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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1345735
審判番号 不服2017-8673  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-14 
確定日 2018-11-06 
事件の表示 特願2016-528852「カードのOCR画像のクライアント側フィルタリング」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月21日国際公開、WO2015/073154、平成28年12月28日国内公表、特表2016-541049〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2014年10月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年11月15日、米国 2013年12月18日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続きの経緯は、以下のとおりである。

平成28年 6月 6日:手続補正(1)
平成28年11月17日:拒絶理由の通知
平成29年 2月17日:手続補正(2)
平成29年 2月28日:拒絶査定
平成29年 3月 6日:拒絶査定の謄本の送達
平成29年 6月14日:拒絶査定不服審判の請求
平成29年 6月14日:手続補正(3)

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1-3、5、6、8-10、12、14-16、18
・引用文献1-4

・請求項4、11、17
・引用文献1-5

・請求項7、13、19
・引用文献1-7

引用文献1:特開2010-136221号公報
引用文献2:特開平5-334330号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2004-118643号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2009-146171号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2005-311766号公報
引用文献6:特開2004-213141号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7:国際公開第2013/103912号(周知技術を示す文献)

第2 補正却下の決定
平成29年6月14日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成29年6月14日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成29年6月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。

本件補正は、補正前の請求項1?19
「 【請求項1】
画像をフィルタリングするためのコンピュータによって実装される方法であって、
モバイルコンピューティングデバイスによって、カードの第1の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するステップと、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像を拒絶するステップと、
前記第1の画像を拒絶するステップに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記カードの第2の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するステップと、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するステップとを含み、
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内のテキストを検出するステップと、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップと
を含むコンピュータによって実装される方法。
【請求項2】
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、第3の画像が撮影される請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項3】
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内のぼけを検出するステップと、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップとを更に含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項4】
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内の明るさのレベルを検出するステップと、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップとを更に含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項5】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップをさらに含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項6】
前記カードが、クレジットカード、デビットカード、身分証明カード、ポイントカード、アクセスカード、またはストアドバリューカードである請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項7】
画像をフィルタリングするためのコンピュータによって実装される方法であって、
モバイルコンピューティングデバイスによって、カードの第1の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するステップと、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像を拒絶するステップと、
前記第1の画像を拒絶するステップに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記カードの第2の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するステップと、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するステップとを含み、
前記モバイルコンピューティングデバイスがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記コンピュータによって実装される方法が、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに提供するため、前記モバイルコンピューティングデバイスから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出されたデータを受けとるステップをさらに含む
コンピュータによって実装される方法。
【請求項8】
コンピュータによって実行されるときに前記コンピュータに画像をフィルタリングさせるコンピュータが実行可能なプログラム命令を具現化するコンピュータプログラムであって、
カードの第1の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記カードの第2の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するためのコンピュータ可読プログラム命令とを含み、
前記分析に関するステップが、
前記画像内のテキストを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを含む
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、前記第2の画像が取得される請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記分析するステップが、
前記画像内のぼけを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを更に含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記分析するステップが、
前記画像内の明るさのレベルを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを更に含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータによって実行されるときに前記コンピュータに画像をフィルタリングさせるコンピュータが実行可能なプログラム命令を具現化するコンピュータプログラムであって、
カードの第1の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記カードの第2の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するためのコンピュータ可読プログラム命令とを含み、
前記コンピュータがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記コンピュータプログラムが、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに提供するため、前記コンピュータから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出されたデータを受けとるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む
コンピュータプログラム。
【請求項14】
画像をフィルタリングするためのシステムであって、
ストレージリソースと、
前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、前記ストレージリソースに記憶され、前記システムに
カードの第1の画像および第2の画像を受信させ、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第1の画像を送信させるコンピュータ可読命令を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
前記分析に関するステップが、前記システムに
前記画像内のテキストを検出させ、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
システム。
【請求項15】
前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、前記第2の画像が受信される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記分析するステップが、前記システムに
前記画像内のぼけを検出させ、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を更に含む請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記分析するステップが、前記システムに
前記画像内の明るさのレベルを検出させ、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を更に含む請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記システムに、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
画像をフィルタリングするためのシステムであって、
ストレージリソースと、
前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、前記ストレージリソースに記憶され、前記システムに
カードの第1の画像および第2の画像を受信させ、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第1の画像を送信させるコンピュータ可読命令を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
前記システムがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記プロセッサが、前記システムに、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに提供するため、前記システムから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出されたデータを受けとらせるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む
システム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?19に補正するものである。(下線は補正箇所である。)

補正後の請求項1?19
「 【請求項1】
画像をフィルタリングするためのコンピュータによって実装される方法であって、
モバイルコンピューティングデバイスによって、カードの第1の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するステップと、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第1の画像を拒絶するステップと、
前記第1の画像を拒絶するステップに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記カードの第2の画像を撮影するステップと、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するステップと、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードのカード情報として使用するために、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するステップとを含み、
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内のテキストを検出するステップと、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップと
を含むコンピュータによって実装される方法。
【請求項2】
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、第3の画像が撮影される請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項3】
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内のぼけを検出するステップと、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップとを更に含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項4】
前記分析するステップが、
前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像内の明るさのレベルを検出するステップと、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップとを更に含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項5】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスによって、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するステップをさらに含む請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項6】
前記カードが、クレジットカード、デビットカード、身分証明カード、ポイントカード、アクセスカード、またはストアドバリューカードである請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項7】
前記モバイルコンピューティングデバイスがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記コンピュータによって実装される方法が、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに追加するため、前記モバイルコンピューティングデバイスから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出された前記文字認識結果を受けとるステップをさらに含む
請求項1に記載のコンピュータによって実装される方法。
【請求項8】
コンピュータによって実行されるときに前記コンピュータに画像をフィルタリングさせるコンピュータが実行可能なプログラム命令を具現化するコンピュータプログラムであって、
カードの第1の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記カードの第2の画像を撮影するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記コンピュータがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信するためのコンピュータ可読プログラム命令とを含み、
前記分析に関するステップが、
前記画像内のテキストを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを含む
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、第3の画像が取得される請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記分析するステップが、
前記画像内のぼけを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを更に含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記分析するステップが、
前記画像内の明るさのレベルを検出するためのコンピュータ可読プログラム命令と、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定するためのコンピュータ可読プログラム命令とを更に含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記コンピュータプログラムが、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに提供追加するため、前記コンピュータから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出された前記文字認識結果を受けとるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
画像をフィルタリングするためのモバイルコンピューティングデバイスであって、
ストレージリソースと、
前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、前記ストレージリソースに記憶され、前記モバイルコンピューティングデバイスに
カードの第1の画像および第2の画像を受信させ、
前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信させるコンピュータ可読命令を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
前記分析に関するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに
前記画像内のテキストを検出させ、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
モバイルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記光学式文字認識システムから、前記光学式文字認識アルゴリズムが構成された閾値の信頼性のレベル未満であった結果を生成したという指示を受信すると、第3の画像が受信される請求項14に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記分析するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに
前記画像内のぼけを検出させ、
前記画像内で検出されたぼけの量が構成された閾値未満であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を更に含む請求項14に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記分析するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに
前記画像内の明るさのレベルを検出させ、
前記画像内で検出された明るさの前記レベルが構成された閾値の間であると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を更に含む請求項14に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記画像内で検出された前記テキストが構成された期待される位置に対応する前記画像内の位置内にあると判定すると、前記モバイルコンピューティングデバイスに、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令をさらに含む請求項14に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記モバイルコンピューティングデバイスがデジタル財布アプリケーションモジュールを含み、
前記プロセッサが、前記モバイルコンピューティングデバイスに、前記デジタル財布アプリケーションモジュールに追加するため、前記モバイルコンピューティングデバイスから送信されたイメージから前記光学式文字認識システムによって抽出された前記文字認識結果を受けとらせるコンピュータ可読プログラム命令をさらに含む
請求項14に記載のモバイルコンピューティングデバイス。」

2 補正の適合性
本件補正は、請求項14において、以下のとおりにする補正である。
(a)4箇所に記載された「システム」を、それぞれ「モバイルコンピューティングデバイス」に補正する。(以下、「補正事項(a)」という。)
(b)「判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズム・・・」を、「判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、前記光学式文字認識アルゴリズム・・・」に補正する。(以下、「補正事項(b)」という。)
(c)2箇所に記載された「前記第1の画像」を、それぞれ「前記第2の画像」に補正する。(以下、「補正事項(c)」という。)
(d)「前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システム」を、「前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システム」に補正する。(以下、「補正事項(d)」という。)
(なお、補正後の「モバイルコンピューティングデバイ」は、「モバイルコンピューティングデバイス」の明らかな誤記である。)

上記補正事項(a)は、「システム」を、それぞれ「モバイルコンピューティングデバイス」に限定する補正であり、特許請求の範囲を減縮することを目的とした補正である。

上記補正事項(b)により、モバイルコンピューティングデバイスは、「ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用する」ものとなるから、補正後の請求項14に係る発明は、モバイルコンピューティングデバイスに、「ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受ける」構成と、「該文字認識結果を前記カードの情報として使用する」構成が追加されたといえる。
しかしながら、『ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受ける構成』、『該文字認識結果を前記カードの情報として使用する構成』のいずれの構成についても、補正前の請求項14に係る発明の発明特定事項のいずれを概念的に下位にしたものといえないから、発明特定事項の限定といえない。

次に、発明の解決しようとする課題について検討する。
発明の詳細な説明の段落0005には、「特定のシステムにおいては、ユーザデバイスが、システムが処理するために複数の画像をアップロードする。システムは、適切な結果が得られないとき、さらなる画像を要求する可能性がある。アップロードのための使用し得る画像を得るために、ユーザは、画像撮像デバイスの位置を変えるか、照明を変えるか、または画像を改善するための任意の機能を実行する可能性がある。良い画像が撮影される前にユーザデバイスがシステムに画像を送信している場合、複数の画像をアップロードするために必要とされる処理能力が、重い負担になる可能性がある。現在のアプリケーションは、使用不能な画像を送信する必要を減らすためにユーザコンピューティングデバイスが画像をフィルタリングすることを可能にしない。」と記載されていることから、補正前の請求項14に係る発明の解決しようとする課題は、「使用不能な画像を送信する必要を減らす」ことであるといえる。
これに対して、補正後の請求項14に係る発明の解決しようとする課題は、補正前の請求項14に係る発明の解決しようとする課題として存在しなかった「ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用する」ことが追加されたこととなり、当該追加された補正後の発明の解決しようとする課題は、補正前の発明の解決しようとする課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、補正前後の発明の解決しようとする課題は技術的に密接に関連しているとはいえない。したがって、補正前後の発明の解決しようとする課題は同一ではない。
よって、上記補正事項(b)による補正を含む請求項14に係る発明についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また、上記補正事項(b)による補正は、誤記の訂正を目的としたものでも、明瞭でない記載の釈明を目的としたものでもない。

したがって、上記補正事項(b)による補正は、特許法第17条の2第5項に記載されたいずれの事項を目的とするものでない。
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

3 独立特許要件について
なお、仮に、上記補正事項(b)による補正が、『ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受ける構成』、『該文字認識結果を前記カードの情報として使用する構成』を追加するものでなく、「光学式文字認識システムに・・・送信させる」構成を限定的に減縮することを目的とする補正であり、上記補正事項(c)による補正が、請求項1の「前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、・・・前記第2の画像を送信する」、及び、請求項8の「前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、・・・前記第2の画像を送信する」の記載との関係において不合理を生じているために明瞭でない記載となっていることを解消するための明瞭でない記載の釈明を目的とする補正であり、上記補正事項(d)による補正が、明瞭でない記載の釈明を目的とする補正であるとした場合について更に検討する。
請求項14に係る発明の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるので、特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か更に検討する。

(1)補正後発明
補正後の請求項14に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、A?D10については、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」?「構成D10」という。)

(補正後発明)
「A 画像をフィルタリングするためのモバイルコンピューティングデバイスであって、
B ストレージリソースと、
C1 前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、
D1 前記ストレージリソースに記憶され、前記モバイルコンピューティングデバイスに
D2 カードの第1の画像および第2の画像を受信させ、
D3 前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
D4 前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
D5 前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
D6 前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信させる
D7 コンピュータ可読命令
C2 を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
D8 前記分析に関するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに
D9 前記画像内のテキストを検出させ、
D10 前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
A モバイルコンピューティングデバイス。」

(2)各引用文献の記載事項及び引用発明について
(2-1)特開2010-136221号公報の記載事項及び引用発明
原審の拒絶査定に引用された特開2010-136221号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「イメージ処理システム及びイメージ処理方法」として図面とともに以下の事項が記載されている。

【0009】
本発明は、上述した課題を解決することを目的としてなされたもので、携帯電話などのカメラ機能を有する端末装置が撮影するなどして生成した画像イメージが、文字認識等をするのに適した品質となるように撮影画像の品質を担保することにある。
【0010】
係る目的を達成する一手段として例えば以下の構成を備える。すなわち、イメージを生成するイメージ生成手段と、該イメージ生成手段で生成したイメージ中の所定領域のパターン認識を行い、パターン認識結果により前記イメージ生成手段で生成したイメージ情報が満足のいく品質か否かを確認する品質確認手段と、前記品質評価手段が満足のいく品質のイメージ情報でなかったときに前記イメージ生成手段にイメージ情報の再生成を指示する再生成指示手段と、前記品質確認手段が満足のいく品質と確認したイメージに固有の識別番号を付して登録する登録手段と、前記品質確認手段が満足のいく品質と確認したイメージに対してパターン認識処理を行うパターン認識手段とを備え、前記登録手段は、登録イメージ情報に、前記パターン認識手段が認識した当該登録イメージ情報に対するパターン認識結果を関連付けて登録するイメージ処理システムであることを特徴とする。

【0028】
図1において、100はネットワーク300を介して他の情報処理装置や携帯電話機などの端末装置(通信端末装置)との間で情報通信が可能なサーバ装置であり、端末装置(通信端末装置)にとってのセンター装置となる。サーバ装置100は、通信端末装置よりの生成イメージ情報、例えばカメラ機構での撮影情報を受け取って固有の番号を割り当てて登録可能であると共に、登録イメージ情報の検索が可能に構成されており、検索指示を受け取り、検索結果を送信する。

【0034】
120は各種指示等を入力可能な操作部、130は詳細を後述する受信したイメージ情報の品質を評価し良品質か否かを判断する品質評価部である。140は受信したイメージ情報、あるいは登録しているイメージ情報のパターン認識を行う文字認識部であり、特に認識したパターンに対応したコード情報を生成して出力する。

【0044】
まず図3を参照してカメラ機能付き端末装置、例えばカメラ機構付き携帯電話機を用いて処理すべき伝票を撮影し、サーバ100を介して伝票処理システム200で処理できる状態とする場合を例として説明する。しかし、本発明は伝票処理に限定されるものではなく、撮影することが可能なあらゆる書類、あるいは物体について適用可能である。例えば、カタログ販売における購入物品を撮影して処理する例でも、新聞広告欄の購入希望部分の撮影であっても良く、端末装置での撮影が可能な物であれば種別などにより限定はされない。

【0055】
携帯電話機430の所有者は、伝票処理を行おうとする場合、処理しようとする伝票を用意し、例えば机の上やテーブルなどの平らなものの上に載置する。そして携帯電話機のカメラ機構を用いて伝票を撮影する操作を行う。すなわち、カメラ機構を使用した撮影指示が検出されることになる。撮影指示がなされるとステップS35よりステップS37に進み、例えば上記のようにして撮影した画像を取り込む。

【0059】
表示部の画像を確認してサーバ装置100に送れると判断すると送信指示を行い、上述したステップS15よりステップS22の処理に移行し、表示されている撮影画像をサーバ装置100に送ることになる。このサーバ装置100への送信フォーマットには、少なくとも「撮影イメージ情報」と「端末特定情報」とが含まれる。
【0060】
一方、ステップS35で撮影指示でなかった場合にはステップS40に進み、サーバ装置100よりの撮影画像の再送信指示を受信したのか否かを調べる。再送信指示を受信していない場合にはステップS44に進み、送信画像の受理通知を受信したか否かを調べる。
【0061】
送信画像の受理通知を受信していない場合にはステップS48に進み、対応する処理を行う。例えば第三者よりのメールを受信した場合などにおいてはこのメールを受信してメモリに格納し、メール受信を報知するなどの処理を行うなどする。
【0062】
一方、ステップS40で再送信指示を受信した場合には、サーバ100に撮影情報を送信した結果、サーバ100側で送られてきたイメージ情報の品質が満足のいく品質でないと判断した場合で、先の送信情報の破棄と送られてきたイメージ情報の処理が行われなかったことを示している。

【0068】
次の図4、図5を参照してサーバ100側の処理を説明する。サーバ装置100は、ネットワーク300を介して端末装置、例えば携帯電話端末よりのパケット通信を受信したりメールを受信するなどのネットワーク300を介した端末装置よりのアクセスが検出されると図4のステップS100に示す端末装置に関する処理に移行する。

【0070】
端末装置より登録すべき画像が送られてきた場合にはステップS102よりステップS105に進み、端末装置のステップS22に示す処理で送られてくる撮影画像を受信する。
【0071】
そしてステップS200において、品質評価部130を用いて受信したイメージ画像部分の画像の品質が満足のいく品質かどうかを評価する画像品質評価処理を行う。この画像品質評価処理の詳細は後述する。画像品質評価処理による評価が行われるとステップS106に進み、結果画像の品質が良品質と評価されたか否かを調べる。
【0072】
良品質でなかった場合にはステップS107に進み、画像を送ってきた端末装置に対して、通信制御部160、ネットワーク300を介して撮影画像の再送信指示を送る。再送信指示は、例えば送られてきた撮影画像を返信すると共に、画像中に重ねて送信画像品質不良により再送信を指示する旨のメッセージを含ませること等が考えられる。

【0074】
一方、ステップS106で画像の品質が良品質である場合にはステップS106よりステップS110に進み、E文書化するために、E文書であることの認証を行う特定認証センター500から、電子署名とタイムスタンプを受領し、登録イメージに付加してE文書としての認証を受けたことを明確化する。
(中略)
【0077】
その後ステップS112において、文字認識部140を動作させて画像の必要領域について文字認識処理を行う。文字認識結果はステップS112に示す様に、対応する画像イメージ情報と関連付けてデータベース180に登録される。この処理により図2の文字認識結果184が格納され、当該処理を終了することになる。

【0092】
次にステップS200の画像品質評価処理の詳細を図5のフローチャートも参照して以下に説明する。

【0096】
これらの処理により撮影画像の補正を行い、その後ステップS204で所定領域のみ文字認識処理を行う。文字認識する領域は、例えば撮影イメージの四隅部分についてそれぞれ文字認識する。そしてステップS205に進む。
なお、文字認識するのは、伝票種別を表す特定の場所に表された「ロゴ」の認識、あるいは、所定形状のマークの認識処理、識別マークの認識処理、端部近傍の罫線の検出の有無等であり、要求されるイメージの要求レベルに合わせた閾値レベルが設定される。

【0100】
ステップS205において文字認識結果を判断し、文字認識の結果正解の確率が所定閾値以上である場合(あるいは一義的に定まった場合、特定のロゴやマークが認識できた場合)には文字認識できた(イメージの品質が良好)と判断する。
【0101】
文字認識ができたと判断した場合にはステップS206に進み。撮影画像を良品質画像として評価し、補正処理を行った撮影画像を受信画像としてリターンする。
【0102】
一方、ステップS205で文字認識が全くできなかった場合、あるいは文字認識できた文字数が少なかった場合には認識できなかったとしてステップS207に進み、低品質画像として評価し、補正処理をキャンセルしてリターンする。

【0110】
〔第2の実施の形態例〕
以上の説明は、ネットワーク網200に接続可能な端末装置は、カメラ機能を利用して処理対象を撮影してサーバ装置100に送信するのみで、撮影した画像については撮影のやり直しを行うのみであった。
【0111】
しかしながら、本発明は以上の例に限定されるものではなく、端末装置に機能が高い場合には、端末装置側で撮影のみでなく、撮影画像に対する補正あるいは文字認識を行う等、良好な品質の画像であるか否かの判断機能を持たせるようにしても良い。
【0112】
端末装置側で撮影のみでなく、撮影画像に対する補正あるいは文字認識を行う等、良好な品質の画像であるか否かの判断機能を持たせるようにした本発明に係る第2の実施の形態例を以下に説明する。
【0113】
第2の実施の形態例においては、端末装置側に予め画像処理、文字認識処理を行うためのプログラムを格納しておいても、あるいは当該イメージ処理を行う前に、例えばサーバ装置100あるいは他のセンター装置にプログラムのダウンロード要求を行い、要求に応じて送られてくるプログラムをダウンロードして必要な処理を行っても良く、また、処理を行う場合に必要最小限の範囲のプログラムを必要とする毎にその都度少しづつダウンロードして実行するものであってもよい。

【0132】
〔他の実施の形態例〕
以上説明した本実施の形態例では、端末装置、例えば携帯電話機などで撮影されたイメージ情報が適切な品質であるか否かはセンター装置側で全て行う例について説明した。しかし、本発明は以上の例に限定されるものではなく、携帯端末側で一部の品質認定処理を携帯端末側で行う例も本発明の他の実施の形態例に含まれる。

【0134】
この際、認識できた所定イメージ情報から撮影したイメージ情報の種別がある程度判別できるため、ネットワークなどに撮影イメージ情報を送信する時に同時に撮影イメージ種別情報を付加して送信してもよい。これにより、品質不良のイメージ情報を送信して再送となるリスクを未然に防止することができる。
なお、以上の端末装置は、第2の実施の形態例で説明した端末装置に品質判別機能を持たせた例について説明したが、第1の実施の形態例に記載した如くの画像補正機能を有さない端末装置に該品質判別用のパターン認識機能を持たせ、撮影画像に対して直接品質判別用のパターン認識を行い、正しくパターン認識ができたか否かで撮影のやり直しの指示を行うか制御してもよい。

上記記載、並びにこの分野における技術常識を考慮し、以下で検討する。

(ア)上記段落0044の記載から、引用文献1には、カメラ機構付き携帯電話機についての発明が記載されている。

(イ)上記段落0044、0055の記載から、引用文献1のカメラ機構付き携帯電話機は、伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体を撮影し、撮影画像を取り込むものである。
そして、下記(ウ)でも検討するように、引用文献1のカメラ機構付き携帯電話機は、「良品質でなかった場合には、再度撮影操作を行」うものであるから、撮影画像には、最初に撮影した撮影画像および良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像を含むものである。

したがって、引用文献1のカメラ機構付き携帯電話機は、伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体を撮影し、最初に撮影した撮影画像および良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像を取り込むものであるといえる。

(ウ)上記段落0028、0034、0059?0062、0068、0070?0072、0074?0077、0092、0096、0100?0102の記載から、引用文献1のカメラ機構付き携帯電話機は、撮影画像をサーバ装置に送り、サーバ装置は、カメラ機構付き携帯電話機から撮影画像を受信し、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行い、良品質でなかった場合には、撮影画像の再送信指示を送り、良品質である場合には、文字認識部を動作させて文字認識処理を行い、品質評価部における画像品質評価処理は、撮影画像の所定領域の文字認識処理を行い、文字認識の結果正解の確率が所定閾値以上である場合、文字認識できたと判断し、撮影画像を良品質画像として評価するものであり、カメラ機構付き携帯電話機は、サーバ装置よりの撮影画像の再送信指示を受信した場合には、再度撮影操作を行い、再送信するものである。

そして、上記段落0110?0113には、第2の実施の形態例として、端末装置(カメラ機構付き携帯電話機)で撮影のみでなく、文字認識を行い、良好な品質の画像であるか否かの判断機能を持たせること、文字認識処理を行うためのプログラムを格納することが記載され、上記段落0132?0134には、他の実施の形態例として、端末装置(カメラ機構付き携帯電話機)に品質判別用のパターン認識機能を持たせ、撮影画像に対して直接品質判別用のパターン認識を行い、正しくパターン認識ができたか否かで撮影のやり直しの指示を行うことが記載されている。
ここで、良好な品質の画像であるか否かの判断とは、品質を評価することであるから、引用文献1の第2の実施の形態のカメラ機構付き携帯電話機における文字認識を行うこととして、サーバ装置の品質評価部を有する構成を含むものであるといえ、文字認識処理を行うためのプログラムとは、品質を評価するための文字認識処理を行うプログラムであるといえる。
品質評価部を、サーバ装置でなく、カメラ機構付き携帯電話機に有する構成とした場合には、他の実施の形態例のように、撮影画像に対して直接品質判別を行い、判別結果に応じて撮影のやり直しの指示を行うようにするものといえるから、撮影画像に対して、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行い、良品質でなかった場合には、再度撮影操作を行い、良品質である場合には、サーバ装置の文字認識部を動作させて文字認識処理を行うために、撮影画像をサーバ装置に送るものといえる。

したがって、引用文献1のカメラ機構付き携帯電話機は、品質を評価するための文字認識処理を行うプログラムを格納し、良好な品質の画像であるか否かの判断のために、撮影画像に対して、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行い、良品質でなかった場合には、再度撮影操作を行い、良品質である場合には、サーバ装置の文字認識部を動作させて文字認識処理を行うために、撮影画像をサーバ装置に送るものであり、品質評価部における画像品質評価処理は、撮影画像の所定領域の文字認識処理を行い、文字認識の結果正解の確率が所定閾値以上である場合、文字認識できたと判断し、撮影画像を良品質画像として評価するものである。

よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
なお、a?gは、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成a」?「構成g」という。)

(引用発明)
「a カメラ機構付き携帯電話機であって、
b 品質を評価するための文字認識処理を行うプログラムを格納し、
c 伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体を撮影し、最初に撮影した撮影画像および良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像を取り込み、
d 良好な品質の画像であるか否かの判断のために、撮影画像に対して、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行い、
e 良品質でなかった場合には、再度撮影操作を行い、
f 良品質である場合には、サーバ装置の文字認識部を動作させて文字認識処理を行うために、撮影画像をサーバ装置に送るものであり、
g 品質評価部における画像品質評価処理は、撮影画像の所定領域の文字認識処理を行い、文字認識の結果正解の確率が所定閾値以上である場合、文字認識できたと判断し、撮影画像を良品質画像として評価する
a カメラ機構付き携帯電話機。」

(2-2)特開2004-118643号公報の記載事項
原審の拒絶査定に周知技術を示す文献として引用された特開2004-118643号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「IDカード真偽判別補助装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

【0023】
まず、自動契約機20の機能について説明する。ガイダンス部35はCRT37とスピーカ39を制御して、作成希望者へ、装置の操作手順のガイダンスを行なう。入力部40は、タッチパネルを介して、作成希望者から顧客情報等の入力を受け付ける。書類確認機構部45は、書画カメラ47と書画ランプ49を制御して、各種契約書類や運転免許証などの本人確認書類画像を取り込む。カード発行部65では契約カードの発行を司る。制御部50は、各機能部の制御を行なう。通信制御部60は、通信回線網を介してオペレータ端末30との通信制御を行なう。記憶装置55は、自動契約機20での処理に必要な種々のデータを記憶する。
【0024】
次に、オペレータ端末30の機能について説明する。データベース管理部100は、自動契約時に必要となる各種データベース110を管理する。このデータベース110の詳細は、後述するが、運転免許証の真偽判断の基準となる特徴的な部分(以下、特徴情報と呼ぶ)を、多数記憶したデータベースが含まれる。制御部70は、各機能部の制御や、自動契約機20で取り込んだ運転免許証の画像データに基づき「発行日」、「発行機関」などの文字認識を行なう。通信制御部75は、通信回線網を介して自動契約機20との通信制御を行なう。抽出部95は、制御部70が文字認識した「発行日」と「発行機関」により、データベース110から特徴情報を抽出する。補助部85は、抽出部95が抽出した特徴情報を、運転免許証の真偽判別を補助するための情報として出力する。

【0048】
B.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に様々な形態で実施しうることは勿論である。例えば、IDカードは運転免許証140に限らず、保険証や社員証などであってもよい。

(2-3)特開2009-146171号公報の記載事項
原審の拒絶査定に周知技術を示す文献として引用された特開2009-146171号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「カード発行方法、カード発行システム、カード有効化装置および与信用のカード」として図面とともに以下の事項が記載されている。

【0038】
受信手段22Aは、通信装置21を介して、携帯電話10などからの情報を受信する手段である。また、受信手段22Aは、必要に応じて、受信した情報を記憶装置23に格納したり、他の手段に受信した情報を転送したりする。具体的には、携帯電話10から送信された2次元コード(2次元コードに含まれる所定の番号)を受信して、申込画面情報取得手段22Cに転送する。また、携帯電話10から送信された申込情報を受信して、カードDB25の申込情報フィールド25Cに格納する。また、携帯電話10から送信された身分証明書の画像データを受信して、公知のOCR処理などをして画像データから住所情報を抽出し、カードDB25の証明書住所フィールド25Dに格納する。

(3)対比
補正後発明と引用発明を対比する。

(a)構成Aと構成aの対比について
(a-1)構成aの「カメラ機構付き携帯電話機」は、携帯可能な情報機器であり、構成Aの「モバイルコンピューティングデバイス」に相当する。
(a-2)また、構成aの「カメラ機構付き携帯電話機」は、構成b?構成gにより、伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体の必要部位を撮影し、良品質の撮影画像を送るものであるから、画像を選別するものといえ、構成Aの「画像をフィルタリングする」構成を有するものである。
(a-3)したがって、引用発明は、補正後発明の構成Aに相当する構成を有するものである。

(b)構成B、C1、C2、D1、D7と構成bについて
構成bの「品質を評価するための文字認識処理を行うプログラムを格納」とは、構成c?gの動作を行うプログラムを格納する格納部を有し、カメラ機構付き携帯電話機は当該プログラムを処理するものであるから、プログラムを処理するための処理部を有し、処理部は、プログラムを実行するために、プログラムを格納する格納部と通信するものといえる。

したがって、引用発明は、補正後発明の構成B、C1、C2、D1、D7のような、「ストレージリソースと、」「前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、」「前記ストレージリソースに記憶され、前記モバイルコンピューティングデバイスに」(種々の動作をさせる)「コンピュータ可読命令」「を実行するように構成される、プロセッサ」に相当する構成を有するものである。

(c)構成D2と構成cについて
構成cの「伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体」と、構成D2の「カード」は、「撮影することが可能な物体」である点で共通する。
また、構成cの「最初に撮影した撮影画像および良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」は、下記(d)で検討するように、構成D2の「第1の画像および第2の画像」に相当する。

そして、構成cの「撮影画像を取り込」むことは、撮影した撮影画像をカメラ機構付き携帯電話機に取り込ませることであるから、構成D2の「第1の画像および第2の画像を受信させ」ることに相当する。
そうすると、構成D2と構成cは、「撮影することが可能な物体の第1の画像および第2の画像を受信させ」るという点で共通する。
しかしながら、受信させる撮影画像の撮影対象について、補正後発明は、「カード」であるのに対し、引用発明は、「伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体」であり、「カード」に限定されるものではない点で相違する。

(d)構成D3?D6と構成d?fについて
(d-1)構成dの「良好な品質の画像であるか否かの判断」は、良品質の場合には、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いが、良品質でなかった場合には、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高くないために判断するものであり、撮影画像がサーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いかどうか判断するためのものである。
そして、構成dの「撮影画像」は、「最初に撮影した撮影画像」、「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」のいずれでも可能である。
ここで、撮影画像が「最初に撮影した撮影画像」であるとすると、構成dは、『最初に撮影した撮影画像がサーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いかどうか判断するために、最初に撮影した撮影画像に対して、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行う』ものといえる。

(d-2)構成eは、「最初に撮影した撮影画像」が良品質でなかった、すなわち、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高くないと判断すると、当該「最初に撮影した撮影画像」を使用せず、再度撮影操作を行うものであり、再度撮影操作をすることにより得られた「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」に対しても、構成dと同様に、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行うものである。
よって、構成eは、『最初に撮影した撮影画像がサーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高くないと判断すると、当該最初に撮影した撮影画像を使用せず、再度撮影操作を行い、良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像に対して、品質評価部を用いて画像品質評価処理を行う』ものといえる。

(d-3)構成fの「撮影画像」は、「最初に撮影した撮影画像」、「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」のいずれでも可能である。
ここで、「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」が良品質である場合、すなわち、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いと判断すると、「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」を送るものであるとすると、構成fは、『良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像がサーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いと判断すると、文字認識処理を実行するサーバ装置に良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像を送る』ものといえる。

(d-4)以上のことから、構成d?fの『最初に撮影した撮影画像』、『良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像』は、構成D3?D6の「第1の画像」、「第2の画像」に相当する。
構成d、eの『品質評価部を用いて画像品質評価処理を行う』ことは、構成gのように、「所定領域の文字認識処理を行」うことであるから、構成D3、D5の「特徴を分析させ」ることに相当する。
構成eの『当該最初に撮影した撮影画像を使用せず、再度撮影操作を行』うことは、構成D4の「第1の画像を拒絶させ」ることに相当する。
構成d?fの『文字認識処理』と、構成D3?D6の「光学式文字認識アルゴリズム」は、「文字認識アルゴリズム」である点で共通する。
構成fの『サーバ装置』は、構成D6の「光学式文字認識システム」と、「文字認識システム」である点で共通する。

(d-5)以上まとめると、補正後発明の構成D3?D6と引用発明の構成d?fは、
「前記第1の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記文字認識アルゴリズムを実行する文字認識システムに前記第2の画像を送信させる」
という点で共通する。

(d-6)しかしながら、文字認識アルゴリズム、文字認識システムに関して、補正後発明は、光学式文字認識アルゴリズム、光学式文字認識システムであるのに対し、引用発明は、「光学式」であることに限定されていない点で相違する。

(d-7)また、「前記文字認識アルゴリズムを実行する文字認識システムに前記第2の画像を送信させる」ことに関して、補正後発明は、「光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、」送信させることに限定されているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点で相違する。

(e)構成D8?D10と構成gについて
構成gの「撮影画像の所定領域の文字認識処理を行い、文字認識の結果正解の確率が所定閾値以上」とは、所定領域に含まれている文字のうち、何文字が検出できたかを確率で表現し、当該確率が所定の閾値以上であるということであり、所定領域に含まれている文字の数は既知であるから、文字認識できた文字の数が予め決めていた値以上と判定された場合のことであるといえる。また、構成gの「文字認識できたと判断し、撮影画像を良品質画像として評価する」ことは、撮影画像が、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いと判断することである。
よって、構成gと構成D8?D10は、「前記分析に関するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに前記画像内のテキストを検出させ、前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む」という点で共通する。
しかしながら、上記(d-6)と同様に、文字認識アルゴリズムに関して、補正後発明は、光学式文字認識アルゴリズムであるのに対し、引用発明は、「光学式」であることに限定されていない点で相違する。

(4)一致点及び相違点
以上まとめると、補正後発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(a)一致点
「画像をフィルタリングするためのモバイルコンピューティングデバイスであって、
ストレージリソースと、
前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、
前記ストレージリソースに記憶され、前記モバイルコンピューティングデバイスに
撮影することが可能な物体の第1の画像および第2の画像を受信させ、
前記第1の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記文字認識アルゴリズムを実行する文字認識システムに前記第2の画像を送信させる
コンピュータ可読命令
を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
前記分析に関するステップが、前記モバイルコンピューティングデバイスに
前記画像内のテキストを検出させ、
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
モバイルコンピューティングデバイス。」

(b)相違点
(b-1)相違点1
受信させる撮影画像の撮影対象について、補正後発明は、「カード」であるのに対し、引用発明は、「伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体」であり、「カード」に限定されるものではない点。

(b-2)相違点2
「文字認識アルゴリズム」、「文字認識システム」に関して、補正後発明は、「光学式文字認識アルゴリズム」、「光学式文字認識システム」であるのに対し、引用発明は、光学式であることに限定されていない点。

(b-3)相違点3
「前記文字認識アルゴリズムを実行する文字認識システムに前記第2の画像を送信させる」ことに関して、補正後発明は、「前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために」送信させることに限定されているのに対し、引用発明は、そのような限定がない点。

(5)相違点についての検討
(5-1)相違点1について
引用発明は、「伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体」であるが、上記(2-2)、(2-3)で周知技術を示す文献として提示した引用文献2、3に記載されているように、カードを読み取り、文字認識処理を行うことは、周知の技術思想であり、引用発明の「伝票等の撮影することが可能なあらゆる書類あるいは物体」として、「カード」に限定し、補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5-2)相違点2について
文字認識として、光学式文字認識は、周知慣用の技術であり、引用発明における「文字認識」を「光学式文字認識」とし、補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5-3)相違点3について
モバイルコンピューティングデバイスがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムに第2の画像を送信させるコンピュータ可読命令を実行するように構成されるプロセッサを含むモバイルコンピューティングデバイスにおいて、「前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために」という事項を追加することについて検討する。
当該「該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために」という事項は、当該モバイルコンピューティングデバイスに、『ネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受ける構成』、『該文字認識結果を前記カードの情報として使用する構成』を追加するものとはいえず、相違点3に係る構成は、実質的な相違点ではない。

もしここで、当該「該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために」という事項が、モバイルコンピューティングデバイスの構成に何らかの構成を追加するものであるならば、上記2で検討したように、特許法第17条の2第5項に記載されたいずれの事項を目的とするものでない。

そして、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

よって、請求項14に係る発明の補正が、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるとしても、補正後発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3に記載された周知技術、周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、請求項14に係る発明の補正が、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年6月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?19に係る発明は、平成29年2月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?19に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項14に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、A’?D10については、説明のために当審にて付したものであり、補正後発明と異なる構成については、’を付している。
(以下、「構成A’」?「構成D10」という。)

(本願発明)
A’ 画像をフィルタリングするためのシステムであって、
B ストレージリソースと、
C1 前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、
D1’ 前記ストレージリソースに記憶され、前記システムに
D2 カードの第1の画像および第2の画像を受信させ、
D3 前記第1の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
D4 前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
D5 前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
D6’ 前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第1の画像を送信させる
D7 コンピュータ可読命令
C2 を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
D8’ 前記分析に関するステップが、前記システムに
D9 前記画像内のテキストを検出させ、
D10 前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が光学式文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
A’ システム。

2 各引用文献の記載事項及び引用発明について
原審の拒絶理由に引用された引用文献1?3、及び、その記載事項は、上記第2 3(2)に記載したとおりである。

3 対比
本願発明は、上記第2 3で検討した補正後発明において、「モバイルコンピューティングデバイス」を「システム」とし、「前記第2の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記モバイルコンピューティングデバイがネットワークを介して接続可能な光学式文字認識システムより前記カードの情報である文字認識結果の供給を受け、該文字認識結果を前記カードの情報として使用するために、前記光学式文字認識アルゴリズムを実行する前記光学式文字認識システムに前記第2の画像を送信させる」を「前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記光学式文字認識アルゴリズムに関連する光学式文字認識システムに前記第1の画像を送信させる」としたものである。

(a)構成A’と構成aの対比について
(a-1)構成aの「カメラ機構付き携帯電話機」は、複数の機能が組み合わされて機能している情報機器であり、構成A’の「システム」に相当する。

以下、上記第2 3(3)(a-2)、(a-3)の記載を援用する。

(b)構成B、C1、C2、D1’、D7と構成bについては、上記第2 3(3)(b)の記載を援用する。

(c)構成D2と構成cについては、上記第2 3(3)(c)の記載を援用する。

(d)構成D3?D6’と構成d?fについて
(d-1)上記第2 3(3)(d-1)、(d-2)の記載を援用する。

(d-2)構成fの「撮影画像」は、「最初に撮影した撮影画像」、「良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像」のいずれでも可能である。
ここで、「最初に撮影した撮影画像」が良品質である場合、すなわち、サーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いと判断すると、「最初に撮影した撮影画像」を送るものであるとすると、構成fは、『最初に撮影した撮影画像がサーバ装置の文字認識部における文字認識処理で成功する可能性が高いと判断すると、文字認識処理を実行するサーバ装置に最初に撮影した撮影画像を送る』ものといえる。

(d-3)以上のことから、構成d?fの『最初に撮影した撮影画像』、『良品質でなかった場合に再度撮影した撮影画像』は、構成D3?D6’の「第1の画像」、「第2の画像」に相当する。
構成d、eの『品質評価部を用いて画像品質評価処理を行う』ことは、構成gのように、「所定領域の文字認識処理を行」うことであるから、構成D3、D5の「特徴を分析させ」ることに相当する。
構成eの『当該最初に撮影した撮影画像を使用せず、再度撮影操作を行』うことは、構成D4の「第1の画像を拒絶させ」ることに相当する。
構成d?fの『文字認識処理』と、構成D3?D6’の「光学式文字認識アルゴリズム」は、「文字認識アルゴリズム」である点で共通する。
構成fの『サーバ装置』は、構成D6’の「光学式文字認識システム」と、「文字認識システム」である点で共通する。

(d-4)以上まとめると、補正後発明の構成D3?D6’と引用発明の構成d?fは、
「前記第1の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記文字認識アルゴリズムに関連する文字認識システムに前記第1の画像を送信させる」
という点で共通する。

(d-5)上記第2 3(3)(d-6)の記載を援用する。

(e)構成D8’?D10と構成gについては、上記第2 3(3)(e)の記載を援用する。

4 一致点及び相違点
以上まとめると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(a)一致点
「画像をフィルタリングするためのシステムであって、
ストレージリソースと、
前記ストレージリソースに通信可能なように結合されたプロセッサであって、
前記ストレージリソースに記憶され、前記システムに
物体の第1の画像および第2の画像を受信させ、
前記第1の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定するために、前記第1の画像の特徴を分析させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高くないと判定することに応じて、前記第1の画像を拒絶させ、
前記第2の画像の特徴を分析して、前記第2の画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いかどうかを判定させ、
前記第1の画像が使用され得る可能性が高いと判定することに応じて、前記文字認識アルゴリズムに関連する文字認識システムに前記第1の画像を送信させ、
前記分析に関するステップが、前記システムに
前記画像内のテキストを検出させる
コンピュータ可読命令
を実行するように構成される、プロセッサとを含み、
前記分析に関するステップが、前記システムに
前記画像内で検出されたテキストの量が構成された閾値を超えると判定すると、前記画像が文字認識アルゴリズムによって使用され得る可能性が高いと判定させるコンピュータ可読命令を含む
システム。」

(b)相違点
上記第2 3(4)(b-1)?(b-2)の記載を援用する。

5 相違点についての検討
上記第2 3(5)(5-1)?(5-2)の記載を援用する。

したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3に記載された周知技術、周知慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

第4 まとめ
以上のとおり、本願の請求項14に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3に記載された周知技術、周知慣用の技術思想に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-06-06 
結審通知日 2018-06-11 
審決日 2018-06-22 
出願番号 特願2016-528852(P2016-528852)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐田 宏史  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 渡辺 努
樫本 剛
発明の名称 カードのOCR画像のクライアント側フィルタリング  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  

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