• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C10L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C10L
管理番号 1344805
異議申立番号 異議2018-700021  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-10 
確定日 2018-08-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6161242号発明「混合燃料の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6161242号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6161242号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯等

1 本件特許異議申立に係る特許
本件特許異議申立に係る特許第6161242号は、特許権者である大王製紙株式会社より、平成24年8月23日に特許出願され、特願2012-184556号として審査され、平成29年6月23日に、発明の名称を「混合燃料の製造方法」、請求項の数を「1」として特許権の設定登録を受けたものである(以下、請求項1に係る特許を「本件特許」という。)。

2 手続の経緯
本件特許異議申立における手続の経緯は、おおよそ次のとおりである。
平成30年 1月10日 特許異議申立
同年 2月27日付 取消理由通知
同年 5月 1日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 6月 8日 意見書の提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否

1 訂正事項
上記平成30年5月1日付けの訂正請求による、特許請求の範囲についての訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容(訂正事項1)は次のとおりである。
・訂正事項1:特許請求の範囲の請求項1に「バイオマス」と記載されているのを、「木質系バイオマス」に、「密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下である混合燃料の製造方法。」と記載されているのを、「密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下であり、混合する上記石炭の密度に対する上記成型物の密度の比が0.5以上2以下である混合燃料の製造方法。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0023】の記載に基づいて、バイオマスの種類を、木質系バイオマスに限定するとともに、同【0041】の記載に基づいて、混合する石炭の密度に対する成型物の密度の比を追加するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、さらに、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。

3 小括
上記「2」のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正することを認める。

第3 本件特許請求の範囲の記載

上記「第2」のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件訂正後の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に記載された事項により特定される発明を「本件発明」という。)。
「【請求項1】
焙焼された木質系バイオマスからなる成形物と石炭とを混合する工程、及び
混合された上記成形物と石炭とを粉砕する工程を有し、
上記成形物が、上記木質系バイオマスにバインダーを添加して、50℃から200℃の加熱温度下で押出成型機を用いて成型され、柱状で、アスペクト比が2以上10以下、密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下であり、
混合する上記石炭の密度に対する上記成型物の密度の比が0.5以上2以下である混合燃料の製造方法。」

第4 平成30年2月27日付け取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立理由と同旨)についての当審の判断

1 標記取消理由の概要
(1) サポート要件及び明確性要件に関するもの
当審は、本件訂正前の本件特許は特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件(サポート要件、明確性要件)を満たしていない特許出願に対してされたものである、と判断した。
その理由は、おおむね以下のとおりであった。
ア サポート要件について
本件訂正前の請求項1は、成型温度について、「50?200℃の加熱温度」と広範に特定し、バインダーの種類、混合工程における成形物と石炭の混合比及びバイオマスの種類について、何ら特定するものではないから、出願時の技術常識に照らしても、これらの点について、本件訂正前の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
明確性要件について
本件訂正前の請求項1が規定する密度がどのような密度であるのか不明であるため、当該請求項に係る発明は不明確である。
(2) 進歩性に関するもの
また、当審は、特許異議申立人が提出した証拠に基づき、本件訂正前の発明は特許法第29条第2項の規定(進歩性)により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第29条に違反してされたものである、と判断した。

2 サポート要件及び明確性要件に関する取消理由についての検討
標記取消理由について再度検討するに、当審は、当該取消理由は本件訂正後の特許請求の範囲に記載については妥当でないと判断する。
その理由は以下のとおりである。
(1) サポート要件について
ア まず、本件発明の課題についてみると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、【背景技術】について、「得られた燃料を用い、より高熱量かつ安定的な燃焼を行うため、焙焼された木材と石炭とを混合し、粉砕したものを燃焼させることが行われている。しかし、焙焼された木材と石炭とは、サイズ、密度、硬さなどが大きく異なるため、均一に混合及び粉砕することが困難である。従って、上記技術において得られる燃料も安定的な燃焼といった点からは不十分である。」(【0004】)と記載され、これを踏まえ、【発明が解決しようとする課題】について、「本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、焙焼されたバイオマスを用い安定的な燃焼を行うことができる混合燃料の製造方法、及びこの製造に用いられる成型物を提供することを目的とする。」(【0006】)と記載されている。
そうすると、本件発明は、従来、焙焼された木材と石炭とを混合し、粉砕したものを、燃料として燃焼させることが行われていたものの、焙焼された木材と石炭とは、サイズ、密度、硬さなどが大きく異なるため、均一に混合及び粉砕することが困難であったため、得られる燃料も安定的な燃焼といった点からは不十分であったことに鑑みてなされたものであり、焙焼されたバイオマスを用い安定的な燃焼を行うことができる混合燃料の製造方法を提供することを目的とするものであることが分かる。
イ また、当該発明の詳細な説明には、「従来、焙焼されたバイオマスは、通常のバイオマス(木材等)と比して柔らかいため、単に石炭と混合して粉砕することで、容易にこれらの粉砕が生じると考えられていた。しかし、密度や硬度が大きく異なる二種類を混ぜると、どちらか一方のみ(通常硬度が高いほう)の粉砕が優先的に生じ、もう一方の粉砕が十分に進行しないことが確認された。そこで、二種類の密度や硬度が近づくようバイオマスを成型物とすることで、粉砕手段等は変化させなくとも、均一な粉砕が可能となることを見出した。」(【0021】)と記載されていることから、均一な粉砕を可能とし、もって上記本件発明の課題を解決するためには、「二種類の密度や硬度が近づくようバイオマスを成型物とすること」が重要であることを理解することができる。
ウ さらに、成型温度、バインダーの種類、混合工程における成形物と石炭の混合比、及びバイオマスの種類について、当該発明の詳細な説明には、次のように説明されている。
・(成型温度について)
「【0033】
押出成型機を用いて成型を行う際、通常、加熱しながら行うが、この加熱温度としては50℃以上200℃以下が好ましく、80℃以上150℃以下がより好ましい。焙焼されたバイオマスには、リグニンやヘミセルロースが残存する。リグニンの軟化点は約150℃、ヘミセルロースの軟化点は約180℃とされている。そのため、例えば200℃を超える高温での成型は、これらの物質が一旦軟化し、再度硬化することでバインダーとして成型物の強度を高めてしまうため、粉砕工程における均一かつ微細な粉砕が困難となる。そこで、このように200℃以下、より好ましくは150℃以下で成型することで、比較的密度が高くかつ脆い状態の成型物を得ることができ、粉砕工程において容易に石炭と共に粉砕することができる。また、所定温度以上に加熱して成型することで、バイオマス中の水分が成型の際に蒸発し、得られる成型物の多孔質性を高め、結果として粉砕性を高めることができる。」
・(バインダーの種類について)
「【0032】
この成型工程(b)においては、バイオマスに対してバインダーを添加して行うことが好ましい。バインダーを添加することで、成型性が高まると共に、得られる成型物の密度や強度が良好な状態となり、粉砕性をより高めることができる。上記バインダーとしては、特に限定されないが、澱粉やリグニン等を用いることができる。このようなバインダーを用いることで、上記効果をより高めることができる。さらに、リグニンを用いた場合は製紙産業における資源の有効利用をより効果的に図ることができる。上記バインダーの添加量としては、特に制限されないが、バイオマス100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。添加量が上記下限未満の場合は、バインダーを添加した効果が十分に発揮されない場合がある。逆に、添加量が上記上限を超えると、得られる混合燃料の発熱量が低下するおそれなどがある。」
・(混合工程における成形物と石炭の混合比について)
「【0040】
この混合工程における成型物と石炭との混合比としては、特に制限されないが、質量基準で、5:95以上50:50以下が好ましく、10:90以上40:60以下がより好ましい。成型物の混合比が上記下限未満の場合は、バイオマスの有効利用を十分に図ることができない。一方、成型物の混合比が上記上限を超える場合は、発熱量の安定性に支障をきたす場合がある。」
・(バイオマスの種類について)
「【0023】
焙焼工程(a)
本工程では、バイオマスを焙焼する。バイオマスとは、化石燃料以外の生物由来の資源をいい、間伐材、剪定枝、廃材、樹皮チップ、その他の木材、竹、草、やし殻、パームオイル残渣、野菜、果実、食品残渣、汚泥等を挙げることができる。これらのバイオマスの中でも、間伐材、剪定枝、廃材、樹皮チップ、その他の木材等の木質系バイオマスが好ましく、樹皮チップがさらに好ましい。このような材料を用いることで、製紙工程において十分に活用されていなかった資源の有効活用を図ることができる。」
エ 上記「ウ」の記載事項からみて、成型温度、バインダーの種類、混合工程における成形物と石炭の混合比、バイオマスの種類といった諸因子は、確かに、得られる成型物の密度や強度に影響を与える因子であり、粉砕性の良し悪しを左右するものであるということができるが、上記「イ」のとおり、当該発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、均一な粉砕を可能とし、もって上記本件発明の課題を解決するために重要となるのは、「二種類の密度や硬度が近づくようバイオマスを成型物とすること」であると理解するのであるから、これらの諸因子は、相応の条件を満たしていれば事足り、実施例における特定の条件に限定しなければ、本件発明の課題を解決することができないとまでは認識しないと考えるのが合理的である。
すなわち、当該発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、「二種類の密度や硬度が近づくようバイオマスを成型物とすること」という技術的事項を具備するものであれば、上記諸因子にさほどの影響を受けることなく、本件発明の課題をおおよそ解決することができると認識すると解するのが相当である。
オ 一方、本件発明に係る混合燃料の製造方法は、「混合する上記石炭の密度に対する上記成型物の密度の比が0.5以上2以下である」点を発明特定事項とするものであるから、本件発明は、当該混合燃料を構成する二種類、すなわち、成形物(成型物)と石炭の二種類の密度が近づくように配慮され、そのために、木質系バイオマスを成形物(成型物)としたものであるということができる。
カ そうすると、本件発明(特許請求の範囲に記載された範囲)は、「二種類の密度や硬度が近づくようバイオマスを成型物とすること」という技術的事項を具備するもの、すなわち、上記発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者において、本件発明の課題が解決できると認識できる範囲内のものということができる。
したがって、本件特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合するものと認められる。
(2) 明確性要件について
確かに、本件発明は、密度の種類(定義)までを特定するものではないが、一般に、燃料ペレットや石炭の密度として、かさ密度が使用されていることに照らすと〔後記甲1(部分翻訳)の段落0008、0021、甲4(抄訳)の398頁の表7、甲5の段落0005、甲6の40頁右欄4行などを参照した。〕、本件発明の「密度」は、「かさ密度」のことであると解するのが合理的であるから、当該密度の種類の特定がないことをもって、本件発明が不明確であるということはできない。
(3) 小括
以上のとおりであるから、サポート要件違反及び明確性要件違反を理由に、本件特許を取り消すことはできない。

3 進歩性に関する取消理由についての検討
(1) 証拠類
本件特許については、特許異議申立人が提出した証拠類は、次のとおりである(以下、甲第1号証などを「甲1」などと略して表記する。)。
・甲1:欧州特許出願公開第1990399号明細書
・甲2:国際公開第2011/062488号
・甲3:国際公開第2011/135305号
なお、特許異議申立人は、平成30年6月8日付け意見書に添付して次の証拠も提出している。
・甲4:INDUSTRIAL BIOTECHNOLOGY、VOL .7、No.5、2011年10月、384-401頁
・甲5:特開2004-331928号公報
・甲6:資源処理技術、Vol.38、No.1、1991、38-4 3頁
(2) 甲1?3の記載事項
ア 甲1(部分翻訳)には、概略、以下の事項が記載されているといえる。
(ア) 圧縮成形された焙焼EFB(empty fruit bunch)材料を、石炭と一緒に粉砕して、パワープラントにフィードすることができること(段落0011、0029等)。
(イ) 粒子状焙焼EFBプロダクトの圧縮成形は、ペレット化及び/またはブリケット化によって行うことができること(段落0020等)。
(ウ) 粒子状焙焼EFBプロダクトが、かさ密度0.70-0.90kg/Lの圧縮成形されたペレットであり、粒子状焙焼EFBプロダクトの粒子は、直径が約0.3-0.7mm、長さが約1-2.5cmの範囲にある円筒形状を有すること(段落0008、0021)。
(エ) 粒子状焙焼EFBプロダクトが石炭と、熱量等において非常に類似しているから、粒子状焙焼EFBプロダクトが、石炭火力パワープラントにおいて使用することに非常に適していること(段落0029)。
(オ) 木質ペレットでは、熱量と粉砕に関して問題が生じること(段落0029)。
イ 甲2(抄訳)には、概略、以下の事項が記載されているといえる。
(ア) 圧縮された(compressed)又は小型化された(compacted)固形燃料体、好ましくは、ペレットまたはブリケットを製造する方法であって、40?95℃より高い温度で、ブリケット押出機または圧縮機、より好ましくはペレット化機(pe11etization)などの圧縮化または小型化することを含む方法(4頁10?23行)。
(イ) 圧縮化または小型化工程における好ましい温度範囲は80?100℃であること(5頁26?28行)。
(ウ) 樹皮などの木材を燃料ペレットの材料とすること(7頁19?25行)。
(エ) 木材として焙焼木材を用いてもよいこと(7頁26?32行、クレーム6)
(オ) 圧縮又は小型化加工補助組成物は、でんぷん系バインダーと共に使用することが好ましいこと(8頁7?9行)。
(カ) 圧縮機は、CPMタイプCL5であること(11頁25?27行)。
(キ) 圧縮物(ペレット)は、直径6mm、長さ約10?12mmであること(11頁25?27行、12頁表1)。
ウ 甲3(部分翻訳)には、概略、以下の事項が記載されているといえる。
(ア) 粒状、ブリケット化した、もしくは、塊とした焙焼バイオマスを、公知のバインダーを用いて作成すること(9頁31行?10頁6行)。
(イ) 石炭と焙焼バイオマス成形物〔ブナ材CPM(登録商標)ペレット〕とを90?80%:10?20%で混合し粉砕すること(12頁20?24行)。
(3) 甲1に記載された発明(甲1発明)
甲1には、木質ペレットでは、熱量や粉砕において問題が生じるところ、焙焼EFB圧縮成形物を石炭と一緒に粉砕して、パワープラントの燃料にできることが記載されている(上記(2)アの摘示事項(ア)、(エ)、(オ))。
また、焙焼EFB圧縮成形物が、かさ密度0.70-0.90kg/L(g/cm^(3))のペレットであり、該成形物の粒子は、直径が約0.3-0.7mm、長さが約1-2.5cmの範囲にある円筒形状を有することも記載されている(上記(2)アの摘示事項(ウ))。ここで、この直径と長さから計算すると、当該成形物のアスペクト比は、約1.4?8.3となる。
これらのことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「圧縮成形された焙焼EFB(empty fruit bunch)材料を石炭と一緒に粉砕する工程を有し、
上記圧縮成形された焙焼EFB材料が、アスペクト比約1.4?8.3(直径約0.3?0.7mm、長さ約1?2.5cm)の円筒形状で、かさ密度が0.70?0.90g/cm^(3)である、
混合燃料の製造方法。」
(4) 本件発明と甲1発明との対比
本件発明と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違するといえる。
・相違点:
本件発明は、「焙焼された木質系バイオマスからなる成形物」を用いるものであって、当該「焙焼された木質系バイオマスからなる成形物」は、「密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下であり」、「混合する上記石炭の密度に対する上記成型物の密度の比が0.5以上2以下である」のに対して、甲1発明は、「圧縮成形された焙焼EFB材料」(当該「EFB材料」は、甲1の発明の名称のとおり、パーム椰子の空果房であり、本件特許明細書の【0023】に記載された「パームオイル残渣」に相当するものと解される。)を用いるものであるから、かさ密度が0.70?0.90g/cm^(3)であるのは、あくまで、当該「圧縮成形された焙焼EFB材料」であって、「焙焼された木質系バイオマスからなる成形物」ではない点。
(5) 相違点についての検討
上記「(2)イ、ウ」のとおり、甲2には、焙焼木材などをペレットあるいはブリケット化する際の加熱温度やバインダー、さらには、ペレット形状などについての記載があり、甲3には、焙焼バイオマスを公知のバインダーを用いて成形すること、及び、石炭と焙焼バイオマス成形物との混合比率などについての記載がある。
また、甲4?6〔特に甲4(部分訳)の398頁の表7、甲5の段落0005、甲6の40頁右欄4行を参照した。〕には、一般的な石炭のかさ密度についての記載がある。
しかしながら、甲1発明の「EFB材料」を、本件発明の「木質系バイオマス」に置き換える動機付けとなるような事実は見当たらず、仮に、甲1発明の「EFB材料」を「木質系バイオマス」に置き換えたとしても、甲1に記載されたかさ密度(0.70?0.90g/cm^(3))は、あくまで、「圧縮成形された焙焼EFB材料」のものであって、「焙焼された木質系バイオマスからなる成形物」のものではない上、当該かさ密度は、石炭の密度との関係で規定されたものではないから、上記のとおり置き換えられた「木質系バイオマス」の成形物(成型物)についてまで、「密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下であり」、「混合する石炭の密度に対する成型物の密度の比が0.5以上2以下である」という本件発明の規定を満足するものであるということはできず、また、当該規定を満足するように調整することを容易想到というに足りる根拠も見当たらない。
そうすると、上記相違点に係る本件発明の技術的事項は、当業者が容易に想到し得るものとは言い難い。
そして、本件発明は、当該技術的事項を具備することにより、本件発明の課題を解決し、本件特許明細書記載の所期の効果を奏するものである。
したがって、本件発明は進歩性を有するものであるから、本件特許を標記取消理由により取り消すことはできない。

第5 結び

以上のとおり、本件特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとも、同法第29条の規定に違反してされたものであるともいえず、同法第113条第2号又は第4号に該当するとは認められないから、上記取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載された特許異議申立理由も同じ)によっては、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙焼された木質系バイオマスからなる成形物と石炭とを混合する工程、及び
混合された上記成形物と石炭とを粉砕する工程を有し、
上記成形物が、上記木質系バイオマスにバインダーを添加して、50℃から200℃の加熱温度下で押出成型機を用いて成型され、柱状で、アスペクト比が2以上10以下、密度が0.7g/cm^(3)以上1.0g/cm^(3)以下であり、
混合する上記石炭の密度に対する上記成型物の密度の比が0.5以上2以下である混合燃料の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-08-09 
出願番号 特願2012-184556(P2012-184556)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C10L)
P 1 651・ 537- YAA (C10L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森 健一  
特許庁審判長 國島 明弘
特許庁審判官 日比野 隆治
井上 能宏
登録日 2017-06-23 
登録番号 特許第6161242号(P6161242)
権利者 大王製紙株式会社
発明の名称 混合燃料の製造方法  
代理人 天野 一規  
代理人 天野 一規  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ