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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1345710
審判番号 不服2017-19086  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-22 
確定日 2018-11-08 
事件の表示 特願2015- 21485号「遊技機および遊技用装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月 8日出願公開、特開2016-140721号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月5日の出願であって、平成29年2月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月11日付けで最後の拒絶の理由の通知がなされ、同年5月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月27日付けで最後の拒絶の理由の通知がなされ、同年9月19日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月26日付けで、同年9月19日になされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、平成30年2月8日に上申書の提出がなされたものである。


第2 平成29年12月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年12月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年5月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技を行う遊技機であって、
赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている複数の発光手段と、
発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子と、
前記発光手段の発光を制御する発光制御手段とを備え、
前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され、
複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
前記発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し、
複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されている、遊技機。」
は、審判請求時に提出された平成29年12月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】
遊技を行う遊技機であって、
赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている複数の発光手段と、
発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子と、
前記発光手段の発光を制御する発光制御手段とを備え、
前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され、
複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
前記演出装置を構成する部材は可動し、
前記発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し、
複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列にのみ接続されている、遊技機。」
に補正がなされた(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。

上記補正は、
(1)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「演出装置を構成する部材」について、「可動」するものに限定し、
(2)補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子」について、「同数の前記発光手段が直列に接続」されているとの事項を、「同数の前記発光手段が直列にのみ接続」されているものに限定したものである。

さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は この補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の【0091】、【0105】、同図面の図7、図10等に基づいたものであり、新規事項を追加するものではない。

2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年12月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1 の補正の内容において示した次のとおりのものである(A?Jは、当審にて分説して付与した。)。

(本願補正発明)
「【請求項1】
A 遊技を行う遊技機であって、
B 赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている複数の発光手段と、
C 発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子と、
D 前記発光手段の発光を制御する発光制御手段とを備え、
E 前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され、
F 複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
G 前記演出装置を構成する部材は可動し、
H 前記発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し、
I 複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列にのみ接続されている、
J 遊技機。」

(2)引用文献に記載された事項
ア 引用文献1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された国際公開第2008/096535号(以下、「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)
「[0001] 本発明は、液晶表示等の演出用の画像表示装置を備えるパチンコ遊技機や回胴式遊技機等の遊技機に関するものである。」

(イ)
「[0016] ・・・ここでは、遊技機が、いわゆるパチスロ機といわれる回胴式遊技機である場合について説明する。
[0017] ・・・具体的には、本実施形態の回胴式遊技機1は、・・・演出制御基板80と、サブ中継基板90とを備える。」

(ウ)
「[0067] 次に、タイプ2の遊技機に搭載される、図5に示す発光体基板100について説明する。遊技機がタイプ2の場合、演出制御基板80は、主制御基板70からの演出コマンドに基づいて所定の複数の点灯制御信号を生成し、サブ中継基板90を介して発光体基板100に転送する。この発光体基板100は、後述するように画像表示部30(液晶表示装置110)のケース111と全く同じ形状及び大きさのケース130に取り付けられて(図8、図9参照)、画像表示部30を収納可能な収納部に収納される。かかる発光体基板100には、複数のLED(発光素子)が配置されている。また、発光体基板100には、画像表示部30のコネクタCN13と全く同じ形状、同じ大きさ、同じ端子数のコネクタCN10が設けられ、このコネクタCN10の各端子に分散して複数のLEDが接続されている。そして、発光体基板100は、演出制御基板80からサブ中継基板90を介して送られてくる複数の点灯制御信号を、サブ中継基板90のコネクタCN8を通してそのコネクタCN10で受信する。ここで、複数の点灯制御信号は、発光体基板100に搭載されたLEDの点灯を制御するものである。
[0068] 図7は、本実施形態の液晶表示装置(画像表示部30)が収納される収納部に、液晶表示装置に換えて収納される発光体基板100における各コネクタの端子間の配線接続状態を示す概略配線図である。本実施形態の発光体基板100は、液晶制御基板32と接続するためのサブ中継基板90のコネクタCN8に接続するコネクタ(外部接続用端子)CN10と、同じく液晶制御基板32と接続するためのサブ中継基板90のコネクタCN9に接続するコネクタ(外部接続用端子)CN11と、表示灯駆動回路101,102と、合計18個の3色発光のカラー用LED(LED1?LED18)とを備えている。・・・。
[0069] 表示灯駆動回路101,102は、演出制御基板80からサブ中継基板90を介して送られる複数の点灯制御信号に基づいてLEDを点灯するための所定電圧の複数の駆動信号を生成するものである。また、各カラー用LED1?18は、赤色(単色)発光のLED、緑色(単色)発光のLED及び青色(単色)発光のLEDの組から構成される。これら18個のカラー用LED1?18は、発光体基板100に等間隔で配列されている。

(エ)
「[0073] 本実施形態の発光体基板100に搭載されている3色発光のカラー用LED1?18については、6個のカラー用LEDを制御単位とし、同じ制御単位に含まれるカラー用LEDについては同時制御を行うことにしている。この同時制御の単位となる6個のカラー用LEDを「1ブロック」と称することにする。したがって、3色発光のカラー用LED1?18は3ブロックに分けられる。ここでは、カラー用LED1?6を第一ブロック、カラー用LED7?12を第二ブロック、そして、カラー用LED13?18を第三ブロックとする。また、カラー用LEDに対してはその点灯制御が発光色毎に行われるので、カラー用LED1?18を3ブロックに分けた場合、これらカラー用LED1?18の点灯制御には、9(=3×3)ビットの信号が必要である。この9ビットの信号が、コネクタCN10の端子1?9から入力する複数の点灯制御信号(表示パネルLEDデータ0?8)である。
[0074] 実際、各ブロックに属する6個のカラー用LEDは、2個のカラー用LEDを一組として三つの組に分けられる。具体的に、第一ブロックでは、カラー用LED1とカラー用LED2、カラー用LED3とカラー用LED4、カラー用LED5とカラー用LED6という三つの組に分けられ、第二ブロックでは、カラー用LED7とカラー用LED8、カラー用LED9とカラー用LED10、カラー用LED11とカラー用LED12という三つの組に分けられ、そして、第三ブロックでは、カラー用LED13とカラー用LED14、カラー用LED15とカラー用LED16、カラー用LED17とカラー用LED18という三つの組に分けられる。各ブロックにおいては、当該ブロックに属する6個のカラー用LEDに含まれる合計18個のLED(6個の赤色発光のLED、6個の緑色発光のLED、6個の青色発光のLED)に対し、同じ発光色のLED同士を接続している。具体的に、図7に示すように、各ブロックに属するそれぞれの発光色のLEDについて、同じ組に属する二つの当該発光色のLEDを直列に接続すると共に異なる組に属する当該発光色のLEDを並列に接続している。
[0075] 本実施形態の発光体基板100に搭載されている3色発光のカラー用LED1?18(それらに含まれる合計54個の単色発光のLED)は、コネクタCN10の各端子1?9に分散して接続されている。具体的に、コネクタCN10の端子1?6はそれぞれ、表示灯駆動回路101の端子1?6に接続され、コネクタCN10の端子7?9はそれぞれ、表示灯駆動回路102の端子1?3に接続されている。そして、コネクタCN10の端子1?6から表示灯駆動回路101の端子1?6に入力した点灯制御信号(表示パネルLEDデータ0?5)はそれぞれ、表示灯駆動回路101の端子18?13から出力され、コネクタCN10の端子7?9から表示灯駆動回路102の端子1?3に入力した点灯制御信号(表示パネルLEDデータ6?8)はそれぞれ、表示灯駆動回路102の端子18?16から出力される。表示灯駆動回路101の端子18は、第一ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子17は、第一ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、そして、表示灯駆動回路101の端子16は、第一ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続される。また、表示灯駆動回路101の端子15は、第二ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子14は、第二ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、そして、表示灯駆動回路101の端子13は、第二ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続される。更に、表示灯駆動回路102の端子18は、第三ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路102の端子17は、第三ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、そして、表示灯駆動回路102の端子16は、第三ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続される。
[0076] したがって、コネクタCN10の端子1から供給される点灯制御信号である表示パネルLEDデータ0により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED1?6に含まれる6個の緑色発光のLEDの点灯が制御される。コネクタCN10の端子2から供給される点灯制御信号である表示パネルLEDデータ1により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED1?6に含まれる6個の赤色発光のLEDの点灯が制御される。そして、コネクタCN10の端子3から供給される点灯制御信号である表示パネルLEDデータ2により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED1?6に含まれる6個の青色発光のLEDの点灯が制御される。
[0077] また、コネクタCN10の端子4から供給される表示パネルLEDデータ3により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED7?12に含まれる6個の緑色発光のLEDの点灯が制御され、コネクタCN10の端子5から供給される表示パネルLEDデータ4により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED7?12に含まれる6個の赤色発光のLEDの点灯が制御され、そして、コネクタCN10の端子6から供給される表示パネルLEDデータ5により、表示灯駆動回路101を介して3色発光のカラー用LED7?12に含まれる6個の青色発光のLEDの点灯が制御される。更に、コネクタCN10の端子7から供給される表示パネルLEDデータ6により、表示灯駆動回路102を介して3色発光のカラー用LED13?18に含まれる6個の緑色発光のLEDの点灯が制御され、コネクタCN10の端子8から供給される表示パネルLEDデータ7により、表示灯駆動回路102を介して3色発光のカラー用LED13?18に含まれる6個の赤色発光のLEDの点灯が制御され、そして、コネクタCN10の端子9から供給される表示パネルLEDデータ8により、表示灯駆動回路102を介して3色発光のカラー用LED13?18に含まれる6個の青色発光のLEDの点灯が制御される。
[0078] また、各組に属するカラー用LEDにおいて同じ発光色の二つのLEDと直列に接続されている抵抗R1?27は、電流制限用の抵抗であり、この抵抗値により当該二つのLEDが所定の明るさになるように調整している。また、本実施形態では、3色発光のカラー用LEDを用いているので、赤色発光のLED、青色発光のLED、緑色発光のLEDについて各々の点灯を個別に制御することにより、当該カラー用LEDにおいて白色を含む任意の発光色を得ることができる。なお、発光体基板100に搭載している3色発光のカラー用LEDの数は18個に限定されるものではない。」

(オ)
「[0082] 図10は、本実施形態の発光体基板の前面に配置される表示パネルの概略正面図である。液晶表示装置110に換えて発光体基板100を配置したときには、その発光体基板100の前面に図10に示す表示パネル140が設けられる。この表示パネル140は、透明又は半透明の樹脂等で形成され、表示パネル140の表面には、ボーナス等、各種の役の入賞となる図柄の組合せや、各小役に入賞したときに払い出される賞メダルの枚数等についての説明が、図10に示すように文字、数字、絵等の画像パターンを用いて印刷等により描かれている。
・・・
[0085] 次に、本実施形態の発光体基板100を搭載した回胴式遊技機における演出制御の処理手順について説明する。発光体基板100を搭載したタイプ2の遊技機が液晶表示装置110を搭載したタイプ1の遊技機と演出処理で異なる点は、液晶パネル31での画像表示に換えて、表示パネル140での表示を行なう点である。その他の点はタイプ1の遊技機と同様である。この表示パネル140の裏面に配置された発光体基板100に実装された3色発光のカラー用LEDの緑、赤、青の各発光色のLEDを調整することにより、任意の色の発光色の光で表示パネル140を照明することができる。また、この照明を行なうときに、遊技状態に合わせて、3色発光のカラー用LEDを点滅させるようにしてもよい。演出制御基板80は、主制御基板70から送られた演出コマンドに基づいて、発光体基板100に搭載されたカラー用LEDの点灯を制御するための複数の点灯制御信号(表示パネルLEDデータ)を生成し、サブ中継基板90を介して発光体基板100に転送する。このとき、表示パネルLEDデータは、液晶制御基板32が液晶表示コマンドを転送するときと同じ配線、同じコネクタ及び同じサブ中継基板90を介して転送される。
・・・
[0086] 次に、例えば液晶表示装置110(画像表示部30)を搭載したタイプ(タイプ1)の遊技機を回収して、発光体基板100を搭載したタイプ(タイプ2)の遊技機に変更する方法について説明する。図1等に示す液晶表示装置110を搭載したタイプ1の遊技機を、発光体基板100を搭載したタイプ2に変更するには、先ず、液晶表示装置110とサブ中継基板90とを接続している図示しないケーブルを取り外す。次に、サブ中継基板90とサブ中継基板用ケース121を取り外す。最後に、液晶表示装置110を取り外す。次に、発光体基板100を取り付けた発光体基板ケース130を、取り外した液晶表示装置110の収納部に取り付ける。次に、サブ中継基板用ケース121を取り付け、さらにサブ中継基板90を取り付け、サブ中継基板90のコネクタCN8と発光体基板100のコネクタCN10とをケーブルで接続し、サブ中継基板90のコネクタCN9と発光体基板100のコネクタCN11とをケーブルで接続する。最後に、前面パネル3の表側から図10に示す表示パネル140を発光体基板100の前面に取り付ける。次に、主制御基板70や演出制御基板80のROMをタイプ1用のものから、タイプ2用のものに交換する。以上の交換作業により、タイプ2の遊技機は、演出制御基板80からの複数の点灯制御信号を発光体基板100に送るときに、タイプ1用のサブ中継基板90や液晶表示コマンド用の配線やコネクタの大部分をそのまま使用して、発光体基板100のLEDの点灯を制御することができる。」

(カ)
「[0095] ・・・したがって、本発明は、画像表示装置と発光体基板とを交換することができるパチンコ遊技機や回胴式遊技機等の遊技機に適用することができる。」

(キ)
図面の図7には、表示灯駆動回路101が、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED1?6を接続する端子16?18、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED7?12を接続する端子13?15を備え、
表示灯駆動回路102が、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED13?18を接続する端子16?18を備えることが図示されている。

そして、上記上記記載事項(ア)?(カ)、及び図面に記載された事項(キ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?jは、本願補正発明のA?Jに対応させて当審にて付与した。)。

(引用発明)
「a パチンコ遊技機や回胴式遊技機等の遊技機(上記(ア)の[0001]、[0095]参照。以下、括弧内に[ ]を以て示す段落番号は、上記(ア)?(カ)における、参照する引用箇所を示す。)であって、

b 遊技機に搭載される、発光体基板100は、合計18個の3色発光のカラー用LED(LED1?LED18)とを備え([0067]、[0068])、各カラー用LED1?18は、赤色(単色)発光のLED、緑色(単色)発光のLED及び青色(単色)発光のLEDの組から構成され([0069])、

c カラー用LEDにおいて同じ発光色の二つのLEDと直列に接続されている電流制限用の抵抗R1?27と([0078])、

d 演出制御基板80と、サブ中継基板90とを備え([0017])、
発光体基板100は、表示灯駆動回路101,102を備え([0068])、
演出制御基板80は、発光体基板100に搭載されたLEDの点灯を制御する所定の複数の点灯制御信号を生成し、サブ中継基板90を介して発光体基板100に転送し([0067])、
表示灯駆動回路101,102は、演出制御基板80からサブ中継基板90を介して送られる複数の点灯制御信号に基づいてLEDを点灯するための所定電圧の複数の駆動信号を生成し([0069])、

e 各カラー用LED1?18は、赤色(単色)発光のLED、緑色(単色)発光のLED及び青色(単色)発光のLEDの組から構成され、これら18個のカラー用LED1?18は、発光体基板100に等間隔で配列され([0069])、

f 発光体基板100の前面に透明又は半透明の樹脂等で形成された表示パネル140が設けられ、[0082]
発光体基板100に実装された3色発光のカラー用LEDの緑、赤、青の各発光色のLEDを調整することにより、任意の色の発光色の光で表示パネル140を照明し[0085]、

g 表示パネル140は発光体基板100の前面に取り付けられ([0086])、
発光体基板100を取り付けた発光体基板ケース130は、取り外した液晶表示装置110の収納部に取り付けられ([0086])、

h 表示灯駆動回路101は、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED1?6を接続する端子16?18、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED7?12を接続する端子13?15を備え、
表示灯駆動回路102は、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED13?18を接続する端子16?18を備え(上記(キ)の図7の図示事項を参照)、

i
(i1) 3色発光のカラー用LED1?18については、6個のカラー用LEDを制御単位とし、3色発光のカラー用LED1?18は3ブロックに分けられ、カラー用LED1?6を第一ブロック、カラー用LED7?12を第二ブロック、そして、カラー用LED13?18を第三ブロックとし([0073])、

(i2) 各ブロックに属する6個のカラー用LEDは、2個のカラー用LEDを一組として三つの組に分けられ、第一ブロックでは、カラー用LED1とカラー用LED2、カラー用LED3とカラー用LED4、カラー用LED5とカラー用LED6という三つの組に分けられ、第二ブロックでは、カラー用LED7とカラー用LED8、カラー用LED9とカラー用LED10、カラー用LED11とカラー用LED12という三つの組に分けられ、第三ブロックでは、カラー用LED13とカラー用LED14、カラー用LED15とカラー用LED16、カラー用LED17とカラー用LED18という三つの組に分けられ、各ブロックにおいては、当該ブロックに属する6個のカラー用LEDに含まれる合計18個のLED(6個の赤色発光のLED、6個の緑色発光のLED、6個の青色発光のLED)に対し、同じ発光色のLED同士を接続し、各ブロックに属するそれぞれの発光色のLEDについて、同じ組に属する二つの当該発光色のLEDを直列に接続すると共に異なる組に属する当該発光色のLEDを並列に接続し([0074])、

(i3) 表示灯駆動回路101の端子18は、第一ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子17は、第一ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、そして、表示灯駆動回路101の端子16は、第一ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子15は、第二ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子14は、第二ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路101の端子13は、第二ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続され、更に、表示灯駆動回路102の端子18は、第三ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路102の端子17は、第三ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され、表示灯駆動回路102の端子16は、第三ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続される([0075])、

j 遊技機([0001]、[0095])。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)?(j)は、引用発明の分説構成と対応させた。)。

(a) 引用発明における構成aの「パチンコ遊技機や回胴式遊技機等の遊技機」は、遊技を行うためのものであることは明らかであって、本願補正発明の構成Aの「遊技を行う遊技機」に相当する。
してみると、引用発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する構成を備えているといえる。

(b)引用発明の構成bの「3色発光のカラー用LED」は本願補正発明の構成Bの「発光手段」に相当するとともに、「3色発光のカラー用LED(LED1?LED18)」は本願補正発明の「複数の発光手段」に相当する。
また、引用発明の構成bの「赤色(単色)発光のLED」、「緑色(単色)発光のLED」、「青色(単色)発光のLED」、「組から構成」は、それぞれ本願補正発明の構成Bの「赤の光を発する第1発光素子」、「緑の光を発する第2発光素子」、「青の光を発する第3発光素子」、「配置されている」に相当する。
してみると、引用発明における構成bは、本願補正発明における構成Bと、
「赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とが」「配置されている複数の発光手段」を備える点で共通するといえる。

(c)対比に当たり、本願補正発明の構成Cの「発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子」とは、抵抗素子と「何」が「直列に接続される」のか、必ずしも明確ではない。
そこで、本願の発明の詳細な説明をみてみると、明細書の【0104】には、
「トップ型白色LED150Fは、図6に示すように発光面において正三角の各頂点の位置に赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のそれぞれの光を発する発光素子150R、150G、150Bを配置してある。」
と記載され、同【0106】には、
「さらに、LEDドライバ352の接続端子A?接続端子Cには、白色LED150Fと直列に白色LED150Fに流れる電流を制限する制限抵抗(抵抗R1?R3)が接続されている。具体的に、図7に示す可動物LED151の発光素子150R、150G、150Bのそれぞれに抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3が直列に接続されている。同様に、可動物LED152および可動物LED153は、構成する白色LED150Fの個数が、可動物LED151を構成する白色LED150Fの個数と同じ3個であるため、発光素子150R、150G、150Bのそれぞれに抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3が直列に接続されている。つまり、可動物LED151、可動物LED152および可動物LED153の白色LED150Fの個数が同じであるため、LEDドライバ352の接続端子A?接続端子Cのそれぞれに印加される順電圧が等しくなるので同じ抵抗値の制限抵抗を接続することができる。」
と記載されている。
そうすると、発光素子が、赤、緑、青の発光素子の発光色ごとに、抵抗と直列に接続されていれば、当該抵抗は少なくとも本願補正発明の「発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子」に相当するということができる。
上記理解に基づいて、引用発明の構成cと、本願補正発明の構成Cを対比すると、引用発明の構成cの「電流制限用の抵抗R1?27」は、「同じ発光色の二つのLEDと直列に接続」されているのだから、本願補正発明の構成Cの「発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子」に相当することは明らかである。
してみると、引用発明における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する構成を備えているといえる。

(d)引用発明の構成dの「演出制御基板80」は、「発光体基板100に搭載されたLEDの点灯を制御する所定の複数の点灯制御信号を生成し、サブ中継基板90を介して発光体基板100に転送」するものであって、当該「発光体基板100」の「表示灯駆動回路101,102」は、「演出制御基板80からサブ中継基板90を介して送られる複数の点灯制御信号に基づいてLEDを点灯するための所定電圧の複数の駆動信号を生成」するものなのだから、引用発明の構成dの「演出制御基板80」、「サブ中継基板90」、「表示灯駆動回路101,102」は、いずれも本願補正発明の構成Dの「発光手段の発光を制御する発光制御手段」に相当するものといえる。
してみると、引用発明における構成dは、本願補正発明における構成Dに相当する構成を備えているといえる。

(e)引用発明の構成eの「カラー用LED1?18」が「発光体基板100に等間隔で配列され」ることは、本願補正発明の構成Eの「発光手段」が「実装され」ることに相当する。
してみると、引用発明における構成eは、本願補正発明における構成Eと、「発光手段は」「実装され」る点で共通するといえる。

(f)引用発明の構成fの「表示パネル140」は、本願補正発明の構成Fの「1つの演出装置を構成する部材」に相当する。
また、引用発明の構成fの「発光体基板100に実装」された「3色発光のカラー用LED」(発光手段)が、複数であることは、引用発明の構成eから明らかであるから、引用発明の構成fの「3色発光のカラー用LED」(発光手段)が「緑、赤、青の各発光色のLEDを調整することにより、任意の色の発光色の光で表示パネル140を照明」することは、本願補正発明の構成Fの「複数の前記発光手段」が「1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行」うことに相当する。
してみると、引用発明における構成fは、本願補正発明における構成Fに相当する構成を備えているといえる。

(h)引用発明の構成hの「表示灯駆動回路101」、「表示灯駆動回路102」が、いずれも本願補正発明の「発光制御手段」に相当するものであることは、上記(d)にて説示のとおりである。
また、引用発明の構成hの表示灯駆動回路101の「端子16?18」及び「端子13?15」、表示灯駆動回路102の「端子16?18」は、いずれも本願補正発明の構成Hの「複数の接続端子」に相当する。
ここで、本願補正発明の構成Hの「発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し」との事項について、本願の発明の詳細な説明をみてみる。すると、明細書の【0106】には、
「さらに、LEDドライバ352の接続端子A?接続端子Cには、白色LED150Fと直列に白色LED150Fに流れる電流を制限する制限抵抗(抵抗R1?R3)が接続されている。具体的に、図7に示す可動物LED151の発光素子150R、150G、150Bのそれぞれに抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3が直列に接続されている。同様に、可動物LED152および可動物LED153は、構成する白色LED150Fの個数が、可動物LED151を構成する白色LED150Fの個数と同じ3個であるため、発光素子150R、150G、150Bのそれぞれに抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3が直列に接続されている。つまり、可動物LED151、可動物LED152および可動物LED153の白色LED150Fの個数が同じであるため、LEDドライバ352の接続端子A?接続端子Cのそれぞれに印加される順電圧が等しくなるので同じ抵抗値の制限抵抗を接続することができる。」
と記載されている。そうすると本願補正発明の構成Hの「発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し」とは、
発光制御手段の複数の接続端子に必ずしも直接複数の発光手段が接続されている必要はなく、両者の間に抵抗が介在してもよいと解するのが相当である。
上記理解に基づいて、引用発明の構成hと、本願補正発明の構成Hをさらに対比すると、引用発明の構成hの「表示灯駆動回路101は」「抵抗を介しての3色発光のカラー用LED1?6を接続する端子16?18」「を備え」は、本願補正発明の構成Hの「発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し」に相当する。同様に引用発明の構成hの「表示灯駆動回路101は」「抵抗を介しての3色発光のカラー用LED7?12を接続する端子13?15を備え」も本願補正発明の構成Hの「発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し」に相当するとともに、引用発明の構成hの「表示灯駆動回路102は、抵抗を介しての3色発光のカラー用LED13?18を接続する端子16?18を備え」もまた本願補正発明の構成Hの「発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し」に相当する。
してみると、引用発明における構成hは、本願補正発明における構成Hに相当する構成を備えているといえる。

(i)引用発明の構成iのうち構成(i3)の
・「第一ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子18」、
・「第一ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子17」、
・「第一ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子16」、
・「第二ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子15」、
・「第二ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子14」、
・「第二ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路101の端子13」、
・「第三ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路102の端子18」、
・「第三ブロックに含まれる6個の赤色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路102の端子17」、
・「第三ブロックに含まれる6個の青色発光のLEDに接続され」る「表示灯駆動回路102の端子16」、
は、いずれも本願補正発明の構成Iの「複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子」に相当する。

また、引用発明の構成(i3)の「表示灯駆動回路101の端子18」は、「第一ブロックに含まれる6個の緑色発光のLEDに接続される」ものであり、同構成(i2)によれば、「各ブロックにおいては、当該ブロックに属する6個のカラー用LEDに含まれる合計18個のLED(6個の赤色発光のLED、6個の緑色発光のLED、6個の青色発光のLED)に対し、同じ発光色のLED同士を接続し、各ブロックに属するそれぞれの発光色のLEDについて、同じ組に属する二つの当該発光色のLEDを直列に接続すると共に異なる組に属する当該発光色のLEDを並列に接続」しているのだから、引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子18」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通する。
同様に、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子18」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子17」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子16」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子15」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子14」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路101の端子13」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路102の端子18」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路102の端子17」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通し、
・引用発明の構成iの「表示灯駆動回路102の端子16」は、本願補正発明の構成Iと、「発光手段を接続する各々の前記接続端子には」、「発光手段が直列に接続されている」点で共通するといえる。
そして、引用発明の構成(i3)における上記各端子に「直列に接続されている」LEDの数は、同構成i2によればいずれも「二つ」であり、当該「二つ」の「直列に接続されている」「LED」は、本願補正発明の構成Iの「同数の前記発光手段が直列」に「接続されている」ことに相当する。

してみると、引用発明における構成iは、本願補正発明における構成Iと、「複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されている」点で共通するといえる。

(j) 引用発明の「遊技機」は本願補正発明の「遊技機」に相当する。
引用発明の構成jは本願補正発明における構成Jに相当するものである。

そうすると、上記(a)?(j)によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「A 遊技を行う遊技機であって、
B′赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とが配置されている複数の発光手段と、
C 発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子と、
D 前記発光手段の発光を制御する発光制御手段とを備え、
E′前記発光手段は、実装され、
F 複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
H 前記発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し、
I′複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されている、
J 遊技機。」

(相違点1)
構成Bに関し、本願補正発明では、「赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている」のに対し、引用発明では、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそのように配置されているか不明である点。

(相違点2)
構成Eに関し、本願補正発明では、発光手段は、「一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ているのに対し、引用発明の発光手段は、「一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ているか不明である点。

(相違点3)
構成Gに関し、本願補正発明では、「演出装置を構成する部材」は可動するのに対し、引用発明の「演出装置を構成する部材」は可動しない点。

(相違点4)
構成Iに関し、本願補正発明では、「複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列にのみ接続されている」のに対し、引用発明では、「複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されている」ものの「直列にのみ接続されている」ものではない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。

(相違点1及び2について)
相違点1及び2は関連するので、合わせて検討する。
赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とを配置する発光手段について、各色の光を発する発光素子をそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置して構成することが、例えば特開2010-257615号公報(以下、引用文献2という)(特に、【0026】の「色調発光部10は、赤色LED10a、緑色LED10bおよび青色LED10cを含み、所定の色調を可変的に呈するものである。」との記載や【0030】の「色調発光部10は、たとえば図2に示すように、複数設けられるとともに、所定のパターンで配列されることができる。」との記載と、図2において、赤色LED10a、緑色LED10bおよび青色LED10cがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置された状態を参照。)や、特開2001-53341号公報(以下、引用文献3という)(特に、【0015】の「各色1個ずつのLEDランプR,G,Bが三角形をなすように互いに近接配置されて1つのランプ群13を構成するとともに、こうしたランプ群13の多数が所定間隔をおいて縦横に配列されるように、各LEDランプがプリント基板12に装着されている。」との記載や、図4、図5、図7等を参照。)にもみられるように本願出願時において周知の技術である。この点を考慮すれば、引用発明において、発光手段を、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置して構成することは、当業者が適宜なしうる事項というべきである。

さらに、LEDを発光させて部材に対して照明を行うにあたり、均一に照明をしようとすることは、当業者にとって当然の課題である(このことは、引用発明の構成eにおいて、「18個のカラー用LED1?18」が、「発光体基板100に等間隔で配列され」ていることからみても明らかである。)。
さらに、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とを用いた発光手段を複数用いて照明をする際に、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように配置することは、当業者にとって当然の事項であり(引用文献3の図4のランプ群13におけるRGBの配置、および【0025】の「図7は、本発明の別の実施形態に係る面発光表示器1aを示している。この面発光表示器1aでは、前記実施形態におけるLEDランプR,G,Bに代えて、赤色,緑色,青色の各色での発光が可能な3色発光LEDランプ25が用いられている。この3色発光LEDランプ25は、1つの樹脂モールド26内に、赤色LEDチップ,緑色LEDチップ,及び青色LEDチップ(不図示)が封入されている。・・・なお、その他の構成は前記面発光表示器1と同様である。」との記載を参照)、当該配置によって、より均一に発光がなされることは明らかなことである。
してみれば、引用発明において、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置して発光手段を構成し、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装することは、当業者が適宜なしうることというべきである。

(相違点3について)
可動する演出用のパネルを前面に設けて、LEDで複数の色に照明することが、例えば特開2011-30873(以下、引用文献4という)(特に、【0020】の「表示枠体21においてセット口21aの上方には、所定のキャラクタ(本実施形態では、「桜」)を模して形成され、所定動作による可動体演出を行う演出用可動体SKが配設されている。演出用可動体SKには、図示しないアクチュエータ(モータなど)が接続されており、可動体演出として、セット口21aより上方とされ遊技者から見て画像表示部GHと前後方向に重ならない初期位置から、遊技者から見て画像表示部GHと前後方向に重なる演出位置(図2において二点鎖線で示す位置)に移動可能に構成されている。また、演出用可動体SKには、図示しない発光体(LEDなど)が内蔵されており、可動体演出中に「白色」、「青色」、「緑色」、及び「赤色」の何れかの発光色で発光可能に構成されている。」との記載や、図2等を参照。)や、特開2013-63143号公報(以下、引用文献5という)(特に、【0063】の「下部可動部602は、裏面側に配置される可動ベース部材604と、前面側に配置される装飾部材605と、により略矩形箱状をなしている。」との記載や、【0065】の「可動ベース部材604は、・・・第1、第2基板収納部604a、・・・を有する略矩形状に形成されており、この第1基板収納部604aには装飾部材605全体を発光させるためのユニット用LED基板622を収納し、」との記載、【0066】の「ユニット用LED基板622は、発光源としてのLED素子624が多数実装されて構成され、・・・また、ユニット用LED基板622に実装されるLED素子624は、・・・フルカラー対応のものであっても良い。」との記載を参照。フルカラー対応のLEDが複数色で使用しうるものであることは、当業者にとって明らかなことである。)にみられるように、従来より周知の事項である。そして、引用発明の表示パネル140と引用文献4や引用文献5にみられる当該周知の技術の演出用のパネルは、いずれもLEDで前面のパネルを複数色で照明しうる点で共通するのだから、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとすることは、当業者が容易に想到することである。

(相違点4について)
そもそも、照明のためにLEDを配置するにあたり、その数をいくつとするかは、照明対象となる面積の大小に応じて決定することはもちろん、求められる輝度に応じてLEDの密度を調整し、以てLEDの数を決定することもまた、当業者にしてみれば常識である(引用文献1の[0078]にも、「なお、発光体基板100に搭載している3色発光のカラー用LEDの数は18個に限定されるものではない。」と記載されている。)。
一方、引用発明において、表示灯駆動回路101、102の端子(接続端子)に接続される電源を変更せずにLEDの数を調整すべくその数を減じようとすれば、当該端子(接続端子)に並列に接続される、「二つの直列に接続されたLED」ごとに外していくことは、当業者にとって普通の調整方法というべき範囲のものであって、その結果として、引用発明において、発光手段を接続する各々の接続端子に、同数の発光手段が直列にのみ接続されることは、当業者が適宜設計しうる範囲というべきである。

ちなみに、本願の明細書【0308】には、
「(20) 上記実施の形態では、LEDドライバ352の1つの接続端子に接続する配線は分岐することがない構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図14は、別の変形例の回路基板の構成を説明するための概略図である。図14に示す回路基板150Xでは、LEDドライバ352の1つの接続端子Aに接続する配線を3つ分岐し、それぞれの配線に制限抵抗の抵抗R1?R3と、3個の白色LED150Fとを直列に接続している。つまり、図14に示す回路基板150Xでは、抵抗R1?R3および可動物LED151X,152X,153Xのそれぞれを並列にLEDドライバ352の1つの接続端子Aに接続している。これにより、図14に示す回路基板150Xでは、LEDドライバ352の1つの接続端子Aにより多くのLEDを接続することができ、設計の自由度が向上する。」
と記載され、並列接続が、より多くのLEDを接続するための設計であることは、審判請求人も認めることである。

したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明及び周知の技術に基づいて容易に想到することができたものである。

(5) 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について

ア 審判請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】 (3)拒絶理由について」の項において、
引用文献1では、「図9に示すように、合計18個の3色発光のカラー用LEDが等間隔で配置された発光体基板100」(段落番号[0080]参照)が、液晶表示装置に換えて配置される構成であることから、当該発光体基板が、単純な矩形状であることが前提であり、可動するような演出装置を想定しておらず、そのため、引用文献1では、発光体基板上に発光手段をマトリクス状に配置することしか開示されておらず、本願請求項1のような、何らかの形状を有し、それが可動するような演出装置に配置される発光手段については開示も示唆もされていない旨を主張している。

しかし、そもそも本願補正発明における「演出装置」に関する構成は、
「F 複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
G 前記演出装置を構成する部材は可動し、」
とのみしたものであって、演出装置はもちろん演出装置を構成する部材の形状を何ら特定しているわけでもないのだから、引用文献1において、発光体基板が矩形状であることや、発光体基板上に発光手段をマトリクス状に配置していることを以てただちに、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとし、本願補正発明の相違点3に係る構成とすることの阻害要因ということはできない。

仮にそのようにいうことができないとしても、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとする際に、引用発明における「発光体基板100」の形状を、演出用のパネルの形状を考慮した形状とし、その形状の範囲で発光手段を配置することは、当業者にとってみれば当然のことであって、引用文献1において、発光体基板が矩形状であることや、発光体基板上に発光手段をマトリクス状に配置していることが、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとして本願補正発明の相違点3に係る構成とすることの阻害要因であるなどということはできない。

ちなみに、さらに仮にそのようにいうことができないとしても、演出装置を構成する可動する部材を矩形状として、演出装置を構成する可動する部材に対して発光する発光手段を、マトリクス状にかつ全体として略矩形状に配置することも、引用文献5(特に図5や【0065】?【0066】における、略矩形状の装飾部材605と、略矩形状のLED基板622にマトリクス状に配置されたLED素子624を参照)にみられるように従来より周知の事項であることからみても、引用文献1において、発光体基板が矩形状であることや、発光体基板上に発光手段をマトリクス状に配置していることを以て、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとし、本願補正発明の相違点3に係る構成とすることの阻害要因ということはできない。

してみると、審判請求人の上記主張は採用できないものである。

イ また、審判請求人は、平成30年2月8日に提出がなされた上申書において、
本願請求項1では、「演出装置を構成する部材は可動」することを前提に、「前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ており、仮に、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが異なる場合、一の発光手段と他の発光手段との特定の発光素子(例えば、赤色の発光素子)同士が近くに配置されることとなり、一の発光手段の特定の発光素子と他の発光手段の特定の発光素子とが近接する部分において、基板上の他の部分より特定の発光素子の色味が強調されることになり、特に可動物として移動した場合には、特定の発光素子同士が近くに配置され色味が強調されている部分が可動物とともに移動し、特定の発光素子の色味が移動方向に沿って軌跡を描くことで残像により強調されて遊技者に大きな違和感を与える虞れがあり、そのため、本願請求項1では、「前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ることを限定することで、特定の発光素子の色味が強調される部分を基板上からなくして、可動物とともに移動しても特定の発光素子の色味が移動方向に沿って軌跡を描き残像として強調されることをなくすことで、遊技者に大きな違和感を与える可能性を低減できる効果を有しているとの旨の主張をしている。

しかし、上記(相違点1及び2について)にて説示のとおり、LEDを発光させて部材に対して照明を行うにあたり、均一に照明をしようとすることは、当業者にとって当然の課題であり、当該課題は、当該部材が可動するものであっても同じであることは明らかである。
そして、引用発明において、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置して発光手段を構成し、均一な照明とするために一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装することは、当業者が適宜なしうることであり、引用発明の表示パネルを可動する演出用のパネルとする際にも、均一な照明とするために一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装することは、当業者が適宜なしうる範囲を出るものではない。

ウ また、本願補正発明の作用効果は、当業者が引用発明、及び周知の技術から予測し得るものであって、格別のものということはできない。

(6) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明、及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定についてのむすび
上記3 より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年5月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Jは本願発明を分説するため当審で付すとともに、分説した各構成のうち本願補正発明と同じ構成については、本願補正発明と同じ英文字を用いた。)。

(本願発明)
「【請求項1】
A 遊技を行う遊技機であって、
B 赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている複数の発光手段と、
C 発光素子の種類に応じて直列に接続される抵抗素子と、
D 前記発光手段の発光を制御する発光制御手段とを備え、
E 前記発光手段は、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され、
F 複数の前記発光手段は、1つの演出装置を構成する部材に対して発光を行い、
H 前記発光制御手段は、複数の前記発光手段を接続することができる複数の接続端子を有し、
I″複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されている、
J 遊技機。」

2 刊行物に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1の記載事項、及び引用文献1に記載された発明(引用発明)については、上記「第2 3(2)」に示したとおりである。

3 対比
本願発明の構成A?Jのうち、A?F、H、Jは、本願補正発明の構成A?F、H、Jと一致しており、本願発明の構成A?F、H、Jと引用発明の構成a?f、h、jとの対比は、上記「第2 3(3)」にて説示のとおりである。

また、本願発明におけるその他の構成I″について、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明もまた、複数の前記接続端子のうち前記発光手段を接続する各々の前記接続端子には、同数の前記発光手段が直列に接続されているものであるから(第2 3(3)(i)参照)、引用発明の構成iは、本願発明における構成I″に相当する構成を備えているものといえる。

してみると、本願発明と引用発明との相違点は以下のとおりであり、その他の点においては両者は一致している。

(相違点1)
構成Bに関し、本願発明では、「赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置されている」のに対し、引用発明では、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそのように配置されているか不明である点。

(相違点2)
構成Eに関し、本願発明では、発光手段は、「一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ているのに対し、引用発明の発光手段は、「一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装され」ているか不明である点。

4 判断
上記相違点1、2についての判断は、上記「第2 3(4)」の(相違点1及び2について)にて説示のとおりであって、引用発明において、赤の光を発する第1発光素子と緑の光を発する第2発光素子と青の光を発する第3発光素子とがそれぞれを頂点に三角形を形成するように配置して発光手段を構成し、一の発光手段の発光素子の配置と他の発光手段の発光素子の配置とが同じとなるように実装することは、当業者が適宜なしうることというべきである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-07 
結審通知日 2018-09-11 
審決日 2018-09-25 
出願番号 特願2015-21485(P2015-21485)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤澤 和浩下村 輝秋  
特許庁審判長 奥 直也
特許庁審判官 藤田 年彦
石井 哲
発明の名称 遊技機および遊技用装置  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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