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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60M
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60M
管理番号 1345779
審判番号 不服2016-14368  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-26 
確定日 2018-11-07 
事件の表示 特願2012-523582「道路から電気エネルギーを得る電気車両システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月10日国際公開、WO2011/016736、平成25年 1月17日国内公表、特表2013-501665〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2010年8月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年8月7日;米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年4月27日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年5月24日)、これに対し、平成28年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成29年6月27日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年7月18日)、これに対し、平成30年1月18日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.特許請求の範囲
平成30年1月18日付手続補正で、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュールとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える、電気車両誘導電力システム。
【請求項2】
前記車両通路面は道路である請求項1記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項3】
前記一次側導電経路は第1の周波数でエネルギー供給され、前記電力トランスミッションモジュールは第2の周波数で電力を誘導的に供給する請求項1または2記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項4】
前記第2の周波数は前記第1の周波数より大きくなるようにした請求項3記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項5】
電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御するコントローラをさらに備えている請求項1?4記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項6】
前記コントローラは前記車両に利用できる電力量を制御するようにした請求項5記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項7】
利用できる電力量は、電力が供給される車両の電力要求カテゴリーに応じて決定される請求項6記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項8】
利用できる電力量は、電力が供給される車両のタイプに応じて決定される請求項6または7記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項9】
前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、車両通路面のひとつのセクションの車両の数によって制御する請求項6から8記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項10】
ひとつまたはそれ以上のコイルが、各電力トランスミッションモジュールに備えられ、前記コイルは車両に誘導電力を伝達する磁界を提供する請求項1から9記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項11】
前記電力トランスミッションモジュールは、前記一次側導電経路が実質的に補償されたリアクタンスを有するように、同調されている請求項1から10記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項12】
一次側導電性経路は、車両通路面の内部又は下に埋められている請求項1から11記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項13】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御する、電気車両誘導電力システム。
【請求項14】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、前記車両が利用できる誘導電力量を変えるよう各トランスミッションモジュールを制御する、電気車両誘導電力システム。
【請求項15】
前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、車両通路面のひとつのセクションの車両の数によって制御する請求項14に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項16】
前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、車両の電力要求に応じて制御する請求項14または15に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項17】
前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、前記車両が属する車両カテゴリーに応じて制御する請求項14から16に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記パワートランスミッションモジュールの領域内に車両が存在することを検出した際に、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるようにした請求項14から17に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記パワートランスミッションモジュールの領域内に車両が存在することを検出した後にあらかじめ決められた最大時間の間、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるようにした請求項14から18に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記パワートランスミッションモジュールの領域内に車両が存在しないことを検出した際に、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるようにすることを停止するようにした請求項14から19に記載の電気車両誘導電力システム。
【請求項21】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュールとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える、電気車両誘導電力システムのためのパワートランスミッションモジュールであって、
エネルギー供給して磁界を提供するための電流が一定の位相関係にある複数のコイルを備えたパワートランスミッションモジュール。
【請求項22】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御する、電気車両誘導電力システムのためのパワートランスミッションモジュールであって、
エネルギー供給して磁界を提供するための電流が一定の位相関係にある複数のコイルを備えたパワートランスミッションモジュール。
【請求項23】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、前記車両が利用できる誘導電力量を変えるよう各トランスミッションモジュールを制御する、電気車両誘導電力システムのためのパワートランスミッションモジュールであって、
エネルギー供給して磁界を提供するための電流が一定の位相関係にある複数のコイルを備えたパワートランスミッションモジュール。
【請求項24】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュールとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える、電気車両誘導電力システムのための道路ユニットであって、
前記ユニットは、上面と、上面の下部に備えられた導電性素材の少なくとも一つのコイルであって使用の際上面の上側に延びる磁界を供給するコイルと、前記コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段とを備えた道路ユニット。
【請求項25】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御する、電気車両誘導電力システムのための道路ユニットであって、
前記ユニットは、上面と、上面の下部に備えられた導電性素材の少なくとも一つのコイルであって使用の際上面の上側に延びる磁界を供給するコイルと、前記コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段とを備えた道路ユニット。
【請求項26】
車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上の複数の電力トランスミッションモジュールと、
コントローラとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両がその電力トランスミッションモジュールの領域内の前記車両通路面上にあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備え、
前記コントローラは、前記車両が利用できる誘導電力量を変えるよう各トランスミッションモジュールを制御する、電気車両誘導電力システムのための道路ユニットであって、
前記ユニットは、上面と、上面の下部に備えられた導電性素材の少なくとも一つのコイルであって使用の際上面の上側に延びる磁界を供給するコイルと、前記コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段とを備えた道路ユニット。
【請求項27】
前記接続手段は電力を誘導的に受けるものである請求項24?26の何れか1項に記載の道路ユニット。
【請求項28】
前記第2の周波数は前記第1の周波数と同じである請求項3記載の電気車両誘導電力システム。」


3.当審の拒絶の理由I
平成29年6月27日付の当審の拒絶の理由Iの概要は以下のとおりである。
「I この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に、「車両通路面に関連付けられた一次側導電経路」との訳語があるが、関連付けられたとはどの様な状態になれば該当するのか明細書を参照しても特定できず不明である。請求項13、14も同様である。
更に、請求項1に、「前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュール」との訳語があるが、車両通路面の上とあるから、電力トランスミッションモジュールは車両通路面を形成するアスファルト等の上に設けられることとなるが、一次側導電経路から電力を何故誘導的に受け取ることができるのか明細書を参照しても不明であり、道路等車両通路面の上に電力トランスミッションモジュールを設ければ当該モジュールが車両の通行の障害になるものと考えられるがこの点不明(本願のシステムを使用しない車両も存在する)である。請求項13、14も同様である。
更に、請求項5に、「電気車両がトランスミッションモジュールから誘導電力を受けるために前記トランスミッションモジュールと十分に近接する時に、前記車両が誘導電力を受けるために各トランスミッションモジュールを選択的に利用できるように動作するコントローラ」との訳語があるが、十分に近接は何がどの様に判断するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、十分に近接する場合と十分に近接しない場合はシステムがどの様に区別するのか明細書を参照しても不明であり、選択的に利用とはどの様なことを意味するのか不明であり、選択する場合と選択しない場合はシステムがどの様に区別するのか不明であり、コントローラは何に設けられているのか不明であり、引用する請求項1-4はコントローラを有していないから、トランスミッションモジュールには常時電流が流れシステムは電流の制御を一切しないものと考えるがこの点不明(請求項1の構成では制御機器が無いためトランスミッションモジュールの電流は制御できない)であり、通常電気回路ではコントローラの指令を受けて動作するスイッチが無いと制御はできないが、コントローラのみでどの様にして制御するのか不明である。請求項13も同様である。
更に、請求項7に、「利用できる電力量は、電力が供給される車両の電力要求カテゴリーに基づいて決定される」との訳語があるが、「基づいて」は曖昧な表現であるためどの様に決定するのか特定できず不明であり、電力要求カテゴリーとは一般的な用語ではないため構成が特定できず不明であり、仮に当該カテゴリーが電力の要求量であるとすると、給電側は給電前に要求量が分かっていなければ供給できないが、どの装置を用いて要求量を判断するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)である。請求項16も同様である。
更に、請求項8に、「利用できる電力量は、電力が供給される車両のタイプに基づいて決定される」との訳語があるが、「基づいて」は曖昧な表現であるためどの様に決定するのか特定できず不明であり、給電側は給電前に車両のタイプが分かっていなければ供給できないが、どの装置を用いて車両のタイプを判別するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、車両のタイプに基づいて利用できる電力量を決定すれば、当該車両のバッテリの充電状態とは無関係に利用できる電力量が決定されるが何故この様な決定を行うのか不明である。請求項17も同様である。
更に、請求項9には、「前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、車両通路面のひとつのセクションの車両の数によって制御する」との訳語があるが、セクションとはどの様な定義であって本願のシステムはセクションをどの様に利用するのか明細書を参照しても不明(システムであるので、セクション、車両数と電力量の間には何らかの関数があるはずであるから示されたい。)であり、ひとつのセクションの車両の数はどの装置を用いて把握するのか不明である。請求項15も同様である。
更に、請求項11に、「前記電力トランスミッションモジュールは、各モジュールに隣り合う前記一次側導電経路の前記セクションが実質的に補償されているリアクタンスを有するように、同調されている」との訳語があるが、「前記セクション」に対応する記載が請求項1には無く何を意味するのか不明であり、セクションは請求項9に記載はあるが、請求項9のセクションは「車両通路面のひとつのセクション」であって「前記一次側導電経路の前記セクション」ではないからセクションが何を意味するのか不明であり、各モジュールに隣り合うのは一次側導電経路であるのかセクションであるのか不明であり、隣り合うとはどの様な状態ことを意味するのか不明であり、「各モジュールに隣り合う前記一次側導電経路の前記セクションが実質的に補償されているリアクタンスを有する」とはどの様な物理現象を意味するのか全く不明である。
更に、請求項12に、「車両通路面に埋められているかまたは隣りあっている」との訳語があるが、車両通路面に隣りあっているとは日本語に無い表現のためどの様ことを意味するのか特定できず不明である。
更に、請求項13に、「前記コントローラは、車両がトランスミッションモジュールから誘導電力を受けるために前記トランスミッションモジュールと十分に近接する時に、前記車両が誘導電力を利用できるように各トランスミッションモジュールを選択的に制御する」との訳語があるが、十分に近接は何がどの様に判断するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、十分に近接する場合と十分に近接しない場合はシステムがどの様に区別するのか不明であり、選択的に制御とはどの様なことを意味するのか不明であり、選択する場合と選択しない場合はシステムがどの様に区別するのか不明であり、コントローラは何に設けられているのか不明であり、通常電気回路ではコントローラの指令を受けて動作するスイッチが無いと電流制御はできないが、コントローラのみでどの様にして電流を制御するのか不明である。請求項14も同様である。
更に、請求項18に、「前記コントローラは、前記パワートランスミッションモジュールの領域内に車両が存在することを検出した際に、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるようにした」との訳語があるが、車両が存在することを何がどの様に検出するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない。通常コントローラはセンサ機能を有していない。)である。請求項19、20も同様である。
更に、請求項21に、「エネルギー供給して磁界を提供するための電流が一定の位相関係にある複数のコイルを備えた、請求項1?20の何れか1項に記載の電気車両誘導電力システムのためのパワートランスミッションモジュール。」との訳語があるが、他の請求項を引用していないから請求項21の記載は特許法第36条第6項第4号の規定を満たしておらず、一定の位相関係とはどの様な関係にあるのか構成を特定できず不明であり、一定の位相関係にある複数のコイルはパワートランスミッションモジュールのどのコイルのことを意味するのか不明である。
更に、請求項22に、「請求項1?20の何れか1項に記載の電気車両誘導電力システムのための道路ユニット」との訳語があるが、他の請求項を引用していないから請求項21の記載は特許法第36条第6項第4号の規定を満たしておらず、一般的な用語ではないため道路ユニットとはどの様なものであるのか構成を特定できず不明(ユニットとは構成単位を表すから、道路ユニットは予め製造されたユニットであって現場で組み合わせると道路になるものとなる。)であり、道路ユニットを電気車両誘導電力システムのためのものであるか否かをどの様に判断するのか不明であり、道路ユニットは電気的にはコイルと当該コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段があれば良いこととなって、トランスミッションモジュールとは構成が異なるため、電気車両誘導電力システムにおいて何処にどの様に用いるのか不明である。」


4.拒絶の理由Iに対する当審の判断
(1)請求項1に、「前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュール」とあるが、電力トランスミッションモジュールは車両通路面即ち道路を形成するアスファルト等の上に設けられるものが含まれることとなるが、車両通路面の上に電力トランスミッションモジュールを設ければ、電力トランスミッションモジュールは車両等の通行の障害になり、この様な設備を設ける箇所はもはや道路・車両通路面ではなく、何故この様な設備配置とするのか不明であり、また、一次側導電経路を車両通路面即ち道路の内部に設け、電力トランスミッションモジュールを車両通路面即ち道路の上に設けたものが含まれるが、一次側導電経路と電力トランスミッションモジュールの間の距離が大きくなれば誘導結合ができず、何故電力トランスミッションモジュールは、一次側導電経路から電力を何故誘導的に受け取ることができるのか明細書を参照しても不明である(なお、請求項1において、「車両通路面に関連付けられた一次側導電経路」を「車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路」と補正しているが、当該補正後の記載では一次側導電経路は車両通路面即ち道路の上に隣接して設けるものが含まれ、車両通路面の上に一次側導電経路を設ければ、一次側導電経路は車両等の通行の障害になり、この様な設備を設ける箇所はもはや道路・車両通路面ではなく、何故この様な設備配置とするのか不明である。)。
請求人は、平成30年1月18日付意見書(以下、「意見書」という。)で、「したがって、これら両図から、一次側導電性経路が道路に隣接して、道路の例えば路肩や路側帯に沿って設けられてもよいことが理解できるものと思料する。」と主張するが、請求項1の記載は路肩や路側帯に特定されておらず、また、「例えば、電力トランスミッションモジュールに相当する本願明細書のパッド111を道路鋲の高さと同等の低いものとすれば、車両の通行の障害にならず、本願発明を実施できることは容易に理解できるものと思料する。」と主張するが、請求項1の記載は「車両通路面の上」とあるだけで道路鋲の高さと同等の低いものに特定されていないから、請求人の上記主張は採用できない。なお、請求項13、14、21-26も同様である。
(2)請求項5に、「電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御するコントローラ」とあるが、システムにおいて「十分に近接」は何がどの様に判断するのか不明であり、しかも当該記載では人が検出するものが含まれるためシステムとしての構成が不明であり、又、センサ・通信装置を有していないにもかかわらず十分に近接する場合と十分に近接しない場合はシステムがどの様に区別するのか明細書を参照しても不明であり、又、コントローラは電気車両誘導電力システムの何に設けられているのか不明であり、又、引用する請求項1-4はコントローラを有していないものが含まれ、トランスミッションモジュールには常時電流が流れ電流の制御を一切しないこととなりもはやシステムではなく、システムとしての構成が不明(請求項1の構成では制御機器が無いためトランスミッションモジュールの電流は制御できない)であり、通常電気回路ではコントローラの指令を受けて動作するスイッチが無いと制御はできないが、コントローラのみでどの様にしてシステムが制御するのか不明である。
請求人は、意見書で、「コントローラは、電気車両誘導電力システムに設けられているものであり、この点を明確にするために請求項5の末尾を「さらに備えている請求項1?4記載の電気車両誘導電力システム」に補正した。」と主張するが、例えば電気車両誘導電力システムの一次側導電経路にコントローラを設けた場合、コントローラがトランスミッションモジュールをどの様に制御するのか全く開示が無いため構成が依然として不明であり、請求人の上記主張は採用できない。なお、請求項13も同様である。
(3)請求項7に、「利用できる電力量は、電力が供給される車両の電力要求カテゴリーに応じて決定される」とあるが、「応じて」は曖昧な表現であるためどの様に決定するのか構成を特定できず不明であり、又、電力要求カテゴリーとは一般的な用語ではないため構成が特定できず不明であり、仮に当該カテゴリーが電力の要求量であるとすると、給電側は給電前に要求量が分かっていなければ供給できないが、どの装置を用いて要求量を判断するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、仮に請求人が意見書で主張するように車両の電力需要のレベルで分類される概念であるとすると、給電側は給電前に車両のタイプが分かっていなければ供給できないが、どの装置を用いて車両のタイプを判別するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、当該車両のバッテリの充電状態とは無関係に利用できる電力量が決定されることとなるが何故この様な決定を行うのか不明である。請求項16も同様である。
(4)請求項8に、「利用できる電力量は、電力が供給される車両のタイプに応じて決定される」とあるが、「応じて」は曖昧な表現であるためどの様に決定するのか構成を特定できず不明であり、又、給電側は給電前に車両のタイプが分かっていなければ供給できないが、どの装置を用いて車両のタイプを判別するのか明細書を参照しても不明(センサ・通信装置を有していない)であり、車両のタイプに基づいて利用できる電力量を決定すれば、当該車両のバッテリの充電状態とは無関係に利用できる電力量が決定されるが何故この様な決定を行うのか不明である。請求項17も同様である。
(5)請求項9に、「前記コントローラは、各車両に利用できる電力量を、車両通路面のひとつのセクションの車両の数によって制御する」とあるが、セクションとはどの様な定義であって本願のシステムはセクションをどの様に利用するのか明細書を参照しても不明(システムであるので、セクション、車両数と電力量の間には何らかの関数(演算)があるはずであるが開示が無い。)であり、ひとつのセクションの車両の数はどの装置を用いて把握するのか不明である。
請求人は、意見書で、「請求項9及び15でいう「セクション」は、具体的には、本願明細書段落0085に記載される「道路の100mのセクション」を意味するものであり、より詳細には、図1Bの電源101の1つによって電源供給されるモジュール111の一群が占める領域である。例えば、この領域に供給される電力が一定と仮定した場合、この領域に存在する電気車両が多ければより各車両の利用できる電力量は少なくなるので、この領域に供給される電力を増やすように制御すれば、それだけ各車両が利用できる電力量は増えることになる。このような制御をコントローラで行なうことが請求項9及び15で規定される特徴点である。ひとつのセクションの車両の数は、上記2-3項で述べた通り、例えば、本願明細書段落0019、0197などに記載のセンサによって検出できる。」と主張するが、一般に「セクション」とは「区画。区分。」のことであり、セクションに何が含まれるのか定義がなく、しかも請求項9はセクションを電源供給されるモジュール111の一群が占める領域に特定されておらず、又、請求項9はセンサを有することが特定されていないから、請求人の上記主張は採用できない。なお、請求項15も同様である。
(6)請求項11に、「前記電力トランスミッションモジュールは、前記一次側導電経路が実質的に補償されたリアクタンスを有するように、同調されている」とあるが、「電力トランスミッションモジュールは、前記一次側導電経路が実質的に補償されたリアクタンスを有する」とはどの様な物理現象を意味するのか全く不明である。
(7)請求項13に、「前記コントローラは、電気車両がトランスミッションモジュールの何れかと誘導電力を受けるに十分に近接することを検出した時に、そのトランスミッションモジュールを動作させて前記電気車両が誘導電力を受けるように制御する」とあるが、システムにおいて「十分に近接」は何がどの様に判断するのか不明であり、しかも当該記載では人が検出するものが含まれるためシステムとしての構成が不明であり、又、電気車両誘導電力システムは、一次側導電経路と第一及び第二のコイルを備える複数のトランスミッションモジュールとコントローラしか備えておらず、スイッチを有していないが、通常電気回路ではコントローラの指令を受けて動作するスイッチが無いと電流制御はできないが、コントローラのみでどの様にして電流を制御するのか不明である。なお、請求項14も同様である。
(8)請求項18に、「前記コントローラは、前記パワートランスミッションモジュールの領域内に車両が存在することを検出した際に、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるようにした」とあるが、電気車両誘導電力システムはセンサを有しておらず、領域内に車両が存在することを何がどの様に検出するのか明細書を参照しても不明(通常コントローラはセンサ機能を有していない。)である。
請求人は、意見書で、「車両の存在を検出するには、具体的には、センサ、通信装置、スイッチ等を必要し、これらの構成については本願明細書段落0019、0197などに記載されているが、「--検出した際に、前記パワートランスミッションモジュールからの電力を利用できるように」なる条
件付き制御として規定しているので、当該文言中にスイッチの要素は内包されており、「検出したことに」という文言があるので、当該文言中にセンサの要素は内包されているので、上記記載は明確であるものと思料する。」と主張するが、請求項18及び引用する独立項の請求項14には「センサ」とは記載が無く、しかも請求項18の当該記載では人が検出するものが含まれるため、請求人の上記主張は採用できない。なお、請求項19、20も同様である。
(9)請求項21に、「エネルギー供給して磁界を提供するための電流が一定の位相関係にある複数のコイルを備えた」とあるが、一定の位相関係とはどの様な関係にあるのか構成を特定できず不明であり、一定の位相関係にある複数のコイルはパワートランスミッションモジュールのどのコイル(第一のコイルか、第二のコイルか、それ以外か。)のことを意味するのか不明である。なお、請求項22、23も同様である。
(10)請求項24に、「電気車両誘導電力システムのための道路ユニットであって、前記ユニットは、上面と、上面の下部に備えられた導電性素材の少なくとも一つのコイルであって使用の際上面の上側に延びる磁界を供給するコイルと、前記コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段とを備えた道路ユニット」とあるが、道路ユニットは一般的な用語ではないため、「上面と、上面の下部に備えられた導電性素材の少なくとも一つのコイルであって使用の際上面の上側に延びる磁界を供給するコイルと、前記コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段とを備えた」とあっても、どの様なものであるのか構成を特定できず不明(ユニットとは構成単位を表すから、道路ユニットは予め製造されたユニットであって現場で組み合わせると道路になるものとなる。)であり、道路ユニットを電気車両誘導電力システムのためのものであるか否かをどの様に判断するのか不明であり、道路ユニットは電気的にはコイルと当該コイルにエネルギーを与える電力を受けるための接続手段があれば良いこととなって、トランスミッションモジュールとは構成が異なるため、電気車両誘導電力システムにおいて何処にどの様に用いるのか不明である。なお、請求項25、26も同様である。
(11)したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-28の記載は、発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


5.当審の拒絶の理由III
平成29年6月27日付の当審の拒絶の理由IIIの概要は以下のとおりである。
「この出願の請求項1-24に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引 用 例 等 一 覧
引用例1.特表2002-508916号公報
引用例2.特開2001-177916号公報
引用例3.特開平7-67206号公報
引用例4.特開2008-109839号公報
引用例5.実願平1-40955号(実開平2-133101号)のマイクロフィルム
引用例6.国際公開第2008/109489号(特表2010-520716号公報参照)
引用例7.特表平3-502380号公報」

6.拒絶の理由IIIに対する当審の判断
本願請求項1に係る発明を、以下「本願発明」という。
(6-1)引用例
引用例1には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
a「本発明は、原動力、バッテリー充電、エレクトロルミネセント・パネルを用いた発光を含む照明を含め、ある範囲の目的で、一次誘導軌道と二次ピックアップ装置との間の拡大ギャップを横切って電力を提供する誘導電力伝達の用途に関するものである。」(第4頁4-7行)

b「応用例3A:道路に取り付けられた中間ループを経て電力が供給される車両
図5は、コンデンサ506と、好ましくは、供給源からの磁束を効果的に途中で捕らえるように強磁性コアを配置しているインダクタンス507とから成る共振ピックアップ回路から交流電力を受け取る1組の電動機制御回路508から給電される電動機509が、少なくとも1つの車輪を駆動する車両500(例えばレール装置501に沿って走行できる)を示している。軌道にほぼ平行に走っている一次導線503は、随意に1個、または複数個の個別インダクタンス504と同調コンデンサ505を含む電線ループ(大きい共振電流を流すことができるという理由で、好ましくはリッツ線)を、中間結合装置として備えている。インダクタンス504は、次の2つの機能を持っている。すなわち、このインダクタンスは、そのループをシステム全体の共振周波数にて電気的に共振させるのに役立ち、また、このインダクタンスは、車両が受け取る誘導磁界の集中した源の働きをする。ある輸送システムにおいて、いくつかの地点では、さらに高い電力レベルが望まれる(例えば、加速のため)配置構成がある。あるいは、車両は、通常、定まった路線に沿って「バス停留所」などの、ある指定された地点で充電される充電可能バッテリー510から電力が供給される。図5は、実際上、充電設備のあるバス停留所の断面図と見なすことができよう。この中間ループのおかげで、実際の休止位置の許容範囲を広げて、効果的な充電を行うことができる。
本発明の利点は、電力伝達が、さらに長い距離にわたって行えるという点を含んでいる。従って、運転手は、バッテリーを充電するために、バスを充電用導線の真上に正確に位置付けする必要がなくなる。鉛直方向の位置付けの制約が緩和されることにより、車両は、さらにソフトなサスペンションを有するようにできる。製品運搬用コンベヤ装置は、レールが上り坂となる場所では、大きい電力を供給することができる。ちなみに、ギャップ距離の拡大が利点となるような単なるバッテリー充電器の応用例もあるが、もちろん、疎結合誘導電力伝達の定電流の性質は、バッテリーを充電するのに際して、望ましいものである。このような中間ループにより、一次導線から、大きい電力を得ることができる場台がある。」(第19頁20行-第20頁19行)

上記記載及び図5を参照すると、一次導線が軌道の内部に設けられ、軌道の内部にて一次導線に誘導的に結合した中間結合装置が示されている。
上記記載及び図5を参照すると、中間結合装置が、一次導線から電力を誘導的に受け取る電線と、少なくとも1つの車両が軌道上にあり且つ前記中間結合装置から電力を受け取るために前記中間結合装置の十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの車両に電力を誘導的に供給するインダクタンスを備える誘導電力伝達システムが示されている。

上記記載事項からみて、引用例1には、
「軌道の内部に設けられた一次導線と、
前記軌道の内部にて前記一次導線に誘導的に結合した中間結合装置とを備え、
前記中間結合装置は、前記一次導線から電力を誘導的に受け取る電線と、電動機が少なくとも1つの車輪を駆動する少なくとも1つの車両が軌道上にあり且つ前記中間結合装置から電力を受け取るために前記中間結合装置の十分近くにあるとき、前記少なくとも1つの車両に電力を誘導的に供給するインダクタンスを備える、誘導電力伝達システム。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。


(6-2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「軌道」、「一次導線」、「中間結合装置」、「電動機が少なくとも1つの車輪を駆動する少なくとも1つの車両」、「インダクタンス」、「誘導電力伝達システム」は、それぞれ本願発明の「車両通路面」、「一次側導電経路」、「電力トランスミッションモジュール」、「電気車両」、「第二のコイル」、「電気車両誘導電力システム」に相当する。
本願発明の一次側導電経路は、車両通路面の内部に設けられるかまたは車両通路面に隣接して設けられればよいから、引用発明の「軌道の内部に設けられた一次導線」は、本願発明の「車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路」に相当する。
本願発明の電力トランスミッションモジュールは、車両通路面の内部または車両通路面の上にて一次側導電経路に誘導的に結合すればよいから、引用発明の「前記軌道の内部にて前記一次導線に誘導的に結合した中間結合装置」と、本願発明の「前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した複数の電力トランスミッションモジュール」は、「前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した電力トランスミッションモジュール」の点で一致する。
引用発明の「前記中間結合装置は、前記一次導線から電力を誘導的に受け取る電線と、電動機が少なくとも1つの車輪を駆動する少なくとも1つの車両が軌道上にあり且つ前記中間結合装置から電力を受け取るために前記中間結合装置の十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの車両に電力を誘導的に供給するインダクタンスを備える」点と、本願発明の「前記電力トランスミッションモジュールの夫々は、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える」点は、「前記電力トランスミッションモジュールは、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える」点で一致する。

したがって、両者は、
「車両通路面の内部にまたは車両通路面に隣接して設けられた一次側導電経路と、
前記車両通路面の内部または前記車両通路面の上にて前記一次側導電経路に誘導的に結合した電力トランスミッションモジュールとを備え、
前記電力トランスミッションモジュールは、前記一次側導電経路から電力を誘導的に受け取る第一のコイルと、少なくともひとつの電気車両が前記車両通路面上にあり且つ前記電力トランスミッションモジュールから電力を受け取るために前記電力トランスミッションモジュールの十分近くにあるとき、前記少なくともひとつの電気車両に電力を誘導的に供給する第二のコイルとを備える、電気車両誘導電力システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
電力トランスミッションモジュールに関し、本願発明は、複数の電力トランスミッションモジュールの夫々が電力トランスミッションモジュールの構成を備えるのに対し、引用発明は、電力トランスミッションモジュールを有するが、この様な構成を有していない点。


(6-3)判断
一般に、複数の装置をまとめて1つにするか又は複数の装置のままとするかは、使用される条件等により適宜選択され得ることである。しかも、電力トランスミッションモジュールを複数備えることは非接触給電において周知の事項(必要があれば特開2002-142387号公報【0023】、【0027】、【0028】、図1-3参照。)である。
そうであれば、引用発明において、電力トランスミッションモジュールを複数とすることは当業者が容易に考えられることと認められる。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


7.むすび
したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-28の記載は、発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-05-31 
結審通知日 2018-06-05 
審決日 2018-06-26 
出願番号 特願2012-523582(P2012-523582)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60M)
P 1 8・ 536- WZ (B60M)
P 1 8・ 537- WZ (B60M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上野 力  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 矢島 伸一
堀川 一郎
発明の名称 道路から電気エネルギーを得る電気車両システム  
代理人 井出 正威  
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