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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E03C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E03C
管理番号 1345828
異議申立番号 異議2018-700128  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-16 
確定日 2018-09-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6182587号発明「掃除口付管継手」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6182587号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、7、8、〔9、10〕について訂正することを認める。 特許第6182587号の請求項1-10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6182587号の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成27年12月24日に特許出願され、平成29年7月28日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、平成30年2月16日に特許異議申立人森谷晴美(以下「申立人」という。)より、請求項1?10に対して特許異議の申立てがされ、平成30年3月30日付け(発送日同年4月4日)で取消理由が通知され、その指定期間内である同年5月30日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、これに対して申立人より同年7月19日に意見書の提出がされたものである。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)?(4)のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)請求項1?6からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「円筒状に形成される掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋と、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備える掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
と記載されているのを、
「直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋と、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」に訂正する。
請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?6も同様に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に
「前記第1壁は、前記蓋の外側面に縮径による段差を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。」
と記載されているのを、
「前記第1壁は、前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。」に訂正する。
請求項4の記載を直接的または間接的に引用する請求項5および6も同様に訂正する。

(2)請求項7に係る訂正
ア 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7に
「円筒状に形成される掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備える掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
と記載されているのを、
「直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」に訂正する。

(3)請求項8に係る訂正
ア 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8に
「円筒状に形成される掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備える掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に縮径による段差を設けることによって形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
と記載されているのを、
「直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって、前記蓋の外側面に形成される前記第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」に訂正する。

(4)請求項9?10からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に
「円筒状に形成される掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備える掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される複数の第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
と記載されているのを、
「直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される複数の第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」に訂正する。
請求項9を引用する請求項10も同様に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、継手本体の構成をより具体的に限定し、蓋の構成をより具体的に限定し、本発明の掃除口付管継手の組み込まれる箇所を具体的に限定し、そして、非直線部における第1壁と第2壁が配置される状態を具体的に限定するものであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は、各構成をより具体的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項1に関して、
(ア)まず、「直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体」については、明細書の段落【0024】に、「図3-図5に示すように、継手本体12は、円筒状の中央胴部20を含み、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。中央胴部20は、直管状に形成され・・・る。」との記載があり、また、段落【0025】に、「中央胴部20には、中央胴部20の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部24が一体的に形成される。」との記載がある。さらに、【図3】及び【図4】には、継手本体12において、直管状の中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部が示されている。
(イ)また、「前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋」については、明細書の段落【0032】に「挿入筒部40の挿入方向後端側(掃除口部24の先端部24a側)の端縁には、環状のフランジ部42が外方に拡がるように形成される。」との記載がある。また、【図6】?【図8】、【図10】には、蓋にフランジ部が形成され、掃除口部24の先端部に当接した点が示されている。
(ウ)また、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手」については、明細書の段落【0022】に「掃除口付管継手10(以下、単に「管継手10」と言う。)は、掃除口部24を有する継手本体12を備え、マンション等の建物内のパイプスペース等に配管される排水管100の一部に組み込まれる。」との記載があり、また、段落【0067】に「上述の各実施例では、管継手10を排水管100の縦管部分に組み込んでいる・・・」との記載がある。
(エ)さらに、「前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、」については、明細書の段落【0042】に「第1壁52と第2壁32とによって、掃除口部24の内側面と蓋14の外側面との間の隙間60には、掃除口部24の基端部24bからシール部材16に向かう方向において2回屈曲する非直線部62が、シール部材16の手前(中央胴部20側)の位置に形成される。」との記載があり、また、段落【0050】には、「第1壁52と第2壁32とは、必ずしも近接している必要はなく、離間していてもよい。すなわち、第1壁52と第2壁32とによって掃除口部24の内側面と蓋14の外側面との間の隙間60に非直線部62が形成されて、洗浄水がシール部材16に直接当たらない構造となっていればよい。」との記載がある。さらに、【図10】、【図12】、【図15】、【図18】及び【図19】には、掃除口部の基端部からシール部材に向かう方向において非直線部が形成され、当該非直線部において、第1壁52と第2壁32とが隙間を有する状態で配置されている点が示されている。

これらの記載から、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項2は、第1壁の形成について蓋の外面を縮径させて段差を形成させる際の基準となる部位を明らかにして限定するものであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は、第1壁の形成について蓋の外面を縮径させて段差を形成させる際の基準となる部位を明らかにして具体的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項2に関して、段落【0061】に「第1壁52は、環状突起50を設ける代わりに、蓋14の挿入筒部40の外側面に対して縮径による環状の段差を設けることによって形成することもできる」との記載があり、また、段落【0062】に「図18に示す実施例は、シール部材16を掃除口部24の軸方向に圧縮するタイプの管継手10であり、挿入筒部40の外側面には、押圧面72よりも挿入方向先端側の位置に、縮径による段差を設けることによって第1壁52が形成される。」との記載がある。さらに【図18】及び【図19】には、第1壁52が、蓋14の外側面をシール部材16と当接している部分の径よりも縮径させて形成されている点が示されている。
これらの事項から、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項3は、訂正事項1と同様の訂正内容であるから、訂正事項1と同様に、各構成をより具体的に限定するものであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項3は、各構成をより具体的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
上記(1)のウで説示したことと同様に訂正事項3は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。

(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項4は、訂正事項1と同様の訂正内容及び訂正事項2と同様の訂正内容の両者を含む訂正であるから、それらの訂正事項と同様に、各構成を具体的に限定するものであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項4は、各構成をより具体的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
上記(1)のウ、(2)のウで説示したことと同様に、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。

(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項5は、訂正事項1と同様の訂正内容であるから、訂正事項1と同様に、各構成をより具体的に限定するものであるといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項5は、各構成をより具体的に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
上記(1)のウで説示したことと同様に、訂正事項5は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。

(6)一群の請求項について
訂正前の請求項2ないし6は、それぞれ請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項1ないし6は一群の請求項である。
また、訂正前の請求項10は、請求項9を直接的に引用しているものであって、訂正事項5によって訂正される請求項9に連動して訂正されるものであるから、請求項9ないし10は一群の請求項である。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1?5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕、7、8、[9?10]について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の請求項1?10に係る発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?10に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、以下のとおりのものである。(下線は訂正箇所を示す。)

(1)本件発明1
「【請求項1】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋と、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
2 本件発明2
「【請求項2】
前記第1壁と前記第2壁とは、前記掃除口部の径方向においてオーバーラップする、請求項1記載の掃除口付管継手。
3 本件発明3
「【請求項3】
前記第1壁は、前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。
4 本件発明4
「【請求項4】
前記第1壁は、前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。」
5 本件発明5
「【請求項5】
前記蓋の外側面には、複数の前記第1壁が形成される、請求項1ないし4のいずれかに記載の掃除口付管継手。
6 本件発明6
「【請求項6】
前記複数の第1壁は、階段状に形成される、請求項5記載の掃除口付管継手。
7 本件発明7
「【請求項7】直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
8 本件発明8
「【請求項8】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって、前記蓋の外側面に形成される前記第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
9 本件発明9
「【請求項9】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される複数の第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。」
10 本件発明10
「【請求項10】
前記複数の第1壁は、階段状に形成される、請求項9記載の掃除口付管継手。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?10に係る特許に対して平成30年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1?10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2)本件特許の請求項1?10に係る発明は、甲第1?6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

3 甲各号証について
甲第1号証:特開2005-200916号公報
甲第2号証:意匠登録1221707号公報
甲第3号証:意匠登録1222345号公報
甲第4号証:特開2004-324064号公報
甲第5号証:特開2011-74928号公報
甲第6号証:意匠登録1386814号公報

(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証の記載事項
(ア)「【0001】
本発明は合流ますおよび該合流ますを使用した排水システムに関する。」
(イ)「【請求項1】
円筒状ます本体の前後から主流管接続部を差出し、側面から合流管接続部を差出し、該円筒状ます本体の上下には主流凹路と合流凹路とを形成したインバート部を裏面に設けた対称形の蓋をそれぞれ被着したことを特徴とする合流ます。」
(ウ)「【0007】
本発明を図1?図4に示す一実施例によって説明する。
図1?図3に示すように、合流ます(1)は、内部に主流路(2)と合流流路(3)を有する円筒状ます本体(4)と、該円筒状ます本体(4)の前後から差出されている上流側の主流管接続部(5)および下流側の主流管接続部(6)と、該円筒状ます本体(4)の側面から約45°の角度で差出されている合流管接続部(7)と、該円筒状ます本体(4)の上面と下面に設けられた蓋取付口(8)にそれぞれ嵌着されている蓋(9)とからなる。
なお本実施例では、該合流管接続部(7)の外周面にはコルゲート管を接続するための袋ナット固定用ねじ部(25)が形成されており、該合流管接続部(7)は塩ビ平滑管の接着受口とコルゲート管の接続受口を兼用している。
【0008】
該蓋(9)の表面には把手(10)が一体的に形成されており、また、該蓋(9)の裏面には、円筒状ます本体(4)の主流路(2)と合流流路(3)とにそれぞれ対応した主流凹路(11)と合流凹路(12)とを形成したインバート部(13)が設けられており、上側の蓋(9)の裏面形状と下側の蓋(9)の裏面形状とは互いに対称形とされている。
【0009】
更に、該蓋(9)の周縁部には複数個の係止片(14)が突設されており、該円筒状ます本体(4)の蓋取付口(8)の周縁部には複数個の係止切欠部(15)が設けられており、該蓋(9)の係止片(14)を該蓋取付口(8)の係止切欠部(15)に嵌合させることによって、該蓋(9)が該円筒状ます本体(4)から不意に外れることが防止されている。そして、該蓋(9)が所定方向を向くように、図1で示す三箇所の係止片(14)は異なる間隔(例えば中心角α=115°、β=120° 、γ=125°)となるように設置されており、それによって該蓋(9)の取付位置を決定している。また、上下の蓋(9)の係止片(14)の形状は、上下対称形の側面視L字形および側面視逆L字形とされており、上下の蓋(9)が上下逆に取付けられるのを防止している。
また更に、該蓋(9)の外周面に凹設された環状溝(16)にはOリング(17)が嵌着されており、該Oリング(17)によって該蓋(9)と該円筒状ます本体(4)との間がシールされている。」
(エ)「【0012】
上記のような合流ます(1)では、排水枝管(21)の合流方向に応じて該合流ます(1)の上下を決定して反転させる場合に、合流ます(1)の蓋(9)を円筒状ます本体(4)に被着したままの状態で該合流ます(1)を上下反転させればよいため、配管作業の手間や労力を削減することが出来る。
また、上記の合流ます(1)では、上側の蓋(9)を点検用掃除用の蓋として使用することが出来、かつ、下側の蓋(9)をインバート部(13)として使用することが出来る。すなわち、該下側の蓋(9)の裏面には主流凹路(11)と合流凹路(12)とを形成したインバート部(13)が設けられているため、該合流ます(1)内における主流と合流の排水が該インバート部(13)の主流凹路(11)と合流凹路(12)によってガイドされ、該主流と合流の排水の流れを非常に円滑なものとすることが可能となる。
更に、上記の合流ます(1)では、円筒状ます本体(4)の蓋取付口(8)内に収納された状態に蓋(9)を取付けることが出来るため、円筒状ます本体(4)の上面および下面からの突起部分がなく、上下方向(高さ方向)の省スペース化か可能となる。
【0013】
また、上記合流ます(1) を使用した排水システム(18)では、排水枝管(21)の合流方向に応じて該合流ます(1) の上下を決定して反転させる場合に、合流ます(1) の蓋(9) を円筒状ます本体(4) に被着したままの状態で該合流ます(1) を上下反転させればよいため、排水システム(18)の構築作業に要する手間や労力を削減することが出来る。
更に、トイレや台所の排水も排水主管(20)に合流するので、屋外の排水ます(22)や配管材料を削減することが出来る。」

(オ)図1ないし図3から、主流路(2)が直管状であり、主流路(2)から主流路の軸方向と略直交する方向に円筒状の蓋取付口(8)を有するます本体(4)の一部が分岐している点が看て取れる。
(カ)図3から、合流ますが、蓋の外側面に外側に向かって形成される壁部(以下、「壁部(A)」という。)と、当該壁部(A)よりも掃除口部の基端部側の位置において、蓋取付口の内面に形成される壁部(以下、「壁部(B)」という。)を備え、蓋取付口の基端部からOリング(17)に向かう方向において、非直線部を形成している点が看て取れる。

イ 甲第1号証に記載された発明
上記アを踏まえると甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「直管状の主流路(2)および、前記主流路から主流路の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の蓋取付口(8)を有するます本体(4)の一部と、該蓋取付口(8)に嵌着される上側の点検用掃除用の蓋(9)とを有し、該蓋(9)の周縁部には複数個の係止片(14)が突設されており、該蓋取付口の周縁部には複数個の係止切欠部(15)が設けられており、該蓋(9)の係止片(14)を該蓋取付口(8)の係止切欠部(15)に嵌合させるものであり、蓋と円筒状ます本体(4)の一部との間がシールされるよう、該蓋の外周面に凹設された環状溝にはOリング(17)が嵌着され、蓋の外側面に外側に向かって形成される壁部(A)と、当該壁部(A)よりも掃除口部の基端部側の位置において、蓋取付口の内面に形成される壁部(B)を備え、蓋取付口の基端部からOリング(17)に向かう方向において、非直線部を形成している合流ます。」

(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載事項
(ア)「【意匠に係る物品】管継手」(1頁6行)
(イ)【平面図】(3頁)から、管継手の平面図が看て取れる。
(ウ)【B-B線端面図】(5頁)から、管継手の上方及び下方の開口部に、蓋状のものが装着された点が看て取れる。

(3)甲第3号証について
ア 甲第3号証の記載事項
(ア)「【意匠に係る物品】管継手用閉塞具」(1頁6行)
(イ)【正面図】(2頁)及び【平面図】(3頁)から、管継手用閉塞具の周囲において、突出する部位が設けられた点が看て取れる。
(ウ)【使用状態を示す参考平面図】(4頁)から、管継手用閉塞具が管継手に使用された状態が看て取れる。

(4)甲第4号証について
ア 甲第4号証の記載事項
(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】
本発明は建物などの排水配管において、点検や清掃を行うために、排水管の曲がり部や合流部に設ける点検口の蓋体に関するものである。」
(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の点検口の蓋体について説明する。図1は本発明の実施例である点検口1の平面図であり、図2は図1の側面部分断面図である。建物内の配管を点検、維持するために、配管の合流部、曲がり部の排水管Pには点検口1を接続している。該点検口1は短管状の受体2と該受体2に着脱自在に螺合、内挿する蓋体3とで構成されている。さらに、受体2と蓋体3との間にOリング4を狭持し、ねじ込みによりシールを可能にしている。
【0014】
受体2の内周には雌ネジ部5を設け、さらにOリング4が当接する段部6を延設している。また該受体2の外周にはストッパー部7を設けており、該受体2を排水管Pの末端に内挿する際、該排水管Pと該受体2との接着固定を容易にしている。受体2は排水管Pに内挿されているが、外挿されてもかまわない。」
(ウ)図2から、「蓋体3」の外側面に形成される壁状部分と「受体2」の内側面に形成される壁状部分とによって、点検口の基端部からOリング4に向かう方向において非直線部を形成し、当該非直線部において、前記の壁状部分が互いに隙間を有する状態で配置されている点が看て取れる。

(5)甲第5号証について
ア 甲第5号証の記載事項
(ア)「【0001】
本発明は、立管路の途中に立管路の一部を形成する立管部と、立管部の側壁から分岐する分岐管部とを有する管継手を組み込むことにより、分岐管部を介して立管路への点検用又は清掃用線条具を挿入可能とする立管路構造及び管継手に関する。
【0002】
従来、集合住宅及びオフィスビルなどの多層階建造物の管路構造は、各階及び地面下に設けられた横管路と、最上階から地面下に向けて設けられた立管路とからなり、各階の排水を横管路から立管路へと流し、立管路から地面下の横管路に流下させて外部に排出する。」
(イ)「【0028】
図に示すとおり、立管路構造は、少なくとも、線条具ガイド機構1、掃除口2、管継手3及び立て管4を備え、これらは、塩化ビニール又はオレフィン系などの可撓性素材で成型されている。
【0029】
管継手3は、立管部30、受口部31、コーナ部32及び分岐管部33を備える。立管部30は、略円筒状をなし、その上下端から僅かに外側にずれた位置から壁が延びて立管部30の内径より大径の受口部31が形成されている。分岐管部33は、立管部30の側壁から立管部30の軸心方向に対して直交する方向に突出している。分岐管部33と下流側の受口部31管路との境目には、L字形のコーナ部32が形成されている。
【0030】
掃除口2は、分岐管部33の内径と略同径の円筒であり、端部の内周面に雌ねじ20が形成されている。
【0031】
線条具ガイド機構1は、キャップ部10、線条具ガイド筒部11、突出部12、雄ねじ13、リブ14、リブ溝15及び雌ねじ16を備える。
【0032】
キャップ部10は、掃除口2の口径より大径の円板状をなし、円板の外周縁部から背面(掃除口2に取り付けられた状態で掃除口2と対向する面をいう、以下同じ。)側に折れ曲がってリブ14を形成している。キャップ部10の背面には、環状リブが設けられ、環状リブの外周とリブ14の内周との間にリブ溝15が形成されている。環状リブは、外径が掃除口2の口径と略同径であり、リブ14との対向面に雄ねじ13が形成されている。」
(ウ)「【0061】
実施の形態3.
本発明は、管継手3の受口部31が以下の構造を備えても良い。図9は本発明に係る管継手3に伸縮処理部材7を取り付ける例を示す斜視図、図10は図3乃至図7とは異なる形状の線条具ガイド機構を示す図であって、(a)は正面図を示し、(b)は断面を含む側面図を示し、図13は従来の管継手Cに立て管Aの線膨張を吸収するための差込ソケットIを取り付ける例を示す図である。」
(エ)「【0069】
図9に示すとおり、線条具ガイド機構8は、止水のために、断面視O形をなす環状ゴム部材85が環状リブ83の外周面に取り付けられて掃除口2の先端部にねじ込まれる。ねじ込まれた線条具ガイド機構8は、環状ゴム部材85が掃除口2の先端を押さえ付けることにより、掃除口2との間で水密状態となり、螺合箇所からの漏水を防止する。線条具6は、線条具ガイド機構8により閉鎖された状態で線条具挿入口81から挿入される。」
(オ)図10(a)(b)から、キャップ部10の外側面に環状ゴム部材85を取付け、外側面を縮径ないしは段差状にした点が看て取れる。

(6)甲第6号証について
ア 甲第6号証の記載事項
(ア)「【意匠に係る物品】管用掃除口」(1頁6行)
(イ)「【意匠に係る物品の説明】本物品は、大小2つの蓋体を有する管用掃除口である。参考断面図に示すように、本物品は、蓋体(小)、蓋体(大)、受枠の3つの構成部分からなる。なお、蓋体(大)は、蓋体(小)の受枠を兼ねる。管内の点検や掃除の際には、蓋体(小)又は蓋体(大)を外すことができる。」(1頁26-28行)
(ウ)【参考断面図】(4頁)から、管用掃除口において、蓋体(大)の外側面に形成される壁状部分と受枠の内側面に形成される壁状部分によって、管用掃除口の基端部から蓋の方向(上方向)において非直線部を形成し、当該非直線部において、両壁状部分が隙間を有する状態で配置されている点が看て取れる。

4 取消理由通知に記載した取消理由(第29条第1項第3号第29条第2項)について
(1)本件発明1?6について
ア 本件発明1
(ア)対比・判断
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「直管状の主流路(2)」は、本件発明1の「直管状の中央胴部」に相当し、
以下同様に、
「円筒状の蓋取付口(8)」は、「円筒状の掃除口部」に、
「ます本体(4)の一部」は、「継手本体」に
蓋取付口(8)に嵌着される上側の「点検用掃除用の蓋(9)」は、掃除口部に対して装着される「蓋」に、
蓋と円筒状ます本体(4)の一部との間がシールされるよう、該蓋の外周面に凹設された環状溝に嵌着された「Oリング(17)」は、「掃除口部の内側面と蓋の外側面との間に設けられ」て備えた「環状のシール部材」に、
「掃除口付管継手」は、「合流ます」に、
「蓋の外側面に外側に向かって形成される壁部(A)」は、「第1壁」に、
「壁部(A)よりも掃除口部の基端部側の位置において、蓋取付口の内面に形成される壁部(B)」は、「第2壁」に、それぞれ相当する。

また、甲1発明の、壁部(A)と壁部(B)とによって、「蓋取付口の基端部からOリング(17)に向かう方向に」おいて形成された「非直線部」は、本件発明1の、第1壁と第2壁とによって、「前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において形成し」た「非直線部」に、相当する。

さらに、甲1発明の「点検用掃除用の蓋(9)」は、蓋取付口に嵌着されるに際して、蓋の周縁部に突設された複数個の係止片が、蓋取付口の周縁部に設けられた複数個の係止切欠部に嵌合することから、掃除口部に対して装着される蓋は、バヨネット方式で装着される蓋であるといえる。

そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する部材と、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋と、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、排水管の部分に組み込まれる掃除口付管部材であって、
前記蓋の外側面に形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成した、掃除口付管継手。

<相違点1>
掃除口付管継手が組み込まれる箇所が、本件発明1では、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分」であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がなされていない点。

<相違点2>
第1壁と第2壁との配置について、本件発明1では、「前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されて」いるのに対して、甲1発明では、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置されていない点。

<相違点3>
掃除口部に対して装着される蓋が、本件発明1では、「前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有」しているのに対して、甲1発明では、フランジ部を有していない点。

<相違点4>
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、本件発明1では、「前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる」のに対して、甲1発明では、そのような特定がなされていない点。

そして、上記相違点のうち、少なくとも相違点1に係る本件発明1の、掃除口付管継手が組み込まれる箇所が、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分」である点、及び相違点2に係る本件発明1の「前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されて」いる点は、甲1発明との構成上の明らかな差異であるといえるから、実質的な相違点であるといえる。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。

次に、相違点の容易想到性について検討する。
相違点1について
甲1発明は、円筒状の蓋取付口(8)を有するます本体(4)の一部に設けられた蓋取付口(8)に、上側の点検用掃除用の蓋を嵌着した合流ますであるが、当該合流ますは、排水の合流方向に応じて合流ますの上下を決定して反転させて使用する(点検用掃除用の蓋を嵌着した側を上にして使用する)ものであり、また、甲第1号証には、当該合流ますを排水管の縦管部分に組み込んで使用することにつき記載も示唆もされていない。そうすると、甲1発明の合流ますを排水管の縦管部分に組み込んで使用することの動機付けがないというべきである。
また、甲第2号証及び甲第3号証には、管継手及びその蓋ないし閉塞具が記載されているだけであり、甲第4号証には排水管の曲がり部や合流部に設ける点検口の蓋体が記載されているだけであり、そして甲第6号証には、大小2つの蓋体を有する管用掃除口が記載されているだけであって相違点1に係る本件発明1の構成が記載も示唆もされていない。さらに、甲第5号証には、集合住宅及びオフィスビルなどの多層階建造物の立管路構造において、管継手3及びキャップ10を備える線条具ガイド機構1が記載されているが、上記のとおり、甲1発明には、合流ますを排水管の縦管部分に組み込んで使用することの動機付けがないのであるから、甲第5号証に記載された事項を適用することができない。
したがって、甲1発明を相違点1に係る本件発明1のように縦管部分に組み込んで使用することは容易に想到することはできない。

申立人は、「甲1に記載の合流ますは、例えば参考資料1(特開2002-146872号公報)の段落0013及び参考資料2(特開2014-66018号公報)の段落0037に見られるように、戸建住宅だけでなく集合住宅においても使用されるものであって、さらに、高圧洗浄機により洗浄されることも、参考資料1(段落0019)及び参考資料2(段落0003、図13及び図14)に記載されている。そして、縦管分部(「縦管部分」の誤記と認める。)に組み込むことは、建物の構造等との関係から、当業者であれば必要に応じて適宜決定し得る設計上の事項に過ぎない。」と主張する。(平成30年7月19日付け意見書3頁8-13行)
しかしながら、合流ますが、参考資料1及び2にみられるように集合住宅において使用され、高圧洗浄機により洗浄されるものであるとしても、甲1発明の合流ますは、排水の合流方向に応じて合流ますの上下を決定して反転させて使用するものであるから、上記のとおり、甲1発明において排水管の縦管部分に組み込んで使用することの動機付けがあることにはならない。なお、仮に、甲1発明を縦管部分に組み込むと、排水の合流方向に応じて合流ますの上下を決定して反転させて使用したことにならない(点検用掃除用の蓋ではない側の蓋がインバート部として使用されないことになる)から、甲1発明を縦管分部に組み込むことに阻害要因があるといえる。
よって、申立人の主張を採用することができない。

相違点2について
甲第4号証や甲第6号証には、管用の点検口ないし掃除口において、蓋の外側面に形成した壁状部分と開口部の内側面に形成された壁状部分との間の隙間に、開口部の基端部から、シール部材ないしは蓋に向かう方向において非直線部を形成し、当該非直線部において、両壁状部分が隙間を有する状態で配置されている点が記載されている。
しかしながら、甲第1号証には、掃除口部の基端部からシール部材に向かう方向において形成した非直線部の第1壁と第2壁に関し、その課題や作用効果について、何ら記載も示唆もされておらず、甲第4号証及び甲第6号証の隙間についても同様であるから、甲第4号証や甲第6号証に記載された事項を適用して隙間を設ける動機付けはないというべきである。
また、甲第2号証、甲第3号証及び甲第5号証には、相違点2に係る本件発明1の構成が記載も示唆もされていない。
したがって、相違点2に係る本件発明1の構成に想到することはできない。

申立人は、「甲4(摘示r)には、以下の拡大図からも明らかなように、図2の記載から非直線部に隙間が存在することが見て取れる。」、「また、甲6(摘示v)には、【参考断面図】の受枠と蓋体との嵌着状態を観察すると、以下の拡大図からも明らかなように、非直線部に隙間が存在することが見て取れる。」「さらに、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置することは、参考資料3?13(意匠登録第946833号の類維持意匠登録第3号公報、意匠登録第946833号公報、意匠登録第946833号の類似意匠登録第1号公報、意匠登録第953359号公報、意匠登録第953359号の類似意匠登録第1号、意匠登録第945665号公報、意匠登録第945666号公報、意匠登録第945666号の類似意匠登録第1号公報、意匠登録第9455667号公報、意匠登録第9455667号の類似意匠登録第1号公報、意匠登録第972411号公報)に記載のとおり、周知の技術事項に過ぎない。以下に代表的に参考資料3の「使用状況を示す参考図」の要部拡大図を示す。明らかに第1壁と第2壁とが隙間を有している。」「したがって、非直線部に隙間を設けることは、当業者であれば適宜なし得ることに過ぎず、また、このことにより、格別予期し難い効果が奏されるとも認められない。」と主張する。(平成30年7月19日付け意見書3頁18行-4頁6行)
しかしながら、甲第4号証及び甲第6号証に、非直線部に隙間が存在することが記載され、また、申立人が提示した参考資料3?13に、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置することが記載されているとしても、上記のとおり甲1発明の第1壁と第2壁との間に隙間を設ける動機付けはないのであるから、相違点2に係る本件発明1の構成に想到することはできないことは、上記において説示したとおりである。

以上のとおりであるから、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明または事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)まとめ
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

イ 本件発明2ないし6について
本件発明2ないし6は、本件発明1の構成をすべて含み更に減縮した発明であるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし6は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、本件発明2ないし6は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(2)本件発明7
ア 対比・判断
本件発明7と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点5>
掃除口付管継手が組み込まれる箇所が、本件発明7では、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分」であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がなされていない点。

<相違点6>
第1壁と第2壁との配置について、本件発明7では、「前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されて」いるのに対して、甲1発明では、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置されていない点。

相違点5及び相違点6は、本件発明1と甲1発明との相違点1及び相違点2の内容と同様であるから、上記(1)ア(ア)の相違点1及び相違点2について説示した判断のとおりである。

イ まとめ
本件発明7は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(3)本件発明8
ア 対比・判断
本件発明8と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点7>
掃除口付管継手が組み込まれる箇所が、本件発明8では、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分」であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がなされていない点

<相違点8>
第1壁と第2壁との配置について、本件発明8では、「前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されて」いるのに対して、甲1発明では、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置されていない点。

相違点7及び相違点8は、本件発明1と甲1発明との相違点1及び相違点2の内容と同様であるから、上記(1)ア(ア)の相違点1及び相違点2について説示した判断のとおりである。

イ まとめ
本件発明8は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(4) 本件発明9及び10
ア 本件発明9について
(ア)対比・判断
<相違点9>
掃除口付管継手が組み込まれる箇所が、本件発明9では、「マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分」であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がなされていない点

<相違点10>
第1壁と第2壁との配置について、本件発明9では、「前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されて」いるのに対して、甲1発明では、第1壁と第2壁とが隙間を有する状態で配置されていない点。

相違点9及び相違点10は、本件発明1と甲1発明との相違点1及び相違点2の内容と同様であるから、上記(1)ア(ア)の相違点1及び相違点2について説示した判断のとおりである。

(イ)まとめ
本件発明9は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

イ 本件発明10について
本件発明10は、本件発明9の構成をすべて含み更に減縮した発明であるから、本件発明9についての判断と同様の理由により、本件発明10は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、本件発明10は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

5 まとめ
したがって、本件発明1ないし10は、甲第1号証に記載された発明ではなく、その特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明1ないし10は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明又は事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、平成29年9月26日付け取消理由通知及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に対してバヨネット方式で装着される蓋と、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。
【請求項2】
前記第1壁と前記第2壁とは、前記掃除口部の径方向においてオーバーラップする、請求項1記載の掃除口付管継手。
【請求項3】
前記第1壁は、前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。
【請求項4】
前記第1壁は、前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって形成される、請求項1または2記載の掃除口付管継手。
【請求項5】
前記蓋の外側面には、複数の前記第1壁が形成される、請求項1ないし4のいずれかに記載の掃除口付管継手。
【請求項6】
前記複数の第1壁は、階段状に形成される、請求項5記載の掃除口付管継手。
【請求項7】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手大体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に突起を設けることによって形成される第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。
【請求項8】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面を前記シール部材との当接部分の径よりも縮径させて形成した段差を設けることによって、前記蓋の外側面に形成される前記第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。
【請求項9】
直管状の中央胴部および前記中央胴部から当該中央胴部の軸方向と略直交する方向に分岐する円筒状の掃除口部を有する継手本体と、前記掃除口部の先端部に当接するフランジ部を有し、前記掃除口部に装着される蓋と、前記掃除口部に前記蓋を固定するための係合部よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間に設けられる環状のシール部材とを備え、マンション等の集合住宅内に配管される排水管の縦管部分に組み込まれる掃除口付管継手であって、
前記蓋の外側面に形成される複数の第1壁、および
前記第1壁よりも前記掃除口部の基端部側の位置において、前記掃除口部の内側面に形成される第2壁を備え、
前記第1壁と前記第2壁とによって、前記掃除口部の内側面と前記蓋の外側面との間の隙間に、前記掃除口部の基端部から前記シール部材に向かう方向において非直線部を形成し、
前記非直線部において、前記第1壁と前記第2壁とが隙間を有する状態で配置されており、
高圧洗浄機を用いて前記掃除口付管継手を組み込んだ排水管を洗浄するときに、前記高圧洗浄機の洗浄ノズルから噴射される洗浄水を前記第1壁で受けることによって、前記洗浄水が前記シール部材に到達する前に前記洗浄水を減速させる、掃除口付管継手。
【請求項10】
前記複数の第1壁は、階段状に形成される、請求項9記載の掃除口付管継手。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-09-05 
出願番号 特願2015-250844(P2015-250844)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (E03C)
P 1 651・ 121- YAA (E03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 舟木 淳七字 ひろみ  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 住田 秀弘
西田 秀彦
登録日 2017-07-28 
登録番号 特許第6182587号(P6182587)
権利者 株式会社クボタケミックス
発明の名称 掃除口付管継手  
代理人 山田 義人  
代理人 山田 義人  

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