• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1345737
審判番号 不服2017-15726  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-24 
確定日 2018-11-05 
事件の表示 特願2014-551036「復号装置、復号方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月12日国際公開、WO2014/087860〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)11月25日(優先権主張 平成24年12月6日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成29年 7月 3日付け:拒絶理由通知書
平成29年 8月 4日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 8月31日付け:拒絶査定
平成29年 9月 5日 :拒絶査定の謄本の送達
平成29年10月24日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成29年10月24日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成29年10月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成29年8月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?10を補正するものであるところ、そのうちの請求項1に記載された、

「タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部
を備え、
前記並列復号部は、前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する
復号装置。」

という発明を、平成29年10月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部
を備え、
前記並列復号部は、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する
復号装置。」

という発明に補正することを含むものである。
なお、下線は、補正箇所である。

2.新規事項の有無、単一性、補正の目的について
本件補正は、平成29年8月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「前記画像」を、「タイルおよびスライスを含む前記画像」とする補正であり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものである。

また、「前記画像」に関して、「タイルおよびスライスを含む前記画像」と補正するものであり、補正前の発明の発明特定事項を限定する補正である。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項、第4項の規定に適合するものであり、同条第5項第2号の特許請求の範囲を減縮することを目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、上記補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、上記の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A?Cについては、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成A」?「構成C」という。)

「A タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部
を備え、
B 前記並列復号部は、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する
C 復号装置。」

(2)引用文献1の記載事項及び引用発明Aについて
(2-1)引用文献1の記載事項
原審の拒絶査定に、引用文献1として引用された、米国特許出願公開第2012/0230428号明細書には、「VIDEO DECODER FOR SLICES」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、括弧内は、当審で作成した仮訳であり、下線は、説明のために当審にて付したものである。

[0031]An input picture comprising a plurality of macroblocks may be partitioned into one or several slices. The values of the samples in the area of the picture that a slice represents may be properly decoded without the use of data from other slices provided that the reference pictures used at the encoder and the decoder are the same and that de-blocking filtering does not use information across slice boundaries. Therefore, entropy decoding and macroblock reconstruction for a slice does not depend on other slices. In particular, the entropy coding state may be reset at the start of each slice. The data in other slices may be marked as unavailable when defining neighborhood availability for both entropy decoding and reconstruction. The slices may be entropy decoded and reconstructed in parallel. No intra prediction and motion-vector prediction is preferably allowed across the boundary of a slice. In contrast, de-blocking filtering may use information across slice boundaries.
(複数のマクロブロックを含む入力ピクチャは、1または数個のスライスに区分することができる。エンコーダおよびデコーダで使用された参照ピクチャが同一であり、デブロッキングフィルタリングがスライス境界を越える情報を使用しないことで、スライスが表すピクチャの領域内のサンプルの値は、他のスライスから供給されるデータを使わずに適切に復号されることができる。したがって、あるスライスに対するエントロピ復号およびマクロブロックの再構築は、他のスライスには依存しない。具体的には、エントロピ符号化の状態は、各スライスの開始時にリセットされうる。他のスライス中のデータは、エントロピ復号および再構築のための近傍利用可能性を定義する際に、利用不可能としてマークされうる。スライスは、並列してエントロピ復号され、再構築されることが可能である。望ましくは、イントラ予測および動きベクトル予測はスライスの境界を越えることができない。これに対し、デブロッキングフィルタリングは、スライス境界をまたがる情報を使用することが可能である。)

[0032]FIG. 3 illustrates an exemplary video picture 90 comprising eleven macroblocks in the horizontal direction and nine macroblocks in the vertical direction (nine exemplary macroblocks labeled 91-99). FIG.3 illustrates three exemplary slices: a first slice denoted "SLICE #0 " 100 , a second slice denoted "SLICE #1" 101 and a third slice denoted "SLICE #2" 102. An H.264/AVC decoder may decode and reconstruct the three slices 100, 101, 102 in parallel. Each of the slides(slicesの誤記であることは明らかである。) may be transmitted in scan line order in a sequential manner. At the beginning of the decoding/reconstruction process for each slice, context models are initialized or reset and macroblocks in other slices are marked as unavailable for both entropy decoding and macroblock reconstruction. Thus, for a macroblock, for example, the macroblock labeled 93, in "SLICE #1," macroblocks (for example, macroblocks labeled 91 and 92) in "SLICE #0" may not be used for context model selection or reconstruction. Whereas, for a macroblock, for example, the macroblock labeled 95, in "SLICE #1," other macroblocks (for example, macroblocks labeled 93 and 94) in "SLICE #1" may be used for context model selection or reconstruction. Therefore, entropy decoding and macroblock reconstruction proceeds serially within a slice. Unless slices are defined using a flexible macroblock ordering (FMO), macroblocks within a slice are processed in the order of a raster scan.
(図3は、水平方向に11個のマクロブロックおよび垂直方向に9個のマクロブロックを含む、例示的なビデオピクチャ90を示す(9個の例示的なマクロブロックが91?99としてラベル付けされている)。図3は、3つの例示的なスライス、すなわち、「スライス#0」と表示された第一スライス100、「スライス#1」と表示された第二スライス101、および「スライス#2」と表示された第三スライス102を示す。H.264/AVCデコーダは、3つのスライス100、101、102を並列して復号し再構築することが可能である。スライスの各々は、シーケンシャル方式で走査線の順に送信されることができる。各スライスに対する復号/再構築処理の開始時に、コンテキストモデルが初期化またはリセットされ、他のスライス中のマクロブロックは、エントロピ復号およびマクロブロック再構築の両方に対し利用不可能としてマークされる。しかして、例えば、93とラベルされたマクロブロックのような「スライス#1」中のマクロブロックに対しては、コンテキストモデル選択または再構築のために、(例えば、91および92とラベルされたマクロブロックのような)「スライス#0」中のマクロブロックは使用されることができない。一方で、例えば、95とラベルされたマクロブロックのような「スライス#1」中のマクロブロックに対しては、コンテキストモデル選択または再構築のために、(例えば、93および94とラベルされたマクロブロックのような)「スライス#1」中の他のマクロブロックが使用されることができる。したがって、エントロピ復号およびマクロブロック再構築は、一スライス内で連続的に進行する。スライスが、フレキシブルマクロブロックオーダリング(FMO)を使って定義されている場合を除いて、スライス内のマクロブロックは、ラスタ走査の順に処理される。)

[0041]Referring to FIG. 7, a tile technique divides an image into a set of rectangular (inclusive of square) regions. The macroblocks (e.g., largest coding units) within each of the tiles are encoded and decoded in a raster scan order. The arrangement of tiles are likewise encoded and decoded in a raster scan order. Accordingly, there may be any suitable number of column boundaries (e.g., 0 or more) and there may be any suitable number of row boundaries (e.g., 0 or more). Thus, the frame may define one or more slices, such as the one slice illustrated in FIG. 7. In some embodiments, macroblocks located in different tiles are not available for intra-prediction, motion compensation, entropy coding context selection or other processes that rely on neighboring macroblock information.
(図7を参照すると、タイル技法は、画像を矩形(正方形を含む)領域のセットに分割する。タイルの各々の内のマクロブロック(例えば、最大の符号化単位)は、ラスタ走査順に符号化され、復号される。タイルの配列も、同様にラスタ走査順に符号化され、復号される。これに応じて、任意の適切な数(例、0以上)の列の境界を設けることができ、任意の適切な数(例、0以上)の行の境界を設けることができる。しかして、フレームは、図7に示された一つのスライスのような、一つ以上のスライスを定義することが可能である。いくつかの実施形態において、異なるタイルに位置されるマクロブロックは、隣接するマクロブロックの情報に依存する、イントラ予測、動き補償、エントロピ符号化のコンテキスト選択、または他の処理には利用できない。)

[0042]Referring to FIG. 8, the tile technique is shown dividing an image into a set of three rectangular columns. The macroblocks (e.g., largest coding units) within each of the tiles are encoded and decoded in a raster scan order. The tiles are likewise encoded and decoded in a raster scan order. One or more slices may be defined in the scan order of the tiles. Each of the slices are independently decodable. For example, slice 1 may be defined as including macroblocks 1-9, slice 2 may be defined as including macroblocks 10-28, and slice 3 may be defined as including macroblocks 29-126 which spans three tiles. The use of tiles facilitates coding efficiency by processing data in more localized regions of a frame.
(図8を参照すると、タイル技法は、画像を3つの矩形列のセットに分割していることが示されている。タイルの各々の内のマクロブロック(例えば、最大の符号化単位)は、ラスタ走査順に符号化され、復号される。タイルも、同様にラスタ走査順に符号化され、復号される。一つ以上のスライスは、タイルの走査順に定義されることができる。スライスの各々は独立的に復号可能である。例えば、スライス1はマクロブロック1?9を含むように定義することができ、スライス2はマクロブロック10?28を含むように定義することができ、スライス3は3つのタイルにまたがるマクロブロック29?126を含むように定義することができる。タイルの使用は、フレームのさらに局所化された領域のデータを処理することによって符号化の効率化を促進する。)

[0043]In one embodiment, the entropy encoding and decoding process is initialized at the beginning of each tile. At the encoder, this initialization may include the process of writing remaining information in the entropy encoder to the bit-stream, a process known as flushing, padding the bit-stream with additional data to reach one of a pre-defined set of bit-stream positions, and setting the entropy encoder to a known state that is pre-defined or known to both the encoder and decoder. Frequently, the known state is in the form of a matrix of values. Additionally, a pre-defined bit-stream location may be a position that is aligned with a multiple number of bits, e.g. byte aligned. At the decoder, this initialization process may include the process of setting the entropy decoder to a known state that is known to both the encoder and decoder and ignoring bits in the bit-stream until reading from a pre-defined set of bit-stream positions.
(一つの実施形態において、エントロピ符号化および復号プロセスは、各タイルの開始時に初期化される。エンコーダにおいて、この初期化は、エントロピエンコーダ中に残存する情報をビットストリームに書き出すことと、フラッシングすること、ビットストリーム位置の事前定義されたセットの一つに到達するための追加情報をビットストリームにパディングすること、エントロピエンコーダを、事前定義された、またはエンコーダおよびデコーダの両方に知られている既知の状態に設定することとして知られるプロセス、を含むことができる。多くの場合、この既知の状態は、値のマトリックスの形を取る。さらに、事前定義されたビットストリームの位置はビットの倍数に整列された、例えばバイト整列、位置とすることができる。デコーダにおいて、この初期化プロセスには、エントロピデコーダを、エンコーダおよびデコーダの両方に知られている既知の状態に設定し、ビットストリーム位置の事前定義されたセットから読み取るまでビットストリーム中のビットを無視するプロセスを含めることができる。)

[0044]In some embodiments, multiple known states are available to the encoder and decoder and may be used for initializing the entropy encoding and/or decoding processes. Traditionally, the known state to be used for initialization is signaled in a slice header with an entropy initialization indicator value. With the tile technique illustrated in FIG. 7 and FIG. 8, tiles and slices are not aligned with one another. Thus, with the tiles and slices not being aligned, there would not traditionally be an entropy initialization indicator value transmitted for tiles that do not contain a first macro-block in raster scan order that is co-located with the first macroblock in a slice. For example referring to FIG. 7, macroblock 1 is initialized using the entropy initialization indicator value that is transmitted in the slice header but there is no similar entropy initialization indicator value for macroblock 16 of the next tile. Similar entropy initialization indicator information is not typically present for macroblocks 34, 43, 63, 87, 99, 109, and 121 for the corresponding tiles for the single slice (which has a slice header for macroblock 1).
(いくつかの実施形態において、複数の既知の状態が、エンコーダおよびデコーダに対して利用可能であって、エントロピ符号化および/または復号プロセスの初期化のために使用されることができる。伝統的に、初期化に用いられる既知の状態は、エントロピ初期化インジケータ値でスライスヘッダの中に示される。図7および図8に示されたタイル技法では、タイルとスライスとは相互に整列されていない。しかして、タイルとスライスとが整列されていないので、伝統的に、スライス中の最初のマクロブロックと同一場所に位置した、ラスタ走査順で最初のマクロブロックを包含していないタイルに対しては、エントロピ初期化インジケータ値は送信されないようになっている。例えば図7を参照すると、マクロブロック1は、スライスヘッダにおいて送信されたエントロピ初期化インジケータ値を使って初期化されるが、次のタイルのマクロブロック16に対しては、同様なエントロピ初期化インジケータ値はない。一般に、同様なエントロピ初期化インジケータ情報は、単一のスライス(これはマクロブロック1に対するスライスヘッダを有する)の当該対応タイル群に対する、マクロブロック34、43、63、87、99、109、および121に対しても存在しない。)

[0045]Referring to FIG. 8, in a similar manner for the three slices, an entropy initialization indicator value is provided in the slice headers for macroblock 1 of slice 1, provided in the slice header for macroblock 10 of slice 2, and provided in the slice header for macroblock 29 of slice 3. However, in a manner similar to FIG. 7, there lacks an entropy initialization indicator value for the central tile (starting with macroblock 37) and the right hand tile (starting with macroblock 100). Without the entropy initialization indicator value for the middle and right hand tiles, it is problematic to efficiently encode and decode the macroblocks of the tiles in a parallel fashion and with high coding efficiency.
(図8を参照すると、3つのスライスに対し同様な方法で、エントロピ初期化インジケータ値がスライス1のマクロブロック1に対するスライスヘッダ中に設けられ、スライス2のマクロブロック10に対するスライスヘッダ中に設けられ、そしてスライス3のマクロブロック29に対するスライスヘッダ中に設けられている。しかしながら、図7と同様な方法で、中央部タイル(マクロブロック37から始まる)および右側タイル(マクロブロック100から始まる)に対しては、エントロピ初期化インジケータ値が欠けている。中央部および右側タイルに対するエントロピ初期化インジケータ値なしでは、並列方式で高い符号化効率によって、タイルのマクロブロックを効果的に符号化し復号するのに問題がある。)

[0046]For systems using one or more tiles and one or more slices in a frame, it is preferable to provide the entropy initialization indicator value together with the first macroblock (e.g., largest coding unit) of a tile. For example, together with macroblock 16 of FIG. 7, the entropy initialization indicator value is provided to explicitly select the entropy initialization information. The explicit determination may use any suitable technique, such as for example, indicate that a previous entropy initialization indicator value should be used, such as that in a previous slice header, or otherwise send the entropy initialization indicator value associated with the respective macroblock/tile. In this manner, while the slices may include a header that includes an entropy index value, the first macroblock in a tile may likewise include an entropy initialization indicator value.
(フレーム中に一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを用いるシステムに対し、タイルの最初のマクロブロック(例、最大の符号化単位)と共にエントロピ初期化インジケータ値を提供することが望ましい。例えば、エントロピ初期化情報を明示的に選択するために、図7のマクロブロック16と一緒にエントロピ初期化インジケータ値が提供される。この明示的な選定は、例えば、前のスライスヘッダ中のもののように前回のエントロピ初期化インジケータ値が使われるように指定するとか、またはそうでなければそれぞれのマクロブロック/タイルに関連付けたエントロピ初期化インジケータ値を送信するとか、任意の適切な技法を使うことが可能である。このようにして、スライスはエントロピ指標値を含むヘッダを含むことを可能にしながら、タイル中の最初のマクロブロックは同様にエントロピ初期化インジケータ値を含むことができる。)

[0053]tile_enable_flag determines if tiles are used in the current picture.
(tile_enable_flagは、現在のピクチャにタイルが使われているかどうかを決定する。)

[0054]Referring to FIGS. 10A and 10B, a technique to provide a suitable entropy initialization indicator value information for a tile may be as follows
(図10Aおよび10Bを参照すると、タイルに対する適切なエントロピ初期化インジケータ値情報を提供する技法は以下のようにすることができる。)

[0055]First, check to see if the macroblock (e.g., coding unit) is the first macroblock in a tile. Thus, the technique determines the first macroblock of a tile that may include an entropy initialization indicator value. Referring to FIG. 7, this refers to macroblocks 1, 16, 34, 43, 63, 87, 99, 109, and 121. Referring to FIG. 8, this refers to macroblocks 1, 37, and 100.
(第一に、当該マクロブロック(例、符号化ユニット)がタイルの最初のマクロブロックかどうかを確認する。しかして、本技法は、エントロピ初期化インジケータ値を含むことを可能とする、タイルの最初のマクロブロックを判別する。図7を参照すると、マクロブロック1、16、34、43、63、87、99、109、および121がこれにあたる。図8を参照すると、マクロブロック1、37、および100がこれにあたる。)

[0056]Second, check to see if the first macroblock (e.g., coding unit) of the tile is not the first macroblock (e.g., coding unit) of the slice. Thus, the technique identifies additional tiles within the slice. Referring to FIG. 7, this refers to macroblocks 16, 34, 43, 3, 87, 99, 109, and 121. Referring to FIG. 8, this refers to macroblocks 37 and 100.
(第二に、そのタイルの最初のマクロブロック(例、符号化ユニット)がスライスの最初のマクロブロック(例、符号化ユニット)でないことを確認する。しかして、本方式はスライス内のさらなるタイルを識別する。図7を参照すると、マクロブロック16、34、43、63、87、99、109、および121がこれにあたる。図8を参照すると、マクロブロック37および100がこれにあたる。)

[0057]Third, check to see if the tile_cabac_init_idc_flag is equal to a first value and if tiles are enabled. In one specific embodiment, this value is equal to 0. In a second embodiment, this value is equal to 1. In an additional embodiment, tiles are enabled when (num_column_min1>0 && num_rows_min1>0). In another embodiment, tiles are enabled when tile_enable flag equal to 1.
(第三に、tile_cabac_init_idc_flagが第一値に等しいかどうか、およびタイルが有効かどうかを確認する。一つの特定の実施形態において、この値は0に等しい。第二の実施形態では、この値は1に等しい。さらなる実施形態において、タイルは、(num_column_min1>0 && num_rows_min1>0)である場合に有効である。別の実施形態において、タイルは、tile_enable flagが1に等しいときに有効である。)

[0058]For such identified macroblocks the cabac_init_idc_present_flag may be set.
(そのような識別されたマクロブロックに対し、cabac_init_idc_present_flagが設定されることができる。)

[0059]Then the system may only signal cabac_init_idc_flag if tile_cabac_init_idc_flag is present and if (num_column_minus1>0 && num_rows_min1>0). Thus, the system only sends the entropy information if tiles are being used and the flag indicates the entropy information is being sent (i.e., cabac_init_idc flag).
(次いで、システムは、tile_cabac_init_idc_flagが存在する場合であって、且つ(num_column_minus1>0 && num_rows_min1>0)の場合にだけ、cabac_init_idc_flagを信号伝達することができる。しかして、システムは、タイルが使われており、フラグがエントロピ情報が送信されることを示している(すなわち、cabac_init_idc flag)場合にだけエントロピ情報を送信する。)

[0061]In general, one or more flag(s) associated with the first macroblock (e.g., coding unit) of a tile not associated with the first macroblock of a slice may define an entropy initialization indicator value. A flag may indicate whether the entropy initialization indicator value is previously provided information, a default value, or otherwise entropy initialization indicator value to be provided.
(一般に、スライスの最初のマクロブロックに関連しないタイルの最初のマクロブロック(例、符号化ユニット)に関連付けられた一つ以上のフラグ(群)は、エントロピ初期化インジケータ値を定義することができる。フラグは、エントロピ初期化インジケータ値が、前に提供された情報であるか、デフォルト値であるか、または別途に提供されることになるエントロピ初期化インジケータ値であるかを示すことができる。)

[0062]Referring again to FIG. 7, the decoder knows the location of macroblock 16 in the picture frame but due to entropy encoding is not aware of the positions of bits describing macroblock 16 in the bitstream until macroblock 15 is entropy decoded. This manner of decoding and identifying the next macroblock maintains a low bit overhead, which is desirable. However, it does not facilitate tiles to be decoded in parallel. To increase the ability to identify a specific position in the bit-stream for a specific tile in a frame, so that the different tiles may be simultaneously decoded in parallel in the decoder without waiting for completion of the entropy decoding, a signal may be included in the bitstream identifying the location of tiles in the bit-stream. Referring to FIG. 11, the signaling of the location of tiles in the bit-stream is preferably provided in the header of a slice. If a flag indicates that the location of tiles in the bitstream is transmitted within the slice, then in addition to the location within the slice of the first macroblock of each of the tile(s) within the slice it also preferably includes the number of such tiles within the frame. Further, the location information may be included for only a selected set of tiles, if desired.
(再度図7を参照すると、デコーダは、ピクチャフレームの中のマクロブロック16の場所は知っているが、エントロピ符号化により、マクロブロック15がエントロピ復号されるまでは、ビットストリーム中のマクロブロック16を表すビットの位置は分からない。復号を行って次のマクロブロックを識別するこのやり方は、低度のビットオーバーヘッドを維持し、その点では望ましいものである。だが、これはタイルを並列して復号する助力にはならない。デコーダ中で、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、フレーム中の特定のタイルに対する、ビットストリーム中の特定の位置を識別する能力を向上させるために、ビットストリーム中のタイルの位置を識別するように、信号がビットストリーム中に含まれることを可能にする。図11を参照すると、ビットストリーム中のタイルの位置の信号伝達は、望ましくは、スライスのヘッダの中で提供される。フラグが、ビットストリーム中のタイルの位置がスライスの中で送信されることを示しているならば、これは、スライス内のタイル(群)の各々の最初のマクロブロック内のスライスの位置に加え、望ましくはフレーム内のかかるタイルの数も含む。さらに、この位置情報は、必要ならば、選択されたタイルのセットに対するものだけを含めることが可能である。)

[0067]As another technique to increase the ability to identify different tiles, so that the different tiles may be processed in parallel in the decoder without waiting for the entropy decoding, markers within the bitstream associated with the start of each tile may be used. These tile markers are included within the bitstream in such a manner that they can be identified without entropy decoding of that particular portion of the bitstream. In one embodiment the marker may begin with 0x000001, in another embodiment the marker may begin with 0x000002, in another embodiment the marker may begin with 0x000004, or any other suitable sequence of bits. Furthermore, the marker may include additional headers associated with a tile and/or the first macroblock of the tile. In this manner the encoder can write each tile to the bitstream after it is encoded without waiting until all the tiles are encoded, although the bit rate is increased as a result. In addition, the decoder can parse the bitstream to identify the different tiles in a more efficient manner, especially when used in conjunction with buffering.
(デコーダ中で、相異なるタイルが、エントロピ復号を待つことなく、並列して処理されうるように、相異なるタイルを識別する能力を向上させるための別の技法として、ビットストリーム内の各タイルの開始部に関連するマーカーが用いられることができる。これらのタイルマーカーは、ビットストリームの当該特定部分をエントロピ復号しなくてもそれらが識別されうるような仕方で、ビットストリーム内に含まれる。一実施形態では、マーカーは、0x000001で始められ、別の実施形態では、マーカーは、0x000002で始められ、別の実施形態では、マーカーは、0x000004または他の適切なビットシーケンスで始められる。さらに、マーカーは、タイル及び/またはタイルの最初のマクロブロックに関連付けられた追加のヘッダを含めることができる。このような仕方で、エンコーダは、全てのタイルが符号化されるのを待つことなく、各タイルが符号化された後それをビットストリームに書き込むことができるが、結果としてビットレートは増大する。さらに、デコーダは、特にバッファリングと併せて使われた場合、異なったタイルを識別するために、より効率の高い仕方でビットストリームを構文解析することができる。)


(2-2)引用発明A
上記記載、並びにこの分野における技術常識を考慮し、引用文献1に記載された発明を以下に検討する。

(a)引用文献1の発明の名称は、「VIDEO DECODER FOR SLICES」であるから、引用文献1には、ビデオデコーダが記載されている。

(b)段落0031、0032の記載から、引用文献1のビデオデコーダは、入力ピクチャを区分した複数のスライスを、並列してエントロピ復号し、再構築するものであり、スライスが並列して復号されるデコーダを有するものである。
また、段落0041、0042には、画像を矩形列のセットに分割してタイルとすることが記載され、段落0062、0067には、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、並列して処理されるデコーダが記載されている。
さらに、段落0046には、フレーム中に一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを用いるシステム、すなわち、フレームは、一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを含むことが記載されている。
ここで、「入力ピクチャを区分した複数のスライス」、「フレームは、一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを含む」における「入力ピクチャ」、「フレーム」は、いずれも、「画像を矩形列のセットに分割してタイルとすること」の「画像」であることは明らかである。

すなわち、引用文献1のビデオデコーダは、一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを含む画像であり、当該画像を分割した複数のスライス、及び、当該画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダを備えるものである。

(c)段落0031には、スライスに対するエントロピ復号およびマクロブロックの再構築は、他のスライスには依存しないこと、エントロピ符号化の状態は、各スライスの開始時にリセットされること、スライスは、並列してエントロピ復号され、再構築されるものであることが記載され、段落0044には、スライスヘッダの中に示されたエントロピ初期化インジケータ値が復号プロセスの初期化に用いられるものであることが記載されている。

当該記載によれば、引用文献1のビデオデコーダは、各スライスを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値が、各スライスのスライスヘッダ中に設けられているといえる。

(d)段落0045には、図8における中央部および右側タイルに対するエントロピ初期化インジケータ値なしでは、並列方式で高い符号化効率によって、タイルのマクロブロックを効果的に符号化し復号するのに問題があることが記載されている。
そして、段落0046には、タイルの最初のマクロブロックについてエントロピ初期化インジケータ値を提供することが記載され、具体的には、段落0053?0059、0061に、tile_enable_flagが1に等しい、すなわち、現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である場合に、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロック(図8のマクロブロック37、100)に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義することが記載されている。
さらに、段落0062には、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中でビットストリーム中のタイルの位置の信号伝達を行うことが記載されている。
すなわち、エントロピ初期化インジケータ値は、各スライスを並列して復号するためだけでなく、各タイルを並列して復号するために用いられるといえる。

そうすると、引用文献1のビデオデコーダは、現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である(tile_enable_flagが1に等しい)場合に、各タイルを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値を提供するために、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロックに関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しているものといえる。

(e)上記(c)、(d)の検討及び図8の記載より、図8に示される、マクロブロック1?9を含むスライス1、マクロブロック10?28を含むスライス2、マクロブロック29?126を含む3つのタイルにまたがるスライス3に分割され、かつ、マクロブロック1から始まる左側タイル、マクロブロック37から始まる中央部タイル、マクロブロック100から始まる右側タイルに分割される画像においては、マクロブロック1、10、29に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック37、100に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義している。

よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明A」という。)が開示されている。
なお、a?eは、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成a」?「構成e」という。

「a 一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを含む画像であり、当該画像を分割した複数のスライス、及び、当該画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダを備え、
b 各スライスを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値は、各スライスのスライスヘッダ中に設けられており、
c 現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である(tile_enable_flagが1に等しい)場合に、各タイルを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値を提供するために、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロックに関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しており、
d 図8に示される、マクロブロック1?9を含むスライス1、マクロブロック10?28を含むスライス2、マクロブロック29?126を含む3つのタイルにまたがるスライス3に分割され、かつ、マクロブロック1から始まる左側タイル、マクロブロック37から始まる中央部タイル、マクロブロック100から始まる右側タイルに分割される画像においては、マクロブロック1、10、29に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック37、100に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義している
e ビデオデコーダ。」

(3)対比
補正後発明と引用発明Aを対比する。
(a)構成Aと構成aについて
構成aの「画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダ」は、タイル単位で並列に画像を復号するデコーダであるといえる。
また、構成aの「デコーダ」は、画像を並列して復号するものであるから、構成Aの「並列復号部」に相当する。
よって、構成aは、「タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部」を備える点で、構成Aと一致する。

(b)構成Bと構成a?構成dについて
(b-1)構成aの「一つ以上のタイルおよび一つ以上のスライスを含む画像」は、構成Bの「タイルおよびスライスを含む前記画像」に相当する。

(b-2)構成aは「当該画像を分割した複数のスライス、及び、当該画像を分割した複数のタイルが、並列して復号される」から、構成Bの「スライス単位で並列に前記画像を復号し、」「タイル単位で並列に前記画像を復号する」構成を有するものである。

(b-3)構成bより、エントロピ初期化インジケータ値は、各スライスを並列して復号するためのものである。
そうすると、構成dにおいて、マクロブロック1、10に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれているから、「マクロブロック1?9を含むスライス1」、「マクロブロック10?28を含むスライス2」は、スライス単位で並列して復号される。

そして、構成cより、エントロピ初期化インジケータ値は、各タイルを並列して復号するためにも使用されるものである。
構成dの「マクロブロック29?126を含む3つのタイルにまたがるスライス3」について検討すると、マクロブロック29に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック37、100に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しているので、「マクロブロック29?36」について復号され、「マクロブロック37から始まる中央部タイル」、「マクロブロック100から始まる右側タイル」は、タイル単位で並列して復号される。

すなわち、「マクロブロック1?9を含むスライス1」、「マクロブロック10?28を含むスライス2」は、スライス単位で並列して復号され、「マクロブロック29?126を含む3つのタイルにまたがるスライス3」は、「マクロブロック29?36」について復号され、「マクロブロック37から始まる中央部タイル」、「マクロブロック100から始まる右側タイル」は、タイル単位で並列して復号されるものといえる。

スライス1、スライス2は、左側タイルより小さく、中央タイル、右側タイルは、スライス3より小さいことから、構成b?構成dは、『タイルよりスライスが小さい場合には、スライス単位で並列にフレームを復号し、スライスよりタイルが小さい場合には、タイル単位で並列にフレームを復号する』といえる。

(b-4)フレームはスライス単位もしくはタイル単位で復号されるものであるから、『タイルよりスライスが小さい場合』とは、復号可能な最小単位がスライスであり、『スライスよりタイルが小さい場合』とは、復号可能な最小単位がタイルである。また、フレームをスライス単位もしくはタイル単位で復号する場合には、並列に復号するものであるから、それぞれ独立して復号するものといえる。

(b-5)以上より、構成a?dは、構成Bの「前記並列復号部は、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、タイルおよびスライスを含む前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する」構成と一致する構成を有しているといえる。

(c)構成Cと構成eについて
構成eの「ビデオデコーダ」は、復号する装置といえるので、構成Cの「復号装置」に相当する。
よって、構成eは、構成Cに一致する。

(4)まとめ
以上より、補正後発明と引用発明Aは、構成A?構成Cの全てにおいて一致し、相違点はない。
したがって、補正後発明は、引用発明Aであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.まとめ
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成29年10月24日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は、平成29年8月4日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、A?Cについては、説明のために当審にて付したものである。ここで、補正後発明と同一の構成については、同じアルファベットを付した。
(以下、「構成A」?「構成C」という。)
「A タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部
を備え、
B’前記並列復号部は、前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する
C 復号装置。」

2.引用文献1の記載事項および引用発明Bについて
(1)引用文献1の記載事項
上記第2 3.(2)「(2-1)引用文献1の記載事項」の記載を援用する。

(2)引用発明B
上記第2 3.(2)「(2-1)引用文献1の記載事項」の記載、並びにこの分野における技術常識を考慮し、引用文献1に記載された発明を以下に検討する。

(a)上記第2 3.(2)(2-2)(a)の記載を援用する。

(b)段落0031、0032の記載から、引用文献1のビデオデコーダは、入力ピクチャを区分した複数のスライスを、並列してエントロピ復号し、再構築するものであり、スライスが並列して復号されるデコーダを有するものである。
また、段落0041、0042には、画像を矩形列のセットに分割してタイルとすることが記載され、段落0062、0067には、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、並列して処理されるデコーダが記載されている。
ここで、「入力ピクチャを区分した複数のスライス」における「入力ピクチャ」は、「画像を矩形列のセットに分割してタイルとすること」の「画像」であることは明らかである。

すなわち、引用文献1のビデオデコーダは、画像を分割した複数のスライス、及び、当該画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダを備えるものである。

(c)上記第2 3.(2)(2-2)(c)の記載を援用する。

(d)段落0045には、図8における中央部および右側タイルに対するエントロピ初期化インジケータ値なしでは、並列方式で高い符号化効率によって、タイルのマクロブロックを効果的に符号化し復号するのに問題があることが記載されている。ここで、図7に示される、画像が一つのスライスからなり、かつ、複数のタイルに分割されている構成においても、同様の問題があることは明らかである。

そして、段落0046には、タイルの最初のマクロブロックについてエントロピ初期化インジケータ値を提供することが記載され、具体的には、段落0053?0059、0061に、tile_enable_flagが1に等しい、すなわち、現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である場合に、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロック(図7のマクロブロック16、34、43、63、87、99、109、および121)に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義することが記載されている。
さらに、段落0062には、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中でビットストリーム中のタイルの位置の信号伝達を行うことが記載されている。
すなわち、エントロピ初期化インジケータ値は、各スライスを並列して復号するためだけでなく、各タイルを並列して復号するために用いられるといえる。

そうすると、引用文献1のビデオデコーダは、現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である(tile_enable_flagが1に等しい)場合に、各タイルを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値を提供するために、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロックに関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しているものといえる。

(e)上記第2 3.(2)(2-2)(c)、上記(d)の検討及び図7の記載より、図7に示される、マクロブロック1?126を含むスライスからなり、かつ、マクロブロック1、16、34、43、63、87、99、109、121から始まる各タイルに分割されている画像においては、マクロブロック1に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック16、34、43、63、87、99、109、121に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義している。

よって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明B」という。)が開示されている。
なお、a’?eは、説明のために当審にて付したものであり、以下、「構成a’」?「構成e」という。ここで、引用発明Aと同一の構成については、同じアルファベットを付した。

「a’画像を分割した複数のスライス、及び、画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダを備え
b 各スライスを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値は、各スライスのスライスヘッダ中に設けられており、
c 現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である(tile_enable_flagが1に等しい)場合に、各タイルを並列して復号するために必要なエントロピ初期化インジケータ値を提供するために、タイルの最初のマクロブロックでありスライスの最初のマクロブロックでないマクロブロックに関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しており、
d’図7に示される、マクロブロック1?126を含むスライスからなり、マクロブロック1、16、34、43、63、87、99、109、121から始まる各タイルに分割されている画像においては、マクロブロック1に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック16、34、43、63、87、99、109、121に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義している
e ビデオデコーダ。」

3.対比
本願発明と引用発明Bを対比する。
(a)構成Aと構成a’について
構成a’の「画像を分割した複数のタイルが、並列して復号されるデコーダ」は、タイル単位で並列に画像を復号するデコーダであるといえる。
また、構成a’の「デコーダ」は、画像を並列して復号するものであるから、構成Aの「並列復号部」に相当する。
よって、構成a’は、「タイル単位で並列に画像を復号する並列復号部」を備える点で、構成Aと一致する。

(b)構成B’と構成a’?dについて
(b-1)構成a’は「画像を分割した複数のスライス、及び、画像を分割した複数のタイルが、並列して復号される」から、構成Bの「スライス単位で並列に前記画像を復号し、」「タイル単位で並列に前記画像を復号する」構成を有するものである。

(b-2)構成cより、エントロピ初期化インジケータ値は、各タイルを並列して復号するためのものである。
構成d’の「図7に示される、マクロブロック1?126を含むスライス」について検討すると、マクロブロック1に対するスライスヘッダ中にエントロピ初期化インジケータ値が含まれ、マクロブロック16、34、43、63、87、99、109、121に関連付けて、エントロピ初期化インジケータ値を定義し、相異なるタイルが、エントロピ復号の完了を待つことなく並列して同時に復号されることができるように、スライスのヘッダの中で各タイルの位置に関する情報を伝達しているので、「マクロブロック1?126を含むスライス」は、マクロブロック1、16、34、43、63、87、99、109、121から始まる各タイルを、タイル単位で並列して復号されるものといえる。

そうすると、「図7に示される、マクロブロック1?126を含むスライス」において、マクロブロック1、16、34、43、63、87、99、109、121から始まる各タイルは、マクロブロック1?126を含むスライスより小さいことから、構成b?d’は、『スライスよりタイルが小さい場合には、タイル単位で並列にフレームを復号する』といえる。

(b-3)図7においては、スライスの中にタイルを含む構成であり、「現在のピクチャにタイルが使われており、タイルが有効である(tile_enable_flagが1に等しい)場合」であるが、引用発明Bのビデオデコーダにおいて、一般に知られているような、タイルが使われていない複数のスライスのみからなる画像の場合(tile_enable_flagが1に等しくない場合)は、構成a’、構成bより、スライス単位で並列して復号されるものといえる。

(b-4)フレームはスライス単位もしくはタイル単位で復号されるものであるから、タイルが使われていない複数のスライスのみからなる画像は、復号可能な最小単位がスライスであり、『スライスよりタイルが小さい場合』とは、復号可能な最小単位がタイルである。また、フレームをスライス単位もしくはタイル単位で復号する場合には、並列に復号するものであるから、それぞれ独立して復号するものといえる。

(b-5)以上より、構成a’?d’は、構成B’の「前記並列復号部は、前記画像を独立して復号可能な最小単位がスライスである場合、スライス単位で並列に前記画像を復号し、前記画像を独立して復号可能な最小単位がタイルである場合、タイル単位で並列に前記画像を復号する」構成と一致する構成を有しているといえる。

(c)構成Cと構成eについて
上記第2 3.(3)(c)の記載を援用する。

4.まとめ
以上より、本願発明と引用発明Bは、構成A?Cの全てにおいて一致し、相違点はない。
したがって、本願発明は、引用発明Bである。

なお、補足的に、本願発明と引用発明Aとを対比検討すると、本願発明は、補正後発明から、「タイルおよびスライスを含む」という限定事項を削除したものであり、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正後発明が、前記第2の3.(3)(4)に記載したとおり、引用発明Aであるから、本願発明は、引用発明Aである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-03 
結審通知日 2018-09-04 
審決日 2018-09-21 
出願番号 特願2014-551036(P2014-551036)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 113- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
坂東 大五郎
発明の名称 復号装置、復号方法、およびプログラム  
代理人 西川 孝  
代理人 稲本 義雄  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ