられている」と記載され、上記【0050】には「持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行う・・・パチンコ玉の払出指示操作を受け付け・・・払出が行われ」と記載され、上記(e)で認定したとおり、「一般カードへ持玉数および残額を関連付け」るとは、「一般カード自体に持玉数および残額等を記録する」との意味であることが明らかであるから、 刊行物1には、持玉数を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ記録して排出すること、及び、一般カードに記録された持玉数をパチンコ玉の払出に用いることができることが記載されているといえる。 (l’)上記【0034】には「遊技システム」と記載されているから、刊行物1には、遊技システムが記載されている。 以上の検討から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明1」という。a?l’は引用発明を分説するため当審で付した。)。 「a 各パチンコ機30ごとに隣接する位置に設けられ、島コントローラ40を介して管理装置20と接続する、持玉数を記憶管理することが可能な各台装置10と、複数台の各台装置10と接続され、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶部22に記憶し、持玉に関する情報等を管理する管理装置20を備えた遊技システムにおいて、 b 各台装置10は、 各種紙幣を受け付けて、その残高金額を表示する表示操作部13を備え、 c 各台装置10の制御部15は、挿入された各種紙幣の残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出させ、 d 各台装置10の玉計数部36は、獲得玉を計数し、計数された計数値を持玉数へ加算し、 e 各台装置10は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を記録することが可能な一般カードを収納するカードR/W部35を備え、 f 管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、一般カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶し、各台装置10のカードR/W部35は当該カードIDの一般カードを発行し、 g 管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、挿入された会員カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶し、各台装置10のカードR/W部35は会員カードを返却し、 h 各台装置10の携帯読取部12は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取り、管理装置20の記憶部22は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を、当該IDmに関連付けられた会員IDと関連付けて記憶し、 i 管理装置20の記憶部22は、一般カードのカードID及び会員カードのカードIDと関連付けて各台の持玉数を記憶しており、各台装置10の表示操作部13は、管理装置20に記憶された持玉数を受信して、受信した持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行い、 j 各台装置10の携帯読取部12は、遊技客の所有する携帯端末の携帯端末のIDmを読み取った時は、会員IDへ予め関連付けられたIDmに関連して記憶された持玉数を読み出し、 k 持玉数を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ記録して排出し、一般カードに記録された持玉数をパチンコ玉の払出に用いることができるように構成された、 l’遊技システム」 (2)原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2006-6503号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 (2-a)「【0040】 本発明に係わるカード管理およびカード管理システム」 (2-b)「【0116】 図1は、遊技設備機器10に会員カードまたはビジターカードが新たに挿入されたときの動作を示している。会員カードが挿入されたときは(ステップS401;Y)、暗証番号の入力を求める(ステップS402)。操作部15から入力された暗証番号と、挿入された会員カードから読み取った会員番号とを管理装置100に送信し、この会員カードの持ち主の認証処理を管理装置100に要求する(ステップS403)。 【0117】 管理装置100は、遊技設備機器10から受信した会員番号で会員情報データベース121を検索し、この会員番号に対応付けて会員情報データベース121に登録されている暗証番号と遊技設備機器10から受信した暗証番号とを照合し、一致する場合は認証成功を、不一致の場合は認証失敗を、認証結果として遊技設備機器10に返信する。 【0118】 遊技設備機器10は、認証失敗の場合には(ステップS404;N)会員カードを返却して(ステップS405)処理を終了する(エンド)。認証成功の場合は(ステップS404;Y)、現時点で当該遊技設備機器10の第1のリードライト装置40にビジターカードがセットされているか否かを調べ、セットされていなければ(ステップS406;N)処理を終了する(エンド)。以後は、会員カードの残高等を利用することができる。 【0119】 ビジターカードがセットされている場合は(ステップS406;Y)、このビジターカードに対応付けられている残高を会員カードに集約する(ステップS410)。その後、ビジターカードの残高をゼロにし、このビジターカードをカード収容部41に回収して(ステップS411)処理を終了する(エンド)。 【0120】 詳細には、遊技設備機器10は、ビジターカードから読み出したカードIDと、発券番号と、残高と、会員カードから読み出した会員番号と、当該遊技設備機器10の機械番号と、集約要求とを管理装置100に送信する。これを受けた管理装置100は、ビジターカードデータベース122を検索して該当するカードIDのビジターカードの存在および残高を照合・確認し、この照合・確認された残高と、先の会員番号に対応付けて会員情報データベース121に登録されている残高とを合計する。そして、この会員番号に対応付けて会員情報データベース121に登録されている残高をこの合計残高に書き換える。また、先のカードIDに対応付けてビジターカードデータベース122に登録されている残高をゼロに書き換える。その後、管理装置100は、先の合計残高を、集約要求の送信元の遊技設備機器10に送信し、これを受けた遊技設備機器10は会員カードの残高を受信した合計残高に書き換える。また、ビジターカードの残高をゼロに書き換え、このビジターカードをカード収容部41に回収する。」 以上の記載事項から、以下の認定をすることができる。 (l)上記【0116】?【0120】には、「遊技設備機器10に会員カード・・・が新たに挿入されたとき、ビジターカードがセットされているか否かを調べ、ビジターカードがセットされている場合は・・・管理装置100は、ビジターカードデータベース122を検索して該当するカードIDのビジターカードの存在および残高を照合・確認し、この照合・確認された残高と、先の会員番号に対応付けて会員情報データベース121に登録されている残高とを合計する。そして、この会員番号に対応付けて会員情報データベース121に登録されている残高をこの合計残高に書き換える・・・ビジターカードをカード収容部41に回収する」と記載されており、上記【0040】には、「カード管理システム」と記載されているから、 刊行物2には、「遊技設備機器10は、ビジターカードがセットされている場合に、新たに会員カードが挿入されたときは、ビジターカードに該当するカードIDの残高と、会員カードの会員番号とに対応付けて登録されている残高を合計して記憶し、ビジターカードをカード収容部41に回収するカード管理システム」が記載されているといえる。 以上の検討から、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下、「刊行物2記載事項」という。lは引用発明を分説するため当審で付した。)。 「l 遊技設備機器10は、ビジターカードがセットされている場合に、新たに会員カードが挿入されたときは、ビジターカードに該当するカードIDの残高と、会員カードの会員番号とに対応付けて登録されている残高を合計して記憶し、ビジターカードをカード収容部41に回収するカード管理システム。」 5 対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 (a)引用発明1の「各パチンコ機30ごとに隣接する位置」は、本願発明の「各遊技機と対応する位置」に相当し、引用発明1の「持玉数」、「各台装置10」は、本願発明の「遊技機で使用する遊技価値」、「端末装置」に相当する。 そして、引用発明1の「管理装置20」は、各台の台番号へ関連づけて持玉数や残額を記憶しているのだから、各台装置10が記憶管理する持玉数の情報を収集しており、また、管理装置20は、複数の各台装置10と接続されているので、各台装置10が記憶管理する持玉数の情報を集中的に管理しているといえる。 よって、引用発明1の「各パチンコ機30ごとに隣接する位置に設けられ、島コントローラ40を介して管理装置20と接続する、持玉数を記憶管理することが可能な各台装置10と、複数台の各台装置10と接続され、台番号へ関連付けて持玉数や残額をカード情報22bとして記憶部22に記憶し、持玉に関する情報等を管理する管理装置20を備えた遊技システム」は、本願発明の「各遊技機と対応する位置に設置され、当該遊技機で使用する遊技価値を記憶管理することが可能な端末装置と、各端末装置が記憶管理する遊技価値の情報を収集して集中的に管理する集中管理装置とを備えた遊技場用管理システム」に相当する。 (b)引用発明1において「各種紙幣を受け付けて、その残高金額を表示」している以上、その残高金額は各台装置10によって記憶されており、各台装置10はそのための記憶手段を備えることが明らかであるため、引用発明1の「各台装置10は、各種紙幣を受け付けて、その残高金額を表示する表示操作部13」のための記憶手段を備えることは、本願発明の「前記端末装置は、貨幣を受付けて、その残高金額を記憶する残高金額記憶手段」を備えることに相当する。 (c)引用発明1の「パチンコ玉」及び「パチンコ機30から投出させ」ることは、それぞれ本願発明の「遊技に使用可能な遊技価値」及び「遊技者に付与する」ことに相当する。 よって、引用発明1の「挿入された各種紙幣の残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出させ」ることは、本願発明の「前記残高金額の範囲内で、遊技に使用可能な遊技価値を遊技者に付与する」ことに相当するので、引用発明1の「挿入された各種紙幣の残額から所定額を減算し、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機30から投出させ」る「各台装置10の制御部15」は、本願発明の「前記残高金額の範囲内で、遊技に使用可能な遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段」に相当する。 (d)引用発明1の「獲得玉」は、本願発明の「遊技により遊技者が獲得した遊技価値」に相当し、引用発明1の「計数された計数値」は、本願発明の「遊技者が獲得した遊技価値の大きさ」に相当しており、「計数値」の「持玉数」への「加算」は、その前提として、計数値を特定しているのであるから、引用発明1の「獲得玉を計数し、計数された計数値を持玉数へ加算」する「各台装置10の玉計数部36」は、本願発明の「遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値の大きさを特定する遊技価値特定手段」に相当する。 (e)引用発明1の「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」は、本願発明の「遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値」に相当し、引用発明1の「一般カード」は、本願発明の「一般記録媒体」に相当する。 よって、引用発明1の「各台装置10は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を記録することが可能な一般カードを収納するカードR/W部35」は、本願発明の「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを記録することが可能な一般記録媒体を収納する一般記録媒体収納手段」に相当する。 (f)上記(e)において認定したように、引用発明1の「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」は、本願発明の「遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値」に相当し、引用発明1の「一般カード」は、本願発明の「一般記録媒体」に相当する。 また、引用発明1の「当該カードIDの一般カードを発行」することは、本願発明の「当該一般記録媒体を発行」することに相当する。 そして、引用発明1の「管理装置20の記憶部22」に「各台装置10の台番号と、一般カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」するためには、「各台装置10」の「一般カードのカードID」が変更された場合に、変更された「一般カードのカードID」と「各台装置10の台番号」や「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」が関連付けて記憶されなければならず、これは、各台装置10の一般カードのカードIDの変更に起因して、管理装置20の記憶部22が新たな情報を記憶しているのであるから、引用発明1の各台装置10は、管理装置20の記憶部22に対して、「各台装置10の台番号と、一般カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」させているといえる。 一方で、本願発明における(端末装置が)「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録」について、本願発明における端末装置は、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、何に対して記録しているのか特定されていない。また、発明の詳細な説明の【0013】では「管理装置5がカード10,11に対応して予め記憶している遊技価値と照合し」、【0052】では「カードIDに基づいて管理装置5が記憶している持玉数を特定するようにしてもよい」と記載されているように、発明の詳細な説明において「遊技価値の大きさ」が「前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録」されるのは管理装置5である。つまり、端末装置における「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録し」という構成における、「端末装置が・・・記録し」は、端末装置内のみならず、端末装置が、管理装置を含む端末装置外の媒体に記録することを含むといえる。 よって、引用発明1の「管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、一般カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」することは、本願発明において、端末装置が「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録」することに相当する。 してみれば、引用発明1の各台装置10は、本願発明の「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録し、当該一般記録媒体を発行する一般記録媒体処理手段」に相当する手段を備えているといえる。 (g)上記(e)において認定したように、引用発明1の「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」は、本願発明の「遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値」に相当する。 また、引用発明1の「会員カード」は、本願発明の「会員記録媒体」に相当し、引用発明1の「挿入された会員カード」及び「当該カードIDの会員カードを返却」することは、会員カードを挿入したり、会員カードが返却される対象が会員である遊技者であることは明らかであるため、それぞれ、本願発明の「遊技者により装着された会員記録媒体」及び「当該会員記録媒体を遊技者に返却」することに相当する。 そして、引用発明1の「管理装置20の記憶部22」に「各台装置10の台番号と、挿入された会員カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」するためには、「各台装置10」に挿入された「会員カードのカードID」が変更された場合に、変更された「会員カードのカードID」と「各台装置10の台番号」や「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」が関連付けて記憶されなければならず、これは、各台装置10の、挿入された会員カードのカードIDの変更に起因して、管理装置20の記憶部22が新たな情報を記憶しているのであるから、引用発明1の各台装置10は、管理装置20の記憶部22に対して、「各台装置10の台番号と、挿入された会員カードのカードIDと遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」させているといえる。 一方で、本願発明における(端末装置が)「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶」について、本願発明における端末装置は、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、何に対して記憶をしているのか特定されていない。また、本願の発明の詳細な説明において、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶しているのは管理装置5である。つまり、端末装置における「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶し」という構成における、「端末装置が・・・記憶し」は、端末装置内のみならず、端末装置が、管理装置を含む端末装置外の媒体に記憶することを含むといえる。 よって、引用発明1の「管理装置20の記憶部22は、各台装置10の台番号と、会員カードのカードIDと、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を関連づけして記憶」することは、本願発明において、端末装置が「前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記会員記録媒体の会員IDと対応付けて記録」することに相当する。 してみれば、引用発明1の各台装置10は、本願発明の「前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者により装着された会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶し、当該会員記録媒体を遊技者へ返却する会員記録媒体処理手段」に相当する手段を備えているといえる。 (h)上記(g)において認定したように、引用発明1の「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」は、本願発明の「遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値」に相当し、引用発明1の「会員カード」は、本願発明の「会員記録媒体」に相当する。 また、引用発明1の「携帯端末の識別子であるIDm」は、本願発明の「遊技者が所有する携帯端末装置の携帯ID」に相当する。 そして、引用発明1の「管理装置20の記憶部22」に「遊技客が遊技中に獲得した持玉数を、当該IDmに関連付けられた会員IDと関連付けて記憶」するためには、「各台装置10」により読み取られた「携帯端末の識別子であるIDm」が変更された場合に、変更された「携帯端末の識別子であるIDm」と「会員ID」と「遊技客が遊技中に獲得した持玉数」が関連付けて記憶されなければならず、これは、各台装置10の携帯読取部12によって読み取られた携帯端末の識別子であるIDmの変更に起因して、管理装置20の記憶部22が新たな情報を記憶しているのであるから、引用発明1の各台装置10は、管理装置20の記憶部22に対して、「遊技客が遊技中に獲得した持玉数を、当該IDmに関連付けられた会員IDと関連付けて記憶」させているといえる。 一方で、本願発明における(端末装置が)「前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶」について、本願発明における端末装置は、読取った携帯IDを何に対して記憶しているのか特定されていない。また、本願の発明の詳細な説明において、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、会員IDと対応付けて記憶しているのは管理装置5である。つまり、端末装置における「前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶し」という構成における、「端末装置が・・・記憶し」は、端末装置内のみならず、端末装置が、管理装置を含む端末装置外の媒体に記憶することを含むといえる。 よって、引用発明1の「管理装置20の記憶部22は、遊技客が遊技中に獲得した持玉数を、当該IDmに関連付けられた会員IDと関連付けて記憶」することは、本願発明において、端末装置が「前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶」することに相当する。 してみれば、引用発明1の各台装置10は、本願発明の「前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶する携帯端末処理手段」に相当する手段を備えているといえる。 (i)引用発明1においては、「管理装置20の記憶部22は、一般カードのカードID及び会員カードのカードIDと関連付けて各台の持玉数を記憶して」おり、「各台装置10は、管理装置20の記憶部22に記憶された持玉数によってパチンコ玉の払出指示を行」うので、各台装置10は、管理装置20の記憶部22から持玉数を読出して、これによって払出し指示を行っていることは明らかである。このため、引用発明1の各台装置10は、本願発明の「前記一般ID及び前記会員IDと対応付けて記憶された遊技価値を読出して、当該遊技価値を遊技に再度使用できるようにする遊技価値再遊技手段」に相当する手段を備えているといえる。 (j)引用発明1の「各台装置10は、遊技客の所有する携帯端末の携帯端末のIDmを読み取った時は、会員IDへ予め関連付けられたIDmに関連して記憶された持玉数を読み出」すことは、本願発明の「前記遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出」すことに相当する。 (k)引用発明1の(上記(j)で読出した)「持玉数を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ記録」することは、本願発明の「当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録」することに相当し、引用発明1の「パチンコ玉の払出に用いることができる」ことは、本願発明の「遊技に再度使用できる」ようにすることに相当する。 よって、引用発明1の「持玉数を、カードR/W部35の内部に収納されている一般カードへ記録して排出し、一般カードに記録された持玉数をパチンコ玉の払出に用いることができる」ことは、本願発明の「当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できる」ことに相当する。 (l’)引用発明1の「遊技システム」は本願発明の「遊技場用管理システム」に相当する。 上記(a)?(l’)の検討により、本願発明と引用発明1とは、 「【請求項1】 A 各遊技機と対応する位置に設置され、当該遊技機で使用する遊技価値を記憶管理することが可能な端末装置と、各端末装置が記憶管理する遊技価値の情報を収集して集中的に管理する集中管理装置とを備えた遊技場用管理システムにおいて、 B 前記端末装置は、 貨幣を受付けて、その残高金額を記憶する残高金額記憶手段と、 C 前記残高金額の範囲内で、遊技に使用可能な遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、 D 遊技機での遊技により遊技者が獲得した遊技価値の大きさを特定する遊技価値特定手段と、 E 前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを記録することが可能な一般記録媒体を収納する一般記録媒体収納手段と、を備え、 F 前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを、前記一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録し、当該一般記録媒体を発行する一般記録媒体処理手段と、 G 前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者により装着された会員記録媒体の会員IDと対応付けて記憶し、当該会員記録媒体を遊技者へ返却する会員記録媒体処理手段と、 H 前記遊技価値特定手段が特定した遊技価値の大きさを、遊技者が所有する携帯端末装置の携帯IDを読取り、当該携帯IDと予め関連付けられた前記会員IDと対応付けて記憶する携帯端末処理手段と、 I 前記一般ID及び前記会員IDと対応付けて記憶された遊技価値を読出して、当該遊技価値を遊技に再度使用できるようにする遊技価値再遊技手段と、を備え、 J 前記遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出し、 K 当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できるように構成される L’遊技場用管理システム。」である点で一致し、以下の相違点で相違する。 [相違点](構成L) 本願発明は、「前記会員記録媒体処理手段は、前記一般記録媒体が挿入されている状態で前記会員記録媒体が挿入されたときは、当該一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさを、当該会員記録媒体の会員IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさに合算して記憶するとともに、当該一般記録媒体を回収することが可能に構成される」ものであるのに対し、引用発明1のカードR/W部35では、このような特定はされていない点。 6 判断 ア [相違点]について、 刊行物2記載事項における「ビジターカード」、「ビジターカード」の「カードID」、「会員カード」、「会員カード」の「会員番号」及び「遊技価値の大きさ」は、本願発明における「一般記録媒体」、「一般ID」、「会員記録媒体」、「会員ID」及び「残高」に相当する。 そうすると、刊行物2には、本願発明の「前記会員記録媒体処理手段は、前記一般記録媒体が挿入されている状態で前記会員記録媒体が挿入されたときは、当該一般記録媒体の一般IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさを、当該会員記録媒体の会員IDと対応付けて記録されている遊技価値の大きさに合算して記憶するとともに、当該一般記録媒体を回収することが可能に構成される」という構成に相当する事項が記載されているといえる。 そして、引用発明1と刊行物2に記載される技術は、共に会員カードと会員カードではないカード(一般カード又はビジターカード)によって、投入した現金から遊技に利用した分を差し引いた金額(残額又は残高)や会員が預けている遊技価値(持玉・貯玉)を管理し、遊技者に再度の利用を可能とする遊技店用のシステムであることで共通することから、引用発明1のカードR/W部35に刊行物2記載事項を適用し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 本願発明が奏する効果について 上記相違点によって本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明1及び刊行物2記載事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 7 請求人の主張 請求人は、審判請求書において、「要するに、引用文献1には、本願発明における「遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出し、遊技に再度使用できるように構成される」に相当する構成が記載されているに過ぎず、本願発明の特徴的構成である「遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出し、当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できるように構成される」に相当する構成は何ら記載も示唆もされていません。」「従いまして、引用文献1記載の発明は、本願の段落0004に記載されている通りの「携帯端末装置のID情報を基に読出した遊技価値(持玉・貯玉)を遊技に再使用する際は、遊技価値記録用の記録媒体が何も遊技用装置へ装着されておらず、記録媒体に記録されていない不安定な状態になってしまうという問題」そのものを有しており、まさに本願の従来技術に相当するものであるといえます。 」と主張する。 しかしながら、引用発明1について、例えば携帯IDを読取ってすぐにカード返却ボタン押下した際には「読出した遊技価値」が「一般記録媒体と対応付けて記録」される。そして、当該一般記録媒体を利用することは、携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されていた遊技価値を遊技に再度使用できるようにしたことを意味するので、上記「5 対比(j)(k)」において検討したとおり引用発明1は、本願発明の「遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出」すこと及び「当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できるように構成される」という構成に相当する構成を備えたものとなっている。 具体的には、引用発明1においては、携帯端末を各台装置10にタッチすると、各台装置は携帯端末のIDmを読み取って管理装置20に当該IDmと台番号を送り、管理装置からは持玉数や残額の情報が各台装置に読み出される。その状態で遊技を行わずに、チャージではなく返却ボタンを押すと、読み出した持玉数はそのまま一般カードに関連づけられて、一般カードが排出される。この一般カードを用いてパチンコ玉の払出が出来ることは明らかであり、この携帯端末のタッチから一般カードでのパチンコ玉の払出までの一連の動作は、「前記遊技価値再遊技手段は、前記携帯端末装置の携帯IDを読取ったときは、当該携帯IDと関連付けられた会員IDと対応付けて記憶されている遊技価値を読出し、 当該読出した遊技価値を前記一般記録媒体収納手段が収納している一般記録媒体と対応付けて記録した上で、遊技に再度使用できる」 に該当するものである。 したがって、この点において本願発明と引用発明1は何ら相違しないため、請求人の主張は採用できない。 8 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-06-20 |
結審通知日 | 2018-06-26 |
審決日 | 2018-08-09 |
出願番号 | 特願2016-102572(P2016-102572) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 澤田 真治 |
特許庁審判長 |
安久 司郎 |
特許庁審判官 |
樋口 宗彦 井海田 隆 |
発明の名称 | 遊技場用管理システム |
代理人 | 特許業務法人 サトー国際特許事務所 |