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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B
管理番号 1344549
審判番号 不服2017-14196  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-26 
確定日 2018-09-27 
事件の表示 特願2015-201803「ゴルフ支援装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 3日出願公開、特開2016- 28732〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年8月25日に出願された特願2010-188692号(国内優先権主張、平成22年3月17日(以下、「本件優先日」という。))の一部を分割して、平成24年10月26日に新たな特許出願とした特願2012-237102号の一部をさらに分割して、平成25年6月28日に新たな特許出願とした特願2013-135793号の一部をさらに分割して、平成27年10月13日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月10日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年6月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成29年9月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年9月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すため当審で付加した。)
「ゴルフコースを特定する機能と、
現在位置を検出する機能と、
前記ゴルフコースにおける現在プレー中のホールを前記現在位置に基いて特定し当該特定したホールのホールレイアウトを表示部に提示する機能と、
前記検出した現在位置から、現在位置の当該登録されたカップ位置までの距離を求める機能と、
工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能と、
ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能を備え、
前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録された当該グリーンのカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がある当該グリーンにおけるカップ位置の表示態様を、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がない当該グリーンのカップ位置の表示態様と異なる表示態様としたこと
を特徴とするゴルフ支援装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年1月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ゴルフコースを特定する機能と、
前記ゴルフコースのホールレイアウトを表示部に提示する機能と、
現在位置を検出する機能と、
前記検出した現在位置から、当該登録されたカップ位置までの距離を求める機能と、
工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能と、
ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能を備え、
前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録されたカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおけるカップ位置の表示態様を、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないカップ位置の表示態様と異なる表示態様としたこと
を特徴とするゴルフ支援装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に対して、下記の8点についてするものである。

ア 「現在位置を検出する機能」と「ホールレイアウトを表示部に提示する機能」との順序を入れ替える。
イ 「表示部に提示する」「ホールレイアウト」が「現在プレー中のホールを前記現在位置に基いて・・・特定したホールの」ものであるとの限定を付加する。
ウ 「前記検出した現在位置から、」と「当該登録されたカップ位置までの距離」との間に、「現在位置の」との文言を付加する。
エ 「前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し」において、「グリーン」が「当該」のものであるとの限定を付加する。
オ 「前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず」において、「グリーン」が「当該」のものであるとの限定を付加する。
カ 「前記ユーザからの指示に基づき登録されたカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し」において、「カップ位置」が「当該グリーン」のものであるとの限定を付加する。
キ 「カップ位置の登録があるグリーンにおけるカップ位置の表示態様」において、「グリーン」が「当該」のものであるとの限定を付加する。
ク 「前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないカップ位置の表示態様」において、後者の「カップ位置」が「当該グリーン」のものであるとの限定を付加する。

そして、上記アの補正は、上記イの限定を付加する補正にともなって必要となったものであって、この順序の入れ替えが「ゴルフ支援装置」の構成を変更するものではない。さらに、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。よって、上記ア、イ、エ-クの補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、2(1)-(4)において検討する。
上記ウの補正については、2(5)において検討する。

(1)本件補正発明
本件補正後の請求項1には「前記検出した現在位置から、現在位置の当該登録されたカップ位置までの距離」との記載があるが、「現在位置の」がどの語に係るのかが不明である。また、「当該登録」について、これより前に「登録」はないため、「当該」の意味するところが不明である。よって、「前記検出した現在位置から、現在位置の当該登録されたカップ位置までの距離」との記載は、「前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離」と解釈して、以下、進歩性に関する検討を行う。
本件補正発明は、
「ゴルフコースを特定する機能と、
現在位置を検出する機能と、
前記ゴルフコースにおける現在プレー中のホールを前記現在位置に基いて特定し当該特定したホールのホールレイアウトを表示部に提示する機能と、
前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離を求める機能と、
工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能と、
ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能を備え、
前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録された当該グリーンのカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がある当該グリーンにおけるカップ位置の表示態様を、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がない当該グリーンのカップ位置の表示態様と異なる表示態様としたこと
を特徴とするゴルフ支援装置。」と認める。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本件優先日前に頒布された刊行物である、特開平10-113415号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
「【0006】【課題を解決するための手段】本発明に係るゴルファ支援装置では、GPS衛星からの情報信号をアンテナから受信し、この受信した情報信号に基づいてGPS受信機が自局の位置を表す測位情報を取得する。・・・距離算出手段が測位情報に対応するホールにおける当該測位情報が示す位置とピン位置情報が示す位置との距離を算出する。この算出された距離は、対応するホールのコースレイアウト画像と共に表示手段により表示出力されて、当該支援装置を使用するプレイヤに提示される。」
「【0013】【発明の実施の形態】本発明に係るゴルファ支援装置の実施形態を図面を参照して説明する。」
【0014】GPS受信機2は一般的なGPSで用いられる受信機であり、3つ或いは4つのGPS衛星からアンテナ1を介して受信した情報信号に基づいて、自局が位置する現在置を2メートル程度の測位精度で算出して取得する。」(当審注:「現在置」は「現在位置」の誤記)
「【0016】・・・。表示コントローラ7はディスプレイ表示用画像メモリ6に保持された画像データを出力処理する手段であり、表示画面8は液晶ディスプレイパネル等によって構成されて、表示コントローラ7による制御の下にディスプレイ表示用画像メモリ6から読み出された画像データに基づいて、コースレイアウト画像と算出された距離の表示とを一画面上に表示出力する。」
「【0017】・・・。距離算出手段10は、CPU10が所定のプログラム(図示せず)を実行することにより構成され、GPS受信機2が取得した測位情報、コースレイアウト画像データメモリ4に保持されたコースレイアウト情報、及び、ピン位置情報メモリ5に保持されたピン位置情報に基づいて、測位情報に対応するホールにおける当該測位情報が示す位置とピン位置情報が示す位置との間の距離を算出する。すなわち、プレイ中のホールについての測位位置(ボール)とホールピン(カップ)との間の距離が算出される。」
「【0019】まず、GPS受信機2がアンテナから受信した情報信号に基づいて測位を開始し(ステップS2)、CPU10が得られた測位情報により該当するホール番号を決定する(ステップS3)。」
「【0020】次いで、距離算出手段10が、ピン位置情報メモリ5に保持されたピン位置情報が表す位置とGPS受信機2から得た現在の測位情報が表す位置との差を求めることにより、測位位置からピンまでの距離を算出する(ステップS6)。次いで、CPU10が、コースレイアウト画像データメモリ4からディスプレイ表示に使用する所定の範囲のコースレイアウト情報を読み出し、当該コースレイアウト情報に基づく画像データ上に、算出した測位位置からピンまでの距離の表示画像、更には、ピン位置情報メモリ5に保持されたピン位置情報に基づくホールピンの位置を示すマークの画像、測位位置を示すマークの画像をマージングして、ディスプレイ表示画像メモリ6に保持させるとともに、表示コントローラ7に対して表示指示を出力する。」
「【0023】・・・。また、キーボード3中に割り付けられた入力キーを操作することにより、ピン位置情報メモリ5に保持されるピン位置情報をプレイヤが任意に書き換えることができ、グリーン上のピンの位置が変更されている場合には、プレイヤは正確なピン位置情報を入力キーから入力することにより、測位位置からピンまでの正確な距離を表示出力させることができる。」

(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「自局の現在位置を表す測位情報を取得するGPS受信機と、
得られた測位情報により該当するホール番号を決定し、表示コントローラに対して、対応するホールのコースレイアウト画像、及び、ピン位置情報メモリに保持されたピン位置情報に基づくホールピンの位置を示すマークの画像の表示指示を出力するCPUと、
測位情報が示す位置とピン位置情報メモリに保持されたピン位置情報が示す位置との間の距離を算出する距離算出手段と、
割り付けられた入力キーを操作することにより、ピン位置情報メモリに保持されるピン位置情報をプレイヤが任意に書き換えることができるキーボードと、
を備えたゴルファ支援装置。」

イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用され、本件優先日前に頒布された刊行物である特開2006-53018号公報には、次の記載がある。
「【0013】 以下、本発明の実施形態について説明する。 図1に、本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す。図示するように、ナビゲーション装置100は、制御装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両状態センサ4と、GPS受信機5とを備えて構成される。・・・」
「【0023】 ここで、本実施形態では、プリセット地点とユーザ設定地点とは、その地点種別が同じであっても異なるアイコン図形を用いる。すなわち、たとえば、地点種別がラーメン店であるプリセット地点については図中201のアイコン図形を当該プリセット地点の地図上の表示に用い、地点種別がラーメン店であるユーザ設定地点については図中202のアイコン図形を当該ユーザ設定地点の地図上の表示に用いる。なお、図示するように、ある地点種別のユーザ設定地点について用いるアイコン図形は、これと同じ地点種別のプリセット地点について用いるアイコン図形と共通のシンボルを、より強調的に表現した図形とすることが好ましい。たとえば、図示した例では、地点種別がラーメン店であるユーザ設定地点について用いるアイコン図形202は、地点種別がラーメン店であるプリセット地点について用いるアイコン図形201に含まれるシンボル(ラーメンどんぶりと湯気の組み合わせ)を、枠線と背景色を付加することにより強調的に表現したものとなっている。」

(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「ナビゲーション装置において、プリセット地点の表示に用いるアイコン図形と、ユーザ設定地点の表示に用いるアイコン図形とを異なるものとする技術。」

(3)引用発明1との対比
ア 本件補正発明と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「自局の現在位置を表す測位情報を取得するGPS受信機」は、本件補正発明の「現在位置を検出する機能」に相当する機能を有する。
(イ)引用発明1においては、「得られた測位情報により該当するホール番号を決定し」ている以上、その「ホール番号」が属する「ゴルフコース」も特定されていると認められる。よって、引用発明1の「得られた測位情報により該当するホール番号を決定」する「CPU」は、本件補正発明の「ゴルフコースを特定する機能」に相当する機能を有する。
(ウ)引用発明1において、「CPU」から「表示コントローラ」への「画像」の「表示指示」により、当該「画像」が表示されることは明らかである。してみれば、引用発明1の「得られた測位情報により該当するホール番号を決定し、表示コントローラに対して、対応するホールのコースレイアウト画像」「の表示指示を出力するCPU」は、本件補正発明の「前記ゴルフコースにおける現在プレー中のホールを前記現在位置に基いて特定し当該特定したホールのホールレイアウトを表示部に提示する機能」に相当する機能を有する。
(エ)引用発明1の「測位情報が示す位置とピン位置情報メモリに保持されたピン位置情報が示す位置との間の距離を算出する距離算出手段」は、本件補正発明の「前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離を求める機能」に相当する機能を有する。
(オ)引用発明1の「マーク」は、本件補正発明の「アイコン」に相当する。また、引用発明1において、「ピン位置情報をプレイヤが任意に書き換え」ることをしなければ、「ピン位置情報」は工場出荷時のままであることは明らかである。してみれば、引用発明1の「表示コントローラに対して」「ピン位置情報メモリに保持されたピン位置情報に基づくホールピンの位置を示すマークの画像の表示指示を出力するCPU」は、本件補正発明の「工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能」に相当する機能を有する。
(カ)引用発明1の「割り付けられた入力キーを操作することにより」は、本件補正発明の「ユーザからの指示に基づき」に相当する。また、引用発明1の「ピン位置情報を・・・書き換える」は、本件補正発明の「カップ位置を登録する」に相当する。してみれば、引用発明1の「割り付けられた入力キーを操作することにより、ピン位置情報メモリに保持されるピン位置情報をプレイヤが任意に書き換えることができるキーボード」は、本件補正発明の「ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能」に相当する機能を有する。
(キ)引用発明1において、「ピン位置情報メモリに保持されるピン位置情報をプレイヤが任意に書き換え」た場合に、「ピン位置情報メモリに保持され」るのは書き換え後の「ピン位置情報」であるから、「ピン位置情報メモリに保持されたピン位置情報に基づくホールピンの位置を示すマークの画像」は、書き換え前の「ピン位置」には「マークの画像」は表示されず、書き換え後の「ピン位置」に「マークの画像」が表示される。また、引用発明1において、「ピン位置情報をプレイヤが任意に書き換え」ることをしなければ、「ピン位置情報」は工場出荷時のままであり、その位置に「マークの画像」が表示されることは明らかである。してみれば、引用発明1は、本件補正発明の「前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録された当該グリーンのカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し」との構成を備えているといえる。
(ク)引用発明1においては、「プレイヤ」による「ピン位置情報」の書き換えがなければ工場出荷時に元々登録していたピン位置に「マークの画像」を表示し、書き換えがあれば書き換えたピン位置に「マークの画像」を表示しており、両者の表示について何らかの表示態様があることは明らかである。してみれば、引用発明1と本件補正発明とは、「ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおけるカップ位置の表示態様と、ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンのカップ位置の表示態様とを有する」点で共通する

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「ゴルフコースを特定する機能と、
現在位置を検出する機能と、
前記ゴルフコースにおける現在プレー中のホールを前記現在位置に基いて特定し当該特定したホールのホールレイアウトを表示部に提示する機能と、 前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離を求める機能と、
工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能と、
ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能を備え、
前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していた当該グリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録された当該グリーンのカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、
前記アイコンについて、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がある当該グリーンにおけるカップ位置の表示態様と、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がない当該グリーンのカップ位置の表示態様とを有する、
ゴルフ支援装置」

【相違点】
「前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がある当該グリーンにおけるカップ位置の表示態様と、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がない当該グリーンのカップ位置の表示態様と」の関係について、本願補正発明においては「異なる」のに対して、引用発明1では「異なる」か否かが不明である点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点について
引用文献2には、上記(2)イのとおり、「ナビゲーション装置において、プリセット地点の表示に用いるアイコン図形と、ユーザ設定地点の表示に用いるアイコン図形とを異なるものとする技術。」が記載されている。
ここで、引用発明1と引用文献2に記載された技術は、いずれも、ユーザが地点情報を設定した場合にこれをアイコン図形の形式で地図上に表示させる技術である点で共通している。そして、地点情報が、ユーザが設定したものであるか否かをわかりやすくすることは、本願の出願時において当業者が容易に着想し得る課題であると認められる。
よって、引用発明1において、引用文献2に記載された技術を適用して、「前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がある当該グリーンにおけるカップ位置の表示態様と、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がない当該グリーンのカップ位置の表示態様と」を「異なる」ものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ 本件補正発明の効果は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から当業者が予測し得る程度のことであって、格別顕著なものであるということはできない。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)第2[理由]2(2)ウの補正
上記第2[理由]2(2)ウの補正は、本件補正前の請求項1に対して、「前記検出した現在位置から、」と「当該登録されたカップ位置までの距離」との間に、「現在位置の」との文言を付加するものである。
しかしながら、「現在位置の」がどの語に係るのかが不明であり、当該補正は請求項1の記載を不明瞭にするものである。
したがって、当該補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げられる目的のいずれにも該当しない。

3 本件補正についてのむすび
よって、上記第2[理由]2(2)ア、イ、エ-クの補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反し、上記第2[理由]2(2)ウの補正は特許法17条の2第5項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年9月26日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成29年1月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、
「ゴルフコースを特定する機能と、
前記ゴルフコースのホールレイアウトを表示部に提示する機能と、
現在位置を検出する機能と、
前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離を求める機能と、
工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画する機能と、
ユーザからの指示に基づき、前記特定したゴルフコースにおけるグリーンのカップ位置を登録する機能を備え、
前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおいては前記工場出荷時に元々登録していたグリーン上のカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画せず、前記ユーザからの指示に基づき登録されたカップ位置に対応する箇所にアイコンを描画し、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録があるグリーンにおけるカップ位置の表示態様を、前記ユーザからの指示に基づくカップ位置の登録がないカップ位置の表示態様と異なる表示態様としたこと
を特徴とするゴルフ支援装置。」であると認める。
ここで、平成29年1月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1には「前記検出した現在位置から、当該登録されたカップ位置までの距離」との記載があるが、当該請求項1においてこれより前に「登録」はなく、「当該」の意味するところが不明であるため、当該記載は「前記検出した現在位置から、登録されたカップ位置までの距離」と解釈した。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び2に係る発明は、本件優先日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、また、この出願の請求項3及び4に係る発明は、本件優先日前に頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項ならびに引用文献3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平10-113415号公報
引用文献2:特開2006-53018号公報
引用文献3:特開2003-61130号公報

3 引用文献
原査定で引用された引用文献1及び引用文献2に記載の事項並びに引用発明及び引用文献2に記載の技術は、それぞれ、上記第2[理由]2(2)において説示し、認定したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、同(2)イ、エ-クの限定事項を削除し、「ホールレイアウトを表示部に提示する機能」と「現在位置を検出する機能」との順序を入れ替えたものである。そして、この順序の入れ替えは、本件補正発明の「ゴルフ支援装置」の構成を変更するものではない。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明1及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-07-25 
結審通知日 2018-07-31 
審決日 2018-08-16 
出願番号 特願2015-201803(P2015-201803)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63B)
P 1 8・ 575- Z (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷垣 圭二  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 吉村 尚
後藤 昌夫
発明の名称 ゴルフ支援装置及びプログラム  
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