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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B08B
管理番号 1345668
審判番号 不服2017-16109  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-31 
確定日 2018-11-27 
事件の表示 特願2015-124155「洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 4日出願公開、特開2016- 19974、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月19日(国内優先権主張、平成26年6月20日)の出願であって、平成29年1月17日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月24日付けで意見書の提出と共に手続補正がされ、平成29年7月25日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年10月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年7月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-2、5
・引用文献等1-5

請求項1-2、5に係る発明は、引用文献1-2及び、引用文献3-5に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものと認めることができるので、特許法第29条第2項の規定により、特許をすることができない。

引用文献等一覧
1.特開平10-34095号公報
2.特開平8-281144号公報
3.実願昭62-119340号(実開昭64-23545号)のマイクロフィルム
4.特開平5-148998号公報
5.特開2002-273351号公報」

第3 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成29年10月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
洗浄液を貯蔵する複数のタンクと、被洗浄物を洗浄する洗浄ヘッドと、前記複数のタンクの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ供給する供給側流路と前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記複数のタンクへ回収する回収側流路と、前記複数のタンクからの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ送液する供給側送液手段と、前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記複数のタンクへ送液する回収側送液手段と、回収した洗浄液を浄化するフィルタと、前記複数のタンクの一方からの流路を、前記供給側流路及び回収側流路のいずれか一方に選択的に切り替えるとともに、前記複数のタンクの他方からの流路を、前記供給側流路及び回収側流路のいずれか他方に選択的に切り替える切替手段とを備え、前記複数のタンクからの洗浄液を前記供給側流路を流通させて前記洗浄ヘッドへ供給し、洗浄後の洗浄液を前記洗浄ヘッドから前記回収側流路を流通させて前記複数のタンクに回収する洗浄液の循環回路が形成されたものとし、
前記洗浄ヘッドは、下方に開口部を備えたヘッド本体と、前記開口部から露出した回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動させる駆動手段と、前記供給側流路に接続され、前記複数のタンクからの洗浄液を前記回転ブラシへ供給する供給用ノズルと、前記回収側流路に接続され前記ヘッド本体内部の洗浄液を吸引する回収用ノズルとを備え、
前記ヘッド本体の開口部の全周に周縁ブラシを備え、
前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、
前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、
前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
洗浄液を貯蔵するタンクと、被洗浄物を洗浄する洗浄ヘッドと、前記タンクの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ供給する供給側流路と前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記タンクへ回収する回収側流路と、前記タンクからの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ送液する供給側送液手段と、前記洗浄ヘッドからの洗浄液をタンクへ送液する回収側送液手段と、回収した洗浄液を浄化するフィルタとを備え、前記タンクからの洗浄液を前記供給側流路を流通させて前記洗浄ヘッドへ供給し、洗浄後の洗浄液を前記洗浄ヘッドから前記回収側流路を流通させて前記タンクに回収する洗浄液の循環回路が形成されたものとし、
前記洗浄ヘッドは、下方に開口部を備えたヘッド本体と、前記開口部から露出した回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動させる駆動手段と、前記供給側流路に接続され、前記タンクからの洗浄液を前記回転ブラシへ供給する供給用ノズルと、前記回収側流路に接続され前記ヘッド本体内部の洗浄液を吸引する回収用ノズルとを備え、
前記ヘッド本体の開口部の全周に周縁ブラシを備え、
前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、
前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、
前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
前記回転ブラシは一対の円盤状ブラシを備え、前記一対の円盤状ブラシは互いに異なる回転方向に回転し、前記一対の円盤状ブラシ周辺の前記洗浄液を前記一対の円盤状ブラシの回転に伴い前記回収用ノズルに案内可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄装置を移動手段に搭載して、移動可能に備えたことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の洗浄装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(当審注:下線は当審で付加、引用箇所を示す。)。
「【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本願発明の洗浄器具、及びこれに用いる水循環装置は以下のように構成されている。
【0009】洗浄器具の構成は、連続した縁辺を有し、内側に一定の空間を有する略椀状の基体が形成され、該基体の縁辺には、一定長さの植毛が密にかつ帯状に連続して植設されて形成されたブラシ体が取付られていると共に、前記基体には、外部の吸引手段に接続されて基体内部の空間内を負圧状態にするための吸引ポートが形成され、かつ基体内側の空間内には、外部の給水手段に接続される1又は複数の噴射ノズルが配設されており、該噴射ノズルは、噴射水が少なくとも前記ブラシ体に直接当たるように構成されていることを特徴とする。」

「【0012】洗浄器具1の主な構成要素は、基体2、ブラシ体3、噴射ノズル5、及び吸引ポート4であり、これらについて順に説明する。基体2は、金属、樹脂、又はこれらの組合せにより、正面側(図2において下方向)が開放された略椀状に形成されている。その縁辺2aは閉曲線状に構成され、その内側には一定の空間2sが形成されている。なお、この縁辺2aの形状は、本実施形態では図示したように略隅丸矩形状にされているが、これに限定するものではなく、閉曲線形であれば、円形、楕円形、長円形、又は三角形、等のいずれの形状でも良く、後述の噴射ノズル5の配置から最適のものが選択されるものである。
【0013】ブラシ体3は、基体2の縁辺2aに沿って取り囲むようにして取付られている。ブラシ体3は、一定長さの植毛3aが密にかつ帯状に連続して植設されて形成されている。各植毛3aは、可撓性及び弾力性を備えた材質であって、動物の毛、棕櫚の毛、又は樹脂等で形成されている。その植毛3aの態様は、密に植えられ、各植毛3a間で水を保持できる程度の間隔をもって、かつ一定の幅を持った帯状に植付けられており、かつ各植毛3a先端は、被洗浄体を傷つけない様な処理が施されている。
【0014】噴射ノズル5は、基体2の裏面側(反ブラシ体側)から内側の空間2sを臨むようにして取付られており、その先端部には多数の噴射口が形成されている。その噴射口は、少なくともそこから噴射された噴射水が、前記ブラシ体3の植毛3aに直接当たるように、かつ好ましくは内側の植毛3aにまんべんなく当たるように構成されている。なお、併せて被洗浄体に直接当たるように構成してもよいのはもちろんである。
【0015】噴射ノズル5は、基体2の裏面側に接続プラグ6が取付られており、これに連結される給水ホース7を介して、外部の給水手段に接続されている。かかる構成により洗浄用水14(以下「用水」と略称。)が供給されている。」

「【0017】次に、上記洗浄器具1に接続される水循環装置について説明する。図4は水循環装置の全体を概略的に示した縦断面図である。水循環装置10は、タンク11、吸引手段、及びポンプ装置12とから構成されている。タンク11は、内部空間が密閉された筒状をなし、金属又は樹脂等で形成されている。その内部空間には、少なくとも上部に一定の空気層を有する密閉空間13を残して、所定量の用水14が貯留されている。また、該タンク11はキャスタ15が取付られた台車16に搭載されて、適宜移動可能に構成されている。
【0018】タンク11の上部には、吸引手段としてブロア17が取付られている。このブロア17の作動によって密閉空間13内の空気が吸引されて負圧状態が形成されてる。ブロア17の吸気口17aの前段には、エアーフィルタ18が配置され用水14の吸い込みを阻止するようにされている。
【0019】またタンク11の上部には、密閉空間13まで延びたコネクタ19が取付られており、このコネクタ19に前記エアーホース8を接続することにより、該密閉空間13と前記洗浄器具1の空間2sとを連通するようにされている。
【0020】タンク11内に貯留された用水14は、底部に開設された排出口20に接続された給水手段としてのポンプ装置12によって、前記洗浄器具1の噴射ノズル5へ給水される。排出口20の前段には、用水14に混入したゴミや汚れを濾し取るためのろ過手段が配置れている。このろ過手段は、一般的なろ過フィルタ21が用いられている。ポンプ装置12から噴射ノズル5への給水は、ポンプ装置12の吐出側に連結されたフレキシブルな給水ホース7を、噴射ノズル5の接続プラグ6に接続することによって行われている。ポンプ装置12はタンク11が搭載された台車16内に配置されている。
【0021】なお、前記したエアーホース8及び給水ホース7の接続箇所又は中間点には、管路内の流通を断続するためのコック22(弁)が、それぞれ配置されている。また、本実施形態では、ブロア17をタンク11の上部に、ポンプ装置12をタンク11の下部にそれぞれ配置するようにしているが、タンク11内の機能を損なわない限り、この配置に限定するものではない。
【0022】次に本実施形態の作用について説明する。図5は本願実施形態の洗浄器具による洗浄の原理を説明する説明図であり、ブラシ体3と被洗浄体である車両ボディ23との接触部分を拡大して示したものである。
【0023】ブラシ体3の先端を車両ボディ23(以下「ボディ」)の洗浄しようする部分に軽くふれる程度に配置すると共に、噴射ノズル5から噴射水14aを噴射させる。噴射水は、ボディ23に直接当る他、ブラシ体3の植毛群3a、3a、3a、・・の内側部分3bに多くの量が当てられる(矢印a)。当たった噴射水14aは、植毛3aを伝わってボディ23側に流れ、付着したよごれ24を湿潤させると共に、植毛3aのブラッシング効果と相俟って、よごれ24を浮かせて用水14内に取り込むことになる。このとき、植毛3aの先端部は、噴射された用水14により浸潤されているため、ボディ23に触れても傷つけることは少ない。
【0024】よごれ24を取り込んだ回収水14b(汚水)は、基体2内の空間2sがブロア17の作動よって負圧状態にされていることと、ブラシ体3の植毛3a群間の通気(矢印b)との相乗効果によって、ブラシ体3の内側に移動させられ、空気と混合した状態で吸引ポート4から吸い込まれることになる(矢印c)。
【0025】吸い込まれた空気混合の汚水は、エアーホース8及びコネクタ19を通ってタンク11内の密閉空間13内に取り込まれる。そして、空気の部分は、エアーフィルタ18を経てブロア17によってタンク11外に排出され、密閉空間13内は負圧状態に保たれる。
【0026】一方、回収水14bの部分はタンク11のなかに取り込まれて混合され、ろ過フィルタ21でよごれ24が濾し取られた後、再び排出口20からポンプ装置12によって、給水ホース7を経て洗浄器具の噴射ノズル5へ給水されて、前述したように噴射ノズル5からの噴射水14aとして用いられることになる。
【0027】このようにして洗浄用水14の循環路が構成されている。なお、上述の洗浄器具1は、上記の水循環装置10に連結するばかりに限らず、水道水からのホースを噴射ノズルの接続プラグ6に接続し、吸引ポートから吸引した汚水をそのまま放流するように使用することもできる。しかし、好ましくは本願にかかる水循環装置10と接続して用水14を循環させて洗浄を行うことの方が、環境保護、資源の節約から推奨されるものである。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「車両ボディ23を洗浄する洗浄器具1、及びこれに用いる水循環装置10は、洗浄用水14を貯留するタンク11と、前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ供給する給水ホース7と、前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11へ回収するエアーホース8及びコネクタ19と、前記タンク11からの前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ給水する給水手段としてのポンプ装置12と、前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11に取り込む吸引手段としてのブロア17と、回収した回収水14bを、タンク11のなかに取り込み混合し、ろ過フィルタ21でよごれ24を濾し取った後、再び前記洗浄器具1へ給水する、前記洗浄用水14の循環路とを備え、
前記洗浄器具1は、下方向が開放された略椀状に形成された基体2と、前記給水手段としてのポンプ装置12に給水ホース7を経て接続された噴射ノズル5と、前記吸引手段としてのブロア17に接続され前記洗浄器具1の前記回収水14bを前記エアーホース8及びコネクタ19を通って吸引する吸引ポート4と、前記基体2の縁辺2aに沿ったブラシ体3とを備えた、
洗浄器具1、及びこれに用いる水循環装置10。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項3】洗浄液タンクから三方弁を介して金型の水管路の入液口に送液管を配管し、かつ前記三方弁から水洗用タンクに送液管を配管し、さらに前記水管路の入液口よりも洗浄液タンク寄り部位で送液管に空気取入れ弁を接続し、前記水管路の出液口からフィルターを介して、自吸可能及び空運転可能な吸引ポンプの吸込口に送液管を配管し、該吸引ポンプの吐出口から排液用切換弁と別の三方弁とを順次に経由して洗浄液タンク及び水洗用タンクに送液管を脱着可能に配管した金型の水管路用簡易洗浄システム。」(【特許請求の範囲】)

「【0022】次に請求項3を図2で説明する。説明に先立って請求項1、同2で説明したと同じ部材、機器,構造などについては、図2に図1と同じ符号を記入して重複説明を省略する。請求項1のシステムと異る請求項3のシステムは、送液管4に2個の三方弁10、11を介在せしめたこと、洗浄液タンク1及び水洗用タンク9の両方を送液管4に脱着可能に接続したことなどである。
【0023】一方の三方弁10は、洗浄液タンク1からマニホルド13へ至る途中で送液管4に接続し、該三方弁から水洗用タンク9へも送液管4を配管し、三方弁10を切換え、吸引ポンプ7を運転することによって、洗浄液タンク1内の洗浄液と水洗用タンク9内の水(若しくは中和処理液)とを交互に金型2の水管路3に循環せしめ得るように構成する。
【0024】他方の三方弁11は、排液用切換弁8から洗浄液タンク1へ至る途中で送液管4に接続し、該三方弁から水洗用タンク9にも送液管4を配管し、三方弁11を切換え、吸引ポンプ7を運転することによって、汚濁洗浄液と残存洗浄液を洗浄した汚濁水(若しくは汚濁処理液)とを交互に洗浄液タンク1と水洗用タンク9とに回収し得るように構成する。」

したがって、上記引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「送液管4に2個の三方弁10、11を介在せしめ、洗浄液タンク1及び水洗用タンク9の両方を送液管4に接続し、三方弁10を切換え、吸引ポンプ7を運転することによって、洗浄液タンク1内の洗浄液と水洗用タンク9内の水とを交互に水管路3に循環せしめ得るように構成し、他方の三方弁11は、排液用切換弁8から洗浄液タンク1へ至る途中で送液管4に接続し、該三方弁から水洗用タンク9にも送液管4を配管し、三方弁11を切換え、吸引ポンプ7を運転することによって、汚濁洗浄液と残存洗浄液を洗浄した汚濁水とを交互に洗浄液タンク1と水洗用タンク9とに回収し得る金型の水管路用簡易洗浄システム。」

3.その他の文献について
原査定において周知技術として引用された、引用文献3の【実用新案登録請求の範囲】には、「(1)走行自在な台車のフレーム本体上面および側面をカバーで覆い、このカバー内に高圧水により回転駆動され、かつ走行面に高圧水を噴射する回転式ジェットノズルを備えた高圧水噴射ユニットと、この高圧水噴射ユニットの後方に、ブラシとバキュームコレクターに接続した吸入管の開口部とを位置させて装備したことを特徴とするコンクリート打継面処理装置。」と記載されている。
原査定において周知技術として引用された、引用文献4の段落【0006】には、「この発明のブラシ式ずり回収装置にあっては、ロールブラシの回転によって走行面上のずりを跳ね上げるとともに、噴射ノズルからの噴流によって走行面の凹凸に取り残された細かい土砂をロールブラシに送るかまたは噴流の流れにのせて回収ボックス内に回収する。」と記載されている。
原査定において周知技術として引用された、引用文献5の段落【0014】には、「本発明に係る太陽電池パネル外装面クリ-ニング装置は、一般的に屋根斜面上に架設取り付けられる太陽電池パネルの外装面に、前記洗浄装置本体2に付け替え自在に装着され、かつ同一方向及び/又は逆方向に回動可能とした少なくとも2個以上の洗浄ブラシ3を当接状態とし走行移動させ、該パネル外装面13に損傷等を与えず略均等化された荷重を作用させ揺動可能に装着された洗浄ブラシ3によってパネル外装面13の洗浄清掃を行うように構成されている。」と記載されている。

第5 対比・判断
事案に鑑み、まず本願発明2について検討を行う。
1.本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「洗浄用水14」、「貯留」、「タンク11」、「車両ボディ23」、「洗浄器具1」は、それぞれ、本願発明2の「洗浄液」、「貯蔵」、「タンク」、「被洗浄物」、「洗浄ヘッド」に相当する。
引用発明の「前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ供給する給水ホース7」は、本願発明2の「前記タンクの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ供給する供給側流路」に相当する。
引用発明の「前記洗浄器具1からの回収水14b」は、本願発明2の「前記洗浄ヘッドからの洗浄液」に相当し、引用発明の「エアーホース8及びコネクタ19」は、本願発明2の「回収側流路」に相当するので、引用発明の「前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11へ回収するエアーホース8及びコネクタ19」は、本願発明2の「前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記タンクへ回収する回収側流路」に相当する。
引用発明の「前記タンク11からの前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ給水する給水手段としてのポンプ装置12」は、本願発明2の「前記タンクからの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ送液する供給側送液手段」に相当する。
引用発明の「前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11に取り込む吸引手段としてのブロア17」は、本願発明2の「前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記タンクへ送液する回収側送液手段」に相当する。
引用発明の「回収した回収水14bを、タンク11のなかに取り込み混合し、ろ過フィルタ21でよごれ24を濾し取」る態様は、本願発明2の「フィルタ」で「回収した洗浄液を浄化する」態様に相当するので、引用発明の「前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11へ回収するエアーホース8及びコネクタ19と」、「前記洗浄器具1からの回収水14bを前記タンク11に取り込む吸引手段としてのブロア17と」により、「回収した回収水14bを、タンク11のなかに取り込み混合し、ろ過フィルタ21でよごれ24を濾し取った後」、「前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ供給する給水ホース7と」、「前記タンク11からの前記洗浄用水14を前記洗浄器具1へ給水する給水手段としてのポンプ装置12と」によって、「再び前記洗浄器具1へ給水する、前記洗浄用水14の循環路」が形成される態様は、本願発明2の「回収した洗浄液を浄化するフィルタ」「を備え」、「前記タンクからの洗浄液を前記供給側流路を流通させて前記洗浄ヘッドへ供給し、洗浄後の洗浄液を前記洗浄ヘッドから前記回収側流路を流通させて前記タンクに回収する洗浄液の循環回路」が形成される態様に相当する。
引用発明の「基体2」は、洗浄器具1の基体であり、洗浄器具1の本体部分を構成するものといえるので、本願発明2の「ヘッド本体」に相当し、引用発明の「下方が開放された略椀状に形成された基体2」は、本願発明2の「下方に開口部を備えたヘッド本体」に相当する。
引用発明の「前記給水手段としてのポンプ装置12に給水ホース7を経て接続された噴射ノズル5」と、本願発明2の「前記開口部から露出した回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動させる駆動手段と、前記供給側流路に接続され、前記複数のタンクからの洗浄液を前記回転ブラシへ供給する供給用ノズル」とは、「前記供給側流路に接続され、前記タンクからの洗浄液を供給する供給用ノズル」である点において共通する。
引用発明の「吸引ポート4」は、エアーホース8へと水を吸引する機能からみて筒口(ノズル)として構成されるものといえ、引用発明の「前記吸引手段としてのブロア17に接続され前記洗浄器具1の前記回収水14bを前記エアーホース8及びコネクタ19を通って吸引する吸引ポート4」は、本願発明2の「前記回収側流路に接続され前記ヘッド本体内部の洗浄液を吸引する回収用ノズル」に相当する。
引用発明の「前記基体2の縁辺2aに沿ったブラシ体3」を備える態様は、本願発明2の「前記ヘッド本体の開口部の全周に周縁ブラシ」を備える態様に相当する。
引用発明の「洗浄器具、及びこれに用いる水循環装置」は、本願発明2の「洗浄装置」に相当する。

したがって、本願発明2と引用発明との間には、次の一致点、相違点があると認める。

(一致点)
「洗浄液を貯蔵するタンクと、被洗浄物を洗浄する洗浄ヘッドと、前記タンクの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ供給する供給側流路と前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記タンクへ回収する回収側流路と、前記タンクからの洗浄液を前記洗浄ヘッドへ送液する供給側送液手段と、前記洗浄ヘッドからの洗浄液を前記タンクへ送液する回収側送液手段と、回収した洗浄液を浄化するフィルタとを備え、前記タンクからの洗浄液を前記供給側流路を流通させて前記洗浄ヘッドへ供給し、洗浄後の洗浄液を前記洗浄ヘッドから前記回収側流路を流通させて前記タンクに回収する洗浄液の循環回路が形成されたものとし、
前記洗浄ヘッドは、下方に開口部を備えたヘッド本体と、
前記供給側流路に接続され、前記タンクからの洗浄液を供給する供給用ノズルと、
前記回収側流路に接続され前記ヘッド本体内部の洗浄液を吸引する回収用ノズルと、
前記ヘッド本体の開口部の全周に周縁ブラシを備えた洗浄装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明2は「前記開口部から露出した回転ブラシと、前記回転ブラシを回転駆動させる駆動手段」を備え、「洗浄液を前記回転ブラシへ供給する」ものであるのに対し、引用発明は、回転ブラシに関する構成を備えていない点。

(相違点2)本願発明2は、「前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えた」ものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、先ず上記相違点2について検討すると、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1乃至5のいずれにも、「前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えた」という事項を開示する記載はない。
本願発明2は、「前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え」たという発明特定事項を採用することで、傾斜面の洗浄液を確実に堰き止めて洗浄液を回収することができ、また、「前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備え」たという発明特定事項を採用することで、ヘッド本体を被洗浄物に接触させて被洗浄物を破損するのを防ぐという優れた作用効果を奏するものである。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項および、引用文献3?5に記載された周知の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明1、3、4について
本願発明1は、本願発明2の発明特定事項をすべて備えると共に、他の限定を付加したものである。
そうすると、本願発明1は、上記相違点2の「前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えた」という発明特定事項を備えるものであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項および、引用文献3?5に記載された周知の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

本願発明3、4は、本願発明1又は2にさらに限定を付加したものである。
そうすると、本願発明3、4は、上記相違点2の発明特定事項を有するものであるから、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項および、引用文献3?5に記載された周知の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は、「前記周縁ブラシの内側に止水パッキンを備えるとともに、前記回収用ノズル及び前記止水パッキンは、前記周縁ブラシより下方へ突出して備えるとともに、前記止水パッキンは前記回収用ノズルより使用者の手元側に備え、前記ヘッド本体下部には、複数のゴム製のガイドローラを前記ヘッド本体下部より下方へ突出して備えた」という発明特定事項を有するものとなっており、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-12 
出願番号 特願2015-124155(P2015-124155)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 邦喜  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 矢島 伸一
藤井 昇
発明の名称 洗浄装置  
代理人 牛木 護  
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