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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
管理番号 1346740
異議申立番号 異議2016-700009  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-08 
確定日 2018-08-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5746620号発明「白色反射材及びその製造方法」の特許異議申立事件についての平成29年5月11日付け決定に対して、知的財産高等裁判所が、平成30年3月29日、上記決定中、「特許第5746620号の請求項1ないし17に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す旨の判決を言い渡し、この判決が確定したので、さらに審理の上、次のとおり決定する。 
結論 特許第5746620号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正することを認める。 特許第5746620号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。  
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5746620号の請求項1?17に係る特許についての出願(特願2011-519952号)は、平成22年6月25日に国際特許出願(国内優先権主張平成21年6月26日、平成22年3月23日)されたものであって、平成27年5月15日付けで設定登録がなされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人山崎浩一郎により請求項1ないし17に対して特許異議の申立てがなされたものである。以後の手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 3月 1日:取消理由通知(同年3月4日発送)
平成28年 5月 2日:訂正請求書・意見書
平成28年 6月30日:通知書(同年7月5日発送)
平成28年 8月 4日:意見書(特許異議申立人)
平成28年11月24日:取消理由通知
(決定の予告、同年11月29日発送)
平成29年 1月30日:訂正請求書・意見書
平成29年 2月 6日:通知書(同年2月9日発送)
平成29年 3月13日:意見書(特許異議申立人)
平成29年 3月31日:手続補正書(平成29年1月30日付け訂正請
求書の補正)
平成29年 5月11日:異議の決定
平成29年 5月22日:異議の決定の特許権者への送達
平成29年 6月16日:決定取消訴訟提起
(平成29年(行ケ)第10130号)
平成30年 3月29日:上記決定の一部取消判決の言渡
平成30年 4月16日:上記判決の確定

以下、平成29年5月11日付け異議の決定を「一次決定」といい、平成30年3月29日に言い渡された上記判決を、単に「判決」という。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成29年1月30日付けの訂正請求(平成29年3月31日付けの手続補正後のもの。以下「本件訂正請求」という。)は、明細書、特許請求の範囲を訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?17について訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項1?7からなる。(当審注:下線は、請求人が付したものである。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」
とあるのを、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」
に訂正(以下「訂正事項1-1」という。)し、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分に」
とあるのを、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、」
に訂正(以下「訂正事項1-2」という。)し、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」
とあるのを、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した」
に訂正(以下「訂正事項1-3」という。)し、
「ショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって」
とあるのを、
「ショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、厚さ2μm?5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって」
に訂正(以下「訂正事項1-4」という。)し、
「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」と
「何れかの方法で架橋硬化して、」と
「何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、」と
「立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、」
で改行する訂正(以下「訂正事項1-5」という。また、訂正事項1-1?訂正事項1-5をまとめて「訂正事項1」という。)をする。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」
とあるのを、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」
に訂正(以下「訂正事項2-1」という。)し、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分に」
とあるのを、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、」
に訂正(以下「訂正事項2-2」という。)し、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」
とあるのを、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した」
に訂正(以下「訂正事項2-3」という。)し、
「前記支持体上に前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので」
とあるのを、
「前記支持体上に厚さ2μm?5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので」
に訂正(以下「訂正事項2-4」という。)し、
「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を」
とあるのを
「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」
にして改行する訂正(以下「訂正事項2-5」という。)をし、
「何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、」と
「膜状又は板状の白色反射材を形成することによつて、」
とで改行する訂正(以下「訂正事項2-6」という。また、訂正事項2-1?訂正事項2-6をまとめて「訂正事項2」という。)をする。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」
とあるのを、
「シリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分」
に訂正(以下「訂正事項3-1」という。)し、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」
とあるのを、
「シリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分」
に訂正(以下「訂正事項3-2」という。)し、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した」
とあるのを、
「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した」
に訂正(以下「訂正事項3-3」という。)し、
「該組成物を白色反射材へ架橋硬化して」
とあるのを、
「該組成物を厚さ2μm?5mmの白色反射材へ架橋硬化して」
に訂正(以下「訂正事項3-4」という。)し、
「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を」
とあるのを
「液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、」
にして改行する訂正(以下「訂正事項3-5」という。また、訂正事項3-1?訂正事項3-5をまとめて「訂正事項3」という。)をする。

(4)訂正事項4
明細書の段落0013を、訂正事項1?3と整合させるように、訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落0081に、
「このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は…網目状に三次元的に架橋するというものである。」
とあるのを、
「このようなシリコーンは、三次元架橋したシリコーンであり、この三次元架橋をするポリシロキサン化合物は…網目状に三次元的に架橋するというものである。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落0094に、
「前記シリコーンレジン成分」
とあるのを、
「シリコーン樹脂成分」
に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落0100に、
「シリコーンレジン(商品名SR-7010:東レ・ダウコーニング株式会社)」
とあるのを
「シリコーンレジンSR-7010(商品名:東レ・ダウコーニング株式会社)」
に訂正する。

2 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1-1は、「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物である」ことを明瞭にする訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
訂正事項1-2は、「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物である」であることを明瞭にするとともに、「シリコーンゴム成分」のあとに読点を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
訂正事項1-3は、「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」の含有量を特定する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
訂正事項1-4は、「立体形状、膜状、又は板状の成形体」の厚さを特定する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1-5は、読点の後に改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
願書に添付した明細書には、以下の記載がある(当審注:下線は当審が付加した。以下、同様である。)。
(ア)「【0014】
請求項5に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05?50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5?400質量部含有されていることを特徴とする。」
(イ)「【0053】
(3) パッケージ成形体部材の作製:
一方、前記と同様の未架橋のシリコーン樹脂成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末と必要に応じシランカップリング剤とを含有するシリコーン組成物を下金型に注入し、上金型を閉じて加熱架橋させることによって、酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材であるパッケージ成形体部材10を、成形する

【0057】
本発明の白色反射材は、アルミ板のような異なる材質からなる支持体17上にシリコーン組成物を塗布することで形成された膜状の白色反射材16であってもよい。また、フイルムシート状に成形された膜状の白色反射材16であってもよく、…

【0059】
これらの白色反射材16の厚さは用途に応じて適宜調整される。通常2μm?5mmの範囲で調整され、好ましくは5μm?2000μmであり、10μm?100μmであると更に好ましい。厚みが薄すぎると、隠蔽度が低下し、適切な反射率は得られない。また、厚すぎると反射材表面特性はそれ以上向上しないので、機械的な特性を望む以外は、それ程厚さは必要はない。」
(ウ)「【0070】
本発明におけるシリコーン組成物は、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分100質量部に対し、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが5?400質量部含まれていることが好ましい。このシリコーン組成物を用いて形成された本発明の白色反射材は、5質量部より少ないと十分な反射が得られず、特に長波長領域において反射率の低下が生じ、一方、400質量部を超えると酸化チタンの分散が困難になる。」
(エ)「【0078】
本発明の白色反射材に用いられるシリコーン樹脂又はシリコーンゴムとしては、特に限定されず、硬質シリコーン樹脂、軟質シリコーン樹脂、硬質シリコーンゴム、軟質シリコーンゴムが用いられる。一例としてポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)で例示されるポリシロキサン化合物が挙げられる。

【0081】
このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、…、網目状に三次元的に架橋するというものである。」

上記(エ)によれば、シリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分としての架橋性のポリシロキサン化合物が記載されている。よって、訂正事項1-1、訂正事項1-2は、何れも、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
上記(ア)によれば、酸化チタンを、未架橋のシリコーン樹脂又はシリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含まれることが記載されており、また、上記(ウ)によれば、酸化チタンは、アナターゼ型又はルチル型酸化チタンであることが記載されている。よって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
上記(イ)によれば、パッケージ成形体部材や膜状である白色反射材は、その厚さが通常2μm?5mmの範囲で調整されることが記載されている。よって、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
訂正事項1-5は、改行を挿入する訂正であって、技術的事項を実質的に変更するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項1-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項1は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2-1?訂正事項2-4は、上記訂正事項1-1?訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、該訂正は、上記(1)アと同様に、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
さらに、訂正事項2-6は、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
訂正事項2-1?訂正事項2-4は、訂正事項1-1?訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、上記(1)イと同様に、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項2-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、技術的事項を実質的に変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項2-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
そして、訂正事項2-6は、改行を挿入する訂正であって、技術的事項を実質的に変更するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項2-6は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項2は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3-1?訂正事項3-4は、訂正事項1-1?訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、該訂正は、上記(1)アと同様に、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」と、同項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
訂正事項3-1?訂正事項3-4は、訂正事項1-1?訂正事項1-4と実質的に同一の訂正内容である。よって、上記(1)イと同様に、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項3-5は、読点を挿入すると共に、改行を挿入する訂正であるから、技術的事項を実質的に変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項3-5は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項3は、上記アのとおり、何れも、特許請求の範囲の減縮と明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、これらの訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法120条の5第9項で準用する126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1?訂正事項3と整合させるものであるから、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1?訂正事項3と整合させるものであるから、上記(1)イ、(2)イ、(3)イで検討したとおり、該訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項4は、明細書の段落0013を、訂正事項1?3と整合させるものであるから、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的の適否
本件の願書に添付した明細書には、シリコーンに関して以下の記載がある。
「【0077】
本発明の白色反射材は、酸化チタンと共に、アルミナや硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、シリカ(結晶性シリカ・溶融シリカ)、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムのような無機白色顔料を、放熱用途や紫外線反射用途などに応じて適宜添加してもよい。シリコーンにアルミナや硫酸バリウムのような無機白色顔料のみを分散可能な最大量を含有させても、光の漏出を生じてしまうが、このような無機白色顔料と酸化チタンとが共存していると、光の漏出が無くなり反射率が高くなることに加えて、放熱機能や紫外線反射機能などの機能が付加されて好ましい。

【0081】
このようなシリコーンは、三次元架橋するシリコーンであり、この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。」

上記【0077】の記載によれば、シリコーンは、無機白色顔料、酸化チタンとともに白色反射材を構成するものであり、ポリシロキサン化合物が三次元架橋したものと解される。そうすると、訂正事項5は、誤記を訂正するものであり、該訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
上記アで引用した本件の願書に添付した明細書の【0077】、【0081】の記載は、願書に最初に添付した明細書の【0077】、【0081】の記載と同一である。してみると、該訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項5は、明細書の段落0081の「三次元架橋するシリコーン」を、「三次元架橋したシリコーン」に誤記訂正するものであり、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的の適否
本件の願書に添付した明細書には、以下の記載がある。
「【0093】
…次いで、ヒドロシリル基含有シリル基を有するシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型酸化チタンとが含まれているシリコーン原料組成物とで表面処理した金属箔の面を、接触させ、加熱して加硫すると、ビニルシリル基含有シリル基のビニルと、ヒドロシリル基含有シリル基のヒドロシリルとが付加型反応をする結果、金属箔と白色反射材とが強固な化学結合を介して付され確りと結合される。
【0094】
活性基がビニル基であるビニルメトキシシロキサンホモポリマーを用い金属膜に結合させ、反応性基がヒドロシリル基であるヒドロシリル基含有シリル基含有シリコーンゴム成分が含まれているシリコーン組成物を用いた例を示したが、活性基が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基であり、反応性基が、前記シリコーンゴム成分又は前記シリコーンレジン成分中のヒドロシリル基含有シリル基、ビニルシリル基含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの反応性シリル基であってもよい。活性基と反応性基との組み合わせは、何れかがヒドロシリル基含有シリル基である場合に他方がビニルシリル基含有シリル基であり、何れかがアルコキシシリル含有シリル基である場合に他方がアルコキシシリル含有シリル基又は加水分解性基含有シリル基であり、何れもが加水分解性基含有シリル基であるものが、挙げられる。」
上記記載によれば、【0094】におけるヒドロシリル基含有シリル基を有する「前記シリコーンゴム成分又は前記シリコーンレジン成分」のうち、「シリコーンゴム成分」は、【0093】に前出するものの、「シリコーンレジン成分」は【0094】以前には前出しない。ここで、【0093】の記載に照らせば、「シリコーンレジン成分」は「シリコーン樹脂成分」の誤記と認められる。そうすると、訂正事項6は、誤記を訂正するものであり、該訂正は、特許法第120条の5第2項第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
上記アで引用した本件の願書に添付した明細書の【0093】、【0094】の記載は、願書に最初に添付した明細書の【0093】、【0094】の記載と同一である。してみると、該訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項6は、明細書の段落0094の「前記シリコーンレジン成分」を、「前記シリコーン樹脂成分」に誤記訂正するものであり、特許請求の範囲に「前記シリコーンレジン成分」が特定されていないことを踏まえると、該訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的の適否
本件の明細書の【0100】には以下の記載がある。
「【0100】
(実施例1)
シリコーンレジン(商品名SR-7010:東レ・ダウコーニング株式会社)100質量部に…」
上記記載によれば、「SR-7010」が括弧の中に記載されており、実施例1において用いられるシリコーンレジンが、「SR-7010」であるのか否か不明瞭であった。訂正事項7は、「シリコーンレジンSR-7010(商品名:東レ・ダウコーニング株式会社)」と訂正することにより、実施例1において用いられるシリコーンレジンが、東レ・ダウコーニング株式会社の商品名「SR-7010」であることを明瞭にするものである。よって、該訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ 新規事項の有無
明細書には、上記アで摘記したとおりの記載があるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項7が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。よって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(8)一群の請求項について
請求項1ないし17は一群の請求項であるところ、訂正事項1ないし訂正事項3は、前記一群の請求項ごとに請求された特許請求の範囲の訂正であり、訂正事項4ないし7は、前記一群の請求項を対象とする明細書の訂正である。よって、本件訂正請求は特許法第120条の5第4項及び同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

(9)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号から第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1?17〕について訂正することを認める。

第3 訂正発明
上記のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の訂正後の請求項1?17に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、
又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、厚さ2μm?5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、
150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材を得ることを特徴とする白色反射材の製造方法。
【請求項2】
非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面に、架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、膜状又は板状の白色反射材を形成することによって、
前記支持体上に厚さ2μm?5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。
【請求項3】
前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にしたことを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項4】
非シリコーン樹脂からなる支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分にシランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を厚さ2μm?5mmの白色反射材へ架橋硬化して、前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80であって150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。
【請求項5】
前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05?50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5?400質量部含有されていることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項6】
前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項7】
前記白色反射材は、厚さが5μm?2000μmの膜又は板であることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項8】
前記白色反射材は、発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであることを特徴とする請求項1に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項9】
前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有することを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項10】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいることを特徴とする請求項1?4に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項11】
前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有することを特徴とする請求項1?4、10の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項12】
前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項13】
前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していることを特徴とする請求項12に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項14】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項15】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項16】
前記白色反射材が、曲げ得ることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項17】
前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていることを特徴とする請求項2?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。」(以下、この順に「訂正発明1」等といい、「訂正発明1」ないし「訂正発明17」を併せて、「訂正発明」という。)

第4 取消理由の概要
平成28年5月2日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?17に係る発明に対して、当審が特許権者に通知した平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
平成28年5月2日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?17に係る発明は、何れも、甲第1号証に記載された発明と周知の技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

甲第1号証:特開2001-207059号公報
甲第2号証:シリコーンとその応用、1988年版、東芝シリコーン株式会社編集・発行、23頁?24頁及び77頁?78頁
甲第3号証:特開2007-308581号公報
甲第4号証:特開2005-243795号公報
甲第5号証:特開2009-40884号公報
甲第6号証:ゴム・プラスチック軟質物硬さ計、株式会社テクロック、1頁?16頁(製品カタログ)

第5 取消理由についての判断
1 訂正発明1について
(1)甲1発明
ア 甲第1号証(特開2001-207059号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項1】(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、及び(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物。
【請求項2】請求項1に記載のシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物。」

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低粘度で低チキソ性の酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に関する。」

(ウ)「【0002】
【従来の技術】従来より酸化チタンは、着色剤としてシリコーン組成物に添加されてきたが、新しい用途として、例えば薄膜での遮光剤や、逆に反射剤としての要求がある。具体的には、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング等が挙げられる。これらの要求ニーズに合わせるためには、酸化チタンを多量に添加する必要がある。しかし、従来のようにシリコーンゴム組成物に酸化チタンを多量に添加すると、粘度やチキソ性が高くなり、このため組成物の取扱いが困難で、かつ十分な作業性が得られなかった。」

(エ)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、酸化チタンを多量に含有するにも拘わらず、低粘度、低チキソ性で取扱いやすく、特に遮光剤や反射剤の用途での作業性が優れた酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を提供することである。」

(オ)「【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するものとして、本発明は、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、及び(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。」

(カ)「【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
(A)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン:成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合するアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有するもので、本発明組成物のベースポリマーとして使用される。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよい。中でも、硬化物の機械的強度等の物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アルケニル基は、分子鎖の両末端のみに存在していても、側鎖置換基として分子鎖の途中のみに存在していても、或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。

【0010】(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用される。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。…

【0016】成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5?8モルとなるような量、好ましくは1?5モルとなるような量である。
【0017】(C)白金族金属系触媒:成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒である。このような白金族金属系触媒としては、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。…
【0018】成分(C)の使用量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、白金族金属の重量換算で、0.1?1,000ppm、特に0.5?500ppm程度でよい。
【0019】(D)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物で表面処理した酸化チタン:成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分である。
【0020】1(当審注:丸数字の1)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物
酸化チタン粉末の表面処理に用いるテトラアルコキシシランは、下記一般式(7):
Si(OR^(3))_(4) (7)
(式中、R^(3)は独立に非置換又は低級アルコキシ置換のアルキル基である)で表わされる。
【0021】一般式(7)において、R^(3)の非置換又は低級アルコキシ置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等の、通常炭素数1?12、好ましくは炭素数1?6程度のもの等が挙げられる。
【0022】このようなテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物としては、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上の残存アルコキシ基を有するシロキサン縮合物であればよく、例えば、下記平均組成式(8):
[(OR^(3))_(3)SiO_(1/2)]_(K)[(OR^(3))_(2)SiO_(2/2)]_(L)[(OR^(3))SiO_(3/2)]_(M)[SiO_(4/2)]_(N) (8)
(式中、R^(3)は前記と同じであり、K、L、M及びNは、K+L+M+N=1、0.002≦K≦1、0≦L≦0.998、0≦M≦0.998及び0≦N≦0.35を満足する数である。)で表わされるもの等が挙げられ、特に代表的なものは、下記一般式(9):
【0023】
【化4】


(式中、R^(3)は前記と同じであり、jは2以上の整数、好ましくは2?1,000、より好ましくは2?200の整数である。)で表わされるものである。このようなテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が150?100,000のものが好ましく、より好ましくは200?20,000のものである。
【0024】この表面処理剤としては、1種又は2種以上のテトラアルコキシシランを単独で使用しても、1種又は2種以上のテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を単独で使用してもよく、また、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを任意の割合で併用して使用してもよい。
【0025】2(当審注:丸数字の2)酸化チタン
表面処理に用いる酸化チタン粉末は公知のものでよい。一般的には、ルチル形及びアナターゼ形の2種類があるが、特に電子部品の遮光剤や反射剤の用途にはアルミニウムや有機物等で表面処理されていないものが好ましい。平均粒子径は通常0.05?10μm程度、好ましくは0.1?5μm程度でよく、用途により適宜選択することができる。なお、平均粒子径は、通常、例えば電子顕微鏡による測定や、レーザー光回折法による重量平均値(或いはメジアン径)等として求めることができる。
【0026】表面処理の方法としては、公知の湿式処理法又は乾式処理法を使用することができる。このような表面処理法の具体例としては、前記のテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。加熱・乾燥の条件は、例えば、50?200℃で0.5?10時間程度でよく、この時減圧処理を併用してもよい。
【0027】別の表面処理方法として、例えば前記成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられる。加熱処理の条件は、例えば80?200℃で0.5?10時間程度でよい。このように成分(A)の少なくとも一部と酸化チタン粉末とテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合して表面処理する方法は、後述するように成分(A)?(D)及び必要ならば他の添加剤成分を混合又は混練して本発明の組成物を製造する際に、前記混合又は混練工程において同時に酸化チタン粉末の表面処理が行えるので、省エネルギー及び工程時間短縮等による合理化が図れる点で好ましい。
【0028】前記のテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の使用量は、酸化チタン粉末の比表面積やその他の性状に合わせて適宜調節できるが、通常、酸化チタン粉末100重量部当たり、0.1?20重量部、好ましくは0.5?10重量部程度でよい。このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られる。
【0029】成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、通常15重量部以上、好ましくは15?300重量部、より好ましくは20?250重量部、特に好ましくは30?200重量部である。この量が少なすぎると、遮光性や反射効果が少なくなる場合がある。
【0030】その他の成分:本発明の組成物には、前記成分(A)?(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等が挙げられる。これらの無機フィラーの添加量は、(A)?(D)成分の合計量100重量部当たり、通常0?200重量部である。また、後述するように、特に組成物を2液型で使用する場合は、アセチレンアルコールや、アセチレンアルコールのシラン変性誘導体やシロキサン変性誘導体等の硬化抑制剤を添加することができる。更に、組成物の接着性を向上する目的で、前記成分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加することができる。
【0031】シリコーンゴム組成物及びその硬化物の製造法、用途:本発明の組成物は、基本的には、前記成分(A)?(D)及び必要に応じて添加剤成分を混合又は混練することにより製造される。この場合、通常の付加硬化型シリコーンゴム組成物と同様に、例えば、成分(A)の一部、成分(C)及び成分(D)と、成分(A)の残部及び成分(B)というように、前記の成分(A)?(D)を2液に分け、使用時にこれら2液を混合して硬化させる所謂2液型の組成物としてもよい。他の2液型の組成物としては、酸化チタン粉末を表面処理する際に、成分(A)の少なくとも一部と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合又は混練し、該混合物又は混練物を加熱処理したものを予め調製し、これを1液とし、他の成分を混合又は混練して別の1液としたものが挙げられる。また、成分(A)?(D)を少量の硬化抑制剤と共に混合又は混練して所謂1液型の組成物としてもよい。
【0032】本発明の硬化物は、このようなシリコーンゴム組成物を硬化して得られる。硬化条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば室温でも十分硬化するが、必要に応じ加熱してもよい。こうして得られる本発明の硬化物は、高い遮光性と反射特性を有しかつ低粘度、低チキソ性であるということから、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用できる。」

(キ)「【0033】
【実施例】実施例1
下記式:
【0034】
【化5】

(式中、nはこのシロキサンの25℃における粘度が1,000cP(センチポイズ)となるような数である。)
【0035】で表されるビニル基含有直鎖状ジメチルポリシロキサン100重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン粉末(純度98%、石原産業社製)120重量部及びテトラエトキシシラン3重量部を3本ロールで混練した後、プラネタリーミキサーを使用して、この混練物を更に160℃で3時間混練した。次に、この混練物にメチルハイドロジェンポリシロキサン〔ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)の含有量:0.7モル/100g〕8重量部((A)成分中のビニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比:4.5)及び塩化白金酸のオクチルアルコール変性物溶液(白金含有量:2重量%)0.02重量部を加えて撹拌し、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度(25℃での粘度、以下同様)をB型回転粘度計を用いて測定したところ、64P(ポイズ)であった。
【0036】得られた組成物について、下記方法に従って流動性(フロー値)、硬化物のゴム物性及び他の特性、薄膜の光透過性を測定した。結果を表1に示す。
<流動性(フロー値)>上記組成物1gをガラス板上に正確に計量し、該ガラス板ごと水平台上に室温で30分間放置し、次いで150℃で30分間加熱硬化させた後、組成物の直径をノギスで測定した。
<硬化物のゴム物性>上記組成物を150mm×100mm×2mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱してシート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じてゴム物性(硬さ、引張り強さ、伸び)を測定した。なお、硬さはスプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用して測定した。
<硬化物の電気特性>上記組成物を150mm×100mm×1mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じて体積抵抗率を測定した。
<硬化物の耐熱性>前記ゴム物性の測定に使用したものと同様のシート状の硬化物を250℃で24時間加熱した後の硬さ、及び同温度で48時間加熱した後の硬さをJIS K6249に準じて測定した(スプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用)。
【0037】<硬化物の接着性>上記組成物を、電気・電子部品に用いられる、150mm×100mm×1mmのニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物について、これをミクロスパチラを用いて基板から剥ぎ取る際に、凝集破壊(硬化物の断面で破壊したもの)の部分と界面剥離(硬化物と基板との接着界面で破壊したもの)の部分との割合(面積比)を観察し、下記基準で接着性を評価した。
○:凝集破壊率が80%を越えるもので、良好に接着する。
△:凝集破壊率が20?80%のもので、接着する。
×:凝集破壊率が20%未満のもので、殆ど接着しない(容易に剥離する)。
<薄膜の遮光性(光透過率)>離型剤をコーティングしたガラス板上に各厚さのスペーサーを置き、上記組成物をポッティング、真空脱泡した後、150℃で4時間硬化して得られた厚さ50μm、100μm又は200μmの薄膜について、分光光度計により800nmでの光透過率を測定(リファレンスは空気)した。
【0038】実施例2
テトラエトキシシランに代えてテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(SiO_(2)含有量:40重量%)[コルコート(株)製、商品名エチルポリシリケート40T]2重量部を使用した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、60P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】実施例3
テトラエトキシシランに代えてテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物[重量平均分子量(Mw):788]2重量部を使用した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、61P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】実施例4
酸化チタン粉末を60重量部に減量した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、41P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】実施例5
酸化チタン粉末を20重量部に減量した以外は実施例1と同様にして付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度をB型回転粘度計を用いて測定したところ、25P(ポイズ)であった。次に、得られた組成物について、実施例1に記載した方法に従って各種性能を測定した。その結果を表1に示す。

【0047】
【表1】



イ 甲1発明の認定
上記ア(ア)【請求項2】によれば、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物が記載されているところ、上記ア(カ)【0031】に記載のとおり、「硬化物の製造法」が開示されている。そこで、硬化物の製造法に関し、以下、甲1発明を認定する。
(ア)上記ア(ア)によれば、
「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金族金属系触媒、及び
(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上
を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法。」
が開示されている。

(イ)上記ア(カ)【0005】によれば、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよいものである。

(ウ)上記ア(カ)【0010】によれば、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよいものである。
また、上記ア(カ)【0016】によれば、成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5?8モルとなるような量、好ましくは1?5モルとなるような量である。

(エ)上記ア(カ)【0017】によれば、成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒であり、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。

(オ)上記ア(カ)【0019】によれば、成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分である。
また、上記ア(カ)【0025】によれば、酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05?10μm程度でよい。
そして、上記ア(カ)【0026】、【0027】によれば、上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられる。
さらに、上記ア(カ)【0028】によれば、このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られる。

(カ)上記ア(カ)【0029】によれば、成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、好ましくは15?300重量部である。

(キ)上記ア(カ)【0030】によれば、前記成分(A)?(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等を添加することができる。

(カ)上記ア(ウ)【0002】、上記ア(カ)【0032】によれば、上記イ(ア)の硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である。

(キ)以上によれば、甲第1号証には以下の発明が開示されている。
「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金族金属系触媒、及び
(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上
を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法であって、
成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよく、
成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく、成分(B)の使用量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5?8モルとなるような量、好ましくは1?5モルとなるような量であり、
成分(C)の白金族金属系触媒は、前記の成分(A)のアルケニル基と成分(B)のSiH基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するための触媒であり、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用でき、
成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分であり、
上記酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05?10μm程度でよく、
上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ、
このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ、
成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末の量は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当たり、好ましくは15?300重量部であり、
前記成分(A)?(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等を添加することができ、
上記硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である、
酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化して得られる硬化物の製造法。」(以下「甲1発明」という。)

(2)対比(訂正発明1)
訂正発明1と甲1発明を対比する。
(ア)訂正発明1の
「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」
と、甲1発明の
「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)白金族金属系触媒、及び
(D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上
を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」であって、
「成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、組成物のベースポリマーとして使用され」、
「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、…、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく」、
「上記酸化チタン粉末は、ルチル型又はアナターゼ型でよく、平均粒子径は通常0.05?10μm程度でよく」、
「上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ、このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ」る「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」を対比する。

a 甲1発明の「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン」は、「組成物のベースポリマーとして使用され」るものであるから、甲1発明の「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン」は、訂正発明1の「架橋性ポリシロキサン化合物」に相当し、甲1発明の「ルチル型又はアナターゼ型でよ」い「酸化チタン粉末」は、訂正発明1の「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」に相当する。

b 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、訂正発明1の「酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」に相当し、甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」が含有する「(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン」は、訂正発明1の「シリコーンゴム成分」に相当する。

c 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、加熱して硬化物を得てよいところ、得られる硬化物は、「シリコーンゴム」である。そして、「架橋材として使用される」「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン」が「三次元網状構造の樹脂状物」でよいことは、架橋硬化した「シリコーンゴム」が網目構造を有してよいことである。

d 甲1発明の「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」は、「低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物」であるから、「液状又は塑性」の組成物である。そうすると、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」から「酸化チタン粉末」と「白金族金属系触媒」を除いたシリコーンゴムになる成分も「液状又は塑性」である。

e 甲1発明は、「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」の表面処理(以下「甲1表面処理」ということがある。)に関して、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理」するものであって、「上記表面処理の方法としては、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解又は分散した後、この溶液又は分散液に酸化チタン粉末を混合し、加熱・乾燥する方法、又は、成分(A)であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの少なくとも一部(通常30重量%以上、特に50重量%以上)と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理する方法が挙げられ」ることを特定している。
そうすると、まず、甲1発明は、「アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」が「表面処理された」というところまでは備える。
しかし、甲1表面処理は、訂正発明1の「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)で」された「表面処理」ではないから、甲1発明は、「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)」「で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えない。
次に、甲1発明が、「SiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えるか否かにつき、一次決定がこれを備えると認定したのに対し、判決は、甲1発明の酸化チタン粉末の表面に形成されるシロキサンの被膜が、SiO_(2)の被膜とは認められず、よって、甲1発明における「表面にシロキサンの被膜が形成され」た「酸化チタン粉末」は、訂正発明1の「SiO_(2)で表面処理された…酸化チタン粒子」に相当しない旨判示した。この判示事項は当審を拘束するから、当審は、甲1発明が「SiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えないと認定する。
以上をまとめると、甲1発明は、訂正発明1の「表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を備えるが、その「表面処理」は、「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)又はSiO_(2)で」された「表面処理」ではない。

f 以上によれば、両者は、
「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した液状又は塑性の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」
という限度で一致する。

(イ)訂正発明1の
「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、
又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化」
することと、甲1発明の酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を
「硬化し」
て硬化物を得ることを対比する。
甲1発明の「硬化」は、架橋硬化であるから、両者は、「架橋硬化」する点で一致する。

(ウ)訂正発明1の
「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、厚さ2μ?5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形する」
と、甲1発明の
「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、…、架橋剤として使用され、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよく」、「上記硬化物の用途は、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等である」
ことを対比する。

a 甲1発明は、架橋剤として使用される「成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン」が「三次元網状構造の樹脂状物」でよいことを踏まえると、三次元網目構造中に「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」が取り込まれていることが示唆されているといえる。したがって、甲1発明は、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」のうち、「前記網目構造中に表面処理された」「酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴム」を備える。
しかしながら、甲1発明は、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」の「前記酸化チタン粒子」のうち、「前記」に当たる部分を備えない。すなわち、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」における「前記酸化チタン粒子」は、「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」を意味すると解されるから、上記(ア)eでしたところの、甲1表面処理は訂正発明1の「表面処理」とは異なるとの議論と同様の議論が成り立つ。
以上をまとめると、訂正発明1の「前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム」と甲1発明の「成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末」が含まれている「三次元網状構造の樹脂状物」とは、「前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴム」という限度で一致するということになる。

b 甲1発明の硬化物は、その用途が「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」であることを踏まえると、甲1発明の硬化物は、「立体形状、膜状、又は板状の成形体」である。

c してみると、両者は、
「前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴムである、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形する」
という限度で一致する。

(エ)訂正発明1の「150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材」と、甲1発明の用途が「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等であ」る「硬化物」を対比する。
甲1発明の「硬化物」は、「酸化チタン粉末」を含有しており、その用途が「反射剤」や「反射コーティング」であることを踏まえると、甲1発明の「硬化物」は、訂正発明1の「白色反射材」に相当する。

(オ)訂正発明1の「白色反射材の製造方法」と、甲1発明の「硬化物の製造法」を対比する。
上記(エ)で検討したとおり、甲1発明の「硬化物」は訂正発明1の「白色反射材」に相当する。してみると、両者は相当関係にある。

(カ)以上によれば、訂正発明1と甲1発明は、
「架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を含有して分散した液状の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
架橋硬化して、
前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーンゴムである、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、
前記成形体からなる白色反射材を得る白色反射材の製造方法。」
という限度で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-1:「架橋硬化」する際に、訂正発明1では、「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、」架橋硬化しているのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」に用いる「硬化物」は、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」を、どのように成形や塗布をして架橋硬化しているのか、明らかでない点。

相違点1-2:前記網目構造中に表面処理された酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度に関し、訂正発明1では、「表面処理された酸化チタン粒子」が「前記酸化チタン粒子」、すなわち、「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」であり、かつ、「ゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である」のに対し、甲1発明では、「表面処理された酸化チタン粒子」がそうではなく、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」された「酸化チタン粒子」であり、ゴム硬度は特定されていない点。

相違点1-3:白色反射材が、訂正発明1では「150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である」のに対し、甲1発明は、そのようなものなのか否か、明らかでない点。

相違点1-4:酸化チタン粒子の含有量に関し、訂正発明1では、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有」しているのに対し、甲1発明では、「成分(A)『一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン』100重量部当たり、好ましくは15?300重量部含有している」点。

相違点1-5:成形体の厚さに関し、訂正発明1では、「厚さ2μm?5mm」であるのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」の用途に用いられる硬化物であるものの、その具体的厚さは明らかでない点。

相違点1-6:「表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子」の「表面処理」に関し、訂正発明1は「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理された」ものであるのに対し、甲1発明はそうではなく、「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」されたものである点。

(3)判断
ア 相違点1-6について
本件の事案に鑑み、相違点1-6から判断する。
(ア)甲1発明の技術的意義は次のとおりである。
甲1発明が解決しようとする課題は、シリコーンゴム組成物に酸化チタンを多量に添加すると、粘度やチキソ性が高くなり、このため組成物の取扱いが困難で、かつ十分な作業性が得られなかったというものと認められる(甲第1号証の【0002】・【0003】(上記(1)ア(ウ)及び(エ))。そして、甲1発明は、その課題を解決するために、酸化チタン粉末を「テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で」「表面処理」(甲1表面処理)されたものとするものであり、その結果、「酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られ」るものであると認められる。

(イ)上記(ア)で認定した甲1発明の技術的意義からすれば、甲1発明における甲1表面処理は、上記課題を解決するための構成にほかならないとともに、上記課題を解決するための構成として不可欠のものでもあると認められる。
そうすると、甲1発明の酸化チタン粉末に対してなされる表面処理として、甲1表面処理に代えて、相違点1-6の「シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理」するようにすることについては、特段の事情がない限り、動機付けが存在するとはいえず、むしろ、阻害要因があるというべきである。

(ウ)そこで、異議申立人から提出された甲第2号証?甲第8号証が、上記(イ)でいう特段の事情を示すものかを検討すると、以下のとおり、そのような証拠はない。
a 甲第2号証
甲第2号証は、「シリコーンとその応用」との表題の刊行物であって、シリコーンの物理的性質について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。
したがって、甲第2号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

b 甲第3号証
甲第3号証は、「付加効果型シリコーンゴム組成物の硬化方法及び付加効果型シリコーンゴム組成物」を名称とする発明についての公開特許公報であって、シリコーンゴム組成物について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。
したがって、甲第3号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

c 甲第4号証
(a)甲第4号証は、「光半導体装置」を名称とする発明についての公開特許公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。
「【請求項1】
パッケージ内部に、光半導体素子が載置されたリードフレームを有する低熱抵抗の光半導体装置に於いて、
前記パッケージは、耐熱性と耐光性とを共に有する高熱伝導な樹脂から成る一方向が開放した中空容器状に形成され、
該中空容器状の内側底部に前記リードフレームの前記光半導体素子が載置された側を露出させて設置された胴体と、
該胴体の内側に充填された耐熱性と耐光性とを共に有する透明な樹脂から成る事を特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記胴体は耐熱性と耐光性とを共に有する低熱抵抗な白色の熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記胴体は耐熱性と耐光性とを共に有する低熱抵抗な透明な熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記透明な樹脂は耐熱性と耐光性とを共に有する熱硬化性シリコーン樹脂である事を特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。」

(b)そうすると、甲第4号証には、光半導体装置に用いる樹脂が熱硬化性シリコーン樹脂であることが開示されていると認められる。しかしながら、甲第4号証のその余の記載を含めて、酸化チタンについては開示がされていないと認められる。
したがって、甲第4号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

d 甲第5号証
(a)甲第5号証は、「光反射部形成用樹脂組成物、その組成物の皮膜を有する配線基板とその製造方法、光半導体パッケージ、および照明装置」を名称とする発明についての公開特許公報であるところ、発明の詳細な説明には、次の記載がある。
「【0049】
酸化チタンを少しでも使用する場合において最も好ましい充填材の形態の1例(本発明の実施形態の変形例)を示すと、中空の酸化チタン球状粒子の表面にあらかじめシリカ、あるいはアルミナなどの皮膜を形成した状態で樹脂に混練する。このような形態の白色顔料は、中空の酸化チタンが高反射率を呈する一方、非導電性、屈折率1.3?1.7、かつ400?800nmの波長範囲での分光吸光率の変動が10%以下、となる物質をあらかじめ表面にコーティングしたことによって光酸化還元・光分解作用の影響が最小化されている。なお、酸化チタンによる紫外線吸収量を最小化するために、酸化チタンからなる球殻を十分に薄くしておくことが必要であることはいうまでもない。酸化チタンからなる球殻厚の具体例を挙げると、球径の10%以下となることが望ましく、あるいは、前記白色顔料中に占める体積分率が30%以下であることが望ましい。」

(b)よって、甲第5号証には、酸化チタンが有する光酸化還元・光分解作用の影響を最小化するために、シリカあるいはアルミナなどの皮膜を酸化チタン球状粒子の表面に形成した状態で樹脂に混練する技術的事項(以下「甲5技術的事項」といい、甲5技術的事項における表面処理を「甲5表面処理」という。)が開示されていると認められる。

(c)上記(b)によれば、甲5技術的事項において甲5表面処理をしたことによる技術的意義(酸化チタンが有する光酸化還元・光分解作用の影響を最小化すること)は、甲1発明において甲1表面処理をしたことによる技術的意義(低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られること)とは異なることになる。そうすると、甲1発明に接した当業者が甲1表面処理に代えて甲5表面処理を採用しようとする動機付けはないといえるし、仮に、何らかの動機付けがあるとしても、そのような代替は、甲1発明が解決しようとする課題(上記(ア))を解決できないようにするものであるから、阻害されるというべきである。

(d)以上のとおりであるから、甲第5号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

e 甲第6号証
甲第6号証は、「ゴム・プラスチック軟質物硬さ計」の製品カタログであって、ゴムの硬さ試験を行うための装置について開示がされているものの、酸化チタンについては開示がされていないものと認められる。
したがって、甲第6号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

f 甲第7号証(国際公開第1998/47476号)
(a)甲第7号証は、「化粧料、シリカ被覆金属酸化物粉およびその製法」を名称とする発明についての国際公開公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。
「1.シリカ膜厚が0.1?100nmであるシリカ皮膜金属酸化物粉を含有することを特徴とする化粧料。」、
「5.金属酸化物がチタニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は2種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。」、
「6.金属酸化物がチタニアである請求項5に記載の化粧料。」

(b)そうすると、甲第7号証には、チタニア粉がシリカにより被覆された構造が開示されていると認められるが、これは、化粧料の技術分野に関するものであって、訂正発明が属する技術分野とは異なるものである。
したがって、甲第7号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

g 甲第8号証(国際公開第2008/062714号)
(a)甲第8号証は、「導光シート及びこれを使用した電子機器」を名称とする発明についての国際公開公報であって、その特許請求の範囲には、次の記載がある。
「[1]反射フィルムと、
前記反射フィルムの前面に印刷された複数の印刷マーク部と、
前記反射フィルムの前面に積層され、前記印刷マーク部がその内部に埋め込まれ 、前 記反射フィルムと一体化された、透明シートと、を含み、
前記透明シートの可視光線透過率が80%以上99%以下であり、
前記透明シートは、その端面に前記透明シートの内部へ光を入射させうる光入射部を有し、
前記光入射部から前記透明シートの内部に入射された光を、前記印刷マーク部で反射させ、前記透明シートの前記反射フィルム側の面の反対面から前記導光シートの外に導出させ得る導光シート。
[2]前記透明シートがシリコーンゴムシートである請求項1に記載の導光シート。
[5]前記印刷マーク部は、母材と前記母材中に分散された微粒子とを含む請求項1に記載の導光シート。
[6]前記母材がシリコーンゴムを含む請求項1に記載の導光シート。」

また、発明を実施するための最良の形態には、次の記載がある。
「[0009](2)印刷マーク部
反射フィルムの反射面には所望の印刷マーク部が印刷されている。後述する透明シートの光入射部から透明シート内に入射された光は透明シート中を伝播する。印刷マーク部で反射することにより臨界角を超えた光は透明シートの反射フィルム側の面の反対面から透明シート外に導出される。より具体的には、各印刷マーク部は、母材とこの母材中に分散された微粒子とを含む。母材には、透明シートの材料と屈折率値が同じ力、または近似した材料が主成分として含まれる。透明シートがシリコーンゴ ムシートである場合、母材には、シリコーンゴムが主成分として含まれていると好ましい。印刷方法について特に制限はないが、プリント印刷が好ましい。
[0010]透明シートがシリコーンゴムシートである場合、印刷マーク部を形成するための好適な印刷用インクとしては、例えば、上記微粒子を含むシリコーン系インク等が挙げられる。シリコーン系インクは、例えば、上記微粒子と、加熱硬化型液状ゴム等のシリコーンゴムとを含む。シリコーン系インクは、本発明の目的が損なわれない限りにおいて、耐熱剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。印刷用インクは、例えば硬化剤と混合されてから使用される。微粒子としては、例えば、酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子等が挙げられる。印刷インクおよび印刷マーク部には、これらの微粒子が1種のみ含まれていてもよいが、2種以上含まれていてもよい。微粒子の平均粒子径は、透明シートを透過して印刷マーク部内に進入してきた光を反射させることができれば特に制限はないが、例えば、20μm以下が適当であり、良好な印刷が行えるという理由から1μm?10μmであると好ましい。微粒子のシリコーンゴムに対する添加量は、その種類および平均粒子径により異なるが、反射効果が得られかつ印刷マーク部のゴム弾性が損なわれない範囲で適宜決定すればよい。」

(b)そうすると、甲第8号証には、シリコーンゴムを含む母材中に酸化チタン微粒子を分散した構造が開示されており、しかも、その構造が入射光を反射するためのものであることが開示されていると認められる。しかしながら、甲第8号証には、その余の記載も含めて、酸化チタン微粒子を表面処理することについては開示されていないと認められる。
したがって、甲第8号証は、上記の特段の事情を示すものではない。

h 小括
以上のとおりであるから、甲第2号証?甲第8号証のいずれも、上記の特段の事情を示すものではない。

(エ)さらに、異議申立人は、酸化チタンなどの無機粉末をシランカップリング剤で表面処理することは、当業者にとって周知慣用技術であり、よって、甲第1号証に記載の酸化チタン粉末を甲第1号証に記載のテトラアルコキシシランで処理するのではなく、シランカップリング剤で処理することは、特許発明の特徴になり得ない旨主張している。
しかしながら、酸化チタンなどの無機粉末をシランカップリング剤で表面処理することが当業者にとって周知慣用技術であるとしても、甲1発明の甲1表面処理で用いられるテトラアルコキシシランは、シランカップリング剤ではなく、しかも、甲1表面処理で用いられるテトラアルコキシシランとシランカップリング剤との作用が同じであることを示す証拠もない。
よって、異議申立人の主張は失当である。

(オ)したがって、相違点1-6は、当業者が容易に想到することができたものではない。

イ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点の容易想到性の有無について判断するまでもなく、訂正発明1は、甲1発明及び甲第1号証?甲第8号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 訂正発明2について
(1)対比
訂正発明2と甲1発明を対比する。
両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5及び1-6で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。

相違点2-1:「架橋硬化」する際に、訂正発明2では、「スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後」、架橋硬化しているのに対し、甲1発明では、「フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤等」の用途の「硬化物」は、「酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物」をどのように塗布して架橋硬化しているのか、明らかでない点。

相違点2-2:酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を塗布する対象が、「非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面」であって、白色反射材が、支持体上に積層した積層体が備える白色反射材であるのに対し、甲1発明では、支持体の表面と解されるものの、支持体が「非シリコーン樹脂からなる」ものなのか否か、そして「表面活性化処理した面」であるのか否か、明らかでない点、

(2)判断
このように、訂正発明2も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 訂正発明3について
(1)訂正発明3
訂正発明3は、訂正発明2の発明特定事項に加え、「前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にした」点をさらに特定するものである。

(2)対比
訂正発明3と甲1発明を対比する。
両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、2-1及び2-2で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。
相違点3-1:訂正発明3は、「前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材」の上に「更に金属導電層を設けて、前記積層体にした」のに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

(3)判断
このように、訂正発明3も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 訂正発明4について
(1)対比
訂正発明4と甲1発明を対比する。
両者は、上記相違点1-2、1-3、1-4、1-5、1-6及び2-1で相違するとともに、さらに以下の点で相違する。
相違点4-1:酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を塗布して架橋硬化した白色反射材に関し、訂正発明4では、「支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に」塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を白色反射材へ架橋硬化したものであるのに対し、甲1発明では、そのようなものではない点。

(2)判断
このように、訂正発明4も、相違点1-6に係る特定事項を備えているから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 訂正発明5について
(1)訂正発明5
訂正発明5は、訂正発明1?4において、さらに、「前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05?50μmであ」ることを特定する発明である。なお、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5?400質量部含有されていること」は、訂正事項1-3により、訂正発明1の発明特定事項となっている。

(2)対比・判断
このように、訂正発明5は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 訂正発明6について
(1)訂正発明6
訂正発明6は、訂正発明2について、さらに、
「前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであること」
を特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明6は、訂正発明2に従属するものであるから、訂正発明2と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

7 訂正発明7について
(1)訂正発明7
訂正発明7は、訂正発明1?4について、さらに、「前記白色反射材は、厚さが5μm?2000μmの膜又は板である」ことを特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明7は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

8 訂正発明8について
(1)訂正発明8
訂正発明8は、訂正発明1について、さらに、白色反射材が「発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであること」を特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明8は、訂正発明1に従属するものであるから、訂正発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

9 訂正発明9について
(1)訂正発明9
訂正発明9は、訂正発明1?4について、さらに、「前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有すること」ことを特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明9は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

10 訂正発明10について
(1)訂正発明10
訂正発明10は、訂正発明1?4について、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいること」を特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明10は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

11 訂正発明11について
(1)訂正発明11
訂正発明11は、訂正発明1?4、10について、さらに、「前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有すること」を特定するものである。

(2)対比・判断
このように、訂正発明11は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

12 訂正発明12について
(1)訂正発明12
訂正発明12は、訂正発明1?4について、さらに、「前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明12は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

13 訂正発明13について
(1)訂正発明13
訂正発明13は、訂正発明12について、さらに、「前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明13は、訂正発明12に従属するものであるから、訂正発明12と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

14 訂正発明14について
(1)訂正発明14
訂正発明14は、訂正発明1?4の何れかについて、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明14は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

15 訂正発明15について
(1)訂正発明15
訂正発明15は、訂正発明1?4の何れかについて、さらに、「前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明15は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

16 訂正発明16について
(1)訂正発明16
訂正発明16は、訂正発明1?4の何れかについて、さらに、「前記白色反射材が、曲げ得ること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明16は、訂正発明1?4に従属するものであるから、訂正発明1?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

17 訂正発明17について
(1)訂正発明17
訂正発明17は、訂正発明2?4の何れかにおいて、さらに、「前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていること」を特定する発明である。

(2)対比・判断
このように、訂正発明14は、訂正発明2?4に従属するものであるから、訂正発明2?4と同様に、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

18 小括
以上のとおり、訂正発明1?訂正発明17は、甲1発明及び甲第1号証?甲第8号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることできたものではない。
したがって、平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)によっては、訂正発明1ないし訂正発明17についての特許を取り消すことができない。

第6 平成28年11月24日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立て理由について

1 特許異議の申立て理由
(1)特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号違反
反射材の硬度(ショアA及びショアD硬度)に関する構成要件は、明細書中において製造した反射材の硬度を実際に測定していないため、当該要件を充足した反射材を製造する方法が明細書において開示されているとは言えない。

(2)特許法第36条第4項第1号違反
実施例では、表面処理が施されていない酸化チタンを用いているのに対し、表面処理された酸化チタンを用い、初期反射率及び高温経時反射率に関する特定を有する本件特許発明は、明細書に開示のない発明を含んでいると考えられ、更には当業者が実施する際に、過度の試行錯誤を強いる蓋然性を含むものである。

(3)特許法第36条第6項第2号違反
訂正前の請求項1、2及び4に記載された、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムに関して「架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体のシリコーンゴム成分」との特定は、シリコーン樹脂成分を示しているのか、硬化性のシリコーン樹脂組成物を示しているのか定かではなく、請求項の範囲が不明確である。更に、このような記載であると、請求項5のように、フィラーの含有量を規定する際に、樹脂成分に対するフィラーの含有量を特定しているか、組成物に対するフィラーの含有量を特定しているか、不明である。

(4)新規性欠如
請求項1?17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。

2 判断
(1)特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号違反との理由について
各訂正発明における「ゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80」との範囲が有する技術的意味は、低硬さのゴムや特に硬いゴムを除き、中硬さから高硬さの範囲のゴムであり、ゴム硬度として好ましい範囲を特定したものと解される。すなわち、本件訂正明細書には、「【0084】 シリコーンゴムであれば、そのゴム弾性と耐熱性から長期間高い反射率を有することが出来る。また、硬質のシリコーン樹脂であってもフェニルシリコーンは、高温時に硬度が低下する特性を有していることから、支持体の線膨張に十分に対応することが出来る。」、「【0085】 ゴム硬度としては、ショアA硬度で30?90、ショアD硬度で5?80が好適である。」との記載があるところ、上記記載によれば、ショアA硬度で30?90、ショアD硬度で5?80の範囲は、ゴム弾性を有するシリコーンゴムのゴム硬度として好ましい範囲を特定したものと解され、それ以上の技術的意義は説明されていない。
そして、架橋密度によりゴム弾性の程度が違うことは技術常識であることからすれば、中硬さから高硬さの範囲のゴム弾性を得る程度のことは、明細書に具体的製造方法の開示が無いとしても、当業者が通常の創作能力を発揮すれば、容易に実施できる程度のものである。

(2)特許法第36条第4項第1号違反との理由について
本件訂正明細書には、実施例1で用いるアナターゼ型酸化チタンが「商品名SA-1:堺化学工業株式会社」である(【0100】)とともに、実施例2で用いるルチル型酸化チタンが「商品名SR-1:堺化学工業株式会社」である(【0103】)旨記載されているところ、乙3号証によれば、実施例1で用いるアナターゼ型酸化チタンは表面処理が未処理の酸化チタンであり、実施例2で当該ルチル型酸化チタンは、Al_(2)O_(3)で表面処理された酸化チタンである。
そして、
ア 初期反射率と、高温経過時反射率は、酸化チタンの表面処理の有無に依らず、90%を超えうるものと認められること(本件訂正明細書の表1・図6・図7)、
イ 酸化チタン粒子の反射率が高いことは当業者に周知の技術事項であること(例えば、甲第5号証【0006】?【0009】参照。)、
ウ シリコーン樹脂はUV変色が起こり難いこと、熱変色が発生し難いことは周知の技術事項であること(例えば、甲第4号証【0018】参照。)、
を踏まえると、初期反射率及び高温経過時反射率に関する特定を有する訂正発明は、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できるものと認められる。

(3)特許法第36条第6項第2号違反との理由について
本件訂正により、請求項1、2、4の「シリコーン樹脂成分」が「架橋性ポリシロキサン化合物」であり、「シリコーン樹脂成分」が「酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物」の一成分であることが明確になった。したがって、訂正後の請求項1、2、4及び、当該請求項を引用する訂正後の請求項3、5ないし17は、明確である。

(4)新規性欠如について
上記第5のとおり、訂正発明1?17と甲1発明との間には、少なくとも相違点1-6が存在し、当該相違点は実質的であるから、訂正発明1?17は甲1発明ではない。

(5)小括
したがって、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。
また、訂正発明1?17は、甲1発明に基づき新規性を欠如しない。

第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載された取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?17に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1?17に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
白色反射材及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子及び太陽電池素子のような半導体光学素子を設置する基板や、それら光学素子を収納して光学素子の周囲を構成するリフレクタなど半導体光学素子パッケージの部材として用いられ、光や熱線に対して安定で、光漏れすることなく高い反射効率を持ち、それを長時間安定して維持して反射させることのできる白色反射材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具、信号機、液晶ディスプレイのバックライトなど様々な発光機器の光源として、発光ダイオード(LED)が用いられている。このような発光ダイオード、特に高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系照明装置よりも、消費電力が少なく寿命が長いため、汎用されている。
【0003】
従来の発光機器に光源として用いられるLEDは、図12のように、発光素子33がアルミナセラミックス製やガラス繊維含有エポキシ樹脂製やビスマレイミド・トリアジン樹脂製の基材40に載置され、発光素子33から伸びたリード線34a・34bがその基材40上の配線35a・35bへ夫々繋がったものである。基材40上で発光素子33は、ポリエーテル、ポリフタルアミド、ポリエーテルエーテルケトンのような樹脂製、又はアルミナのような高価なセラミックス製であって出射方向へ開口した数mm?数cm程度の小さな白色系パッケージ成形体部材(リフレクタ)30で、取り巻かれており、それらと一体化して半導体発光装置を構成している。
【0004】
その基材40やパッケージ成形体部材(リフレクタ)30がこれら樹脂製であると、半導体発光装置を回路に固定する時の鉛フリーリフローによる温度で劣化し、光波長が紫外線の場合、光劣化を起こしたり、特に高輝度発光ダイオードの場合、高輝度出射光やそれに伴う高熱により次第に黄変又は褐変して劣化し、表面がくすんだり反射率が悪くなったりしてしまう。一方、基材40やパッケージ成形体部材(リフレクタ)30がセラミックス製であると紫外線による光劣化や熱による劣化はないものの出射光が漏出し十分な照度が得られない。
【0005】
また、これらの基板やパッケージ成形体部材の表面に、光を反射させるためのメッキ処理が施されるが、銀メッキであると、高い反射率を示すものの硫化により黒化し反射率が低下するという問題点があり、金メッキであると、優れた耐硫化性や耐酸化性を示すものの反射率が低いうえ高価であり汎用性に欠けるという問題点があり、さらに、このような小さな基板やパッケージ成形体部材の表面には精度の高いメッキ処理が必要で、メッキを施すには複雑な処理工程が必要になり、生産性が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
メッキ処理を施さなくとも光で劣化し難く光の漏出が少ない反射材として、特許文献1に、分解触媒活性の低い白色顔料であるルチル型酸化チタンと芳香族ポリカーボネート樹脂とを含む組成物からなる光反射層の一方の面に、紫外線吸収能のある耐候層を有し、他方の面に遮光層を有する光反射材が、開示されている。
【0007】
発光ダイオードは、可視領域の下限近傍の短波長領域や、紫外線領域の光を、照射できるものが、製造されるようになってきた。このような発光ダイオードから出射され、可視領域の下限に近い波長領域360nm以上、特に波長領域380?400nmの光を、ルチル型酸化チタン含有のポリカーボネート樹脂のようなプラスチック製反射材では、十分に反射できない。
【0008】
特許文献2には、広い波長領域で反射率の良いアナターゼ型酸化チタンをエポキシ樹脂に分散した樹脂組成物を介して、基板と発光素子とが接合されている半導体発光装置が開示されているが、反射率の経時変化が大きく、エポキシ樹脂が次第に劣化し、経時的に反射効率が低下してしまう。
【0009】
また、発光ダイオードは、発光波長の短波長化や高出力化に伴い、封止樹脂として、耐熱耐光性に優れるシリコーン系封止樹脂が多く用いられるようになったが、従来用いられてきたポリエーテル、ポリフタルアミド、ポリエーテルエーテルケトンのような樹脂製パッケージ部材との収縮率等の相違により、接着性が十分でないという問題があり、パッケージの新たな設計が求められている。
【0010】
上記の従前のプラスチック製反射材で十分に反射できない380?400nmの波長領域やそれ以上の可視光領域、さらに長波長の赤外線領域の熱線を、効率よく反射でき、光を出射する照明機器のみならず太陽光などを光電変換する太陽電池アセンブリにも用いることができ、耐熱、耐光性に優れ、変色がなく、長期間の使用によっても反射率が低下しない汎用性の反射材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-343445号公報
【特許文献2】特開2008-143981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、メッキ処理による反射層などの面倒な表面加工を施さなくとも、380nm以上の波長領域の近紫外線光や近赤外線光を光漏れなく十分に反射でき近紫外線光が照射されても黄変したり劣化したりせず、耐光性、耐熱性、耐候性に優れ、高い機械的強度と優れた化学的安定性とを有し、高い白色度を維持できるうえ、簡便に成形できて生産性が高く安価に製造できる汎用性の白色反射材及び白色反射材の製造方法、更には白色反射材を膜状に成形するために用いられるインキ組成物で製造される白色反射材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の白色反射材の製造方法は、架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、
又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、厚さ2μm?5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、
150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材を得ることを特徴とする。
請求項2に記載の白色反射材の製造方法は、非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面に、架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、膜状又は板状の白色反射材を形成することによって、
前記支持体上に厚さ2μm?5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので、150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法である。
請求項3に記載の白色反射材の製造方法は、請求項2に記載されたもので、前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にしたことを特徴とする。
請求項4に記載の白色反射材の製造方法は、非シリコーン樹脂からなる支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分にシランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を厚さ2μm?5mmの白色反射材へ架橋硬化して、前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80であって150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法である。
【0014】
請求項5に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05?50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5?400質量部含有されていることを特徴とする。
【0015】
この白色反射材の製造方法において、前記白色反射材は、集光又は拡散すべき方向に反射し又は乱反射するように、立体形状、膜状、又は板状に成形されているものであることを特徴とする。
【0016】
この白色反射材の製造方法において、前記白色反射材は、表面に発光素子又は太陽電池素子からなる半導体光学素子に接続するための導電金属膜が付されている前記板状又は膜状のものであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の白色反射材の製造方法は、請求項2に記載されたものであって、前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであることを特徴とする。
【0018】
この白色反射材の製造方法において、前記白色反射材は、例えば前記膜状又は前記板状であるというものであり、又は前記導電金属膜に、光学素子の非装着面側で、支持体が付されているものであることを特徴とする。
【0019】
この白色反射材の製造方法において、前記白色反射材は、前記支持体に前記導電金属膜が付され、前記導電金属膜上に前記膜状又は前記板状に付されているものであることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記白色反射材は、厚さが5μm?2000μmの膜又は板であることを特徴とすることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1に記載されたものであって、前記白色反射材は、発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであることを特徴とする。
【0023】
請求項10に記載の白色反射材の製造方法は、請求項9に記載されたものであって、前記基材が、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムで形成されていることを特徴とする。
【0024】
この白色反射材の製造方法において、前記白色反射材は、前記光学素子の非装着面側で、支持体が付されているものであることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有することを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいることを特徴とする。
請求項11に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4、10の何れかに記載されたものであって、前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有することを特徴とする。
白色反射材は、例えば、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンと、架橋硬化によりシリコーン樹脂になる未架橋のシリコーン樹脂成分又は架橋硬化によりシリコーンゴムになる未架橋のシリコーンゴム成分とを含有し、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である成形体成形加工に用いるための酸化チタン含有シリコーン組成物で製造される。
白色反射材は、例えば、前記酸化チタンが、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)又はSiO_(2)で表面処理されているというものである。
請求項12に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の白色反射材の製造方法は、請求項12に記載されたものであって、前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していることを特徴とする。
請求項14に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であることを特徴とする。
請求項15に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していることを特徴とする。
請求項16に記載の白色反射材の製造方法は、請求項1?4の何れかに記載されたものであって、前記白色反射材が、曲げ得ることを特徴とする。
請求項17に記載の白色反射材の製造方法は、請求項2?4の何れかに記載されたものであって、前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていることを特徴とする。
【0029】
白色反射材の製造方法は、架橋硬化によりシリコーン樹脂になる未架橋のシリコーン樹脂又は架橋硬化によりシリコーンゴムになる未架橋のシリコーンゴムに、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を架橋硬化して、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形する。
白色反射材の製造方法は、非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面に、架橋硬化によりシリコーン樹脂になる未架橋のシリコーン樹脂成分又は架橋硬化によりシリコーンゴムになる未架橋のシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を塗布した後、架橋硬化して、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である膜状の白色反射材を形成することによって、それが積層した積層体にする。
【0030】
白色反射材の製造方法は、例えば、架橋硬化した酸化チタン含有シリコーン組成物層の上に更に金属導電層を設ける。
【0031】
白色反射材の製造方法は、例えば、非シリコーン樹脂からなる支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線し、該半導体発光素子の周囲に架橋硬化によりシリコーン樹脂になる未架橋のシリコーン樹脂成分又は架橋硬化によりシリコーンゴムになるシリコーンゴム成分に、表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を少なくとも部分的に設けた後、該組成物を架橋硬化して、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である白色反射材を形成するというものである。
白色反射材の製造方法は、例えば、前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で、架橋硬化させるというものである。
白色反射材の製造方法は、例えば、前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、スクリーン印刷、パット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷及び凸版印刷から選ばれる何れかの印刷方法で印刷し、又はインクジェット法、ディスペンサ法、スプレー法、ローラ法、ブレードコート、エアノズルコート、ディップコート、バーコート、及び流下塗布から選ばれる何れかの塗布方法で塗布して、設けるというものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の酸化チタンを含有するシリコーン製の白色反射材は、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンの粒子、中でも、特にアナターゼ型酸化チタン粒子をシリコーン樹脂又はシリコーンゴムに分散することによって、380?400nmの近紫外線波長領域のみならずそれ以上の可視領域の光、更にはそれより長波長領域の780nm以上の赤外線のような熱線を、高い反射率で、光漏れすることなく、十分に反射できる。
【0033】
しかもこの反射材は、隠蔽性に優れた白色を呈しており、光や熱や化学的作用によって変質し難い硬質のシリコーン樹脂や軟質のシリコーンゴムを用いているから、高輝度発光ダイオードや紫外線発光ダイオードからの光、直射日光や高温に曝されても、また、高い光触媒活性を有するアナターゼ型酸化チタンを含有していても、黄変・褐変したり劣化したりすることが無いため、耐光性、耐熱性、耐候性に優れている。しかも、高い機械的強度を示し、優れた化学的安定性を有し、高い白色度を維持でき耐久性に優れているため、半導体光学素子を用いる半導体発光装置や太陽電池装置の用途に用いられる材料として優れている。
【0034】
この反射材は、反射目的のメッキなどの面倒な表面加工を施す必要がなく、簡便な工程で簡易に、均質で高反射特性のものを精密に、確実かつ大量に、安価で製造できるため、生産性が高い。
【0035】
この反射材は、発光素子のみならず太陽電池素子のような光電変換素子等に用いられる基材やパッケージ成形体部材など半導体光学素子に関連する様々な分野の機器の反射材として、汎用的に用いることができる。
【0036】
この反射材は、板状にしたり、立体的形状にしたり、又は膜状にしたりして、所望の形状に形成されて反射効率を高めた白色反射材として用いることができる。例えば、従来使用されているエポキシ基材のようなシリコーン以外の安価な樹脂製部材上に膜状に形成して、生産性を高めつつ、安価に製造することにより、従来使用されていた基材の熱劣化、変色などをなくすことができる。この場合、従前の樹脂基材の上に膜状に積層された白色反射材の上に金属箔もしくは金属メッキにより導電金属膜を形成し、続いてエッチングなどにより回路を形成して回路基板として用いることができる。また、その配線パターンに半導体光学素子又は光半導体光学装置を設置し、発光素子と回路とを結線することにより、反射材が露出した部分は、発光素子の発光に対して効率のよい反射面となる。
【0037】
この反射材は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの従前の樹脂基材からなる部材全面を被うように膜状に形成されたものであってもよい。従前の電気基板上に形成された配線パターンの一部を残して反射材で覆うように膜状部分を反射面として形成されたものであってもよい。
【0038】
本発明の反射材の別の態様として、酸化チタンを含有するシリコーンを含んでなる白色反射膜形成用組成物であって、インキとして使用することができ、支持体の種類に限定されることなく、平滑性に優れて高い反射率を有する薄膜を、塗布、印刷、吹きつけ、浸漬などの手段により、その支持体表面に、形成することができる。熱により黄変を生じるエポキシ樹脂製やビスマレイミド・トリアジン樹脂製の支持体に全面又は反射機能を付与したい部分に上記手段によって薄膜を形成することで、支持体は変色するが薄膜は表面に黄変を生じさせないため、その黄変による反射率の低下を防止することができる。また、セラミックス製の支持体やリフレクタにこの薄膜を形成することで、セラミックスの透明性を遮断し出射光の漏出を防止するとともに反射光を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】
本発明を適用する、白色反射材を用いた、半導体発光装置を示す模式断面図である。
【図2】
本発明を適用する、白色反射材を用いた、パッケージ成形体部材の一部材(リフレクタ)を示す模式断面図である。
【図3】
本発明を適用する、白色反射材を用いた、基板の製造工程を示す模式断面図である。
【図4】
本発明を適用する、白色反射材を用いた、太陽電池を示す模式断面図である。
【図5】
本発明を適用する、アナターゼ型酸化チタン含有シリコーン製白色反射材、ルチル型酸化チタン含有シリコーン製白色反射材、及び本発明適用外のアルミナ含有白色反射材における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図6】
本発明を適用する、塗膜状タイプの白色反射材製基材と、本発明適用外のビスマレイミド・トリアジン樹脂製基材及びガラスエポキシ樹脂製基材とにおける照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図7】
本発明を適用する、塗膜状タイプの白色反射材製基材と、本発明適用外のビスマレイミド・トリアジン樹脂製基材及びガラスエポキシ樹脂製基材との熱処理後における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図8】
本発明を適用する、ビスマレイミド・トリアジン樹脂製基材に白色反射材塗膜を形成した基板における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図9】
本発明を適用する、ビスマレイミド・トリアジン樹脂製基材に白色反射材塗膜を形成した基板の熱処理後における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図10】
本発明を適用する、ガラスエポキシ樹脂製基材に白色反射材塗膜を形成した基板における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図11】
本発明を適用する、ガラスエポキシ樹脂製基材に白色反射材塗膜を形成した基板の熱処理後における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。
【図12】
本発明適用外の反射材を用いた、従来の半導体発光装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0041】
本発明の酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材の好ましい一形態について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0042】
白色反射材は、図1の通り、半導体発光装置1に組み込まれるもので、半導体発光素子13を装着する白色反射材16と、その発光素子を取り巻くパッケージ成形体部材10とに、用いられている。
【0043】
白色反射材16は、基板20の回路側の層を構成する部材であり、酸化チタン粒子12bを含有しているシリコーン樹脂で成形されている。白色反射材16上の半導体発光素子13の装着面側の表面に導電金属膜である銅膜15a・15bが、付され、電源(不図示)へ接続される配線パターンを形成している。発光ダイオード13から伸びた2本のリード線14a・14bが、その銅膜15aと銅膜15bとに、夫々接続されている。その白色反射材16の表面上の配線パターン部位以外の部位は、白色反射材16が露出しており、それに含有された酸化チタン粒子12bのために、白色を呈し、白色反射材として優れた隠蔽性を有するから光を漏出しない。
【0044】
板状の白色反射材16上の半導体発光素子13の非装着面側の表面に、絶縁性の支持体17が、付されて、基板20を形成している。パッケージ成形体部材10の出射方向側の開口部は、透光性材料で封止され、あるいは封止に代わって又は封止とともにガラス製や樹脂製の透明板や透明フィルムで覆われていてもよい。その封止や透明板や透明フィルムが、それの透過光の波長を所期の波長へ変換する顔料、色素、蛍光剤、りん光剤を含有していてもよい。また、パッケージ成形体部材10の出射方向側の開口部が、凸レンズ、凹レンズ、フレネルレンズのようなレンズで、覆われていてもよい(不図示)。
【0045】
パッケージ成形体部材10も、白色反射材16で用いられた同種の酸化チタン粒子12aを含有するシリコーン樹脂で成形されている。パッケージ成形体部材10は、半導体発光素子13を取り巻きつつ、傾斜した内壁11によってその光の出射方向へ向かって末広がりに開口しており、半導体発光素子13の装着面側の白色反射材16の表面に、接着剤層(不図示)を介して一体に接着されている。
【0046】
また、別の態様としてのパッケージ成形体部材は、図2に示すように、出射方向へ向かって末広がりに開口したセラミック製のパッケージ成形体部材10aの内壁にアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末、及び必要に応じシランカップリング剤を含有するシリコーン組成物を膜状に塗布し硬化し塗膜18を形成したパッケージ成形体部材10aであってもよい。かかる構成とすることにより、セラミック材質の長所である耐熱性・寸法安定性に加えて、短所である光の漏出を防止することができる。
【0047】
このパッケージ成形体部材10・10aも、酸化チタン粒子12aが充填されているために、白色を呈し、しかも優れた隠蔽性を有するから光漏れすることがなく、特に380nm以上、中でも400nm以上の波長の光の反射率が極めて高いものである。また、このパッケージ成形体部材10・10aは、化学的に安定で変色し難いシリコーン樹脂で形成されているために、近紫外光や高輝度光に長期間曝されても黄変せず白色のまま維持でき、しかも硬くて高い機械的強度を有し、優れた耐光性、耐熱性、耐候性を示すので、耐久性に優れている。
【0048】
これらの白色反射材を用いたパッケージ成形体部材10・10aの内壁11の表面や、白色反射材16の表面は、研磨やケミカルエッチングにより表面処理されてもよく一層反射率が向上する。
【0049】
このようにしてなる半導体発光装置1は、半導体発光素子13が装着された基板20とパッケージ成形体部材10との複数組が、整然と四方八方に複数並べられた照明器具であってもよい。本発明の白色反射材を用いた半導体発光装置1は、特に380?400nmの近紫外線領域の波長領域のみならずそれ以上の可視光領域、それより長波長領域の赤外線のような熱線の反射率が、極めて高くなっている。
【0050】
本発明の白色反射材を用いた半導体発光装置1は、以下のように、各製造工程を経て製造される。
【0051】
(1) 銅箔が積層された白色反射材16の作製:
銅箔の調製:
厚み12?18μmの銅箔の表面を、脱脂してから、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理又は紫外線処理により表面処理を施し、銅箔の表面に露出している水酸基を生成させる。その銅箔の表面を、ビニルメトキシシロキサンホモポリマー例えばCH_(2)=CH-Si(OCH_(3))_(2)-O-[(CH_(2)=CH-)Si(-OCH_(3))-O-]_(j)-Si(OCH_(3))_(2)-CH=CH_(2)(jは3?4)の溶液に浸漬してから、熱処理し、銅箔の表面に露出している水酸基とビニルメトキシシロキサンホモポリマーとを反応させ、シリルエーテルを形成させて、ビニルシリル基含有シリル基である活性シリル基を生成させる。反応性を向上させるために、それを白金触媒懸濁液に浸し、活性シリル基中のビニル基に白金触媒を保持させ、積層すべき銅箔を準備する。
シリコーン組成物の調製:
次いで、ヒドロシリル基含有シリル基を有する未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末とが含まれているシリコーン組成物を準備する。詳しくは後に記述する。
前記の表面処理した銅箔の面に前記シリコーン組成物を、流下塗布し、加熱成形とともに架橋すると、ビニルシリル基含有シリル基のビニルと、ヒドロシリル基含有シリル基のヒドロシリルとが付加型反応し、銅箔が積層された酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材16が作製される。
【0052】
(2) 回路形成と半導体発光素子の接続:
白色反射材16に積層された銅薄膜15に、レジストを用いて所望する回路となるようにエッチングすることにより、所望の配線パターンを有する配線15a・15bを形成する。半導体発光素子13を配線パターンの所定の位置に設置し、リード線14a・14bを超音波溶着により、半導体発光素子13と配線15a・15bとに接続する。
【0053】
(3) パッケージ成形体部材の作製:
一方、前記と同様の未架橋のシリコーン樹脂成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末と必要に応じシランカップリング剤とを含有するシリコーン組成物を下金型に注入し、上金型を閉じて加熱架橋させることによって、酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材であるパッケージ成形体部材10を、成形する。
なお、酸化チタンにシランカップリング剤をコーティング処理してから、シロキサン化合物に加え、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とを架橋させてバインダーの分子間にフィラーを内包させたシリコーン樹脂を金型内で成形すると一層強度の強い基板20やパッケージ成形体部材10が得られる。
【0054】
(4) パッケージ成形体部材と白色反射材との一体化:
このパッケージ成形体部材10の広口開口部を上向きにして、半導体発光素子13及びリード線14a・14bに接しないように半導体発光素子13を取り巻くようにパッケージ成形体部材10を配置しながら銅箔回路の一部を有する白色反射材16に接着剤で接着して一体化する。その後、パッケージ成形体部材10の開口部をシリコーン透明樹脂で封止すると、半導体発光装置1が得られる。
【0055】
このようにして製造された半導体発光装置1は、以下のようにして使用される。半導体発光素子13に、陰極側銅箔回路(銅膜)15a及びリード線14aと、陽極側銅箔回路(銅膜)15b及びリード線14bとにより、電流を印加すると、半導体発光素子13は、発光する。発光した光の一部は、パッケージ成形体部材10の出射方向側の開口から、直接、外界へ照射される。発光した光の別な一部は、パッケージ成形体部材10の内壁11、又は白色反射材16の表面上の配線パターン以外の白色反射材16の露出している部位で反射して、出射方向側の開口から、外界へ照射される。
【0056】
本発明の成形された酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材を作るための材料は、液状体、塑性体又は半固体であってもよく、未架橋シリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分、アナターゼ型、ルチル型又は両方の酸化チタン粉末、及び必要に応じシランカップリング剤を含有するシリコーン組成物(白色反射材形成用組成物に同じ。以下、単に、「シリコーン組成物」ということもある。)である。かかるシリコーン組成物は、膜状に塗布し架橋することにより、熱劣化により着色する基板の表面を高い反射効率をもって白色を維持することができ、例えば図2に示すように、透光性のセラミック製リフレクタの反射面に膜状に塗布することによって光漏出を防止することができる。
【0057】
本発明の白色反射材は、アルミ板のような異なる材質からなる支持体17上にシリコーン組成物を塗布することで形成された膜状の白色反射材16であってもよい。また、フイルムシート状に成形された膜状の白色反射材16であってもよく、フイルムシート状に成形された白色反射材16を接着剤層を介して支持体17に貼り合わせたものであってもよい。更に支持体17と白色反射材16とが積層構造をなし積層された白色反射材16の表面に配線パターンを形成するための導電金属膜(銅薄膜)15が付されて三層からなる積層構造の基板20を形成していてもよい。また、支持体17の表面に配線パターンを形成する導電金属膜(銅薄膜)15が付され、プリント回路が形成された後、反射機能が必要な部分にのみシリコーン組成物を塗布することにより白色反射材16が形成された基板20を形成していてもよい。このように白色反射材16と支持体17とのいずれかの面に銅箔など導電金属膜(銅薄膜)を付して積層体にして形成された基板20は、酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材のみで形成された基板に銅箔を付して形成された基板20に比べてシリコーン樹脂の物性の弱さを補い、同じ厚さの基板であっても基板の物性が格段に向上する。特に白色反射材の反射特性を持ちながら、シリコーン樹脂の曲げ弱さを支持体の剛直性で補い、また、支持体の平滑面が薄い白色反射材の表面に再現されるので、電子回路基板用途として好ましい。
【0058】
これらの積層構造において、白色反射材である基材16と支持体17又は導電金属膜(銅薄膜)15との接着界面は、強固に接着しているので、歪みや剥離を生じない。
【0059】
これらの白色反射材16の厚さは用途に応じて適宜調整される。通常2μm?5mmの範囲で調整され、好ましくは5μm?2000μmであり、10μm?100μmであると更に好ましい。厚みが薄すぎると、隠蔽度が低下し、適切な反射率は得られない。また、厚すぎると反射材表面特性はそれ以上向上しないので、機械的な特性を望む以外は、それ程厚さは必要はない。
【0060】
膜状の白色反射材16を有する基板20の製造方法を図3の(A)、(B)で例示して詳細に説明する。
【0061】
先ず、図3の(A)に示すように、支持体17の表面に、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンとが含まれている酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成用組成物を、スクリーン印刷法により塗布し、架橋硬化させて、白色反射材16を形成する(同図(A)中の(a)工程)。この白色反射材16の表面にコロナ放電処理、大気圧プラズマ処理又は紫外線処理の表面処理をして水酸基を生成させ、金属蒸着処理又はメッキ処理を施し、導電金属膜である銅薄膜15を形成する(同図(A)中の(b)工程)。この銅薄膜15にマスキングしてマスキング層21a・21bを形成し(同図(A)中の(c)工程)、次いで酸処理してエッチングすることにより、所望の配線パターンを有する配線15a・15bを形成する(同図(A)中の(d)工程)。マスキング層21a・21bを溶出により除去し(同図(A)中の(e)工程)、半導体発光素子13から伸びたリード線14a・14bを、超音波溶着により配線15a・15bへ接続する(同図(A)中の(f)工程)。配線パターン部位以外の部位は、高反射率を示す白色反射材16が露出している。
【0062】
また、図3の(B)に示すように、支持体17の表面に、脱脂してからコロナ放電処理、大気圧プラズマ処理又は紫外線処理の表面処理を施した導電金属膜(銅箔)を接着させる処理、又はメッキ処理を施し、導電金属膜である銅薄膜15を形成する(同図(B)中の(a)工程)。この導電金属膜15にマスキングしてマスキング層21a・21bを形成し(同図(B)中の(b)工程)、次いで酸処理してエッチングすることにより、所望の配線パターンを有する配線15a・15bを形成する(同図(B)中の(c)工程)。マスキング層21a・21bを溶出により除去し(同図(B)中の(d)工程)、半導体発光素子13から伸びたリード線14a・14bと接続される配線パターン部位以外の部位に、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンとが含まれている酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成用組成物をスクリーン印刷法により塗布し、白色反射材(塗膜)16a・16b・16cを形成する(同図(B)中の(e)工程)。半導体発光素子13を所望の白色反射材(塗膜)16bに載置し、リード線14a・14bで該半導体発光素子13と配線15a・15bとを、超音波溶着により接続する(同図(B)中の(f)工程)。これにより半導体発光素子の発光は、白色反射材(塗膜)により反射される。
【0063】
別な白色反射材の態様は、図4の通り、太陽電池2のアセンブリとして組み込まれるもので、太陽電池素子24である光電変換素子を装着したパッケージ成形体部材10に、用いられる。
【0064】
パッケージ成形体部材10は、酸化チタン粒子12aを含有するシリコーン樹脂からなり、椀状に複数窪んだ列が幾重にも並んで、成形されている。太陽電池素子24は、内部の略球状のp型シリコン半導体24aとその周りを覆ってPN接合しているn型シリコン半導体24bとからなる。n型シリコン半導体24bの下端が研磨によって欠落しており、そこからp型シリコン半導体24aが露出している。n型シリコン半導体24bは、負電極の電極エレメント層である銅膜22bのみに接続し、一方p型シリコン半導体24aは、正電極の電極エレメント層である銅膜22aのみに接続している。両電極である銅膜22a・22bは、その間で積層されている絶縁体層23で、隔離され絶縁されている。パッケージ成形体部材10は、太陽電池素子24を取り巻きつつ、椀状に窪んだ内壁11によってその出射方向へ向かって末広がりに開口しており、銅膜22bに接着剤層(不図示)を介して一体に接着されている。
【0065】
パッケージ成形体部材10の内壁11の表面はシリコーン系封止樹脂との接着性を向上させるため表面処理を施すことができる。具体的には前記の「(1)銅箔が積層された白色反射材16の作製」の欄で記載した接着方法が用いられる。
【0066】
本発明におけるパッケージ成形体部材10及びそれを用いた太陽電池アセンブリ2は、以下のようにして製造される。シリコーン樹脂成分とアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粉末と必要に応じシランカップリング剤とを含有するシリコーン形成用組成物を金型中で硬化させて、椀状に等間隔で四方八方に凹んだパッケージ成形体部材10を作製する。椀状の凹みの底に、穴をくり貫いておく。パッケージ成形体部材10の椀状の凹みの底の穴に対応する位置で、絶縁体23に穴を開けておき、そのうら面側に銅膜22aを、接着剤で接着させつつ、絶縁体23の穴に詰めた導電性物質を介して、露出させておく。絶縁体のおもて面側に銅膜22bを、接着剤で接着させ、エッチングして配線パターンを形成する。パッケージ成形体部材10の椀状の凹みの底の穴と、絶縁体23の穴から露出した銅膜22aとを一致させつつ、その銅膜22bを覆うようにパッケージ成形体部材10を、銅膜22bへ接着剤で接着する。一方、球状p型シリコン結晶の周りをn型シリコン結晶で薄膜形成したシリコン球を作製する。このシリコン球の一部を平坦に研磨して、外周のn型シリコン半導体24bを欠落させその欠落部分から内部のp型シリコン半導体24aを露出させる。そのp型シリコン半導体24aの露出部分に、絶縁体23の穴から露出させた銅膜22aを接触させる。n型シリコン半導体24bを、負電極を兼ねる銅膜22bのみに接触させて接着固定すると、太陽電池アセンブリ2が、得られる。
【0067】
本発明の白色反射材を用いた太陽電池アセンブリ2は、以下のようにして使用される。図4のようにこの太陽電池アセンブリ2の太陽電池素子24に向けて光例えば太陽光を入射させる。例えば真上からの入射太陽光は真直ぐに太陽電池素子24の頂部に垂直に入射する。その真上よりもやや外れた入射太陽光は、パッケージ成形体部材10の内壁11で反射し、太陽電池素子24の側面へ略垂直に入射する。このようにして、太陽電池アセンブリ2へ入射した光は、n型シリコン半導体24bとp型シリコン半導体24aとのPN接合界面に効率よく到達し、光起電力が生じ、回路にすると、光電流が流れる。
【0068】
太陽電池アセンブリ2に用いられるパッケージ成形体部材10がセラミックス製など酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材以外の他の材料からなるパッケージ成形体部材10の場合、パッケージ成形体部材10の表面を本発明の白色反射材で膜状に覆い、光を集光すべき方向に反射させることが出来る。
【0069】
本発明の白色反射材に用いられる各素材について、以下に説明する。この白色反射膜又は所望の形状の白色反射材を形成するための未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分にアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが分散されているシリコーン組成物は、熱硬化性であり、優れた耐熱性、耐久性、耐光性を示すものである。また、このシリコーン組成物は、適宜、溶剤や添加剤を加えて、その粘度を調整することができ、液だれを生じることがなく、所望の膜厚である塗膜を形成することや所望の形状の成形物を成形することができる。この酸化チタン含有シリコーン組成物は、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分を用いているので、従来の光硬化性であって使い切りであるレジストに比べて、使い切らなくても希釈剤などの溶媒を追加しつつ使用することができ保存性に優れている。希釈剤として、商品名ゼオローラ(旭硝子社製フッ素系溶剤)、キシレン、トルエン、エーテル、シンナー、1-ブロモプロパン等が挙げられる。また、反応してシリコーン硬化物となる低粘度のシリコーンシンナーを用いても良い。なかでも、シンナーは入手し易く、粘度が上がらないため加工性に優れ好ましい。
【0070】
本発明におけるシリコーン組成物は、未架橋のシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分100質量部に対し、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが5?400質量部含まれていることが好ましい。このシリコーン組成物を用いて形成された本発明の白色反射材は、5質量部より少ないと十分な反射が得られず、特に長波長領域において反射率の低下が生じ、一方、400質量部を超えると酸化チタンの分散が困難になる。
【0071】
本発明におけるアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンは、小さな粒径と大きな粒径を組み合わせることにより、添加部数を増やせる最密充填ができ、大きな粒径の酸化チタンを使用することにより、隠蔽力を上げることができる。その平均粒径が、0.05?50μmであることが好ましい。0.05μmより小さいと隠蔽力が低下しやすい。また、50μmより大きいと組成物の塗布条件が不安定になり塗布後の表面品質が安定しない。酸化チタンは、形状に制限がなく任意の粒形状のもの、例えばフレーク状、不定形状、又は球状の粒子が使用できるが、その粒径が0.1?10μmであることが好ましく、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、SiO_(2)などで表面処理した酸化チタンであってもよい。アナターゼ型酸化チタンは光触媒作用が強いため、前記表面処理を行うのが好ましい。
【0072】
さらに、可視領域の光を反射させる場合には、ルチル型が好ましく、380?400nmの波長領域の光を反射させる場合には、アナターゼ型が好ましい。特に、アナターゼ型酸化チタンは、380?400nmの波長領域のみならずそれ以上の可視領域の光とそれより長波長領域の赤外線のような780nm以上の熱線とを、十分に反射させることができ、好ましい。
【0073】
アナターゼ型酸化チタン又はルチル型の酸化チタンは、シリコーン100質量部中に、5?400質量部含まれていることが好ましく、10?200質量部含まれていると一層好ましい。5質量部未満であると隠蔽力が小さく反射率が確保できない。400質量部を超えると塗布が困難となる傾向にある。
【0074】
アナターゼ型酸化チタン粉末は、塵埃等の付着異物を分解するほどの強力な光分解触媒として作用するものであるから、通常、ポリカーボネート、ポリフタルアミド、ポリエーテルエーテルケトンのような熱可塑性樹脂等の高分子化合物に添加されるとそれを分解し黄変させたり、劣化してひび割れを生じさせたりしてしまう。しかし、上記高分子化合物に比較してシリコーンはアナターゼ型酸化チタンに対しても化学的に安定であるから、白色反射材は長期間にわたり変質も変形もしない。
【0075】
図5に、アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとアルミナとの各粉末をシリコーンに10質量%含有させた30μm白色反射膜を成形した場合における、照射波長と反射率との相関関係を示している。図5から明らかな通り、波長400nmで、ルチル型酸化チタンの反射率は僅か30%であるのに対し、アナターゼ型酸化チタンの反射率は80%を超えている。アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンよりも、波長380?420nmで特に、反射率が高くなっている。一方、アルミナ反射膜は、300nm近辺から反射率は向上するものの、380nmより長波長領域の反射率は最高でも80%程度であり、アナターゼ型、ルチル型酸化チタンにはるかに及ばない。
【0076】
アナターゼ型酸化チタンの屈折率は2.45?2.55、ルチル型酸化チタンの屈折率は2.61?2.90であるのに対し、アルミナの屈折率は約1.76である。アナターゼ型酸化チタンもルチル型酸化チタンと同様にアルミナよりも屈折率が高いから反射率が高い。
【0077】
本発明の白色反射材は、酸化チタンと共に、アルミナや硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、シリカ(結晶性シリカ・溶融シリカ)、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムのような無機白色顔料を、放熱用途や紫外線反射用途などに応じて適宜添加してもよい。シリコーンにアルミナや硫酸バリウムのような無機白色顔料のみを分散可能な最大量を含有させても、光の漏出を生じてしまうが、このような無機白色顔料と酸化チタンとが共存していると、光の漏出が無くなり反射率が高くなることに加えて、放熱機能や紫外線反射機能などの機能が付加されて好ましい。
【0078】
本発明の白色反射材に用いられるシリコーン樹脂又はシリコーンゴムとしては、特に限定されず、硬質シリコーン樹脂、軟質シリコーン樹脂、硬質シリコーンゴム、軟質シリコーンゴムが用いられる。一例としてポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)で例示されるポリシロキサン化合物が挙げられる。
【0079】
これらのシリコーンのなかでも、低屈折率であるジメチルシリコーンであると好ましく、反射率を向上させることができる。ジメチルシリコーンは、黄変の原因となるフェニル基を含有しない又はフェニル基の含有が極めて少ないため、耐熱性や耐紫外線性も向上させることができる。
【0080】
一方、フェニル基を含有するフェニルシリコーンは、材料の硬度を高くすることが出来ることから硬質の白色反射材を作成する場合は好適に用いられる。
【0081】
このようなシリコーンは、三次元架橋したシリコーンであり、この三次元架橋をするポリシロキサン化合物は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。シロキサン化合物同士や、シロキサン化合物と必要により添加されるシランカップリング剤とは、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりする。シロキサン化合物はその中でも、付加して架橋するポリシロキサン化合物が好ましい。ジフェニルシロキシ基(-Si(C_(6)H_(5))_(2)-O-)やジメチルシロキシ基(-Si(CH_(3))_(2)-O-)のような繰り返し単位を有するシロキサン化合物であってもよい。シロキサン化合物は、ジメチルシロキシ基の繰り返し単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基を有しているポリシロキサン化合物であると、変色が少ないことから一層好ましい。
【0082】
このようなシリコーンは、-40℃?+200℃の広い温度範囲において、ゴム弾性を有することが出来ることから、支持体に積層した場合、支持体の温度による熱膨張、熱収縮による寸法変化に対し、シリコーンは追従し、クラックなどが発生しない。その結果、反射率を低下させる要因の一つを排除することが出来る。
【0083】
セラミックコーティングなどは、耐熱性に優れるが、支持体との熱膨張、熱収縮に追従できないためクラックが発生して反射率を低下させる結果となる。
【0084】
シリコーンゴムであれば、そのゴム弾性と耐熱性から長期間高い反射率を有することが出来る。また、硬質のシリコーン樹脂であってもフェニルシリコーンは、高温時に硬度が低下する特性を有していることから、支持体の線膨張に十分に対応することが出来る。
【0085】
ゴム硬度としては、ショアA硬度で30?90、ショアD硬度で5?80が好適である。
【0086】
膜状の白色反射材を形成するための酸化チタン含有シリコーン組成物の印刷方法として、スクリーン印刷法、パット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷等が挙げられる。塗布方法として、インクジェット法、ディスペンサ法、スプレー法、ローラ法、ブレードコート、エアノズルコート、ディップコート、バーコート等が挙げられる。所望する回路基板の配線パターンに合わせて白色反射膜を形成できるスクリーン印刷法がシルクスクリーンやメタルマスクを用いることができることからより好ましい。
【0087】
本発明において、必要により用いられるシランカップリング剤は、反応性官能基として、アルキルオキシ基やビニル基やアミノ基やエポキシ基を有するものが挙げられる。カップリング剤としては、シランカップリング剤の他に、チタネートやアルミネートのカップリング剤でもよい。
【0088】
シロキサン化合物にシランカップリング剤が含まれていると、それが含まれていない場合よりも、酸化チタンを網目構造の中に確りと取り込むため、シリコーン樹脂の強度が顕著に強くなる。
【0089】
特に、シランカップリング剤処理された酸化チタンを含有するシリコーン製の白色反射材は、酸化チタンがシランカップリング剤を介してシリコーンと架橋しているため、曲げ強度、濡れ性・分散性が向上しており、高品質のものとなる。このようなシランカップリング処理は、例えば酸化チタンに対し1質量%のシランカップリング剤を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌して表面処理を行い、100?130℃で、30?90分間、乾燥させるというものである。
【0090】
本発明の白色反射材の塗布方法以外の成形方法は、金型を用いて、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形される。
【0091】
本発明において、パッケージ成形体部材10と白色反射材16との接着や、パッケージ成形体部材10と銅膜15a・15b・22a・22bのような導電金属膜との接着に用いられる接着剤は、SE9185(東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)やSE9186(東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)が挙げられる。
【0092】
本発明における銅箔のような導電金属膜、パッケージ成形体部材、膜状又は板状の白色反射材及び支持体の組み合わせの積層においては、表面処理により接着面を活性化させた化学結合による積層以外に上記の接着剤を用いて積層接着してもよい。
【0093】
表面処理により接着させる手段としてより具体的には、金属箔の表面を、脱脂してから、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理又は紫外線処理の表面処理を施し、その金属箔の表面から露出している水酸基を生成させる。その金属箔の表面を、ビニルメトキシシロキサンホモポリマー例えばCH_(2)=CH-Si(OCH_(3))_(2)-O-[(CH_(2)=CH-)Si(-OCH_(3))-O-]_(j)-Si(OCH_(3))_(2)-CH=CH_(2)(jは3?4)の溶液に浸漬させてから、熱処理し、金属箔の表面上に生成させた水酸基とビニルメトキシシロキサンホモポリマーとを反応させ、シリルエーテルを形成させて、ビニルシリル基含有シリル基である活性シリル基を生成させる。反応性を向上させるために、それを白金触媒懸濁液に浸し、活性シリル基中のビニル基に白金触媒を保持させる。次いで、ヒドロシリル基含有シリル基を有するシリコーン樹脂成分又はシリコーンゴム成分とアナターゼ型酸化チタンとが含まれているシリコーン原料組成物とで表面処理した金属箔の面を、接触させ、加熱して加硫すると、ビニルシリル基含有シリル基のビニルと、ヒドロシリル基含有シリル基のヒドロシリルとが付加型反応をする結果、金属箔と白色反射材とが強固な化学結合を介して付され確りと結合される。
【0094】
活性基がビニル基であるビニルメトキシシロキサンホモポリマーを用い金属膜に結合させ、反応性基がヒドロシリル基であるヒドロシリル基含有シリル基含有シリコーンゴム成分が含まれているシリコーン組成物を用いた例を示したが、活性基が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基であり、反応性基が、前記シリコーンゴム成分又は前記シリコーン樹脂成分中のヒドロシリル基含有シリル基、ビニルシリル基含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの反応性シリル基であってもよい。活性基と反応性基との組み合わせは、何れかがヒドロシリル基含有シリル基である場合に他方がビニルシリル基含有シリル基であり、何れかがアルコキシシリル含有シリル基である場合に他方がアルコキシシリル含有シリル基又は加水分解性基含有シリル基であり、何れもが加水分解性基含有シリル基であるものが、挙げられる。
【0095】
このような活性シリル基は何れも、金属膜の表面の水酸基に機能性アルコキシシリル化合物のアルコキシシリル基が反応することにより、形成されるものである。
【0096】
白色反射材を、発光ダイオードパッケージや太陽電池アセンブリに用いた例を示したが、光や熱線を反射するための基板、例えば半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板に用いてもよい。それらをケースやハウジングとして用いて、一体化していてもよい。
【0097】
本発明における導電金属膜形成のためのめっき処理としては、めっきの種類として、ニッケルめっき、銅めっき、銀めっき、金めっき、クロムめっき、バナジウムめっき等が挙げられ、これらのめっきを組み合わせて導電金属膜を形成するとよい。
【0098】
支持体17は、特に限定されないが、セラミックス製、ビスマレイミド・トリアジン樹脂製、ガラス製、金属アルミ製、紙フェノール樹脂製、ベークライト製、ガラス繊維含有エポキシ樹脂製、ポリテトラフルオロエチレン製、紙エポキシ製、ポリアミド製、ポリイミド製、シリコーン樹脂製、シリコーンゴム製の支持体及びこれら支持体にガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれた支持体が挙げられる。
【実施例】
【0099】
以下に、本発明の酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材を試作し、半導体発光装置に組み込んだ例を示す。
【0100】
(実施例1)
シリコーンレジンSR-7010(商品名:東レ・ダウコーニング株式会社)100質量部にアナターゼ型酸化チタン(商品名SA-1:堺化学工業株式会社)を10質量部添加分散し、加熱プレスにて、170℃で5分間の硬化条件によって、縦70mm、横70mm、厚さ1mmの白色反射板を作製した。その後170℃で90分間アニールし測定サンプルとした。150℃で1000時間経過後の反射率を、分光光度計UV-3150(SHIMADZU製)を用いて測定した。なお、反射率の測定は、3種類の波長(380nm、550nm及び780nm)の光について実施した。その測定結果を、下記表1にまとめて示す。
【0101】
【表1】

【0102】
《高温での経時後の反射率評価》
表1から明らかな通り、1000時間経過後でも大きな反射率の低下は見られず、黄変したり劣化したりすることが無いため、耐光性、耐熱性に優れており、有用な反射材料であることがわかった。
【0103】
(実施例2及び比較例1)
ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BT樹脂)、ガラスエポキシ樹脂(GE樹脂)100質量部夫々にルチル型酸化チタン(商品名SR-1:堺化学工業株式会社)を100質量部添加分散し膜厚が50μmである基板を1枚ずつ作成した。
一方、前記と同様にして厚さ25μmのビスマレイミド・トリアジン樹脂基材及びガラスエポキシ樹脂基材を得た。
この25μm厚の各々の基材(BT樹脂製基材、GE樹脂製基材)上にバーコーターで、実施例1で用いたシリコーン樹脂にルチル型酸化チタン(商品名SR-1:堺化学工業株式会社)を100質量部添加したシリコーン組成物を塗布し膜厚25μmのシリコーン樹脂組成物塗膜を有する積層体とした厚さ50μmの白色反射板を得た。
これら4種類の白色反射板を実施例1と同様に評価した。測定波長については、200nm?1000nmの範囲で反射率を測定した。
加熱前の反射率の結果を図6に示し、加熱経過後の反射率の結果を図7に示す。
【0104】
《従来基板と本発明の白色反射板の高温での経時後の反射率の比較評価》
図6及び図7より、BT樹脂製基材やGE樹脂製基材に酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成組成物を塗布することで、それぞれ反射率が向上することが明らかとなった。また、熱処理後においても、酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成組成物を塗布した積層タイプの白色反射材は高い反射率を維持することがわかった。
【0105】
(実施例3)
実施例2と同様に作成した厚さ25μmのBT樹脂基材上に、シリコーンレジン100質量部に対して、ルチル型酸化チタンの配合部数を10質量部(phr)、25phr、50phr、250phrとした酸化チタン含有シリコーン組成物を膜厚が25μmになるようにそれぞれ塗布し、厚さ50μmの積層タイプの白色反射材を得た。実施例2と同様の反射率測定を行い、その照射波長と反射率との相関関係を図8に示す。また、実施例2と同様の熱処理及び反射率測定を行い、その照射波長と反射率との相関関係を図9に示す。
【0106】
《BT樹脂基材上に塗布した塗膜厚25μmの積層タイプの白色反射板におけるルチル型酸化チタンの添加部数毎の反射率評価と加熱後の反射率比較評価》
図8よりルチル型酸化チタンを10phr添加分散して形成された積層タイプの白色反射基材は反射率は90%以上であることが分った。図9より、加熱経時変化を考慮すると80%の反射率を確保するためには、25phr以上のルチル型酸化チタンが必要であることがわかった。このことから、10phr以上であると好ましく、加熱経時変化を考慮すると25phr以上であるとより好ましい。
【0107】
(実施例4)
実施例2と同様に作成した厚さ25μmのGE樹脂基材上に、シリコーンレジン100質量部に対して、ルチル型酸化チタンの配合部数を10質量部(phr)、25phr、50phr、250phrとした酸化チタン含有シリコーン組成物を膜厚が25μmになるようにそれぞれ塗布し、厚さ50μmの積層タイプの白色反射材を得た。実施例2と同様の反射率測定を行い、その照射波長と反射率との相関関係を図10に示す。また、実施例2と同様の熱処理及び反射率測定を行い、その照射波長と反射率との相関関係を図11に示す。
【0108】
図10に、ルチル型酸化チタンの配合部数を10phr、25phr、50phr、250phrとした酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成組成物をそれぞれGE樹脂製基材上に塗布し、その膜厚が25μmである基板における、照射波長と反射率との相関関係を示す。また、図11に、ルチル型酸化チタンの配合部数を10phr、25phr、50phr、250phrとした酸化チタン含有シリコーン製白色反射膜形成組成物をそれぞれGE樹脂製基材上に塗布し、その膜厚が25μmである基板の熱処理後における、照射波長と反射率との相関関係を示す。
【0109】
《GE樹脂基材上に塗布した塗膜厚25μmの積層タイプの白色反射板におけるルチル型酸化チタンの添加部数毎の反射率評価と加熱後の反射率比較評価》
図10よりルチル型酸化チタンを25phr添加分散して形成された積層タイプの白色反射材は反射率が80%以上であることが分った。図11より、加熱経時変化を考慮すると80%の反射率を確保するためには、50phr以上のルチル型酸化チタンが必要であることがわかった。このことから、ルチル型酸化チタンの添加量は25phr以上であると好ましく、加熱経時変化を考慮すると50phr以上であるとより好ましい。
【0110】
以上のように、従来の基材上に本発明の酸化チタン含有シリコーン組成物を塗布することによって反射率の向上した白色反射材が得られ、加熱経時変化においても酸化チタンの含有量を調節することによって、従来の反射率を上回る白色反射材を得ることが出来た。このことから、回路基板や半導体発光装置の反射材として有用であることが分った。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の酸化チタン含有シリコーン製の白色反射材は、発光ダイオード(LED)のような半導体発光装置、光半導体パッケージ部材、半導体発光素子を基板上に配置し組み入れた電子回路基板、及びこれらを応用した照明器具、バックライト反射シートに用いることができる。また、この白色反射材は、入射する光を反射して、光電変換素子へ集光させるための基材として太陽電池用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0112】
1は半導体発光装置、2は太陽電池アセンブリ、10はパッケージ成形体部材、10aはセラミックス製パッケージ成形体部材、11は内壁、12a・12bはアナターゼ型酸化チタン粒子、13は半導体発光素子、14a・14bはリード線、15・15a・15bは導電金属膜(銅膜)、16・16a・16b・16cは白色反射材(塗膜)、17は支持体、18は白色反射材である塗膜、20は基板、21a・21bはマスキング層、22a・22bは導電金属膜(銅膜)、23は絶縁体、24は太陽電池素子、24aはp型シリコン半導体、24bはn型シリコン半導体、30はパッケージ成形体部材、33は半導体発光素子、34a・34bはリード線、35a・35bは導電金属膜(銅膜)、40は従来の基材である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形から選ばれる何れかの方法で架橋硬化して、
又はスクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、厚さ2μm?5mmの立体形状、膜状、又は板状の成形体に成形することによって、
150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である前記成形体からなる白色反射材を得ることを特徴とする白色反射材の製造方法。
【請求項2】
非シリコーン樹脂からなる支持体の表面を表面活性化処理し、表面活性化処理した面に、架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分に、シランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布した後、架橋硬化して、
前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80である、膜状又は板状の白色反射材を形成することによって、
前記支持体上に厚さ2μm?5mmの前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が積層したもので、150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。
【請求項3】
前記酸化チタン含有シリコーン組成物を架橋硬化した前記膜状又は前記板状の前記白色反射材の上に更に金属導電層を設けて、前記積層体にしたことを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項4】
非シリコーン樹脂からなる支持体に金属導電層を設け、該金属導電層に配線回路を形成し、該配線回路に半導体発光素子を結線する該半導体発光素子の周囲に架橋硬化により網目構造のシリコーン樹脂になる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーン樹脂成分又は架橋硬化により網目構造のシリコーンゴムになる未架橋で液状、塑性又は半固体の架橋性ポリシロキサン化合物であるシリコーンゴム成分にシランカップリング剤、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、又はSiO_(2)で表面処理されたアナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子を前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し5?400質量部含有して分散した液状、塑性又は半固体の酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物を、
スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ法、ローラ法、ブレードコート、及びバーコートから選ばれる何れかの塗布方法で塗布して少なくとも部分的に設けた後、該組成物を厚さ2μm?5mmの白色反射材へ架橋硬化して、前記網目構造中に前記酸化チタン粒子が取り込まれた前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムのゴム硬度がショアA硬度で30?90又はショアD硬度で5?80であって150℃で1000時間の熱処理の後での高温経過時反射率と前記熱処理の前の初期反射率とが550nmにおいて90%以上である積層体にする、前記積層体が備える前記白色反射材の製造方法。
【請求項5】
前記白色反射材は、前記酸化チタン粒子が平均粒径0.05?50μmであり、前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴム100質量部に対し、5?400質量部含有されていることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項6】
前記積層体は、前記膜状又は前記板状の前記白色反射材が導電金属膜上に付され、又は導電金属膜が前記膜状又は前記板状の前記白色反射材上に付されて、形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項7】
前記白色反射材は、厚さが5μm?2000μmの膜又は板であることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項8】
前記白色反射材は、発光素子又は太陽電池素子からなる光学素子を取り巻き、前記発光素子の出射方向又は前記太陽電池素子の入射方向で末広がりに前記立体形状に開口しつつ、収容するパッケージ成形体部材とするものであることを特徴とする請求項1に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項9】
前記シリコーン樹脂成分又は前記シリコーンゴム成分が、ヒドロシリル含有シリル基、ビニル含有シリル基、アルコキシシリル含有シリル基、加水分解性基含有シリル基の何れかの活性シリル基を有することを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項10】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物がシリコーン未架橋成分とシランカップリング剤とを含んでいることを特徴とする請求項1?4に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項11】
前記シランカップリング剤が、反応性官能基として、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも何れかを有することを特徴とする請求項1?4、10の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項12】
前記シリコーン樹脂又は前記シリコーンゴムが、ジメチルシロキシ基とする繰り返し単位を有するポリシロキサン化合物で形成されていることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項13】
前記ポリシロキサン化合物が、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかを有していることを特徴とする請求項12に記載の白色反射材の製造方法。
【請求項14】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、無溶媒であることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項15】
前記酸化チタン含有シリコーン未架橋成分組成物が、更に、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、シリカ、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、粉末アルミニウムから選ばれる無機白色顔料を含有していることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項16】
前記白色反射材が、曲げ得ることを特徴とする請求項1?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
【請求項17】
前記支持体は、セラミックス、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス、金属アルミ、紙フェノール樹脂、ベークライト、ガラス繊維含有エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、紙エポキシ、ポリアミド、及びポリイミドの何れかで形成され、又はそれらの何れかにガラスクロス、ガラスペーパー及びガラス繊維から選ばれる補強材が含まれて形成されていることを特徴とする請求項2?4の何れかに記載の白色反射材の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-07-24 
出願番号 特願2011-519952(P2011-519952)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (H01L)
P 1 651・ 113- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 851- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
最終処分 維持  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 山村 浩
居島 一仁
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5746620号(P5746620)
権利者 株式会社朝日ラバー
発明の名称 白色反射材及びその製造方法  
代理人 大西 浩之  
代理人 特許業務法人眞久特許事務所  
代理人 小宮 良雄  
代理人 小宮 良雄  
代理人 大西 浩之  
代理人 特許業務法人眞久特許事務所  
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