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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
管理番号 1345876
異議申立番号 異議2018-700681  
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-14 
確定日 2018-10-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第6280243号発明「架橋組成物及びこれを含む化粧料組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6280243号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6280243号の請求項1ないし14に係る発明についての出願は、2015年(平成27年)4月24日(パリ条約による優先権主張 2014年4月28日、2014年6月26日、いずれも米国(US))の国際出願であって、平成30年1月26日にその特許権の設定登録がされ、同年2月14日に特許公報が発行され、その後、平成30年8月14日に、異議申立人 廣瀬 妙子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立がされたものである。

申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

甲第1号証:特開平5-310753号公報
甲第2号証:特開2011-26493号公報
甲第3号証:国際公開第2013/103535号
甲第4号証:国際公開第2013/103536号
甲第5号証:「Momentive SAFETY DATA SHEET,LSR2050」、作成日:2013年1月16日
甲第6号証:G.Rajesh et al. "Liquid Silicone Rubber Vulcanizates: Network Structure - Property Relationship and Cure Kinetics", Polymers & Polymer Composites, 2010, vol. 18, No. 9, p.477-488
甲第7号証:特開2014-74058号公報
甲第8号証:特表2015-511969号公報
甲第9号証:特表2015-512956号公報
甲第10号証:特表2005-503348号公報
甲第11号証:Anubhav Saxena et al. "A Systematic Approach To Decipher the Microstructure of Methyl Hydrosiloxane Copolymers and Its Impact on Their Reactivity Trends", Macromolecules, 2011, vol.44, p.6480-6487
甲第12号証:特開2009-263213号公報
甲第13号証:特開2009-263643号公報

以下、甲第1号証ないし甲第13号証を、「甲1」ないし「甲13」という。

第2 本件特許発明について
本件特許の請求項1ないし14に係る発明は(以下「本件発明1」ないし「本件発明14」という)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
架橋組成物であって、ヒドロシリル化触媒の存在下での、
A)以下の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサン
(R^(4)_(3)SiO_(1/2))(R^(4)_(2)SiO_(2/2))_(a)(R^(1)R^(4)SiO_(2/2))_(b)(R^(4)HSiO_(2/2))_(c)(R^(2)R^(4)SiO_(2/2))_(d)(R^(3)R^(4)SiO_(2/2))_(e)(R^(4)_(3)Si-O_(1/2))
[式中、R^(1)及びR^(2)のそれぞれは、独立に選択された水素原子又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、R^(3)は、水素原子であるか、又は少なくとも1個のカルボキシル基を有する基又はそれらの前駆体であり、それぞれのR^(4)は、独立に選択された置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、a≧0、b≧0、c≧1、d≧0、かつe≧1である]、及び
B)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤、
の反応生成物を含み、
但し、
R^(3)が水素原子であるとき、前記架橋組成物が、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、
R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を
含む、架橋組成物。
【請求項2】
化粧料組成物であって、
(I)架橋組成物であって、ヒドロシリル化触媒の存在下での、
A)以下の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサン
(R^(4)_(3)SiO_(1/2))(R^(4)_(2)SiO_(2/2))_(a)(R^(1)R^(4)SiO_(2/2))_(b)(R^(4)HSiO_(2/2))_(c)(R^(2)R^(4)SiO_(2/2))_(d)(R^(3)R^(4)SiO_(2/2))_(e)(R^(4)_(3)SiO_(1/2))
[式中、R^(1)及びR^(2)のそれぞれは、独立に選択された水素原子又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、R^(3)は、水素原子であるか、又は少なくとも1個のカルボキシル基を有する基又はそれらの前駆体であり、それぞれのR^(4)は、独立に選択された置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、a≧0、b≧0、c≧1、d≧0、かつe≧1である]、及び
B)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤、
の反応生成物を含む、架橋組成物と、
(II)少なくとも1種の化粧料構成成分とを、
場合により、化粧料的に許容され得る媒体中に含み、
但し、
R^(3)が水素原子であるとき、前記架橋組成物が、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、
R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含む、化粧料組成物。
【請求項3】
R^(3)が水素原子であり、前記架橋組成物が、
C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
i)構成成分C1)が、アリルコハク酸無水物(ASA)を含み、かつ前記架橋組成物が、D)水、アルコール、若しくはこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、又は
ii)構成成分C1)が、トリメチルシリルウンデシレナートを含み、かつ前記架橋組成物が、D)アルコールの更なる反応生成物を含み、又は
iii)i)及びii)の両方である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
R^(3)が、少なくとも1種のカルボキシル基又はその前駆体であり、あるいはアリルコハク酸無水物(ASA)又はトリメチルシリルウンデシレナートの誘導体であり、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
構成成分B)が式(III):R^(5)-Y-R^(5)のものであり、R^(5)が、2?12個の炭素原子を有する一価の不飽和脂肪族炭化水素基であり、かつYが、二価有機基、二価シロキサン基、又は二価オルガノシロキサン基である、請求項1?5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋組成物が次の一般式(II):


[式中、Wは二価の基であり、R^(1)、R^(1)’、R^(2)、R^(2)’、R^(4)、及びR^(4)’のそれぞれは、独立に選択された置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、R^(3)及びR^(3)’のそれぞれは、独立に、少なくとも1種のカルボキシル基を有する基又はそれらの前駆体であり、a≧0、a’≧0、b≧0、b’≧0、c≧1、c’≧1、d≧0、d’≧0、e≧1、かつe’≧1である]のものである、請求項1?6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
i)R^(3)が、末端カルボキシル基を有し、又は
ii)R^(3)が、無水物基若しくはキャップ化カルボキシル基から選択された末端カルボキシル基前駆体を有し、又は
iii)R^(3)が、アリルコハク酸無水物(ASA)若しくはトリメチルシリルウンデシレナートの誘導体である、請求項1又は7に記載の組成物。
【請求項9】
i)a+b+c+d+eの合計が、4?2,000から選択される整数であり、かつ/又は
ii)10≦a≦500、0≦b≦100、1≦c≦100、0≦d≦100、及び1≦e≦100であり、かつ/又は
iii)R^(1)が、メチル基であり、R^(2)が、1?12個の炭素原子を有する脂肪族若しくは芳香族基であり、かつR^(4)がR^(1)である、請求項1?8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
パーソナルケア用、あるいはケラチン基質のケア用の、請求項1?9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
架橋組成物の形成方法であって、
A)以下の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンを提供する工程と、
(R^(4)_(3)SiO_(1/2))(R^(4)_(2)SiO_(2/2))_(a)(R^(1)R^(4)SiO_(2/2))_(b)(R^(4)HSiO_(2/2))_(c)(R^(2)R^(4)SiO_(2/2))_(d)(R^(3)R^(4)SiO_(2/2))_(e)(R^(4)_(3)Si-O_(1/2))
[式中、R^(1)及びR^(2)のそれぞれは、独立に選択された水素原子又は置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、R^(3)は、水素原子であるか、又は少なくとも1個のカルボキシル基を有する基又はそれらの前駆体であり、それぞれのR^(4)は、独立に選択された置換若しくは非置換ヒドロカルビル基であり、a≧0、b≧0、c≧1、d≧0、かつe≧1である]
B)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤を提供する工程と、
ヒドロシリル化触媒の存在下で構成成分A)及びB)を組み合わせて、前記架橋組成物を形成する工程と、を含み、
前記架橋組成物が、請求項1?9のいずれか一項に記載のものである、架橋組成物の形成方法。
【請求項12】
R^(3)が水素素原子であり、
C1)脂肪族不飽和炭化水素基及び少なくとも1種のカルボキシル基又はカルボキシル基前駆体を有する化合物、あるいはC1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はそれらの組み合わせを提供する工程と、
R^(3)と、構成成分C1)とを反応させて、前記架橋組成物を更に形成させる工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
D)水、アルコール、又はこれらの組み合わせを提供する工程と、
前記架橋組成物と構成成分D)とを反応させて、前記架橋組成物を更に形成させる工程と、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R^(3)が、少なくとも1種のカルボキシル基又はその前駆体であり、あるいはアリルコハク酸無水物(ASA)又はトリメチルシリルウンデシレナートの誘導体であり、
C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせを提供する工程と、
R^(3)と、構成成分C2)とを反応させて、前記架橋組成物を更に形成させる工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。」

第3 申立人が主張する取消理由

申立人の主張する取消理由は以下のとおりである。

1 本件発明1ないし14は、甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明と、甲3に記載された事項及び甲4ないし甲13に記載された周知技術ないし技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

2 本件発明1ないし14は、甲3に記載された発明と、甲1又は甲2に記載された事項及び甲4ないし甲13に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

第4 当審の判断

1 各甲号証に記載された事項及び甲1ないし甲3に記載された発明
(1)甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明
甲1には以下の記載がある。
ア-1「平均組成式(1)
【化1】

(但し、Xはアクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基、Yはカルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシデシル基より選ばれる有機基、R^(1)は炭素数1?6のアルキル基又フェニル基を示す。a、b、cは整数で、0≦a≦100、1≦b≦20、1≦c≦20である。)で示されるオルガノポリシロキサン。」(請求項1)

イ-1「しかし、これまでに、(メタ)アクリル基とカルボキシル基の双方の官能基を含有するオルガノポリシロキサンは知られていない。
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、樹脂改質剤等として更に有効に使用される有機オルガノポリシロキサンにつき鋭意検討を行った結果、下記平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基にアクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物をcモル付加することにより、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンが得られること、また下記平均組成式(4)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基にアクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物を2モル付加することにより、同様に下記平均組成式(2)で示されるオルガノポリシロキサンが得られることを見い出した。

・・・
(但し、Xはアクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基、Yはカルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシデシル基より選ばれる有機基、R^(1)は炭素数1?6のアルキル基又フェニル基を示す。a、b、cは整数で、0≦a≦100、1≦b≦20、1≦c≦20である。)
」(【0004】?【0006】)

ウ-1「上記(1),(2)のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(3),(4)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとアクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物とのヒドロシリル化反応により容易に高収率で製造することができる。」(【0014】)

エ-1「上記ヒドロシリル化反応は、白金触媒の存在下で行うことが好ましい。この場合、白金触媒は公知のヒドロシリル化反応に用いられるいずれのものでも使用できるが、工業的には塩化白金酸が好ましい。白金触媒の添加量は触媒量であり、通常オルガノハイドロジェンポリシロキサンの2?400ppm程度である。」(【0020】)

記載事項ア-1ないしエ-1より、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基に、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物をcモル付加する、白金触媒の存在下でのヒドロシリル化反応により得られる、平均組成式(1)(但し、Xはアクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基、Yはカルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシデシル基より選ばれる有機基、R^(1)は炭素数1?6のアルキル基又フェニル基を示す。a、b、cは整数で、0≦a≦100、1≦b≦20、1≦c≦20である。)で示されるオルガノポリシロキサン。」(式は省略。以下、「甲1発明」という。)

(2)甲2には、以下の記載がある。
ア-2「上記本発明のオルガノポリシロキサンは、アミド基と所定数以上の炭素原子を含む基とを備え、シリコーン以外の油剤との相溶性、油剤及び粉体の分散性に優れ、経時安定性及び皮膚密着性に優れた化粧料を形成することができる。特に、粉体を含有する化粧料において前記オルガノポリシロキサンを配合すると、粉体処理効果(耐水性、耐皮脂性、油剤への分散安定性)により、粉体が高度に分散された化粧料を形成することができる。」(【0010】)

イ-2「<実施例1>
反応器に下記式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン234質量部と、

下記式(11)で表される無水アリルコハク酸44.1質量部と、

トルエン100質量部を仕込み、そこへ、塩化白金酸0.5質量%のトルエン溶液0.1部を加えた後、還流下で2時間反応させた。反応物を減圧下で加熱してトルエンを溜去し、下記式(12)で表される酸無水物基含有オルガノポリシロキサンを得た。


上記酸無水物基含有オルガノポリシロキサン250質量部にテトラヒドロフラン100質量部、ラウリルアミン50.3質量部を添加し、還流下で2時間反応させた。反応物を減圧蒸留に付して、下記式(13)で表されるカルボキシル基含有オルガノポリシロキサンを得た。

」(【0074】)

記載事項イ-2より、甲2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「塩化白金酸の存在下で、式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、無水アリルコハク酸を反応させて得られた、式(12)で表される酸無水物基含有オルガノポリシロキサン。」(式は省略。以下、「甲2発明」)という。

(3)甲3には、以下の記載がある。
なお、合議体訳は、甲3の翻訳文として、特表2015-511969号公報(甲8)に従った。
ア-3「[0028]In the present invention, there is provided an addition curable ionic silicone composition which comprises components(A), (B), (C), (D), (E), and (F) as follows.
Component (A):
Component (A) comprises an ionic silicone of the following formula (I):
M_(a)^(1)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j) (I)
wherein:
M^(1)=R^(1)R^(2)R^(3)SiO_(1/2)
M^(2)=R^(4)R^(5)R^(6)SiO_(1/2)
M^(3)=R^(7)R^(8)R^(9)SiO_(1/2)
D^(1)=R^(10)R^(11)SiO_(2/2)
D^(2)=R^(12)R^(13)SiO_(2/2)
D^(3)=R^(14)R^(15)SiO_(2/2)
T^(1)=R^(16)SiO_(2/3)
T^(2)=R^(17)SiO_(3/2)
T^(3)=R^(18)SiO_(3/2)
Q=O_(4/2)
wherein R^(1), R^(2), R^(5), R^(6,) R^(8,) R^(9), R^(11), R^(13), and R^(15) are aliphatic, aromatic or fluoro monovalent hydrocarbons having from 1 to 60 carbon atoms. Example of useful hydrocarbon groups includes methyl, ethyl, n-propyl, iso-propyl, n-butyl, isobutyl, tert-butyl, n-pentyl, iso-pentyl, neopentyl and tert-pentyl; hexyl, such as the n-hexyl group; heptyl, such as the n-heptyl group; octyl, such as the n-octyl and isooctyl groups and the 2,2,4-trimethylpentyl group; nonyl, such as the n-nonyl group; decyl, such as the n-decyl group; cycloalkyl radicals, such as cyclopentyl, cyclohexyl and cycloheptyl radicals and methylcyclohexyl radicals. Examples of aryl groups include phenyl, naphthyl; o-, m- and p-tolyl, xylyl, ethylphenyl, and benzyl, wherein R^(3), R^(10), R^(16) are independently selected from -CH_(2)CH(R')(C_(n)H_(2n))-O-(C_(2)H_(4)O)_(o)-(C_(3)H_(6)O)_(p)- (C_(4)H_(8)O)_(q)-R', wherein subscript n is zero or positive and has a value in the range of 0 to 6, subscripts o, p and q are zero or positive and independently selected from a value in the range of 0 to 100, subject to the limitation of o+p+q greater than or equal to 1. R' can be hydrogen or an aliphatic, aromatic or fluoro hydrocarbon having from 1 to 60 carbon atoms, or R' can be independently chosen from glycolide {-C(O)CH_(2)O-}, lactide {-C(O)CH(CH_(3))O-}, butyrolactide {-C(O)CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-} and caprolactide {-C(O)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-} radicals or hydrocarbon radical defined by R^(1).
[0029]R^(4), R^(12), R^(17) are monovalent radical-bearing ion-pairs having the formula (II)
-A-I^(X-)M_(n)^(y+)(II);
where A is a spacing group having at least one spacing atoms selected from a divalent hydrocarbon or hydrocarbonoxy group, where I is an ionic groups such as sulfonate -S0_(3)^(-), sulfate -OSO_(3)^(-), carboxylate -COO^(-), phosphonate -PO_(3)^(2-) and phosphate -OPO_(3)^(2-) groups, more specifically sulfonate -S0_(3)^(-), where M is hydrogen or a cation independently selected from alkali metals, alkaline earth metals, transition metals, metal complexes, quaternary ammonium and phosphonium groups, hydrocarbon cations, alkyl cations, organic cations, and cationic polymers.
[0030]Alternatively, R^(4), R^(12), R^(17) can be zwitterions having the formula (III):
-R'-NR"_(2)^(+)-R"'-I (III)
where
R' is a divalent hydrocarbon radical containing from 1 to about 60 carbon atoms, specifically from 1 to about 20 carbon atoms, and more specifically from 1 to about 8 carbon atoms,
R" is monovalent hydrocarbon radical containing from 1 to about 60 carbon atoms, specifically from 1 to about 20 carbon atoms and more specifically from 1 to about 8 carbon atoms, and where
R"' is divalent hydrocarbon radical containing from 2 to about 20 carbon atoms, specifically from 2 to about 8 carbon atoms and more specifically from 2 to about 4 carbon atoms; and,
I is an ionic group such as I is an ionic groups such as sulfonate -S0_(3)^(-), sulfate -OSO_(3)^(-), carboxylate -COO^(-), phosphonate -PO_(3)^(2-) or phosphate -OPO_(3)^(2-) groups
where R^(7), R^(18) are independently selected from , hydrogen, or unsaturated monovalent radicals or epoxy group containing radicals
where R^(14) is independently selected from hydrogen, unsaturated monovalent radicals or epoxy group containing radicals or hydrogen when the ionic group is not a zwitter ion represented by the formula (III) above
where subscript n and superscript y are independently from 1 to 6 and x is the product of n times y, where
the subscript a, b, c, d, e, f, g, h, i, j are zero or positive subject to the following limitations: to the sum a+b+c+d+e+f+g+h+i+j is greater than or equal to 2, and less than or equal to 6000 , specifically the sum a+b+c+d+e+f+g+h+i+j is greater than or equal to 2 and less than or equal to 4000, more specifically the sum a+b+c+d+e+f+g+h+i+j is greater than or equal to 2 and less than or equal to 2000, the sum b+e+h greater than 0 and the sum c+f+i greater than 0.
[0031]In one other embodiment herein the divalent hydrocarbon group of A in formula (II) is an arylene group selected from the group consisting of -(CH_(2))_(l)C_(6)H_(4)(CH_(2))_(k)-_(,) -CH_(2)CH(CH_(3))(CH_(2))_(k)C_(6)H_(4)-, -CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))_(l)C_(6)H_(3)R^(19)- and -CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))_(l)C_(6)H_(2)R^(1)R^(19) - where R^(1) is as defined, R^(19) is a monovalent radical specifically from about 1 to about 20 carbon atoms, more specifically from about 1 to about 8 carbon atoms, sulfur atom(s), nitrogen atom(s), oxygen atom(s) or a radical containing combinations of the above atoms, where 1 has a value of 0 to 20, specifically from 1 to about 10 and k has a value of 0 to 20, specifically from 0 to about 10.
[0032]In another embodiment, the divalent hydrocarbon group of A in formula (II) is an alkylene group of the formula -(CHR^(20))_(m)- where m has a value of 1 to 20, specifically, from 1 to about 10 and R^(20) is hydrogen or R^(1).
[0033] In another embodiment the divalent hydrocarbonoxy group of A in formula (II) is selected from (CHR^(20))_(m)-(OCH(R^(20))(CH_(2))_(p) -O-(CH_(2))_(l )- where 1 has a value of from 0 to 20, specifically from 1 to about 10, m has a value of 0 to 50 and p has the value from 1 to 50.
・・・
Component (C)
[0037]Component(C) comprises a polyorganosiloxane having the average compositional formula:
R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)
R^(26) is C_(2-20) alkenyl that is directly bonded to silicone and can be exemplified by vinyl, allyl, butenyl, hexenyl and decenyl,
R^(27) is a group selected from unsubstituted or substituted monovalent hydrocarbyl (excluding alkenyl), epoxy, cycloepoxy, alkoxy, cylcloalkyl and aryl. The unsubstituted or substituted monovalent hydrocarbyl (excluding alkenyl) can be exemplified by alkyl such as methyl, ethyl, propyl and cyclohexyl, aryl such as phenyl, tolyl and napthyl; haloalkyl such as 3-chloropropyl, 3,3,3,-trifluoropropyl and 2-(nonafluorobutyl)ethyl; and aralkyl such as ethylbenzyl and 1-phenylethyl. The alkoxy can be exemplified by methoxy, ethoxy, n-propoxy and i-propoxy, wherein methoxy and ethoxy are preferred, and n, o, p are positive numbers with n+o+p=1 to 2, n is greater than or equal to 0, p is greater than or equal to 0 and that contains at least alkenyl, hydroxyl, epoxy, cycloepoxy directly bonded to silicon.
Component (D)
[0038]Component (D) comprises an organohydrogenoligosiloxane or organohydrogenpolysiloxane that has the average compositional formula
H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)
R^(28) is a group selected from unsubstituted or substituted monovalent hydrocarbyl (excluding alkenyl), peferably selected from alkyl radicals of 1 to 60 carbon atoms such as methyl, ethyl, propyl, butyl, pentyl, n-pentyl, isopentyl, hexyl, and octyl; mononuclear aryl radicals such as phenyl, methylphenyl, cycloalkyl radicals such as cyclohexyl, and haloalkyl radicals, q is greater than 0, r is greater than or equal to 0 and q+r is less than or equal to 3. The organohydrogensiloxane is a necessary component of the curable composition. When the silicone ionomer possesses vinyl or hydride groups, it is required in amounts sufficient to provide an appropriate crosslink density as suitable for the application. When the silicone ionomer or the component (C) as described above possesses epoxy groups, only trace quantities of the organohydrogensiloxane are required as an initiator.
Component (E)
[0039]Component(E) comprises an effective amount of transition metal catalyst for facilitating an addition cure hydrosilylation reaction between said vinyl functional cross-linking agents, functional polyorganosiloxane ionomer, and the said hydrogen functional siloxane either by thermal energy or by actinic radiation. To induce the addition reaction between the alkenyl in component (A), (C) and silicone bonded hydrogen in component (D), i.e., hydrosilylation reaction, a transition metal catalyst is required. Further, when the substituents of components (A) and/or (C) are epoxy or cycloepoxy groups, the metal catalyst, in presence of a silicone-hydride initiator, can also facilitate a ring opening polymerization of the epoxy groups. The catalyst can be exemplified by platinum catalyst such as platinic chloride, chloroplatinic acid, bis(acetylacetonato)platinum, and by platinum group metal catalysts such as palladium and rhodium catalysts as well as iron based catalysts. Preferably, the catalyst is platinum, and even more preferably, the platinum catalyst is present in a soluble complex form: (η^(5)-Cyclopentadienyl)trialkylplatinum complexes, Pt triazenido complex, Pt(PPh_(3))_(2)Cl_(2) and the type can be used for the photochemically induced addition reaction. The catalyst can be homogenous or heterogenous catalyst system.
・・・
[0041]The present invention on the curable ionic silicone composition is based on the functional groups of the ionic silicones that can undergo addition curing either thermally or under actinic radiation to provide transparent to translucent elastomers and gels with excellent physical properties such as tensile strength, hardness, tear strength, modulus, customizable tack and adhesive behavior, permeability to water vapor, and the ability to deliver active ingredients. The elastomers can be liquid silicone rubbers, heat cured elastomers of the type. The gels can be room temperature curable (RTV) or UV cured gels.」([0028]?[0041])

(合議体訳:
本発明において、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)を含む付加硬化性イオン性シリコーン組成物が提供される。
成分(A):
成分(A)は以下の式(I)
M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j) (I)
を持つイオン性シリコーンを含み、
式中、
M^(1)=R^(1)R^(2)R^(3)SiO_(1/2)
M^(2)=R^(4)R^(5)R^(6)SiO_(1/2)
M^(3)=R^(7)R^(8)R^(9)SiO_(1/2)
D^(1)=R^(10)R^(11)SiO_(2/2)
D^(2)=R^(12)R^(13)SiO_(2/2)
D^(3)=R^(14)R^(15)SiO_(2/2)
T^(1)=R^(16)SiO_(3/2)
T^(2)=R^(17)SiO_(3/2)
T^(3)=R^(18)SiO_(3/2)
Q=SiO_(4/2)
であり、
R^(1)、R^(2)、R^(5)、R^(6)、R^(8)、R^(9)、R^(11)、R^(13)、R^(15)は、1から60個の炭素原子を持つ、脂肪族、芳香族もしくはフルオロの、一価の炭化水素である。有用な炭化水素基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびtert-ペンチル、n-ヘキシル基のようなヘキシル、n-ヘプチル基のようなヘプチル、n-オクチルおよびイソオクチル基のようなオクチル、2,2,4-トリメチルペンチル基、n-ノニル基のようなノニル、n-デシル基のようなデシル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルラジカル、およびメチルシクロヘキシルラジカルのようなシクロアルキルラジカルを含む。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、o-、m-、およびp-トリル、キシリル、エチルフェニルおよびベンジルを含む。
式中、R^(3)、R^(10)、R^(16)は、独立して、-CH_(2)CH(R’)(C_(n)H_(2n))-O-(C_(2)H_(4)O)_(o)-(C_(3)H_(6)O)_(p)-(C_(4)H_(8)O)_(q)-R’から選択され、式中、下付文字nは0もしくは正であり、0から6の範囲の値を持ち、下付文字o、p、およびqは0もしくは正であり、独立して、0から100の範囲の値から選択され、o+p+qは1より大きいか1と等しいという制限がある。
R’は、水素、または1から60個の炭素原子を持つ脂肪族の、芳香族のもしくはフルオロの、炭化水素であるか、または、R’は、R^(1)によって定義される、グリコリド{-C(O)CH_(2)O-}、ラクチド{-C(O)CH(CH_(3))O-}、ブチロラクチド{-C(O)CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-}およびカプロラクチド{-C(O)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)O-}の、ラジカルもしくは炭化水素ラジカルからなる群より独立して選択される。
R^(4)、R^(12)、およびR^(17)は、式(II)
A-I^(X-)M_(n)^(Y+) (II)
を持つ一価のラジカル含有イオン対であってよく
式中
Aは二価の炭化水素もしくはヒドロカルボノキシ基から選択される少なくとも一つのスペーサー原子を持つスペーサー基であり、Iは、スルホナート-SO_(3)^(-)、サルファート-OSO_(3)^(-)、カルボキシラート-COO^(-)、ホスホナート-PO_(3)^(2-)、およびホスファート-OPO_(3)^(2-)基のようなイオン性基であり、より具体的にはスルホナート-SO_(3)^(-)であり、Mは、水素またはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、金属錯体、第四級アンモニウムおよび第四級ホスホニウム基、炭化水素カチオン、アルキルカチオン、有機カチオン、およびカチオン性ポリマーから独立して選択されるカチオンである。
代替的に
R^(4)、R^(12)、およびR^(17)は、式(III)
R’-NR’’_(2)^(+)-R’’’-I^(- ) (III)
を持つ両性イオンであってよく
式中
R’は1から約60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、そしてより具体的には1から約8個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
R’’は、1から60個の炭素原子、具体的には1から約20個の炭素原子、そしてより具体的には1から約8個の炭素原子を含む一価の炭化水素ラジカルであり、
R’’’は、2から約20個の炭素原子、具体的には2から約8個の炭素原子、そしてより具体的には2から約4個の炭素原子を含む二価の炭化水素ラジカルであり、
そしてIは、スルホナート-SO_(3)^(-)、サルファート-OSO_(3)^(-)、カルボキシラート-COO^(-)、ホスホナート-PO_(3)^(2-)、およびホスファート-OPO_(3)^(2-)基のようなイオン性基であり、
ここで、R^(7)、R^(18)は、水素または不飽和の一価のラジカルもしくはエポキシ基含有ラジカルから独立して選択され、
ここでR^(14)は、水素、不飽和の一価のラジカルもしくはエポキシ基含有ラジカルから独立して選択されるか、またはイオン性基が上述の式(III)によって表される両性イオンでないときは水素であり、
そしてここで、下付文字nおよびyは1?6より選択され、xはnかけるyの積であり、そして下付文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは0もしくは正数であり、以下の「a+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2より大きいかもしくは2と等しく、かつ6000より小さいかもしくは6000と等しい、具体的にはa+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2より大きいかもしくは2と等しく、かつ4000より小さいかもしくは4000と等しい、より具体的にはa+b+c+d+e+f+g+h+i+jの合計が2より大きいかもしくは2と等しく、かつ2000より小さいかもしくは2000と等しい」、「b+e+hが0より大きい」ならびに「c+f+iが0より大きい」という条件に従う。
本明細書の一つの他の実施態様において、式(II)中のAの二価の炭化水素基は、-(CH_(2))_(l)C_(6)H_(4)(CH_(2))_(k)-、-CH_(2)CH(CH_(3))(CH_(2))_(k)C_(6)H_(4)-、-CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))_(l)C_(6)H_(3)R^(19)および-CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))_(l)C_(6)H_(2)R^(1)R^(19)からなる群より選択されるアリーレン基であり、式中、R^(1)は定義されるとおりであり、R^(19)は具体的には約1から約20個の、そしてより具体的には約1から約8個の炭素原子、硫黄原子、窒素原子、酸素原子の一価のラジカルもしくはそれらの組み合わせのラジカルであり、ここでlは0から20の、具体的には1から約10の値を持ち、kは0から20の、具体的には0から約10の値を持つ。
他の実施態様において、式(II)中のAの二価の炭化水素基は、式-(CHR^(20))_(m)-のアルキレン基であり、式中mは1から20の、具体的には1から約10の値を持ち、R^(20)は水素もしくはR^(1)である。
他の実施態様において、式(II)中のAの二価のヒドロカルボノキシ基は、(CHR^(20))_(m)-(OCH(R^(20))(CH_(2))_(p)-O-(CH_(2))_(l)-から選択され、lは0から20の、具体的には1から約10の値を持ち、mは0から50の値を持ち、pは1から50の値を持つ。
・・・
成分(C):
成分(C)は、平均組成式:
R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)
を持つポリオルガノシロキサンを含み、
式中、R^(26)は、シリコーンへと直接結合するC_(2-20)アルケニルであり、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニルおよびデセニルによって例示され、
R^(27)は、不置換もしくは置換の、一価のヒドロカルビル(アルケニルを除く)、エポキシ、シクロエポキシ、アルコキシ、シクロアルキルおよびアリールから選択される基である。
不置換もしくは置換の、一価のヒドロカルビル(アルケニルを除く)は、メチル、エチル、プロピルおよびシクロヘキシルのようなアルキル、フェニル、トリルおよびナフチルのようなアリール、3-クロロプロピル、3,3,3-トリフロロプロピルおよび2-(ノナフルオロブチル)エチルのようなハロアルキル、エチルベンジルおよび1-フェニルエチルのようなアラルキルによって例示される。アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシおよびi-プロポキシによって例示され、エトキシが好ましい。
n、o、pは正の数であり、n+o+p=1から2であり、nは0より大きいかまたは0と等しく、pは0より大きいかまたは0と等しい。
そして、それは少なくとも一つの、ケイ素と直接結合する、アルケニル、ヒドロキシル、エポキシ、シクロエポキシを含む。
成分(D):
成分(D)は、平均組成式:
H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)
を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む。
R^(28)は、不置換もしくは置換の、一価のヒドロカルビル(アルケニルを除く)より選択される基であり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびオクチルのような1から60子の炭素原子のアルキルラジカル、フェニル、メチルフェニルのような単核のアリールラジカル、シクロヘキシルのようなシクロアルキルラジカル、およびハロアルキルラジカルより選択される。qは0より大きく、rは0より大きいかまたは0と等しく、q+rは3より小さいかまたは3と等しい。オルガノハイドロジェンシロキサンは硬化性組成物の必須の成分である。シリコーンイオノマーがビニルもしくはヒドリド基を持つとき、用途に好適である適切な架橋密度を提供するのに十分な量を必要とされる。シリコーンイオノマーもしくは上述の成分(C)がエポキシ基を持つとき、オルガノハイドロジェンシロキサンの痕跡量のみが開始剤として必要とされる。
成分(E):
成分(E)は、前記ビニル官能性架橋剤、官能性ポリオルガノシロキサンイオノマーと前記ハイドロジェン官能性シロキサンの間の熱エネルギーもしくは化学線のいずれかによる付加硬化ヒドロシリル化反応を促進するのに有効な量の遷移金属触媒を含む。成分(A)、(C)中のアルケニルと成分(D)のシリコーン結合水素の間の付加反応、すなわちヒドロシリル化反応を導入するために、遷移金属触媒が必要とされる。さらに、成分(A)および/もしくは(C)の置換基がエポキシもしくはシクロエポキシ基であるとき、金属触媒は、シリコーン-ヒドリド開始剤の存在下でエポキシ基の開環重合化を促進する。触媒は、白金クロリド、クロロ白金酸、ビス(アセチルアセトナト)白金のような白金触媒で、ならびに、パラジウムおよびロジウム触媒のような白金族金属触媒ならびに鉄系触媒で例示され得る。好ましくは触媒は白金であり、そしてさらにより好ましくは、白金触媒は、可溶性の錯体状:(η^(5)-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、Ptトリアゼニド錯体、Pt(PPh_(3))_(2)Cl_(2)および光化学的に導入される付加反応に用いられる型のもので存在する。触媒は均一でも異種混合ででも存在し得る。
・・・
硬化性イオン性シリコーン組成物に関する本発明は、熱もしくは放射線照射のいずれかによって付加硬化して透明から半透明の、引張強度、硬度、引裂強度、モジュラス、制御可能な粘および接着挙動、水蒸気の浸透性、ならびに活性剤を送達する能力のような優れた物理特性を持つエラストマーおよびゲルを提供するようなイオン性シリコーンの官能基に基づく。エラストマーは、液体シリコーンラバー、熱硬化エラストマーの型であってよい。ゲルは、室温硬化型(RTV)もしくはUV硬化型ゲルであってよい。」

イ-3「・・・EXAMPLE 3
Sulfonate Functional Polyorganosiloxane Bearing Terminal Hydride Groups.
[0053] To the sulfonic acid functional cyclotetrasiloxane 20.6g(20.0mmol) obtained in Example 2, 587.26g (1980.0mmol) of octamethyltetracyclosiloxane and 3.54g (26.4mmol) of 1,1,3,3-tetramethyldisiloxane were added and stirred at room temperature. After reaching an equilibrium of ?87 wt% of the linear siloxanes, the reaction mixture was neutralized using 26.9 (320.0 mmol) of moistened sodium bicarbonate at 70 degrees Celsius. The vacuum stripping of the reaction mixture at low pressure provided 542.0g (85%) of the product as viscous gum. The NMR analysis of the product indicated that the polymer is hydride-terminated sulfonated polydimethylsiloxane.
・・・」([0052]?[0053])」
(合議体訳:
実施例3
末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン
実施例2で得られたスルホン酸官能化シクロテトラシロキサン20.66グラム(20.0mmol)に対し、587.26グラム(1980.0mmol)のオクタメチルテトラシクロシロキサンと3.54グラム(26.4mmol)の1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンが添加され、室温での攪拌が続けられた。87重量%までの直鎖シロキサンの平衡に到達したのち、反応混合物は70℃において26.9グラム(320.0mmol)の加湿された重炭酸ナトリウムによって中和された。低圧における反応混合物の真空蒸発は、542.0グラム(85%)の粘性のゴム状物質としての生成物をもたらした。生成物のNMR分析は、ポリマーがヒドリド末端化スルホン化ポリジメチルシロキサンであることを示した。)

ウ-3「・・・
EXAMPLE 7 A
Formulation by blending
[0060] The sulfonate functional polyorganosiloxane bearing terminal hydride groups (Example 3)(25g) was mixed with the commercially available elastomer formulation that is a Liquid silicone rubber (LSR 2050 Parts A and B, Momentive) (50g) in a blender.
・・・」([0059]?[0060]
(合議体訳:
実施例7A
混合による配合
末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン(実施例3)(25グラム)が液体シリコーンゴム(LSR2050 A成分とB成分、Momentive)(50グラム)である市販のエラストマー組成物と、ブレンダーにおいて混合された。)」

エ-3 「・・・
CURING:
Platinum catalyzed thermal curing:
EXAMPLE 9A
[0066] 50 Grams of the formulation in Example 7a were cured by compression molding at 180 degrees Celsius for 10 min under pressure to get an elastomeric sheet.
・・・」([0065]?[0066])
(合議体訳:
硬化
白金触媒による熱硬化
実施例9A
50グラムの実施例7Aの組成物が、180℃で10分間圧力下における圧縮成形により硬化され、弾性シートが得られた。)

記載事項ア-3から、甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーンと、R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンと、H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、熱エネルギーもしくは化学線のいずれかによる付加硬化ヒドロシリル化反応を促進するのに有効な量の遷移金属触媒を含む組成物を、熱もしくは放射線照射の何れかによって付加硬化して得られるエラストマーまたはゲル。」(ここで、M^(1)、M^(2)、M^(3)、D^(1)、D^(2)、D^(3)、T^(1)、T^(2)、T^(3)、Q、R^(26)、R^(27)、R^(28)、a?j、n?rは、記載事項ア-3に定義される通りのものである。以下、「甲3-1発明」という。)

また、記載事項イ-3、ウ-3及びエ-3から、甲3には、以下の発明も記載されていると認められる。
「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサンと、液体シリコンゴム(LSR2050)を混合した組成物を、白金触媒を用いて、180℃で10分間圧力下における圧縮成型されることにより硬化されて得られた弾性シート。」(以下、「甲3-2発明」)という。

(4)甲4ないし甲13に記載された事項
ア 甲4には、特許請求の範囲の請求項1から、
M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j) (I)
のシリコーンイオノマーを少なくとも一つを含むポリマー複合体組成物が記載されている。

イ 甲5には、1/5頁下欄に、「LSR2050」が「ビニル基を有するポリジメチルシロキサン、充填剤、架橋剤および阻害剤」であることが記載されている。

ウ 甲6には、477頁「SUMMARY」の項の1?3行目、478頁「2.EXPERIMENTAL」の項から、ビニル末端ポリジメチルシロキサンとポリメチルハイドロジェンを白金触媒の存在下、架橋させることが記載されている。

エ 甲7には、【0062】ないし【0065】から、テトラキス(ジメチルシロキシ)シランとウンデシレン酸トリメチルシリルを反応させて得られた中間体に、ビニルトリスメチルシロキシシランを白金触媒の存在下に反応させ、Si-Hの消失を確認した後、メタノールを加えて脱保護を行い、カルボキシル基を有する化合物を製造したことが記載されている。

オ 甲8は、本件出願の優先日後に公知となった刊行物であり、甲3の翻訳文である。

カ 甲9は、本件出願の優先日後に公知となった刊行物であり、甲4の翻訳文である。

キ 甲10には、【0002】から、低分子量シリコーンは所望の感触特性を与えるが、低粘度で極めて流動性の液体であり、これらを配合物中に保持しておくのは容易でないこと、揮発性シリコーン中で調製した高分子シリコーンゲルは、揮発性低粘度シリコーンの望ましい初期感を配合物に付与すると同時に高い粘度と乾燥時に滑らかでシルキーな感触を与えることが記載されている。

ク 甲11には、6481頁右欄47行?6482頁左欄12行から、MD^(H)_(20)D_(10)Mコポリマーを、1-オクテン/α-メチルスチレンでヒドロシリル化したことが記載されている。

ケ 甲12には、【0086】ないし【0089】から、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと無水アリルコハク酸及び片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを、塩化白金酸の存在下反応させて、酸無水物基含有オルガノポリシロキサンを製造したことが記載されている。

コ 甲13には、【0048】ないし【0050】から、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと無水アリルコハク酸及び片末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンを、塩化白金酸の存在下反応させて、酸無水物基含有オルガノポリシロキサンを製造したことが記載されている。

2 対比・判断

(1)甲1を主引例とした場合の検討
ア 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン」は、本件発明1の、「オルガノハイドロジェンシロキサン」に、「オルガノハイドロジェンシロキサン」の限りで相当し、甲1発明の「白金触媒」は、記載事項エ-1から、ヒドロシリル化反応の触媒であるから、本件発明1の「ヒドロシリル化触媒」に相当する。
また、甲1発明の「アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物」は、本件発明1の「少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤」と、「脂肪族不飽和炭化水素基を有する」化合物である点で一致する。
そして、甲1発明の「平均組成式(1)で示される」「オルガノポリシロキサン」は、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物とを反応させて得られたものであり、このように反応せしめられた生成物は、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物の反応生成物を含む組成物であるといえる。
してみると本件発明1と甲1発明とは、
「ヒドロシリル化触媒の存在下での、オルガノハイドロジェンシロキサンと、脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物の反応生成物を含む組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
「オルガノハイドロジェンシロキサン」につき、本件発明1では、平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンであるのに対して、甲1発明では、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである点。

<相違点2>
「脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物」につき、本件発明1では、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤であるのに対して、甲1発明では、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物である点。

<相違点3>
「組成物」につき、本件発明1では、架橋組成物であり、前記架橋組成物が、R^(3)が水素原子であるとき、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含むのに対して、甲1発明では、この点について特定がない点。

上記相違点について検討する。

<相違点1>について
甲1発明の平均組成式(3)において、R^(1)は炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基、Xはアクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基である。そして、炭素数1?6のアルキル基又はフェニル基、及び、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基は、本件発明1の平均式(I)の、R^(1)、R^(2)、及びR^(4)がとりうる、「非置換ヒドロカルビル基」、及び、「置換」「ヒドロカルビル基」にそれぞれ包含される。
してみると、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、本件発明1の平均式(I)において、R^(3)が水素原子である場合のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンである。
したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。

<相違点2>について
甲1には、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤と反応せしめることについても何ら記載されていない。
むしろ、甲1発明は、記載事項イ-1からみて、(メタ)アクリル基とカルボキシル基の双方の官能基を含有するオルガノポリシロキサンを製造すべく、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基に、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物を付加させるものであり、甲1全体をみても、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの架橋については、何ら記載も示唆もない。
ここで、甲3には、記載事項イ-3ないしエ-3より、末端ヒドリド基を有するイオン性シリコーンとLSR2050を反応させて弾性シートを得たことが記載されている。しかしながら、当該記載は単に、イオン性シリコーンの末端ヒドリド基とLSR2050を反応させたことを示すに止まり、ヒドリド基を末端に有するイオン性シリコーンを用いた上記反応が、架橋反応であるとはいえず、また、仮に当該反応が架橋反応であったとしても、当該記載をもって、甲1発明の平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから、(メタ)アクリル基とカルボキシル基の双方の官能基を含有するオルガノポリシロキサンを製造するにあたり、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤とを反応せしめることが、何ら動機づけられるとはいえない。
さらに、甲4ないし甲7、甲9ないし甲13のいずれをみても、甲1発明の平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから、(メタ)アクリル基とカルボキシル基の双方の官能基を含有するオルガノポリシロキサンを製造するにあたり、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤とを反応せしめることが、何ら動機づけられるとはいえない。
してみると、相違点2に係る事項は、当業者が容易に想到し得た事項ではない。

よって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲3ないし甲7、甲9ないし甲13に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ここで、申立人は、ハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有オルガノシロキサンがヒドロシリル化触媒の存在下で架橋反応することは技術常識であるから、甲1発明の平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンをハイドロジェンポリシロキサンを出発物質として製造する際、不足量のウンデシレン酸のシリル化物を使用することで、D単位にトリメチルシリルウンデシレナートと水素原子を有するポリオルガノシロキサンを得ることは、生成物をアルケニル基含有オルガノシロキサンと架橋反応させることを想定することで、当業者が適宜なし得る設計事項である旨主張する。
しかしながら、甲1発明は、平均組成式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基に、アクリル酸、メタクリル酸、ウンデシレン酸から選ばれる不飽和化合物をcモル付加するものであるから全てのSiH基が上記不飽和化合物と反応するものであるといえること、甲1には、甲1発明の、平均組成式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化触媒の存在下で架橋反応させることについては何ら記載されていないことに鑑みれば、仮にハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有オルガノシロキサンがヒドロシリル化触媒の存在下で架橋反応することが技術常識であったとしても、このことが、甲1発明において、cモルよりも少ない不飽和化合物を付加することや、残留したSiH基とアルケニル基含有オルガノシロキサンと架橋反応させることを動機づけるものとは到底いえない。
よって、上記申立人の主張は採用できない。

イ 本件発明2ないし14について
本件発明2は、本件発明1の架橋組成物と同一の架橋組成物を含む化粧料組成物に係る発明であり、また、本件発明3ないし14は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものである。
そうすると、本件発明2ないし14は、上記アと同様の理由により、甲1発明及び甲3ないし甲7、甲9ないし甲13に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲2を主引例とした場合の検討
ア 本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン」は、「オルガノハイドロジェンシロキサン」の限りで、本件発明1の「オルガノハイドロジェンシロキサン」に相当し、甲2発明の「塩化白金酸」は、本件発明1の「ヒドロシリル化触媒」に相当する。
また、甲2発明の「無水アリルコハク酸」は、本件発明1の「少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤」と、「脂肪族不飽和炭化水素基を有する」化合物である点で一致する。
さらに、甲2発明の「酸無水物基含有オルガノポリシロキサン」は、式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと無水アリルコハク酸とを反応させて得られたものであり、そのように反応せしめられた生成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと無水アリルコハク酸との反応生成物を含む組成物であるといえる。
してみると、本件発明1と甲2発明とは、
「ヒドロシリル化触媒の存在下での、オルガノハイドロジェンシロキサンと、脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物の反応生成物を含む組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4>
「オルガノハイドロジェンシロキサン」につき、本件発明1では、平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンであるのに対して、甲2発明では、式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである点。

<相違点5>
「脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物」につき、本件発明1では、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤であるのに対して、甲2発明では、無水アリルコハク酸である点。

<相違点6>
「組成物」につき、本件発明1では、架橋組成物であり、前記架橋組成物が、R^(3)が水素原子であるとき、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含むのに対して、甲2発明では、この点について特定がない点。

上記相違点について検討する。

<相違点4>について
甲2発明の式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するメチル基は、本件発明1の平均式(I)の、R^(1)、R^(2)、及びR^(4)がとりうる、「非置換ヒドロカルビル基」に包含される。
してみると、上記式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、本件発明1の平均式(I)において、R^(3)が水素原子である場合のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンである。
したがって、相違点4は、実質的な相違点ではない。

<相違点5>について
甲2には、式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤と反応せしめることについても何ら記載されていない。
むしろ、甲2発明は、記載事項ア-2及びイ-2からみて、アミド基と所定数以上の炭素原子を含む基とを備えるオルガノポリシロキサンを製造する際の中間体を形成すべく、式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと無水アリルコハク酸を反応させるものであり、甲2全体をみても、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの架橋については、何ら記載も示唆もない。
ここで、甲3には、記載事項ア-3より、末端ヒドリド基を有するイオン性シリコーンとLSR2050を反応させて弾性シートを得たことが記載されている。しかしながら、当該記載は単に、イオン性シリコーンの末端ヒドリド基とLSR2050を反応させたことを示すに止まり、ヒドリド基を末端に有するイオン性シリコーンを用いた上記反応が、架橋反応であるとはいえず、また、仮に当該反応が架橋反応であったとしても、当該記載をもって、甲2発明の式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから、アミド基と所定数以上の炭素原子を含む基とを備えるオルガノポリシロキサンを製造する際の中間体を形成するにあたり、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤とを反応せしめることが、何ら動機づけられるとはいえない。
さらに、甲4ないし甲7、甲9ないし甲13のいずれをみても、甲2発明の式(10)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから、アミド基と所定数以上の炭素原子を含む基とを備えるオルガノポリシロキサンを製造する際の中間体を形成するにあたり、当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤とを反応せしめることが、何ら動機づけられるとはいえない。
してみると、相違点5に係る事項は、当業者が容易に想到し得た事項ではない。

よって、相違点6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲3ないし甲7、甲9ないし甲13に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ここで、申立人は、ハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有オルガノシロキサンがヒドロシリル化触媒の存在下で架橋反応することは技術常識であるから、甲2発明の酸無水物基含有オルガノポリシロキサンをハイドロジェンポリシロキサンを出発物質として製造する際、不足量のアリルコハク酸無水物を使用することで、D単位にアリルコハク酸無水物と水素原子を有するポリオルガノシロキサンを得ることは、生成物をアルケニル基含有オルガノシロキサンと架橋反応させることを想定することで、当業者が適宜なし得る設計事項である旨主張する。
しかしながら、甲2発明の酸無水物基含有オルガノポリシロキサンは、上記したとおり、アミド基と所定数以上の炭素原子を備えるオルガノポリシロキサンを製造する際の中間体として製造されるものであり、当該酸無水物基含有オルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化触媒の存在下で架橋させることについては何ら記載も示唆もされていないことに鑑みれば、仮にハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有オルガノシロキサンがヒドロシリル化触媒の存在下で架橋反応することが技術常識であったとしても、このことが、甲2発明において、酸無水物基含有オルガノポリシロキサンを製造する際、不足量のアリルコハク酸無水物を使用してD単位にアリルコハク酸無水物と水素原子を有するポリオルガノシロキサンを得ることや、これとアルケニル基含有オルガノシロキサンと架橋反応させることを動機づけるとは到底いえない。
よって、上記申立人の主張は採用できない。

イ 本件発明2ないし14について
本件発明2は、本件発明1の架橋組成物と同一の架橋組成物を含む化粧料組成物に係る発明であり、また、本件発明3ないし14は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものである。
そうすると、本件発明2ないし14は、上記アと同様の理由により、甲2発明及び甲3ないし甲7、甲9ないし甲13に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲3を主引例とした場合の検討
ア 本件発明1と甲3-1発明とを対比する。
甲3-1発明の、「M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーン」におけるM^(3)、D^(3)、T^(3)は、それぞれ、水素でもあり得るR^(7)、R^(14)、R^(18)の基を有するが、これらの基のいずれかが水素である場合、上記イオン性シリコーンは、オルガノハイドロジェンシロキサンである。してみると、甲3-1発明の「M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーン」は、「オルガノハイドロジェンシロキサン」の限りで、本件発明1の「オルガノハイドロジェンシロキサン」に相当する。
また、甲3-1発明の、「熱エネルギーもしくは化学線のいずれかによる付加硬化ヒドロシリル化反応を促進するのに有効な量の遷移金属触媒」は、本件発明1の「ヒドロシリル化触媒」に相当する。
さらに、甲3-1発明の「エラストマーまたはゲル」は、ア-3の記載(特に[0038])からみて架橋されていると解されるから、架橋された組成物の限りで、本件発明1の「架橋組成物」に相当する。そして当該「エラストマーまたはゲル」は、M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーンと、R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンと、H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの反応生成物を含むものといえる。
してみると、本件発明1と甲3-1発明とは、
「ヒドロシリル化触媒の存在下での、オルガノハイドロジェンシロキサンと他の化合物の反応生成物を含む架橋組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点7>
「架橋組成物」につき、本件発明1では、平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンと少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤の反応生成物を含み、平均式(I)において、R^(3)が水素原子であるとき、前記架橋組成物が、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含むのに対して、甲3-1発明では、M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーンと、R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンと、H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンの反応生成物を含む点。

上記相違点7について検討する。
甲3-1発明の、M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーンが有するD^(2)は、R^(12)R^(13)SiO_(2/2)であり、ここで、R^(12)はA-I^(X-)M_(n)^(Y+)を持つ一価のラジカル含有イオン対もしくは、R’-NR’’_(2)^(+)R’’’-I^(-)を持つ両性イオンであり、Iはスルホナート、サルファート、カルボキシラート、ホスホナート、ホスファナートから選択されるイオン性基であり、A-I^(X-)M_(n)^(Y+)におけるAは二価の炭化水素基であり、-(CH_(2))_(l)C_(6)H_(4)(CH_(2))_(k)-、-CH_(2)CH(CH_(3))(CH_(2))_(k)C_(6)H_(4)-、-CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))_(l)C_(6)H_(3)R^(19)および-CH_(2)CH(R^(1))(CH_(2))lC_(6)H_(2)R^(1)R^(19)からなる群より選択されるアリーレン基、式-(CHR^(20))_(m)-のアルキレン基(式中mは1から20の、具体的には1から約10の値を持ち、R^(20)は水素もしくはR^(1)である。)、あるいは、(CHR^(20))_(m)-(OCH(R^(20))(CH_(2))_(p)-O-(CH_(2))_(l)-から選択される。
また、上記イオン性シリコーンが有するD^(3)は、R^(14)R^(15)SiO_(2/2)であり、ここでR^(14)は、水素、または不飽和の一価のラジカルもしくはエポキシ基含有ラジカルから独立して選択される。
さらに、甲3-1発明のR^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンが有するR^(26)は、シリコーンへ直接結合するC_(2-20)アルケニルであり、n+o+p=1から2であり、nは0より大きいかまたは0と等しく、pは0より大きいかまたは0と等しい。
しかるに、上記イオン性シリコーンとして、eとfのいずれもが0でなく、かつ、g、h、i及びjが0であるものを選択し、さらに、D^(2)が有するR^(12)として、A-I^(X-)M_(n)^(Y+)を持つ一価のラジカル含有イオン対を選択し、Iとしてカルボキシラートを選択し、Aとして、-(CHR^(20))_(m)-のアルキレン基であって、m=10でR^(20)が水素であるものを選択し、D^(3)として、R^(14)が水素であるものを選択するとともに、R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンにおいて、n=2のものを選択すれば、甲3-1発明のエラストマーまたはゲルは、反応原料として、H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンも有しているものの、一応、本件発明1の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンと、少なくとも2個の脂肪族炭化水素基を有する架橋剤を含む化合物の反応生成物を含み、平均式(I)において、R^(3)が水素原子であるとき、架橋組成物がトリメチルシリルウンデシレナートの反応生成物を含むとの規定を満たすようにみえる。
また、上記イオン性シリコーンとして、eとfのいずれもが0ではなく、かつ、g、h、i及びjが0であるものを選択するとともに、D^(2)が有するIとしてカルボキシラートを選択し、さらに、D^(3)として、R^(14)が水素であるものを選択するとともに、R^(26)_(n)R^(27)_(o)(OH)_(p)SiO_((4-n-o-p)/2)を持つポリオルガノシロキサンにおいて、n=2のものを選択すれば、甲3-1発明のエラストマーまたはゲルは、反応原料として、H_(q)R^(28)_(r)SiO_((4-q-r)/2)を持つオルガノハイドロジェンオリゴシロキサンもしくはオルガノハイドロジェンポリシロキサンも有しているものの、一応、本件発明1の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンと、少なくとも2個の脂肪族炭化水素基を有する架橋剤を含む化合物の反応生成物を含み、平均式(I)において、R^(3)がカルボキシル基であるとき、架橋組成物が水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含むとの規定を満たすようにみえる。
しかしながら、甲3のいずれの箇所をみても、甲3-1発明の、M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)において、上記特定の選択をし、特定のイオン性シリコーンを使用することや、当該特定のイオン性シリコーンと、nが特定の値であるポリオルガノシロキサンとを組み合わせて使用することについては、何らの記載も示唆もない。
また、甲1、2、甲4ないし7、甲10ないし13のいずれをみても、甲3-1発明のM^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)であるイオン性シリコーンにおいて、上記種々の特定の選択を行うこと、これによって得た特定のシリコーンを、nが特定の値であるポリオルガノシロキサンと組み合わせて使用することについては何ら記載も示唆もされていない。
さらに、本件明細書の【0004】の記載によれば、本件発明1は、配合自由度の増大したシリコーン組成物を提供すること、優れた美観特性及びレオロジー特性を有するシリコーン組成物を提供すること、化粧料組成物の感覚特性によい影響を与えうるシリコーン組成物を提供すること、ケラチン基質に対するシリコーン組成物のもちを向上することの課題を有するものであるところ、甲3には、これらの課題については何ら記載されておらず、甲3-1発明の(I)式を持つイオン性シリコーンとして上記特定のシリコーンを選択し、nが特定の値であるポリオルガノシロキサンと組み合わせて使用することの動機付けは何ら見いだせない。
してみると、上記相違点7に係る事項は、当業者が容易に想到しうる事項ではない。
したがって、本件発明1は、甲3-1発明及び甲1、2、甲4ないし7及び甲10ないし13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明1と甲3-2発明とを対比する。
甲3-2発明の「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン」は、Si-H基を有することからオルガノハイドロジェンシロキサンであって、「オルガノハイドロジェンシロキサン」の限りにおいて、本件発明1の「オルガノハイドロジェンシロキサン」に相当する。
また、甲3-2発明の、「弾性シート」は、ポリオルガノシロキサンの末端ヒドリド基と、「LSR2050」の反応生成物を含む組成物であり、両者の反応は白金触媒の存在下で行われており、ここで、白金触媒は、記載事項ア-3(特に[0039])および、甲5(上記1(4)イ)の、LSR2050は、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンを含有するとの記載からみて、ヒドロシリル化触媒であると解される。
してみると、本件発明1と甲3発明とは、
「ヒドロシリル触媒の存在下、オルガノハイドロジェンシロキサンと、他の化合物の反応生成物を含む組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点8>
「組成物」につき、本件発明1では、平均式(I)のオルガノハイドロジェンシロキサンと少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤の反応生成物を含み、R^(3)が水素原子であるとき、前記架橋組成物が、C1)アリルコハク酸無水物(ASA)、トリメチルシリルウンデシレナート、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含み、R^(3)が少なくとも1種のカルボキシル基又はそれらの前駆体を有する基であるとき、前記架橋組成物が、C2)水、アルコール、又はこれらの組み合わせの更なる反応生成物を含む架橋組成物であるのに対して、甲3-2発明では、末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサンとLSR2050の反応生成物を含む点。

上記相違点8について検討する。
甲3-2発明の、「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン」は、甲3の、M^(1)_(a)M^(2)_(b)M^(3)_(c)D^(1)_(d)D^(2)_(e)D^(3)_(f)T^(1)_(g)T^(2)_(h)T^(3)_(i)Q_(j)を持つイオン性シリコーンとして使用されたものである(記載事項ア-3)。
ここで、当該イオン性シリコーンは、広範な化合物を包含するが、そのうち特定の選択をした特定のイオン性シリコーンは、本件発明1の平均式(I)のシロキシ単位を含むオルガノハイドロジェンシロキサンとなりうることは、上記アで述べたとおりであるが、甲3全体をみても、甲3-2発明の「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン」に代えて上記特定のイオン性シリコーンを使用することについては何ら記載も示唆もされていない。
そして、本件明細書の【0004】の記載によれば、本件発明1は、配合自由度の増大したシリコーン組成物を提供すること、優れた美観特性及びレオロジー特性を有するシリコーン組成物を提供すること、化粧料組成物の感覚特性によい影響を与えうるシリコーン組成物を提供すること、ケラチン基質に対するシリコーン組成物のもちを向上することの課題を有するものであるところ、甲3には、これらの課題については何ら記載されていないことも上記アに述べたとおりであり、甲3-2発明の「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン」に代えて上記特定のイオン性シリコーンとすることの動機付けは何ら見いだせない。
さらに、甲1、2、甲4ないし7、甲10ないし13のいずれをみても、甲3-2発明において、「末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサン」に代えて上記特定のイオン性シリコーンとすることは、記載も示唆もされていない。
そうであれば、甲3-2発明において、末端ヒドリド基を持つスルホナート官能性ポリオルガノシロキサンを、上記特定のイオン性シリコーンとすることは当業者が容易に想到しうることとはいえず、ましてや、当該特定のイオン性シリコーンと、少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する架橋剤を組み合わせて使用し、特定の架橋組成物とすることが、当業者にとって容易であったとはいえない。
してみると、上記相違点8に係る事項は、当業者が容易に想到しうる事項ではない。
したがって、本件発明1は、甲3-2発明及び甲1、2、甲4ないし7及び甲10ないし13に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明2ないし14について
本件発明2は、本件発明1の架橋組成物と同一の架橋組成物を含む化粧料組成物に係る発明であり、また、本件発明3ないし14は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものである。
そうすると、本件発明2ないし14は、上記ア及びイと同様の理由により、甲3-1発明又は甲3-2発明と、甲1、甲2、甲4ないし甲7及び甲9ないし甲13に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明1ないし14は、甲1ないし甲7、甲9ないし甲13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第5 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし14は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものではない。
また、他に本件発明1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-10-19 
出願番号 特願2016-564963(P2016-564963)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08L)
最終処分 維持  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 井上 猛
海老原 えい子
登録日 2018-01-26 
登録番号 特許第6280243号(P6280243)
権利者 ダウ コーニング コーポレーション
発明の名称 架橋組成物及びこれを含む化粧料組成物  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
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