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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C08L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 C08L
管理番号 1345388
審判番号 不服2018-4275  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-29 
確定日 2018-11-13 
事件の表示 特願2013-266708「エラストマー組成物,エラストマー及びエラストマー成形体」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日出願公開,特開2015-120854,請求項の数(4)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年12月25日の出願であって,平成28年11月24日付けで拒絶理由通知がされ,平成29年1月10日付けで手続補正がされ,同年6月5日付けで拒絶理由通知がされ,同年7月31日付けで手続補正がされ,同年12月28日付けで拒絶査定がされ,これに対して,平成30年3月29日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
平成30年3月29日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は,請求項1に,「(c1)と(c2M1)の合計1000重量部に対して,前記(c2M1)100重量部のスチレンと,100重量部のブチルアクリレートと,100重量部のヒドロキシプロピルメタクリレートと,(c2M2)9重量部のt-ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートの共重合体と,前記(c1)700重量部のエチレン-プロピレン共重合体と,からなる(C’)グラフト共重合体」との記載を追加する補正事項を含むものである。

(2)本件補正の適否についての当審の判断
ア 本件補正の補正事項に係る「(C’)グラフト共重合体」は,スチレン,ブチルアクリレート,ヒドロキシプロピルメタクリレート及びt-ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートの共重合体(以下,「ビニルモノマー共重合体」という。)と,エチレン-プロピレン共重合体とからなるものであり,いずれが主鎖であり,いずれが側鎖として主鎖に結合しているのかを特定しないものである。

イ 一方,本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「当初明細書」という。)には,以下の記載がある。

「【0058】
エラストマー組成物を溶融混練すると,図6に示すように,(C)ポリプロピレン含浸体からグラフト共重合体(以下,(C)’グラフト共重合体と表記する)が生成する。具体的には,(C)ポリプロピレン含浸体に含まれる(c2)ビニルモノマー共重合体の過酸化結合((c2M2)有機過酸化物モノマーに由来)が開裂し,(c1)エチレン-プロピレン共重合体に結合する。
【0059】
これにより,図6に示すように,(c1)エチレン-プロピレン共重合体からなる主鎖(図中S)に,(c2)スチレン,ブチルアクリレート,ヒドロキシプロピルメタクリレート及びt-ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートの共重合体からなる側鎖(図中T)が結合している(C)’グラフト共重合体が生成する。
【0060】
(C)’グラフト共重合体は,分子中にポリプロピレン部分(主鎖S)とモノマー共重合体部分(側鎖T)を有するため,図7に示すように,モノマー共重合体部分(側鎖T)が(A)アクリルゴムと高い親和性を有し,ポリプロピレン部分(主鎖S)が(B)ポリプロピレンと高い親和性を有する。これによって,(B)ポリプロピレンと(A)アクリルゴムが,(C)’グラフト共重合体を介して互いに親和し,即ち相容化される。このようにして,エラストマー組成物からエラストマーが生成される。」
「【図6】


「【図7】



ウ 以上の記載によれば,当初明細書には,「(C’)グラフト共重合体」として,エチレン-プロピレン共重合体からなる主鎖に,ビニルモノマー共重合体からなる側鎖が結合しているものが記載されているものの,いずれが主鎖であり,いずれが側鎖として主鎖に結合しているのかを特定しないものは記載されておらず,また,当初明細書に記載した事項から自明の事項とも認められない。
以上によれば,上記補正事項は,当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
したがって,本件補正は,特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?4に係る発明は,平成29年7月31日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-10-31 
出願番号 特願2013-266708(P2013-266708)
審決分類 P 1 8・ 561- WY (C08L)
P 1 8・ 537- WY (C08L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大木 みのり山村 周平  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 井上 猛
海老原 えい子
発明の名称 エラストマー組成物,エラストマー及びエラストマー成形体  
代理人 大森 純一  
代理人 金山 慎太郎  
代理人 折居 章  
代理人 関根 正好  
代理人 中村 哲平  
代理人 金子 彩子  

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