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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1345638
審判番号 不服2015-14728  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-06 
確定日 2018-10-31 
事件の表示 特願2013-101602「携帯型電子生物生存装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 8日出願公開、特開2013-150887〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴って平成11年6月29日に出願された特願平11-183644号(優先権主張の基礎となる先の出願の出願番号(優先日):特願平10-202810号(平成10年7月1日),特願平10-219773号(平成10年7月21日),特願平11-142487号(平成11年5月21日))の一部を平成19年10月18日に新たな特許出願とした特願2007-270862号の一部を平成21年12月22日に新たな特許出願とした特願2009-290789号の一部を平成25年5月13日に新たな特許出願としたものであって、平成25年5月20日付け、同年12月2日付け、平成26年6月12日付け、同年10月20日付けで手続補正がなされ、平成27年5月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月6日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成27年8月6日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、
「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーが認識可能な電子生物(以下「自らの電子生物」という。なお、「電子生物」は「電子的人間キャラクタ」を含む。)と他の携帯型電子生物出力装置の出力部により他のユーザーが認識可能な他の電子生物(以下「他の電子生物」という。)との間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報(「伝達情報」は、情報の内容としては、(a)「こんにちは」、「友達になりましょう」、「ジャンケンしよう」、又は「ABC3回戦ゲームしよう」などの、「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情又は意思を含む情報である、メッセージ」と、(b)自らの電子生物若しくはそのユーザーの名前、顔などの画像、鳴き声、誕生日、星座、血液型、年齢、好きな食べ物、好きな遊び、若しくはその他のプロフィールなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、自らの電子生物若しくはそのユーザーに関する事実又はそれを示す情報」と、(c)ジャンケン・ゲームにおけるグー、チョキ及びパーのいずれか1つ、又はABC3回戦ゲームにおけるA、B及びCのいずれか1つなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、何らかの意味を有する単語又はそれを示す情報」とのいずれかを含み、情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)であって、自らの電子生物が伝達の主体となっており他の電子生物が伝達の相手方となっている一つ若しくは複数の伝達情報を、記憶する若しくは記憶しておく伝達情報記憶手段と、
「自らの電子生物の名前若しくは画像(前記名前若しくは画像は、前記伝達情報記憶手段に記憶されたものであってもよいし、前記伝達情報記憶手段とは別に記録又は入力されたものであってもよい。)又はそれを示す情報」と「前記伝達情報記憶手段に記憶される若しくは記憶されていた情報又はそれを示す若しくはそれから得られた情報であって、『自らの電子生物が主体となって相手方である他の電子生物に向けて伝達する伝達情報』としての一つ若しくは複数の伝達情報、又はそれを示す若しくはそれから得られた情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に、且つ、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の電子生物出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより発信する電波等発信手段と、
他の電子生物出力装置から近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する電波等受信手段と、
を備えたことを特徴とする、ユーザーに携帯され又はユーザーの身体に装着される装置であってその出力部によりユーザーに電子生物を認識させる携帯型電子生物出力装置。」
と補正された。

本件補正は、補正前の特許請求の範囲に記載の請求項1、請求項3乃至請求項8を削除すると共に、請求項2を請求項1に繰り上げたものであって、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項、第4項の規定に適合する。


第3 引用刊行物
1 刊行物1
本願の優先日前の平成8年9月27日に頒布された特開平8-251068号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような観点から、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、前述した無線送受信機能を備えたカード形無線通信端末機器を使用し、この端末機器に予め各種の情報を記憶保持させておくと共に、端末機器所持者の個人データを書込み保持させておき、送信状態にある前記端末機器の所持者は、自己の希望や要求を選択して指定することによって、通信可能な所要の領域内において同時に複数の受信状態にある前記端末機器にアクセスして、最も適合性の高い1つの端末機器に対して呼出しを行うことができるシステムを実現し得ることを突き止めた。
【0006】従って、この種のシステムは、相性や共通の趣味や娯楽、占い等の要素をベースとして、端末機器間の無線通信による情報交換を行って、端末機器の所持者間の出会いおよび交流をも可能として、広く娯楽的手段として活用することが可能である。
【0007】そこで、本発明の目的は、無線送受信機能を備えたカード形無線通信端末機器を使用し、これら端末機器の相互間において直接情報の交換を可能とし、送信側の希望や要求に合致した情報を有する受信側の端末機器との間において選択的な同調が行われ、その呼出しを行うことができる携帯用個人呼出無線通信システムを提供することにある。」
(2)「【0011】
【作用】本発明に係る携帯用個人呼出無線通信システムによれば、カード形無線通信端末機器の所有者の個人データを入力することにより、相性、占い、趣味に関するデータをベースとして、それぞれカード形無線通信端末機器の相互間における適合性を照合し判定して、適合性の最も高い端末機器同士のチャネリングを行うことができる。この場合、各端末機器の通信可能な領域は比較的狭い範囲にあることから、チャネリングの生じた端末機器の所有者同士の出会いのチャンスを設定することができ、極めて興趣に富んだ娯楽手段を得ることができる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る携帯用個人呼出無線通信システムの実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明に係る携帯用個人呼出無線通信システムの概略システム構成図である。本発明にいては、カード形無線通信端末機器を使用して実施するものであり、例えば無線送受信機能を備えたICカードによって容易に製作することができる。従って、この無線通信端末機器には、図1に示すような各種の機能手段を搭載する。
【0014】すなわち、図1において、参照符号10は各種動作モードを選択設定する入力部、12は前記選択設定される動作モードの内容および各種データの表示をする表示部、14は前記選択設定される各種動作モードに関するデータおよび受信データを記憶する記憶部、16は選択設定された動作モードに従って所要信号を発信すると共に他の無線通信端末機器より発信される信号を受信し、同調して所要データの交換を行う送・受信部、18は選択設定された動作モードに従って送・受信されたデータの照合を行い、最も適合性の高い無線通信端末機器との相互間においてチャネリング信号を発生する演算制御部、20は前記チャネリング信号に基づいて視聴覚反応動作を行う反応部をそれぞれ示す。
【0015】次に、前記各部の機能について詳細に説明する。
【0016】(1)入力部10
入力部は、各種動作モードを選択設定するものであり、例えばID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード(反応部20における視聴覚動作の種別を選択するモード)、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他所有者のコメントを発信するモード、各種情報を収集するモードや情報を閲覧するモード等である。
【0017】これらの各種動作モードを選択設定する手段としては、例えば図2に示すように構成したカード形無線通信端末機器30を使用して操作することができる。すなわち、図2に示すカード形無線通信端末機器30は、無線送受信機能を備えたICカードからなり、内部に送・受信装置32を内蔵すると共に、外装のパネル表面には、表示放電管ないしは液晶表示器等からなる表示器34を備えると共に、決定・キャンセル押釦スイッチ36と、5個のメッセージ押釦スイッチ38a、38b、38c、38d、38eとがそれぞれ設けられており、前記各メッセージ押釦スイッチ38a?38eの組合わせ操作と決定・キャンセル押釦スイッチ36の操作とにより、それぞれ所望の動作モードを選択設定することが可能である。この場合、表示器34によって、各動作モードの内容を確認しながら簡便に操作を行うことができる。
【0018】(2)表示部12
前記動作モードの設定に際して、各種動作モードの内容を表示すると共に、他のカード形無線通信端末機器との交信に際して、送・受信されるデータの内容を表示させ、その内容を簡便に確認することができる。また、この表示部は、他のカード形無線通信端末機器からの発信信号を受信する際、もしくは他のカード形無線通信端末機器とのチャネリングが行われる際に、所要の点滅動作を行って、それらの状態を容易に確認し得るように利用される。
【0019】(3)記憶部14
EEPROMからなりID入力モード、反応モード、発信モード、その他各種の情報に関するデータを記憶すると共に、他のカード形無線通信端末機器からの受信データの記憶並びにそれらのデータの照合と適合性の判定を行うための演算制御プログラム等を記憶する。
【0020】(4)送・受信部16
選択設定された発信モードに従って、他のカード形無線通信端末機器に対して所定の探査電波を発信すると共に、これによりアクセスされた各カード形無線通信端末機器から前記発信モードに基づく所定のデータを受信収集し、これらのデータの照合と適合性の判定を行う。すなわち、この送・受信部の機能は、例えば図3に示すように、所定の探査電波を発信するカード形無線通信端末機器30Aは、所要の領域内において作動状態にある他の複数のカード形無線通信端末機器30B?30Eに対して、それぞれ送・受信装置32を介して順次アクセスし、これらカード形無線通信端末機器30B?30Eより所定のデータを受信収集する。この場合に、受信データは、表示部12に表示し得ると共に記憶部14に記憶される。そして、記憶されたデータは、順次照合と適合性の判定が行われ、最も適合性の高いカード形無線通信端末機器に対してチャネリング信号が発信される。
【0021】(5)演算制御部18
記憶部14に記憶された演算制御プログラムに従って、選択設定された発信モードにより送・受信部を介して受信された他のカード形無線通信端末機器からのデータを記憶部14に記憶させ、次いでこれらデータの照合と適合性の判定を行う。この結果、最も適合性の高いカード形無線通信端末機器に対してチャネリング信号を発生し、送・受信部16を介して所定のチャネリング信号を発信させる。

【0025】以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更をすることができる。」

上記記載事項(1)及び(2)から、刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明1」という。)

「携帯用個人呼出無線通信システムに使用されるカード形無線通信端末機器30であって、
ID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他各種の情報に関するデータを記憶すると共に、他のカード形無線通信端末機器からの受信データを記憶する記憶部14と、
通信可能な領域は比較的狭い範囲にあり、
選択設定された発信モードに従って、他のカード形無線通信端末機器に対して所定の探査電波を発信すると共に、所要の領域内において作動状態にある他の複数のカード形無線通信端末機器30B?30Eに対して、それぞれ送・受信装置32を介して順次アクセスし、これらカード形無線通信端末機器30B?30Eより発信モードに基づく所定のデータを受信収集し、受信データは表示部12に表示し得る、送・受信部16と、
送・受信されるデータの内容を表示させる表示部12と、
選択設定された発信モードにより送・受信部を介して受信された他のカード形無線通信端末機器からのデータを記憶部14に記憶させ、次いでこれらデータの照合と適合性の判定を行う演算制御部18と、
を備え、
カード形無線通信端末機器の所有者の個人データを入力することにより、相性、占い、趣味に関するデータをベースとして、それぞれカード形無線通信端末機器の相互間における適合性を照合し判定して、適合性の最も高い端末機器同士のチャネリングを行うことができ、
端末機器間の無線通信による情報交換を行って、端末機器の所持者間の出会いおよび交流をも可能として、広く娯楽的手段として活用することが可能である、
携帯用個人呼出無線通信システムに使用されるカード形無線通信端末機器30。」

2 刊行物2
本願の優先日前の1997年8月1日に頒布された「Oh!PC,ソフトバンク株式会社,第16巻,第5号,第180-182頁」(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、丸数字は、「○1」と表記する。)
「ペットを飼う楽しみとメールをやりとりする楽しみを一度に味わえてしまう,愉快なソフトがWeb上で準備されている。「ポストペット」は,パソコン上で飼うペットがメールを運んでくれるというもの。ただし,このペットはただのメーラーに郵便配達のキャラクターが付いたのとは訳が違う。
ユーザーのペット同士が仲良くなったりケンカしたり,がらくたを拾ってきたり。ペットがある程度成長すると,ユーザーがよくメールを出す相手に勝手にメールを出したりまでするという。
ペット同士が仲良くなることで,飼い主であるユーザー同士も仲良くなれるのではないか,そんな期待も抱けてしまう。
…」(第181頁下段「COLUMN2」)

上記記載事項から、刊行物2には次の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明2」という。)

「ペットを飼う楽しみとメールをやりとりする楽しみを一度に味わえてしまう,愉快なソフトであって、パソコン上で飼うペットがメールを運んでくれるというもので、ペット同士が仲良くなることで,飼い主であるユーザー同士も仲良くなれるのではないか,そんな期待も抱けてしまう、ソフト。」

3 刊行物3
本願の優先日前の平成6年3月11日に頒布された特開平6-68063号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は計算機上に構築した仮想生物システムに関し、特に、本発明はコンピュータを人間にとってより身近なものとするために仮想的に計算機の中に作りだした仮想生物システムに関するものである。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、知的なエージェントを設定する。このエージェントは外部(自分自身の)情報を取り込みそれに対して、自律的に判断しあたかも生物のごとく振る舞う。これを仮想生物と呼ぶ。その仮想的生物を計算機を利用しながら飼い育てることにより、より計算機を身近なものと感じられるようすると同時に、ユーザ同士、ユーザ,仮想生物、仮想生物間の相互作用により、より進んだ情報処理能力を提供することができる仮想生物システムを提供することを目的とする。」
(2)「【0010】本発明の請求項1の発明においては、上記仮想生物システムを構築するため、仮想生物の知識情報を格納する知識データ・ベース4と、仮想生物の内部状態量を格納する内部状態量保存部5と、仮想生物の意思、行動をシミュレーションするシミュレーション・システム1とを計算機上に設ける。知識データ・ベース4には、生物が周囲の環境の中で、自立して動くための知識が格納されており、仮想生物は知識データ・ベース4に格納された知識および内部状態量保存部5に格納された仮想生物の内部状態をもとにシミュレーション・システム1で自分の行動をシミュレートして、その結果を描画システム、音声生成システム等に送り外部に出力する。

【0016】
【実施例】図2は本発明の実施例における機器構成を示す図であり、同図(a)は各計算機をネットワークで接続した図、同図(b)は各計算機をモデムを介してセンターに接続した図を示している。同図において、31ないし34は計算機、31aないし34a、35はモデム、36はセンターの計算機であり、本発明の実施例の仮想生物システムは、独立した計算機上に設けられたり、あるいは、図3の各計算機31ないし34上に設けることができる。
【0017】図3は本発明における仮想生物システムの1実施例を示す図である。同図において、10は入力機器であり、計算機にデータ等を入力する場合に通常使用される、キーボード、マウス、タッチ・パネル、ジョイスティク、データ・グローブ等の入力機器、あるいは、FD装置等から構成される。11はシミュレーション・システムであり、11aは外部環境や計算機内部に記憶されている仮想生物の内部状況(例えば、「お腹が減った」、「眠い等」)等を認識する認識部、11bは認識部11aより与えられた外部環境等に基づき状況判断をする判断部、11cは判断部11bより与えられる状況判断の結果と、計算機内部に記憶されている仮想生物の本能、知識等に基づき仮想生物の意思、行動を決定する決定部11cである。
【0018】12は描画システムであり、シミュレーション・システム11において決定された仮想生物の意思、行動等を表示装置上に表示する。13は音声生成システムであり、仮想生物の意思、行動等に基づき、音声を生成する。14は、どのような状況で生物がどのように振る舞うか、どのような音(言語)を発するか等が記述された知識データ・ベースであり、14aは本能に相当する共通の知識であり、予めシステムに組み込まれた共通ルール、14bは仮想生物システムを動かすユーザによって新たに定義された独自ルールである。
【0019】15は状態量保存部であり、15aは生物の感情、空腹度、好奇心等の仮想生物の内部的なパラメータ(他の生物から分からないもの)からなる内部状態量、15bは生物の位置や、向き、色等の生物の外部パラメータ(他の生物から分かるもの)からなる外部状態量、15cは生物を取り巻く物理的な環境(生物以外のオブジェクト、温度、重力等)からなる環境情報である。「他生物情報」や「環境情報」は共有メモリや、プロセス間通信、パソコン通信等により取り込まれる。
【0020】16a,16b,16cは他の計算機上あるいは他のプロセス上に構築された仮想生物システムであり、相互に対話、協調、共同作業を行うことが可能である。次に、図2,3により上記実施例の動作を説明する。先ず計算機上に仮想生物システムを配付する。各計算機に仮想生物システムを配付したり、各計算機から仮想生物システムを収集する場合には、次の方法を用いることができる。
○1 フロッピーやCD-ROM等の持ち運び可能な記録媒体を用いて配付、収集を行う。
○2 図2(a)に示すように、ネットワーク(ether-net等)を介して配付、収集を行う。
○3 図2(b)に示すように、センターを介してパソコン通信により、配付、収集を行なう。

【0027】これらの付属物は、仮想生物に関する情報として各計算機に配付したり、あるいは、ユーザが独自に作成、入力して、共通ルール、独自ルールとして知識データ・ベース14に格納したり、あるいは、環境情報、外部状態として状態量保存部15に格納することができる。図4は計算機上の仮想生物が対話をするためのシステム構成を示した図である。
【0028】同図(a)において、41ないし44は計算機であり、同図はネットワークにより接続された各々の計算機41ないし44上に図3に示した仮想生物システムが設けられた例を示したものである。同図において、各計算機41ないし44上に設けられた各仮想生物は自立して行動しており、各仮想生物はプロセス間通信を用いて他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、対話、協調、共同作業をおこなうことができる。

【0031】同図(d)において、41ないし44は計算機、41aないし44a,45はモデム、46はセンターの計算機であり、同図はモデムを介してセンター46接続された各々の計算機41ないし44上に図3に示した仮想生物システムが設けられた例を示したものである。同図において、各計算機41ないし44上に設けられた各仮想生物は自立して行動しており、各仮想生物はパソコン通信を介して他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、対話、協調、共同作業をおこなうことができる。

【0033】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明においては、自立した仮想生物を計算機上で飼うことができ、また、他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話、協調、共同作業を行うことができるようにしたので、計算機を親しみのあるものとするのに大きな効果をあげることができる。」

上記記載事項(1)及び(2)から、刊行物3には次の発明が記載されていると認められる。(以下 「引用発明3」という。)

「仮想的に計算機の中に作りだした仮想的生物(仮想生物)を飼い育てる仮想生物システムであって、
仮想生物の意思、行動等を表示装置上に表示する描画システム12と、
仮想生物の意思、行動等に基づき、音声を生成する音声生成システム13と、
を備え、
仮想生物はシミュレーション・システム1で自分の行動をシミュレートして、その結果を描画システム、音声生成システム等に送り外部に出力し、
プロセス間通信を用いて、ネットワークにより接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、あるいは、パソコン通信を介してセンター46に接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話を行う、
仮想生物システム。」

4 刊行物4
本願の優先日前の昭和63年12月1日に頒布された特開昭63-294884号公報(以下「刊行物4」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「2 特許請求の範囲
1 所望数の会話内容を記憶させたROMカードと、
このROMカード挿入口を有し、送受話器を有する電話器型装置本体より成り、
装置本体に、送話部より入力された音声を、音声の有無、音声の長さ、周波数、音声強度等を解析分類する音声解析分類部を有し、
ROMカード内に、前記音声解析分類部で分類された分類コードに従って、ROMカードに記憶されている会話のうち対応するものを選択する文セレクター回路を有し、
送話部より入力された音声を解析分類し、分類された分類コードに対応する会話が受話部より出力されるようにしたことを特徴とする電話器型会話装置。」(1頁左欄4?下から2行)

5 刊行物5
本願の優先日前の昭和63年4月11日に頒布された特開昭63-80632号公報(以下「刊行物5」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「5はカード型の通信器21からカード型の通信器22への送信電波、6は通信器22から通信器21への送信電波である。通信媒体としては、電磁波の他に音波、赤外線なども利用し得る。」(2頁右上欄11?14行)
(2)「ハ 発明の効果
本発明によれは、パーティー会場や展示会場において、例えば1m以内の極めて近接した範囲で、迅速に情報の交換を成すことができ、また、図書館において、必要な本を迅速に発見し得る等、種々の効果を奏する。」(2頁右下欄下から4行?3頁左上欄2行)

第4 刊行物1に基づく検討
1 対比
そこで、本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「所有者」、「生年月日」及び「血液型」は、それぞれ、本願発明の「ユーザー」、「誕生日」及び「血液型」に相当し、引用発明1の「ID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他各種の情報に関するデータ」は、「表示部12に表示し得る」ものであるから、本願発明の「複数の伝達情報(「伝達情報」は、情報の内容としては、(b)ユーザーの名前、誕生日、血液型の「伝達される、思想、感情若しくは意思を含まない、ユーザーに関する事実又はそれを示す情報」を含み、情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)」に相当する。そうすると、引用発明1の「ID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他各種の情報に関するデータ」は、「一つ若しくは複数の伝達情報(「伝達情報」は、情報の内容としては、(a)「こんにちは」、「友達になりましょう」、「ジャンケンしよう」、又は「ABC3回戦ゲームしよう」などの、「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情又は意思を含む情報である、メッセージ」と、(b)自らの電子生物若しくはそのユーザーの名前、顔などの画像、鳴き声、誕生日、星座、血液型、年齢、好きな食べ物、好きな遊び、若しくはその他のプロフィールなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、自らの電子生物若しくはそのユーザーに関する事実又はそれを示す情報」と、(c)ジャンケン・ゲームにおけるグー、チョキ及びパーのいずれか1つ、又はABC3回戦ゲームにおけるA、B及びCのいずれか1つなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、何らかの意味を有する単語又はそれを示す情報」とのいずれかを含み、情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)」といえる。
(2)引用発明1の「記憶部14」は、「ID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他各種の情報に関するデータを記憶すると共に、他のカード形無線通信端末機器からの受信データを記憶する」ものであるから、本願発明の「一つ若しくは複数の伝達情報を、記憶する若しくは記憶しておく伝達情報記憶手段」に相当する。
(3)本願発明の「画面やスピーカなどの」が選択的記載であることにかんがみれば、引用発明1の「送・受信されるデータの内容を表示させる表示部12」は、本願発明の「自装置の画面やスピーカなどの出力部」に相当する。また、引用発明1は、「送・受信されるデータの内容を表示させる表示部12」を備え、「端末機器間の無線通信による情報交換を行って、端末機器の所持者間の出会いおよび交流をも可能」とするものであるから、引用発明1の「ID入力モード(所有者個人の性別、生年月日、血液型、趣味等のIDデータを入力するモード)、反応モード、発信モード(所有者のチャネリング相手の選択を行うモードであり、例えば相性や占い、趣味等のデータベースの選択を行う)、その他各種の情報に関するデータ」と、本願発明の「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーが認識可能な電子生物(以下「自らの電子生物」という。なお、「電子生物」は「電子的人間キャラクタ」を含む。)と他の携帯型電子生物出力装置の出力部により他のユーザーが認識可能な他の電子生物(以下「他の電子生物」という。)との間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報」とは、「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーと他の携帯型出力装置の出力部により他のユーザーとの間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報」との概念で共通する。
(4)上記(3)より、引用発明1の「送・受信されるデータの内容を表示させる表示部12」は、本願発明の「自装置の画面やスピーカなどの出力部」に相当するから、引用発明1の「『送・受信されるデータの内容を表示させる表示部12』を備えた『携帯用個人呼出無線通信システムに使用されるカード形無線通信端末機器30』」と、本願発明の「ユーザーに携帯され又はユーザーの身体に装着される装置であってその出力部によりユーザーに電子生物を認識させる携帯型電子生物出力装置」とは、「ユーザーに携帯され又はユーザーの身体に装着される装置であってその出力部によりユーザーに認識させる携帯型出力装置」との概念で共通する。
(5)引用発明1の「送・受信部16」は、「探査電波」の「発信」と「受信」を行い、「通信可能な領域は比較的狭い範囲」にあるので、引用発明1における「送・受信部16」が、「近距離無線」を用いていることは明らかであるし、「送・受信されるデータ」が「探査電波」に「乗る」若しくは「一体化」していることも、明らかである。
そして、本願発明の「電波又は赤外線」が選択的記載であることにかんがみれば、引用発明1の「通信可能な領域は比較的狭い範囲にあり、選択設定された発信モードに従って、他のカード形無線通信端末機器に対して所定の探査電波を発信すると共に、所要の領域内において作動状態にある他の複数のカード形無線通信端末機器30B?30Eに対して、それぞれ送・受信装置32を介して順次アクセスし、これらカード形無線通信端末機器30B?30Eより発信モードに基づく所定のデータを受信収集し、受信データは表示部12に表示し得る、送・受信部16」と、本願発明の「「『自らの電子生物が主体となって相手方である他の電子生物に向けて伝達する伝達情報』としての一つ若しくは複数の伝達情報、又はそれを示す若しくはそれから得られた情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に、且つ、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の電子生物出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより発信する電波等発信手段と、他の電子生物出力装置から近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する電波等受信手段」とは、「「一つ若しくは複数の伝達情報、又はそれを示す若しくはそれから得られた情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより発信する電波等発信手段と、他の出力装置から近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する電波等受信手段」との概念で共通する。

したがって、本願発明と引用発明1とは、

「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーと他のユーザーとの間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報(「伝達情報」は、情報の内容としては、(a)「こんにちは」、「友達になりましょう」、「ジャンケンしよう」、又は「ABC3回戦ゲームしよう」などの、「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情又は意思を含む情報である、メッセージ」と、(b)自らの電子生物若しくはそのユーザーの名前、顔などの画像、鳴き声、誕生日、星座、血液型、年齢、好きな食べ物、好きな遊び、若しくはその他のプロフィールなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、自らの電子生物若しくはそのユーザーに関する事実又はそれを示す情報」と、(c)ジャンケン・ゲームにおけるグー、チョキ及びパーのいずれか1つ、又はABC3回戦ゲームにおけるA、B及びCのいずれか1つなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、何らかの意味を有する単語又はそれを示す情報」とのいずれかを含み、情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)であって、一つ若しくは複数の伝達情報を、記憶する若しくは記憶しておく伝達情報記憶手段と、
一つ若しくは複数の伝達情報、又はそれを示す若しくはそれから得られた情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより発信する電波等発信手段と、
他の出力装置から近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する電波等受信手段と、
を備えた、ユーザーに携帯され又はユーザーの身体に装着される装置であってその出力部によりユーザーに認識させる携帯型出力装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1-1]
本願発明では、「その出力部によりユーザーに電子生物を認識させる携帯型電子生物出力装置」であって、「自らの電子生物が伝達の主体となっており他の電子生物が伝達の相手方となっている」一つ若しくは複数の伝達情報であるのに対し、引用発明1では、そのような事項が特定されていない点。

[相違点1-2]
電波等発信手段が、本願発明では、「「自らの電子生物の名前若しくは画像(前記名前若しくは画像は、前記伝達情報記憶手段に記憶されたものであってもよいし、前記伝達情報記憶手段とは別に記録又は入力されたものであってもよい。)又はそれを示す情報」と「前記伝達情報記憶手段に記憶される若しくは記憶されていた情報又はそれを示す若しくはそれから得られた情報であって、『自らの電子生物が主体となって相手方である他の電子生物に向けて伝達する伝達情報』」」を「「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に」発信するのに対し、引用発明1では、そのような事項が特定されていない点。

2 判断
上記相違点1-1及び1-2について、以下に検討する。
(1)相違点1-1について
引用発明2の「飼い主であるユーザー」、「パソコン上で飼うペット」は、本願発明の「ユーザー」、「電子生物」に相当する。
引用発明2の「ペット」は、「パソコン上で飼う」ものであるから、「出力部によりユーザーに電子生物を認識させる」といえる。
また、引用発明2の「メール」は、「パソコン上で飼うペットが運んでくれる」ものなので、「自らの電子生物が伝達の主体となっており他の電子生物が伝達の相手方となっている伝達情報」といえる。
そうすると、引用発明2には、上記相違点1-1に係る本願発明の発明特定事項が示されている。
そして、引用発明1と引用発明2とは、共に「所有者(ユーザー)同士の交流に関する無線通信システム」という技術分野に属し、所有者(ユーザー)同士の出会いのチャンスを提供するという共通の課題を有するものであるから、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、上記相違点1-1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(2)相違点1-2について
引用発明1において、端末機器の所持者が出会いおよび交流するに際して、探査電波や発信モードに基づく所定のデータとして具体的にどのような情報を送・受信するか、また、探査電波や発信モードに基づく所定のデータに加えて具体的にどのような情報を送・受信するかは、出会いおよび交流するために、端末機器の所持者が適宜選択し得る事項である。
また、端末機器の記憶された情報の内容から、交流のための内容を選択することは、例えば、上記「第3 引用刊行物 4 刊行物4」に示したように、本願の優先日時点で、周知の事項である(以下「周知の事項」という。)。
また、引用発明1における送信をどのように行うかは、引用発明1が目的とする「端末機器の所持者間の出会いおよび交流をも可能」とするために、適宜設計される事項であって、具体的に「「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に、且つ、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の電子生物出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより」発信することは、設計的事項である。
そうすると、引用発明1において、上記周知の事項を踏まえ、相違点1-2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(3)そして、本願発明によって奏される効果も、引用発明1、引用発明2及び上記周知の事項から当業者が予測し得る範囲内のものといえる。

したがって、引用発明1に、引用発明2及び上記周知の事項を適用することにより、本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことといえる。

(5)小括
したがって、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 刊行物3に基づく検討
1 対比
本願発明と引用発明3とを対比する。
(1)引用発明3の「仮想生物」は、「仮想生物の意思、行動等を表示装置上に表示する描画システム12と、仮想生物の意思、行動等に基づき、音声を生成する音声生成システム13と、を備え」る「仮想生物システム」で「飼い育て」られるものであるから、引用発明3の「仮想生物」は、「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーが認識可能な電子生物」であるといえ、引用発明3の「仮想生物システム」は、「出力部によりユーザーに電子生物を認識させる電子生物出力装置」といえる。
(2)引用発明3は、「仮想生物は、プロセス間通信を用いて、ネットワークにより接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話を行う」ものであるから、引用発明3の「データ」は、「他の電子生物出力装置の出力部により他のユーザーが認識可能な他の電子生物(以下「他の電子生物」という。)との間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報(情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)であって、自らの電子生物が伝達の主体となっており他の電子生物が伝達の相手方となっている一つ若しくは複数の伝達情報」といえる。
(3)引用発明3は、「プロセス間通信を用いて、ネットワークにより接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、あるいは、パソコン通信を介してセンター46に接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをする」ものであるから、引用発明3の「データ」は、「伝達情報」といえ、「電波」に「乗」る若しくは「一体化」し、また、引用発明3の「仮想生物システム」は、「電波等発信手段」及び「電波等受信手段」を備えていることは、明らかである。
そうすると、引用発明3の「プロセス間通信を用いて、ネットワークにより接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、あるいは、パソコン通信を介してセンター46に接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをすることにより、他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話を行う」ための構成と、本願発明の「「情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に、且つ、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する他の電子生物出力装置にインターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより発信する電波等発信手段と、他の電子生物出力装置から近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する電波等受信手段」とは、「「情報」とを乗せた若しくは一体化した電波を、他の電子生物出力装置に発信する電波等発信手段と、他の電子生物出力装置から発信された電波を、受信する電波等受信手段」との概念で共通する。

したがって、本願発明と引用発明3とは、

「自装置の画面やスピーカなどの出力部によりユーザーが認識可能な電子生物(以下「自らの電子生物」という。なお、「電子生物」は「電子的人間キャラクタ」を含む。)と他の電子生物出力装置の出力部により他のユーザーが認識可能な他の電子生物(以下「他の電子生物」という。)との間の「コミュニケーション、すなわち、交流又は交流のための情報伝達」のために使用される一つ若しくは複数の伝達情報(情報の形態又は種類としては、文字、画像、音声又は音響を含む。)であって、自らの電子生物が伝達の主体となっており他の電子生物が伝達の相手方となっている一つ若しくは複数の伝達情報と、
「伝達情報」とを乗せた若しくは一体化した電波又は赤外線を、他の電子生物出力装置に発信する電波等発信手段と、
他の電子生物出力装置から発信された前記のような電波又は赤外線を、受信する電波等受信手段と、
を備えた、その出力部によりユーザーに電子生物を認識させる電子生物出力装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点2-1]
電子生物出力装置が、本願発明では、「ユーザーに携帯され又はユーザーの身体に装着される装置」である「携帯型」電子生物出力装置であるのに対し、引用発明3では、そのような事項が特定されていない点。

[相違点2-2]
本願発明では、「「伝達情報」は、情報の内容としては、(a)「こんにちは」、「友達になりましょう」、「ジャンケンしよう」、又は「ABC3回戦ゲームしよう」などの、「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情又は意思を含む情報である、メッセージ」と、(b)自らの電子生物若しくはそのユーザーの名前、顔などの画像、鳴き声、誕生日、星座、血液型、年齢、好きな食べ物、好きな遊び、若しくはその他のプロフィールなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、自らの電子生物若しくはそのユーザーに関する事実又はそれを示す情報」と、(c)ジャンケン・ゲームにおけるグー、チョキ及びパーのいずれか1つ、又はABC3回戦ゲームにおけるA、B及びCのいずれか1つなどの「電子生物から他の電子生物へ伝達される、電子生物の思想、感情若しくは意思を含まない、何らかの意味を有する単語又はそれを示す情報」とのいずれかを含み」、「自らの電子生物の名前若しくは画像(前記名前若しくは画像は、前記伝達情報記憶手段に記憶されたものであってもよいし、前記伝達情報記憶手段とは別に記録又は入力されたものであってもよい。)又はそれを示す情報」と「前記伝達情報記憶手段に記憶される若しくは記憶されていた情報又はそれを示す若しくはそれから得られた情報であって、『自らの電子生物が主体となって相手方である他の電子生物に向けて伝達する伝達情報』としての一つ若しくは複数の伝達情報、又はそれを示す若しくはそれから得られた情報」とを発信するのに対し、引用発明3では、そのような事項が特定されていない点。

[相違点2-3]
本願発明では、伝達情報を、「記憶する若しくは記憶しておく伝達情報記憶手段」を備えているのに対し、引用発明3では、そのような事項が特定されていない点。

[相違点2-4]
本願発明では、「「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的に、且つ、近距離無線がカバーする近傍に実際に存在する」他の電子生物出力装置に「インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に届くように、近距離無線のみにより」発信する電波等発信手段と、他の電子生物出力装置から「近距離無線のみにより発信された前記のような電波又は赤外線を、近距離無線のみにより、インターネットなどの公衆通信網を介することなく直接に受信する」電波等受信手段を備えているのに対し、引用発明3では、そのような事項が特定されていない点。

2 判断
上記相違点2-1乃至2-4について、以下に検討する。
(1)相違点2-1について
携帯型の通信計算機は、いわゆるノートタイプのコンピュータやPDA等にみられるように、例を挙げるまでもなく、本願の優先日時点で、周知の技術(以下「周知の技術事項1」という。)である。
そして、引用発明3と上記周知の技術事項1とは、共に「通信計算機」とういう技術分野に属するものであるから、引用発明1に上記周知の技術事項1を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
そうすると、引用発明3の計算機を携帯型とすることは、上記周知の技術事項1に照らして、当業者が容易に想到し得たものであるから、相違点2-1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(2)相違点2-2について
引用発明3は、「他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話を行う、仮想生物システム」であるから、「対話(コミュニケーション)」を行うにあたって、具体的にどのような情報を送・受信するかは、システムのユーザーが適宜選択し得る事項である。
そうすると、引用発明3において、上記相違点2-2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(3)相違点2-3について
引用発明3の「仮想生物システム」は、「ネットワークにより接続された他の計算機上の生物とデータのやり取りをする」ものであるから、当該データが「仮想生物システム」上に記憶されていることは明らかな事項である。
そうすると、相違点2-3に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明3に実質的に示されているか、少なくとも引用発明3から、当業者が容易に想到し得るものである。

(4)相違点2-4について
上記「第4 刊行物1に基づく検討 2判断 (2)相違点1-2について」で示したように、端末機器の記憶された情報の内容から、交流のための内容を選択することは、本願の優先日時点で、周知の事項である。
また、上記「第4 2 (2)」で示したように、引用発明3においても、送信をどのように行うかは、引用発明3が目的とする「他の計算機上で飼われていた他の仮想生物との対話を行うことができるように」するために、適宜設計される事項であって、具体的に「「発信時におけるユーザーによる特別な操作」によることなく自動的」に発信することは、設計的事項である。
また、例えば刊行物1(段落【0011】)や上記刊行物5(第2頁右上欄第11?14行、発明の効果欄参照。)に記載され、また、IrDA規格に基づく赤外線通信として行われているように、赤外線又は電波を使用した近距離無線通信は、本願の優先日時点で、周知の技術(以下「周知の技術事項2」という。)である。
そして、引用発明3と上記周知の技術事項2とは、共に「通信計算機」とういう技術分野に属するものであるから、引用発明1に上記周知の技術事項2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明3において、上記周知の事項を踏まえ、上記周知の技術事項2を適用することにより、相違点2-4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5)そして、本願発明によって奏される効果も、引用発明3、上記周知の技術事項1、上記周知の技術事項2及び上記周知の事項から当業者が予測し得る範囲内のものといえる。

したがって、引用発明3に、上記周知の技術事項1、上記周知の技術事項2及び上記周知の事項を適用して、適宜選択、設計することにより、本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことといえる。

(5)小括

したがって、本願発明は、引用発明3、上記周知の技術事項1、上記周知の技術事項2及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた、あるいは、引用発明3、上記周知の技術事項1、上記周知の技術事項2及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-09 
結審通知日 2017-05-16 
審決日 2018-08-21 
出願番号 特願2013-101602(P2013-101602)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 携帯型電子生物生存装置  
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