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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1345457 |
審判番号 | 不服2017-13708 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-09-14 |
確定日 | 2018-10-25 |
事件の表示 | 特願2015- 91288号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月 8日出願公開、特開2016-202795号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成27年4月28日の出願であって、平成29年4月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月12日に意見書および手続補正書が提出されたところ、同年6月23日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 一方、当審において、平成30年5月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月26日に意見書および手続補正書が提出されたところである。 2 本願発明 本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年7月26日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものである(当審においてA?Fに分説した。)。 「【請求項2】 A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 変動表示に関する特定表示を表示可能な特定表示手段と、 C 前記特定表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段と、 D 前記特定表示に対して予告画像を付加する付加演出を実行可能な付加演出実行手段とを備え、 E 前記変化演出および前記付加演出では、演出の開始時の演出態様が共通し、 F 前記演出の開始時の演出態様として、前記変化演出および前記付加演出で、前記変化演出を実行するか前記付加演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する、遊技機。」 3 当審の平成30年5月29日付け拒絶の理由の概要 (1)理由1 本願の請求項2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された特開2014-236814号公報(以下「引用例1」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)理由2 本願の請求項1および2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用例1および特開2015-77172号公報(以下「引用例2」という。)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)理由3 本願の請求項1および2に係る発明は明確でなく、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 4 引用例 (1)引用例1 ア 引用例1の記載事項 当審の拒絶の理由に引用文献1として引用された引用例1には、図面とともに以下の(1-1)?(1-6)の事項が記載されている。 (1-1)「【0012】 以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1ついて説明する。」 (1-2)「【0060】 次に、ステップS4において、CPU101は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行し、第1特別図柄表示器4a又は第2特別図柄表示器4bに特別図柄を変動表示させた後にこれらの抽選結果を示す停止図柄を表示させ、演出制御部400へ各種コマンドを送信等するための特別図柄処理を実行する。この特別図柄処理については、図7を用いて後に詳述する。 ・・・ 【0062】 次に、ステップS6において、CPU101は、ステップS4の特別図柄処理で特別図柄抽選に当選したと判定された場合(大当りした場合)等に、大入賞口開閉部115を制御して大入賞口23に所定の開閉動作を行わせ、又、いわゆる大当り遊技演出等に関する各種コマンドを演出制御部400に対して送信等するための大入賞口処理を実行する。この処理によって、大当り遊技(特別遊技)が進行され、遊技者は多量の賞球を獲得可能となる。」 (1-3)「【0136】 ステップS115において、CPU401は、ステップS114の処理で受信した報知演出開始コマンドに応じて、画像音響制御部500等に指示して、画像表示部6等による報知演出を開始等する報知演出実行処理を行う。また、CPU401は、開始する報知演出の実行中に、保留画像変化示唆演出又は変動権利画像変化示唆演出が実行されることがステップ113の処理によって設定されている場合には、設定された内容の演出をこの報知演出で実行する。」 (1-4)「【0175】 まず、本実施形態による特徴的動作の具体的な説明の前に、図16を用いて、パチンコ遊技機1において行われる装飾図柄の変動表示、保留画像の表示、および変動権利画像の表示の概要について説明する。・・・なお、以下では、特別図柄抽選として第1特別図柄抽選が行われ、又、保留画像として第1特別図柄抽選が保留されていることを示す画像が表示されると共に変動権利画像として第1特別図柄抽選が実行されていることを示す画像が表示される場合を例に説明するが、特別図柄抽選として第2特別図柄抽選が行われる場合も同様である。 【0176】 まず、図16(1)に示すように、画像表示部6の表示画面(以下、単に、画像表示部6という)には、装飾図柄DI(DI1?DI3)、保留画像RI(RI1?RI4)、変動権利画像KI、ステージST(ST0?ST4)が表示される。装飾図柄DIは、3つの(3列の)装飾図柄DI1?DI3から構成されて画像表示部6に表示される。より具体的には、左側に左装飾図柄DI1が表示され、右側に右装飾図柄DI2が表示され、中央に中装飾図柄DI3が表示される。この左右中装飾図柄DI1?DI3は、特別図柄の変動表示に応じて(変動表示に同期して)変動表示される。」 (1-5)「【0189】 保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂)が表示される。同様に、変動権利画像変化示唆演出が開始された場合も、図20(1)に示すように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂)700が表示される。このように、保留画像変化示唆演出が開始された場合と、変動権利画像変化示唆演出が開始された場合とで、同じように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂の画像)700が表示される。このことから、遊技者は、演出が開始された段階では、保留画像変化示唆演出が開始されたのか、変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らない。なお、図20(1)では、一例として、蜂の持つ星の色は緑色である(図18、図19参照)。 【0190】 以下では、まず、図21及び図22を用いて、保留画像変化示唆演出について説明する。保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に、アイテム投げ演出が実行される場合には、図21(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。そして、図21(2)に示すように投げた星が保留画像に当った場合には、図21(3)に示すように星が当った通常表示態様の保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する。図21(1)?(3)の例では、アイテム投げ演出として、投げられた緑色の星が白色の保留画像RI3に当って保留画像RI3が緑色の先読み予告表示態様に変化している。このことによって、遊技者は、保留画像RI3に対応する報知演出(特別図柄抽選)において、大当りする可能性が或る程度高いこと(信頼度10%:図19参照)を前もって知り期待して楽しむことができる。 ・・・ 【0193】 次に、図23を用いて、変動権利画像変化示唆演出について説明する。変動権利画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、図23(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。・・・一方、図23(4)に示すように投げた星が変動権利画像に当った場合には、図23(5)に示すように星が当った変動権利画像が予告表示態様に変化して(つまり、装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がって)、現在実行中の報知演出において擬似連演出が実行されることが報知される。このことによって、遊技者は、現在実行中の報知演出(今回の特別図柄抽選)において、擬似連演出が実行され、大当りする可能性が或る程度高いこと(例えば、信頼度5%)を知って期待して楽しむことができる。 ・・・ 【0195】 以上に説明したように、本実施形態では、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出において、同じキャラ画像(星を持った蜂:図18参照)が、保留画像を表示する領域(ST1?ST4)に表示された保留画像(RI1?RI4)を先読み予告表示態様(図17(2)参照)に変化させ、又、変動権利画像を表示する領域(ST0)に表示された変動権利画像(KI)を予告表示態様(図17(3)参照)に変化させる(図17?図20参照)。このことから、本実施形態によれば、保留画像変化示唆演出が開始された場合と変動権利画像変化示唆演出が開始された場合とで同じキャラ画像が表示されるので、遊技者は、これらの演出開始の際に、保留画像が変化するのか(つまり、先の報知演出で大当りすることが期待できるのか)、それとも、変動権利画像が変化するのか(つまり、今回の報知演出で大当りすることが期待できるのか)の両方を期待することができる。また、本実施形態では、保留画像変化示唆演出が開始された時点と変動権利画像変化示唆演出が開始された時点とで、キャラ画像の表示態様が同じとなるように制御している(図20参照)。このことから、本実施形態によれば、遊技者は、これらの演出開始の際に、保留画像が変化するのか(つまり、先の報知演出で大当りすることが期待できるのか)、それとも、変動権利画像が変化するのか(つまり、今回の報知演出で大当りすることが期待できるのか)を判断できないので、(遊技経験が多い場合であっても判断できず)両方を期待して楽しむことができる。」 (1-6)「【0202】 また、上記した本実施形態において、変動権利画像変化示唆演出で変動権利画像が予告表示態様に変化することで擬似連演出の実行を報知する構成を一例に挙げた(図23参照)。しかしながら、変動権利画像変化示唆演出で変動権利画像が予告表示態様に変化することで他の演出(例えば、SPSPリーチ演出)の実行を報知する構成としてもよい。」 イ 認定事項 上記「ア」から、次の(1-a)?(1-f)の事項が認定できる。 (1-a) 段落【0012】には、「本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1」と記載され、段落【0060】には、「第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行し、第1特別図柄表示器4a又は第2特別図柄表示器4bに特別図柄を変動表示させた後にこれらの抽選結果を示す停止図柄を表示」と記載され、段落【0062】には「特別図柄処理で特別図柄抽選に当選したと判定された場合(大当りした場合)等に、大入賞口開閉部115を制御して大入賞口23に所定の開閉動作を行わせ、又、いわゆる大当り遊技演出等に関する各種コマンドを演出制御部400に対して送信等するための大入賞口処理を実行する。この処理によって、大当り遊技(特別遊技)が進行され、遊技者は多量の賞球を獲得可能となる。」と記載されていることから、引用例1には、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行して特別図柄を変動表示させ、特別図柄抽選に当選したと判定された場合、遊技者が多量の賞球を獲得可能な大当り遊技を進行するように制御するパチンコ遊技機1が記載されているといえる。 (1-b) 段落【0175】には、「特別図柄抽選として第1特別図柄抽選が行われ、又、保留画像として第1特別図柄抽選が保留されていることを示す画像が表示されると共に変動権利画像として第1特別図柄抽選が実行されていることを示す画像が表示される場合を例に説明するが、特別図柄抽選として第2特別図柄抽選が行われる場合も同様である。」と記載され、段落【0176】には、「画像表示部6の表示画面(以下、単に、画像表示部6という)には、装飾図柄DI(DI1?DI3)、保留画像RI(RI1?RI4)、変動権利画像KI、ステージST(ST0?ST4)が表示される。」と記載されていることから、引用例1には、第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像又は第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が実行されていることを示す変動権利画像を表示する画像表示部6が記載されているといえる。 (1-c) 段落【0136】には、「CPU401は、開始する報知演出の実行中に、保留画像変化示唆演出又は変動権利画像変化示唆演出が実行されることがステップ113の処理によって設定されている場合には、設定された内容の演出をこの報知演出で実行する。」と記載され、段落【0190】には、「保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に、アイテム投げ演出が実行される場合には、図21(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。そして、図21(2)に示すように投げた星が保留画像に当った場合には、図21(3)に示すように星が当った通常表示態様の保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する。図21(1)?(3)の例では、アイテム投げ演出として、投げられた緑色の星が白色の保留画像RI3に当って保留画像RI3が緑色の先読み予告表示態様に変化している。」と記載されていることから、引用例1には、保留画像が緑色の先読み予告表示態様に変化する保留画像変化示唆演出を実行するCPU401が記載されているといえる。 (1-d) 段落【0136】には、「CPU401は、開始する報知演出の実行中に、保留画像変化示唆演出又は変動権利画像変化示唆演出が実行されることがステップ113の処理によって設定されている場合には、設定された内容の演出をこの報知演出で実行する。」と記載され、段落【0193】には、「変動権利画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、図23(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。」および「投げた星が変動権利画像に当った場合には、図23(5)に示すように星が当った変動権利画像が予告表示態様に変化して(つまり、装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がって)、現在実行中の報知演出において擬似連演出が実行されることが報知される。」と記載され、段落【0202】には、「変動権利画像変化示唆演出で変動権利画像が予告表示態様に変化することで他の演出(例えば、SPSPリーチ演出)の実行を報知する構成としてもよい。」と記載されていることから、引用例1には、変動権利画像が装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化し、SPSPリーチ演出が実行されることを報知する変動権利画像変化示唆演出を実行するCPU401が記載されているといえる。 (1-e) 段落【0189】には、「保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂)が表示される。同様に、変動権利画像変化示唆演出が開始された場合も、図20(1)に示すように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂)700が表示される。このように、保留画像変化示唆演出が開始された場合と、変動権利画像変化示唆演出が開始された場合とで、同じように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂の画像)700が表示される。」と記載されていることから、引用例1には、「保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じように画像表示部6の右側にキャラ画像である星を持った蜂700が表示され」ることが記載されているといえる。 (1-f) 段落【0012】には「本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1」と記載され、段落【0189】には、「保留画像変化示唆演出が開始された場合と、変動権利画像変化示唆演出が開始された場合とで、同じように、画像表示部6の右側にキャラ画像(星を持った蜂の画像)700が表示される。このことから、遊技者は、演出が開始された段階では、保留画像変化示唆演出が開始されたのか、変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らない。」と記載され、段落【0190】には、「保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に、アイテム投げ演出が実行される場合には、図21(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。」と記載され、段落【0193】には、「変動権利画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、図23(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。」と記載されていることから、引用例1には、「保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じようにキャラ画像である星を持った蜂700が表示され、遊技者は演出が開始された段階では保留画像変化示唆演出が開始されたのか変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らないものとなっており、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行され、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行される、パチンコ遊技機1」が記載されているといえる。 ウ 引用例1に記載された発明 上記(1-1)?(1-6)の記載事項および(1-a)?(1-f)の認定事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。 「a 第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行して特別図柄を変動表示させ、特別図柄抽選に当選したと判定された場合、遊技者が多量の賞球を獲得可能な大当り遊技を進行するように制御するパチンコ遊技機1であって、(認定事項1-a) b 第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像又は第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が実行されていることを示す変動権利画像を表示する画像表示部6と、(認定事項1-b) c 保留画像が緑色の先読み予告表示態様に変化する保留画像変化示唆演出を実行するCPU401と、(認定事項1-c) d 変動権利画像が装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化し、SPSPリーチ演出が実行されることを報知する変動権利画像変化示唆演出を実行するCPU401とを備え、(認定事項1-d) e 保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じように画像表示部6の右側にキャラ画像である星を持った蜂700が表示され、(認定事項1-e) f 保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じようにキャラ画像である星を持った蜂700が表示され、遊技者は演出が開始された段階では保留画像変化示唆演出が開始されたのか変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らないものとなっており、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行され、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行される、パチンコ遊技機1。(認定事項1-f)」 (2)引用例2 ア 引用例2の記載事項 当審の拒絶の理由に引用文献2として引用された引用例2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0339】 なお、上記サブアイコン53は、現在変動中の当該保留アイコン520にも付加されることがある。図45は、当該保留アイコン520にサブアイコン53が付加された様子を示す図である。図46は、当該保留アイコン520に複数のサブアイコン53が順次付加されていく様子を示す図である。 【0340】 図45および図46に示すように、当該変動の開始時(当該保留アイコン520に係る特別図柄の変動開始時)にサブアイコン53が付加されていない場合であっても、当該変動中の所定のタイミングでサブアイコン53が順次付加されることがある。例えば、図46に示す例では、「SP」サブアイコン53aが付加され、さらに2つ目の「SP」サブアイコン53bが付加されている。これにより、当該変動において、SPSPリーチ演出が行われることが示唆される。」 5 対比 本願発明と引用発明とを対比する(下記の(a)?(f)は、引用発明の構成に対応している。)。 (a)引用発明において、遊技者が多量の賞球を獲得可能な大当り遊技を進行することは、遊技者にとって有利な状態でゲームが進行することであるから、引用発明の「遊技者が多量の賞球を獲得可能な大当り遊技を進行するように制御する」ことは、本願発明の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当する。 また、パチンコ遊技機は遊技機の一種であるから、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する よって、引用発明の「第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行して特別図柄を変動表示させ、特別図柄抽選に当選したと判定された場合、遊技者が多量の賞球を獲得可能な大当り遊技を進行するように制御するパチンコ遊技機1」は、本願発明の「変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。 (b)引用発明においては、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選を実行して特別図柄を変動表示させることから、第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像又は第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が実行されていることを示す変動権利画像は、変動表示に関する特定の表示を行うものであるといえる。したがって、引用発明の「第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像又は第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が実行されていることを示す変動権利画像」は、本願発明の「変動表示に関する特定表示」に相当するといえる。 よって、引用発明の「第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が保留されていることを示す保留画像又は第1特別図柄抽選若しくは第2特別図柄抽選が実行されていることを示す変動権利画像を表示する画像表示部6」は、本願発明の「変動表示に関する特定表示を表示可能な特定表示手段」に相当する。 (c)引用発明において、保留画像の色を変化させることは、保留画像の表示態様を変化させることであるから、引用発明の「保留画像が緑色の先読み予告表示態様に変化する保留画像変化示唆演出」は、本願発明の「前記特定表示の表示態様を変化させる変化演出」に相当するといえる。 よって、引用発明の「保留画像が緑色の先読み予告表示態様に変化する保留画像変化示唆演出を実行するCPU401」は、本願発明の「前記特定表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段」に相当する。 (d)引用発明の「変動権利画像が装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化し、SPSPリーチ演出が実行されることを報知する変動権利画像変化示唆演出」および本願発明の「前記特定表示に対して予告画像を付加する付加演出」は、いずれも変動表示に関する特定表示に対して行われる予告演出である。 よって、引用発明の「変動権利画像が装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化し、SPSPリーチ演出が実行されることを報知する変動権利画像変化示唆演出を実行するCPU401」と、本願発明の「前記特定表示に対して予告画像を付加する付加演出を実行可能な付加演出実行手段」とは、「前記特定表示に対して予告演出を実行可能な演出実行手段」である点で共通する。 (e)引用発明において、画像表示部6の右側にキャラ画像である星を持った蜂700が表示されることは、演出の態様の一つであり、また、この表示は保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出の開始時に共通して行われるものである。 よって、引用発明の「保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じように画像表示部6の右側にキャラ画像である星を持った蜂700が表示され」ることと、本願発明の「前記変化演出および前記付加演出では、演出の開始時の演出態様が共通」することとは、「前記変化演出および前記予告演出では、演出の開始時の演出態様が共通」することで共通する。 (f)引用発明においては、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じようにキャラ画像である星を持った蜂700が表示され、遊技者は演出が開始された段階では保留画像変化示唆演出が開始されたのか変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らないものとなっていることから、引用発明の「キャラ画像である星を持った蜂700」は、本願発明の「前記変化演出を実行するか前記付加演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像」に対応する。 また、引用発明においては、演出が開始されるとキャラ画像である星を持った蜂700が表示されて、その後に、保留画像変化示唆演出または変動権利画像変化示唆演出の以降の演出が実行されることから、キャラ画像である星を持った蜂700が表示された後に保留画像変化示唆演出または変動権利画像変化示唆演出に分岐しているといえる。 よって、引用発明の「保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出のいずれが開始された場合においても、同じようにキャラ画像である星を持った蜂700が表示され、遊技者は演出が開始された段階では保留画像変化示唆演出が開始されたのか変動権利画像変化示唆演出が開始されたのか判らないものとなっており、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行され、保留画像変化示唆演出が開始された場合は画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に以降の演出が実行される、パチンコ遊技機1」と、本願発明の「前記演出の開始時の演出態様として、前記変化演出および前記付加演出で、前記変化演出を実行するか前記付加演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する、遊技機」とは、「前記演出の開始時の演出態様として、前記変化演出および前記予告演出で、前記変化演出を実行するか前記予告演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記予告演出に分岐する、遊技機」で共通する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「A 変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 変動表示に関する特定表示を表示可能な特定表示手段と、 C 前記特定表示の表示態様を変化させる変化演出を実行可能な変化演出実行手段と、 D’前記特定表示に対して予告演出を実行可能な演出実行手段とを備え、 E’前記変化演出および前記予告演出では、演出の開始時の演出態様が共通し、 F’前記演出の開始時の演出態様として、前記変化演出および前記予告演出で、前記変化演出を実行するか前記予告演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記予告演出に分岐する、遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願発明は、同一キャラクタの画像を表示した後に、変化演出と分岐する予告演出が、特定表示に対して予告画像を付加する付加演出であるのに対して、引用発明は、変動権利画像(特定表示)が装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化してSPSPリーチ演出が実行されることを報知する変動権利画像変化示唆演出である点。(構成D、E、F) 6 判断 (1)相違点についての検討 引用例2の段落【0339】、【0340】には、現在変動中の当該保留アイコン520に「SP」サブアイコン53aを付加することにより、SPSPリーチ演出が行われることを示唆することが記載されている(以下「引用例2記載の事項」という。)。 そして、引用発明および引用例2記載の事項は、いずれも現在変動中の当該保留を示す画像を変化させることにより、SPSPリーチ演出が実行されることを報知する点で共通するものである。 よって、引用発明に引用例2記載の事項を適用し、引用発明において、変動権利画像変化示唆演出が実行された際のSPSPリーチ演出が実行されることを報知する予告表示態様として、変動権利画像に「SP」サブアイコンの画像を付加する予告表示態様を採用し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)本願発明が奏する効果について 上記相違点によって本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明および引用例2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 (3)請求人の主張について 請求人は、意見書において、「審判官殿は、引用文献2には、『図46に示す例では、『SP』サブアイコン53aが付加され、さらに2つ目の『SP』サブアイコン53bが付加されている。これにより、当該変動において、SPSPリーチ演出が行われることが示唆される。』ことが記載されていると認定された上で、引用文献1記載の発明に対して、引用文献2記載の発明を適用することにより、本願発明の進歩性を否定されております。 ここで、引用文献1記載のハチ画像700に対して、引用文献2記載のサブアイコン53a、53bを適用する際に、当業者であれば、サブアイコン53a、53bを持たせない態様で該ハチ画像700を登場させようとする筈がありません。 何故ならば、付加演出を実行する場合において、サブアイコン53a、53bを持たせない態様で該ハチ画像700を登場させた場合には、該ハチ画像700とは関係なく、唐突に変動権利画像にサブアイコン53a、53bが付加されることになり、不自然な演出が実行されることになるからです。 また、引用文献1の段落[0190]などには、ハチ画像700はアイテムを持って登場する旨が記載されています。 したがって、引用文献1記載の『アイテムを持って登場するハチ画像700』に対して、引用文献2記載の『サブアイコン53a、53b』を適用しようとする当業者であれば、『付加演出を実行する場合には、アイテムとしてサブアイコン53a、53bを持つハチ画像700を登場させ、変化演出を実行する場合には、アイテムとして色が付いた星(引用文献1の図18)を持つハチ画像700を登場させる』発明(以下、組合せ発明といいます。)に想到します。 この組合せ発明は、『変化演出を実行するか付加演出を実行するかを遊技者が特定可能な態様でハチ画像700を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する』という発明です。』 ・・(中略)・・ また、補正後の本願発明2は、『前記変化演出を実行するか前記付加演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する』という構成(以下、構成Yといいます。)を有します(構成G参照)。 組合せ発明は、『変化演出を実行するか付加演出を実行するかを遊技者が特定可能な態様でハチ画像700を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する』という発明になることから、引用文献1記載の発明に引用文献2記載の発明を組合わせたとしても、構成Yに想到することはありません。」と主張している(平成30年7月26日付け意見書の「(4)拒絶理由(4-2)進歩性について」参照。)。 すなわち、当該主張は、引用文献1(引用例1)に記載の発明において、サブアイコンを持たせない態様でハチ画像700を登場させて、ハチ画像700とは関係なく、唐突に変動権利画像にサブアイコンが付加されると不自然な演出となることから、引用例1記載の発明に引用文献2(引用例2)記載のサブアイコンを付加する構成を適用した場合、付加演出(変動権利画像変化示唆演出)を実行する際にはアイテムとしてサブアイコンを持つハチ画像700を登場させる一方、変化演出(保留画像変化示唆演出)を実行する際にはアイテムとして色が付いた星を持つハチ画像700を登場させるものとなり、本願発明の「前記変化演出を実行するか前記付加演出を実行するかを遊技者が特定不能な態様の同一キャラクタの画像を表示した後に、前記変化演出または前記付加演出に分岐する」ものとは異なるというものである。 しかしながら、引用例1に記載の発明は、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出の演出開始時に同じ蜂の画像を表示させることにより、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出の両方を期待して楽しむことができるという効果を奏するものであり(段落【0195】)、仮に、このような発明において、演出開始時に異なる蜂の画像を表示させてしまうと、上記の効果が奏されないこととなってしまうから、引用例1に記載の発明に、引用例2記載の事項のサブアイコンを付加する構成を適用した場合においても、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出の演出開始時に異なる蜂の画像を表示させることは通常想定されない。 また、引用例1に記載の発明は、変動権利画像変化示唆演出の演出開始時に、緑の星を持った蜂が登場し、蜂が投げた緑の星が変動権利画像に当たって装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がる予告表示態様に変化するものであって、演出の開始時に、炎と直接関係するような炎のアイコン等を持った蜂が登場するものではなく、予告表示態様の炎とは直接関係の無い緑の星を持った蜂を登場させるものである(段落【0193】)。 したがって、引用例1に記載の発明において、保留画像変化示唆演出および変動権利画像変化示唆演出の演出開始時に同じキャラ画像である緑の星を持った蜂を表示させるとともに、変動権利画像変化示唆演出の実行の際、緑の星を持った蜂とは直接関係の無い変動権利画像を燃え上がる予告表示態様に代えて、変動権利画像に緑の星を持った蜂とは直接関係の無い「SP」サブアイコンの画像を付加する引用例2記載の事項に示された予告表示態様を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 7 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-08-27 |
結審通知日 | 2018-08-28 |
審決日 | 2018-09-10 |
出願番号 | 特願2015-91288(P2015-91288) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 圭史 |
特許庁審判長 |
平城 俊雅 |
特許庁審判官 |
田付 徳雄 安久 司郎 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |