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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1344679
審判番号 不服2017-18771  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-18 
確定日 2018-10-05 
事件の表示 特願2014-59107「エンジン装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月22日出願公開、特開2015-183545〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年4月24日付け :拒絶理由通知書
平成29年6月29日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年9月29日付け :拒絶査定
平成29年12月18日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成29年12月18日の手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成29年12月18日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前(平成29年6月29日の手続補正書)の請求項1に、

「【請求項1】
エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースを備え、前記第1ケースに尿素混合管を介して前記第2ケースを接続させるエンジン装置において、
前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を平行に固着させる支持台を備え、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を支持台に一体的に配置して、単一部品構造の排気ガス浄化装置を形成すると共に、前記エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体に、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管の排気ガス移動方向を略鉛直にして、前記排気ガス浄化装置を取付けたことを特徴とするエンジン装置。」
とあったものを、

「【請求項1】
エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースを備え、前記第1ケースに尿素混合管を介して前記第2ケースを接続させるエンジン装置において、
前記第1ケースの筒形状一端側に排気ガスを排出するDPF出口管を設け、前記DPF出口管はDPF出口側フランジ体を介して、前記尿素混合管の一端に接続されると共に、前記尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続され、
前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を平行に固着させる支持台を備え、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を支持台に一体的に配置して、単一部品構造の排気ガス浄化装置を形成すると共に、前記エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体に、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管の排気ガス移動方向を略鉛直にして、前記排気ガス浄化装置を取付けたことを特徴とするエンジン装置。」
と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために請求人が付した。)。

上記補正は、発明を特定するために必要な事項である「第1ケース」、「第2ケース」及び「尿素混合管」について、「前記第1ケースの筒形状一端側に排気ガスを排出するDPF出口管を設け、前記DPF出口管はDPF出口側フランジ体を介して、前記尿素混合管の一端に接続されると共に、前記尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続され、」との事項を限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 引用文献、引用発明、引用技術等
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2012-215022号公報(以下「引用文献1」という。)には、「エンジンユニット」に関して、図面(特に、図3、図4及び図6ないし図10)とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。)

ア 「【0022】
エンジンルーム12は、カウンタウエイト3bに隣接して配置されている。つまりエンジンルーム12は、カウンタウエイト3bの操縦室3a側に配置されている。エンジンルーム12内には、エンジンユニット20と冷却装置24とが配置されている。エンジンユニット20は、エンジン22と油圧ポンプ28と後処理装置30とを有する。エンジンユニット20については、後ほど説明する。」

イ 「【0033】
次に、後処理装置30は、エンジン22で発生する排気ガスを浄化する浄化装置であり、油圧ポンプ28の鉛直方向上側(本実施形態では直上)に配置されている。なお、後処理装置30を油圧ポンプ28の上側に配置することで、エンジンユニット20の各部の効率よく配置することができる。つまりエンジンユニット20の設置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0034】
後処理装置30は、主にDPF(Diesel Particulate Filter)とSCR(Selective Catalytic Reduction:選択還元触媒)とからなる。図4から図7に示すように、後処理装置30は、DPFである第1処理部42と、SCRである第2処理部44と、第1配管46、第2配管48と、排気管49と、を有する。第1処理部42と第2処理部44は略円筒形状をしている。第1処理部42は、第2処理部44の上側かつ第2処理部44よりもエンジン22に近づく位置に配置されている。第1処理部42と第2処理部44とは、エンジン22のクランク軸とは垂直に交わる方向が両処理部の長手方向となる向きで配置されている。第1配管46は、エンジン22の排気マニホールドと第1処理部42とを連結する管路である。第2配管48は、第1処理部42と第2処理部44とを連結する管路である。また、排気管49は、一方の端部が第2処理部44と連結し、他方の端部が外気に開放している。これにより、後処理装置30は、エンジン22から排出された排気ガスを、第1配管46、第1処理部42、第2配管48、第2処理部44、排気管49の順で通過させて、外気に排出する。第1配管46と第2配管48とは、少なくとも一部が蛇腹等のフレキシブル領域(部分)を備える管路で構成されている。
【0035】
第1処理部42は、排気ガス中に含まれるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集する集塵装置である。第1処理部42は、DPFであり、酸化触媒と、酸化触媒がコーティングされ、PMを捕集するスーツフィルタとからなる。第1処理部42は、排気ガス中の一酸化窒素を酸化して二酸化窒素を生成する。二酸化窒素は、排気ガスのような高温雰囲気中では不安定であり、酸素を放出して一酸化窒素に戻る。そして、酸化触媒と放出された酸素の酸化力により、スーツフィルタに捕集されたPMが燃焼する。一酸化窒素及び残りの二酸化窒素は、第2配管48を通って、第2処理部44に送られる。なお、スーツフィルタの材質としては、コージュライトや炭化珪素等のセラミックス又はステンレスやアルミニウム等の金属が用いられる。
【0036】
第2配管48には還元物質生成部が設けられている。還元物質生成部は、別途設置した還元剤供給装置から供給された還元剤を分解して還元物質を生成する。本実施形態の還元剤生成部は、還元剤としての尿素水が供給され、供給された尿素水に含まれる尿素を分解して還元物質であるアンモニアを生成する。還元物質生成部で生成した還元物質(本実施形態ではアンモニア)は、第2配管48を通って排気ガスとともに第2処理部44に供給される。
【0037】
第2処理部44は、排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する脱硝装置(還元装置)である。具体的には、第2処理部44は、排気ガスの流れ方向において上流側から下流側に向かって配置されたSCR(反応部)である。つまり、第2処理部44は、SCR方式の触媒コンバーターであり、ゼオライト、バナジウム等の卑金属からなる尿素脱硝触媒(DeNOx触媒)を有する。尿素脱硝触媒は、還元物質生成部で生成されたアンモニアと排気ガス中のNOxとを反応させ、NOxを窒素と酸素とに分解して浄化する。また、後処理装置30は、排気ガスの流れ方向において第2処理部44の下流に酸化処理部を有する。酸化処理部は、酸化触媒を有しており、第2処理部44において残ったアンモニアを酸化し、窒素と水とに分解して無害化する。酸化処理部において処理された排気ガスは、排気管49を介して外部に排出される。」

ウ 「【0042】
マウント機構34は、油圧ポンプ28の周囲に配置され、一部がエンジン22及びエンジン支持機構32に連結された支持構造であり、後処理装置30を支持する。図3、図4、図8から図10を用いて、マウント機構34について説明する。図8は、図4に示すマウント機構及び後処理装置の概略構成を示す斜視図であり、図9は、図4に示すマウント機構及び後処理装置の概略構成を図8とは反対方向から示す斜視図である。また、図10は、上部ブラケットと後処理装置とを組み立てた組立体の概略構成を示す斜視図である。なお、図8及び図9では、支持フレーム52、54を一部のみ示している。図3及び図4に示すようにマウント機構34は、エンジン22及びエンジン支持機構32に連結されており、後処理装置30を油圧ポンプ28の上側の位置で支持する。図8、図9に示すようにマウント機構34は、基部ブラケット60と、上部ブラケット62と、を有する。
【0043】
基部ブラケット60は、エンジン22及びエンジン支持機構32に連結され、上部ブラケット62を支持する構造であり、基部フレーム72、74と、連結フレーム76と、を有する。」

エ 「【0054】
上部ブラケット62は、支持パネル80上に設けられた第1支持フレーム82及び固定フレーム86で第2処理部44を支持し、第2支持フレーム84で第1処理部42を支持する。また、第2配管48は、第1処理部42及び第2処理部44によって支持され、排気管49は、第2処理部44によって支持される。これにより、図10に示すように、上部ブラケット62は、後処理装置30の各部を支持して1つの組立体(アセンブリ)となる。なお、第1配管46は、第1処理部42及びエンジン22で支持される。」

オ 「【0056】
エンジンユニット20は、後処理装置30を支持するマウント機構34を、エンジン22及びエンジン支持機構32で支持することで、エンジン22と後処理装置30とを同一の振動系とすることができる。これにより、エンジン22と後処理装置30との間で振動のずれが発生することを抑制し、エンジン22と後処理装置30とを接続する第1配管46にかかる負荷を小さくすることができる。つまり、エンジン22と後処理装置30との間に防振機構が配置された構成では両者の振動系が異なる振動系となり、エンジン22と後処理装置30とがずれて振動し、第1配管46の両端の位置の相対移動量が大きくなる。当該相対移動量が大きくなると第1配管46にかかる負荷が大きくなる。これに対して、エンジンユニット20は、エンジン22と後処理装置30との間に防振機構が配置されておらず、かつ、エンジン22と後処理装置30との間にある部材が固定されているため、同一の振動系となり、エンジン22と後処理装置30とが一緒に振動し、第1配管46の両端の位置の相対移動量が小さくなる。このように、エンジン22と後処理装置30との相対移動量が小さくなると第1配管46にかかる負荷が小さくなる。第1配管46にかかる負荷を小さくできることで、第1配管46を高寿命化することができ、メンテナンスが必要な回数を低減し、機械の耐久性を向上させることができる。特に、本実施形態の油圧ショベル1の様に、走行装置が履帯2で構成される機械、作業機4による作業で上部旋回体3(車両本体)に大きな振動が加わる機械の場合は、第1配管46にフレキシブルな領域を有する配管を用いた場合でも装置の耐久性が低下することがある。この場合でも、本実施形態の構成とすることで第1配管にかかる負荷を小さくでき、メンテナンスが必要な回数を低減し、装置の耐久性を向上させることができる。」

カ 「【0059】
エンジンユニット20では、基部ブラケット60の上部ブラケット62に連結される部分を油圧ポンプ28が上部から見える形状、本実施形態ではコの字状にすることで、上部ブラケット62を取り外した時に、油圧ポンプ28を見やすくすることができる。これにより、メンテナンスをより容易に実行することができる。」

キ 上記イの段落【0034】の「第1処理部42と第2処理部44は略円筒形状をしている。」との記載及び図4の図示内容からみて、第1処理部42及び第2処理部44は、略円筒形状の筐体を有することが分かる。

ク 図4及び図8には、第1処理部42の周面にフランジを備えた管状の部分が突設されることが図示されており、上記イ(特に、段落【0034】及び【0035】)の記載とあわせみると、第1処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に排気ガスを排出する管状の部分を設け、前記管状の部分はフランジを介して、第2配管48の一端に接続されるといえる。

ケ 上記イ(特に、段落【0034】及び【0037】)並びに図4の図示内容からみて、第2配管48の他端は、第2処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に接続されることが分かる。

コ 上記イの段落【0034】の「第1処理部42と第2処理部44とは、エンジン22のクランク軸とは垂直に交わる方向が両処理部の長手方向となる向きで配置されている。」との記載、上記エ並びに図6、図7及び図10の図示内容からみて、上部ブラケット62は、第1処理部42の筐体、第2処理部44の筐体及び第2配管48を平行に支持するといえる。

サ 上記イの段落【0034】の上記記載、図6及び図7の図示内容からみて、排気ガスは、第1処理部42の筐体と第2処理部44の筐体と第2配管48を、略水平方向に移動することが分かる。

上記アないしサ並びに図3、図4及び図6ないし図10の図示内容を総合すると、引用文献1には、「エンジンユニット20」に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕
「エンジン22の排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する第1処理部42の筐体と、前記エンジン22の排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する第2処理部44の筐体を備え、前記第1処理部42の筐体に還元物質生成部が設けられた第2配管48を介して前記第2処理部44の筐体を接続させるエンジンユニット20において、
前記第1処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に排気ガスを排出する管状の部分を設け、前記管状の部分はフランジを介して、前記第2配管48の一端に接続されると共に、前記第2配管48の他端は、前記第2処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に接続され、
前記第1処理部42の筐体と第2処理部44の筐体と第2配管48を平行に支持させる上部ブラケット62を備え、前記第1処理部42の筐体と第2処理部44の筐体と第2配管48を上部ブラケット62に一体的に支持させて、1つの組立体(アセンブリ)を形成すると共に、前記エンジン22及びエンジン支持機構32に連結させた基部ブラケット60に、前記第1処理部42の筐体と第2処理部44の筐体と第2配管48の排気ガス移動方向を略水平にして、前記組立体(アセンブリ)を支持させたエンジンユニット20。」

(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-203393号公報(以下「引用文献2」という。)には、「エンジン装置」に関して、図面(特に、図2及び図6ないし図8)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0004】
ところで、排気ガス浄化装置の一例であるDPFでは、経年使用にて排気ガス中の煤(スート)がスートフィルタに堆積するので、ディーゼルエンジンの駆動時に煤を燃焼除去してスートフィルタを再生させている。よく知られているように、スートフィルタ再生動作は、排気ガス温度が所定温度(例えば300℃程度)以上で起こるから、DPFを通過する排気ガス温度は所定温度以上であることが望ましい。このため、従来から、DPFを排気ガス温度が高い位置、すなわちディーゼルエンジン自体に又はその近傍に配置したいという要請がある。
【0005】
ディーゼルエンジンの搭載スペースは搭載対象の作業車両(農作業機や建設機械等)によって様々ではあるが、近年は、軽量化・コンパクト化の要請で、搭載スペースに制約がある(狭小である)ことが多い。このため、ディーゼルエンジン自体に又はその近傍にDPFを配置するに当たっては、吸排気効率や部品点数等を踏まえた上で、DPFをコンパクトにレイアウトする必要がある。また、ディーゼルエンジンの吸排気系部品としては、前述したDPF以外に、例えばEGR装置等もあり、これらを含めた吸排気系部品を、総合的な観点から見て効率的且つコンパクトに配置することが求められる。
【0006】
本願発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、吸排気系部品の性能を考慮しつつ、吸排気系部品をディーゼルエンジン周りに効率よくコンパクトに配置することを技術的課題とするものである。」

イ 「【0057】
図6及び図7に示すように、DPF1の長手方向一端側に位置する座板体9に、支持脚体としての第1脚ブラケット19aの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第1脚ブラケット19aの基端側は、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面にボルトにて着脱可能に締結されている。また、図6及び図8に示すように、DPF1の長手方向他端寄りにあるフィルタ側出口フランジ40に、同じく支持脚体としての第2脚ブラケット19bの先端側がボルトにて着脱可能に締結されている。第2脚ブラケット19bの基端側は、シリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面にボルトにて着脱可能に締結されている。」

ウ 上記イ及び図6ないし図8からみて、第1脚ブラケット19a及び第2脚ブラケット19bは、ディーゼルエンジンから外側方に向けて突設させたものであることが分かる。

上記アないしウ並びに図2及び図6ないし図8の図示内容を総合すると、引用文献2には、次の技術(以下「引用技術2」という。)が記載されている。

〔引用技術2〕
「ディーゼルエンジンにおいて、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面から外側方に向けて突設させた第1脚ブラケット19a及びシリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面から外側方に向けて突設させた第2脚ブラケット19bに、DPF1を締結する技術。」

(3)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-127253号公報(以下「引用文献3」という。)には、「コモンレール式ディーゼルエンジン」に関して、図面(特に図18)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0057】
また、農作業機に搭載したエンジンにおいて、DOCやDPF等の後処理装置を装備するためには広いスペースが必要となるが、DPF再生時には高温となるため配線や電装品等に対する熱影響を考慮した配置が必要となる。
【0058】
このため、図18に示す如く、断面を楕円形状とした後処理装置としてのDOC47とDPF48を排気管49の上下方向に配置し、振動によって移動しないようストッパsにより固定して設け、スターターを本体50のハウジングに取付けると共に、ゼネレーターを本体50の右側位置に配設して構成させる。
【0059】
このような構成により、後処理装置としてのDOC47とDPF48を楕円形状として縦方向に配置することで、横方向のスペースを小さくすることが可能となり、後処理装置を本体50の左側に配置すると共に、配線や電装品等を右側に集中させることで熱影響を軽減することができる。なお、後処理装置の配置部に配線や電装品等が無くなることで、後処理装置周りの空気の流れが良くなり、再生時における後処理装置表面の冷却効率を改善することができる。」

イ 上記ア及び図18の図示内容からみて、後処理装置は、エンジンの側方に配置するものであることが分かる。

ウ 上記ア及び図18の図示内容からみて、後処理装置としてのDOC47とDPF48は、縦方向に配置されていることから、後処理装置を流れる排気ガスの移動方向は鉛直であるといえる。

上記アないしウ並びに図18の図示内容を総合すると、引用文献3には、次の技術(以下「引用技術3」という。)が記載されている。

〔引用技術3〕
「後処理装置を、エンジンの側方において、排気ガスの移動方向が鉛直となるように配置する技術。」

(4)引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2011-24510号公報(以下「引用文献4」という。)には、「コンバイン」に関して、図面(特に、図21及び図22)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0032】
図19,20の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
SCR17はDOC16の上方に、平面視DOC16に重なるように配置ているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、排気浄化装置15のコンパクト化が図れる。
したがって、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の狭い空間内の内側のコーナースペースを有効利用して排気浄化装置15を配置できる。
図21、22の実施例では、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置し、SCR17はDOC16の下方に、平面視DOC16に重なるように配置しているので、エンジン11のDOC16とSCR17の設置スペースを小さくし、エンジン11とグレンタンク5の間の内側スペースに排気浄化装置15を配置できる。」

イ 上記ア並びに図21及び図22の図示内容からみて、排気浄化装置15は、エンジンの側方に配置するものであることが分かる。

ウ 上記ア並びに図21及び図22の図示内容からみて、排気浄化装置15のDOC16とSCR17は、縦向きの上下二段となるように配置されていることから、排気浄化装置15を流れる排気ガスの移動方向は鉛直であるといえる。

上記アないしウ並びに図21及び図22の図示内容を総合すると、引用文献4には、次の技術(以下「引用技術4」という。)が記載されている。

〔引用技術4〕
「排気浄化装置15を、エンジンの側方において、排気ガスの移動方向が鉛直となるように配置する技術。」

(5)引用文献5について
本願の出願前に頒布された特開2013-133775号公報(以下「引用文献5」という。)には、「還元剤水溶液ミキシング装置及び排気ガス後処理装置」に関して、図面(特に、図1及び図2)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、還元剤水溶液ミキシング装置、特に、排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタと排気ガス中の窒素酸化物を還元浄化する還元触媒との間においてフィルタと並列に配置され、排気ガス中に還元剤水溶液を添加するための還元剤水溶液ミキシング装置に関する。また、本発明は、以上の還元剤水溶液ミキシング装置を備えた排気ガス後処理装置に関する。」

イ 「【0039】
尿素水溶液ミキシング装置1Bは、排気ガス中に還元剤としての尿素水溶液を添加するものである。添加された尿素水溶液は加水分解されてアンモニアとなり、アンモニアは排気ガスとともに接続管2を介してSCR1Cに供給される。なお、尿素水溶液ミキシング装置1Bについては、後に詳細に説明する。」

ウ 「【0041】
DPF1Aを収納するケース4A、尿素水溶液ミキシング装置1B、及びSCR1Cを収納するケース4Cは、それぞれ並列に配置されている。そして、ケース4Aの排気下流側(以下、単に「下流側」と記す)の端部と尿素水溶液ミキシング装置1Bの上流側端部とが連結され、尿素水溶液ミキシング装置1Bの下流側端部とケース4Cの上流側端部とが、湾曲する接続管2によって接続されている。
【0042】
以上のように、ケース4A、尿素水溶液ミキシング装置1B、及びケース4Cは、S字状に配置され、全体としてコンパクトな排気ガス後処理装置が構成されている。なお、ケース4A内部において、DPF1Aの上流側に、排気ガス中の未燃燃料分を酸化処理する酸化触媒を設けてもよい。また、ケース4C内部において、SCR1Cの下流側に、余剰のアンモニアを酸化処理するアンモニア低減触媒を設けてもよい。
【0043】
[尿素水溶液ミキシング装置]
図2に本発明の一実施形態による尿素水溶液ミキシング装置1Bの構成を示している。尿素水溶液ミキシング装置1Bは、前述のように、DPF1AとSCR1Cとの間に配置されている。なお、図1では、尿素水溶液ミキシング装置1Bの下流側に接続された接続管2も含めて示している。
【0044】
尿素水溶液ミキシング装置1Bは、排気管4Bと、尿素水溶液を噴射するインジェクタ5と、ミキシングパイプ6と、内管7と、を有している。
【0045】
[排気管]
排気管4Bは、排気上流側(以下、単に「上流側」と記す)に配置されたエルボ部10と、エルボ部10の下流側に配置された直線部11と、を有している。エルボ部10及び直線部11はともに円筒状に形成されている。」

エ 上記ウ及び図1の図示内容からみて、接続管2の端部は、SCR1Cを収納するケース4Cの上流側端部に設けた排気ガスを取入れる管状の部分に、フランジを介して、接続されることが分かる。

上記アないしエ並びに図1及び図2の図示内容を総合すると、引用文献5には、次の技術(以下「引用技術5」という。)が記載されている。

〔引用技術5〕
「排気ガス後処理装置において、尿素水溶液ミキシング装置1Bが接続された接続管2の端部は、SCR1Cを収納するケース4Cの上流側端部に設けた排気ガスを取入れる管状の部分に、フランジを介して接続される技術。」

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「エンジン22」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する第1処理部42の筐体」は「排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース」に、「排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元する第2処理部44の筐体」は「排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース」に、「還元物質生成部が設けられた第2配管48」は「尿素混合管」に、「エンジンユニット20」は「エンジン装置」に、「平行に支持」は「平行に固着」に、「上部ブラケット62」は「支持台」に、「一体的に支持させて」は「一体的に配置して」に、「1つの組立体(アセンブリ)」は「単一部品構造の排気ガス浄化装置」に、「組立体(アセンブリ)を支持させた」は「排気ガス浄化装置を取付けた」にそれぞれ相当する。
引用発明における「第1処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に排気ガスを排出する管状の部分を設け、前記管状の部分はフランジを介して、前記第2配管48の一端に接続される」は、本願補正発明における「第1ケースの筒形状一端側に排気ガスを排出するDPF出口管を設け、前記DPF出口管はDPF出口側フランジ体を介して、前記尿素混合管の一端に接続される」に相当する。
引用発明における「第2配管48の他端は、前記第2処理部42の略円筒形状の筐体の一端側に接続され」と本願補正発明における「尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続され」とは、「尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に接続され」という限りで共通する。
引用発明における「エンジン22及びエンジン支持機構32に連結させた基部ブラケット60」と本願補正発明における「エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体」とは、「エンジンに連結させた支脚体」という限りで共通する。
引用発明における「排気ガス移動方向を略水平にして」と本願補正発明における「排気ガス移動方向を略鉛直にして」とは、「排気ガス移動方向を略一方向にして」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースを備え、前記第1ケースに尿素混合管を介して前記第2ケースを接続させるエンジン装置において、
前記第1ケースの筒形状一端側に排気ガスを排出するDPF出口管を設け、前記DPF出口管はDPF出口側フランジ体を介して、前記尿素混合管の一端に接続されると共に、前記尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に接続され、
前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を平行に固着させる支持台を備え、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を支持台に一体的に配置して、単一部品構造の排気ガス浄化装置を形成すると共に、前記エンジンに連結させた支脚体に、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管の排気ガス移動方向を略一方向にして、前記排気ガス浄化装置を取付けたエンジン装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
尿素混合管の他端が第2ケースの筒形状一端側に接続されることについて、本願補正発明においては、尿素混合管の他端は、「第2ケースの筒形状一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して」接続されるのに対して、
引用発明においては、かかる事項を備えるか不明である点。

〔相違点2〕
本願補正発明においては、「エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体」に、第1ケースと第2ケースと尿素混合管の排気ガス移動方向を「略鉛直」にして、排気ガス浄化装置を取付けるのに対して、
引用発明においては、「エンジン22及びエンジン支持機構32に連結させた基部ブラケット60」に、第1処理部42の筐体と第2処理部44の筐体と第2配管48の排気ガス移動方向を「略水平」にして、組立体(アセンブリ)を支持させる点。

4 当審の判断
そこで、各相違点を検討する。
(1)相違点1について
引用技術5は、「排気ガス後処理装置において、尿素水溶液ミキシング装置1Bが接続された接続管2の端部は、SCR1Cを収納するケース4Cの上流側端部に設けた排気ガスを取入れる管状の部分に、フランジを介して接続される技術」である。
そして、本願補正発明と引用技術5とを対比すると、引用技術5における「尿素水溶液ミキシング装置1Bが接続された接続管2」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「尿素混合管」に相当し、以下同様に、「SCR1Cを収納するケース4C」は「第2ケース」に、「尿素水溶液ミキシング装置1Bが接続された接続管2の端部は、SCR1Cを収納するケース4Cの上流側端部に設けた排気ガスを取入れる管状の部分に、フランジを介して、接続され」は「尿素混合管の他端は、第2ケースの一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続され」にそれぞれ相当する。
また、引用技術5における「排気ガス後処理装置」と本願補正発明における「排気ガス浄化装置」とは、「排気浄化装置」という限りで共通する。
そうすると、引用技術5は、本願補正発明の用語で表すと、「排気浄化装置において、尿素混合管の他端は、第2ケースの一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続される技術」といえる。
引用発明と引用技術5とは、排気浄化装置に関する技術である点で共通し、さらに、尿素混合管とSCRケースとを接続する点も共通するから、引用発明に引用技術5を適用する動機付けは存在する。
そうすると、引用発明に引用技術5を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の上記発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
引用技術2は、「ディーゼルエンジンにおいて、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面から外側方に向けて突設させた第1脚ブラケット19a及びシリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面から外側方に向けて突設させた第2脚ブラケット19bに、DPF1を締結する技術」である。
そして、本願補正発明と引用技術2とを対比すると、引用技術2における「ディーゼルエンジン」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「第1脚ブラケット19a」及び「第2脚ブラケット19b」は「支脚体」に、「締結する」は「取付ける」にそれぞれ相当する。
また、本願補正発明の「エンジンの側面」に関して、本願明細書の段落【0015】の「ディーゼルエンジン3前面側の冷却ファン5設置側にラジエータ6を配置する。ディーゼルエンジン3背面側に後述する発電機18が配置され」との記載、段落【0016】の「ディーゼルエンジン3の右側面側の吸気マニホールド11設置部」との記載及び「ディーゼルエンジン3の左側面側の排気マニホールド15設置部に、後述する過給機58と排気出口管16を設ける。」との記載、並びに図6を参照すると、引用技術2における「ディーゼルエンジンにおいて、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78上の左側面から外側方に向けて突設させた」及び「シリンダヘッド72における排気マニホールド71側の正面から外側方に向けて突設させた」は本願補正発明における「エンジンの側面から外側方に向けて突設させた」に相当する。
引用技術2における「DPF1」と本願補正発明における「排気ガス浄化装置」とは、「排気浄化装置」という限りで共通する。
そうすると、引用技術2は、本願補正発明の用語で表すと、「エンジンにおいて、エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体に、排気浄化装置を取付ける技術」といえる。
引用発明と引用技術2とは、エンジンに連結させた支脚体に排気浄化装置を取付けたエンジンに関する技術である点で共通する。
また、引用文献1の段落【0056】には、「エンジンユニット20は、後処理装置30を支持するマウント機構34を、エンジン22及びエンジン支持機構32で支持することで、エンジン22と後処理装置30とを同一の振動系とすることができる。これにより、エンジン22と後処理装置30との間で振動のずれが発生することを抑制し、エンジン22と後処理装置30とを接続する第1配管46にかかる負荷を小さくすることができる。」と記載されており、引用発明は、エンジン22と後処理装置30とを同一の振動系とするものであるところ、引用技術2は、エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体に、排気浄化装置を取付けるものであるから、エンジンと排気浄化装置とを同一の振動系とするものであるといえる。そうすると、引用発明に引用技術2を適用することを阻害する事由はない。
さらに、引用文献1の段落【0059】には、「エンジンユニット20では、基部ブラケット60の上部ブラケット62に連結される部分を油圧ポンプ28が上部から見える形状、本実施形態ではコの字状にすることで、上部ブラケット62を取り外した時に、油圧ポンプ28を見やすくすることができる。」と記載されており、引用発明に引用技術2を適用しても、油圧ポンプ28の視認性は向上するから、この点においても、引用発明に引用技術2を適用することを阻害する事由はない。
以上から、引用発明に引用技術2を適用する動機付けは存在する。
そうすると、引用発明の「エンジン22及びエンジン支持機構32に連結させた基部ブラケット60」に引用技術2を適用して、「エンジンの側面から外側方に向けて突設させた支脚体」に排気ガス浄化装置を取付けることは、当業者であれば容易になし得たことである。
また、排気浄化装置を、エンジンの外側方において、排気ガスの移動方向が略鉛直となるように配置することは、周知技術(例えば、引用技術3及び4参照)であるから、周知技術を参照して、「第1ケースと第2ケースと尿素混合管の排気ガス移動方向を略鉛直にして、排気ガス浄化装置を取付ける」ことは、当業者であれば適宜なし得たことであり、格別の困難性はない。
そうしてみると、引用発明において、引用技術2及び周知技術から、上記相違点2に係る本願補正発明の上記発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)効果について
本願補正発明が奏する効果は、全体としてみて、引用発明、引用技術2、引用技術5及び周知技術から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものではない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用技術2、引用技術5及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成29年6月29日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の理由の概要
原査定(平成29年9月29日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし3に係る発明は、引用文献1ないし5に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献一覧>
1.特開2012-215022号公報(前記「第2」における引用文献1)
2.特開2010-203393号公報(同上引用文献2)
3.特開2010-127253号公報(同上引用文献3)
4.特開2011-24510号公報(同上引用文献4)
5.特開2014-25391号公報

3 引用文献、引用発明、引用技術等
原査定の拒絶の理由に引用した引用文献1ないし4及びその記載事項は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本願補正発明から、「前記第1ケースの筒形状一端側に排気ガスを排出するDPF出口管を設け、前記DPF出口管はDPF出口側フランジ体を介して、前記尿素混合管の一端に接続されると共に、前記尿素混合管の他端は、前記第2ケースの筒形状一端側に設けた排気ガスを取入れるSCR入口管に、SCR入口側フランジ体を介して接続され、」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕」の「3」及び「4」に記載したとおり、引用発明、引用技術2、引用技術5及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明、引用技術2及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-08-03 
結審通知日 2018-08-08 
審決日 2018-08-21 
出願番号 特願2014-59107(P2014-59107)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 首藤 崇聡今関 雅子  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 粟倉 裕二
水野 治彦
発明の名称 エンジン装置  
代理人 渡辺 隆一  

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