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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08F |
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管理番号 | 1344833 |
異議申立番号 | 異議2017-701146 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-12-05 |
確定日 | 2018-08-31 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6144893号発明「光硬化性樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6144893号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕について、訂正することを認める。 特許第6144893号の請求項1ないし4に係る発明を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6144893号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、2012年10月11日を出願日とする出願であって、平成29年5月19日に特許権の設定登録がされ、同年6月7日にその特許公報が発行され、その後同年12月5日付けで、その請求項1ないし4に係る発明の特許に対し、特許異議申立人 岡林 茂(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成30年2月27日付けで取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、同年4月27日付けで特許権者 アイカ工業株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされ、同年5月18日付けで特許異議申立人に訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をしたが、何の応答もされなかったものである。 第2 訂正の適否について 1 訂正の内容 本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 を 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0009】に「嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレート」と記載されているのを、 「嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレート」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0010】に「請求項2の発明は、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、 ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物である。」と記載されているのを、 「請求項2の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0011】に「請求項3の発明は、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物である。」と記載されているのを、 「請求項3の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0012】に「請求項4の発明は、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物である。」と記載されているのを、 「請求項4の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項及び独立特許要件 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであること」の嵩高官能基を有する単官能アクリレートに係る並列的選択肢の一部を削除して「嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであること」としたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 また、この訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2ないし4について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2のうち、請求項1を引用するものについて、引用形式の記載から独立形式の記載に改める訂正を含むものである。 訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項3のうち、請求項1を引用するものについて、引用形式の記載から独立形式の記載に改める訂正を含むものである。 訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項4のうち、請求項1を引用するものについて、引用形式の記載から独立形式の記載に改める訂正を含むものである。 これらの訂正は、いずれも、請求項の記載について、訂正前の引用形式の記載を独立形式の記載に改めるものであるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。また、これらの訂正は、新たな技術的事項を導入するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項5ないし8について 訂正事項5ないし8の、明細書の段落【0009】ないし【0012】に係る訂正は、上記訂正事項1ないし4に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0009】ないし【0012】の記載を訂正事項1ないし4に対応するように訂正するものであるから、当該訂正事項5ないし8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (4)一群の請求項 本件訂正の請求による訂正は、訂正後の請求項1ないし4についての訂正であるが、訂正前の請求項2ないし4は訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるので、訂正前の請求項1ないし4は、一群の請求項である。 したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。 (5)独立特許要件 特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし4に対してされているので、訂正後の請求項1ないし4に係る発明については、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第4項及び第9項で準用する同法第126条第5ないし7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし4〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 1 本件訂正の請求により訂正された訂正後の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「 【請求項1】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項2】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 」 2 当審が通知した取消理由について 当審が通知した取消理由の概要は次のとおりである。 「理由1 本件特許発明1は、その出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。」 3 取消理由における証拠方法 甲第1号証:特開2000-63446号公報 4 取消理由についての当審の判断 (1)甲第1号証に記載された事項及び甲第1号証に記載された発明 ア 甲第1号証に記載された事項 (ア) 「【請求項1】 次の成分(A)、(B)および(C); (A)ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、 (B)一分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも一個有する(メタ)アクリレート化合物、ならびに (C)光重合開始剤 を含有し、該組成物中の塩素の含有量が組成物中0.001重量%以下であることを特徴とする光硬化型樹脂組成物。」 (イ) 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、光硬化型樹脂組成物に関し、特にDVD(デジタルビデオディスクまたはデジタルバーサタイルディスク)などの情報記録ディスク製造用の光硬化型樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、コンピューター装置技術、コンピューターソフトウエア技術、通信技術等をはじめとする情報技術の発展により、より多くの情報を高速に伝達することが可能となってきている。これに伴いより多くの情報を高密度に記録することができる記録媒体が望まれ開発が進められつつある。このような高密度記録媒体としてDVDが次世代の汎用の記録媒体として開発されている。DVDは従来のCD(コンパクトディスク)と異なり、2枚のディスクを貼り合わせて製造されるために貼り合わせのための接着剤が必要となり、ホットメルト接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等を用いる試みがなされている。」 (ウ) 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】 本発明が解決しようとする課題は、優れた耐熱性と耐湿性を有する情報記録ディスク製造用の接着剤として有用な光硬化型樹脂組成物を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは鋭意検討した結果、光硬化型樹脂組成物中の塩素含有量を低下させると、本樹脂組成物を接着剤として用いた場合、光ディスク基板面の金属膜の変質が少なくなり、耐湿・耐熱性に優れた情報記録ディスクが得られることを見いだし、本発明を完成した。」 (エ) 「【0009】 【発明の実施の形態】 成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物ならびに水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られる。 【0010】 ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素等が用いられる。これらのポリオールは単独で用いることも、2種類以上併用することもできる。」 (オ) 「【0019】 また、前記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られる。ここで、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加体、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アルキレンオキシド付加ポリオール等が挙げられる。また、多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、等を挙げることができる。これらのポリエステルポリオールの市販品としては、クラポールP1010、クラポールP2010、PMIPA、PKA-A、PKA-A2、PNA-2000(以上、(株)クラレ製、)トーンポリオール0200、トーンポリオール0221、トーンポリオール0301、トーンポリオール0310、トーンポリオール2201、トーンポリオール2221(以上、ユニオンカーバイド社製)〕等を使用することができる。 【0020】 また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば式(1)で示されるポリカーボネートジオールが挙げられる。 【0021】 【化1】 【0022】 (式中、R^(1 )は炭素数2?20のアルキレン基、(ポリ)エチレングリコール残基、(ポリ)プロピレングリコール残基、(ポリ)テトラメチレングリコール残基を示し、mは1?30の整数である)が挙げられる。R^(1 )の具体例としては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等の残基が挙げられる。 【0023】 該ポリカーボネートポリオールとしては、市販品として、DN-980、DN-981、DN-982、DN-983(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、PC-8000(PPG社製)、PNOC1000、PNOC2000、PMC100、PMC2000(以上、(株)クラレ製)、プラクセルCD-205、CD-208、CD-210、CD-220、CD-205PL、CD-208PL、CD-210PL、CD-220PL、CD-205HL、CD-208HL、CD-210HL、CD-220HL、CD-210T、CD-221T(以上、ダイセル化学工業(株)製)等を使用することができる。 【0024】 上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、εーカプロラクトンを例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2-ポリブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブタンジオール等のジオールに付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらの市販品としては、プラクセル 205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業(株)製)等を使用することができる。」 (カ) 「【0039】 本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの好ましい数平均分子量は、400?20000であり、特に600?10000であることが好ましい。 【0040】 本発明で用いる成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートは、樹脂組成物の基材に対する密着性および粘度の点から成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計の重量を100重量部として、5?70重量部含まれるのが好ましい。 【0041】 成分(B)の一分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも一個有する(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリロイル基を一つだけ有する単官能化合物と二つ以上有する多官能化合物の何れの化合物を用いてもよく、適当な比率で併用してもよい。 【0042】 上記単官能化合物としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、下記式(3)?(5)で表される化合物を挙げることができる。 【0043】 【化3】 【0044】 〔式中、R^(3) は炭素数2?6のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基を示し、R^(4) は水素原子またはメチル基を示し、R^(5) は水素原子または炭素数1?12のアルキル基を示し、pは0?20の整数を示す。〕 【0045】 【化4】 【0046】 〔式中、R^(6) は水素原子またはメチル基を示し、R^(7) は炭素数2?8のアルキレン基を示し、qは0?8の整数を示す。〕」 (キ) 「【0051】 上記(B)成分である(メタ)アクリレート化合物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量を100重量部として、本発明の組成物中に30?90重量部配合するのが好ましい。 【0052】 成分(C)の光重合開始剤としては、公知の光硬化性樹脂組成物に使用されるものであれば特に制限無く使用することが可能であり、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、3-メチルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4′-ジメトキシベンゾフェノン、4,4′-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ミヒラーズケトン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネート、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルベンゾイルホルメート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]等が挙げられる。 【0053】 これらの市販品としては、IRUGACURE184、261、369、500、651、907、CGI-403、819、1700、1800、1850(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、Lucirin TPO、TPO-L(以上、BASF社製)、Darocur 953、1116、1173、1664、2273、2959、ZL1 3331(以上、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、ユベクリルP36(UCB社製)、VICURE55(アクゾ社製)、ESACURE KIP100F、KIP150(LAMBERTI社製)、KAYAKURE ITX、QTX、DETX、BMS(以上、日本化薬(株)製)等を挙げることができる。これらの光重合開始剤のうち特に、IRUGACURE184、369、651、907、Darocur1173、CGI-1700、1800、1850、Lucirin TPO、TPO-Lが好ましい。 【0054】 これらは、単独で用いてもまたは二種以上組み合わせて用いてもよい。 【0055】 本発明の組成物において、成分(C)の配合量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計重量を100重量部として、通常、0.1?20重量部、好ましくは0.5?15重量部、特に好ましくは1?10重量部である。」 (ク) 「【0082】 合成例2 攪拌機機、温度計を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(商品名:タケネート600、武田薬品工業(株)製)175.8g、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエンを0.3g、水酸基価224mgKOH/gのポリカーボネートジオール(商品名:プラクセルCD205、ダイセル化学工業(株)製)505.6gを仕込み攪拌し、乾燥空気雰囲気下で冷水浴で10℃に冷却した後、ジラウリル酸ジ-n-ブチルスズ1.3gを添加し内容物が10?35℃に保たれるように冷水浴で冷却しながら1時間攪拌した。次いで、2-ヒドロキシエチルアクリレート117.2gを添加し50?70℃で5時間攪拌を継続し反応させた。その後、反応物を取り出し数平均分子量が1130のウレタンアクリレート(A3)を得た。 【0083】 上記ウレタンアクリレート(A3)を合成例1の場合と同様にしてイオン交換水にて洗浄して精製ウレタンアクリレート(A4)を得た。 【0084】 実施例および比較例 <光硬化型樹脂組成物の調製> 撹拌機を備えた反応容器に、表1に示す組成の各成分を加えた後、撹拌混合して、実施例1?5および比較例1?4の樹脂組成物を調製した。実施例1、実施例3の組成物は組成の各成分を攪拌混合した後、直径5cmのガラス管に顆粒状ビスマス系無機イオン交換体であるIXE-500G(東亞合成(株)製)を50cm充填し50℃に保温したカラムに通液して塩化物イオンを除去した(以後、この塩化物イオン除去処理をカラム処理と称する)。 【0085】 表1における各成分は以下の通りである。 (B)成分 B1 フェノキシエチルアクリレート B2 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート B3 ラウリルアクリレート B4 2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルアクリレート B5 アクリロイルモルホリン B6 テトラヒドロフルフリルアクリレート (C)成分 C1 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン C2 2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン C3 オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オン](商品名:Esacure KIP150、Lamberti社製) C4 2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン (D)成分(その他成分) D1 塩化ナトリウム」 (ケ) 「【0089】 【表1】 」 イ 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証に記載された事項、特に、合成例2、実施例3および4に関する記載を整理すると、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水酸基価224mgKOH/gのポリカーボネートジオールと2-ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られる数平均分子量が1130のウレタンアクリレート(A3)又はその精製ウレタンアクリレート(A4)50重量部と、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルアクリレート(B4)15重量部と、テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)20重量部およびアクロイルモルホリン(B5)10重量部が含まれる光硬化性樹脂組成物。」 (2)対比及び判断 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「数平均分子量が1130」、「2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルアクリレート(B4)」、「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」、「アクロイルモルホリン(B5)」、「光硬化性樹脂組成物」は、それぞれ、本件特許発明1の「数平均分子量が8700以下」、「芳香環を有する単官能アクリレート」、「嵩高官能基を有する単官能アクリレート」、「単官能アクリルアミド」、「光硬化性樹脂組成物」に相当する。 甲1発明の「ウレタンアクリレート(A3)又はその精製ウレタンアクリレート(A4)」は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるものであり、ポリカーボネート主鎖を有するものであるから、本件特許明細書の段落【0015】の「本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートはエステル構造を主鎖に持つもので、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等のエステル構造を有するジオールと水酸基を有する(メタ)アクリレートとポリイソシアネートから調成したものである。」との記載からみて、本件特許発明1の「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート」に相当する。 そうすると両者は、 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれる光硬化性樹脂組成物。」 という点で一致し、少なくとも次の相違点1で相違する。 <相違点1> 本件特許発明1は、嵩高官能基を有する単官能アクリレートが「ジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレート」であるのに対し、甲1発明は、「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」である点。 相違点1について検討する。 甲1発明の「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」は、テトラヒドロフラニル基を有するものであって、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有するものではない。 したがって、相違点1は実質的な相違点であって、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえない。 (3) 小括 したがって、取消理由1は理由がない。 5 取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由についての判断 (1)取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由及び証拠方法 ア 取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由は、概ね次のとおりである。 (新規性)訂正前の本件特許の請求項3に係る発明は、その出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (進歩性)訂正前の本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は同法113条第2号に該当し、取り消すべきものである (明確性)訂正前の本件特許の請求項3及び4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 イ 証拠方法 甲第1号証:特開2000-63446号公報 甲第2号証:光重合開始剤総合カタログ、チバ・スペシャリティケミカル ズ(株)発行、発行日:2003年5月発行、表紙、内表紙 (目次)、1頁、3頁、15頁、裏表紙 甲第3号証:LAMBSONカタログ、日本シイベルヘグナー(株)発行 、発行日:2006年4月発行、表紙、4?9頁、57頁、 裏表紙 (2)取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由についての判断 ア 本件特許発明1の進歩性について 上記4の(2)で示した相違点1について検討する。 甲第1号証の段落【0042】には、(メタ)アクリロイル基を一つだけ有する単官能化合物が多数列記されている。 しかしながら、これらの列記された単官能化合物の中から本件特許発明1の成分に該当する「シクロヘキシル(メタ)アクリレート」、「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」、「イソボルニル(メタ)アクリレート」、「アダマンチル(メタ)アクリレート」などの成分を選び出し、甲1発明の「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」と置き換える動機付けは甲第1号証の記載からは読み取れない。 仮に、上記成分が置換できたとしても、本件特許発明1が奏する「伸張性と硬さ、伸びと強さの両立性が優れ、更に、耐溶剤性が優れる」との作用効果は、甲第1号証の記載から、当業者が予測できるとはいえない。 また、甲第2及び3号証にも、嵩高官能基を有する単官能アクリレートが「ジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレート」であることは記載も示唆もされていない。そのため、相違点1は、甲1発明および甲第2ないし3号証の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。 したがって、相違点1については、甲1発明および甲第1ないし3号証の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。 よって、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 イ 本件特許発明2の進歩性について 本件特許発明2と甲1発明を対比する。 甲1発明の「数平均分子量が1130」、「2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルアクリレート(B4)」、「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」、「アクロイルモルホリン(B5)」、「光硬化性樹脂組成物」は、それぞれ、本件特許発明2の「数平均分子量が8700以下」、「芳香環を有する単官能アクリレート」、「嵩高官能基を有する単官能アクリレート」、「単官能アクリルアミド」、「光硬化性樹脂組成物」に相当する。 甲1発明の「ウレタンアクリレート(A3)又はその精製ウレタンアクリレート(A4)」は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるものであり、ポリカーボネート主鎖を有するものであるから、本件特許明細書の段落【0015】の「本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートはエステル構造を主鎖に持つもので、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等のエステル構造を有するジオールと水酸基を有する(メタ)アクリレートとポリイソシアネートから調成したものである。」との記載からみて、本件特許発明2の「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート」に相当する。 さらに、甲1発明の「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」は、テトラヒドロフラニル基を有するから、本件特許発明2の「嵩高官能基を有する単官能アクリレートが・・・テトラヒドロフラニル基・・・を有する単官能アクリレート」に相当する。 そうすると両者は、以下の一致点で一致し、少なくとも次の相違点2で相違する。 <一致点> 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがテトラヒドロフラニル基を有する単官能アクリレートである光硬化性樹脂組成物。」 <相違点2> 本件特許発明2は、「単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれる」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 相違点2について検討する。 甲第1ないし3号証には、「単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれる」ことは記載も示唆もされていない。 したがって、相違点2は、甲1発明および甲第1ないし3号証の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得たということはできない。 よって、本件特許発明2についての進歩性の欠如に関する理由は、理由がない。 ウ 本件特許発明3の新規性及び進歩性について 本件特許発明3と甲1発明を対比する。 一致点については、上記イの<一致点>と同様であり、少なくとも次の相違点3で相違する。 <相違点3> 本件特許発明3は、「さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含む」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 相違点3について検討する。 甲第1号証には、「さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むこと」は記載も示唆もされていない。 そして、甲第1号証の実施例3及び4に記載の光重合開始剤である「C3 オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オン](商品名:Esacure KIP150、Lamberti社製)」及び「C4 2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン」が、「220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤」と、「300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤」のいずれに該当するか否かは、甲第1ないし3号証の証拠上明らかではない。 そうすると、上記相違点3は、実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明3が、甲第1号証に記載された発明であるということはできない。 また、特許異議申立人は、 「さらに、前記イ-1-6)で説明した通り、同号証の実施例1及び同2では、本件特許発明3の(A)?(D)成分を含む例ではないものの、以下に示す通り(E-A)及び(E-B)成分にそれぞれ該当するC1とC2を組み合わせている。 C1 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン ;3部 C2 2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン ;2部 又、同号証の実施例1及び同2のC1とC2の比率は、本件特許発明3における(E-A)及び(E-B)成分の割合を満たさないものの、紫外線重合開始剤の使用割合に関して、目的に応じて割合を適宜変更することは、当業者が通常行う程度の技術である。」と主張する(特許異議申立書の第20頁第2-12行。)。 しかしながら、甲第1号証に記載の実施例1及び2は、甲1発明の各成分を含むものではなく、甲1発明において実施例3及び4において使用された光重合開始剤C3及びC4の代わりに、実施例1及び2で使用された光重合開始剤C1及びC2を用いる動機付けは、甲第1号証の記載から読み取ることができない。 また、甲第1号証に記載の実施例3及び4において上記C3及びC4の代わりに、上記C1及びC2を用いたとしても、当該C1とC2の比率(1.5:1)を変更して、「3:1?7:1」の範囲にすることは、何らの方針もなしに、当業者が適宜になし得るということはできない。 したがって、本件特許発明3は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 さらに、甲第2及び甲第3号証の記載を参照しても、「220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むこと」は記載されていないし、甲第1号証に記載の実施例3及び4における光重合開始剤C3及びC4の代わりに、「220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤」を使用し、さらに、それらの使用割合を「3:1?7:1の割合で含む」との動機付けを見いだすことはできない。 したがって、本件特許発明3は、甲1発明及び甲第1ないし3号証に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 よって、本件特許発明3についての新規性及び進歩性の欠如に関する理由は、理由がない。 エ 本件特許発明4の進歩性について 本件特許発明4と甲1発明を対比する。 甲1発明の「数平均分子量が1130」、「2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルアクリレート(B4)」、「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」、「アクロイルモルホリン(B5)」、「光硬化性樹脂組成物」は、それぞれ、本件特許発明4の「数平均分子量が8700以下」、「芳香環を有する単官能アクリレート」、「嵩高官能基を有する単官能アクリレート」、「単官能アクリルアミド」、「光硬化性樹脂組成物」に相当する。 甲1発明の「ウレタンアクリレート(A3)又はその精製ウレタンアクリレート(A4)」は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるものであり、ポリカーボネート主鎖を有するものであるから、本件特許明細書の段落【0015】の「本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートはエステル構造を主鎖に持つもので、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等のエステル構造を有するジオールと水酸基を有する(メタ)アクリレートとポリイソシアネートから調成したものである。」との記載からみて、本件特許発明4の「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート」に相当する。 さらに、甲1発明の「テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)」は、テトラヒドロフラニル基を有するから、本件特許発明4の「嵩高官能基を有する単官能アクリレートが・・・テトラヒドロフラニル基・・・を有する単官能アクリレート」に相当する。 また、甲1発明の上記A3又はA4は、50重量部であるから、割合を算出すると甲1発明の全成分中52.7重量%となり、本件特許発明4の「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート・・・は・・・、40?80重量%」を満たす。 同様に、甲1発明の上記B4は、15重量部であるから、割合を算出すると甲1発明の全成分中15.7重量%となり、本件特許発明4の「芳香環を有する単官能アクリレート・・・は・・・10?25重量%」を満たし、甲1発明の上記B5は、10重量部であるから、割合を算出すると甲1発明の全成分中10.5重量%となり、本件特許発明4の「単官能アクリルアミドは・・・5?12重量%」を満たす。 そうすると両者は、以下の一致点で一致し、少なくとも次の相違点4で相違する。 <一致点> 「数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがテトラヒドロフラニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%含まれる光硬化性樹脂組成物。」 <相違点4> 本件特許発明4は、嵩高官能基を有する単官能アクリレートが「ラジカル重合性成分中、・・・5?12重量%・・・含まれる」のに対し、甲1発明は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)が20重量部である点。 相違点4について検討する。 甲1発明におけるラジカル重合性成分に対するテトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)の割合を算出すると、21.1重量%である。 そうすると、甲1発明におけるテトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)の割合は、本件特許発明4における「5?12重量%」を満たしていないことは明らかである。 そして、甲1発明において、テトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)の割合21.1重量%を、「5?12重量%」の範囲にする動機付けは、甲第1号証から読み取ることはできないから、甲1発明において、ラジカル重合性成分に対するテトラヒドロフルフリルアクリレート(B6)の割合をラジカル重合性成分中5?12重量%に変更することは、当業者が適宜になし得るとはいうことができない。 また、本件特許発明4が奏する「伸張性と硬さ、伸びと強さの両立性が優れ、更に、耐溶剤性が優れる」との作用効果は、甲第1号証の記載から、当業者が予測できるとはいえない。 したがって、本件特許発明4は、甲1発明及び甲第1号証に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 さらに、甲第2及び3号証には、「嵩高官能基を有する単官能アクリレートが「ラジカル重合性成分中、・・・5?12重量%・・・含まれる」ことは記載も示唆もされておらず、甲第2及び3号証の記載から、当該作用効果は、当業者が予測できるとはいえない。 したがって、本件特許発明4は、甲1発明及び甲第1ないし3号証に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 よって、本件特許発明4についての進歩性の欠如に関する理由は、理由がない。 オ 本件特許発明3の明確性について 特許異議申立人の主張は、概略、訂正前の本件特許発明3における「220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤」に関する定義が本件特許明細書の記載では不明確であるというものであるが、実施例で使用された「イルガキュア184 BASFジャパン、商品名、1ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン」は、240nmに最大吸収波長を有し、「LucninTPO(BASFジャパン、商品名、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル」は、300?380nmに最大吸収波長を有することは明らかであるから、本件特許明細書にその定義が記載されていないとしても、「最大」という用語は、日本語として明確である。 したがって、本件特許発明3に関して、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 よって、本件特許発明3についての明確性に関する理由は理由がない。 カ 本件特許発明4の明確性について 特許異議申立人の主張は、概略、訂正前の本件特許発明4における「ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれる」に関して不明確な場合があるというものであるが、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート及び単官能アクリルアミドを含むラジカル重合性成分には、これら以外に紫外線重合開始剤を含むことができるから(請求項3の記載参照。)、例えば、ウレタンアクリレートが40重量%のときに、ウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート及び単官能アクリルアミドの合計が100%にならなくても本件特許発明4の記載は不明確ではない。 したがって、本件特許発明4に関して、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 よって、本件特許発明4についての明確性に関する理由は理由がない。 第4 結語 上記第3のとおりであるから、取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 光硬化性樹脂組成物 【技術分野】 【0001】 本発明は、伸びと強さを有する光硬化性樹脂組成物に関するものである。 【背景技術】 【0002】 光硬化樹脂は無溶剤で、硬化速度が大きく、電子関係部品、実装等に用いられている。しかし、硬化速度、強度、耐溶剤性等を求めると伸びが乏しく、強靱性に乏しい硬化物となり、強靱性が求められるシール材料等では設計で伸びを回避するもので、熱膨張の異なる異種材料には適応が難しいものであった。 【0003】 特許文献1の発明は(A)末端に(メタ)アクリル基を有し主骨格を水添されたポリブタジエンである重合体と、(B)飽和脂肪族エラストマーと、(C)光重合開始剤の(A)?(C)を主成分とする光硬化性組成物とした。あるいは、前記(A)?(C)の組成物に(D)炭素数5以上の鎖状脂肪族または脂環式単官能(メタ)アクリレートを、さらに添加した(A)?(D)を主成分とする光硬化性組成物が耐溶剤性や透湿バリア性を高めるとともに、ヒートサイクルによる被着材の膨張、収縮に追従可能なシール材となることを開示している。 【0004】 特許文献2の発明は水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)、ポリオール(a2)およびポリイソシアネート(b)から形成されてなるウレタン(メタ)アクリレート(A)、ポリオール(B)および光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物が紫外線による硬化後の透明性に優れ、熱や時間経過による外観や物性変化の小さい感光性樹脂硬化物、該硬化物を与える感光性樹脂組成物、並びに、該組成物を基材に塗布し紫外線を照射して硬化させる被覆物の製造方法となることを開示している。 【0005】 特許文献3の発明は2層以上のポリカーボネート樹脂フィルムおよび/またはシートを、(A)(メタ)アクリレートモノマー、(B)(メタ)アクリレートオリゴマーおよび(C)アクリルアミド誘導体と、(D)シラン化合物および/または(E)有機リン化合物とを含有する曲げ加工性に優れた(メタ)アクリレート系接着剤組成物を用いて積層してなる厚さ0.1mm?30mmの積層体において、該積層体を130℃?185℃、積層体の上下表面温度差20℃以内で加熱した後、該積層体を曲率半径10mm以上の曲面に曲げ加工することを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体の製造方法で透明性、接着力、耐熱性、耐湿性および曲げ加工性に優れたポリカーボネート樹脂積層体となることを開示さしている。 【0006】 特許文献4の発明は、(1)?(3)とを反応させて得られる成分(1)の繰り返し単位数が2以上でかつ成分(1)の構成単位あたり3?11個のウレタン結合基及び/またはウレア結合基を有する分子量が1000?20000のウレタンアクリレート(A)、分子量が500未満の重合性モノマー(B)を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型接着剤が活性エネルギー線に対する硬化性に優れ、基材に対する接着強度、柔軟性、耐候性、耐熱性、耐水性及び耐薬品性に優れる活性エネルギー線硬化型接着剤となることを開示している。((1)芳香族ジカルボン酸を40モル%以上を含有し、かつ分子量1000?10000の共重合ポリエステルポリオール(2)ポリイソシアネート化合物(3)1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基と1個以上の水素基を有する化合物) 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 【特許文献1】特開2006-8819号公報 【特許文献2】特開2007-314779号公報 【特許文献3】特開2009-274255公報 【特許文献4】特開平7-292323号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 解決しようとする課題は、硬さと伸張性を備え、更に耐溶剤性を有する光硬化性樹脂組成物を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0009】 請求項1の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。 【0010】 請求項2の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。 【0011】 請求項3の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。 【0012】 請求項4の発明は、数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。 【発明の効果】 【0013】 本発明は樹脂組成物の硬度と伸張性を備え、更に耐溶剤性を有する効果を有する。 【発明を実施するための形態】 【0014】 ラジカル重合性光硬化樹脂は、柔軟性を求めると強度が得られず、強度を追求すると伸びが得られない硬化物となっていた。また、耐溶剤性を有する硬化物は一般に架橋度を高めることで適うが硬く、靭性のあるものは得られなかった。本発明は、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレートオリゴマーに芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドを組み合わせて配合することによって、強度と伸びが両立する強靱性を有する光硬化性樹脂組成物となり、さらに、耐溶剤性が高い光硬化性樹脂組成物となることをみいだし、本発明に到った。 【0015】 本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートはエステル構造を主鎖に持つもので、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等のエステル構造を有するジオールと水酸基を有する(メタ)アクリレートとポリイソシアネートから調成したものである。本願の伸びと強度の両立、耐溶剤性を求めるには、一構造単位(オリゴマー)当たり、2の(メタ)アクリロイル基を有し、数平均分子量が、8000?18000のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。市販品に紫光UV-3000B、UV-3200B(日本合成化学工業(株)、商品名)、UN-7600(根上工業(株)、商品名)、RX8-3-6、RX43-21(亜細亜工業(株)、商品名)等を上げることができる。 【0016】 芳香環を有する単官能アクリレートはエステルにベンゼン環を有するアクリレートで、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、ネオペンチルグリコール-アクリル酸-安息香酸エステルをあげることができ、中でもベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが、粘度が低く、相溶性が良く、耐溶剤性を高め、好ましい。 【0017】 嵩高官能基を有する単官能アクリレートはジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、シクロヘキサニル基を有するもので、ジシクロペンテニルアクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト、ジシクロペンタニルアクリレ-ト、イソボルニルアクリレート、アダマンタニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。中でもジシクロペンタニルアクリレ-ト、イソボルニルアクリレートが低粘度で、相溶性、硬化性、空気硬化性に優れ好ましい。 【0018】 単官能アクリルアミドはアクリル酸とアミンとで、アミドを形成したアクリルアミドで、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドがあげられ、中でもジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンが耐溶剤性、保存性、相溶性、硬化性、空気硬化性が優れ好ましい。 【0019】 光開始剤は、可視光や紫外線でラジカルを生じる、汎用される光重合開始剤で良く、エネルギーが高い紫外線が好ましい。更に、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤(光開始剤Aとする)と300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤(光開始剤B)とするを組み合わせて配合することにより、本願発明の光硬化性樹脂組成物を効率的に重合することができる。光開始剤Aと光開始剤Bの配合比率は3:1?7:1が好ましく、ラジカル重合性成分に対して、2?6重量%配合することが好ましい。光開始剤Aとして2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンを上げることができる。光開始剤Bとして2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノプロパン‐1‐オン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを上げることができる。 【0020】 その他、添加剤として汎用の添加剤の他、密着性を高めるため、リン酸基含有アクリルモノマー、アルコキシシラン含有アクリルモノマーを添加することができる。 【0021】 ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、15?25重量%、0?15重量%、0?15重量%で配合され、硬度、強度と伸びを有する強靱性を示し、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%で、さらに、耐溶剤性を付与することができる。 【0022】 以下実施例で、詳細に説明する。なお、室温は25℃相対湿度65%で行った。 【0023】 実施例1 RX43-21(亜細亜工業(株)、商品名、ウレタンアクリレートオリゴマー、主鎖 エステル系、1分子当たりのアクリロイル基2、数平均分子量8700)60重量部、ライトアクリレートIB-XA(共栄社化学(株)、商品名、イソボルニルアクリレート)10重量部、ACMO((株)興人、アクリロイルモルホリン)10重量部、ライトアクリレートPO-A(共栄社化学(株)、商品名、フェノキシエチルアクリレート)20重量部、開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン、商品名、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)3重量部、LucninTPO(BASFジャパン、商品名、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル)0.5重量を混合撹拌して、実施例1の光硬化性樹脂組成物とした。 【0024】 実施例2 実施例1のACMOをDMAA((株)興人、ジメチルアクリルアミド)に変えた以外、実施例1と同じく行い実施例2の光硬化性樹脂組成物とした。 【0025】 実施例3 実施例1のライトアクリレートPO-AをV#160(大阪有機化学工業(株)、商品名、ベンジルアクリレート)に変えた以外、実施例1と同じく行い実施例3の光硬化性樹脂組成物とした。 【0026】 実施例4 実施例2のライトアクリレートPO-AをV#160(大阪有機化学工業(株)、商品名、ベンジルアクリレート)に変えた以外、実施例2と同じく行い実施例4の光硬化性樹脂組成物とした。 【0027】 参考例1 実施例1のライトアクリレートIB-XAを20重量部に、ACMOを無配合に変えた以外、実施例1と同じく行い参考例1の光硬化性樹脂組成物とした。 【0028】 参考例2 実施例1のACMOを20重量部に、ライトアクリレートIB-XAを無配合に変えた以外、実施例1と同じく行い参考例2の光硬化性樹脂組成物とした。 【0029】 参考例3 実施例1のRX43-21を紫光UV-3000B(日本合成化学工業(株)、商品名、ウレタンアクリレートオリゴマー、主鎖 エステル系、1分子当たりのアクリロイル基2、数平均分子量18000))に変えた以外、実施例1と同じく行い参考例3の光硬化性樹脂組成物とした。 【0030】 参考例4 参考例3のライトアクリレートIB-XAをファンクリルFA-513AS(日立化成工業(株)、商品名、ジシクロペンタニルアクリレ-ト)に、ライトアクリレートPO-AをV#160に変えた以外、参考例3と同じく行い参考例4の光硬化性樹脂組成物とした。 【0031】 参考例5 参考例3のACMOをDMAAに、ライトアクリレートPO-AをV#160に変えた以外、参考例3と同じく行い参考例5の光硬化性樹脂組成物とした。 【0032】 参考例6 参考例4のACMOをDMAAに変えた以外、参考例4と同じく行い参考例6の光硬化性樹脂組成物とした。 【0033】 実施例5 RX8-3-6(亜細亜工業(株)、商品名、ウレタンアクリレートオリゴマー、主鎖 エステル系、1分子当たりのアクリロイル基2、数平均分子量8500)70重量部、ライトアクリレートIB-XA(共栄社化学(株)、商品名、イソボルニルアクリレート)10重量部、ACMO((株)興人、アクリロイルモルホリン)10重量部、ライトアクリレートPO-A(共栄社化学(株)、商品名、フェノキシエチルアクリレート)10重量部、イルガキュア1843重量部、Lucnin TPO 0.5重量部を混合撹拌して、実施例5の光硬化性樹脂組成物とした。 【0034】 比較例1 実施例5の ライトアクリレートIB-XAを30重量部に、ACMOおよびライトアクリレートPO-Aを無配合に変えた以外、実施例5と同じく行い比較例1の光硬化性樹脂組成物とした。 【0035】 比較例2 実施例5の ACMOを30重量部に、ライトアクリレートIB-XAおよびライトアクリレートPO-Aを無配合に変えた以外、実施例5と同じく行い比較例2の光硬化性樹脂組成物とした。 【0036】 比較例3 実施例5の ライトアクリレートPO-Aを30重量部に、ライトアクリレートIB-XAを無配合に変えた以外、実施例5と同じく行い比較例3の光硬化性樹脂組成物とした。 【0037】 比較例4 実施例5の ライトアクリレートIB-XAを15重量部、ACMOを15重量部に、ライトアクリレートPO-Aを無配合に変えた以外、実施例5と同じく行い比較例4の光硬化性樹脂組成物とした。 【0038】 比較例5 実施例1の RX43-21をSUA-008(亜細亜工業(株)、商品名、ウレタンアクリレートオリゴマー、主鎖 エーテル系、1分子当たりのアクリロイル基2、数平均分子量16300)に変えた以外、実施例1と同じく行い比較例5の光硬化性樹脂組成物とした。 【0039】 【表1】 【0040】 硬化性:100μm ポリエチレンテレフタラートフイルム(以下PETとする。)に厚さ1mmのシリコン製型枠に実施例、参考例、比較例の光硬化性樹脂組成物を入れ、泡が入らないように、PETを被せ、PET下で100mW/cm^(2)の強度で硬化するまで紫外線照射する、その時のPET下の積算光量が600mJ ^(2)を超えたものを×とした。硬化は屈折率を測定して屈折率が変化しなくなった時を硬化とした。 【0041】 引張特性:JISK6251:2010に準じて、測定した。PETに110mm×110mm×1mmのシリコンゴムの型枠を載せ、実施例、参考例、比較例の光硬化性樹脂組成物を入れ、泡が入らないように、PETを被せ、PET下で100mW/cm^(2)の強度で、PET下の積算光量が850mJ/cm^(2)紫外線照射し、これをダンベル3号の打抜き刃型で打ち抜き、23±2℃24時間静置後、引張速度は10mm/minで切断時引張強さ(N/mm^(2))と切断時伸び(%)を測定した。 【0042】 硬さ:JISK6253-3:2012に準じ、デュロメータ、タイプDにて測定した。PETに20mmφ×3mmtのシリコンゴムの型枠を載せ、実施例、参考例、比較例の光硬化性樹脂組成物を入れ、泡が入らないように、PETを被せ、PET下で100mW/cm^(2)の強度で、PET下の積算光量が850mJ/cm^(2)紫外線照射し、23±2℃24時間静置後、これを2枚重ねて、測定した。 【0043】 耐溶剤性:上記 試験片をエタノールおよびn-ヘキサンに25℃200時間浸漬して、取り出し後25℃24時間静置し、引張特性およびデュロメータ硬さDタイプを測定した。 【0044】 参考値:引張特性の切断時引張強さと切断時伸びの積を参考値とした。参考値は伸張性と強度が両立していると大きな値となり、抗張積に準ずる数値となる。 【0045】 変化率:上記 引張特性、硬さ、参考値を常態での数値を分母に、エタノール、n-ヘキサン浸漬後の数値を分子として、変化率(%)を求めた。 変化率=浸漬後数値÷常態数値×100 【産業上の利用可能性】 【0046】 本発明は伸張性と硬さ、伸びと強さの両立性が優れ、更に、耐溶剤性が優れるため、構成物が外部応力等に歪みを生じたり、機構部品として、変形が必要な部位等のシール、接着、充填に向き、更に、これらは耐溶剤性が必要な用途も耐えることができる。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項2】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、単官能アクリルアミドが、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、さらに、220?260nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤と、300?380nmに最大吸収波長を有する紫外線重合開始剤とを、3:1?7:1の割合で含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 数平均分子量が8700以下であるポリエステル主鎖のウレタンアクリレートと、芳香環を有する単官能アクリレートと、嵩高官能基を有する単官能アクリレートおよび単官能アクリルアミドが含まれ、嵩高官能基を有する単官能アクリレートがジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、又は、シクロヘキサニル基を有する単官能アクリレートであり、ポリエステル主鎖のウレタンアクリレート、芳香環を有する単官能アクリレート、嵩高官能基を有する単官能アクリレート、単官能アクリルアミドはラジカル重合性成分中、40?80重量%、10?25重量%、5?12重量%、5?12重量%含まれることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-08-21 |
出願番号 | 特願2012-225697(P2012-225697) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(C08F)
P 1 651・ 113- YAA (C08F) P 1 651・ 121- YAA (C08F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤本 保 |
特許庁審判長 |
岡崎 美穂 |
特許庁審判官 |
長谷部 智寿 近野 光知 |
登録日 | 2017-05-19 |
登録番号 | 特許第6144893号(P6144893) |
権利者 | アイカ工業株式会社 |
発明の名称 | 光硬化性樹脂組成物 |
代理人 | 特許業務法人太陽国際特許事務所 |