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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1344798
審判番号 不服2016-15583  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-19 
確定日 2018-10-02 
事件の表示 特願2013-550898「皮膚用化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成24年8月9日国際公開、WO2012/104240、平成26年7月10日国内公表、特表2014-516337〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月30日(パリ条約による優先権主張 平成23(2011)年1月31日、独国(DE)及び同年2月21日、米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、原審における拒絶査定に対して、平成28年10月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、その後、当合議体において、平成29年12月19日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月20日受付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?8に係る発明は、平成30年3月20日受付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
以下の活性成分から成り、セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料であって、下記5-α-還元酵素阻害剤が、ノコギリヤシの果実(Serenoa repens,syn.Sabal serrulata)の抽出物、イラクサの根(Urtica dioica)、アフリカ梅(Pygeum africanium)の樹皮抽出物、カボチャの種(Cucurbita pepo seed)の抽出物及びフィナステリドから成る群から選択され、該化粧料中に酸化防止剤が0.2重量%?2.5重量%の濃度で存在する皮膚用化粧料。
a1)アロマターゼ阻害剤(但し、5-α-還元酵素阻害剤及び酸化防止剤を除く。)、
a2)5-α-還元酵素阻害剤、
b)酸化防止剤、及び
c)ヒアルロン酸」

第3 拒絶理由の概要
当合議体が平成29年12月19日付けで通知した拒絶理由は、本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物2?3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由(理由3)を含むものである。

刊行物2:特表2004-502634号公報
刊行物3:特表2001-500841号公報

第4 当合議体の判断
1 刊行物等の記載事項
(1)本願優先日前の平成16(2004)年1月29日に頒布された刊行物2(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、以下、下線は当審で付したものである。
(2a)「【請求項1】
コラーゲンの安定化、増加および/または回復のための、エストロゲンの産出および/または効果を阻害する基質、または該基質を含む組成物の使用。
・・・
【請求項3】
前記基質はアロマターゼ阻害剤であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
・・・
【請求項8】
ジヒドロテストステロンの産出および/または効果の阻害を、同時に、または追加で行うことを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
アロマターゼ阻害剤を、5-アルファリレダクターゼ阻害剤と結合することを特徴とする、請求項8に記載の使用。
・・・
【請求項11】
局所適用を行うことを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
化粧用として使用することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
以下の体領域、すなわち皮膚、靱帯、筋膜、腱、軟骨、骨、象牙質および動脈、静脈、尿道の管壁、の1つまたはそれ以上におけるコラーゲンの安定化、増加および/または回復のために使用することを特徴とする、上記請求項のいずれか1項に記載の使用。
・・・
【請求項21】
皮膚のしわおよび/または溝、並びに上部皮膚の無緊張症の化粧処置用である、エストロゲンの産出および/または効果を阻害する基質、または該基質を含む組成物の使用。
【請求項22】
皮膚に対する日光の曝露を改善する、エストロゲンの産出および/または効果を阻害する基質、または該基質を含む組成物の使用。
・・・
【請求項24】
局所適用のための化粧用組成物であって、前記組成物が、エストロゲンの産出および/または効果、同時に、ジヒドロテストステロンの産出および/または効果を阻害するような、1つまたはそれ以上の基質(類)からなることを特徴とする、局所適用のための化粧用組成物。
【請求項25】
アロマターゼ阻害剤を、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤と結合することを特徴とする、請求項24に記載の化粧用組成物。
【請求項26】
前記組成物は、アロマターゼおよび5-アルファ-リダクターゼにおける阻害効果を両方有する基質からなることを特徴とする、請求項24に記載の化粧用組成物。」

(2b)「【0012】
【発明を解決するための手段】
この概念で、本発明は、基本的に新規なアプローチに従う。本概念の中心的問題は、そのために特に好適である基質によって性ホルモンの末梢局在、組織-または器官-細胞特異的産出における標的化した介入であり、すなわち本質的にエストロゲンの産出および/または効果を阻害するような基質である。アロマターゼが、これに関連して鍵となる酵素であることが発見されたので、アロマターゼ阻害剤が、本発明において使用するための本発明の好ましく好適な基質として役に立つ。ジヒドロテストステロンの産出の同時の、または追加的な阻害がまた、特に皮膚に適用したときに、好ましく効果的であり得る。この目的を達するために、好ましくは5-アルファ-リダクターゼ阻害剤、しかしまたアルファ-レセプターブロッカーが企図される。」

(2c)「【0019】
さらに、これらは、局所的にエストロゲンの生殖器外産出を阻害する可能性がある基質である。この目的を達成するために、(シトクローム-p450)-アロマターゼのステロイド性および非ステロイド性阻害剤が企図される。アロマターゼは、副腎から由来し、血液を介して運ばれる、(デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびアンドロステンジオンのような)前駆体分子のエストロゲンへの化学的変換を触媒する中心的酵素である。結果として、この酵素の阻害は、エストロゲン産出の局所in situ阻害を導く。これらの活性の特定の有益な経路のために、アロマターゼ阻害剤は、本発明にしたがった使用の適用のために好ましい。
【0020】
アロマターゼ阻害剤の例には以下の基質が含まれる。
ステロイド性アロマターゼ阻害剤:
4-ヒドロキシアンドロスト-4-エン-3,17-ジオン(Formestan und Lentaron)
6-メチレン-アンドロストラ-1,4-ジエン-3,17-ジオン(Exemestan)
・・・」

(2d)「【0041】
性ホルモンの生殖器外、細胞産出または効果が、より特異的に、そしてよりよく適用できるようにするために、エストロゲンの産出および/または効果の阻害に関して以上に記載した1つまたはそれ以上の基質を、ジヒドロテストステロンの産出および/または効果が追加的にまたは同時に阻害されるように、さらなる効果原理で混合してよい。このことは、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤またはアルファ-レセプターブロッカーの使用によってもたらされ、そこで5-アルファ-リダクターゼ阻害剤の使用が特に好ましい。」

(2e)「【0042】
それぞれの型にしたがって区別した、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤の例には、以下のものが含まれる。
1型阻害剤:
・・・
【0043】
2型阻害剤:
ベンゾフェノン-およびインドールカルボン酸
N-tert-ブチル-3-オキソ-4-アザ-5α-アンドロスト-1-エン-17-β-カルボキシアミド(フィナステリド(Finasterid))
二重阻害剤(1型および2型):
・・・
【0044】
非ステロイド性阻害剤
・・・
【0045】
・・・
【0046】
ステロイド性阻害剤:
・・・
【0047】
・・・
【0048】
フィナステリド(Finasterid)
・・・が挙げられる。」

(2f)「【0050】
特に好適な基質として、アロマターゼおよび5-アルファ-リダクターゼにおける阻害効果を両方示しているものが企図される。この二重機能特性を有する基質に関する例として、アンドロステンジオンと類似である、ステロール4-ヒドロキシアンドロステンジオン、およびその誘導体、たとえば上述のフォルメスタン(Formestan)、またはダイズステロールが挙げられる。
【0051】
本発明において、エストロゲンおよびジヒドロテストステロン両方の産出、または効果の同時の阻害が、主に皮膚への局所適用のため、および毛増殖の制御のために新規であり、意味深いことが明らかになったため、以下でさらに詳細に記述するように、本発明は、さらに局所組成物、すなわち皮膚へ適用すべきことが確定される組成物を提供し、組成物は、エストロゲンにおける産出および/または効果、同時にジヒドロテストステロンの産出および/または効果を阻害するように、1つまたはそれ以上の基質(類)を含む。係る組成物は、局所に適用する局所処方で、特に化粧用に適用可能である。この混合効果原理は、それぞれ、一方でエストロゲンの産出または効果を阻害する性質、他方でジヒドロテストステロンの産出または効果を阻害する性質を有する基質の組合せで得ることが可能であり、そこで、上述したそれぞれの機能を有する基質類が好適である。制御性が改善されることから、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤とのアロマターゼ阻害剤の組合せが、本発明において好ましい。この目的を達するために、適用した基質が上述したような二重機能性であり、アロマターゼ阻害および5-アルファ-リダクターゼ阻害の特性を有する実施様態が特に好ましい。」

(2g)「【0071】
皮膚の真皮におけるコラーゲンにプラス方向の影響を与えるために、記述した治療的基質(類)または組成物の局所添加のために適用するべき使用可能な基質に対して好適な処方、たとえば軟膏、クリーム、ゲル、エマルション(ローション)、粉末、油などが選択されてよい。この目的のために、組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、エマルション、粉末または油などのような相当する処方のために典型的である添加物を含む。公知でありかつ商業的に入手可能である、従来の皮膚ケア薬剤が、本発明での使用に関してそれぞれの処方で好適である。係る処方に関する典型的な添加物として、たとえばアーモンド油、オリーブ油、ピーチストーン油、ピーナッツ油、ビーバー油などのような植物油、植物抽出物、エーテル性油、ビタミン油、脂質および脂肪様基質、リポイド、リン脂質、パラフィン、バセリン、ラノリン、ワックスなどのような炭化水素、界面活性剤、レシチン、ラノリン、アルコール、カロチンなどのようなさらなる皮膚薬剤、皮膚栄養物、香料、化粧薬剤、アルコール、グリセロール、グリコール、尿素、タルク、保存剤、日光保護剤、チタンホワイトおよび亜鉛ホワイトのような色素、抗酸化剤などが存在する。一般的に、水は、基礎的基質として役に立ち、それによって通常、硫酸脂肪アルコール、アルカリ石鹸、レシチン、トリエタノールアミンなどのような乳化剤の添加によって、O/W-またはW/O-エマルションが産出される。」

(2h)「【0088】
したがって、本発明のさらに有用な使用は、しわの形成の加速を遅延させるために、エストロゲンの産出または効果を阻害する基質の局所適用によって、少なくとも体の曝露部分を処置することである。このことが、夜間での局所処方でのような、日中に起こっている光または日光曝露の後の、「日光後」適用で好適に実施される。すでに皮膚適用に関して記述された局所処方が好適であり、そこでアロマターゼ阻害剤、この場合特にダイズステロールおよびその類似体が、皮膚によって吸収される固有の能力のために再び好ましい。さらに、男性化効果を中和することより、アロマターゼおよび5-アルファ-リダクターゼ両方の同時阻害が都合がよい。」

(2)本願優先日前の平成13(2001)年1月23日に頒布された刊行物3(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。
(3a)「1.エストロゲンの産生および(または)作用を阻害する1種または2種以上の物質からなる、障害された皮下結合脂肪組織、とりわけ脂肪性浮腫において局部に適用するための化粧用組成物。
・・・
3.アロマターゼ阻害剤が含有されている請求の範囲第1項記載の化粧用組成物。
・・・
7.さらに経皮吸収促進剤が含有されている請求の範囲第1項記載の化粧用組成物。」(2頁2?15行)

(3b)「エストロゲン阻害性有効成分を含有する本発明の化粧用組成物または本発明の化粧品が局部適用にきわめてよく適している別の理由は、存在しうる有効成分が概して容易に、またはさらにもっと容易に経皮吸収されるからである。経皮吸収によりそれぞれの事例で問題がおきる場合、または経皮吸収量をより増加させたい場合、用いる化粧品にさらに経皮吸収促進剤を好ましく用いることができる。前記経皮吸収促進剤は既知のものである。好適な例はヒアルロン酸塩、ジメチルスルフォキシド(DMSO)などである。」(12頁2?8行)

(3c)「局部に適用するために、この目的のため好適に使用される物質の処方(Formulierung)として、たとえば軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、乳剤(ローション剤)、散剤またはオイル剤(Ol)などを選択することができる。このために、化粧用組成物または化粧品は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、乳剤またはオイル剤として適切な処方に通常用いられる添加剤を含有する。記載されかつ市販されている従来の皮膚保護剤(Hautpflegemittel)は本発明で用いる各処方において完全に好適である。前記処方のための通常の添加剤の具体例となる物質は、アーモンド油、オリーブ油、桃仁油、ラッカセイ油およびヒマシ油などの植物油;植物抽出物;精油;ビタミン油;脂肪および脂肪様物質;リポイド;ホスファチド;パラフィン、ワセリン、ラノリンおよびワックスなどの炭化水素類;洗剤;レシチン、ラノリンアルコールおよびカロチンなどのそのほかの皮膚活性物質;皮膚栄養剤;香料;アルコール;グリセリン;グリコール;尿素;タルク;防腐剤;遮光剤;酸化チタンおよび酸化亜鉛などの着色剤;抗酸化剤などである。」(12頁9?22行)

(3d)「実施例3
つぎの成分を混合し、クリーム剤を製造した。
プロピレングリコール 25.0g
ミリスチン酸イソプロピル 6.0g
モノステアリン酸ソルビタン 1.0g
ポリソルベート80 2.0g
セチルステアリルアルコール 6.0g
ステアリルアルコール 2.0g
モノステアリン酸グリセリン 1.0g
ヒアルロン酸 0.1g
アロマターゼ阻害作用を有する 0.35g
酸化された大豆グリシン
精製水 100.0gにする
ための必要量」(16頁下から8行?17頁6行)

(3)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特表2008-537960号公報」(発明の名称:疎水性薬物のドラッグデリバリーシステムとその組成物。以下、「周知例ア」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0111】
・・・当技術分野においては、5α‐レダクターゼの多くの天然阻害因子(例えば、主に緑茶や、ノコギリヤシ種の実から抽出されるノコギリパルメットに由来するカテキンである没食子酸エピガロカテキン)が周知であり、それらの全てを本発明に適用することができる。本発明に適した5α‐レダクターゼの合成阻害因子については、限定を意図しない例として、フィナステライド及びデュタステライドが含まれる。」

(4)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特開2007-230888号公報」(発明の名称:ノコギリヤシ抽出物を含有する栄養補助食品及び発癌予防剤。以下、「周知例イ」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0002】
・・・ノコギリヤシ(Serenoa repens)は北米原産のPalmoae科に属する植物であり、その果実エキスは前立腺肥大に有効であることが知られていた。前立腺肥大の発症にはテストステロンが5-α-還元酵素の作用を受けて生じるジヒドロテストステロンが関わっており、ノコギリヤシ抽出物は5-α-還元酵素を阻害することにより前立腺肥大症の治療または予防効果を発揮する(・・・)と考えられている。また、前立腺癌などの男性ホルモン依存性癌では、その増殖に男性ホルモンを必要とし、テストステロンに比べてジヒドロテストステロンが強い増殖刺激作用を示すことから、ノコギリヤシ抽出物が男性ホルモン依存性癌を抑制することが期待されている。」

(5)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特表2010-517938号公報」(発明の名称:抜け毛(脱毛)防止のための化合物と方法。以下、「周知例ウ」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0008】
ノコギリヤシ抽出油は、経口摂取で、前立腺肥大患者に対して有効であることが知られている一般的なハーブ系サプリメントである。臨床検査では、それが5α還元酵素、すなわちDHTを発生させるのに原因となる酵素、有害な状態のテストステロンに対する効果的な抑制剤であることを証明した。・・・」

(6)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「化粧品ハンドブック、蔵多淑子他編、日光ケミカルズ株式会社他、平成8年11月1日、430?435、599?609頁」(以下、「周知例エ」という。)には、次の事項が記載されている。
(エ1)「2. 酸化防止剤の作用機構
酸化防止剤はその酸化の連鎖反応の途中で生成した過酸化ラジカル(ROO・)と反応し,不活性物質を形成し,連鎖反応を防止する役目をもっている.
酸化防止剤の作用機構は,次式で表すことができる.酸化防止剤AH_(2)が遊離の過酸化ラジカル(ROO・)に作用すると,
ROO・+AH_(2)→ROOH+AH
2AH→AH_(2)+A
あるいは,
ROO・+AH→ROOH+A
となり,Aはフリーラジカルではなく不活性であるから,連鎖反応は停止される.長期間安定化させるには,つぎつぎに生成される過酸化ラジカルと反応し,連鎖反応を停止しなければならないから,酸化防止剤の選択には効果の持続するものを選ぶことが必要である.」(430頁右欄下から9行?435頁左欄9行)

(エ2)「2・2 経皮吸収促進剤の利用
・・・
一般的な経皮吸収促進剤の例を表10・2に示す.
・・・

表10・2 経皮吸収促進剤の種類と作用
水溶性有機溶媒
・・・
角質層の保湿・軟化剤
ピロリドン類,ヒアルロン酸,尿素誘導体 保湿作用
・・・
非プロトン溶媒
ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,・・・
・・・
」(602頁右欄2行?603頁表10・2)


(7)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特開平10-7531号公報」(発明の名称:毛母細胞活性化増強剤。以下、「周知例オ」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0028】上記保湿剤は、公知の保湿剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸(ヒアルロン酸塩を包含する趣旨で用いる)、・・・使用することが可能である。・・・」

(8)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特開平3-34919号公報」(発明の名称:浴用剤。以下、「周知例カ」という。)には、次の事項が記載されている。
「本発明の浴用剤に使用されるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸塩は、分子量が1万?1000万、好ましくは、10万?800万のものである。分子量が1万未満のものでは、保湿効果が不足し、1000万より大きいものでは、べたつき感等の皮膚異和感を発生させ、好ましくない。」(1頁右欄最下行?2頁左上欄5行)

(9)本願優先日当時に既に知られていた事項を示す、「特開2010-241762号公報」(発明の名称:化粧料。以下、「周知例キ」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0009】
ヒアルロン酸は、真皮に多く含まれ、水分を保持する機能を有する。ヒアルロン酸を多く含む肌は、みずみずしく張りがある。
・・・
【0030】
・・・ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸塩であってもよい。・・・」


2 引用例2に記載された発明
(1)引用例2の上記(2a)の請求項1、3、8?9、11?13には、皮膚などにおけるコラーゲンの安定化、増加及び/又は回復のために、エストロゲンの産出及び/又は効果を阻害し、同時にジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を阻害する基質として、アロマターゼ阻害剤を5-アルファ-リダクターゼ阻害剤と結合して、局所適用する化粧用として使用することが記載されているといえる。
そうすると、請求項24は、エストロゲンの産出及び/又は効果と、同時に、ジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を阻害するような、1つ又はそれ以上の基質(類)からなる局所適用のための化粧用組成物であるところ、請求項25に記載の「アロマターゼ阻害剤を、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤と結合する」ものは、請求項25が引用する請求項24における「1つ又はそれ以上の基質(類)」を特定しているものといえる。
ここで、引用例2の上記(2b)、(2c)、(2d)及び(2f)によれば、エストロゲンの産出及び/又は効果を阻害する基質と、ジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を阻害する基質は、それぞれ、アロマターゼ阻害剤と、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤であって、それぞれの具体例が示されている。また、特に好適な基質としてこれらの阻害効果の両方を示すものの具体例も示されている。
そして、上記(2a)の請求項26では、請求項25と同様に請求項24を引用しつつ、アロマターゼ及び5-アルファ-リダクターゼにおける阻害効果を両方有する基質からなることを特定していることからみて、上記請求項25における「アロマターゼ阻害剤を、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤と結合する」ことは、アロマターゼ阻害剤と5-アルファ-リダクターゼ阻害剤が異なる物質であってそれらを組合せたものを意味しているといえる。

(2)また、引用例2の上記(2a)の請求項21及び22には、エストロゲンの産出及び/又は効果を阻害する基質を、皮膚のしわ及び/又は溝、並びに上部皮膚の無緊張症の化粧処置用として、又は皮膚に対する日光の曝露を改善するために使用することも記載されているから、エストロゲンの産出及び/又は効果を阻害する基質からなる請求項24の局所適用のための化粧用組成物の用途には、皮膚のしわ及び/又は溝、並びに上部皮膚の無緊張症の化粧処置用として、又は皮膚に対する日光の曝露を改善するための用途が含まれているといえる。

(3)以上のことから、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「皮膚のしわ及び/又は溝、並びに上部皮膚の無緊張症の化粧処置用の、又は皮膚に対する日光の曝露を改善するための局所適用のための化粧用組成物であって、前記組成物が、エストロゲンの産出及び/又は効果を阻害し、同時に、ジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を阻害する、アロマターゼ阻害剤と5-アルファ-リダクターゼ阻害剤との組合せからなる、局所適用のための化粧用組成物。」

3 対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。

(1)本願発明には、「以下の活性成分から成り、・・・a1)アロマターゼ阻害剤(但し、5-α-還元酵素阻害剤及び酸化防止剤を除く。)、a2)5-α-還元酵素阻害剤、・・・」とあるところ、「除く」とあるのは、活性成分であるa1)が、a2)とは異なるものであることを意図していると解される。このことは、平成30年3月20日受付の意見書に「(b)請求項1において、“a)アロマターゼ阻害剤及び5-α-還元酵素阻害剤”を“a1)アロマターゼ阻害剤(但し、5-α-還元酵素阻害剤及び酸化防止剤を除く。)、a2)5-α-還元酵素阻害剤”に補正し、活性成分が別個の4成分であることを明確にしました。」とあることとも沿う。
したがって、引用発明の「アロマターゼ阻害剤」は、本願発明の「a1)アロマターゼ阻害剤(但し、5-α-還元酵素阻害剤及び酸化防止剤を除く。)」に相当する。
また、「5-アルファ-リダクターゼ」が「5-α-還元酵素」と同義であることは技術常識であるから、引用発明の「5-アルファ-リダクターゼ阻害剤」は、本願発明の「a2)5-α-還元酵素阻害剤」に相当する。

(2)本願発明は「セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料」のように複数の用途について「及び」で記載しているため、本願発明の皮膚用化粧料は、これらの全ての用途を同時に対象としているかのようにも解されるが、本願明細書全体の記載及び技術常識に照らして、セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、又はクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料と解するのが自然である。
そうすると、引用発明の化粧用組成物は、皮膚のしわも対象としているから、両発明は、化粧料の用途において一致しているといえる。
したがって、引用発明の「皮膚のしわ及び/又は溝、並びに上部皮膚の無緊張症の化粧処置用の、又は皮膚に対する日光の曝露を改善するための局所適用のための化粧用組成物」は、本願発明の「セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料」に相当する。

(3)以上のことから、両発明は、次の一致点及び相違点1?2を有する。

一致点:
「以下の活性成分から成り、セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料。
a1)アロマターゼ阻害剤(但し、5-α-還元酵素阻害剤及び酸化防止剤を除く。)、
a2)5-α-還元酵素阻害剤」である点

相違点1:
「a2)5-α-還元酵素阻害剤」について、本願発明は「ノコギリヤシの果実(Serenoa repens,syn.Sabal serrulata)の抽出物、イラクサの根(Urtica dioica)、アフリカ梅(Pygeum africanium)の樹皮抽出物、カボチャの種(Cucurbita pepo seed)の抽出物及びフィナステリドから成る群から選択」されると特定されているのに対し、引用発明はそのように特定されていない点

相違点2:
本願発明は、さらに「b)酸化防止剤」及び「c)ヒアルロン酸」を含み、「該化粧料中に酸化防止剤が0.2重量%?2.5重量%の濃度で存在する」と特定されているのに対し、引用発明はそのように特定されていない点

4 判断
(1)相違点1について
引用例2の上記(2e)に、5-アルファ-リダクターゼ阻害剤の例が記載されているところ、その1つとして「フィナステリド」が記載されている。したがって、引用発明の「5-アルファ-リダクターゼ阻害剤」として「フィナステリド」を選択することは当業者が容易になし得たことである。
また、周知例ア?ウ(上記1(3)?(5))に記載されているように、ノコギリヤシ果実エキスが5-アルファ-リダクターゼ阻害剤であることは周知の事項であるから、引用発明において、「5-アルファ-リダクターゼ阻害剤」として「ノコギリヤシの果実(Serenoa repens, syn. Sabal serrulata)の抽出物」を選択することも当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
ア 引用発明は、化粧用組成物を局所適用することにより、エストロゲンの産出及び/又は効果とジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を同時に阻害して、皮膚のしわなどを化粧処置するか、皮膚に対する日光の暴露を改善することを目的とするものである。
また、引用例2にアロマターゼ阻害剤が皮膚に吸収されることが好ましい旨記載されているとおり(上記(2h))、化粧用組成物中のアロマターゼ阻害剤と5-アルファ-リダクターゼ阻害剤との組合せが皮膚に浸透して作用することが望ましいことは当業者に自明な事項である。
そして、引用例3には、引用発明と同様に、エストロゲンの産出及び/又は作用を阻害するアロマターゼ阻害剤からなる局所適用するための化粧用組成物が記載されており、さらに経皮吸収促進剤が含有されている化粧用組成物が記載されている(上記(3a))。引用例3では、経皮吸収促進剤は公知のものを用い得ることが記載され、好適な例としてヒアルロン酸塩が示され(上記(3b))、実施例3では、アロマターゼ阻害剤とともにヒアルロン酸を配合したクリーム剤を製造したことが示されている(上記(3d))。
ここで、周知例エ?キ(上記1(6)(エ2)、(7)?(9))のとおり、ヒアルロン酸の経皮吸収促進作用は角質層の保湿作用によるものであることが知られており、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸塩が同等のものとして扱われることも当業者に周知の事項である。

イ また、引用例2の上記(2g)には、組成物に配合し得る典型的な添加物として、抗酸化剤が記載されており、同様に、引用例3の上記(3c)にも、抗酸化剤を配合できることが記載されているように、化粧用組成物の典型的な添加物として抗酸化剤、すなわち酸化防止剤があることは周知の事項である。

ウ そうしてみると、引用発明において、エストロゲンの産出及び/又は効果とジヒドロテストステロンの産出及び/又は効果を同時に阻害することを、より効果的に行うことを目的として、さらに経皮吸収促進剤であるヒアルロン酸を配合して化粧用組成物中のアロマターゼ阻害剤と5-アルファ-リダクターゼ阻害剤の経皮吸収を促進することや、化粧用組成物の周知の添加剤である酸化防止剤を配合することは、引用例2、3及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たことであり、化粧料組成物中の酸化防止剤の量を0.2?2.5重量%程度とすることも格別なことではない。

(3)本願発明の効果について
ア 本願明細書には、本願発明を実施した実施例は記載されていない。すなわち、本願明細書記載の実施例1?3は、いずれも活性成分として、アセトキシアンドロステンジオン(アロマターゼ阻害剤)、α-リポ酸(酸化防止剤)及びヒアルロン酸の3成分を配合したものであり、さらに、5-α-還元酵素阻害剤を配合したものは示されていない。

イ 請求人は、平成28年1月4日付け手続補足書で、以下の試験結果1及び試験結果2を提出している。
<試験結果1>
活性成分として以下の成分を含有する化粧品が、クモ状静脈に対して効果を奏したことが示されている。
1.0%アセトキシ-アンドロステンジオン(アロマターゼ阻害剤)
0.5%ノコギリヤシエキス(5-α-還元酵素阻害剤)
0.5%α-リポ酸(酸化防止剤)
0.5%ヒアルロン酸
<試験結果2>
比較となるクリーム(比較品という)と、本願発明に該当する2つのクリーム(本願発明品1及び2という)を調製し、クモ状静脈、ストレッチマーク、セルライト、皮膚老化(皮膚の引き締めによって評価)についての効果を確認したところ、比較品に比べて本願発明品1及び2が、クモ状静脈、ストレッチマークについて比較的良好であり、セルライト、皮膚老化(皮膚の引き締めによって評価)について最良の結果を示した旨記載されている。
○比較品
1.0%アセトキシアンドロステンジオン(アロマターゼ阻害剤)
0.5%ヒアルロン酸
○本願発明品1
1.5%コマツナ(アロマターゼ阻害剤)
1.2%ノコギリヤシ果実エキス(5-α-還元酵素阻害剤)
1.0%カメリア・シネンシス抽出物(酸化防止剤)
0.5%ヒアルロン酸
○本願発明品2
1.0%アセトキシアンドロステンジオン(アロマターゼ阻害剤)
1.2%ノコギリヤシ果実エキス(5-α-還元酵素阻害剤)
0.5%α-リポ酸(酸化防止剤)
0.5%ヒアルロン酸
上記試験結果1及び2によれば、本願発明に該当する、4つの活性成分を配合した皮膚用化粧料が、セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈に効果を奏することが理解できるが、試験結果2を参照しても、アロマターゼ阻害剤と5-α-還元酵素阻害剤に加えて、酸化防止剤とヒアルロン酸を配合したことにより、格別な効果を奏するかどうかは不明である。
すなわち、試験結果2の比較品は、アロマターゼ阻害剤とヒアルロン酸との組合せであって、アロマターゼ阻害剤と5-α-還元酵素阻害剤の組合せに、さらにヒアルロン酸及び酸化防止剤を加えたことによる効果は確認できない。しかも、本願発明品1及び2はいずれも、比較品と同量以上のアロマターゼ阻害剤を含むうえ、さらに5-α-還元酵素阻害剤をも含むものであるから、比較品より優れた効果が奏されるとしても、それは当業者の予測を超える効果であるとはいえない。

ウ 上記のとおり、実施例や試験結果からは、本願発明が引用発明から容易になし得たものに比べて優れた効果を奏するものか確認できないので、本願明細書の記載を参照すると、本願明細書には、次のように記載されている。
・「有害なラジカルによる効果が、酸化防止剤の作用によって、同時に低減され又は完全に避けられ、それにより、皮膚を新たな損傷からより良く保護することが提供される。」(【0010】)
・「皮膚の外観の予想外の改善は、本発明による組成物の各単一成分の相乗的な協働により引き起こされると考えられる。アロマターゼ阻害剤及び/又は5-α-還元酵素阻害剤の作用によって、テストステロンからエストロゲンへの変換が局所的に減少し、又は妨げられる。・・・特に、ヒアルロン酸の同時使用は、アロマターゼ阻害剤と5-α-還元酵素阻害剤の吸収と酸化防止剤の吸収を改善し、これら活性成分を皮膚中に保持するので、これらの活性成分のそれぞれの効果を追加的に高めるため重要である。」(【0011】)
・「前述したように、酸化防止剤は、フリーラジカルから保護し、その結果、皮膚の新しい損傷を軽減又は防止する。」(【0012】)
・「本発明の酸化防止剤は、フリーラジカルを捕捉するか、又は細胞に及ぼす有害な影響を終了する“ラジカルスカベンジャー”である。」(【0016】)
・「α-リポ酸は、細胞の脂質相と同様に水性相で活性である。この物質は、皮膚を介して非常によく再吸収される。これは、ヒアルロン酸と組み合わせた場合に特にそうである。」(【0020】)
これら、本願明細書の記載によれば、本願発明の「a1)アロマターゼ阻害剤」及び「a2)5-α-還元酵素阻害剤」は、テストステロンからエストロゲンへの変換を局所的に減少させるという効果を奏するものであり、「b)酸化防止剤」は、フリーラジカルからの保護やラジカルスカベンジャーとして、酸化防止剤そのもののよく知られた効果を奏するものであり(周知例エ、上記1(6)(エ1))、「c)ヒアルロン酸」は吸収を改善、促進する効果を奏するものであることが理解でき、これら4成分による相乗的な協働とあるのも、それぞれの成分の作用を発揮することと理解できるところに留まる。本願明細書の実施例及び手続補足書で示された試験結果からも4成分を併用したことによる相乗効果を確認することはできない。
そうすると、引用発明も、アロマターゼ阻害剤と5-アルファ-リダクターゼ阻害剤との組合せがエストロゲンの産出及び/又は効果を阻害するものであるところ、酸化防止剤及び経皮吸収促進剤としてのヒアルロン酸を併用することによりもたらされる効果は、当業者が予測し得た範囲内のものであって、格別顕著なものということはできない。

(4)請求人の主張について
ア 請求人は、平成30年3月20日受付の意見書において、要するに次のように主張しているものと解される。

a 引用例2は、コラーゲン繊維の増加等によりこれらの皮膚外観の改善を図る発明であるのに対し、本願発明は皮膚中の微小循環の改善により皮膚外観の改善を図る発明である。
したがって、引用例2及び3は、妊娠線やセルライト等は改善されるが、本願発明のようにクモ状静脈の改善などは記載されていない。引用例2と改善される皮膚外観において重複する外観もあるが、クモ状静脈の改善は本願発明だけである。

b 引用例2は、フリーラジカルがエストラジオールを活性化するので、酸化防止剤によってフリーラジカルを不活性化することでエストロゲンの効果を阻害することの必要性を認識しておらず、酸化防止剤が、セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈に関する皮膚の外観の改善に寄与するさらなる必須物質であることを開示していない。
それに対し、本願発明は、アロマターゼ阻害剤、5-α-還元酵素阻害剤及びヒアルロン酸に加えて、酸化防止剤が必要であり、これらを組み合わせて用いることによって、エストロゲンが皮膚に及ぼす悪影響の可能性のある全ての発生源を除去し、皮膚の代謝を調和させ、皮膚外観を改善するものである。

イ そこで上記主張a及びbについて順に検討する。

a 本願明細書には、「理論によって本発明の範囲を限定するものではないが、本発明による効果は、皮膚の微小循環の改善に基づく。これは、皮膚の水結合が増加することをもたらすだけでなく、コラーゲン繊維の強化とその結果の滑らかな皮膚表面をもたらす。」(【0010】)、「アロマターゼ阻害剤及び/又は5-α-還元酵素阻害剤の作用によって、テストステロンからエストロゲンへの変換が局所的に減少し、又は妨げられる。」(【0011】)と記載されているように、本願発明もアロマターゼ阻害剤と5-α-還元酵素阻害剤によりエストロゲンの効果を阻害して、コラーゲン繊維の強化などをもたらすものであるといえるから、請求人の主張は採用し得ない。
そして、本願発明は、クモ状静脈の改善用の皮膚用化粧料に特定されているものではないから、引用例2にクモ状静脈の改善用であることが記載されていなくても、新たな相違点とはならない。
また、本願発明は「セルライト、ストレッチマーク、老化の兆候、しわ、及びクモ状静脈における化粧目的のために使用される皮膚用化粧料」と記載されているところ、これら全てを同時に改善することに限定されていると解されないことは、上記3(2)で既に述べたとおりである。

b 引用発明にさらに酸化防止剤を配合することは、引用例2に酸化防止剤を配合できることが記載されていることや周知の事項から動機付けられることであって、引用例2、あるいは引用例3にフリーラジカルがエストラジオールを活性化するために、酸化防止剤を添加することについて記載されている必要はない。
また、そもそも、上記(3)ウのとおり、本願明細書には、酸化防止剤についてフリーラジカルがエストラジオールを活性化することを防止するなどの技術事項について記載されているところはなく、請求人の主張は、本願明細書の記載に基づかないものであって採用できない。

5 まとめ
よって、本願発明は引用例2?3に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易になし得たものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例2?3に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-05-02 
結審通知日 2018-05-07 
審決日 2018-05-18 
出願番号 特願2013-550898(P2013-550898)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片山 真紀  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 関 美祝
安川 聡
発明の名称 皮膚用化粧料  
代理人 栗原 和彦  
代理人 赤尾 謙一郎  
代理人 下田 昭  
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