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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1345460
審判番号 不服2017-17631  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-29 
確定日 2018-10-25 
事件の表示 特願2015-108062号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-220775号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年5月28日の出願であって、平成28年4月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月8日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月18日付けで、同年3月30日にされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年11月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成29年11月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成28年12月8日付け手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「所定条件が成立したことを契機として、遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定手段が前記判定を行う前に前記判定の結果を事前判定する事前判定手段と、
前記判定手段が行った前記判定の結果を画像表示部において報知する判定結果報知手段と、
前記判定手段による前記判定が保留されている旨を前記画像表示部に示す保留画像を、前記事前判定手段による前記事前判定の結果に基づいて、通常態様とは異なる複数の特殊態様に変化させる保留表示手段と、
を備え、
前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「所定条件が成立したことを契機として、遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの判定を行う判定手段と、
前記判定手段が前記判定を行う前に前記判定の結果を事前判定する事前判定手段と、
前記判定手段が行った前記判定の結果を画像表示部において報知する判定結果報知手段と、
前記判定手段による前記判定が保留されている旨を前記画像表示部に示す保留画像を、前記事前判定手段による前記事前判定の結果に基づいて、通常態様とは異なる複数の特殊態様に変化させる保留表示手段と、
を備え、
前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある
ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである。
なお、下線は、補正前後の該当箇所を明示するために合議体が付した。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「保留表示手段」が、「前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる」ものから、「前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある」とする補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面の【0239】、【0243】、図38等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「保留表示手段」が、「複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように」、「保留画像」が「その場で動くように表示させる」のに加え、「前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある」ことに限定するものである。

(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしEは、分説するため合議体が付した。

「A 所定条件が成立したことを契機として、遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの判定を行う判定手段と、
B 前記判定手段が前記判定を行う前に前記判定の結果を事前判定する事前判定手段と、
C 前記判定手段が行った前記判定の結果を画像表示部において報知する判定結果報知手段と、
D 前記判定手段による前記判定が保留されている旨を前記画像表示部に示す保留画像を、前記事前判定手段による前記事前判定の結果に基づいて、通常態様とは異なる複数の特殊態様に変化させる保留表示手段と、
を備え、
D-1 前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある
E ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-208279号公報(平成25年10月10日出願公開、以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
ア 「【0009】
[第1の実施の形態]
以下、図面を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。まず、図1を用いて、本実施の形態によるパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。
・・・略・・・
【0033】
可変入賞口234、235は、大入賞口またはアタッカと呼ばれ、本実施の形態では可変入賞口234が遊技盤200の中央部下方に1つだけ配設され、可変入賞口235が右側経路上に1つだけ配設されている。可変入賞口234、235は、開閉自在な扉部材をそれぞれ備え、扉部材の閉鎖中は球の入球が不可能である。特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合には、例えば可変入賞口234、235のうち一方の扉部材が所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。可変入賞口234、235への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、15個)の球を賞球として上皿126に排出する。なお、可変入賞口234、235に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
・・・略・・・
【0083】
特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は、特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納される。特図1乱数値記憶領域内では、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが書き込まれる。
・・・略・・・
【0111】
これらの特図関連抽選処理についても、主制御部300が特図2関連抽選処理を特図1関連抽選処理よりも先に行うことで、特図2変動遊技の開始条件と、特図1変動遊技の開始条件が同時に成立した場合でも、特図2変動遊技が先に変動中となるため、特図1変動遊技は変動を開始しない。また、特図2変動遊技の保留数が1以上の場合には、特図1変動遊技の保留に関する抽選処理や変動遊技は行われない。また、装飾図柄表示装置208による、特図変動遊技の当否判定の結果の報知は、第1副制御部400によって行われ、特図2始動口232への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知が、特図1始動口230への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知よりも優先して行われる。本実施の形態では、有利度の高い特図変動遊技(本例では特図2変動遊技)が有利度の低い特図変動遊技(本例では特図1変動遊技)よりも優先して行われる。このため、遊技状態の有利度に差を持たせ易くなる場合がある。
【0112】
ステップS229の特図2関連抽選処理の場合には、主制御部300は、特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブル(後述する図10(a)?(d)参照)を用いて大当りとするか、小当り(本例では小当りは特図1でのみ選択され得る)とするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う。次いで、主制御部300は、取得した特図2始動情報内の特図2乱数値および決定した当否判定結果などに基づいて、ROM306に記憶された特図決定用テーブル(後述する図11(a)、(b)参照)を用いて特図2の変動表示後に停止表示する図柄(停止図柄)の決定を行う。次いで、主制御部300は、例えば、決定した当否判定結果、停止図柄、当該当否判定時の特図2保留数、取得した特図変動時間決定用乱数値等に基づいて、ROM306に記憶された各種テーブル(後述する図12および図13参照)を用いて特図2の変動表示時間(タイマ番号)の決定を行う。
【0113】
主制御部300は、特図2乱数値記憶領域から最先の特図2始動情報を取り出した後、当該最先の特図2始動情報を特図2乱数値記憶領域から消去するとともに、特図2保留数記憶領域の特図2保留数を1減算する。このとき、特図2乱数値記憶領域から取り出した特図2始動情報をRAM308に設けた一時領域に記憶し、この一時領域に記憶している特図2始動情報に基づいて上述の決定を行うようにしてもよい。
【0114】
以上のような特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に、特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。
・・・略・・・
【0126】
図8は、主制御部タイマ割込処理の特図先読み処理(ステップS224)の流れの一例を示すフローチャートである。特図先読み処理では、主制御部300は、特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定し、事前判定結果(特図先読み結果)をRAM308内の先読み結果記憶部(図9(a)?(c)参照)に記憶する。
・・・略・・・
【0201】
次に、図19?図27を用いて、第2副制御部500の処理について説明する。図19(a)は、第2副制御部500のCPU504が実行するメイン処理のフローチャートである。まず、図19(a)のステップS801では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、まずステップS801で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポートの初期設定や、RAM508内の記憶領域の初期化処理等を行う。
・・・略・・・
【0209】
図20は、第2副制御部メイン処理のステップS809における演出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。演出制御処理のステップS1101では保留アイコン表示制御処理を行い、その次のステップS1103では変動アイコン表示制御処理を行う。保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理の詳細については後述する。なお、保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理は、特図1および特図2で独立して実行されるようにしてもよいし、特図1および特図2で共通して実行されるようにしてもよい。ステップS1103の次のステップS1105では、その他の演出制御処理を行う。
【0210】
図21は、保留アイコン表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、保留アイコン表示制御処理のステップS1201では、第1副制御部400から送信される先読み結果情報コマンド等の各種コマンドに基づき、特図変動遊技の保留数が増加したか否かを判定する。保留数が増加したと判定した場合にはステップS1203に進み、保留数が増加していないと判定した場合にはステップS1209に進む。
【0211】
ステップS1203では、保留アイコン変更シナリオ抽選処理を行う。保留アイコン変更シナリオ抽選処理では、後述する保留アイコン表示態様抽選用テーブル(図23?図26)を参照して、特図変動遊技の保留数、増加した保留に対応するタイマグループ、および保留アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、増加した保留についての保留アイコン変更シナリオを抽選で決定する。保留アイコン変更シナリオは、当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様の変化を表す情報であり、例えば「入賞時:白、1変動後:白、2変動後:青」と表される。本例の保留アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「箱」、「千両箱」がある。なお、増加した保留に対応するタイマグループの情報を取得できない場合(例えば、先読みが実行されていない場合)には、当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様をデフォルトの「白」に設定する。
【0212】
ステップS1203の次のステップS1205では、決定した保留アイコン変更シナリオをRAM508に設けられたシナリオ記憶領域に記憶する。ここで、RAM508内のシナリオ記憶領域は、特図1および特図2のそれぞれについての保留可能数と同数(本例では、特図1および特図2のそれぞれについて4つずつ)の記憶領域を有している。各記憶領域は、特図1および特図2のそれぞれの保留順序(保留1?保留4)に対応付けられている。例えば、特図1の最先の保留が消化されて特図1変動遊技が開始されると、特図1の保留1に対応する記憶領域内のデータ(保留アイコン変更シナリオ)が消去され、保留2?保留4に対応する記憶領域内のデータは、保留1?保留3に対応する記憶領域にそれぞれ繰り上がって記憶し直されるようになっている。
【0213】
ステップS1205の次のステップS1207では、増加した保留に対応する保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示する処理(例えば、保留アイコンの増加アニメーションを設定する処理を含む)を行う。その後、ステップS1209の処理に移行する。
【0214】
ステップS1209では、保留アイコン変更条件が成立したか否かを判定する。保留アイコン変更条件は、例えば、特図変動遊技が開始されたことである。本例では、図柄変動開始コマンド等の特図変動遊技の開始を示すコマンドを第1副制御部400から受信したタイミングであれば保留アイコン変更条件が成立したと判定し、それ以外であれば保留アイコン変更条件が成立していないと判定する。保留アイコン変更条件が成立したと判定した場合にはステップS1211に進み、保留アイコン変更条件が成立していないと判定した場合にはステップS1213に進む。保留アイコン変更条件はその他にも、所定の変動時間が経過したこと、該保留アイコンよりも前の変動における当否判定において特定の当否判定結果が導出されること、または遊技者による所定の操作がなされたこと、等であっても良い。また、保留アイコン変更条件は、対象となる保留の変動が行われるまでに必ず成立するものであっても良いし、その逆に成立しないものであっても良い。また、該条件を決定する契機においては成立可否が分からない(不定)ものであっても良い。また、一度決定された保留アイコン変更条件がその後で変更または中止されても良い。
【0215】
ステップS1211では、保留アイコン変更処理を行う。保留アイコン変更処理では、RAM508内のシナリオ記憶領域のそれぞれの記憶領域から保留アイコン変更シナリオを読み出し、各保留アイコン変更シナリオに基づいて各保留アイコンの表示態様の変更が必要か否かを判定し、変更が必要であれば保留アイコンの表示態様を変更する処理(例えば、保留アイコンの変化アニメーションを設定する処理を含む)を行う。その後、ステップS1213の処理に移行する。
【0216】
ステップS1213では、特図変動遊技の保留数が減少したか否かを判定する。例えば、第1副制御部400からの図柄変動開始コマンドや先読み結果情報コマンド等に基づき、保留数が減少したと判定した場合にはステップS1215に進み、保留数が減少していないと判定した場合には保留アイコン表示制御処理を終了して演出制御処理に復帰する。
【0217】
ステップS1215では、保留アイコン表示位置変更処理を行う。保留アイコン表示位置変更処理では、保留数の減少に応じて、各保留アイコンの表示位置を変更する処理(例えば、保留アイコンの移動アニメーションや消去アニメーション、保留・変動アイコン間の移動アニメーション等を設定する処理を含む)を行う。その後、保留アイコン表示制御処理を終了して演出制御処理に復帰する。
・・・略・・・
【0233】
図23?図26に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、増加した保留の変動タイマが属するタイマグループと、保留アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該保留についての保留アイコン変更シナリオが決定される。増加した保留の変動タイマが属するタイマグループは、第1副制御部400からの先読み結果情報コマンド等に基づいて判定され、保留アイコン表示態様抽選用乱数値は、RAM508に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の保留アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0?99(数値範囲の幅は100)である。
・・・略・・・
【0236】
本例の保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっている。図23?図26に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、当り時に選択されるタイマグループ3、5、7の方が、はずれ時に選択されるタイマグループ1、2、4、6よりも信頼度の高い表示態様が選択され易く、また、信頼度の高い表示態様に変化し易くなっている。」
イ 「【0425】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る遊技台について説明する。本実施の形態によるパチンコ機100の構成等については、第1の実施の形態によるパチンコ機100と同様であるため説明を省略する。以下、本実施の形態によるパチンコ機100において実行される演出の具体例について説明する。
・・・略・・・
【0551】
(実施例2-10)
図63および図64は、本実施の形態の実施例2-10における演出表示の例を時系列で示している。図63(a)は、ある特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。特図1表示装置212では、特図1の変動表示が行われている。特図1保留ランプ218は特図1の保留が1であることを表示しており、特図2保留ランプ220は特図2の保留が0であることを表示している。
【0552】
図柄表示領域208a?208cでは、装飾図柄の変動表示が行われている。変動アイコン表示領域800には、当該変動に対応する変動アイコン801(表示態様:白)が表示され、所定の待機アニメーションが実行されている。保留アイコン表示領域900の第1領域には、保留アイコン901(表示態様:白)が表示され、所定の待機アニメーションが実行されている。
【0553】
図63(b)は、当該特図1変動遊技の変動期間中に特図1の保留が1つ増加した状態を示している。特図1保留ランプ218は、特図1の保留が1から2に増加したことを表示している。保留アイコン表示領域900の第2領域には、増加した保留の当否を高信頼度で先読み予告する保留アイコン902(表示態様:赤)が表示されている。本例では、保留アイコン902での先読み予告に基づき、保留アイコン902以外の保留アイコンでも先読み予告を実行する。これにより、保留アイコン901の表示態様は「白」から「村人A」に変化する。保留アイコン901では、一定の周期で左右をキョロキョロする待機アニメーションが実行される。また、演出表示領域208dには、「ワイワイ」、「ガヤガヤ」、「なんだなんだ」、「どうした?」等の文字が表示される。このとき、変動アイコン表示領域800においても、変動アイコン801の表示態様を変化させてもよい。これらの表示により、特別な先読み予告演出が開始されたことが遊技者に示唆される。
【0554】
図63(c)は、当該特図1変動遊技が終了するとともに、特図1の保留が2つ増加した状態を示している。特図1表示装置212には特図E(はずれ)が停止表示され、図柄表示領域208a?208cには、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾1-装飾10(0)-装飾4」が停止表示される。特図1保留ランプ218は、特図1の保留が4に増加したことを表示する。保留アイコン表示領域900の第3領域には保留アイコン903(表示態様:村人B)が所定の増加アニメーションを伴って表示され、第4領域には保留アイコン904(表示態様:村人A)が所定の増加アニメーションを伴って表示される。保留アイコン903、904では、一定の周期で左右をキョロキョロする待機アニメーションが実行される。保留アイコン901、903、904の待機アニメーションは非同期で実行される。
【0555】
図63(d)、(e)は、次の特図1変動遊技が開始された状態を示している。特図1表示装置212では、特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は、特図1の保留が4から3に減少したことを表示する。
【0556】
図柄表示領域208a?208cでは、装飾図柄の変動表示が開始される。変動アイコン表示領域800および保留アイコン表示領域900では、変動アイコンの消去アニメーション、保留アイコンの消去アニメーション、保留アイコンの移動アニメーションが実行される。特別な先読み予告演出の実行中には、保留・変動アイコン間の移動アニメーションが省略され、消化された保留に対応する保留アイコンは、変動アイコンに変化せずに消去される場合がある。すなわち、特別な先読み予告演出が開始された後に開始される変動では、保留アイコンに注目を集めるために、変動アイコンの表示が省略される場合がある。この場合、2つの消去アニメーション(変動アイコンの消去アニメーションと保留アイコンの消去アニメーション)が同時期に実行される場合がある。
【0557】
変動アイコンの消去アニメーションでは、変動アイコン表示領域800の変動アイコン801が所定の態様で消去される。特別な先読み予告演出実行中における変動アイコンの消去アニメーションは、通常の態様とは異なる特別な態様で実行されてもよい。
【0558】
保留アイコンの消去アニメーションでは、保留アイコン表示領域900の第1領域に表示されている保留アイコン901(表示態様:村人A)の表示サイズが徐々に縮小され、最終的には消去される。特別な先読み予告演出中における保留アイコンの消去アニメーションは、通常の態様とは異なる特別な態様で実行されてもよい。
【0559】
保留アイコンの移動アニメーションでは、保留アイコン表示領域900の第2?第4領域に表示されていた保留アイコン902?904が、第1?第3領域にそれぞれ移動する。特別な先読み予告演出中の移動アニメーションは、通常の態様とは異なる特別な態様で実行されてもよい。
【0560】
図63(f)?図64(c)は、当該特図1変動遊技の変動期間中におけるその後の状態と、次の特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。図63(f)に示す時点で、保留アイコン表示領域900の第1領域に表示されている保留アイコン902の変化アニメーションが開始される。この変化アニメーションでは、保留アイコン902に割れ目が生じ、ガタガタと振動する。第2および第3領域の保留アイコン903、904では、村人が保留アイコン902の異変に気付く態様の待機アニメーションが実行される。このように、先読み予告の対象となる保留アイコン902で変化アニメーションを実行する場合、対象以外の保留アイコン903、904において、特別な態様(例えば、先読み予告の対象となる保留アイコンのための態様)の待機アニメーションを実行してもよい。
【0561】
図63(g)に示す時点では、保留アイコン902の変化アニメーションにおいて、保留アイコン902が割れて中から千両箱が出現する。これにより、保留アイコン902の表示態様が「千両箱」に変更される。保留アイコン903、904では、村人が万歳をして喜ぶ態様の待機アニメーションが実行される。
【0562】
図63(h)に示す時点で、当該特図1変動遊技が終了する。特図1表示装置212には特図E(はずれ)が停止表示され、図柄表示領域208a?208cには、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾7-装飾1-装飾10(0)」が停止表示される。保留アイコン表示領域900の保留アイコン903、904では、村人が万歳をして喜ぶ態様の待機アニメーションが引き続き行われている。」
ウ 「【図63】


エ 【0114】の「特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に、特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。」との記載からみて、【0112】(上記イ)の「主制御部300は、特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブル(後述する図10(a)?(d)参照)を用いて大当りとするか、・・・あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う。」の記載中の「特図2」は「特図1」と読み替えることができる。
また、【0201】ないし【0236】の記載より、第2副制御部500が保留アイコンの表示態様に関する処理を行っているから、実施例2-10(【0551】ないし【0562】)においても同様に、第2副制御部500が保留アイコンの表示態様に関する処理を行っていることは明らかである。
さらに、引用例1の実施例2-10は、【0425】の記載の記載に基づけば、第1の実施の形態で説明されている事項を援用しているといえる。
オ 上記アないしエからみて、引用例1には、実施例2-10として、次の発明が記載されている。なお、aないしeについては本願補正発明のAないしEに対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 特図1始動口230へ入賞があった場合、特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納し、該特図1乱数値記憶領域内から特図1始動情報(特図1当選乱数値および特図1乱数値の組)を取得し、大当りとするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行うとともに(【0083】、【0112】、上記エ)、
b 特図1において増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定する(【0126】)、
主制御部300(【0112】)と、
c 装飾図柄表示装置208による特図変動遊技の当否判定の結果の報知を行う第1副制御部400(【0111】)と、
d 保留アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「箱」、「千両箱」があり、増加した保留に対応する先読みが実行されていない場合には、当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様をデフォルトの「白」に設定するものであり、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっており、これらの保留アイコンを装飾図柄表示装置208の所定の表示領域に表示し、第1副制御部400からの先読み結果情報コマンド等に基づいて判定されたタイマグループと、保留アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて決定された保留アイコン変更シナリオに基づいて各保留アイコンの表示態様の変更が必要か否かを判定し、変更が必要であれば保留アイコンの表示態様を変更する処理を行う、第2副制御部500(【0201】、【0211】、【0213】、【0215】、【0233】、【0236】)と、
を備え、
d-1 前記第2副制御部は、保留アイコン表示領域900の第2領域に、増加した保留の当否を高信頼度で先読み予告する保留アイコン902(表示態様:赤)を表示し、次の特図1変動遊技の変動期間中に、保留アイコン902に割れ目を生じさせ、ガタガタと振動させ、保留アイコン902が割れて中から千両箱を出現させ、保留アイコン902の表示態様を「千両箱」に変更する(【0553】、【0555】、【0560】、【0561】、図63)、
e パチンコ機100(【0009】)。」(以下「引用発明」という。)

(3)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(e)は、本願補正発明のAないしEに対応させている。

(a)引用発明は、「特図1始動口230へ入賞があった場合」という所定条件を契機として、「大当りとするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う」ものであり、「大当り」の結果、遊技者にとって有利な遊技状態に移行することは技術常識からみて明らかである。
そうすると、引用発明の「a 特図1始動口230へ入賞があった場合、特図1当選乱数値及び特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納し、該特図1乱数値記憶領域内から特図1始動情報(特図1当選乱数値および特図1乱数値の組)を取得し、大当りとするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う」「主制御部300」は、本願補正発明の「A 所定条件が成立したことを契機として、遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの判定を行う判定手段」に相当する構成を備える。

(b)引用発明の主制御部300は、特図1において増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定するものであるから、引用発明の「b 特図1において増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定する」「主制御部300」は、本願補正発明の「B 前記判定手段が前記判定を行う前に前記判定の結果を事前判定する事前判定手段」に相当する構成を備える。

(c)引用発明の「装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「画像表示部」に相当する。そして、引用発明の「第1副制御部400」は、装飾図柄表示装置208(画像表示部)による特図変動遊技の当否判定の結果の報知を行うものであるから、本願補正発明の「C 前記判定手段が行った前記判定の結果を画像表示部において報知する判定結果報知手段」に相当する構成を備える。

(d)引用発明の「保留アイコン」は、本願補正発明の「保留画像」に相当する。また、引用発明の「第2副制御部500」は、装飾図柄表示装置208(画像表示部)に表示された保留アイコン(保留画像)の表示態様を変更する処理を行うものであり、保留アイコン(保留画像)の表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「箱」、「千両箱」がある。
そして、「白」は、デフォルトの表示態様として扱われるとともに、「青」、「赤」に比べて、当否判定に基づく大当り信頼度が低いものである。そうすると、「白」を基準、すなわち通常とすれば、その他は特殊ということができるから、引用発明の「白」が本願補正発明の「通常態様」に相当し、引用発明の「青」、「赤」、「箱」及び「千両箱」が本願補正発明の「特殊態様」に相当するといえるものである。
そして、引用発明は、先読み結果等により決定された保留アイコン変更シナリオに基づいて、保留アイコン(保留画像)の表示態様を変更するものである。
そうしてみると、引用発明の特定事項dは、本願補正発明の「D 前記判定手段による前記判定が保留されている旨を前記画像表示部に示す保留画像を、前記事前判定手段による前記事前判定の結果に基づいて、通常態様とは異なる複数の特殊態様に変化させる保留表示手段」に相当する構成を備える。

(d-1)引用発明の「第2副制御部」(保留表示手段)は、保留アイコン902を「赤」(一の特殊態様)で表示し、次の特図1変動遊技の変動期間中に、保留アイコン902に割れ目を生じさせ、ガタガタと振動させ、保留アイコン902が割れて中から千両箱を出現させ、保留アイコン902の表示態様を「千両箱」(他の特殊態様)に変更するものである。
「ガタガタと振動」させた後に、「赤」(一の特殊態様)から「千両箱」(他の特殊態様)に変化するのであるから、引用発明の「ガタガタと振動させ」ることは、本願補正発明の「前記保留画像の表示態様の変化の前に、複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる」ことに相当する。
また、引用発明の「振動」は、保留アイコン表示領域900の第2領域で表示されるものであり、保留アイコン902が表示される特定の領域である前記第2領域に応じて表示されるものであるといえる。その「振動」の振幅は、表示される毎に異なるものであることの明示が引用例1にはないから、毎回予め定められた同じ大きさであることは明らかである。そうすると、引用発明の特定事項d-1は、本願補正発明の「前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ」ることに相当する構成を備える。
このように、引用発明は、「振動」の振幅が、予め定められた大きさである場合に、「千両箱」(他の特殊態様)に変化させるものであり、前記「定められた大きさ」は「定められた大きさ以上」に概念的に含まれるものであるから、引用発明の特定事項d-1は、本願補正発明の「前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある」ことに相当する構成を備える。
してみると、引用発明の特定事項d-1は、本願補正発明の「D-1 前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある」に相当する構成を備える。

(e)引用発明の「パチンコ機100」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 所定条件が成立したことを契機として、遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの判定を行う判定手段と、
B 前記判定手段が前記判定を行う前に前記判定の結果を事前判定する事前判定手段と、
C 前記判定手段が行った前記判定の結果を画像表示部において報知する判定結果報知手段と、
D 前記判定手段による前記判定が保留されている旨を前記画像表示部に示す保留画像を、前記事前判定手段による前記事前判定の結果に基づいて、通常態様とは異なる複数の特殊態様に変化させる保留表示手段と、
を備え、
D-1 前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある
E 遊技機。」である点で一致し、相違するところはない。

したがって、本願補正発明は、引用発明と同一であり、引用例1に記載された発明である。


ウ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、以下のとおり、概略主張している。
「3.本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
(4)特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反について
(イ)引用文献1に関して、審査官殿は、「引用文献1に記載された保留アイコン902(表示態様:赤)は、請求項1の「一の特殊態様」に相当し、千両箱は、請求項1の「他の特殊態様」に相当する。また、保留アイコン902がガタガタと振動している状態における当該振動の大きさは、上記予め定められた大きさに相当する。」と判断している。
・・・略・・・
(ロ)引用文献1の[0560]、[0561]には以下の事項が記載されている。
・・・略・・・
このように、引用文献1には、「保留アイコン902に割れ目が生じ、ガタガタと振動する。保留アイコン902が割れて中から千両箱が出現する。」ことが記載されているにすぎない。
それゆえ、引用文献1には、本願発明の特徴点の一部である、「前記保留表示手段は、前記保留画像の表示態様の変化の前に、前記複数の特殊態様の内の一の特殊態様から他の特殊態様に変化させることを示唆するように前記保留画像がその場で動くように表示させる構成において、前記保留画像が表示される領域に応じて予め定められた大きさで動くように表示させ、前記保留画像の動きを前記予め定められた大きさ以上に表示させる場合に前記他の特殊態様に変化させる場合がある」については記載も示唆もされていない。」

(イ)上記ア(d-1)で示したとおり、本願補正発明の特徴点の一部である特定事項D-1は、引用例1に記載されているといえるから、審判請求人の主張を採用することはできない。

(4)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例1に記載された発明である。
仮に、本願補正発明が引用発明に対して相違点を見出すことができるとしても、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に想到することができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は、同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年12月8日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであり、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の平成28年12月8日にされた手続補正により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、この出願の平成28年12月8日にされた手続補正により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2013-208279号公報

3 引用例
(1)引用例1(引用文献1)の記載事項は、上記第2〔理由〕3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用例1に記載された発明といえるのであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1に記載された発明であるといえる。
仮に、本願発明が引用発明に対して相違点を見出すことができるとしても、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に想到することができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-08-23 
結審通知日 2018-08-28 
審決日 2018-09-10 
出願番号 特願2015-108062(P2015-108062)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清水 徹  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 鉄 豊郎
濱野 隆
発明の名称 遊技機  
代理人 古部 次郎  
代理人 伊與田 幸穂  
代理人 尾形 文雄  

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