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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1345470
審判番号 不服2018-1680  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-07 
確定日 2018-11-13 
事件の表示 特願2014-521284「表示装置、表示方法、プログラム、及びテレビジョン受像機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日国際公開、WO2013/187296、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年6月5日(優先権主張2012年6月14日(以下、「優先日」という。)、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年1月25日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月22日付けで手続補正がされ、平成29年5月31日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年9月4日付けで手続補正がされたが、平成29年10月4日付けで拒絶査定がされ(送達日:平成29年10月12日)、これに対し、平成30年2月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月4日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
「この出願の請求項1-8に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2010-271393号公報
引用文献2:特開2005-345552号公報
引用文献3:特開2011-099953号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2009-204825号公報(周知技術を示す文献)」

第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成30年2月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、
前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、
計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、
全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、
前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部と
を含む表示装置。」

なお、本願発明2-5の概要は、以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮する発明である。
本願発明3-5は、それぞれ、本願発明1に対応する表示方法、プログラム及びテレビジョン受像機の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明、もしくは本願発明1の構成を全て含む発明である。

第4 引用文献等
1.引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010-271393号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【解決手段】画像表示装置は、入力画像の信号に基づいてバックライト17の調光値を決定する調光値決定回路13と、調光値に応じて液晶パネル22に供給する入力画像の信号を補正する画像信号補正回路20と、調光値に従ってバックライト17を駆動制御するバックライト駆動回路16とを備える。バックライト駆動回路16は、現在のフレームのバックライト17の発光輝度が前のフレームの発光輝度よりも増加する場合は、現在のフレームに対する調光値を適用するタイミングを遅くする。」(フロントページ)

「【0001】
本発明は、入力画像を光源ユニットを用いて表示パネルに表示する画像表示装置に関する。」

「【0010】
本発明の目的は、バックライトの輝度を制御しながら表示パネルに画像を表示する画像表示装置において、表示画像の輝度が急激に変化する場合にも画質劣化を軽減し、バックライトの消費電力を削減することである。」

「【0017】
本実施例では画像表示パネルとして液晶パネルを例に取り上げ、自ら発光せずに光源ユニット(バックライト光源)からの光を照射させて画像を表示する画像表示装置を対象とする。始めに、本実施例で採用するバックライト輝度の制御方式の基本となるローカルディミング(エリア制御)方式について、図17?図21を用いて説明する。」

「【0034】
以上、ローカルディミング(エリア制御)方式により、表示輝度を飽和させずに消費電力を最小とする制御について説明した。次に、このローカルディミング方式を基本に、本発明の各実施例について説明する。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明による画像表示装置の第1の実施例を示すブロック図である。
装置には、表示対象となる入力画像12と、入力画像12のタイミング情報を示すタイミング信号10が入力する。タイミング信号10は、ドットクロックや同期信号が相当する。タイミング生成回路11は、入力したタイミング信号10に基づき、クロック、アドレス、トリガ信号などの各種のタイミング信号を生成し、装置内の各回路へ供給する。なお、これらのタイミング信号については、図が煩雑になるのを避けるため一部のみ記述している。
【0036】
調光値決定回路13は、入力した入力画像12を解析し、バックライト17を構成する各光源の発光量(以下、調光値とも言う)を決定する。各光源の発光量は、その領域に含まれる画素の内、最大輝度を持つ画素値から決定する。すなわち、領域内で最大輝度を持つ画素の液晶透過率Lが、その液晶パネルで実現可能な最大値(=100)となるように、前記式(1)?(3)に従い、対応する光源の輝度Bを決定する。なお、この決定方法は一例であり、他の方法で光源輝度を決定しても構わない。また、全光源の調光値が全て同一になるようにすることで、グローバルディミングとして制御することも可能である。決定した調光値は調光値記憶回路14へ格納される。
【0037】
調光値記憶回路14に格納された調光値は、タイミング生成回路11から供給されるタイミング信号に従って、バックライト駆動回路16へ送られる。またタイミング補正回路18は、それぞれの領域について調光値の切替方向を判定し、その判定結果に応じてバックライト輝度の切替タイミングを補正する。すなわち後述するように、領域毎にバックライト輝度の変化の方向(増加/減少)を調べ、その方向によってバックライトを切り替えるタイミングを決定することで、閃光の発生を抑えるものである。バックライト駆動回路16は、入力された調光値に従ってバックライト17を構成する各光源を例えばパルス幅変調することにより、各領域の発光輝度を制御する。
【0038】
バックライト輝度分布予測回路19は、調光値記憶回路14から送られてくる調光値から、各調光値に従ってバックライト17の各光源を調光制御したときのバックライト17の輝度分布Bを予測する。画像信号補正回路20は、予測されたバックライト輝度分布Bと式(1)?(3)により各画素の画素値Gを補正し、各画素の表示輝度Yが、全てのバックライト光源を最大輝度で点灯させた時と同じになるように調整する。
【0039】
補正された各画素値Gは液晶パネル駆動回路21へ送られ、液晶パネル22の液晶透過率Lを制御する。このような構成とすることで、バックライト17を構成する各光源の発光輝度を低減させた場合であっても、実際の画像の表示輝度をバックライトの発光輝度を低減させない場合とほぼ同等にすることが可能となる。この場合、バックライトの減光量に応じた分だけ、バックライトの消費電力を削減することが可能となる。」


「【0040】
図2は、タイミング補正回路18の内部構成の一例を示す図である。タイミング補正回路18は、各領域について調光値の変化方向を判定しバックライト輝度の切替タイミングを調整するもので、補正回路19を領域数だけ備えている。比較器30は、対象領域についてその調光値の変化の方向(増加、減少)を判定する。判定対象の領域を(ax,ay)とすると、調光値記憶回路14から送られてきた現フレームの領域(ax,ay)の調光値B1と前フレームの領域(ax,ay)の調光値B0を比較して、比較判定信号31を出力する。現フレームの調光値B1が前フレームの調光値B0よりも大きい場合、すなわちその領域のバックライトが暗から明へ変化する場合は、比較判定信号31を「1」、それ以外の場合は「0」とする。
【0041】
セレクタ35には、タイミング生成回路11で生成されたタイミング信号32と、タイミング信号32を遅延回路34で一定時間Txだけ遅延させたタイミング信号33とが入力する。そして、比較器30からの比較判定信号31に応じて一方のタイミング信号を選択し、補正タイミング信号36としてバックライト駆動回路16へ出力する。判定信号31が「0」の場合は、タイミング生成回路11で生成されたタイミング信号(遅延なし)32を選択し、判定信号31が「1」の場合は、遅延回路34からのタイミング信号(遅延あり)33を選択する。このようにして、全領域について補正タイミング信号36を生成して出力する。」


「【0042】
次に、実施例1のタイミング補正の動作について説明する。
まず、画面内のある領域のバックライト輝度が増加する場合(暗→明)について、図3と図4を用いて説明する。」

「【0049】
上記パラメータの切替の際、バックライトの輝度Bは発光ダイオードをパルス幅変調することで制御するため、その遷移にはほとんど時間がかからない。しかし、液晶透過率Lは液晶素子の中の粒子が物理的に回転することによって変化するため、遷移にはある程度の時間が必要となる。この時間は液晶パネルの応答速度によって異なるが、液晶透過率の遷移に数フレーム分の時間を要するパネルも存在する。」

「【0050】
図4(b)は、液晶透過率Lの遷移時間を考慮した場合の挙動を示す。この図では、時刻t=T+1のフレームの先頭からTaが経過したところで液晶透過率Lの遷移が開始され、フレームの先頭からTbが経過したところで遷移が完了している。遷移時間はTb-Taであり、遷移期間中は液晶の透過率Lは滑らかに変化している。一方バックライト輝度Bは、フレームの先頭からTaが経過したところで瞬時に変化する。
【0051】
これらの結果、バックライト輝度Bと液晶透過率Lの積である表示輝度Yは、液晶透過率Lの遷移期間中は、図中の表示輝度Yの波形にあるように、2000よりも高い値を示すことになる。この例では、最大で10000に達する。これは、点Aが一時的に本来の表示輝度2000の5倍の輝度である10000で光ることを意味し、人間の目には閃光が走ったように見えるため、画像品質の大幅な劣化を招くことになる。この閃光による画像の劣化の度合いは人によって視感差があるためその許容値を一概に定義することは難しいが、ここでは目安として、実際の発光輝度が本来の表示輝度の1.2倍以上となるものを閃光と呼ぶこととする。
【0052】
図4(c)は、前記した閃光を軽減するために、本実施例においてバックライト輝度値Bを変更するタイミングを遅らせた場合を示す。この例では、液晶透過率Lの遷移が終わった後(時間Tb以降)でバックライト輝度値Bを変更している。すなわち、液晶透過率Lの遷移開始から十分な時間Txだけ経過してから、バックライト輝度Bを更新している。ここでは、TxはTb-Taよりも大きな値である。この場合、液晶透過率Lの遷移が始まった時点ではバックライト輝度Bは20のままなので、表示輝度Yは2000から低下を開始し、液晶透過率Lが20になり遷移が完了した時点の表示輝度は400となる。この後にバックライト輝度Bが20から100に変化することで、表示輝度は2000に回復する。
【0053】
このように、バックライト輝度Bが変化するタイミングを遅らせることにより、一時的な輝度低下は発生するものの閃光を抑制することが可能となる。・・・」


「【0065】
なお、液晶の透過率Lの遷移時間(Tb-Ta)は、液晶透過率の遷移の大きさによっても変化する。液晶透過率の遷移の大きさは、バックライトの輝度の変化量に反映される。このため、図2の比較器30では、バックライト輝度の変化方向だけでなく、変化の大きさも判定し、これに応じて遅延回路34の遅延時間Txを変更すれば、より画質の劣化を抑えた制御が可能となる。その際、遷移の大きさと遅延時間Txの関係を予め求め、テーブルに格納してこれを参照するのがよい。

「【0081】
以上述べた各実施例は、液晶パネルを複数の領域に分割し、バックライトは分割された各領域を照射する複数の光源から構成し、各光源の発光輝度を独立に制御するローカルディミング(エリア制御)方式について説明した。本実施例の制御方法は、画面全体の輝度を一括して制御するグローバルディミング方式にも適用できる。」

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「入力画像を表示する画像表示装置(段落【0001】より。以下、同様。)であって、
画像表示装置は、入力画像の信号に基づいてバックライト17の調光値を決定する調光値決定回路13と、調光値に応じて液晶パネル22に供給する入力画像の信号を補正する画像信号補正回路20と、調光値に従ってバックライト17を駆動制御するバックライト駆動回路16とを備え(フロントページ、【解決手段】)、
装置には、表示対象となる入力画像12と、入力画像12のタイミング情報を示すタイミング信号10が入力し、タイミング生成回路11は、入力したタイミング信号10に基づき、各種のタイミング信号を生成し(【0035】)、
ローカルディミング(エリア制御)方式(【0034】、【0081】)では、
調光値決定回路13は、入力した入力画像12を解析し、バックライト17を構成する各光源の発光量(以下、調光値とも言う)を決定し、各光源の発光量は、領域内で最大輝度を持つ画素の液晶透過率Lが、その液晶パネルで実現可能な最大値(=100)となるように、対応する光源の輝度Bを決定し、決定した調光値は調光値記憶回路14へ格納され(【0036】)、
調光値記憶回路14に格納された調光値は、タイミング生成回路11から供給されるタイミング信号に従って、バックライト駆動回路16へ送られ、またタイミング補正回路18は、それぞれの領域について調光値の切替方向を判定し、その判定結果に応じてバックライト輝度の切替タイミングを補正し、バックライト駆動回路16は、入力された調光値に従って、各領域の発光輝度を制御し(【0037】)、
画像信号補正回路20は、各画素の画素値Gを補正し、各画素の表示輝度Yが、全てのバックライト光源を最大輝度で点灯させた時と同じになるように調整し(【0038】)、
補正された各画素値Gは液晶パネル駆動回路21へ送られ、液晶パネル22の液晶透過率Lを制御し(【0039】)、
タイミング補正回路18は、各領域についてバックライト輝度の切替タイミングを調整するもので、現フレームの調光値B1が前フレームの調光値B0よりも大きい場合、すなわちその領域のバックライトが暗から明へ変化する場合、タイミング生成回路11で生成されたタイミング信号32を遅延回路34で一定時間Txだけ遅延させたタイミング信号33を、補正タイミング信号36としてバックライト駆動回路16へ出力し(【0040】、【0041】)、
液晶透過率Lは液晶素子の中の粒子が物理的に回転することによって変化するため、遷移にはある程度の時間が必要となり(【0049】)、
時刻t=T+1のフレームの先頭からTaが経過したところで液晶透過率Lの遷移が開始され、フレームの先頭からTbが経過したところで遷移が完了し、遷移時間はTb-Taであり、遷移期間中は液晶の透過率Lは滑らかに変化しているが(【0050】)、バックライト輝度値Bを変更するタイミングを遅らせ、液晶透過率Lの遷移開始から十分な時間Txだけ経過してから、バックライト輝度Bを更新し(【0052】)、閃光を抑制することが可能となり(【0053】)、
液晶の透過率Lの遷移時間(Tb-Ta)は、液晶透過率の遷移の大きさによっても変化し、液晶透過率の遷移の大きさは、バックライトの輝度の変化量に反映されるため、バックライト輝度の変化方向だけでなく、変化の大きさも判定し、これに応じて遅延回路34の遅延時間Txを変更すれば、より画質の劣化を抑えた制御が可能となるが、その際、遷移の大きさと遅延時間Txの関係を予め求めるのがよく(【0065】)、
上記制御方法は、グローバルディミング方式にも適用できる(【0081】)、
画像表示装置(段落【0001】)。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2005-345552号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、液晶パネルとその背面に配置したバックライトとを備え、画像データの特徴量に基づいて液晶パネルの透過率とバックライト輝度との相対関係を変化させながら映像を映し出す液晶表示装置に関する。」

「【0018】
しかしながら、図7に示したような従来の液晶表示装置においては、一般に液晶パネル8がその周囲温度の変化によって透過率の応答遷移時間が大きく変動することが知られている。また、従来の液晶表示装置では、図10に示した液晶パネル透過率波形のように、高温の場合は透過率が急峻変化し遷移時間が短いが、低温の場合は遷移時間が非常に長くなってしまう。さらに、従来の液晶表示装置においては、透過率が増大する方向と減少する方向とでその応答時間に差異があることが知られている。
「【0026】
図1は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置のブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る液晶表示装置100は、画像メモリ101、画像データ補整部102、画像データ特徴量抽出部103、タイミング発生部104、液晶インターフェース部(LCD IF)105、調光インターフェース部(P/S IF)106、液晶パネル駆動回路107、液晶パネル108、白色LED109、白色LED駆動回路110、温度センサ111、調光タイミング補整部112を備えている。

「【0034】
調光タイミング補整部112は、温度センサ111が検出した液晶パネル108の温度に基づいてバックライト輝度設定タイミングを補整する調光タイミング補整手段である。」

「【0072】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態の液晶表示装置100においては、液晶パネル108のパネル温度と透過率変化方向とに応じて、調光タイミング補整部112によりバックライト輝度値の設定タイミングを調整することができる。従って、この液晶表示装置100においては、液晶パネル108の透過率遷移時間が温度によって変動しても、また、透過率の変化方向によって遷移時間が異なる場合であっても、常に液晶パネル108の透過率の変化のタイミングとバックライト輝度の変化のタイミングとを合せ、液晶パネル108の透過率とバックライトの輝度との間の変化で発生する輝度歪を抑制して良好な画像表示を行うことができる。」

したがって、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「液晶表示装置(【0001】)であって、液晶表示装置100は、液晶パネル駆動回路107、液晶パネル108、白色LED109、白色LED駆動回路110、温度センサ111、調光タイミング補整部112を備え(【0026】)、
液晶パネル108の透過率遷移時間が温度によって変動しても、常に液晶パネル108の透過率の変化のタイミングとバックライト輝度の変化のタイミングとを合せ、液晶パネル108の透過率とバックライトの輝度との間の変化で発生する輝度歪を抑制して良好な画像表示を行うことができる(【0072】)、
液晶表示装置(【0001】)。」

3.引用文献3について
原査定において、周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開2011-099953号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。」

「【0020】
[液晶表示装置]
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置2の構成図である。同図に示すように、液晶表示装置2は、液晶パネル4と、液晶パネル駆動回路6と、コントローラ8と、EEPROM等の記憶手段であるメモリ10と、デジタルデータを電圧に変換して該デジタルデータに対応する電圧を液晶パネル駆動回路6に出力するデジタル-アナログ変換回路12(以下、DAC12と記載する)と、LEDバックライト14と、バックライト駆動回路16と、チューナー18と、を含む。メモリ10には、後述するガンマ補正制御情報γ、及びオーバードライブ制御情報ODが記憶されている。」

「【0049】
バックライト駆動回路16は、コントローラ8からの指示に従い、LEDバックライト14を駆動させる。本実施形態の場合、バックライト駆動回路16は、LEDバックライト14を均一に発光させる非ローカルディミング駆動(第1の駆動態様)と、一部のLED22からの出力光の輝度が非ローカルディミング駆動の場合よりも低くなるローカルディミング駆動(第2の駆動態様)と、のうちのいずれか一方の駆動態様で、LEDバックライト14を駆動させる。なお、LEDバックライト14の駆動態様は、ユーザの操作により切り替わる。」

4.引用文献4について
原査定において、周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2009-204825号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、LEDライトがマトリクス状に配置された直下型のバックライトを有する液晶表示装置に適用して有効な技術に関するものである。」

「【0055】
このようなLEDバックライト2の動作制御を行うと、たとえば、液晶表示装置が設置されている部屋の明るさに応じて、ローカルディミング制御のON/OFFを自動で切り替えることができる。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における、「液晶透過率Lの遷移」が「開始」されるタイミングである、「時刻t=T+1のフレームの先頭からTaが経過したところ」が、本願発明1における「第1のタイミング」に相当する。

イ 引用発明における「液晶パネル駆動回路21」は、「液晶パネル22の液晶透過率Lを制御」しているから、「時刻t=T+1のフレームの先頭からTaが経過したところで」、「液晶パネル22」の「液晶透過率Lの遷移」を「開始」していることは明らかであって、本願発明1における「第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部」に相当する。

ウ 引用発明における、「バックライト輝度の切替タイミング」が、本願発明1における「第2のタイミング」に相当する。

エ 引用発明の「バックライト駆動回路16」は、「タイミング補正回路18」で「調整」した「バックライト輝度の切替タイミング」で、「入力された調光値に従って、各領域の発光輝度を制御」しているから、本願発明1における「第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部」に相当する。

オ 引用発明の「画像信号補正回路20」は、「液晶パネル22に供給する入力画像の信号を補正する」回路であって、「各画素の画素値Gを補正し、各画素の表示輝度Yが、全てのバックライト光源を最大輝度で点灯させた時と同じになるように調整し」ているから、本願発明1における「前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部」に相当する。

カ 引用発明における「遅延時間Tx」は、「液晶透過率Lの遷移開始から十分な時間Txだけ経過してから、バックライト輝度Bを更新」するための時間であるから、本願発明1における「前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間」に相当する。

キ 引用発明に示されているとおり、「液晶透過率Lは液晶素子の中の粒子が物理的に回転することによって変化するため、遷移にはある程度の時間が必要とな」るのであるから、引用発明における「液晶の透過率Lの遷移時間(Tb-Ta)」は、「液晶透過率の遷移の大きさ」と「液晶素子の中の粒子が物理的に回転する」速度、つまり応答速度によっても「変化」することは明らかである。
よって、引用発明において、(バックライトの輝度の変化量に反映される)「液晶透過率の遷移の大きさ」を判定して「遅延回路34の遅延時間Txを変更す」る部分(タイミング補正回路18)は、「液晶透過率の遷移の大きさ」だけでなく、応答速度も用いて「遅延時間Tx」を求めていることは明らかであって、本願発明1における「前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部」に相当するといえる。

ク 引用発明の「タイミング生成回路11」は、「タイミング信号32」を「生成」している。また、引用発明の「タイミング補正回路18」は、「その領域のバックライトが暗から明へ変化する場合、タイミング信号32を遅延回路34で一定時間Txだけ遅延させたタイミング信号33を、補正タイミング信号36としてバックライト駆動回路16へ出力し」ている。
よって、引用発明における「タイミング信号32」は、引用文献1の「図4(a)理想状態」にも記載されているとおり、バックライト輝度の切替タイミングの基準となる、「液晶透過率Lの遷移」を「開始」させるタイミング信号であるといえる。
したがって、引用発明における「タイミング生成回路11」及び「タイミング補正回路18」が、本願発明1における「前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部」に相当するといえる。

ケ 引用発明の「ローカルディミング(エリア制御)方式」における、「領域内」での「最大輝度」が、本願発明1における「領域」の「輝度」に相当する。

コ 引用発明における「調光値決定回路13」は、「ローカルディミング(エリア制御)方式」において、「入力した入力画像12を解析し、バックライト17を構成する各光源の発光量(以下、調光値とも言う)を決定し、各光源の発光量は、領域内で最大輝度を持つ画素の液晶透過率Lが、その液晶パネルで実現可能な最大値(=100)となるように、対応する光源の輝度Bを決定」している。
そして、上記「決定した調光値」は、「調光値記憶回路14」を経て、「タイミング生成回路11から供給されるタイミング信号に従って、バックライト駆動回路16へ送られ」ている。
よって、引用発明における「調光値決定回路13」及び「調光値記憶回路14」及び「タイミング生成回路11」と、本願発明1における「全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部」とは、「全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、所定のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部」の点で共通する。

サ 一般に、「ローカルディミング(エリア制御)方式」とは、「液晶パネルを複数の領域に分割し、バックライトは分割された各領域を照射する複数の光源から構成し、各光源の発光輝度を独立に制御する」方式(引用文献1の段落【0081】参照。)であるから、引用発明の「画像表示装置」が、「バックライト17」を、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いて「駆動制御」していることと、本願発明1における「前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部」とは、「前記バックライトを部分駆動する」点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「第1のタイミングに同期して、液晶パネルの透過率を変更する第1の変更部と、
第2のタイミングに同期して、前記液晶パネルのバックライトの明るさを変更する第2の変更部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量を算出する変更量算出部と、
前記液晶パネルの透過率の変更量と前記液晶パネルの応答速度を用いて、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングを遅延させるための遅延時間を算出する算出部と、
前記第1のタイミングに同期して、前記液晶パネルの透過率を前記第1の変更部に変更させ、前記第1のタイミングから前記遅延時間だけ遅延させた前記第2のタイミングに同期して、前記バックライトの明るさを前記第2の変更部に変更させる遅延制御部と、
全領域のうち、輝度の低い領域に相当する前記バックライトの点灯量を減少させ、輝度の高い領域に相当する前記バックライトの点灯量を増加させるためのバックライトデータを生成し、生成した前記バックライトデータを、所定のタイミングで前記第2の変更部に出力するバックライトデータ算出部と、
を含み、
前記バックライトを部分駆動する、
表示装置。」

(相違点1)
本願発明1では、「前記液晶パネルの内部の温度を計測する温度計測部と、計測された前記液晶パネルの内部の温度に基づいて、前記液晶パネルの応答速度を算出する応答速度算出部と」を備えているのに対し、引用発明では、「液晶素子の中の粒子が物理的に回転する」速度、つまり応答速度を考慮して「遅延時間Tx」を求めていることは明らかであるものの、応答速度を、液晶パネルの内部の温度に基づいて算出することは示されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、「前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部」を備えているのに対し、引用発明では、「バックライト17」を、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いて「駆動制御」(本願発明1における「バックライトの部分駆動」に相当する。以下、同様。)しているものの、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(「バックライトの部分駆動」)を、「オフ」することも、その場合の駆動制御についても示されていない点。

(相違点3)
本願発明1では、バックライトデータを、「前記遅延制御部から指示された前記第2のタイミング」で第2の変更部に出力しているのに対し、引用発明では、「バックライト17を構成する各光源の発光量」(「調光値」)は、「タイミング生成回路11から供給されるタイミング信号」に従って、バックライト駆動回路16へ送られており、「タイミング補正回路18」から出力される「補正タイミング信号36」に従って、バックライト駆動回路16へ送られているわけではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、まず、相違点2について検討する。
ア 引用発明では、「バックライト17」の駆動制御として、「ローカルディミング(エリア制御)方式」に代えて、「グローバルディミング方式にも適用できる」ことが示されているが、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(「バックライトの部分駆動」)を「オフ」にすることは、記載も示唆もされていない。
また、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(「バックライトの部分駆動」)を「オフ」する際に、「人間の目には閃光が走ったように見える」(引用文献1の段落【0051】参照。)ことも、そのために「閃光を抑制する」ことが必要であるとの認識も、示されていない。
したがって、引用発明において、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(「バックライトの部分駆動」)を「オフ」し得るものとし、かつ、その場合に、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(「バックライトの部分駆動」)が「オフ」されるタイミングを、「液晶透過率Lの遷移」が「開始」されるタイミング(第1のタイミング)とし、このタイミングに対して、「バックライト輝度の切替タイミング」(第2のタイミング)が「一定時間Txだけ遅延させたタイミング」となる(遅延時間が発生する)ように「タイミング補正回路18」を制御するようにして、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者といえども、容易になし得たことではない。

イ 引用文献2には、「液晶表示装置(【0001】)」に「温度センサ111、調光タイミング補整部112を備え」、「液晶パネル108の透過率遷移時間が温度によって変動しても、常に液晶パネル108の透過率の変化のタイミングとバックライト輝度の変化のタイミングとを合せ、液晶パネル108の透過率とバックライトの輝度との間の変化で発生する輝度歪を抑制して良好な画像表示を行うこと」が記載されているに過ぎず、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。

ウ 引用文献3、引用文献4に記載されているとおり、「液晶表示装置において、LEDバックライトのローカルディミング駆動をオフに切り替える」ことは、周知技術である。
しかし、引用文献3、引用文献4には、ローカルディミング駆動をオフに切り替える際に、「人間の目には閃光が走ったように見える」(引用文献1の段落【0051】参照。)ことも、そのために「閃光を抑制する」必要があることも、記載も示唆もされていない。
よって、仮に、上記周知技術を引用発明に適用できたとしても、これにより引用発明には、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(本願発明における、バックライトの部分駆動)を「オフ」にする構成が付加されるに過ぎず、さらに進んで、該「オフ」の際に「閃光を抑制する」必要性を見出した上で、「ローカルディミング(エリア制御)方式」を用いた「駆動制御」(バックライトの部分駆動)が「オフ」されるタイミングを、「液晶透過率Lの遷移」が「開始」されるタイミング(第1のタイミング)とし、このタイミングに対して、「バックライト輝度の切替タイミング」(第2のタイミング)が「一定時間Txだけ遅延させたタイミング」となる(遅延時間が発生する)ように「タイミング補正回路18」を制御するようにして、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることまでは、当業者といえども、容易になし得たことではない。

(3)まとめ
したがって、上記相違点1及び相違点3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を減縮する発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

3.本願発明3-5について
本願発明3-5は、それぞれ、本願発明1に対応する方法、プログラム及びテレビジョン受像機の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明、もしくは本願発明1の構成を全て含む発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は、「前記バックライトの部分駆動がオフされる場合に、前記部分駆動がオフされるタイミングを前記第1のタイミングとして、前記第1のタイミングに対して前記第2のタイミングの遅延時間が発生するように前記遅延制御部を制御する制御部」という事項を有するものとなっている。
したがって、上記「第5」で述べたとおり、本願発明1-4は、当業者であっても、引用文献1-4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
よって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。





また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-10-30 
出願番号 特願2014-521284(P2014-521284)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森口 忠紀西島 篤宏  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
清水 稔
発明の名称 表示装置、表示方法、プログラム、及びテレビジョン受像機  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  
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