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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  C03C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C03C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C03C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C03C
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  C03C
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C03C
審判 全部申し立て 2項進歩性  C03C
管理番号 1346778
異議申立番号 異議2017-701154  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-07 
確定日 2018-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6140907号発明「合わせガラス用中間膜および合わせガラス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6140907号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12、14-25〕〔13〕について訂正することを認める。 特許第6140907号の請求項1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25に係る特許を維持する。 特許第6140907号の請求項6、10、15に係る特許についての特許異議の申立て却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6140907号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2015年11月10日(優先権主張2014年11月10日 同年12月5日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年5月12日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年6月7日に特許掲載公報の発行がなされたところ、平成29年12月7日に特許異議申立人の打揚洋次(以下、単に「異議申立人」という。)により請求項1ないし25に係る特許について特許異議の申立てがなされ、平成30年3月30日付けで特許権者に取消理由通知がなされ、特許権者より同年6月4日に意見書及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)が提出され、これに対する意見を異議申立人に求めたものの、異議申立人からの意見書の提出がなされなかったものである。

第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含む合わせガラス用中間膜であって」と記載されているのを「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって」と訂正する。
また、特許請求の範囲の請求項1に「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、配向度(1)を下記式(i):
【数1】
配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)
で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となる、合わせガラス用中間膜。」と記載されているのを「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、配向度(1)を下記式(i):
【数1】
配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+小強度値)(i)
で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であり、B層に紫外線吸収剤を含有する、合わせガラス用中間膜。」と訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「重合体ブロック(b)が、共役ジエン単量体単位としてイソプレン単位およびブタジエン単位を合計で50モル%以上有し、共役ジェン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%である」と記載されているのを、「重合体ブロック(b)が、共役ジェン単量体単位としてイソプレン単位およびブタジエン単位を合計で50モル%以上有する」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1?5のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1?7のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5又は7に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8又は9に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12に「請求項10または11に記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9又は11に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13に「B層の熱可塑性樹脂がアイオノマーである、請求項10または11に記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、配向度(1)を下記式(i):
【数1】
配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)
で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、B層の熱可塑性樹脂がアイオノマーである、合わせガラス用中間膜」に訂正する。

コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項14に「請求項1?13のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12又は13に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15を削除する。

シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1?15のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13又は14に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項17に「請求項1?16のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14又は16に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項18に「請求項1?17のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16又は17に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

ソ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項22に「請求項10?13のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項13に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

夕 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項23に「請求項21に記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1又は22に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

チ 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項24に「請求項1?23のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22又は23に記載の合わせガラス用中間膜」に訂正する。

ツ 訂正事項18
特許請求の範囲の請求項25に「請求項1?24のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜」と記載されているのを、「請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23又は24に記載の合わせガラス用中開膜」に訂正する。

2 訂正の適否
2-1 訂正事項が全ての訂正要件に適合しているか否かについて
ア 訂正事項1
a訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る発明は、「合わせガラス用中間膜」について「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含む」ことを特定している。これに対して、訂正後の請求項1は、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、合わせガラス用中間膜の構成を限定するものである。
訂正前の請求項1に係る発明は、「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量」について、特定していない。これに対して、訂正後の請求項1は、「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量を限定するものである。
訂正前の請求項1に係る発明は、「ハードセグメントブロック」の組成について、特定していない。これに対して、訂正後の請求項1は、「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、ハードセグメントブロックの組成を限定するものである。
訂正前の請求項1に係る発明は、「ソフトセグメントブロック」の組成について、特定していない。これに対して、訂正後の請求項1は、「ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、ソフトセグメントブロックの組成を限定するものである。
訂正前の請求項1に係る発明は、「ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量」の組成について、特定していない。これに対して、訂正後の請求項1は、「ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であり」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、炭素間二重結合の残存量を限定するものである。
訂正前の請求項1に係る発明は、B層の組成について、特定していない。これに対して、訂正後の請求項1は、「B層に紫外線吸収剤を含有する」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における、B層の組成を限定するものである。
すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明における、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正後の請求項1の「A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する」との記載は、明細書の段落【0228】から導き出せる構成である。明細書の段落【0228】には、「A層1がB層2aおよびB層2bによって挟まれた積層構成にすることもできる」との記載がなされている。
訂正後の請求項1の「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり」との記載は、明細書の段落【0073】から導き出せる構成である。明細書の段落【0073】には、「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量は、20質量%未満であることが好ましく」との記載がなされている。
訂正後の請求項1の「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり」との記載は、明細書の段落【0072】から導き出せる構成である。明細書の段落【0072】には、「ハードセグメントブロックがポリステレンプロックまたはポリメチルメタクリレートブロックである熱可塑性エラストマー(スチレン系エラストマーやアクリル系エラストマー)を用いることがより好ましい」との記載がなされている。
訂正後の請求項1の「ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり」との記載は、明細書の段落【0016】から導き出せる構成である。明細書の段落【0016】には、「重合体ブロック(b)が、共役ジェン単量体単位としてイソプレン単位およびブタジエン単位を合計で50モル%以上有し」との記載がなされている。
訂正後の請求項1の「ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であり」との記載は、明細書の段落【0016】から導き出せる構成である。明細書の段落【0016】には、「共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%である」との記載がなされている。
訂正後の請求項1の「B層に紫外線吸収剤を含有する」との記載は、明細書の段落【0184】から導き出せる構成である。明細書の段落【0184】には、「少なくともB層に紫外線吸収剤が含有されることが好ましい」との記載がなされている。
以上のとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項2
a訂正の目的について
訂正前の請求項5に係る発明は、「共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%である」ことを特定している。これに対して、訂正後の請求項5では、「共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%である」との記載が削除されている。これは、訂正事項1により、訂正後の請求項5が引用する訂正後の請求項1において、「共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%である」との発明特定事項を追加したことに伴い、重複記載を削除したものであり、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、重複する記載を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項3
a訂正の目的について
訂正事項3は、請求項6を削除するというものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、請求項6を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、請求項6を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項4
a訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項7が請求項1?6の記載を引用する記載であるところ、請求項6を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

オ 訂正事項5
a訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項8が請求項1?7の記載を引用する記載であるところ、請求項6を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

カ 訂正事項6
a訂正の目的について
訂正事項6は、請求項10を削除するというものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、請求項10を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、請求項10を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

キ 訂正事項7
a訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項11が請求項10の記載を引用するものであるところ、請求項10を引用せずに、訂正前の請求項10が引用する請求項1?9のうち、請求項6以外の請求項を引用するようにするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

ク 訂正事項8
a訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項12が請求項10及び11の記載を引用する記載であるところ、請求項10を引用せずに、訂正前の請求項10が引用する請求項1?9のうち、請求項6以外の請求項を引用するようにするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

ケ 訂正事項9
a訂正の目的について
訂正事項9は、訂正前の請求項13が請求項10及び11の記載を引用する記載であるところ、請求項11を引用しないものとした上で、請求項10を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正である。
すなわち、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に規定する特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9は、選択的引用請求項の一部を削除した上で独立項にしたにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

コ 訂正事項10
a訂正の目的について
訂正事項10は、訂正前の請求項14が請求項1?13の記載を引用する記載であるところ、請求項6及び10を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

サ 訂正事項11
a訂正の目的について
訂正事項11は、請求項15を削除するというものであるから、当該訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、請求項15を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

c願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、請求項15を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

シ 訂正事項12
a訂正の目的について
訂正事項12は、訂正前の請求項16が請求項1?15の記載を引用する記載であるところ、請求項6、10及び15を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

ス 訂正事項13
a訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の請求項17が請求項1?16の記載を引用する記載であるところ、請求項6、10及び15を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項13は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

セ 訂正事項14
a訂正の目的について
訂正事項14は、訂正前の請求項18が請求項1?17の記載を引用する記載であるところ、請求項6、10及び15を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項14は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

ソ 訂正事項15
a訂正の目的について
訂正事項15は、訂正前の請求項22が請求項10?13の記載を引用する記載であるところ、請求項10?12を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項15は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

タ 訂正事項16
a訂正の目的について
訂正前の請求項23は、特定の紫外線吸収剤を特定事項にするものであるにもかかわらず、紫外線吸収剤を特定事項にしない請求項21を引用していたものを、紫外線吸収剤を特定事項にする請求項1、22を引用することで、記載内容を整合させるものであるから、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項16は、記載内容を整合させたにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

チ 訂正事項17
a訂正の目的について
訂正事項17は、訂正前の請求項24が請求項1?23の記載を引用する記載であるところ、請求項6、10及び15を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項17は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

ツ 訂正事項18
a訂正の目的について
訂正事項18は、訂正前の請求項25が請求項1?24の記載を引用する記載であるところ、請求項6、10及び15を引用しないものとするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項18は、選択的引用請求項の一部を削除したにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内で訂正するものであり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。よって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

2-2 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?25について特許異議申立てがなされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

2-3 小括
上記のとおり、訂正前の請求項2?25は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるので、訂正前の請求項1ないし25は、特許法120条の5第4項の規定に適合する一群の請求項であり、本件訂正請求は、この一群の請求項1?25について訂正することを求めるものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合して請求されたものである。また、本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書き1号、3号、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。但し、訂正後の請求項13に係る訂正事項9は、請求項1?11との引用関係の解消を含むものであるところ、特許権者は、訂正後の請求項13について、他の一群の請求項とは別途訂正することを求めている。
したがって、訂正後の〔1-12、14-25〕〔13〕について訂正を認める。

第3 本件請求項に係る発明
前記「第2」で示したとおり、本件訂正は適法になされたものであるから、本件特許の請求項1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明9」、「本件発明7」ないし「本件発明9」、「本件発明11」ないし「本件発明14」、「本件発明16」ないし「本件発明25」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25に記載された以下の事項により特定されるものと認める。(当審注:下線は、訂正箇所を示し、特許権者が付与した。)
「【請求項1】
熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、熱可塑陛エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、
A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、
A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、
配向度(1)を下記式(i):
【数1】
配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)
で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、
熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、
ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、
ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であり、
B層に紫外線吸収剤を含有する、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
配向度(2)を下記式(ii):
【数2】
配向度(2)=最大強度値/最小強度値 (ii)
で定義したとき、配向度(2)が10以下となる、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
A層と略平行な平面に沿ってA層の厚さ方向中央域をスライスして、
得られたスライス面上の任意の5ヶ所について200nm×200nmの範囲の領域を原子間力顕微鏡により観察した位相像において、
それぞれの位相像の中の略楕円状または略連続直線状の島成分の中から、長径サイズが最大となる島成分をそれぞれ選定した場合に、
選定した島成分の長径サイズの平均値が100nm以下となる、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
合わせガラス用中間膜が2枚のガラスで挟持された合わせガラスにおいて、複屈折の位相差が0?140nmとなる、請求項1?3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーが、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体の水素添加物であり、
重合体ブロック(b)が、共役ジエン単量体単位としてイソプレン単位およびブタジエン単位を合計で50モル%以上有する、請求項1?4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークを-10?30℃の範囲に有する、請求項1?5のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークが1.3以上である、請求項1、2、3、4、5又は7に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記tanδが最大となるピークが1.5以上である、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
B層における可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して50質量部以下である、請求項1、2、3、4、5、7、8又は9に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
B層の熱可塑性樹脂がポリビニルアセタールである、請求項1、2、3、4、5、7、8、9又は11に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、
熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、
A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、
A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、
配向度(1)を下記式(i):
【数1】
配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)
で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、
熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、
ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、
ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、
B層の熱可塑性樹脂がアイオノマーである、合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
ガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のガラスで挟持した合わせガラスにおいて、ASTM E90-09の条件で測定される4000Hzにおける音響透過損失が37dB以上となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12又は13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】(削除)
【請求項16】
合わせガラス用中間膜を構成する層の少なくとも1層に遮熱材料を含有する、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13又は14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項17】
合わせガラス用中間膜を、クリアガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のクリアガラスで挟持した合わせガラスにおいて、可視光透過率が70%以上となり、波長800?1100nmの赤外線平均透過率が70%以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14又は16に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項18】
合わせガラス用中間膜を、グリーンガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のグリーンガラスで挟持した合わせガラスにおいて、可視光透過率が70%以上となり、波長800?1100nmの赤外線平均透過率が32%以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16又は17に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項19】
遮熱材料が、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、金属ドープ酸化タングステン、フタロシアニン化合物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、および六ホウ化ランタンの中から選ばれる少なくとも1種を含む請求項16?18のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項20】
金属ドープ酸化タングステンがセシウムドープ酸化タングステンである、請求項19に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項21】
A層又はB層のいずれか少なくとも一層に遮熱材料を含有する、請求項16?20のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項22】
少なくともB層に紫外線吸収剤を含有する、請求項13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項23】
紫外線吸収剤が、ベンソトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、マロン酸エステル系化合物、およびシュウ酸アニリド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は22に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項24】
ガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のガラスで挟持した合わせガラスにおいて、ヘイズが5以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22又は23に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項25】
請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23又は24に記載の合わせガラス用中間膜が2枚のガラスの間に配置されてなる合わせガラス。」

第4 特許異議申立てについて
異議申立人は、以下で示す甲第1号証ないし甲第14号証を証拠方法として提出すると共に、理由1の(i)ないし(xvi)、理由2の(i)ないし(xxv)、理由3及び理由4を申立理由として主張し、当審では、これらの理由全てを取消理由として通知した。
・甲第1号証:特開昭61-247646号公報
・甲第2号証:特開昭62-116140号公報
・甲第3号証:国際公開第2011/16494号
・甲第4号証:国際公開第2011/16495号
・甲第5号証:特開2011-240676号公報
・甲第6号証:特開2011-42552号公報
・甲第7号証:特開平9-30846号公報
・甲第8号証:特開2014-58409号公報
・甲第9号証:特開2009-45874号公報
・甲第10号証:国際公開第2013/176258号
・甲第11号証:国際公開第2011/24787号
・甲第12号証:特開2007-39278号公報
・甲第13号証:特開2004-175593号公報
・甲第14号証:国際公開第2012/108537号

以下、取消理由(申立理由)の対象は、訂正により削除された本件発明6、10、15を除く本件発明1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25および本件請求項1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25であり、これについて検討する。

第4-1 理由1(特許法第29条第1項第3号)
(i)本件発明1は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(ii)本件発明2は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(iii)本件発明3は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(iv)本件発明4は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(v)本件発明5は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(vii)本件発明7は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(viii)本件発明8は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(ix)本件発明9は、甲第1号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(xi)本件発明11は、甲第3号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(xii)本件発明12は、甲第3号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(xiv)本件発明22は、甲第3号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない発明である。
(xv)本件発明24は、甲第1号証?甲第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないものである。
(xvi)本件発明25は、甲第1号証、甲第3号証?第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない発明である。

第4-2 理由2(特許法第29条第2項)
(i)本件発明1は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「いわゆる当業者」ということがある。)が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(ii)本件発明2は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(iii)本件発明3は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(iv)本件発明4は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(v)本件発明5は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(vii)本件発明7は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(viii)本件発明8は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(ix)本件発明9は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xi)本件発明11は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xii)本件発明12は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第5号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xiii)本件発明13は、甲第1号証?第8号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xiv)本件発明14は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第9号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xvi)本件発明16は、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xvii)本件発明17は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xviii)本件発明18は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(ixx)本件発明19は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xx)本件発明20は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xxi)本件発明21は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第11号証、及び第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xxii)本件発明22は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第8号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xxiii)本件発明23は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第14号証に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xxiv)本件発明24は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第14号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(xxv)本件発明25は、いわゆる当業者が、甲第1号証?第14号証に記載された発明に基づいて容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4-3 理由3(特許法第36条第4項第1号)及び理由4(同条第6項第1号)
(1)構成要件1Cの「A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有」すること、および、同1Dの「A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、配向度(1)を下記式(i):【数1】配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)で定義したとき、配向度(1)が0.9以下とな」ること(当審注:文字間の余白については、余白詰めを行った。以下、同じ。)を備える、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項1は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(2)構成要件2の「配向度(2)を下記式(ii):【数2】配向度(2)=最大強度値/最小強度値(ii)で定義したとき、配向度(2)が10以下となる」を備える本件発明2は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項2は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(3)構成要件3の「A層と略平行な平面に沿ってA層の厚さ方向中央域をスライスして、得られたスライス面上の任意の5ヶ所について200nm×200nmの範囲の領域を原子間力顕微鏡により観察した位相像において、それぞれの位相像の中の略楕円状または略連続直線状の島成分の中から、長径サイズが最大となる島成分をそれぞれ選定した場合に、選定した島成分の長径サイズの平均値が100nm以下となる」を備える本件発明3は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項3は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(4)構成要件4の「合わせガラス用中間膜が2枚のガラスで挟持された合わせガラスにおいて、複屈折の位相差が0?140nmとなる」を備える本件発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項4は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(5)構成要件7の「ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークを-10?30℃の範囲に有する」を備える本件発明7は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項7は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(6)構成要件8の「ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークが1.3以上である」を備える本件発明8は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項8は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(7)構成要件9の「前記tanδが最大となるピークが1.5以上である」を備える本件発明9は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項9は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(8)構成要件14の「ガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のガラスで挟持した合わせガラスにおいて、ASTM E90-09の条件で測定される4000Hzにおける音響透過損失が37dB以上となる」を備える本件発明14は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項14は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(9)本件請求項13は、訂正により、上記「(1)」で示した構成要件1Cおよび1Dを構成要件とするものとなったので、同「(1)」と同じく、本件発明13は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項13は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
(10)上記「(1)」ないし「(9)」より、本件請求項1ないし4、7ないし9、13、14及びこれらの何れかを引用する本件請求項5、11、12、16ないし25に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないので、本件請求項5、11、12、16ないし25は、特許法36条第6項第1号及び同条第4項第1号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

第5 甲各号証に記載の事項
第5-1 甲第1号証に記載の事項
(甲1-a)「1.芳香族ビニル化合物の重合体からなる両端ブロックと共役ジエン系重合体からなる中間ブロックとからなるブロック共重合体の両端ブロックが共重合体中10?40重量%でその10%以下が水添されてなりかつ中間ブロックが90%以上水添されてなるブロック共重合体(a)又はこのブロック共重合体(a)を主体とする透明の樹脂組成物からなる樹脂中間層を介して、複数の板ガラスが積層一体化されてなることを特徴とする合わせガラス。」(特許請求の範囲)

(甲1-b)「上記合わせガラス用の樹脂中間膜としては、従来、硫酸セルロース系や酢酸セルロース系の合成樹脂が使用されたこともあったが、現在では専ら可塑化ブチラール樹脂が使用されている。」(1頁右下欄14?17行)

(甲1-c)「この発明に用いるブロック共重合体(a)は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の共役ジエン系直鎖状重合鎖(中間ブロック)の両端に、ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレン、ポリ-p-メチルスチレン、ポリクロルスチレン等の芳香族ビニル化合物の重合体鎖(両端ブロック)を有する直鎖状重合体を水添処理して得られるものである。この際、中間ブロックの水添割合が95%以上となるように充分に水添されたものを用いるのが耐熱性、耐侯性等の点で好ましい。」(2頁右上欄15行?同左下欄5行)

(甲1-d)「この発明の中間層は、実質的に上記ブロック共重合体(a)のみから構成するのが好ましい。しかしながら、透明性、柔軟性及び耐候性を損なわない限り、他の樹脂が混合されていてもよく、ブロック共重合体(a)を主体とする透明の樹脂組成物を種々適用することができる。」(2頁右下欄下から6行?末行)

(甲1-e)「なお、上記共重合体(a)やこれを主体とする樹脂組成物中には、少量(通常、全体の10重量%以下)の鉱油、可塑剤等の低分子改質剤がさらに加えられていてもよく、また、必要に応じ、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の各種添加剤が少量添加されていてもよい。ことに耐候性が要求される場合には紫外線吸収剤を添加しておくことが好ましく、また全体もしくは部分的に着色剤が添加されていてもよい。とくに自動車のフロントガラスとして用いる場合にはかかる紫外線吸収剤や着色剤の添加は好ましい態様である。」(3頁左上欄13行?同右上欄4行)

(甲1-f)「実施例1 下記組成の配合物をブレンダーで混和後、押出機で押出してペレットを作製した。
クレイトンG1657 80重量部
クレイトンG1652 20重量部
チヌビンP(チバガイギー社製) 0.4重量部
〔なお、クレイトンG1657は、両端ブロックがポリスチレンで中央水添ブロックがエチレン-ブチレン共重合体で前者対後者の重量比率が14/86のものであり、クレイトンG1652は、前者対後者の重量比率が28/72のものである。また、チヌビンPは紫外線吸収剤であり、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾールからなる。〕
このペレットを用い、T-ダイにより厚さ0.8mmのシートを押出しにより製造した。このシートを、厚さ2.75mm、幅50mm、長さ50mmの普通板ガラスで挾持し、260℃の温度下で減圧下でプレスしてこの発明の合わせガラスを作製した。
一方、比較のために中間層として、従来の可塑化ブチラール樹脂(厚さ0.8mm)を用い、200℃下で圧着する以外、上記と同様にして合わせガラスを作製した。
得られた各合わせガラスについて、その光線透過率の測定及び種々の温度下におけるデュポン式衝撃試験機による破砕試験を行なった。破砕試験法は以下の通りである。
温度を-20℃、20℃及び60℃に設定し、デュポン式衝撃試験機(荷重300g、20cm高さより落下)により落下テストを行ない破砕の状況を観察した。
・・・中略・・・
〔注〕:表中、Aはガラス破砕状態、Bは破片飛散状態を示す(以下同じ)」(3頁左下欄下から3行?同4頁左上欄下から4行)

(甲1-g)「(ヘ)発明の効果
この発明の合わせガラスは、低温使用時における衝撃吸収力が従来に比して改善されたものであり、かつ軽量化されたものである。さらに従来品と同様な光線透過率を示し、しかも加熱、温度、水等による品質の変化を従来よりも受け難い中間層を用いているため、製造上も有利である。従って従来と同様な用途に用いることができると共に、従来では用いられない用途への応用が期待されるものである。」(6頁左上欄10?19行)

第5-2 甲第3号証に記載の事項
(甲3-a)「【請求項1】
ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層と、 ポリオレフィン、および/または、接着性官能基含有オレフィン系重合体を含有する組成物BからなるB層とを積層してなり、(ポリオレフィン)/(接着性官能基含有オレフィン系重合体)の質量比が、0/100?99.95/0.05である積層体。」

(甲3-b)「【請求項16】
前記接着性官能基含有オレフィン系重合体が、炭素数2?12の脂肪族不飽和炭化水素単位および炭素数8?12の芳香族不飽和炭化水素単位からなる群から選ばれる1種類以上の単量体単位からなる重合体、または、その水添物であり、その分子鎖の末端または側鎖に前記接着性官能基を有する、請求項1?15のいずれかに記載の積層体。
【請求項17】
前記接着性官能基含有オレフィン系重合体が、炭素数8?12の芳香族不飽和炭化水素単位からなる重合体ブロック(X’)と、炭素数2?12の脂肪族共役ポリエン単位からなる重合体ブロック(Y’)とを含むブロック共重合体、または、その水添物であり、その分子鎖の末端または側鎖に前記接着性官能基を有する、請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
前記炭素数8?12の芳香族不飽和炭化水素がスチレンであり、前記炭素数2?12の脂肪族共役ポリエンがブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物である、請求項17に記載の積層体。」

(甲3-c)「【請求項23】
請求項1?22のいずれかに記載の積層体を含有する合わせガラス。」

(甲3-d)「【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、合わせガラス中間膜その他用途に好適に使用される、ポリビニルアセタールを含む層とポリオレフィン(炭化水素系重合体)を含む層との積層体であって、これら層間の接着性に優れる積層体を提供することを目的とする。」

(甲3-e)「【0033】
特に本発明の積層体を遮音性合わせガラス中間膜として使用する場合、これらの中でも、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-イソプレン共重合体、およびそれらの水添物などの、炭素数8?12の芳香族不飽和炭化水素化合物の重合体からなるブロック(X’)と、炭素数2?12の脂肪族共役ポリエン化合物の重合体からなるブロック(Y’)とのブロック共重合体またはその水添物であって、その分子鎖の末端または側鎖に有機金属官能基を有する重合体(以下、これらをまとめて有機金属官能基含有ブロック共重合体と呼ぶ)が制振性、遮音性に優れ、また、本発明の積層体にポリオレフィンとしてブロック共重合体を使用した場合、それらとの相溶性、接着性にも優れるため好適である。ここで、ブロック(X’)および/またはブロック(Y’)には、そのブロック中に有機金属官能基を含む部分を有していてもかまわない。
【0034】
本発明で使用される有機金属官能基含有ブロック共重合体は、ブロック(X’)部分とブロック(Y’)部分を有していれば特に限定されず、例えば、[(X’)-(Y’)] k’ 、[(X’)-(Y’)] m’ -(X’)、(Y’)-[(X’)-(Y’)] n’ などが可能である。ここでk’、m’、n’は任意の自然数である。これらの中でも、ブロック(X’)を2つ以上と、ブロック(Y’)を1つ以上有する有機金属官能基含有ブロック共重合体が好適であり、(X’)-(Y’)-(X’)からなるトリブロック体が特に好適である。また、本発明で使用する有機金属官能基含有ブロック共重合体がブロック(X’)を2つ以上含む場合、また、ブロック(Y’)を2つ以上含む場合、ブロック(X’)、ブロック(Y’)はそれぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0035】
有機金属官能基含有ブロック共重合体に占めるブロック(X’)およびブロック(Y’)の含有量は、本発明の目的に反しない限り特に限定されないが、有機金属官能基含有ブロック共重合体の全質量に対するブロック(X’)の含有量が5?95質量%であることが好ましく、10?70質量%であることがより好ましい。ブロック(X’)の含有量がこの範囲である場合、ブロック共重合体が本来有する制振性、遮音性などの特性が発現する。
【0036】
有機金属官能基含有ブロック共重合体におけるブロック(X’)およびブロック(Y’)の数平均分子量は特に限定されないが、ブロック(X’)1つあたりの数平均分子量が2,500?75,000であることが好ましく、また、ブロック(Y’)1つあたりの数平均分子量が1,000?100,000であることが好ましい。また、有機金属官能基含有ブロック共重合体の数平均分子量としては、10,000?1,000,000であることが好ましく、15,000?200,000であることがより好ましい。ブロック(X’)、ブロック(Y’)の重量平均分子量が小さすぎると、ブロック共重合体としての性能が発現しないことがある。また、有機金属官能基含有ブロック共重合体の重量平均分子量が小さすぎると、積層体にしたときの力学強度が低くなりすぎることがあり、有機金属官能基含有ブロック共重合体の重量平均分子量が大きすぎると、成形時の取り扱い性が悪くなる。また、有機金属官能基含有ブロック共重合体のガラス転移温度、融点などは目的に応じて適宜選択可能である。」

(甲3-f)「【0041】
本発明の有機金属官能基含有ブロック共重合体は、そのブロック(Y’)部分が水添されていても、水添されていなくてもかまわないが、耐候性の観点から水添されていることが好ましく、その水添率が好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好適には90モル%以上であると良い。」

(甲3-g)「【0109】
本発明で使用する組成物Aには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他従来公知の添加剤を添加しても良い。酸化防止剤としては、たとえば、上で述べた、組成物Bに添加できる酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤など)について例示した化合物と同じものが挙げられ、紫外線吸収剤としては、上で述べた、組成物Bに添加できる紫外線吸収剤について例示した化合物と同じものが挙げられるが、これらに限定されない。また、その添加量は、酸化防止剤、紫外線吸収剤それぞれの添加量が、組成物Aの質量に対して0.001?5質量%、好ましくは0.01?1質量%であると良い。」

(甲3-h)「【0123】
本発明の積層体は、A層とB層が積層してなる構成を含んでいるか、あるいはA層とC層がB層を介して積層してなる構成を含んでいれば、A層、B層、C層が2つ以上含まれていてもかまわず、また、2つ以上含まれている場合にはそれらは同一であっても異なっていても良い。また、本発明の積層体には上記以外の層(D層とする)を含んでいても構わない。D層を具体的に例示すると、ポリエステル層、ポリアミド層、ポリイミド層、ポリカーボネート層などが挙げられるがこれに限定されない。本発明の積層体の層構成を具体的に例示すると、A層/B層、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層、A層/B層/B層/A層、A層/B層/C層/B層/A層、A層/B層/D層/B層/A層、または、A層/B層/C層、A層/B層/C層/D層/C層/B層/A層などが挙げられるが、これに限定されない。」

(甲3-i)「【0129】
本発明の積層体の製造方法は特に限定されず、共押し出し成形、多層射出成形、ドライラミネーションなど、従来公知の方法で製造可能である。例えば、A層とB層が積層してなる構成を含む積層体である場合には共押し出し成形することが好ましく、その方法はダイ内で各層成分を接触させるダイ内ラミネーションでも良いし、ダイ外で接触させるダイ外ラミネーションでも良い。また、押し出し温度は適宜選択されるが、150?300℃、好ましくは180?250℃であると良い。また、A層とC層を、B層を介して積層してなる構成を含む積層体である場合には、A層および/またはC層をあらかじめ押し出し成形などの方法により作製し、A層および/またはC層の表面にキャスト法などの方法によりB層を形成した後、それらをドライラミネーションする方法などで製造可能である。」

第5-3 甲第6号証ないし甲第14号証に記載の事項
・甲第6号証には、「【請求項1】
第1の層と、該第1の層の一方の面に積層された第2の層とを備え、
前記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含有し、
前記第1の層が、熱可塑性樹脂と、インモニウム化合物及びアミニウム化合物の内の少なくとも一種とを含有し、
前記第1の層に含まれている前記熱可塑性樹脂が、水酸基の含有率が25モル%以下の熱可塑性樹脂である、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記第1の層に含まれている前記水酸基の含有率が25モル%以下の熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂又はアイオノマー樹脂である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。」
「【0013】
本発明によれば、第1の層と、該第1の層の一方の面に積層された第2の層とを備え、上記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含有し、上記第1の層が、熱可塑性樹脂と、インモニウム化合物及びアミニウム化合物の内の少なくとも一種とを含有し、上記第1の層に含まれている上記熱可塑性樹脂は、水酸基の含有率が25モル%以下の熱可塑性樹脂である、合わせガラス用中間膜が提供される。」
「【0031】
第2の層3及び第3の層4は、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤とを含む。第2の層3はポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むため、第2の層3の外側の表面3aの接着力は高い。第3の層4はポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含むため、第3の層4の外側の表面4aの接着力は高い。」等の記載がある。

・甲第7号証には、「【請求項1】 エチレン-メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで結合させたアイオノマー樹脂に有機過酸化物及びシランカップリング剤を配合した熱硬化性樹脂をガラス板間に介在させて一体化し、この樹脂層を熱硬化してなることを特徴とする合わせガラス。」等の記載がある。

・甲第8号証には、「【請求項1】
シランカップリング剤と、エチレン・α,β-不飽和カルボン酸・α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体のマグネシウムアイオノマーおよびエチレン・α,β-不飽和カルボン酸・α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体のナトリウムアイオノマーの少なくとも一方と、を含む(A)層を有する合わせガラス用中間膜。」
「【0046】
[(B)層]
本発明の合わせガラス用中間膜は、多層の場合は、エチレン系アイオノマーを少なくとも1種含む(B)層を少なくとも1層有することが好ましい。
これにより、機械的強度および遮音特性をさらに向上させることができる。」
「【0049】
前記(B)層に含まれるエチレン系アイオノマー(例えば、前記エチレン系Mgアイオノマーおよび前記エチレン系Naアイオノマーの少なくとも一方。以下同じ。)は、エチレンから導かれる構成単位およびα,β-不飽和カルボン酸から導かれる構造単位を有するエチレン・α,β-不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーであることが好ましい。前記共重合体(又は前記アイオノマー)は、α,β-不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位を有していてもよい。
前記好ましいエチレン系アイオノマーのベースポリマーであるエチレン・α,β-不飽和カルボン酸共重合体中のエチレンから導かれる構成単位の含有割合は、97?75質量%が好ましく、より好ましくは95?75質量%である。
前記好ましいエチレン系アイオノマーのベースポリマーであるエチレン・α,β-不飽和カルボン酸共重合体中の不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合は、3?25質量%が好ましく、より好ましくは5?25質量%である。」等の記載がある。

・甲第9号証には、「【請求項1】
エチレン/酢酸ビニル共重合体及び有機過酸化物を含む樹脂組成物のEVAシート2枚を、ポリビニルブチラールを含む樹脂組成物のPVBシートを介して押圧積層する工程を含む合わせガラス用中間膜の製造方法において、
上記工程において、ポリビニルブチラールを含む樹脂組成物をシート状に加熱押し出しし、得られた軟化状態のPVBシートを2枚のEVAシートの間に挿入することを特徴とする合わせガラス用中間膜の製造方法。」
「【0004】
このような合わせガラスの2枚ガラス板、或いはフィルム強化ガラスのガラス板とプラスチックフィルムとを接着する中間膜(透明接着剤層)は、上述のように、優れた接着性と、耐貫通性が求められている。特に、2枚ガラス板を用いた合わせガラスにおいては高い性能が求められている。さらに最近では車外の騒音を遮断するための高い遮音性も求められている。」等の記載がある。

・甲第10号証には、
「【請求項1】
芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が30:70?60:40であるブロック共重合体[1]の、全不飽和結合の90%以上が水素化されたブロック共重合体水素化物[2]に、アルコキシシリル基が導入されたブロック共重合体水素化物[3]を含有する接着剤をガラス板間に介在させ、当該ガラス板を接着させて一体化してなることを特徴とする合わせガラス。」
「【0020】
ブロック共重合体[1]のブロックの形態は、鎖状型ブロックでもラジアル型ブロックでも良いが、鎖状型ブロックであるものが、機械的強度に優れ好ましい。
ブロック共重合体[1]の最も好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合した、[A]-[B]-[A]型のトリブロック共重合体、及び、重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に、該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合した、[A]-[B]-[A]-[B]-[A]型のペンタブロック共重合体である。
【0021】
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とするものであり、重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位が少なすぎると、合わせガラスの耐熱性が低下するおそれがある。
複数の重合体ブロック[A]は、上記の範囲を満足すれば互いに同一であっても、相異なっていても良い。
【0022】
芳香族ビニル化合物としては、具体的には、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、4-モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、4-モノフルオロスチレン、4-フェニルスチレン等が挙げられる。なかでも、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0023】
また、重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位以外の成分として、鎖状共役ジエン由来の構造単位及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位を含むことができる。その含有量は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。鎖状共役ジエン及びその他のビニル化合物としては、後述する重合体ブロック[B]の構造単位となる鎖状共役ジエン及びその他のビニル化合物と同様のものがあげられる。
【0024】
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とするものであり、重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位が上記範囲にあると、本発明の合わせガラスの耐熱衝撃性、低温での接着性に優れる。また、重合体ブロック[B]中の鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位以外の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位を含むことができる。その含有量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[B]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量が増加すると、接着樹脂層の低温での柔軟性が低下し、合わせガラスの耐熱衝撃性が低下するおそれがある。
重合体ブロック[B]が複数有る場合には、重合体ブロック[B]は、上記の範囲を満足すれば互いに同一であっても、相異なっていても良い。
【0025】
鎖状共役ジエン系化合物としては、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。なかでも、吸湿性の面で極性基を含有しないものが好ましく1,3-ブタジエン」
「【0089】
また、合わせガラスに装飾性をもたせたり、電磁波や放射線を遮蔽したり、赤外線や熱線を遮蔽する機能を持たせて、付加価値を高めることができる。例えば、ブロック共重合体水素化物[3]からなる複数のシートを2枚のガラス板間に介在させ、その複数のシートの間に、装飾のために着色されたり、特定形状に加工された樹脂フィルム、布、繊維、和紙、彩色紙、カラーフィルム、皮、木薄片、金属箔、金属板、金網、パンチングメタル、色素、染料、顔料、多層薄膜等を挟むこともできる。」等の記載がある。

・甲第11号証には、「【請求項1】
熱可塑性樹脂と、
可塑剤と、
遮熱粒子と、
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分とを含有し、
前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記遮熱粒子の含有量を含有量Aとし、前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記成分の含有量を含有量Bとしたときに、前記含有量Aが0.1?3重量部の範囲内であり、かつ、前記含有量Aの前記含有量Bに対する比(前記含有量A/前記含有量B)が3?2000の範囲内である、合わせガラス用中間膜。」
「【0046】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又はセシウムドープ酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子が特に好ましい。」等の記載がある。

・甲第12号証には、「【請求項1】
合わせガラスを構成した際に、所定波長の光線に対し透過率損失を与える領域を有する第1中間膜と、
合わせガラスを構成した際に前記透過率損失を与える領域に比べ所定波長の光線に対する透過率損失が少なく、かつ膜表面の面積が前記第1中間膜の4分の1以下である第2中間膜を備え、
該第2中間膜は、前記透過率損失を与える領域の表面の一部に重畳し、前記第2中間膜を重畳した重畳領域の中間膜の厚さは、前記第2中間膜を重畳していない非重畳領域の中間膜の厚さより厚い合わせガラス用中間膜。」
「【0019】
第1中間膜及び第2中間膜の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。特にポリビニルブチラールを用いると、合わせガラスとした際のガラスとの接着度が良好であり好ましい。」
「【0021】
第1中間膜の透過率損失領域2-1に紫外線に対する透過率損失を与える場合、中間膜中に紫外線吸収剤を0.01?5.0質量%含有させることにより得られる。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、マロン酸エステル系、シュウ酸アニリド系、シュウ酸アミド系の紫外線吸収剤が挙げられる。」等の記載がある。

・甲第13号証には、「【請求項1】
2枚のガラス板状体の間に中間膜層を有する合わせガラスにおいて、遮音性フィルムを2枚の日射遮蔽性能を持たした中間膜で挟んだ構成からなり、日射遮蔽性能と遮音性能を有することおよび厚さの合計が4mm以上5mm以下であることを特徴とする合わせガラス。」
「【0026】
可視光透過率は70%以上が必要である。70%未満の場合、その透視性に問題があり、例えば自動車用フロントガラスとして使用することができない。望ましくは、75%以上である。」
「(実施例1)
厚さが2mmで300mmx300mmのフロートガラスと厚さが0.1mmで300mmx300mmのPETフィルムを準備した。先ず、機能性超微粒子(材料:20wt%ATO(導電性アンチモン含有錫酸化物)、粒径:0.02μm以下)分散DOP(ジオクチルフタレート)10gと通常のDOPをPVB樹脂485gに添加し、他の紫外線吸収剤とともに、約70度で約15分練りこみ混合した。得られた製膜用原料樹脂を型押出機にて190℃前後で厚さ0.38mm程度にフィルム化し、ロールに巻き取った。このとき、フィルム表面にはエンボスと呼ぶ凹凸を付けた。」等の記載がある。

・甲第14号証には、「【請求項1】
熱可塑性樹脂と、
酸化タングステン粒子と、
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラコシアニン化合物の内の少なくとも一種の成分とを含む、合わせガラス用中間膜。」
「【0038】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。」
「【0123】
合わせガラスの上記可視光線透過率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは72%以上である。合わせガラスの可視光線透過率は、JIS R3211(1998)に準拠して測定できる。」
【0154】ないし【0161】(省略)等の記載がある。

以下、甲第6号証ないし甲第14号証に記載の発明を、「甲6発明」ないし「甲14発明」という。

第6 甲第1、3号証に記載の発明
第6-1 甲第1号証に記載の発明
上記「第5-1 甲第1号証に記載の事項」からして、甲第1号証には、「ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物の重合体鎖(両端ブロック)と、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の共役ジエン系直鎖状重合鎖(中間ブロック)とからなるブロック共重合体の両端ブロックが共重合体中10?40重量%でその10%以下が水添されてなりかつ中間ブロックが90%以上水添されてなるブロック共重合体を主体とする樹脂組成物からなる合わせガラスの樹脂中間層。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているということができる。
なお、甲第2号証にも、同様の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。

第6-2 甲第3号証に記載の発明
上記「第5-2 甲第3号証に記載の事項」からして、甲第3号証には、「『ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)-ブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物(脂肪族共役ポリエン単位)からなる重合体ブロック(Y)-ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)』(有機金属官能基含有ブロック共重合体)を含有する組成物BからなるB層と、ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層とを積層した合わせガラス中間膜であって、B層の両面または片面にA層が積層され、有機金属官能基含有ブロック共重合体の10?70質量%が重合体ブロック(X)であることがより好ましく、有機金属官能基含有ブロック共重合体の重合体ブロック(Y)の好適には80モル%以上が水添され、A層は、紫外線吸収剤を有する、合わせガラス中間膜。」(以下、「甲3発明」という。)が記載されているということができる。
なお、甲第4号証、甲第5号証にも、同様の発明(以下、「甲4発明」、「甲5発明」という。)が記載されている。

第7 理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(同条第2項)
第7-1 甲1発明を主引用例とする場合
(1) 理由1(特許法第29条第1項第3号)
(1-1) 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物の重合体鎖(両端ブロック)」は、本件発明1の「ハードセグメントブロック」、「ポリスチレンブロック」および「島成分」に相当し、
甲1発明の「ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の共役ジエン系直鎖状重合鎖(中間ブロック)」は、本件発明1の「ソフトセグメントブロック」、「イソプレン単位を含む重合体ブロック」および「海成分」に相当し、
甲1発明の「樹脂組成物からなる合わせガラスの樹脂中間層」は、本件発明1の「A層」、「海島相分離構造を有する層」および「合わせガラス用中間膜」に相当し、
甲1発明の「ポリスチレン等の芳香族ビニル化合物の重合体鎖(両端ブロック)と、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の共役ジエン系直鎖状重合鎖(中間ブロック)とからなるブロック共重合体の両端ブロックが共重合体中10?40重量%でその10%以下が水添されてなりかつ中間ブロックが90%以上水添されてなるブロック共重合体を主体とする」と、本件発明1の「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、」「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、」「A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、」「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、」「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、」「ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであ」る「熱可塑性エラストマーを含有する」とは、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を1層含」む「合わせガラス用中間膜であって、」「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、」「A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、」「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が10質量%以上で20質量%未満であり、」「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックであり、」「ソフトセグメントブロックが、イソプレン単位を含む重合体ブロックであ」る「熱可塑性エラストマーを含有する」という点で共通する。
上記より、本件発明1と甲1発明とは、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を1層含む合わせガラス用中間膜であって、熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が10質量%以上で20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックであり、ソフトセグメントブロックが、イソプレン単位を含む重合体ブロックである熱可塑性エラストマーを含有する合わせガラス用中間膜。」という点で一致し、両者は、少なくとも、以下の点で相違しているということができる。
<相違点>
本件特許1は、「A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有」する「中間膜」であるのに対して、甲1発明は、「中間層(中間膜)」としてはA層のみである点。

上記相違点について検討する。
甲第1号証には、上記「第5-1」「(甲1-g)」で示した「この発明の合わせガラスは、低温使用時における衝撃吸収力が従来に比して改善されたものであり、かつ軽量化されたものである。さらに従来品と同様な光線透過率を示し、しかも加熱、温度、水等による品質の変化を従来よりも受け難い中間層を用いているため、製造上も有利である。従って従来と同様な用途に用いることができると共に、従来では用いられない用途への応用が期待されるものである。」との記載があり、これからして、甲1発明は、ここに記載された効果を達成せしめるために、中間層(中間膜)をA層のみとしたとみることができるので、上記相違点は、実質的な相違点であるといえる。
また、甲1発明と甲2発明とは、同様の発明である。
したがって、本件発明1は、甲第1、2号証に記載された発明ではない。

(1-2) 本件発明2ないし5、7ないし9、24、25について
本件発明2ないし5、7ないし9、24、25は、上記相違点に係る本件発明1の事項を構成にするものであるので、本件発明1と同じく、甲第1、2号証に記載された発明ではない。

(2) 理由2(特許法第29条第2項)
(2-1) 本件発明1について
上記「第7-1」「(1)」「(1-1)」で示したように、本件発明1は、「A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有」する「中間膜」であるのに対して、甲1発明は、「中間層(中間膜)」としてはA層のみである点(相違点)で相違しているところ、甲1発明は、上記「第5-1」「(甲1-g)」に記載された効果を達成せしめるために、中間層(中間膜)をA層のみとしたものである。
そうすると、甲1発明において、「A層」に更にB層を設けることの動機付けはない(設けることに阻害要因がある)というべきであるので、上記「第5-2」で示した甲3発明が、下記の「第7-2」「(1)」「(1-1)」で示すように、「B層(本件発明1のA層)」にA層(本件発明1のB層)を設けるものであるとしても、これを甲1発明に組み合わせることにはならない、というべきである。
また、甲第6ないし14号証に記載の発明(以下、「甲6ないし14発明」という。)(上記「第6-3」参照)についても、同じ理由により、これを甲1発明に組み合わせることにはならない。
さらに、合わせガラス用中間膜に関する本件優先日前の周知技術(甲号証としての提示なし)についても、同じ理由により、これを甲1発明に組み合わせることにはならない。
そして、甲1発明と甲2発明とは、同様の発明であり、甲3発明と甲4、5発明も、同様の発明である。
したがって、本件発明1は、甲1、2発明、甲3ないし14発明および本件優先日前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。

(2-2) 本件発明2ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25について
本件発明2ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25は、上記相違点に係る本件発明1の事項を構成にするものであるので、本件発明1と同じく、甲1、2発明、甲3ないし14発明および本件優先日前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。

第7-2 甲3発明を主引用例とする場合
(1) 理由1(特許法第29条第1項第3号)
(1-1) 本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)」は、本件発明1の「ハードセグメントブロック」、「ポリスチレンブロック」および「島成分」に相当し、
甲3発明の「ブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物(脂肪族共役ポリエン単位)からなる重合体ブロック(Y)」は、本件発明1の「ソフトセグメントブロック」、「ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロック」および「海成分」に相当し、
甲3発明の「『ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)-ブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物(脂肪族共役ポリエン単位)からなる重合体ブロック(Y)-ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)』(有機金属官能基含有ブロック共重合体)」は、本件発明1の「熱可塑性エラストマー」に相当し、
甲3発明の「A層」、「B層」、「合わせガラス中間膜」は、本件発明1の「B層」、「A層」、「合わせガラス用中間膜」にそれぞれ相当し、
甲3発明の「A層は、紫外線吸収剤を有する」は、本件発明1の「B層に紫外線吸収剤を含有する」に相当し、
甲3発明の「『ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)-ブタジエン、イソプレン、または、ブタジエンおよびイソプレンの混合物(脂肪族共役ポリエン単位)からなる重合体ブロック(Y)-ポリスチレン(芳香族不飽和炭化水素単位)からなる重合体ブロック(X)』(有機金属官能基含有ブロック共重合体)を含有する組成物BからなるB層と、ポリビニルアセタールを含む組成物AからなるA層とを積層した合わせガラス中間膜であって、B層の両面または片面にA層が積層され、有機金属官能基含有ブロック共重合体の10?70質量%が重合体ブロック(X)であることがより好ましく、有機金属官能基含有ブロック共重合体の重合体ブロック(Y)の好適には80モル%以上が水添され」と、本件発明1の「熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、」「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、」「A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、」「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、」「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、」「ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、」「ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であ」るとは、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、」「熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、」「A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、」「熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が10質量%以上で20質量%未満であり、」「ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックであり、」「ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、」「ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?20モル%であ」るという点で共通する。
上記より、本件発明1と、甲3発明とは、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が10質量%以上で20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックであり、ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、ブタジエン単位および(/または)イソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?20モル%であり、B層に紫外線吸収剤を含有する、合わせガラス用中間膜」という点で一致し、少なくとも、以下の点で相違している。
<相違点’>
本件発明1は、「配向度(1)を下記式(i):【数1】配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)で定義したとき、配向度(1)が0.9以下とな」るのに対して、甲3発明は、上記特定をするものではない点。

上記相違点’について検討する。
本件発明1の配向度(1)を求める際に用いられる最大強度および最小強度について、本件特許明細書には、「【0042】
最大強度値は、島成分が一方向に配向している場合に高くなる傾向にある。また、最大強度値は、島成分の配向性が低い場合に低くなる傾向にある。そのため、シュリンク性の低い合わせガラス用中間膜を得る観点からは、最大強度値が低いA層を用いることが好ましい。
【0043】
最小強度値は、島成分が比較的小さく、島成分の形状が球形状に近い場合に高くなる傾向にある。また、最小強度値は、島成分が比較的大きい場合や、島成分の形状が細長い場合に低くなる傾向にある。そのため、シュリンク性の低い合わせガラス用中間膜を得る観点からは、最小強度値が高いA層を用いることが好ましい。」との記載があり、これからして、配向度(1)は、島成分の配向度、島成分の形状に着目したパラメータであるということができるところ、甲第3号証には、島成分の配向度、島成分の形状に着目し、配向度(1)を0.9以下にすることについての記載のみならずその示唆もない。
また、上記で示したように、本件発明1と、甲3発明とは、「熱可塑性エラストマーを含有するA層を1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が10質量%以上で20質量%未満であり、ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックであり、ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?20モル%であり、B層に紫外線吸収剤を含有する、合わせガラス用中間膜」という点で一致し、また、本件特許明細書(【0231】ないし【0237】、【0262】参照)には、押出法(180℃?250℃)によって中間膜を製造する旨の記載があると共に、甲第3号証(【0129】)にも、押し出し成形(180℃?250℃)によって中間膜を製造する旨の記載があることから、両者が、押出法により中間膜を製造するものである場合、その温度(180℃?250℃)においても一致しているといえるものの、一般の押出法において、押出機からダイ中に押し出され、さらにダイから押し出された溶融物の島成分が、ダイ中でのシェアー、および、ダイから押し出された後のドラフトにより、押し出し方向に配向した方向で細くなることは、本件優先日前の技術常識(例えば、国際公開第2012/118082号の特に【0073】参照)であり、また、上記ドラフトが、ダイから押し出される(引き出される)溶融物の引き取り速度に依存することは、当然の事項であることからして、本件特許明細書の【0235】【0262】(下記の※参照)における引き取り速度は、島成分の形状に大きく関与するもの、更にいうと、本件発明1の「配向度(1)を0.9以下にする」ことの達成に大きく関与するものであるといえるところ、そもそも、甲第3号証は、引き取り速度について記載も示唆もするものではない。
そして、甲3発明と甲4、5発明とは、同様の発明である。
したがって、上記相違点’は、実質的な相違点であるといえるので、本件発明1は、甲第3ないし5号証に記載された発明ではない。

※「【0235】
Tダイを用いた溶融押出法としては、共押出法によって合わせガラス用中間膜を製造することがさらに好ましい。共押出法によって合わせガラス用中間膜を製造する場合は、冷却ロール温度を5?30℃とすることが好ましい。また、引き取り速度は、1?10m/minとすることが好ましい。共押出を上記条件で行うことで、島成分の配向性がさらに低くなり、シュリンク性をさらに低減させることができる。」
「【0262】
(合わせガラス用中間膜の作製)
A層用組成物を、50mmφベント式単軸押出機を用いて、温度210℃、吐出量4kg/hの条件で、205℃のTダイ(マルチマニホールドタイプ:幅500mm)に導入し、B層用組成物を、65mmφベント式単軸押出機を用いて、温度205℃、吐出量24kg/hの条件で、該Tダイに導入した。該Tダイから共押出された成形物を、一方を50℃、他方を60℃とした2つの金属鏡面ロールによってニップし、引き取り速度1.2m/minで、B層/A層/B層(330μm/100μm/330μm)という3層構成となる合わせガラス用中間膜(760μm)を成形した。」

(1-2) 本件発明2ないし5、7ないし9、11、12、22、24、25について
本件発明2ないし5、7ないし9、11、12、22、24、25は、上記相違点’に係る本件発明1の事項を構成にするものであるので、本件発明1と同じく、甲第3ないし5号証に記載された発明ではない。

(2) 理由2(特許法第29条第2項)
(2-1) 本件発明1について
本件発明1と甲3発明とを対比する。
上記「第7-2」「(1)」「(1-1)」で示したように、本件発明1は、「配向度(1)を下記式(i):【数1】配向度(1)=(最大強度値-最小強度値)/(最大強度値+最小強度値)(i)で定義したとき、配向度(1)が0.9以下とな」るものであるのに対して、甲3発明は、上記特定をするものではない点(相違点’)で相違しているところ、甲第3号証には、島成分の配向度、島成分の形状に着目し、配向度(1)を0.9以下にすることについての記載のみならずその示唆もない。
また、甲1発明および甲6ないし14発明についても、島成分の配向度、島成分の形状に着目し、配向度(1)を0.9以下にすることについての記載も示唆もない。
さらに、合わせガラス用中間膜において、配向度(1)を0.9以下にすることが、本件優先日前の周知技術であるともいえない。
そして、甲3発明と甲4、5発明とは、同様の発明であり、また、甲1発明と甲2発明も、同様の発明である。
そうすると、本件発明1は、甲3ないし5発明、甲1、2発明、甲6ないし14発明および本件優先日前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。

(2-2) 本件発明2ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25
本件発明2ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25は、上記相違点’に係る本件発明1の事項を構成にするものであるので、本件発明1と同じく、甲3ないし5発明、甲1、2発明、甲6ないし14発明および本件優先日前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。

第7-3 小括
本件発明1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25は上記「第6 甲第1、3号証に記載の発明」、「第7-1 甲1発明を主引用例とする場合」および「第7-2 甲3発明を主引用例とする場合」からして、当審による取消理由通知に記載した取消理由1、2(異議申立人による申立理由の理由1、2)により取り消されるものではない。

第8 理由3(特許法第36条第4項第1号)及び理由4(同条第6項第1号)
第8-1 本件特許明細書および図面の記載
本件特許明細書の【0042】には、島成分の配向と、最大強度値との関係についての記載があり、
同【0043】には、島成分の大きさ・形状と、最小強度値との関係についての記載があり、
同【0045】には、散乱強度の求め方の概略についての記載があり、
同【0046】には、島成分が一方向に配向する度合い・シュリンク性と、配向度(1)との関係についての記載があり、
同【0050】には、島成分が一方向に配向する度合い・シュリンク性と、配向度(2)との関係についての記載があり、
同【0067】【0068】には、分極の異方性が高いことで、ポリマーの流動方向に分子が配向しやすい(最大強度値が高くなる)ポリスチレン(ハードセグメントブロック)であっても、含有量を20質量%未満にすることで、中間膜の層として許容されるものが得られる、つまり、ハードセグメントブロックの上限が20質量%であれば、中間膜の層として許容されるものが得られる旨の記載があり、
同【0140】には、動的粘弾性試験装置およびその試験方法の具体例についての記載があり、
同【0225】には、音響透過損失の測定方法の具体例についての記載があり、
同【0231】ないし【0237】には、島成分の配向性およびシュリンク性がさらに低い層を製造する方法の概略についての記載があり、
同【0253】ないし【0327】【表11】には、実施例1ないし16として、海島構造のポリマー層の製造について、材料(モノマー単位等)、ハードセグメントブロックの含有量(12?18重量%)、製造装置および製造条件(【0262】)の具体例、および、配向度(1)(2)の計算値についての記載があり、
同【0265】には、小角X線散乱装置およびその測定方法の具体例についての記載があり、
同【0269】には、原子間力顕微鏡およびその測定方法の具体例についての記載があり、
同【0270】には、複屈折の位相差を測定する装置およびその測定方法の具体例についての記載があり、
同【0294】【表3】には、複屈折の位相差および音響透過損失の測定値についての記載があり、
図面の【図2】には、動的粘弾性のtanδ11の測定値についての記載がある。

第8-2 検討
上記「第4-3 理由3(特許法第36条第4項第1号)及び理由4(同条第6項第1号)」で指摘された記載不備に係る事項については、上記「第8-1」で示した本件特許明細書および図面に記載された事項からして、発明の詳細な説明に記載されたものであり、また、発明の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものである、ということができる。

第8-3 小括
本件発明1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25は、上記「第8-1 本件特許明細書および図面の記載」および「第8-2 検討」からして、当審による取消理由通知に記載した取消理由3、4(異議申立人による申立理由の理由3、4)により取り消されるものではない。

第9 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した異議申立人による申立理由および取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし5、7ないし9、11ないし14、16ないし25に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項6、10、15は、訂正により削除されたため、本件請求項6、10、15に対する異議申立人による異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の両面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、
熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、
A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、
A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、
配向度(1)を下記式(i):
【数1】

で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、
熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、
ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、
ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、
ブタジエン単位およびイソプレン単位由来の炭素間二重結合の残存量が2?40モル%であり、
B層に紫外線吸収剤を含有する、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
配向度(2)を下記式(ii):
【数2】

で定義したとき、配向度(2)が10以下となる、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
A層と略平行な平面に沿ってA層の厚さ方向中央域をスライスして、
得られたスライス面上の任意の5ヶ所について200nm×200nmの範囲の領域を原子間力顕微鏡により観察した位相像において、
それぞれの位相像の中の略楕円状または略連続直線状の島成分の中から、長径サイズが最大となる島成分をそれぞれ選定した場合に、
選定した島成分の長径サイズの平均値が100nm以下となる、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
合わせガラス用中間膜が2枚のガラスで挟持された合わせガラスにおいて、複屈折の位相差が0?140nmとなる、請求項1?3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーが、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体の水素添加物であり、
重合体ブロック(b)が、共役ジエン単量体単位としてイソプレン単位およびブタジエン単位を合計で50モル%以上有する、請求項1?4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】 (削除)
【請求項7】
ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークを-10?30℃の範囲に有する、請求項1?5のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
ASTM D4065-06に基づいて周波数1000Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定されるA層のtanδが最大となるピークが1.3以上である、請求項1、2、3、4、5又は7に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記tanδが最大となるピークが1.5以上である、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】 (削除)
【請求項11】
B層における可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して50質量部以下である、請求項1、2、3、4、5、7、8又は9に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
B層の熱可塑性樹脂がポリビニルアセタールである、請求項1、2、3、4、5、7、8、9又は11に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
熱可塑性エラストマーを含有するA層を少なくとも1層含み、A層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂を含むB層を有する合わせガラス用中間膜であって、
熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントブロックとソフトセグメントブロックを有し、
A層が、ハードセグメントブロックを島成分、ソフトセグメントブロックを海成分とする海島相分離構造を有し、
A層について小角X線散乱測定で得られる該ハードセグメントブロックまたは該ソフトセグメントブロックによる周期性散乱または干渉性散乱の方位角強度分布において、最大強度となる方位角を含む任意の方位角180度の範囲における最大強度値および最小強度値に基づいて、
配向度(1)を下記式(i):
【数1】

で定義したとき、配向度(1)が0.9以下となり、
熱可塑性エラストマー中のハードセグメントブロックの含有量が20質量%未満であり、
ハードセグメントブロックが、ポリスチレンブロックまたはポリメチルメタクリレートブロックであり、
ソフトセグメントブロックが、ブタジエン単位および/またはイソプレン単位を含む重合体ブロックであり、
B層の熱可塑性樹脂がアイオノマーである、合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
ガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のガラスで挟持した合わせガラスにおいて、ASTM E90-09の条件で測定される4000Hzにおける音響透過損失が37dB以上となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12又は13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】 (削除)
【請求項16】
合わせガラス用中間膜を構成する層の少なくとも1層に遮熱材料を含有する、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13又は14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項17】
合わせガラス用中間膜を、クリアガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のクリアガラスで挟持した合わせガラスにおいて、可視光透過率が70%以上となり、波長800?1100nmの赤外線平均透過率が70%以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14又は16に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項18】
合わせガラス用中間膜を、グリーンガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のグリーンガラスで挟持した合わせガラスにおいて、可視光透過率が70%以上となり、波長800?1100nmの赤外線平均透過率が32%以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16又は17に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項19】
遮熱材料が、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、金属ドープ酸化タングステン、フタロシアニン化合物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、および六ホウ化ランタンの中から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項16?18のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項20】
金属ドープ酸化タングステンがセシウムドープ酸化タングステンである、請求項19に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項21】
A層又はB層のいずれか少なくとも一層に遮熱材料を含有する、請求項16?20のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項22】
少なくともB層に紫外線吸収剤を含有する、請求項13に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項23】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、マロン酸エステル系化合物、およびシュウ酸アニリド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は22に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項24】
ガラスの厚さの合計が4mm以下となる2枚のガラスで挟持した合わせガラスにおいて、ヘイズが5以下となる、請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22又は23に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項25】
請求項1、2、3、4、5、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23又は24に記載の合わせガラス用中間膜が2枚のガラスの間に配置されてなる合わせガラス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-10-31 
出願番号 特願2016-559077(P2016-559077)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C03C)
P 1 651・ 121- YAA (C03C)
P 1 651・ 857- YAA (C03C)
P 1 651・ 853- YAA (C03C)
P 1 651・ 537- YAA (C03C)
P 1 651・ 536- YAA (C03C)
P 1 651・ 851- YAA (C03C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増山 淳子  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 小川 進
豊永 茂弘
登録日 2017-05-12 
登録番号 特許第6140907号(P6140907)
権利者 株式会社クラレ
発明の名称 合わせガラス用中間膜および合わせガラス  
代理人 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所  
代理人 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所  

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