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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01H 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01H |
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管理番号 | 1344819 |
異議申立番号 | 異議2017-701046 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-09 |
確定日 | 2018-08-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6132341号発明「可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6132341号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、4、5について訂正することを認める。 特許第6132341号の請求項1、4、5に係る特許を維持する。 特許第6132341号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6132341号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成25年5月9日に特許出願され、平成29年4月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許の請求項1?4に係る特許について、特許異議申立人 古山陽子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成30年2月26日付けで取消理由を通知し、同年5月1日付けで意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 なお、当審において、平成30年6月8日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をし、特許異議申立人に、期間を指定して前記訂正の請求に対して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答もなかった。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 平成30年5月1日の訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。 なお、下線部は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、」 とあるのを、 「操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、」 に訂正し(以下、「訂正事項1-1」という。)、 「前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、」 とあるのを、 「前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、」 に訂正する(以下、「訂正事項1-2」という。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、 「請求項1ないし請求項3に記載の可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。」 とあるのを、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、 「可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に、 「請求項1ないし請求項3に記載の可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。」 とあるのを、請求項1を引用した請求項3を引用するものについて独立形式に改め、 「可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。」 と記載して、新たに請求項5とする。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0011】に、 「操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、」 と記載されているのを、 「操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、」 に訂正し、 「前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、」 と記載されているのを、 「前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、」 に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0012】を削除する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0013】を削除する。 (9)訂正事項9 明細書の段落【0014】に、 「請求項4に記載の可動接点部材を用いたスイッチ装置においては、請求項1ないし請求項3に記載の可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転する、という特徴を有する。」 と記載されているのを、 「請求項4に記載の可動接点部材を用いたスイッチ装置においては、可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、前記可動接点部材は、膨出して形成されたドーム部と、前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転する。 請求項5に記載の可動接点部材を用いたスイッチ装置においては、可動接点部材と、前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、前記可動接点部材は、膨出して形成されたドーム部と、前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転する。」 に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落【0015】に、 「したがって、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材を提供することができる、という効果を奏する。」 と記載されているのを、 「したがって、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材を提供することができる、という効果を奏する。更に、ドーム部が反転することで、操作者に対する操作感触を発生させることができ、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降することで、電気的スイッチングを行った後に、操作感触を発生させることができる、という効果を奏する。」 に訂正する。 (11)訂正事項11 明細書の段落【0016】を削除する。 (12)訂正事項12 明細書の段落【0017】を削除する。 (13)訂正事項13 明細書の段落【0018】に、 「請求項4の発明によれば、」 と記載されているのを、 「請求項4及び5の発明によれば、」 に訂正する。 (14)訂正事項14 明細書の段落【0055】を削除する。 2.当審の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 (ア)訂正事項1-1 訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る発明の「押圧により反転する可動接点部材」との事項を、「押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材」と訂正するものであり、可動接点部材のドーム部が反転することを限定するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。 (イ)訂正事項1-2 訂正事項1-2は、訂正前の請求項1に係る発明の「前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、」との事項に、「操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、」との事項を付加するものであり、接触部について限定を付すものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であること (ア)訂正事項1-1 本件特許の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。また、特許請求の範囲、図面と合わせて「特許明細書等」という。)の段落【0037】には、 「図7に示す状態からさらに駆動体4の操作部4bを下方に押圧すると、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間の電気的な導通を保持したまま、ドーム部1aはさらに下方へ撓むとともに、腕部1fも下方へ撓み、図8に示すように、ドーム部1aは反転する。」 との記載がある。また、訂正前の請求項2には「前記ドーム部が反転する」と記載されている。 そうすると、訂正事項1-1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。 (イ)訂正事項1-2 特許明細書の段落【0036】には、 「図2に示す状態から駆動体4の操作部4bを下方に押圧すると、駆動体4の押圧部4cは保持シート5を介して可動接点部材1を押圧する。・・・下方へ押圧されたドーム部1aは下方へ撓む。ドーム部1aの撓みに連動して、接触部1cは下方へ移動し、図7に示すように、第2固定接点部3bと接触する。」 と記載されており、また、段落【0037】には、 「図7に示す状態からさらに駆動体4の操作部4bを下方に押圧すると、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間の電気的な導通を保持したまま、ドーム部1aはさらに下方へ撓むとともに、腕部1fも下方へ撓み、図8に示すように、ドーム部1aは反転する。反転は瞬間的に行なわれ、押圧に抗する力が急激に変化するため、駆動体4を介して操作者に操作感触として伝わる。」 と記載されている。 さらに、訂正前の請求項3には「下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降する」と記載されている。 そうすると、訂正事項1-2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、訂正前の請求項1に係る発明に限定を付すものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。 (2)訂正事項2、3について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除し、訂正事項3は訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2及び訂正事項3は、請求項2及び3を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (3)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、訂正前の請求項1を引用する記載であった訂正前の請求項4の記載を、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (4)訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正前の請求項1を引用した請求項3を引用する記載であった訂正前の請求項4の記載を、請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (5)訂正事項6について ア 訂正の目的 訂正事項6は、訂正前の明細書の段落【0011】の記載が、訂正前の請求項1に対応した記載であったところ、訂正事項1により請求項1が訂正されたことに伴い当該段落の記載を訂正するものである。 そうすると、訂正事項6は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、訂正事項1と同内容の訂正であるので、上記「(1)イ」及び「(1)ウ」で述べたと同様の理由で、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (6)訂正事項7、8について ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正前の明細書の段落【0012】の記載が、訂正前の請求項2に対応した記載であったところ、訂正事項2により請求項2が削除されたことに伴い当該段落を削除する訂正である。 また、訂正事項8は、訂正前の明細書の段落【0013】の記載が、訂正前の請求項3に対応した記載であったところ、訂正事項3により請求項3が削除されたことに伴い当該段落を削除する訂正である。 そうすると、訂正事項7及び訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7及び訂正事項8は、段落【0012】、【0013】を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (7)訂正事項9について ア 訂正の目的 訂正事項9は、訂正前の明細書の段落【0014】の記載が、訂正前の請求項4に対応した記載であったところ、訂正事項4及び訂正事項5により訂正前の請求項4が訂正後の請求項4及び5に訂正されたことに伴い当該段落の記載を訂正するものである。 そうすると、訂正事項9は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項9は、訂正事項4及び訂正事項5と同内容の訂正であるので、上記「(3)イ」及び「(4)イ」で述べたと同様の理由で、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (8)訂正事項10について ア 訂正の目的 訂正事項10は、訂正前の明細書の段落【0015】の記載が、訂正前の請求項1に係る発明の効果を記載したものであったところ、訂正事項1により請求項1が訂正されたことに伴い、当該段落の記載を訂正後の請求項1に係る発明の効果に対応した記載にするための訂正である。 そうすると、訂正事項10は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 特許明細書の段落【0017】には、 「請求項2によれば、ドーム部が反転することで、操作者に対する操作感触を発生させることができる、という効果を奏する。」 との記載があり、段落【0018】には、 「請求項3の発明によれば、下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降することで、電気的スイッチングを行った後に、操作感触を発生させることができる、という効果を奏する。」 との記載がある。 そうすると、訂正事項10は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するといえる。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項10は、訂正事項1により訂正された請求項1に係る発明の、可動接触部材の反転する部位及び接触部の態様の限定に関する発明の効果を明確にする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するといえる。 (9)訂正事項11、12について ア 訂正の目的 訂正事項11及び訂正事項12は、訂正前の明細書の段落【0016】及び【0017】の記載が訂正前の請求項2及び3に係る発明の効果を記載したものであったところ、訂正事項2及び訂正事項3により請求項2及び3が削除されたことに伴い当該段落を削除する訂正である。 そうすると、訂正事項11及び訂正事項12は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項11及び訂正事項12は、段落【0016】、【0017】を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (10)訂正事項13について ア 訂正の目的 訂正事項13は、訂正前の明細書の段落【0018】の記載が訂正前の請求項4に係る発明の効果を記載したものであったところ、訂正事項4及び訂正事項5により訂正前の請求項4は訂正後の請求項4及び5に訂正されたことに伴い、当該段落の記載を訂正するものである。 そうすると、訂正事項13は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためにする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項13は、何ら内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (11)訂正事項14について ア 訂正の目的 訂正事項14は、可動接点部材の実施態様が記載されていた訂正前の明細書の段落【0055】を削除する訂正であり、可動接点部材の実施の範囲を明確にするためのものと認められ、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項14は、段落【0055】を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことは、明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。 (12)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正前の請求項1?4について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1?3に係る訂正事項1?3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。 訂正事項4?14は、それらの訂正の目的からみて、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。 (13)一群の請求項 訂正前の請求項2?4は訂正前の請求項1を引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるので、訂正前の請求項1?4に対応する訂正後の請求項1?5は、一群の請求項である。 よって、訂正事項1?5は、一群の請求項ごとに請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正事項6?14は、訂正事項1?5の訂正に伴いなされた明細書の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する (14)別の訂正単位とする求め 特許権者は、訂正事項4及び5による訂正後の請求項4及び5についての訂正が認められる場合には、請求項4及び5は、請求項1とは別途訂正することを求めており(訂正請求書23頁下から5?3行)、これを認め、訂正後の請求項4及び訂正後の請求項5を訂正後の請求項1とは別の訂正単位とすることを認める。 (15)小括 以上のとおりであるので、訂正事項1?14は、特許法第120条の5第2項ただし書きただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕、4及び5について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1?5に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されていることを特徴とする可動接点部材。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。 【請求項5】 可動接点部材と、 可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。」 2.取消理由の概要 訂正前の請求項1?3に係る特許に対して平成30年2月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [取消理由1]本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内において頒布された下記の引用文献1または引用文献2または引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [取消理由2]本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内において頒布された下記の引用文献1または2に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基いて、あるいは、引用文献3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:実願昭60-25945号(実開昭61-141724号)のマイクロフィルム 引用文献2:実願平1-104596号(実開平3-43229号)のマイクロフィルム 引用文献3:特開2003-123566号公報 3.引用文献等に記載の事項及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項及び引用発明1 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付したものである。以下同様。 ア 「第1図は本考案が一実施例の縦断面図である。キートップ1と、このキートップ1の下部に係合されたプランジャー2と、キートップ1の押下によるプランジャー2の上下動をガイドするハウジング3と、プランジャー2の降下により反転変位しかつ自己復帰力を有する弾性ばね10と、弾性ばね4の下方に設けた膜状の可動接点7および固定接点8と、プランジャー2と可動接点との間に配置され大径コイルスプリング部91および小径コイルスプリング部92を有する段付コイルスプリング9とから構成される。 弾性ばね10の詳細を第2A図および第2B図に示す。弾性ばね10は、円板形を成し、中央に段付コイルスプリング9の小径コイルスプリング部92を挿入する穴12と、この穴12の周囲から下方に向かって少なくとも1つ以上設けたガイド突起11と、同じく穴12の周囲から下方に伸び途中で穴12の中心方向へ屈折した弾性舌片13とを有している。弾性舌片13の先端はほぼ水平かまたは水平よりやや下向きに配置される。」(明細書3頁14行?4頁13行) イ 「次に第1図に戻ってこのキースイッチの動作を説明する。キートップ1が押下されると、プランジャー2はハウジング3にガイドされて降下し、段付コイルスプリング9の大径コイルスプリング部91を介して円板状の弾性ばね10に押下力が伝達され、弾性ばね10は屈曲し飛び移り現象によって反転変位する。弾性ばね10が反転変位すると弾性舌片13がアクチュエータとしてその下方に位置する可動接点7を押下する事により固定接点8との接触が成される。キートップ1への押下力が解除されると、段付コイルスプリング9の大径コイルスプリング部91がプランジャーを上方へ押し上げ、弾性ばね10が反転により元の状態に戻り、弾性舌片13が押圧を解放するので可動接点7と固定接点8とが開放となる。 弾性ばね10のガイド突起11は、段付コイルスプリング9と弾性ばね10との位置がずれないようにガイドの役目をなす。」(明細書5頁1?18行) ウ 第2A図から、弾性ばね10は、その外側の円環部の2箇所から、外側の円環部の中心に向かって上方に膨出する2本の連結部と、それら2本の連結部に支持された内側の円環部とを有していること、及び、内側の円環部を押圧しない状態で、弾性舌片13の先端部(弾性舌片3のうち、屈折部より先端側の部分)が外側の円環部より下方に位置することを看取しうる。 エ 第1図及び第2A図の記載並びに上記イに摘記した記載事項からみて、弾性ばね10の内側の円環部が、プランジャー2の押下により、外側の円環部に対して反転変位するものと認められる。 引用文献1には、上記ア?ウの記載事項、上記エの認定事項及び第1図?第2B図の記載からみて、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明1〕 「円環状の外側円環部と、 その外側円環部の2箇所から、外側円環部の中心に向かって上方に膨出する2本の連結部と、 2本の連結部に支持された内側円環部と、 操作に応じて移動可能な弾性舌片13先端部と、膨出する方向からの平面視で前記内側円環部の中央位置に配置される穴12と、を有する膨出する方向からの押圧により内側円環部が外側円環部に対して反転変位する弾性ばね10であり、 弾性舌片13先端部は、膨出する方向からの平面視で穴12の中心側に配置されるとともに、内側円環部の下方に突出しており、 内側円環部の前記穴12の周囲から下方に延びる弾性舌片13の部分によって、弾性舌片13先端部と内側円環部とが連結されている、弾性ばね10。」 (2)引用文献2に記載された事項及び引用発明2 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「前記反転板(15)は、板ばねをプレス打抜きなどで形成したもので、外周片部(24)が細巾でかつ略正4角形をなし、この外周片部(24)の両側の角部には前記ハウジング(12)の係止溝(16)(16)に係止される舌片(25)(25)を有する。また、外周片部(24)の他の角部間を跨くように中央片部(26)を一体に形成し、この中央片部(26)のさらに略中央には接点押圧片部(27)切起し、中心に下向きの突部(28)が形成されている。さらに、この反転板(15)の前記外周片部(24)には、各角部間の略中央部分をへ字形に折曲し折曲部(29)となし、その結果、反転板(15)は中心部分が上方に膨出し、中央片部(26)の中央が最も高くなるように湾曲する。」(明細書6頁6?18行) イ 「この状態で、キートップ(9)を押圧すると、キートップ(9)の下降によりコイルばね(10)と押下筒(11)を介して反転板(15)を押下する。この反転板(15)は両側の2個所で支えられつつ中央片部(26)が下降するが、外周片部(24)の折曲部(29)による押上力の限界であるデットポイントを越えるまでねじられると、中央片部(26)は急激に下方へ反転し、中央の接点押圧片部(27)でメンブレン接点(5)(5)をオンする。」(明細書7頁5?13行) ウ 「前記実施例では反転板(15)の外周片部(24)の4個所にへ字形の折曲部(29)を形成したが、へ字形でなく滑らかな山形であってもよい。」(明細書8頁14?16行) エ 第1図及び第3図から、突部28は、反転板15が押下されない状態で舌片25よりも上方に位置することを看取しうる。 引用文献2には、上記ア?エの記載事項及び第1図?第3図の記載からみて、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明2〕 「板ばねにより形成した反転板15であって、 細巾でかつ略正四角形の外周片部24と、 外周片部24の両側の角部の、ハウジング12への係止のための舌片25と、 外周片部24の他の角部間を跨ぐように一体に形成された中央片部26と、 中央片部26の略中央に切り起こされた接点押圧片部27の中心に下向きに形成され、反転板15が押下されない状態で舌片25よりも上方に位置する、突部28と、 外周片部24の各角部間の略中央部分をへ字形に折曲し折曲部29となし、その結果、中央片部26の中央が最も高くなるように湾曲させ、 中央片部26が押圧され下降し、外周片部24の折曲部29による押上力の限界であるデットポイントを越えると、中央片部26は急激に下方へ反転する、反転板15。」 (3)引用文献3に記載された事項及び引用発明3 引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア 「【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的のもとに、本発明は、ドーム状でクリックアクション付きの接点ばね本体の中央に、U字状の長孔ないし切込みにより舌片状の可動接点を形成するとともに、この可動接点を接点ばね本体の凹面側に折り曲げて突出させている(請求項1)。」 イ 「【0011】 【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明の接点ばね1を示している。接点ばね1は、ドーム状でクリックアクション付きの接点ばね本体2より構成されている。なお、図1の接点ばね本体2で、同心円状の2つの円弧のうち外側の実線は、ドーム状の部分とその裾側の平面部の境界線であり、また、内側の二点鎖線は、ドーム状の接点ばね本体2が動作荷重によりクリックアクションをともなって湾曲方向を反転させられるときの屈曲線を示している。 【0012】接点ばね本体2は、中央部に2個の舌片状の可動接点4を有している。これらの可動接点4は、U字状の切込みないしU字状の長孔3により、接点ばね本体2の中心位置から離れる方向に向けて、直径線を対称軸として対称に形成され、接点ばね本体2の凹面側に折り曲げられて突出し、側面から見てハの字状に形成されている。なお、可動接点4は、力のバランスの観点から、好ましくは対称に形成されているとよいが、可動接点4の形成数は、1または2以上でもよく、さらに、可動接点4の形成位置は、3個以上のときに、接点ばね本体2の頂点を中心として放射線上にあってもよい。 【0013】また、接点ばね本体2は、ドーム状あることから、平面的に見て仮想の円形を想定して設計されるが、板材からの打ち抜き過程で、仮想の円形の一分を平行な一対の弦に沿って切り落とすことにより、ほぼ長円状として製作される。この結果、長円状の接点ばね本体2で、一対の長辺の部分は、接点ばね本体2を平面上に置いたときに、平面との間で隙間を形成している。この隙間は、後述するように、舌片状の可動接点4の摺動作用を助ける。なお、長円状の接点ばね本体2の両端部は、端部中央部の台形状の接触片5とその両端の半円弧状の接触片6として形成さている。 【0014】図3は、クリックアクション付きスイッチ11の構成態様を示している。クリックアクション付きスイッチ11は、本発明の接点ばね本体2とPCB・FPCなどの基板10上の接触体7および固定接点8とを組合せて構成されている。組合せ状態で、接点ばね本体2は、接点ばね本体2の凹面側を基板10に向けており、接触片5、6で接触体7に常時接触し、舌片状の可動接点4を固定接点8に対向させている。なお、接触体7および固定接点8は、基板10上の導電パターンの一部として形成されている。 【0015】クリックアクション付きスイッチ11に動作荷重がかけられていない状態で、可動接点4は、固定接点8から離れている。このため、接触体7と固定接点8との間は、電気的に接続されず、オフとなっている。操作者が接点ばね本体2のドーム頂部を相手側の固定接点8に向けて押すと、接点ばね本体2は、そのときの押す力つまり動作荷重の増加に応じて、二点鎖線の屈曲線で屈曲し、偏平に弾性変形する。弾性変形の途中で、接点ばね本体2は、湾曲方向を急激に反転させ、いわゆるクリックアクションをともなって、これ以降小さな動作荷重でも、一対の可動接点4の先端を相手側の固定接点8に接触させる。これにより、接触体7と固定接点8との間は、電気的に導通し、オンとなる。 【0016】この動作荷重が作用しているときに、一対の可動接点4は、固定接点8に対する接触状態つまり電気的にオンの状態を維持しつつ、ハの字状の開度を開くように、一対の可動接点4の部分でも弾性的に変形する。このとき、可動接点4の先端は、中心から外側に向かって、固定接点8の面を摺動しながら、固定接点8の面を削り込むように移動する。この可動接点4の摺動作用により、万一、固定接点8と可動接点4との間に異物が挟み込まれていたとき、あるいは固定接点8の面や可動接点4の先端に異物が付着していたとしても、可動接点4は、固定接点8の面に対する摺動作用によって、異物を破砕し、また、異物の付着面から異物を剥ぎ取って、除去する。したがって、固定接点8に対する可動接点4の電気的な接触状態は、常に良好で、経時的にも確実に安定する。」 ウ 「【0022】 【発明の効果】本発明では、下記の効果が得られる。まず、請求項1によれば、ドーム状でクリックアクション付きの接点ばね本体の中央に、舌片状の可動接点を形成し、この可動接点を接点ばね本体の凹面側に折り曲げて突出させているから、可動接点は、動作荷重により、相手側の固定接点と接触しつつ摺動する。このため、製造時などに混入した異物が可動接点と固定接点との間にかみ込んだり、それらに付着していても、可動接点の摺動作用により、異物は破砕され、または接触面から剥ぎ取られ、押しのけられる。したがって、可動接点と固定接点との電気的な接触は、安定し、両接点間の接触不良は、確実に防止できる。また、固定接点の面に対する可動接点の摺動作用は、固定接点の面の異物を除去し、経時的にも常に良好な接触面を保つという効果も有る。」 引用文献3には、上記ア?ウの記載事項及び【図1】?【図5】の記載からみて、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 〔引用発明3〕 「接点ばね1であって、 ドーム状の接点ばね本体2と、 接点ばね本体2の周囲に形成され、基板10上の接触体7に常時接触させる接触片5、6と、 接点ばね本体2の略中央に形成された長孔3により形成される、接点ばね本体2の凹面側に折り曲げられて突出し、動作荷重がかけられていない状態で基板10上の固定接点8から離れている、可動接点4とからなり、 接点ばね本体2のドーム頂部を基板10上の固定接点8に向けて押したときの動作荷重に応じて、接点ばね本体2がクリックアクションをともなって湾曲方向を反転し、これ以降小さな動作荷重でも、可動接点4の先端を基板10上の固定接点8に接触させる、接点ばね1。」 4.対比・判断 (1)引用発明1を主引用発明とした場合 ア 本件発明1と引用発明1とを対比する。 後者の「外側円環部の2箇所から、外側円環部の中心に向かって上方に膨出する2本の連結部」と「2本の連結部に支持された内側円環部」とは、弾性ばね10が「膨出する方向からの押圧により内側円環部が外側円環部に対して反転変位する」ことからみて、前者の「膨出して形成されたドーム部」に相当する。 後者の「円環状の外側円環部」は、その一部から前記「連結部」及び前記「内側円環部」が設けられるものであるので、前者の「ドーム部の外縁部に設けられドーム部を支持する脚部」に相当する。 後者の「弾性舌片13先端部」は、「内側円環部の前記穴12の周囲から下方に延びる弾性舌片13の部分によって」内側円環部と連結されているものであることから、前者の「接触部」に相当する。 後者の「膨出する方向からの平面視で前記内側円環部の中央位置に配置される穴12」は、前者の「膨出する方向からの平面視でドーム部の中央位置に配置される開口部」に相当する。 後者の「膨出する方向からの押圧により内側円環部が外側円環部に対して反転変位する」ことは、前者の「膨出する方向からの押圧によりドーム部が反転する」ことに相当する。 後者の「内側円環部の前記穴12の周囲から下方に延びる弾性舌片13の部分によって、弾性舌片13先端部と内側円環部とが連結されている」ことは、前者の「ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されている」ことに相当する。 後者の「弾性ばね10」は、前者の「可動接点部材」と、「可動部材」である限りにおいて一致する。 そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点1〕 「膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されている可動部材。」 〔相違点1-1〕 本件発明1は、「接触部は」、「操作されていないときにおいては脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」との構成を備えているのに対して、引用発明1は、弾性舌片13先端部は、内側円環部を押圧しない状態で外側円環部より下方に位置するものである点。 〔相違点1-2〕 本件発明1は、「接触部」は「膨出する方向からの平面視で開口部の中央位置に配置される」との構成を備えているのに対して、引用発明1は、「弾性舌片13先端部は、膨出する方向からの平面視で穴12の中心側に配置される」ものの、「中央位置に配置される」とはいえない点。 〔相違点1-3〕 本件発明1は、「可動接点部材」であるのに対して、引用発明1は、「弾性ばね10」である点。 イ 事案に鑑み、相違点1-1について以下検討する。 〔相違点1-1について〕 (ア)引用文献1には、次の記載がある。 「弾性ばね10は、円板形を成し、中央に段付コイルスプリング9の小径コイルスプリング部92を挿入する穴12と、この穴12の周囲から下方に向かって少なくとも1つ以上設けたガイド突起11と、同じく穴12の周囲から下方に伸び途中で穴12の中心方向へ屈折した弾性舌片13とを有している。」(上記「3.(1)ア」参照) 「キートップが押下されると、プランジャー2はハウジング3にガイドされて降下し、段付コイルスプリング9の大径コイルスプリング部91を介して円板状の弾性ばね10に押下力が伝達され、弾性ばね10は屈曲し飛び移り現象によって反転変位する。弾性ばね10が反転変位すると弾性舌片13がアクチュエータとしてその下方に位置する可動接点7を押下する事により固定接点8との接触が成される。キートップ1への押下力が解除されると、段付コイルスプリング9の大径コイルスプリング部91がプランジャーを上方へ押し上げ、弾性ばね10が反転により元の状態に戻り、・・・弾性ばね10のガイド突起11は、段付コイルスプリング9と弾性ばね10との位置がずれないようにガイドの役目をなす。」(上記「3.(1)イ」参照) (イ)上記記載によれば、弾性ばね10の中央の穴12に小径コイルスプリング部92が挿入されることで、段付コイルスプリング9と弾性ばね10との位置ずれが生じないようにするものであり、そのために小径コイルスプリング部92は穴12から下方に相当量延びていると認められ、第1図の左側部分を参照すると、キートップ1が押下されない状態において小径コイルスプリング部92は外側円環部よりも下方に延びているといえる。 そして、弾性舌片13先端部は、弾性ばね10の反転変位により可動接点7を押下するものであるので、小径コイルスプリング部92よりも下方に位置するものと理解できる。 以上の引用発明1における小径コイルスプリング部92の外側円環部に対する配置の技術的意義、及び、小径コイルスプリング部92に対する弾性舌片13先端部の位置関係を踏まえると、引用発明1の弾性舌片13先端部を、相違点1-1に係る本件発明1の構成のように、「操作されていないときにおいては脚部よりも上方に位置し」とすることは、阻害要因があるといえる。 (ウ)また、たとえ引用発明1において弾性舌片13先端部の位置を外側円環部よりも上方に位置することができたとしても、引用発明1は、弾性ばね10が押下されると反転変位し弾性舌片13先端部が可動接点7を押下するものであり、反転変位が起きる直前の弾性舌片13先端部の位置は、反転変位により可動接点7が押下できる位置とすれば足り、外側円環部の位置との関係で定められるものとは認められず、弾性ばね10が反転変位せずに弾性舌片13先端部を外側円環部と同じ高さまで下降できるように構成する動機付けはない。 そうすると、引用発明1の弾性舌片13先端部を、相違点1-1に係る本件発明1の構成のように「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」とする動機付けはない。 (エ)さらに、引用文献3にも、相違点1-1に係る本件発明1の構成としうる記載も示唆もない。 (オ)したがって、引用発明1を相違点1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、相違点1-2及び1-3について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1と同一の発明とはいえないし、引用発明1及び引用文献3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 (2)引用発明2を主引用発明とした場合 ア 本件発明1と引用発明2とを対比する。 後者の「細巾でかつ略正四角形の外周片部24」の「他の角部間を跨ぐように一体に形成された中央片部26」は、「外周片部24の各角部間の略中央部分をへ字形に折曲し折曲部29となし、その結果、中央片部26の中央が最も高くなるように湾曲させ」たものであるので、「折曲部29」から「中央片部26」に至る形状は、上向きに膨出し湾曲したものといえる。そうすると、後者の「折曲部29」から「中央片部26」に至る部分は、前者の「膨出して形成されたドーム部」と、「膨出して形成された湾曲部」である限りにおいて一致する。 後者の「外周片部24の両側の角部の、ハウジング12への係止のための舌片25」は、「折曲部29」から「中央片部26」に至る部分を支持しているといえるので、前者の「ドーム部の外縁部に設けられドーム部を支持する脚部」と、「湾曲部を支持する脚部」である限りにおいて一致する。 後者の「中央片部26の略中央に切り起こされた接点押圧片部27の中心に下向きに形成され」た「突部28」は、前者の「操作に応じて移動可能な接触部」に相当する。 後者の「中央片部26の略中央に接点押圧片部27を切り起こし」た際に開口が生じることは明らかなので、当該開口は、前者の「膨出する方向からの平面視でドーム部の中央位置に配置される開口部」と、「膨出する方向からの平面視で湾曲部の中央位置に配置される開口部」である限りにおいて一致する。 後者の「突部28」が「切り起こされた接点押圧片部27の中心に下向きに形成され」ていることは、接点押圧片部27の切り起こしにより生じた開口における位置からみて、前者の「接触部は、膨出する方向からの平面視で開口部の中央位置に配置される」ことに相当するとともに、前者の「接触部」は「ドーム部の内方へ突出」することと、「接触部は」「湾曲部の内方へ突出」する限りにおいて一致する。 後者の「中央片部26が押圧され下降し、外周片部24による押上力の限界である折曲部29のデットポイントを越えると、中央片部26は急激に下方へ反転する」ことは、前者の「膨出する方向からの押圧によりドーム部が反転する」ことと、「膨出する方向からの押圧により湾曲部が反転する」限りにおいて一致する。 後者の「突部28」が「反転板15が押下されない状態で舌片25よりも上方に位置する」ことは、前者の「接触部は、」「操作されていないときにおいては脚部よりも上方に位置」することに相当する。 後者の「中央片部26の略中央に切り起こされた接点押圧片部27」は、前者の「ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部」と、「湾曲部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部」である限りにおいて一致し、前者の「連結部によって、接触部とドーム部とが連結されている」ことと、「連結部によって、接触部と湾曲部とが連結されている」限りにおいて一致する。 後者の「板ばねにより形成した反転板15」は、前者の「可動接点部材」と、「可動部材」である限りにおいて一致する。 そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点2〕 「膨出して形成された湾曲部と、 前記湾曲部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記湾曲部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記湾曲部が反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記湾曲部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、 前記湾曲部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記湾曲部とが連結されている可動部材。」 〔相違点2-1〕 「膨出して形成された湾曲部」について、本件発明1は、「膨出して形成されたドーム部」であるとともに、当該「ドーム部の外縁部に設けられドーム部を支持する脚部」を有するのに対して、引用発明2は、「外周片部24」上の「折曲部29」から「中央片部26」に至る部分を有するものの、当該部分は平面視で円形形状を備えた部分を有しているわけではないので「ドーム部」とはいえず、また、引用発明2は、当該部分を支持する舌片25を有するものの、当該舌片25は湾曲部の外縁部に設けられたものとはいえない点。 〔相違点2-2〕 本件発明1は、「接触部」が「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」との構成を備えているのに対して、引用発明2は、突部28は、そのように構成されているか明らかでない点。 〔相違点2-3〕 本件発明1は、「可動接点部材」であるのに対して、引用発明2は、「反転板15」である点。 イ 事案に鑑み、相違点2-1及び2-2について以下検討する。 〔相違点2-1について〕 (ア)引用文献2には、引用発明2における「膨出して形成された湾曲部」(「外周片部24」上の「折曲部29」から「中央片部26」に至る部分)をドーム形状とすることについての記載も示唆もない。むしろ、引用文献2には、「外周片部(24)が細巾でかつ略正4角形をなし」(上記「3.(2)ア」参照)と記載されていることに鑑みると、引用発明2における「膨出して形成された湾曲部」をドーム形状とする動機付けはない。 (イ)同様に、引用発明2の「膨出して形成された湾曲部」に引用文献3に記載の事項を適用して、これをドーム形状とする動機付けもない。 (ウ)したがって、引用発明2を相違点2-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 〔相違点2-2について〕 (ア)引用発明2は、反転板15を押下すると、中央片部26が押圧され下降し、外周片部24の折曲部29のデットポイントを越えると、中央片部26は急激に下方へ反転し、中央片部26に形成された接点押圧片部27がメンブレン接点5を押圧するものである。 引用発明2において、中央片部26の反転が起きる直前の接点押圧片部27の位置は、反転により接点押圧部27がメンブレン接点5を押圧できるかを考慮すれば足り、舌片25との関係で定められるものとは認められず、中央片部26が反転せずに接点押圧部27を舌片25と同じ高さまで下降できるように構成する動機付けはない。 そうすると、引用発明2の接点押圧片部27を、相違点2-2に係る本件発明1の構成のように「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」とする動機付けはない。 (イ)さらに、引用文献3にも、相違点2-2に係る本件発明1の構成としうる記載も示唆もない。 (ウ)したがって、引用発明2を相違点2-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、相違点2-3について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2と同一の発明とはいえないし、引用発明2及び引用文献3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 (3)引用発明3を主引用発明とした場合 ア 本件発明1と引用発明3とを対比する。 後者の「ドーム状の接点ばね本体2」は、前者の「膨出して形成されたドーム部」に相当する。 後者の「接点ばね本体2の周囲に形成され、基板10上の接触退に常時接触させる接触片5、6」は、前者の「ドーム部の外縁部に設けられドーム部を支持する脚部」に相当する。 前者の「膨出する方向からの平面視でドーム部の中央位置」は、どの程度の広がりを持って「中央位置」とするのか特定するものではないので、後者の「接点ばね本体2の略中央に形成された長孔3」は、前者の「膨出する方向からの平面視でドーム部の中央位置に配置される開口部」に相当する。 後者の「接点ばね本体2の」「長孔3により形成される、」「可動接点4」の先端は、その機能からみて、前者の「操作に応じて移動可能な接触部」に相当する。 後者の「接点ばね本体2のドーム頂部を基板10上の固定接点8に向けて押」すことは、前者の「ドーム部」の「膨出する方向からの押圧」に相当し、後者の「押したときの動作荷重に応じて、接点ばね本体2がクリックアクションをともなって湾曲方向を反転」することは、前者の「膨出する方向からの押圧によりドーム部が反転する」ことに相当する。 後者の「長孔3により形成される、接点ばね本体2の凹面側に折り曲げられて突出する可動接点4」の先端は、前者の「接触部は、膨出する方向からの平面視で開口部の中央位置に配置されるとともに、ドーム部の内方へ突出」する構成を備えているといえる。 後者の「可動接点4」が「動作荷重がかけられていない状態で基板10上の固定接点8から離れている」ことは、前者の「接触部」は「操作されていないときにおいては脚部よりも上方に位置」することに相当する。 後者の「可動接点4」のばね本体2から先端に至る部分は、前者の「ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部」に相当し、前者の「連結部によって、接触部とドーム部とが連結されている」構成を備えている。 後者の「接点ばね1」は、前者の「可動接点部材」に相当する。 そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 〔一致点3〕 「膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されている可動接点部材。」 〔相違点3〕 本件発明1は、「接触部」が「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」との構成を備えているのに対して、引用発明3は、「接点ばね本体2のドーム頂部を基板10上の固定接点8に向けて押したときの動作荷重に応じて、接点ばね本体2がクリックアクションをともなって湾曲方向を反転し、これ以降小さな動作荷重でも、可動接点4の先端を基板10上の固定接点8に接触させる」ものである点。 イ 相違点3について検討する。 引用文献3には次のとおり記載されている。 「【0015】・・・操作者が接点ばね本体2のドーム頂部を相手側の固定接点8に向けて押すと、接点ばね本体2は、そのときの押す力つまり動作荷重の増加に応じて、二点鎖線の屈曲線で屈曲し、偏平に弾性変形する。弾性変形の途中で、接点ばね本体2は、湾曲方向を急激に反転させ、いわゆるクリックアクションをともなって、これ以降小さな動作荷重でも、一対の可動接点4の先端を相手側の固定接点8に接触させる。これにより、接触体7と固定接点8との間は、電気的に導通し、オンとなる。」(上記「3.(3)イ」参照) 当該記載によれば、引用発明3は、接点ばね本体2が湾曲方向を反転し、これ以降、可動接点4の先端を基板10上の固定接点8に接触させ、電気的な導通を図るものといえ、引用発明3の接点ばね本体2は、可動接点4の先端が、固定接点8以外にも接触体7やこれに接触させる接触片5、6が設けられた基板10に達するより前に、反転するものと認められる。 そして、引用発明3は、接点ばね本体2が反転した後に基板10の固定接点8に接触し、接触状態のまま固定接点8との接触面を摺動することにより、所期の作用効果(引用文献3の段落【0016】、【0022】の記載、上記「3.(3)イ、ウ」を参照)を得るものと認められる。 そうしてみると、引用発明3の接点ばね本体2を、相違点3に係る本件発明1の構成のように「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降し、」とすることは、動機付けがないといえる。 したがって、引用発明3を相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、本件発明1は、引用発明3と同一の発明とはいえないし、引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 (4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人が特許異議申立書において主張し、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について、以下検討する。 ア 特許異議申立人は、訂正前の請求項4に係る発明は、引用文献1?3に記載された発明である旨主張している(特許異議申立書8頁末行?9頁5行) しかしながら、引用発明1、2は、可動接点部材を押圧するばね部材といえ、それ自体は電気的な接続を形成するものではないので、訂正前の請求項4に係る発明の「請求項1ないし請求項3に記載の可動接点部材と、前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し」た「スイッチ装置」とはいえない。 また、引用発明1?3は、訂正前の請求項4に係る発明の「可動接点部材が押圧され、接触部が固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に可動接点部材が押圧されたとき、ドーム部および連結部が撓み、ドーム部が反転する」との事項を有していない。 イ 特許異議申立人は、甲第4号証(特開昭58-216312号公報)の、 「可撓性フィンガー26および触覚部材38は、相互に関して、アクチュエーターのどちらかの方向への揺動運動が、オペレーターが触覚部材38の弾力性を感じる前に適切な接触が形成されることを確実にするため、触覚部材38が実際に中央を通過する前に電気的接触を形成するように配置される。」(5頁右下欄8?14行) との記載、及び、 「第7ないし13図の具体例は、高められたスイッチ作動が可能であり、そして前に記載した具体例のように効果的な聴覚および触覚フィードバックを提供する。」(6頁左下欄12?15行) との記載を引用し、訂正前の特許請求の範囲の請求項3、4に係る発明は、甲第4号証に記載された上記事項を考慮して、引用発明1?3に基づき当業者が容易に発明をすることができた旨主張している(特許異議申立書9頁13行?10頁13行)。 しかしながら、甲第4号証の上記記載は、訂正前の請求項3に係る発明の「下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降する」、及び、訂正前の請求項4に係る発明の「可動接点部材が押圧され、接触部が固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に可動接点部材が押圧されたとき、ドーム部および連結部が撓み、ドーム部が反転する」との事項を示唆するものではないし、また、甲第4号証には、他に請求項3及び4の上記事項を示唆する記載もない。 以上のとおりであるので、特許異議申立人の特許異議申立書における主張は理由がない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、4、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、4、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2、3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2、3に対して、特許異議申立人 古山陽子がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置 【技術分野】 【0001】 本発明は、可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置に関し、特に、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 電気機器に用いられるスイッチ装置において、確実なスイッチングができ、明確な操作感触のあるスイッチ装置が求められている。このようなスイッチ装置としては、オーバーストロークに対応したスイッチ装置が用いられることが多い。オーバーストロークに対応していないスイッチ装置においては、可動接点部材が押圧され、反転動作を行なった後(操作感触を発生させた後)に可動接点部材と固定接点部とが接触し、電気的なスイッチングが行なわれる。オーバーストロークに対応したスイッチ装置においては、可動接点部材が押圧され、反転動作を行なう前に可動接点部材と固定接点部とが接触し、電気的なスイッチングが行なわれる。その後、更に可動接点部材を押圧することで、可動接点部材が反転動作する(操作感触を発生させる)構造となっている。このような構造とすることで、可動接点部材と固定接点部とはより長い時間接触することとなり、確実なスイッチングが行なえ、明確な操作感触も得ることができる。なお、電気的なスイッチングを行なった後に、操作感触を発生させる構造となっているスイッチ装置を、オーバーストロークに対応したスイッチ装置とする。このようなオーバーストロークに対応したスイッチ装置としては、下記の特許文献1に記載のスイッチ装置およびスイッチ装置に用いられている可動接点部材が知られている。 【0003】 以下、図12を用いて、特許文献1に記載のスイッチ装置について説明する。図12は、特許文献1に記載のスイッチ装置900の外観を示す図であり、図12(a)はスイッチ装置900の外観を示す平面図であり、図12(b)はスイッチ装置900の外観を示す側面図である。 【0004】 特許文献1に記載のスイッチ装置900は、ドーム状に形成された薄板(可動接点部材)903と、電気回路が形成された絶縁基板902と、を有している。薄板903は外周端部から外方へ突出した4本の脚部915(915a、915b、915c、915d)が等間隔に配置されている。対向して配置された脚部915aと脚部915dとの長さは同じであり、同様に対向して配置された脚部915bと脚部915cとの長さは同じである。しかし、脚部915aと脚部915dとの長さは、脚部915bと脚部915cとの長さよりも長く形成されている。 【0005】 絶縁基板902は、第1固定接点部906aと第2固定接点部906bと第3固定接点部906cとを備えた導電ゾーン906と、第4固定接点部907dを備えた導電ゾーン907と、が一方の面に電気回路として形成されている。第1固定接点部906a、第2固定接点部906b、第3固定接点部906cおよび第4固定接点部907dはそれぞれ離間して配置され、電位気的に絶縁されている。また、第1固定接点部906a、第2固定接点部906b、第3固定接点部906cおよび第4固定接点部907dは同一円の上となるように配置され、第2固定接点部906bと第3固定接点部906cとが対向する位置に配置され、第1固定接点部906aと第4固定接点部907dとが対向する位置に配置されている。また、第2固定接点部906bと第3固定接点部906cとを結ぶ直線と、第1固定接点部906aと第4固定接点部907dとを結ぶ直線と、は直交している。 【0006】 薄板903は絶縁基板902の上に配置され、未操作時には第1固定接点部906aに接触して脚部915aが配置されるとともに、第4固定接点部907dに接触して脚部915dが配置され、第1固定接点部906aと第4固定接点部907dとは薄板903を介して電気的に接続されている。なお、脚部915aと脚部915dとは、脚部915bと脚部915cとの長さより長いため、脚部915cは第3固定接点部906cの上方に離間して配置されるとともに、脚部915bは第2固定接点部906bの上方に離間して配置されている。以下、脚部915bと脚部915cとを可動脚部、脚部915aと脚部915dとを固定脚部、とよぶ。 【0007】 駆動体904を用いて薄板903を上から押圧操作を行なうと、薄板903は下方へ撓み、薄板903が下方へ撓むことで、脚部915cは第3固定接点部906cと接触し、脚部915bは第2固定接点部906bと接触する。これにより薄板903を介して新たな電気的な接続が得られ、出力することができる。このように新たな電気的な接続が得られたのちも更に薄板903を押圧操作することができ、更に押圧操作すると薄板903は反転動作を行ない、操作者に反転時の瞬間的な作動力の変化を操作感触として伝えることができる。すなわち、オーバーストロークに対応することができる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0008】 【特許文献1】特開2001-67989号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 このように、特許文献1に記載のスイッチ装置900は、薄板903を脚部915aと脚部915dとで支持した状態から、薄板903を押圧して脚部915a、脚部915b、脚部915cおよび脚部915dとで支持する状態になることでスイッチングが行なわれる構造である。したがって、スイッチングが行なわれるタイミングを遅らせたい場合には、固定脚部の長さと可動脚部の長さの差をより大きくする必要がある。この長さの差が大きくなると、押圧操作の途中で薄板903が傾くなどして各脚部915の撓み具合が異なり、スイッチングの動作を行なう時の操作感触がばらつくことが懸念される。 【0010】 本発明は、上述した課題を解決して、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 請求項1に記載の可動接点部材においては、膨出して形成されたドーム部と、前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されている、という特徴を有する。 【0012】(削除) 【0013】(削除) 【0014】 請求項4に記載の可動接点部材を用いたスイッチ装置においては、可動接点部材と、前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、前記可動接点部材は、膨出して形成されたドーム部と、前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転する。 請求項5に記載の可動接点部材を用いたスイッチ装置においては、可動接点部材と、前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、前記可動接点部材は、膨出して形成されたドーム部と、前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部部材であり、前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転する。 【発明の効果】 【0015】 請求項1の発明によれば、脚部はドーム部を保持する機能に特化することで、脚部の長さを長くした場合にも安定してドーム部を保持することができ、ドーム部の傾きによる操作感触のバラツキが発生し難い。また、接触部をドーム部の中央位置に設け、ドーム部の内方へ突出して形成し、前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結することで、可動接点部材を押圧操作したときに、接触部が接触した後に連結部およびドーム部が撓み、ドーム部が反転するため、オーバーストロークに対応することができる。したがって、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材を提供することができる、という効果を奏する。更に、ドーム部が反転することで、操作者に対する操作感触を発生させることができ、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、ドーム部が反転することなく、接触部が脚部と同じ高さまで下降することで、電気的スイッチングを行った後に、操作感触を発生させることができる、という効果を奏する。 【0016】(削除) 【0017】(削除) 【0018】 請求項4及び5の発明によれば、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応可能なスイッチ装置を提供することができる、という効果を奏する。 【0019】 以上より、本発明によれば、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】本実施形態におけるスイッチ装置100の外観を示す模式図である。 【図2】本実施形態におけるスイッチ装置100の構成を示す模式断面図である。 【図3】本実施形態における可動接点部材1の概観を示す図である。 【図4】本実施形態における基板2および固定接点部3の外観を示す図である。 【図5】本実施形態における駆動体4の外観を示す図である。 【図6】本実施形態における保持シート5の外観を示す図である。 【図7】駆動体4が押圧操作され、接触部1cと第2固定接点部3bとが接触した状態のスイッチ装置100を示す模式断面図である。 【図8】図7に示す状態からさらに駆動体4が押圧操作され、ドーム部1aが反転した状態のスイッチ装置100を示す模式断面図である。 【図9】本実施形態における可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。 【図10】本実施形態における可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。 【図11】本実施形態における可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。 【図12】特許文献1に記載のスイッチ装置900の外観を示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0021】 [第1実施形態] 以下に本実施形態における可動接点部材1を用いたスイッチ装置100について説明する。 【0022】 まず始めに本実施形態におけるスイッチ装置100の構成について図1ないし図6を用いて説明する。図1は本実施形態におけるスイッチ装置100の外観を示す模式図である。図2は本実施形態におけるスイッチ装置100の構成を示す模式断面図である。図2においては、説明を容易にするため、実際の形状や断面と異なる部分もある。図3は本実施形態における可動接点部材1の外観を示す図であり、図3(a)は図2に示すZ1方向側から見た状態の可動接点部材1の外観を示す平面図であり、図3(b)は図3(a)に示す断面A-Aを示す断面図である。なお、図3(b)においては説明を容易にするため、連結部1eの断面も模式的に図示している。図4は本実施形態における基板2および固定接点部3の外観を示す図であり、図4(a)は基板2および固定接点部3の外観を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)に示すX2方向側から見た状態の基板2および固定接点部3の外観を示す側面図である。図5は本実施形態における駆動体4の外観を示す図であり、図5(a)は駆動体4の外観を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に示すY2方向側から見た状態の駆動体4の外観を示す側面図である。図6は本実施形態における保持シート5の外観を示す図であり、図6(a)は保持シート5の外観を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)に示す断面B-Bを示す断面図である。 【0023】 スイッチ装置100は、図2に示すように、弾性および導電性を有する可動接点部材1と、可動接点部材1と電気的に接続可能な固定接点部3を備えた基板2と、可動接点部材1を押圧する駆動体4と、可動接点部材1を基板2に保持する保持シート5と、カバー部材6と、を有する。 【0024】 可動接点部材1は、弾性および導電性を有する金属板からなり、図3に示すように、膨出して形成されたドーム部1aと、ドーム部1aの外縁部に設けられドーム部1aを支持する脚部1bと、操作に応じて移動可能な接触部1cと、を有している。 【0025】 ドーム部1aは、膨出する方向(Z1方向)からの平面視で円形状であり、頂部に開口部1dを有している。開口部1dとドーム部1aとの境界部である開口部1dの外方部1gは、ドーム部1aの円形状に相似した円弧形状となっている。 【0026】 脚部1bは、ドーム部1aの外延部から外方へ延出して4つ形成されている。脚部1bは、所定の間隔で配置された2つが対を成し、2組形成されている。なお、本実施形態においては、所定の間隔を脚部1bの先端同士の距離寸法(図3に示すDS)で規定しており、ドーム部1aの直径以下の寸法とすることが望ましく、所定の間隔をドーム部1aの直径の寸法とほぼ同一としている。また、脚部1bの先端は、可動接点部材1をZ1方向側から平面視したときに、ドーム部1aの外形の中心(図3に示す点CP)と同じ中心の仮想の同一円の上に位置し、脚部1bの対同士は点対称の位置に配置されている。 【0027】 接触部1cは、ドーム部1aが膨出する方向からの平面視で開口部1dの中央位置に配置されるとともに、撓み変形可能な連結部1eによりドーム部1aに連結され、ドーム部1aの内方(Z2方向)へ突出している。すなわち、接触部1cはドーム部1aの開口部1dが形成された頭頂部よりも下方(Z2方向側)に位置している。また、連結部1eは、桟状に形成された複数の腕部1fからなる。本実施形態においては、接触部1cの周囲に等間隔に3つの腕部1fが配置され、放射線状に延出して形成されている。 【0028】 基板2は、リジット基板(紙フェノール基板)であり、図4に示すように、長方形の平板状に形成されている。基板2の上面には導電性インクを印刷し、焼成してなる固定接点部3が形成されている。固定接点部3は、円環状に形成され可動接点部材1の脚部1bと接触可能な第1固定接点部3aと、円環状に形成された第1固定接点部3aの中心位置に形成され、可動接点部材1の接触部1cと接触可能な第2固定接点部3bと、を有する。第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとは絶縁されており、それぞれ外部と電気的に接続可能な外部接続端子3cに接続されている。 【0029】 駆動体4は、合成樹脂材からなり、図5に示すように、円盤状に形成されたベース部4aと、ベース部4aの上面(Z1方向側の面)の中央に上方へ突出し、円柱状に形成された操作部4bと、ベース部4aを挟んで操作部4bと対向する位置(下面の中央)に円柱状に形成された押圧部4cと、を有する。円柱状に形成された押圧部4cの直径寸法は、可動接点部材1の開口部1dの直径寸法よりも大きく形成されている。 【0030】 保持シート5は合成樹脂材からなり、図6に示すように、可撓性を有し長方形のシート状に形成されたシート部5aを有し、シート部5aは可動接点部材1を覆うことが可能な大きさに形成されている。また、保持シート5は、シート部5aの一方の面(Z2方向側の面)に粘着剤からなる粘着層5bが形成されている。ただし、保持シート5の一方の面の中心部には、粘着剤が塗布されていない非粘着部5cが形成されている。非粘着部5cは、可動接点部材1の開口部1dとほぼ同一の大きさおよび形状に形成されている。 【0031】 カバー部材6は、金属板からなり、図1および図2に示すように、中空で下方(Z2方向側)が開放した直方体の箱状に形成されている。カバー部材6は、長方形の平板状に形成された天面部6aを有し、天面部6aには駆動体4の操作部4bを挿入可能な挿通孔6bが形成されている。天面部6aの四辺には、天面部6aに連続して下方(Z2方向)へ延設された側壁6cが形成されている。 【0032】 次にスイッチ装置100の構造について図2を用いて説明する。 【0033】 図2に示すように、可動接点部材1は脚部1bがそれぞれ第1固定接点部3aに接するように基板2の上に配置されている。また、可動接点部材1に重ねて保持シート5が配置されており、保持シート5は粘着層5bが可動接点部材1と接触する向きにして配置されるとともに、非粘着部5cは可動接点部材1の開口部1dに対向して配置されている。このように配置された保持シート5が可動接点部材1に粘着するとともに、基板2に粘着することで、可動接点部材1は基板2上に係止される。なお、保持シート5は可撓性を有しているため、可動接点部材1は保持シート5と一体に上下方向(Z1-Z2方向)へ変形可能に係止されている。駆動体4は、押圧部4cが可動接点部材1の開口部1d(接触部1c)に対向するように、保持シート5に重ねて配置されている。また、駆動体4の操作部4bは、カバー部材6の挿通孔6bに、側壁6cが延設される側から挿入して配置され、カバー部材6は側壁6cが基板2に当接するように基板2上に係止されている。これにより、駆動体4は、上下方向に移動可能に、カバー部材6と保持シート5(可動接点部材1)との間に保持されている。このようにしてスイッチ装置100は形成される。 【0034】 次にスイッチ装置100の動作について図2、図7および図8を用いて説明する。図7は駆動体4が押圧操作され、接触部1cと第2固定接点部3bとが接触した状態のスイッチ装置100を示す模式断面図である。図8は図7に示す状態からさらに駆動体4が押圧操作され、ドーム部1aが反転した状態のスイッチ装置100を示す模式断面図である。なお、図7および図8においては、説明を容易にするため、実際の形状や断面と異なる部分もある。 【0035】 スイッチ装置100が操作されていないとき(初期状態)においては、図2に示すように、可動接点部材1は第1固定接点部3aとは接触しているが、第2固定接点部3bとは離間した状態である。すなわち、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間には電気的な導通がない状態である。 【0036】 図2に示す状態から駆動体4の操作部4bを下方に押圧すると、駆動体4の押圧部4cは保持シート5を介して可動接点部材1を押圧する。なお、押圧部4cの直径寸法は、可動接点部材1の開口部1dの直径寸法よりも大きく形成されているため、押圧部4cは開口部1dの外周端部付近のドーム部1aを押圧する。下方へ押圧されたドーム部1aは下方へ撓む。ドーム部1aの撓みに連動して、接触部1cは下方へ移動し、図7に示すように、第2固定接点部3bと接触する。すなわち、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間は、可動接点部材1を介して電気的に導通される。 【0037】 図7に示す状態からさらに駆動体4の操作部4bを下方に押圧すると、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間の電気的な導通を保持したまま、ドーム部1aはさらに下方へ撓むとともに、腕部1fも下方へ撓み、図8に示すように、ドーム部1aは反転する。反転は瞬間的に行なわれ、押圧に抗する力が急激に変化するため、駆動体4を介して操作者に操作感触として伝わる。前述の通り、電気的なスイッチングを行なった後に、操作感触を発生させる構造となっているスイッチ装置を、オーバーストロークに対応したスイッチ装置と定義している。したがって、本実施形態のスイッチ装置100は、電気的なスイッチングを行なった後に、操作感触を発生させる構造であることから、オーバーストロークに対応していると言える。なお、操作部4bへの押圧を解除すると、可動接点部材1の弾性力により、初期状態に復帰し、第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間の電気的な導通はなくなる。このように第1固定接点部3aと第2固定接点部3bとの間の電気的な導通状態が切り換わることでスイッチ装置として機能する。 【0038】 以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。 【0039】 本実施形態の可動接点部材1では、膨出して形成されたドーム部1aと、ドーム部1aの外縁部に設けられドーム部1aを支持する脚部1bと、操作に応じて移動可能な接触部1cと、を有する可動接点部材であり、ドーム部1aは頂部に開口部1dを有しており、接触部1cは、膨出する方向からの平面視で開口部1dの中央位置に配置されるとともに、ドーム部1aに撓み変形可能な連結部1eにより連結され、ドーム部1aの内方へ突出している、構成とした。 【0040】 これにより、脚部1bはドーム部1aを保持する機能に特化することで、脚部1bの長さを長くした場合にも安定してドーム部1aを保持することができ、ドーム部1aの傾きによる操作感触のバラツキが発生し難い。また、接触部1cをドーム部1aの中央位置に設け、ドーム部1aの内方へ突出して形成することで、可動接点部材1を押圧操作したときに、接触部1cが接触した後に連結部1eおよびドーム部1aが撓み、ドーム部1aが反転するため、オーバーストロークに対応することができる。したがって、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材1を提供することができる、という効果を奏する。 【0041】 また、本実施形態の可動接点部材1では、脚部1bは、所定の間隔で配置された2つが対を成し、2組形成されており、連結部1eは、桟状に形成された複数の腕部1fからなる、構成とした。 【0042】 このように脚部1bを配置することで、ドーム部1aをバランスよく支持することができる。また、複数の腕部1fで接触部1cを支持することで、接触部1cをバランスよく支持することができる。したがって、押圧操作時の姿勢がより安定し操作感触のばらつきが発生し難くなる、という効果を奏する。 【0043】 また、本実施形態の可動接点部材1では、対を成す脚部1bの所定の間隔は、ドーム部1aの直径以下の寸法とした。これにより、少なくともある方向における可動接点部材1の寸法はドーム部1aの直径以下に抑えられるので、スイッチ装置に可動接点部材1を配置した時の占有面積を小さくすることできる。したがって、小型のスイッチ装置にも対応しやすいという効果を奏する。さらに、所定の間隔をドーム部1aの直径の寸法とほぼ同一とすることで、小型のスイッチ装置にも対応しやすくなるとともに、可動接点部材1は傾いたりし難くなり、基板2上に安定した配置をしやすくなるという効果を奏する。 【0044】 また、本実施形態の可動接点部材1では、ドーム部1aは、膨出する方向からの平面視で円形状であり、開口部1dとドーム部1aとの境界部である開口部1dの外方部1gは、ドーム部1aの円形状に相似した円弧形状となっている、構成とした。 【0045】 これにより、開口部1dの外方部1gをドーム部1aの円形状に相似した円弧形状とすることで、押圧操作時に応力が特定の箇所に集中し難くなり、応力集中による操作感触のばらつきを低減することができる、という効果を奏する。 【0046】 本実施形態の可動接点部材1を用いたスイッチ装置100では、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応することができる可動接点部材1と、可動接点部材1と電気的に接続可能な固定接点部3を備えた基板2と、を有する、構成とした。 【0047】 これにより、操作感触がばらつき難い可動接点部材1を用いることで、操作感触がばらつき難く、オーバーストロークに対応可能なスイッチ装置を提供することができる、という効果を奏する。 【0048】 本実施形態の可動接点部材1を用いたスイッチ装置100では、保持シート5は、非粘着部5cが可動接点部材1の開口部1dに対向して配置される構造とした。これにより、連結部1e(腕部1f)は粘着層5bには接触しないため、粘着層5bの粘着力により連結部1e(腕部1f)の動作に悪影響を及ぼし難くなるという効果を奏する。 【0049】 以上のように、本発明の実施形態に係る可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。 【0050】 (1)本実施形態の可動接点部材1において、連結部1eは、図3に示すように、桟状に形成された複数の腕部1fからなり、接触部1cの周囲に等間隔に3つの腕部1fが配置され、放射線状に延出して形成されている構造としたが、腕部1fの数や形状などを変えたものでも良い。例えば、連結部1eは、図3に示した形状ではなく、図9ないし図11に示すような構造であっても良い。なお、図9は本実施形態における可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。図10は可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。図11は可動接点部材1の変形例の一つを示す平面図である。図9に示す変形例においては、連結部1eは、接触部1cの周囲に等間隔に3つの腕部1fが配置され、腕部1fはそれぞれ蛇行するように延出して形成されている。なお、腕部1fは同一形状に形成されている。図10に示す変形例においては、連結部1eは、接触部1cを挟んで対称な位置に1つずつ腕部1fが配置され、腕部1fはそれぞれ蛇行するように延出して形成されている。なお、腕部1fは同一形状に形成されている。図9および図10に示す変形例のように、腕部1fを蛇行するように延出して形成することで、放射線状に延出させた場合に比べて、腕部1fの長さを長く取ることができるため、腕部1fの撓み量を大きくすることができる。図11に示す変形例においては、連結部1eは、接触部1cの周囲に1つの腕部1fが配置され、腕部1fは直線状に延出して形成されている。腕部1fが1つしかないが、図3、図9および図10に示す形状にした場合と同様の効果が得られる。 【0051】 (2)本実施形態のスイッチ装置100において、可動接点部材1、固定接点部3等の数は1つとしたが、可動接点部材1、固定接点部3等の数を増やして、複数のスイッチング操作が可能な構造としても良い。 【0052】 (3)本実施形態のスイッチ装置100において、基板2はリジット基板としているが、用途に応じてフレキシブル基板を用いても良い。 【0053】 (4)本実施形態のスイッチ装置100において、固定接点部3を基板2に印刷して設ける構造としたが、固定接点部3を金属板で形成し、固定接点部3を合成樹脂材にインサート成形して基板2を形成する構造でも良い。 【0054】 (5)本実施形態のスイッチ装置100において、駆動体4の押圧部4cは円柱状に形成されているが、外方部1g(開口部1d)の周囲のドーム部1aを押圧可能であれば、押圧部4cは円筒状に形成されていてもよい。 【0055】(削除) 【符号の説明】 【0056】 1 可動接点部材 1a ドーム部 1b 脚部 1c 接触部 1d 開口部 1e 連結部 1f 腕部 1g 外方部 2 基板 3 固定接点部 3a 第1固定接点部 3b 第2固定接点部 3c 外部接続端子 4 駆動体 4a ベース部 4b 操作部 4c 押圧部 5 保持シート 5a シート部 5b 粘着層 5c 非粘着部 6 カバー部材 6a 天面部 6b 挿通孔 6c 側壁 100 スイッチ装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により前記ドーム部が反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、操作されていないときにおいては前記脚部よりも上方に位置し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結されていることを特徴とする可動接点部材。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。 【請求項5】 可動接点部材と、 前記可動接点部材と電気的に接続可能な固定接点部を備えた基板と、を有し、 前記可動接点部材は、 膨出して形成されたドーム部と、 前記ドーム部の外縁部に設けられ前記ドーム部を支持する脚部と、 操作に応じて移動可能な接触部と、前記膨出する方向からの平面視で前記ドーム部の中央位置に配置される開口部と、を有する前記膨出する方向からの押圧により反転する可動接点部材であり、 前記接触部は、前記膨出する方向からの平面視で前記開口部の中央位置に配置されるとともに、前記ドーム部の内方へ突出し、下方に押圧されたとき、前記ドーム部が反転することなく、前記接触部が前記脚部と同じ高さまで下降し、 前記ドーム部から内方へ延出された撓み変形可能な連結部によって、前記接触部と前記ドーム部とが連結され、 前記可動接点部材が押圧され、前記接触部が前記固定接点部に接触し電気的接続がなされた後において、更に前記可動接点部材が押圧されたとき、前記ドーム部および前記連結部が撓み、前記ドーム部が反転するスイッチ装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-08-16 |
出願番号 | 特願2013-98986(P2013-98986) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(H01H)
P 1 651・ 121- YAA (H01H) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 段 吉享 |
特許庁審判長 |
大町 真義 |
特許庁審判官 |
平田 信勝 内田 博之 |
登録日 | 2017-04-28 |
登録番号 | 特許第6132341号(P6132341) |
権利者 | アルプス電気株式会社 |
発明の名称 | 可動接点部材および可動接点部材を用いたスイッチ装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |