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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1345371 |
審判番号 | 不服2017-16995 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-16 |
確定日 | 2018-10-18 |
事件の表示 | 特願2013-154000号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月5日出願公開、特開2015-23922号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年7月24日の出願であって、平成29年4月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月13日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月29日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月27日付けで、同年8月29日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、平成30年2月6日に上申書が提出されたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) 本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成29年6月14日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Hについては発明を分説するため当審で付与した。)。 (本件補正前) 「【請求項1】 A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段と、 D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 E 前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物と、 F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 G 前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備え、 H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する ことを特徴とする遊技機。」 (本件補正後) 「【請求項1】 A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段と、 D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 E 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物と、 F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 G 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするとともに、前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備え、 H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する ことを特徴とする遊技機。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「E 前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物」について、「動作可能に」設けられることを限定し、また、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「G 前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とする」ことについて、「前記前方演出物の動作に応じて」行うこと、及び「前記演出表示手段を通して」後方の領域「にある前記後方演出物」が視認可能となる状態とすることを限定し、さらに、Gの「前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する」ことについて、「前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に」実行することを限定したものである。 そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0246】、【0253】、【0258】及び【0259】の記載並びに【図21】に基づいており、新規事項を追加するものではない。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献に記載された事項 ア 原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-200305号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0023】 まず、図1を用いて、本発明の実施例1に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面(遊技者側)から見た状態を示す略示正面図である。」 「【0206】 図27?図30は、画像表示ユニット620の構造を示す概略図である。図27に示すように、画像表示ユニット620は、可動人形210、可動模型220およびシャッタ250の後方に配設され、収容部622、画像表示部624、およびハーフミラー部626からなる。」 「【0210】 次に、画像表示ユニット620による画像の表示方法を、図31(a)および(b)を用いて説明する。まず、画像表示部624が第1の位置(図31(b)に破線で示す位置)にある場合、画像表示ユニット620は、画像表示部624の表示(2次元画像)をそのまま遊技者に視認させる。この場合、ハーフミラー部626は、画像表示部624により遮蔽されているため、遊技者は視認することができない。一方、画像表示部624が第2の位置(図31(b)に実線で示す位置)にある場合、画像表示ユニット620は、ハーフミラー626bを遊技者に視認させる。すなわち、画像表示部624から下方のハーフミラー626bに向けて投影され、ハーフミラー626bにより前方に向けて反射された画像を、遊技者に視認させるようにしている。この時、遊技者は、半透過性のハーフミラー626bの特性により、反射された画像をハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ虚像として視認することとなる。すなわち、画像表示ユニット620は、画像表示部624の画像を、第2位置の画像表示部624とハーフミラー626b間の距離(図に示すL1およびL2)と同じ距離だけハーフミラー626bの後方に離れた位置Bに表示されているように、遊技者に錯覚させるようになっている。この虚像は、ハーフミラー626bの背後に浮かんでいるように見えるため、立体感のある3次元的な画像として遊技者に認識されるものである。本実施例の画像表示ユニット620では、さらに、この虚像と立体物である立体人形634を同時に遊技者に視認させることによって、より奥行き感のある立体的な3次元画像を遊技者に提示することを可能としている。すなわち、虚像の位置Bより後方に立体人形634を配置することで、ハーフミラー626bの後方に虚像が存在し、さらに虚像の後方に立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させるようにしている。これにより、例えば、画像表示部624に雪が降る画像を表示すれば、図31(a)に示すように、立体人形634の前方に雪が降っているような3次元画像を、遊技者は視認することとなる。なお、立体人形634は、虚像の位置Bよりも前方に配置してもよいし、虚像の位置Bの前方と後方の両方に立体人形を配置して、より一層奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させるようにしてもよい。また、本実施例では、この画像表示ユニット620の前方には立体的な可動物である、可動人形210、可動模型220、シャッタ250が配設されているため、これらと上述の3次元画像を組み合わせて遊技者に視認させることで、さらに奥行き感のある3次元画像を遊技者に提示することができるだけでなく、可動人形210、可動模型220、シャッタ250の動作と上述の3次元画像を組み合わせることでより多彩な演出をすることを可能としている。ここで、シャッタ250は、第1の位置の画像表示部624の表示画面および上述のハーフミラー626bのどちらも遊技者から完全に遮蔽することが可能である。例えば、第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化しているというような意外性のある演出を行うことが可能である。」 「【0212】 以上説明したように、本実施例に係るパチンコ機は、画像表示ユニット620と、待機位置と動作位置の間を動作する可動体(本実施例では、可動人形)210と、を備え、画像表示ユニット620は、画像を表示する画像表示手段(本実施例では、画像表示部)624と、画像表示手段624から投影される画像を反射して、虚像を表示するハーフミラー626bと、ハーフミラー626bを通して虚像と共に遊技者から視認されるようにハーフミラー626bの背後に配設される立体物(本実施例では、立体人形)634と、を備え、画像表示手段624は、自身が画像表示ユニット620の表示面となる第1の位置と、自身がハーフミラー626bに画像を投影し、かつ、ハーフミラー626bが画像表示ユニット620の表示面となる第2の位置と、の間を移動し、可動体210は、動作位置において虚像および立体物634と共に遊技者から視認される位置に配設されるため、画像表示手段624による2次元画像とハーフミラー626bによる3次元画像を選択的に遊技者に視認させるという意外性のある演出に、さらに立体人形634や動作する可動人形210を加えることでより多彩な演出をすることが可能となり、遊技の面白みを高め、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。」 「【0233】 また、遊技球を遊技領域104に打ち出して遊技するパチンコ機であるため、転動する遊技球や入賞口122等を前面表示手段650により遮蔽して、遊技球がどこに向けて転動していくのか、または遊技球が入賞口に入球したか否かを遊技者が視認し難くすることで、遊技性を高め、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。」 上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?gについては本願補正発明のA?Gに対応させて付与した。)。 「a 遊技球を遊技領域104に打ち出して遊技するパチンコ機100であって(【0023】、【0233】)、 b 画像表示部624とハーフミラー部626からなり、画像表示部624が第1の位置にある場合、画像表示部624の表示である2次元画像をそのまま遊技者に視認させ、この場合、ハーフミラー部626は、画像表示部624により遮蔽されているため、遊技者が視認することができず、一方、画像表示部624が第2の位置にある場合、画像表示部624から下方のハーフミラー626bに向けて投影され、ハーフミラー626bにより前方に向けて反射された画像を、遊技者にハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ虚像として視認させ、さらに、虚像の位置Bより後方に立体人形634を配置することで、虚像の後方に立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させ、これにより、例えば、画像表示部624に雪が降る画像を表示すれば、立体人形634の前方に雪が降っているような3次元画像を遊技者に視認させる表示手段と(【0206】、【0210】)、 d 自身がハーフミラー626bに画像を投影し、かつ、ハーフミラー626bが前記表示手段の表示面となる第2の位置と、自身が前記表示手段の表示面となり、2次元画像をそのまま遊技者に視認させ、ハーフミラー部626を遮蔽して、遊技者に視認させない第1の位置と、の間を移動し、ハーフミラー626bによる3次元画像と2次元画像を選択的に遊技者に視認させる画像表示部624と(【0206】、【0210】、【0212】)、 e 前記表示手段の前方に配設される立体的な可動物であるシャッタ250と(【0210】)、 を備え、 g 第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能である(【0210】) パチンコ機100。」 イ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-262234号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0002】 液晶表示装置は、表示部を備えた液晶表示パネルと、表示部を照明する照明手段と、を備えている。例えば遊技機に搭載される液晶表示装置は、リール等の構造物を視認させるために、表示部の一部から背面側が視認可能に、透けるように構成されることがある。」 「【0014】 液晶表示パネル10は、画像が表示される略矩形状の表示部11を有している。表示部11は、マトリクス状に配置された複数の画素PXを含む。アレイ基板12は、表示部11において、複数の画素PXの行方向に沿って延在する複数の走査線GL(GL1、GL2、GL3…)、複数の画素PXの列方向に沿って延在する複数の信号線SL(SL1、SL2、SL3…)、及びこれら走査線GLと信号線SLとの交差部付近において画素PX毎に配置されたスイッチング素子SW、スイッチング素子SWを介して信号線SLに接続された複数の画素電極PE等を備えている。」 「【0018】 光源装置は、第1光源装置20と第1光源装置20の背面側に配置された第2光源装置30とを備えている。第1光源装置20と第2光源装置30とは、図示しない駆動手段により、それぞれ独立に駆動制御される。第1光源装置20は、液晶表示パネル10の背面側に配置され、筐体40に収容されている。第1光源装置20は、2つの光源L1、L2と、光源L1、L2から出射された光を液晶表示パネル10側に導く第1導光体26と、を備えている。 【0019】 第1導光体26は透過手段としての例えばプリズム導光体であって、液晶表示パネル10側から背面側を視認可能な略透明体である。第1導光体26は、光源L1から出射された光が入射される第1入射面26Aと、光源L2から出射された光が入射される第2入射面26Bと、互いに対向する2つの主面26C、26Dと、を備えている。第1入射面26Aと第2入射面26Bとは互いに対向するとともに、2つの主面26C、26D間に延びている。一方の主面26Cは液晶表示パネル10に対向している。」 「【0023】 光学補正シート22は、例えば、第1導光体26の主面26Cから出射した光を拡散する拡散板や拡散シート、拡散した拡散光を集光するプリズムシート、偏光分離シートなどである。」 「【0025】 第1導光体26の主面26D側には反射シート28が配置されている。反射シート28は、第1導光体26の主面26Dから出射された光を反射して、第1導光体26側に反射させる。反射シート28は、光学補正シート22の開口部22Wの位置に対応する開口部28Wを備えている。」 「【0031】 第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34との両方に駆動電圧を供給すると、図4に示すように、第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34との両方が透明状態となる。 【0032】 このとき、第2光源装置30の背面側に配置された構造物100は、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34を介して、液晶表示パネル10側から視認可能となる。同時に、光源L3を消灯すると、構造物100を視認しやすくなる。 【0033】 第1PNLCフィルム24および第2PNLCフィルム34に駆動電圧を供給せずに白濁状態とすると、第1PNLCフィルム24および第2PNLCフィルムは、第1導光体26および第2導光体32から出射された光を拡散する拡散シートとして用いることができる。 【0034】 このとき、液晶表示パネル10側から構造物100を視認不可能となり、第2光源装置30から出射される光の明るさを調整することにより、図3に示すように、表示品位を低下させることなく、表示部11全体に画像を表示させることができる。」 「【0046】 なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上述の第1および第2実施形態に係る液晶表示装置では、表示部11の中央部分において背面側の構造物100を視認可能であったが、背面側を透過可能に構成する部分は、表示部11の中央部分に限られない。」 【図4】から、構造物100を表示部11の中央部分から視認可能とするとき、表示部11の中央部分から視認可能な前記構造物100とその周りの表示部11に表示される画像により、【図3】のように表示部11全体に画像を表示させるものとは異なる特別な演出を実行することが見て取れる。 上記記載事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる(a?hについては本願補正発明のA?Hに対応させて付与した。)。 「a 遊技機であって(【0002】)、 b 画像が表示される略矩形状の表示部11を有し、第2光源装置30の背面側に配置された構造物100を、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34を介して、表示部11の中央部分から視認可能とする液晶表示パネル10と(【0032】、【0046】)、 c 前記液晶表示パネル10の背面側に配置され、2つの光源L1、L2から出射された光を前記液晶表示パネル10側に導く第1導光体26と(【0018】)、 d 前記液晶表示パネル10の背面側に配置される第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34であって、両方に駆動電圧を供給すると両方が透明状態となり、背面側に配置された構造物100を前記液晶表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能とし、両方に駆動電圧を供給せずに白濁状態とすると前記液晶表示パネル10側から構造物100を視認不可能として表示部11全体に画像が表示させる第1PNLCフィルムと第2PNLCフィルムと(【0031】、【0032】、【0033】、【0034】、【0046】)、 からなる液晶表示装置を備え(【0002】)、 g 前記第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34との両方に駆動電圧を供給して、両方を透明状態とし、構造物100を液晶表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能とするとき、前記演出表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能な前記構造物100とその周りの表示部11に画像を表示する前記演出表示パネル10とによる、表示部11全体に画像を表示させるものとは異なる特別な演出を実行し(【0031】、【0032】、【0046】、【図3】、【図4】)、 h 前記第1導光体26は、略透明体であり、光源L1から出射された光が入射される第1入射面26Aと、光源L2から出射された光が入射される第2入射面26Bと、互いに対向する2つの主面26C、26Dと、を備え、第1入射面26Aと第2入射面26Bとは互いに対向するとともに、2つの主面26C、26D間に延びており、一方の主面26Cは液晶表示パネル10に対向しており、主面26Cから光を出射し、主面26D側に配置される反射シート28は、主面26Dから出射された光を反射させる(【0019】、【0023】、【0025】) 遊技機。」 (3)対比・判断 ア 対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(g)は、本願補正発明のA?Gに対応させている。 (a)引用発明1の「a 遊技球を遊技領域104に打ち出して遊技するパチンコ機100」は、遊技を行うことが可能といえるから、本願補正発明の「A 遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。 (b)引用発明1の「b 画像表示部624とハーフミラー部626からなり、画像表示部624が第1の位置にある場合、画像表示部624の表示である2次元画像をそのまま遊技者に視認させ、この場合、ハーフミラー部626は、画像表示部624により遮蔽されているため、遊技者が視認することができず、一方、画像表示部624が第2の位置にある場合、画像表示部624から下方のハーフミラー626bに向けて投影され、ハーフミラー626bにより前方に向けて反射された画像を、遊技者にハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ虚像として視認させ、さらに、虚像の位置Bより後方に立体人形634を配置することで、虚像の後方に立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させ、これにより、例えば、画像表示部624に雪が降る画像を表示すれば、立体人形634の前方に雪が降っているような3次元画像を遊技者に視認させる表示手段」は、「立体人形634の前方に雪が降っているような」演出表示が可能といえ、また、「画像表示部624とハーフミラー部626からな」る「表示手段」の後方の立体人形634を前方から視認可能な透過性を有する表示手段といえるから、本願補正発明の「B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段」に相当する。 (d)引用発明1の「d 自身がハーフミラー626bに画像を投影し、かつ、ハーフミラー626bが前記表示手段の表示面となる第2の位置と、自身が前記表示手段の表示面となり、2次元画像をそのまま遊技者に視認させ、ハーフミラー部626を遮蔽して、遊技者に視認させない第1の位置と、の間を移動し、ハーフミラー626bによる3次元画像と2次元画像を選択的に遊技者に視認させる画像表示部624」は、「b 画像表示部624が第2の位置にある場合」「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の後方に立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させ」るものであるから、本願補正発明の「D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段」とは、「D’後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段」の点で共通する。 (e)引用発明1の「e 前記表示手段の前方に配設される立体的な可動物であるシャッタ250」は、本願補正発明の「E 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物」に相当する。 (f)引用発明1において、bの「画像表示部624」が「第1の位置にある場合」、「ハーフミラー部626は、画像表示部624により遮蔽されているため、遊技者が視認することができ」ないから、「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の」「後方に」「配置」される「立体人形634」は、切替手段たる「画像表示部624」の後方に設けられるものといえ、また、bの「画像表示部624」が「第2の位置にある場合、画像表示部624から下方のハーフミラー626bに向けて投影され」るのであるから、画像表示部624はハーフミラー626bの上方にあり、「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の」「後方に」「配置」される「立体人形634」は、切替手段たる「画像表示部624」の後方に設けられるものといえるから、これら引用発明1の構成と、本願補正発明の「F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物」とは、「F’切替手段の後方に設けられる後方演出物」の点で共通する。 (g)引用発明1の「g 第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能であ」ることは、シャッタ250の一旦閉じて再度開く動作に応じて、bの「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の後方に」「配置した」「立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させ」る状態とするとともに、シャッタ250が「e 前記表示手段の前方」で再度開く動作をしたときにもその開く途中の段階で、bの「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の後方に」「配置した」「立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像」の一部「を遊技者に視認させ」る状態とするものといえ、また、3次元画像は2次元画像に比べて特別な演出といえ、さらに、その演出のための実行手段を備えることは明らかであるから、これら引用発明1の構成と、本願補正発明の「G 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするとともに、前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」とは、(d)の検討を踏まえれば、「G’前記前方演出物の動作に応じて、」「切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするとともに、前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」の点で共通する。 そうすると、両者は、 「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 D’後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 E 前記演出表示手段の前方に動作可能に設けられる前方演出物と、 F’切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 G’前記前方演出物の動作に応じて、切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするとともに、前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段と、 を備えた 遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願補正発明は「C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段」を備えるのに対し、引用発明1はそのようなものか否か不明な点。 (相違点2) D’、F’及びG’の「切替手段」が、本願補正発明は「D 前記演出表示手段の後方に設けられ」るものであるのに対し、引用発明1はそのようなものでない点。 (相違点3) 本願補正発明は「H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する」のに対し、引用発明1はそのようなものでない点。 イ 判断 以下、上記相違点について検討するが、事案に鑑み、相違点1乃至3をまとめて検討する。 本願補正発明と引用発明2とを対比する。なお、見出し(a)?(h)は、本願補正発明のA?Hに対応させている。 (a)引用発明2の「a 遊技機」は、遊技を行うことが可能であることは明らかであるから、本願補正発明の「A 遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。 (b)引用発明2の「b 画像が表示される略矩形状の表示部11を有し、第2光源装置30の背面側に配置された構造物100を、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34を介して、表示部11の中央部分において視認可能とする液晶表示パネル10」は、演出表示が可能であることは明らかであるから、本願補正発明の「B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段」に相当する。 (c)引用発明2の「c 前記液晶表示パネル10の背面側に配置され、2つの光源L1、L2から出射された光を前記液晶表示パネル10側に導く第1導光体26」は、本願補正発明の「C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段」に相当する。 (d)引用発明2の「d 前記液晶表示パネル10の背面側に配置される第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34であって、両方に駆動電圧を供給すると両方が透明状態となり、背面側に配置された構造物100を前記液晶表示パネル10側から視認可能とし、両方に駆動電圧を供給せずに白濁状態とすると前記液晶表示パネル10側から構造物100を視認不可能として表示部11全体に画像が表示される第1PNLCフィルムと第2PNLCフィルム」は、本願補正発明の「D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段」に相当する。 (f)引用発明2のbの「第1PNLCフィルム24」「および第2PNLCフィルム34を介して、視認可能」な「構造物100」は、「第1PNLCフィルム24」と「第2PNLCフィルム34」の後方に設けられることは明らかであり、また、遊技における演出物といえるから、本願補正発明の「F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物」に相当する。 (g)引用発明2は「g 前記第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34との両方に駆動電圧を供給して、両方を透明状態とし、構造物100を液晶表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能とするとき、前記演出表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能な前記構造物100とその周りの表示部11に画像を表示する前記演出表示パネル10とによる、表示部11全体に画像を表示させるものとは異なる特別な演出を実行する」のであり、そのための実行手段を有することは明らかである。そして、引用発明2のこのような特別な演出を実行する実行手段と、本願補正発明の「G 前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするとともに、前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」とは、「G’’前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」の点で共通する。 (h)引用発明2の「h 前記第1導光体26は、略透明体であり、光源L1から出射された光が入射される第1入射面26Aと、光源L2から出射された光が入射される第2入射面26Bと、互いに対向する2つの主面26C、26Dと、を備え、第1入射面26Aと第2入射面26Bとは互いに対向するとともに、2つの主面26C、26D間に延びており、一方の主面26Cは液晶表示パネル10に対向しており、主面26Cから光を出射し、主面26D側に配置される反射シート28は、主面26Dから出射された光を反射させる」ことは、本願補正発明の「H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する」ことに相当する。 よって、引用発明2は、相違点1乃至3に係る本願補正発明のC、D、F及びHの構成を備える。 そうすると、引用発明1と引用発明2とは、画像表示装置の後方の構造物を視認可能な3次元画像としたり、視認不可能な2次元画像としたりできる遊技機に関する発明である点で共通するから、引用発明1の画像表示部624とハーフミラー626bからなる表示手段を、その第1の位置と第2の位置との間の移動のための機械的手段やスペースを削減するために、引用発明2の液晶表示パネル10、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34からなる液晶表示装置に変更して、本願補正発明の構成C、D、F及びHの構成とすることに格別の困難性はない。 また、G’’の「切替手段」の構成に関して、引用発明1の画像表示部624とハーフミラー626bからなる表示手段を引用発明2の液晶表示パネル10、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34からなる液晶表示装置に変更したときも、引用発明1のgの「2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ」、切り替え「た後にシャッタ250を開くことで、それまで」「表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能であ」るようにすることに何ら支障はなく、相違点2のGに係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び引用発明2がそれぞれ奏する作用効果を単に寄せ集めた以上の作用効果を奏するものであるとは認められず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)請求人の主張について ア 請求人は、平成30年2月6日の上申書において、以下のように主張する。 (ア)引用文献1では、第1の位置の画像表示部624(演出表示手段)が2次元画像を表示しているときにシャッタ250(前方演出物)を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くと、遊技者は画像表示部624を通してではなくハーフミラー626bを通して後方に存在する立体人形634(後方演出物)が視認可能となる状態とするものであって、引用文献1は本願補正発明の「前記前方演出物の動作に応じて、前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とする」なる構成を何ら開示するものではない。 (イ)引用文献1では、シャッタ250を閉じてから開くまでの間に、画像表示部624を第2の位置に移動させることで2次元画像から3次元画像に変化していることから、シャッタ250(前方演出物)を閉じシャッタ250が画像表示部624(演出表示手段)の前方に位置しているときには、遊技者は第2の位置に移動する画像表示部624を視認できないばかりか、後方に存在する立体人形634(後方演出物)をも視認できない状態とするものであるので、引用文献1は本願補正発明の「前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する」なる構成を何ら開示するものではない。 (ウ)引用文献1に記載された発明において、2次元画像と3次元画像とに切り替えて表示するための構成である画像表示部624とハーフミラー626bとを、引用文献2に開示される液晶表示装置に変えたとしても、本願補正発明の「前記切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とする」なる構成が得られるにすぎず、本願補正発明の「前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する」なる構成には到達し得ない。 (エ)引用文献1では、画像表示部624による2次元画像からハーフミラー部626bによる3次元画像に変化しているときには、シャッタ250は閉じられていることから、引用文献1に記載された発明において、2次元画像と3次元画像とに切り替えて表示するための構成である画像表示部624とハーフミラー626bとを、引用文献2に開示される液晶表示装置に変えたとしても、引用文献2の構造物100が視認不可能な状態(2次元画像)から視認可能な状態(3次元画像)に変化するときにもシャッタ250は閉じられていることとなり、シャッター250が引用文献2の液晶表示パネル10の前方で動作したときにも、演出表示パネル10の演出表示を視認可能となる状態にするものではない。 イ 請求人の主張に対する当審の見解 (ア)上記ア(ア)については、前記(3)ア(g)で検討したように、引用発明1の「g 第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能であ」ることは、シャッタ250の一旦閉じて再度開く動作に応じて、bの「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の後方に」「配置した」「立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像を遊技者に視認させ」る状態とすることであるから、本願補正発明の「G 前記前方演出物の動作に応じて、」「切替手段を前記演出表示手段を通して後方の領域にある前記後方演出物が視認可能となる状態とする」なる構成を開示するものといえる。 (イ)上記ア(イ)については、前記(3)ア(g)で検討したように、引用発明1の「g 第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能であ」ることは、シャッタ250が「e 前記表示手段の前方」で再度開く動作をしたときにもその開く途中の段階で、bの「ハーフミラー626bの背後の位置Bに浮かぶ」「虚像の後方に」「配置した」「立体人形634が重ねて存在するというような奥行き感のある3次元画像」の一部「を遊技者に視認させ」る状態とするものといえ、また、3次元画像は2次元画像に比べて特別な演出といえるから、本願補正発明の「前記前方演出物が前記演出表示手段の前方で動作したときにも、前記演出表示手段の演出表示を視認可能に前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する」なる構成を開示するものといえる。 (ウ)上記ア(ウ)については、前記(3)イで検討したように、G’’の「切替手段」の構成に関して、引用発明1の画像表示部624とハーフミラー626bからなる表示手段を引用発明2の液晶表示パネル10、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34からなる液晶表示装置に変更したときも、引用発明1のgの「2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ」、切り替え「た後にシャッタ250を開くことで、それまで」「表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能であ」るようにすることに何ら支障はなく、相違点2のGに係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たことである。 (エ)上記ア(エ)については、上記(イ)及び(ウ)で言及したとおりである。 よって、請求人の主張は採用できない。 (5)本件補正についてのむすび 以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年6月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された以下の引用例に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用例1:特開2010-262234号公報 引用例2:特開2004-97411号公報 引用例3:特開2012-217630号公報(周知技術を示す文献) 引用例4:特開2008-200305号公報(周知技術を示す文献) 3 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1(引用文献2)の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 ア 対比 本願発明と引用発明2とを対比する。なお、見出し(a)?(h)は、本願発明のA?Hに対応させている。 (a)引用発明2の「a 遊技機」は、遊技を行うことが可能であることは明らかであるから、本願発明の「A 遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。 (b)引用発明2の「b 画像が表示される略矩形状の表示部11を有し、第2光源装置30の背面側に配置された構造物100を、第1導光体26、第1PNLCフィルム24、第2導光体32、および第2PNLCフィルム34を介して、表示部11の中央部分において視認可能とする液晶表示パネル10」は、演出表示が可能であることは明らかであるから、本願発明の「B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段」に相当する。 (c)引用発明2の「c 前記液晶表示パネル10の背面側に配置され、2つの光源L1、L2から出射された光を前記液晶表示パネル10側に導く第1導光体26」は、本願発明の「C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段」に相当する。 (d)引用発明2の「d 前記液晶表示パネル10の背面側に配置される第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34であって、両方に駆動電圧を供給すると両方が透明状態となり、背面側に配置された構造物100を前記液晶表示パネル10側から視認可能とし、両方に駆動電圧を供給せずに白濁状態とすると前記液晶表示パネル10側から構造物100を視認不可能として表示部11全体に画像が表示される第1PNLCフィルムと第2PNLCフィルム」は、本願発明の「D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段」に相当する。 (f)引用発明2のbの「第1PNLCフィルム24」「および第2PNLCフィルム34を介して、視認可能」な「構造物100」は、「第1PNLCフィルム24」と「第2PNLCフィルム34」の後方に設けられることは明らかであり、また、遊技における演出物といえるから、本願発明の「F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物」に相当する。 (g)引用発明2は「g 前記第1PNLCフィルム24と第2PNLCフィルム34との両方に駆動電圧を供給して、両方を透明状態とし、構造物100を液晶表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能とするとき、前記演出表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能な前記構造物100とその周りの表示部11に画像を表示する前記演出表示パネル10とによる、表示部11全体に画像を表示させるものとは異なる特別な演出を実行する」のであり、そのための実行手段を有することは明らかである。そして、引用発明2のこのような特別な演出を実行する実行手段と、本願発明の「G 前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」とは、「G’前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段」の点で共通する。 (h)引用発明2の「h 前記第1導光体26は、略透明体であり、光源L1から出射された光が入射される第1入射面26Aと、光源L2から出射された光が入射される第2入射面26Bと、互いに対向する2つの主面26C、26Dと、を備え、第1入射面26Aと第2入射面26Bとは互いに対向するとともに、2つの主面26C、26D間に延びており、一方の主面26Cは液晶表示パネル10に対向しており、主面26Cから光を出射し、主面26D側に配置される反射シート28は、主面26Dから出射された光を反射させる」ことは、本願発明の「H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する」ことに相当する。 そうすると、両者は、 「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、 B 演出表示が可能であるとともに、その後方の領域を前方から視認可能な透過性を有する演出表示手段と、 C 前記演出表示手段の後方に設けられ、前記演出表示手段へ表示用の光を供給可能な発光手段と、 D 前記演出表示手段の後方に設けられ、後方の領域が視認可能となる状態と後方の領域が視認不可能または視認困難となる状態とに切替可能な切替手段と、 F 前記切替手段の後方に設けられる後方演出物と、 G’前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに、前記後方演出物と前記演出表示手段とによる特別演出を実行する特別演出実行手段 を備え、 H 前記発光手段は、透過性を有するとともに、端面から内部に入射された光を前方に反射して出射させることで面発光する ことを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明は「E 前記演出表示手段の前方に設けられる前方演出物」を備えるのに対し、引用発明2はそのようなものでない点。 (相違点2) G’の「特別演出実行手段」が「前記切替手段を後方の領域が視認可能となる状態とするときに」「実行する」「特別演出」が「前記後方演出物と前記演出表示手段とによる」だけでなく、本願発明では「前記後方演出物と前記前方演出物と前記演出表示手段とによる」のに対し、引用発明2はそのようなものでない点。 イ 判断 以下、上記相違点について検討するが、事案に鑑み、相違点1及び2をまとめて検討する。 (相違点1及び2について) 遊技機において、演出表示手段の前方にシャッター等の前方演出物を設け、前方演出物と演出表示手段とによる特別な演出を実行することは、例えば、原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された引用例3(特開2012-217630号公報、可変表示装置9の上下において、通常は開いていて可変表示装置9の画像を遊技者に視認させるが、それぞれ上下から閉じられて可変表示装置9の前面全体に重畳され、可変表示装置9の画像を遊技者に視認させなくするシャッター役物を設け、スベリ演出の実行タイミングに併せて、シャッター役物で可変表示装置9の前面全体に重畳し、チャンス目が導出されるタイミングでシャッター役物を開いて可変表示装置9の画像を遊技者に視認させシャッター演出を実行できる、段落【0194】の記載を参照。)及び原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された引用例4(特開2008-200305号公報すなわち引用文献1、表示手段の前方に配設される立体的な可動物であるシャッタ250を備え、第1の位置の画像表示部624が2次元画像を表示しているときにシャッタ250を閉じ、画像表示部624を第2位置に移動させた後にシャッタ250を開くことで、それまで画像表示部624が表示していた2次元画像が、シャッタ250が一旦閉じて再度開いたときには3次元画像に変化している演出を行うことが可能である、段落【0210】の記載を参照。)に記載されているように周知技術である。 そこで、引用発明2において、構造物100を液晶表示パネル10の表示部11の中央部分から視認可能とするとき、遊技の興趣を向上させるために、上記周知技術を適用して、シャッター等の前方演出物による演出を付加して、構造物100とシャッター等の前方演出物と液晶表示パネル10とによる特別な演出を実行するものとして、相違点1及び2に係る本願発明の構成に想到することに当業者にとって格別の困難性はない。 そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明2及び周知技術がそれぞれ奏する作用効果を単に寄せ集めた以上の作用効果を奏するものであるとは認められず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-16 |
結審通知日 | 2018-08-21 |
審決日 | 2018-09-03 |
出願番号 | 特願2013-154000(P2013-154000) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮川 数正 |
特許庁審判長 |
石井 哲 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 倉持 俊輔 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 溝渕 良一 |
代理人 | 石川 好文 |
代理人 | 重信 和男 |
代理人 | 林 修身 |
代理人 | 堅田 多恵子 |
代理人 | 大久保 岳彦 |