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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1346428
審判番号 不服2018-2301  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-19 
確定日 2018-12-11 
事件の表示 特願2015-558231「個人情報コミュニケータ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月25日国際公開、WO2014/149381、平成28年 3月22日国内公表、特表2016-508644、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)2月24日(優先権主張 平成25年3月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月25日付けの拒絶理由の通知に対し、平成28年11月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成29年4月18日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年7月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成29年10月11日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-6,8-11,17に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.本願請求項1-17に係る発明は、以下の引用文献1,2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2002-218503号公報
2.特開2012-29164号公報

第3 本願発明
本願請求項1-17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、平成30年2月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
情報を共有する装置であって、
当該装置の外部の空間領域の視野内の画像をキャプチャするカメラと、
インジケータの受信に応答して前記視野内の1つ以上のリモートデバイスの位置を決定するリモートデバイス検出器と、
前記1つ以上のリモートデバイスの各々についての識別情報を提示するディスプレイであって、前記識別情報は、少なくとも部分的に、前記1つ以上のリモートデバイスから収集されたデータに基づいて決定される、ディスプレイと、
前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスのうち選択された1つ以上のリモートデバイスへリンクするリンクモジュールと、
ネットワークでホストされるデータにアクセスするネットワークインタフェースと、
前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュールと、
を備え、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、
前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備える前記ネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される、
装置。
【請求項2】
ビーコン信号を放出するトランスミッタを更に含み、前記インジケータは、前記ビーコン信号に応答して、前記1つ以上のリモートデバイスから伝送される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の表現の下で前記ディスプレイ上に前記画像を提示するバックグラウンドモジュールを更に含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記リモートデバイス検出器は、リモートデバイス位置検出器を使用し、該リモートデバイス位置検出器は、動き検出器;方向アンテナ;方向センサ;GPS;近距離通信デバイス;コンパス;セルタワー三角測量モジュール;カメラ;パターン認識モジュール;顔認識モジュール;プロファイル検出モジュール;位置メタデータ解釈モジュール;及び加速度計;のうちの1つ以上を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記データは、2D画像;3D画像;2Dオブジェクト;3Dオブジェクト;テキストオブジェクト;図形オブジェクト;対話オブジェクト;ホットリンクオブジェクト;及びXMLオブジェクト;のうちの1つ又は複数を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のリモートデバイスからのデータを収集するトランシーバを更に含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
プライベートデータを、1つ以上の指定されたリモートデバイスのみに選択的に通信するプライバシモジュールを更に含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
コンピューティングデバイスによって実行されると、該コンピューティングデバイスに、
空間領域の視野内の画像をキャプチャさせ、
ビーコン信号の受信に応答して、前記視野内の1つ以上のリモートデバイスの位置を決定させ、
前記空間領域の前記視野の表現と、前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスの各々についての識別情報を提示させ、前記識別情報が、少なくとも部分的に、前記1つ以上のリモートデバイスから収集されたデータに基づいて決定され、
前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスのうち選択された1つ以上のリモートデバイスへリンクさせ、
前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を、ディスプレイ上に表示させる、
コンピュータプログラムであって、
前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、
前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される、コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスに更に、
動き検出器;方向アンテナ;方向センサ;GPS;近距離通信デバイス;コンパス;セルタワー三角測量モジュール;カメラ;パターン認識モジュール;顔認識モジュール;プロファイル検出モジュール;位置メタデータ解釈モジュール;及び加速度計;のうちの1つ以上から、前記1つ以上のリモートデバイスについての位置情報を受け取らせる、
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記メタデータは、オーナー情報;静的識別子;動的識別子;写真;画像;説明的情報:エンティティタイプ;スキーマ:及びURLのうちの1つ以上を含む、
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記データは、2D画像;3D画像;2Dオブジェクト;3Dオブジェクト;テキストオブジェクト;図形オブジェクト;対話オブジェクト;ホットリンクオブジェクト;及びXMLオブジェクト;のうちの1つ又は複数を含む、
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピューティングデバイスに更に、
プライベートデータを、1つ以上の指定されたリモートデバイスのみに選択的に通信させる、
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピューティングデバイスに更に、
メッセージを前記1つ以上のリモートデバイスに通信させる、
請求項8乃至12のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
情報を共有する方法であって、当該方法は:
空間領域の視野内の画像をキャプチャするステップと、
インジケータの受信に応答して、前記視野内の1つ以上のリモートデバイスの位置を決定するステップと、
前記空間領域の視野の表現と、前記1つ以上のリモートデバイスの各々についての識別情報をディスプレイ上に提示するステップであって、前記識別情報が、少なくとも部分的に、前記1つ以上のリモートデバイスから収集されたデータに基づいて決定される、ステップと、
前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスのうち選択された1つ以上のリモートデバイスへリンクするステップと、
前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に表示するステップと、
を含み、
前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、
前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される、方法。
【請求項15】
動き検出器;方向アンテナ;方向センサ;GPS;近距離通信デバイス;コンパス;セルタワー三角測量モジュール;カメラ;パターン認識モジュール;顔認識モジュール;プロファイル検出モジュール;位置メタデータ解釈モジュール;及び加速度計;のうちの1つ以上から、前記1つ以上のリモートデバイスについての位置情報を受け取るステップ、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記データは、2D画像;3D画像;2Dオブジェクト;3Dオブジェクト;テキストオブジェクト;図形オブジェクト;対話オブジェクト;ホットリンクオブジェクト;及びXMLオブジェクト;のうちの1つ又は複数を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項8乃至13のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを記録する少なくとも1つの非一時的なマシン読取可能媒体。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審にて付与したものである。

「【0011】また本発明では、撮影した通信機器が含まれる画像に、通信対象の機器が発信する不可視の情報を文字や図形に変換して重ねて表示することが可能な通信システム及び携帯端末を提供することを目的としている。」

「【0027】図3に、上記の携帯端末10及び通信機器20が実施する通信を含む処理のフローチャートを示す。
【0028】利用者が携帯端末10の電源スイッチ104を操作して携帯端末10を動作状態に設定すると、携帯端末10の制御手段180が実行する処理はステップS100「電源ON」(以降S100のように省略して記載する)から次のS102「撮像手段で画像を撮像し、記録手段に記録する」及び、S120「情報要求信号を送信」に進む。
【0029】S102では、撮像手段150が撮像した画像を記録手段177に記録する処理を行い、次のS104「方位測定手段で撮像手段の向きを測定」にて、方位認識手段166は携帯端末本体又は撮像手段150が向けられている方向や傾き、上下方向、東西南北方向等を検出する。
【0030】次のS106「GPS電波を受信」では、GPS電波受信手段164がGPS衛星から送られてくる電波を受信して、受信した電波情報に基づいて携帯端末10の位置情報が算出できる状態であるか否かの判断を行う。もし現在位置を算出することが不可能であると判断した場合(受信失敗時)には、制御手段180の処理プログラムはS112「現在位置が有効であり、現在位置と撮像手段の向きと通信機器の位置情報から表示範囲に通信機器がある否かを判断する」の判断に進む。
【0031】また、受信したGPS電波情報に基づいて携帯端末10の位置情報が算出可能であると判断した場合(受信成功時)には、制御手段180の処理プログラムはS108「GPS電波から現在位置を計算する」に進む。S108では、現在地検出手段165が受信したGPS電波から現在位置を計算し、次のS110「現在位置を記録」にて記録手段177に計算した現在位置を記録する。
【0032】S120では、他の通信機器に対して送信する情報要求信号を信号生成手段158が生成して、該生成した情報要求信号を無線通信手段155が他の通信機器に送信する。
【0033】一方、利用者がプリンタ等の通信機器20の電源スイッチ204を操作して通信機器20を動作状態に設定すると、通信機器20の制御手段280が実行する処理はS200「電源ON」から次のS202「待機または作動中」の処理に進む。S202にて、携帯端末10から情報要求信号を受信すると、制御手段280は割り込み等の処理によってS204「GPS電波を受信」に分岐する。
【0034】S204では、GPS電波受信手段264がGPS衛星から送られてくる電波を受信して、受信した電波情報に基づいて携帯端末10の位置情報が算出できる状態であるか否かの判断を行う。もし現在位置を算出することが不可能であると判断した場合(受信失敗時)には、制御手段280の処理プログラムはS202に戻る。
【0035】また、受信したGPS電波情報に基づいて通信機器20の位置情報が算出可能であると判断した場合には、制御手段280の処理プログラムはS206「GPS電波から現在位置を計算する」に進む。S206では、現在地検出手段265が受信したGPS電波から現在位置を計算し、次のS208「通信機器電波から現在地やその他の情報を送信する」に進む。
【0036】なお、通信機器20が固定されている機器である場合には、毎回GPS情報による位置の算出を行う必要はなく、位置情報を記録手段277に記録しておき、読み出して携帯端末等の他の通信機器に送信するようにしてもよい。また、該情報の送信は、携帯端末10が画像を撮影する毎に通信を実施してもよいし、初回のみの一回だけでもよい。
【0037】S208では、通信機器20が設置されている位置情報や通信機器20の現在のステータス情報等(通信機器の名称、使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等)を携帯端末10に送信し、処理プログラムはS202に戻って通常処理に復帰する。なお、複数の通信機器20、20…が同時に情報を発信しても、携帯電話等で利用されているCDMA(Code Division Multiple Access )通信技術のように、直交する信号系列を利用することによってそれぞれの信号を分離して検出することが可能である。このように複数の通信機器から情報を受信した場合であっても、一つの通信機器から受信した情報のみを表示するようにしてもよいし、複数の通信機器から受信した複数の情報をすべて表示するようにしてもよい。
【0038】また、S202にて利用者が電源スイッチ204を操作して通信機器20を非動作状態に設定すると、制御手段280が実行する処理はS210「電源OFF」に進み、制御手段280の処理を停止する。
【0039】一方、携帯端末10が通信機器20から送信された情報をS122「通信機器が出力する電波を無線通信手段で受信する」にて受信した電波情報に基づいて正常に情報が受信されたか否かの判断を行う。もし正常に情報が受信されていない場合には、処理はS124「前回受信した記録を消去」に進み、記録手段に記録されている前回受信した情報の削除を行って、S112に進む。
【0040】また、S122にて正常に情報を受信したと判断した場合には、処理はS126「通信機器の位置情報と内容を関連付けて記録」に進み、受信した通信機器20の位置情報と内容とを関連付けて記録手段177に記録する処理を行って、次のS112に進む。なお、本実施の形態では受信した通信機器20に関する情報を記録手段177に記録する例で説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、記録手段177に記録せずに表示にのみ利用してもよい。
【0041】S112の判断にて、必要な情報を全て検知でき、かつ表示範囲に通信機器20等が含まれる場合には、処理はS128「通信機器の情報を記録手段の撮影画像データの上に重ね書きで記録する」に進み、撮影表示範囲内に存在する通信機器20のみから受信した情報を記録手段177の撮影画像データの上に重ね書きして記録する処理を行う。なお、表示範囲に通信機器20等が含まれるか否かの判断は、通信機器20の位置情報と、携帯端末10の位置情報と撮像手段150の撮像方向との情報から表示範囲内に含まれる通信機器20等を特定し、それらの各通信機器が発信する情報をともに表示手段168に表示するよう合成する。次に、S130「記録手段の撮影画像データを表示手段に表示」に進む。
【0042】また、S112の判断にて、必要な情報を全て検知できないか、または表示範囲に通信機器が含まれない場合には、処理はS130に進む。S130では、記録手段177に記録されている画像を表示手段168に表示し、S120及びS102に戻る。このとき、取得した情報のみを表示するようにしてもよいし、撮像画像のみを表示してもよい。」

以上の記載、特に下線部によれば、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「撮影した通信機器が含まれる画像に、通信対象の機器が発信する不可視の情報を文字や図形に変換して重ねて表示することが可能な携帯端末であって、
撮像手段150が撮像した画像を記録手段177に記録する処理を行い、
GPS電波受信手段164がGPS衛星から送られてくる電波を受信し、現在地検出手段165が受信したGPS電波から現在位置を計算し、
方位認識手段166は携帯端末本体又は撮像手段150が向けられている方向や傾き、上下方向、東西南北方向等を検出し、
通信機器20が設置されている位置情報や通信機器20の現在のステータス情報等(通信機器の名称、使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等)を通信機器20から携帯端末10に送信し、
通信機器20の位置情報と、携帯端末10の位置情報と撮像手段150の撮像方向との情報から表示範囲内に含まれる通信機器20等を特定することによって、表示範囲に通信機器20等が含まれるか否かを判断し、
撮影表示範囲内に存在する通信機器20のみから受信した情報を記録手段177の撮影画像データの上に重ね書きして記録し、
記録手段177に記録されている画像を表示手段168に表示する、
携帯端末。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の【0076】?【0084】、図10?13の記載からみて、当該引用文献2には、携帯端末の表示部の画面に画像形成装置のステータス情報を合成して表示するものについて、ユーザがステータス情報の表示領域を選択すると、ARサーバにアクセスして当該画像形成装置の機能情報を取得し、機能情報に応じた操作パネルを表示させることが記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「撮影した通信機器が含まれる画像に、通信対象の機器が発信する不可視の情報を文字や図形に変換して重ねて表示することが可能な携帯端末」は、情報を共有するために不可視の情報を表示するものであるから、本願発明1における「情報を共有する装置」に相当する。
また、引用発明において「撮像手段150が撮像した画像を記録手段177に記録する処理を行」う撮像手段150は、外部の空間領域の視野内の画像をキャプチャするものであるから、本願発明1における「当該装置の外部の空間領域の視野内の画像をキャプチャするカメラ」に相当する。
さらに、引用発明における「GPS衛星から送られてくる電波」、「通信機器20」、「表示範囲」が、それぞれ本願発明1における「インジケータ」、「リモートデバイス」、「視野内」に相当し、引用発明は、GPS衛星から送られてくる電波の受信に応答して、通信機器20が表示範囲に含まれるかどうかを判断するものであるから、
引用発明において「GPS電波受信手段164がGPS衛星から送られてくる電波を受信し、現在地検出手段165が受信したGPS電波から現在位置を計算し、方位認識手段166は携帯端末本体又は撮像手段150が向けられている方向や傾き、上下方向、東西南北方向等を検出し、通信機器20が設置されている位置情報や通信機器20の現在のステータス情報等(通信機器の名称、使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等)を通信機器20から携帯端末10に送信し、通信機器20の位置情報と、携帯端末10の位置情報と撮像手段150の撮像方向との情報から表示範囲内に含まれる通信機器20等を特定することによって、表示範囲に通信機器20等が含まれるか否かを判断」することは、本願発明1において「インジケータの受信に応答して前記視野内の1つ以上のリモートデバイスの位置を決定するリモートデバイス検出器」を備えることに相当する。
また、引用発明における「撮影表示範囲内に存在する通信機器20のみから受信した情報を記録手段177の撮影画像データの上に重ね書きして記録し、記録手段177に記録されている画像を表示手段168に表示する」際には、撮影表示範囲内に存在する通信機器20から受信した「通信機器20の現在のステータス情報等(通信機器の名称、使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等)」が表示され、ここで、引用発明における「通信機器20の現在のステータス情報等」、「通信機器の名称」はそれぞれ本願発明1の「リモートデバイスから収集されたデータ」、「識別情報」に対応するから、引用発明における「表示手段168」は、本願発明1における「前記1つ以上のリモートデバイスの各々についての識別情報を提示するディスプレイであって、前記識別情報は、少なくとも部分的に、前記1つ以上のリモートデバイスから収集されたデータに基づいて決定される、ディスプレイ」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「情報を共有する装置であって、
当該装置の外部の空間領域の視野内の画像をキャプチャするカメラと、
インジケータの受信に応答して前記視野内の1つ以上のリモートデバイスの位置を決定するリモートデバイス検出器と、
前記1つ以上のリモートデバイスの各々についての識別情報を提示するディスプレイであって、前記識別情報は、少なくとも部分的に、前記1つ以上のリモートデバイスから収集されたデータに基づいて決定される、ディスプレイ
を備える装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、「前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスのうち選択された1つ以上のリモートデバイスへリンクするリンクモジュール」を備えるのに対し、引用発明は、通信機器20と携帯端末10との間でデータを送受信しているため、リンクモジュールを備えるとはいえるものの、当該モジュールが「前記視野内の前記1つ以上のリモートデバイスのうち選択された1つ以上のリモートデバイスへリンク」するとは特定されていない点。

(相違点2)本願発明1は、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュール」を備えるのに対し、引用発明は、通信機器20の現在のステータス情報等として「使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等」を表示するものであるため、リモートデバイスについての1つ以上の表現をディスプレイ上に提示するとはいえるものの、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々について」1つ以上の表現をディスプレイ上に提示するとは特定されていない点。

(相違点3)本願発明1は、「ネットワークでホストされるデータにアクセスするネットワークインタフェース」を備え、「前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備える前記ネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」ものであるのに対し、引用発明はネットワークインタフェースを備えるものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。相違点2に係る本願発明1の、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュール」を備えることについて、上記「第4」2.で示したとおり、引用文献2には携帯端末の表示部の画面に画像形成装置のステータス情報を合成して表示するものについて、ユーザがステータス情報の表示領域を選択すると、ARサーバにアクセスして当該画像形成装置の機能情報を取得し、機能情報に応じた操作パネルを表示させることが記載されており、引用文献2に記載されているように、ユーザが画面上で1の通信機器を選択したことを受けて、当該通信機器についての表現を表示させるようにすること自体は、当業者における周知技術であると認められる。
しかしながら、引用発明は、通信機器20から受信した通信機器20の現在のステータス情報等(通信機器の名称、使用状況、更新状況、地域情報の案内サービス等)と撮影画像データとをあわせて表示することにより、利用者が直感的かつ容易に通信機器および通信内容を認識できるようにした発明であり、引用発明において、必要な情報はユーザが選択することなくすべて表示されるものであるから、さらに通信機器を選択して当該通信機器についての詳細な情報を得ようとする動機付けは存在しないと認められる。
仮に、引用発明に引用文献2に代表される周知技術を適用してみたとしても、通信機器についての必要な情報をすべて表示された状態において1の通信機器を選択した後に、その通信機器を操作するために必要となる表現(操作パネル等)を表示することができることにとどまり、本願発明1のように、最初は紹介レベルの情報(識別情報)のみを表示しておき、ユーザが関心がある情報であった場合にはユーザの選択を受けて当該通信機器についての詳細な情報を表示させるものにはならないと認められる。
さらに、相違点3について検討すると、本願発明1は、最初は紹介レベルの情報(識別情報)のみを表示し、ユーザが関心がある情報であった場合にはユーザの選択を受けて完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへアクセスすることによって詳細な情報を表示させることができるという効果を奏するものであるが、このような内容は引用文献2には記載されておらず、また、そのようにすることが単なる設計的事項であるとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1と同様に、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュールと、を備え、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備える前記ネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という構成を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明8-13,17について
本願発明8-13,17も、本願発明1の相違点2及び3に係る構成に対応する、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を、ディスプレイ上に表示させる、コンピュータプログラムであって、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という構成を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明14-16について
本願発明14-16も、本願発明1の相違点2及び3に係る構成に対応する、「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に表示するステップと、を含み、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という構成を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
1.理由1(特許法第29条第1項第3号)について
審判請求時の補正により、本願発明1-6は「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュールと、を備え、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備える前記ネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という事項を有するものとなっており、本願発明8-11,17は「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を、ディスプレイ上に表示させる、コンピュータプログラムであって、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という事項を有するものとなっているため、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

2.理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-7は「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に提示する表現モジュールと、を備え、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備える前記ネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という事項を有するものとなっており、本願発明8-13,17は「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を、ディスプレイ上に表示させる、コンピュータプログラムであって、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という事項を有するものとなっており、本願発明14-16は「前記視野内の前記選択された1つ以上のリモートデバイスの各々についての1つ以上の表現を前記ディスプレイ上に表示するステップと、を含み、前記データはメタデータを含み、前記識別情報及び前記1つ以上の表現が前記メタデータを使用して導出され、前記メタデータは、完全な情報空間管理情報を備えるネットワークでホストされるデータへのリンクを含み、該リンクにアクセスすることにより前記1つ以上の表現を導出するために使用される」という事項を有するものとなっているため、本願発明1-17は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1,2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-27 
出願番号 特願2015-558231(P2015-558231)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 尊志萩島 豪  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 山田 正文
菊地 陽一
発明の名称 個人情報コミュニケータ  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
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