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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G |
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管理番号 | 1344548 |
審判番号 | 不服2017-14059 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-22 |
確定日 | 2018-09-27 |
事件の表示 | 特願2013-241275「トナーカートリッジ用梱包箱」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 4日出願公開、特開2015-102604〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成25年11月21日の出願であって、平成29年6月9日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月17日付けで拒絶査定がされ(送達日 同月22日)、これに対し同年9月22日付けで拒絶査定不服審判請求及びこれと同時にする手続補正がされ、さらに、当審において平成30年4月24日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年6月22日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.本願の発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、上記の平成30年6月22日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 トナーカートリッジを収容する直方体形状の梱包箱であって、 矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁および第4側壁により四角筒状に構成された筒状本体部であって、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、 前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底部と、 前記筒状本体部の開放された他端を塞ぐ矩形状の天部と、を有し、 前記筒状本体部の前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁には、前記梱包箱を開封するための、前記第1側壁の、前記第4側壁と連接する辺部から、前記第3側壁の、前記第4側壁と連接する辺部まで連続的に切断可能なミシン目であって、前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁にわたって連なって形成され、切断されることで前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁の各側壁をそれぞれ二分するためのミシン目が形成されており、 前記ミシン目は、前記各側壁の長手方向と平行に設けられていることを特徴とする梱包箱。」 3.当審で指摘した拒絶理由の概要 当審において平成30年4月24日付けで通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という)のうち、本願発明に関する部分の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1 ・引用文献 1及び2 <引用文献等一覧> 1.特開2010-76794号公報 2.特開平7-76340号公報 4.引用例 (1)引用例1 当審拒絶理由に引用文献として引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-76794号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。 ア.「【0014】 以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明に係る梱包材の一例を示す斜視図である。この例では、梱包材1は、略長方形に形成された茶段ボールの箱であって、黄色のトナーが封入されているトナーコンテナ2(物品)を梱包するために用いられる。」 イ.「【0018】 梱包材1は、トナーコンテナ2を梱包するための本体である梱包部11と、梱包部11の表面に印刷される表示部10とからなる。表示部10は、梱包部11の天面と底面を除く側面の略中央部に設けられ、名称や色等のトナーコンテナ2に関する表示が印刷される。」 ウ.図1には、以下の図面が示されている。 【図1】 エ.上記イ.から、梱包材1は、天面と底面を有するといえ、この点を踏まえると、上記ウ.の図1からは、「梱包材1が直方体である」点、「梱包材1の矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁により四角筒状に構成され、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底面と、開放された他端を塞ぐ矩形状の天面とを有する」点、及び、「第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁は上下辺に沿った方向が長手方向である」点を看取することができる。 上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「略長方形に形成された茶段ボールの箱であって、黄色のトナーが封入されているトナーコンテナ2を梱包するために用いられ、 直方体であり、 矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁により四角筒状に構成され、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底面と、前記筒状本体部の開放された他端を塞ぐ矩形状の天面とを有し、 第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁は上下辺に沿った方向が長手方向である 梱包材1。」 (2)引用例2 当審拒絶理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平7-76340号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0009】これらの図から明らかなように、図1、図2において、符号1は紙容器であって、紙容器1の胴体のまわりにある4つの面のうち、3つの面又は4つの面の内面にカットテープ4を配置している。 紙容器1の内側には、カットテープ4よりも高く位置し、かつ、紙容器1の最上面と等しいか又は最上面よりも低い位置に、内枠2を密着して構成している。 内枠2は、図3ないし図5に見られるように、カットテープ4を3つの面にわたって引き剥すことによって、紙容器蓋部1aと紙容器本体部1bが連結部1cで1体となって形成したとき、内枠2の上部が紙容器本体部1bの上部に現れることによって、内枠2が紙容器蓋部1aと紙容器本体部1bとがずれることがないように拘束している。 【0010】カットテープ4を配置している面には、カットテープ4に沿ってカットテープ4とほぼ同じ幅で上下2段のミシン目を、連結部1cを除く3つの面に入れるとカットテープ4を引き剥すのに容易である。 但し、紙容器1の紙の厚さによっては必ずしも必要ではない。その際、図1、図2に見られるように、カットテープ4を引き剥そうとする3つの面の端末部に、開封口7を2箇所設けるとカットテープ4を引き剥すのが容易である。 この場合、開封口7の位置は、カットテープ4を引き剥そうとする3つの面のうちのまん中の面の中央部に設けてもよい。 開封口7は、上記いずれの場合も、2箇所でも1箇所でもよい。更に、連結部1cに、カットテープ4に沿って入れたミシン目の上段又は下段のどちらか1方を延長しておくと蝶番の役目をはたし使い易い。」 イ.「【0014】一方、紙容器1の上面には開口部6が設けてある。 この開口部6は紙容器1内に品物を収納するときに使用する。 但し、この開口部6は、図1に示す様に4方向に開くものに限定するものではなく、1方向に、又、2方向に開くものでもよい。 又、品物を収納した後には、粘着テープ5等の密閉手段によって密閉することが出来る。 更に、この開口部6は、上面にこだわることはなく、下面でも、又、他の場所に設けてもよい。」 ウ.図1には、以下の図面が示されている。 【図1】 エ.図2には、以下の図面が示されている。 【図2】 オ.上記ウ.の図1及び上記エ.の図2からは、「カットテープ4を配置している面には、カットテープ4が各面の上下辺と平行に設けられる」点を看取することができる。 上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「紙容器1の胴体のまわりにある4つの面のうち、3つの面の内面にカットテープ4を配置し、 カットテープ4を配置している面には、カットテープ4に沿ってカットテープ4とほぼ同じ幅で上下2段のミシン目を、連結部1cを除く3つの面に入れ、 カットテープ4を3つの面にわたって引き剥すことによって、紙容器蓋部1aと紙容器本体部1bが連結部1cで1体となって形成され、 紙容器1内に品物を収納し、 カットテープ4を配置している面には、カットテープ4が各面の上下辺と平行に設けられる 紙容器1。」 5.対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 後者の「トナーコンテナ2」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「トナーカートリッジ」に相当し、同様に「梱包材1」は「梱包箱」に、「第1側壁」は「第1側壁」に、「第2側壁」は「第2側壁」に、「第3側壁」は「第3側壁」に、「第4側壁」は「第4側壁」に、「天面」は「天部」に、「底面」は「底部」にそれぞれ相当する。 後者の「略長方形に形成された茶段ボールの箱であって、黄色のトナーが封入されているトナーコンテナ2を梱包するために用いられ、直方体であ」る「梱包材1」は、前者の「トナーカートリッジを収容する直方体形状の梱包箱」に相当する。 後者の「矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁により四角筒状に構成され、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁及び前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底面と、前記筒状本体部の開放された他端を塞ぐ矩形状の天面とを有し」は、前者の「矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁および第4側壁により四角筒状に構成された筒状本体部であって、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底部と、前記筒状本体部の開放された他端を塞ぐ矩形状の天部と、を有し」に相当する。 そうすると、両者は、 「トナーカートリッジを収容する直方体形状の梱包箱であって、 矩形状の第1側壁、第2側壁、第3側壁および第4側壁により四角筒状に構成された筒状本体部であって、前記第1側壁と前記第3側壁とが対向し、前記第2側壁と前記第4側壁とが対向し、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁は、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第3側壁および前記第4側壁の長手方向に連なっている筒状本体部と、 前記筒状本体部の開放された一端を塞ぐ矩形状の底部と、 前記筒状本体部の開放された他端を塞ぐ矩形状の天部と、を有する 梱包箱。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 前者においては「筒状本体部の第1側壁、第2側壁および第3側壁には、梱包箱を開封するための、前記第1側壁の、前記第4側壁と連接する辺部から、前記第3側壁の、前記第4側壁と連接する辺部まで連続的に切断可能なミシン目であって、前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁にわたって連なって形成され、切断されることで前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁の各側壁をそれぞれ二分するためのミシン目が形成されており、前記ミシン目は、前記各側壁の長手方向と平行に設けられている」のに対して、後者はそのようなものでない点。 6.判断 上記相違点について検討する。 引用発明2は上記「4.(2)」のとおりのものであるところ、その「紙容器1」は「紙容器1内に品物を収納」するから、品物を梱包するものであって、本願発明の「梱包箱」に相当する。また、引用発明2の「紙容器1の胴体のまわりにある4つの面」は、本願発明の「筒状本体部」に相当する。 引用発明2は「カットテープ4を3つの面にわたって引き剥すことによって、紙容器蓋部1aと紙容器本体部1bが連結部1cで1体となって形成され」るところ、「カットテープ4を配置している面には、カットテープ4に沿ってカットテープ4とほぼ同じ幅で上下2段のミシン目を、連結部1cを除く3つの面に入れ」ているから、「カットテープ4を3つの面にわたって引き剥」せば「ミシン目」が切断されて、「カットテープ4を配置している面」が「ミシン目」において二分されることは明らかである。そうすると、引用発明2の「紙容器1の胴体のまわりにある4つの面のうち、3つの面の内面にカットテープ4を配置し、カットテープ4を配置している面には、カットテープ4に沿ってカットテープ4とほぼ同じ幅で上下2段のミシン目を、連結部1cを除く3つの面に入れ」は、本願発明の「筒状本体部の第1側壁、第2側壁および第3側壁には、梱包箱を開封するための、前記第1側壁の、前記第4側壁と連接する辺部から、前記第3側壁の、前記第4側壁と連接する辺部まで連続的に切断可能なミシン目であって、前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁にわたって連なって形成され、切断されることで前記第1側壁、前記第2側壁および前記第3側壁の各側壁をそれぞれ二分するためのミシン目が形成されており」に相当する。 引用発明2は「カットテープ4を配置している面には、カットテープ4に沿ってカットテープ4とほぼ同じ幅で上下2段のミシン目を、連結部1cを除く3つの面に入れ」、「カットテープ4を配置している面には、カットテープ4が各面の上下辺と平行に設けられ」るから、カットテープ4を配置している面には、ミシン目が各面の上下辺と平行に設けられるといえる。 引用発明1は「梱包材」に係るものであり、引用発明2は「紙容器1内に品物を収納」する「紙容器」に係るものであるから、引用発明1及び2はともに「梱包材」の技術分野に属するといえる。 また、引用文献2には、「上面又は胴体のまわりにカットテープを配置している段ボール等で出来た包装用紙容器においては、粘着テープ等を剥す場合と違って手間がかからず、容易に開封可能であるが、一旦開封すると、カットテープにより分離した紙容器の上側と下側の間には相互に拘束する配慮がはらわれていなかった為に、紙容器の上側を蓋として紙容器の下側にきちんと固定することが困難であり、その上、再度封をするのも容易でなかった。更に、包装用紙容器の紙の厚さが厚くなると、カットテープによる開封も容易でないという課題があった。」(段落【0004】)及び「別蓋と紙容器本体とを固着している粘着テープ等を剥す際、紙容器の材質によっては容易に剥せないという課題があった。」(段落【0005】)と記載されているから、引用発明2は紙容器の開封を容易にすることを課題とするものであると認められるところ、開封を容易にすることは梱包材における一般的な課題であるから、当該課題は引用発明1にも内在するといえる。 そうすると、梱包材に係る引用発明1において、開封を容易にするために、同じく梱包材の技術分野に属する引用発明2を適用することは、当業者が容易になし得たことである。そして、引用発明1においては、第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁は上下辺に沿った方向が長手方向とされているから、ミシン目が各面の上下辺と平行に設けられる引用発明2を引用発明1に適用すれば、必然的にミシン目は各側壁の長手方向と平行に設けられることになる。 そして、本願発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。 なお、本願明細書には発明の効果として「ユーザが開封のためにミシン目を切断することで、適度な振動が生じ、トナーカートリッジ内のトナーを容易に解砕することができる。」(段落【0018】)と記載されているが、一般に、ミシン目を切断する際に発生する振動は、ミシン目の孔の形状、大きさ、間隔等によって大きく異なるところ、本願発明はミシン目の孔の形状、大きさ、間隔等に関する特定事項を備えていないから、明細書記載の上記効果は本願発明の構成により必ず奏されるものであるとはいえない。 そうすると、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものであるから、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-07-30 |
結審通知日 | 2018-07-31 |
審決日 | 2018-08-16 |
出願番号 | 特願2013-241275(P2013-241275) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 孝幸 |
特許庁審判長 |
尾崎 淳史 |
特許庁審判官 |
森次 顕 畑井 順一 |
発明の名称 | トナーカートリッジ用梱包箱 |
代理人 | 西教 圭一郎 |