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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
管理番号 1346784
異議申立番号 異議2018-700728  
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-07 
確定日 2018-11-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第6288850号発明「医療用ゴム部品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6288850号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6288850号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成26年7月16日の出願であって、平成30年2月16日にその特許権の設定登録がされ、同年3月7日に特許掲載公報が発行され、その後、同年9月7日に、異議申立人 津崎愛美(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

甲第1号証:特開平9-118346号公報
甲第2号証:特開2014-114383号公報
甲第3号証:野納 敏展ら「補強性球状シリカ粉体の特性について」
1991年、日本ゴム協会誌、第64巻、第10号、
p.605-611
甲第4号証:特開2003-147138号公報
甲第5号証:「Nipsil ゴム補強用シリカ」、
東ソー・シリカ株式会社、’12.10改訂
甲第6号証:「日本アエロジル株式会社 製品案内」、
日本アエロジル株式会社 4版 2014年1月
甲第7号証:久保亮五ら編「岩波 理化学辞典 第4版」、
1989年12月15日第4版第4刷発行、
株式会社 岩波書店、p.1101
甲第8号証:日本薬局方解説書編集委員会編「第十四改正 日本薬局方解
説書」、平成16年2月13日3刷発行、
株式会社廣川書店、p.B-664?B-668
甲第9号証:日本化学会編「標準化学用語辞典」、平成3年3月30日、
丸善株式会社、p.611
甲第10号証:化学大辞典編集委員会編「化学大辞典8」
昭和55年9月15日 縮刷版第24刷発行、
共立出版株式会社、p.878-879
甲第11号証:「SAP 05-98:2013 粉体の仕様表示方法
に関するガイドライン」、平成25年3月12日改正、
一般社団法人日本粉体工業技術協会
(甲第4号証ないし甲第10号証は周知技術を示す文献。甲第11号証は、技術常識を示す文献。)
以下、第1号証ないし甲第11号証を、「甲1」ないし「甲11」という

第2 本件特許発明について
本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】
ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分、および当該ゴム分の総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下の、BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下のシリカを含むゴム組成物からなる医療用ゴム部品。
【請求項2】
前記ゴム組成物は、さらにゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、5質量部以下の天然または合成のハイドロタルサイトを含んでいる請求項1に記載の医療用ゴム部品。
【請求項3】
前記ゴム組成物は、さらにゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、3質量部以下のカップリング剤を含んでいる請求項1または2に記載の医療用ゴム部品。

第3 特許異議申立書において申立人が主張する取消理由

1 特許異議申立書において、申立人が主張する取消理由は、以下のとおりである。
(1)本件発明1ないし3は、甲1に記載された発明と、甲2及び甲3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由1」という)。
(2)本件発明1ないし3に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、これらの特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである(以下、「取消理由2」という)。

2 当審の判断
(1)取消理由1について
ア 各甲号証の記載及び甲1に記載された発明
(ア)甲1には、以下の記載がある。
a「【請求項1】イソブチレン(IB)とパラメチルスチレン(PMS)の共重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とする粉末製剤用ゴム栓。
・・・
【請求項3】 請求項1または請求項2において、無機補強剤を5?60重量部配合して加硫成形してなる粉末製剤用ゴム栓。
・・・」(特許請求の範囲)

b「従来、粉末製剤用ゴム栓は、主成分として主にブチルゴム(IIR)が多用されてきたが、このブチルゴム(IIR)の組成はイソブチレンにイソプレンを1?5重量%共重合させたポリマーであり、このブチルゴムにはその他、イソブチレンとイソプレンの共重合体に塩素を付加した塩素化ブチルゴム、臭素を付加した臭素化ブチルゴム及びジビニルベンゼンを付加した架橋ブチルゴムがあり、各々低ガス透過性、低水分透過性、耐熱性、耐老化性、耐薬品性等の粉末製剤用ゴム栓としての特性を備えている。
・・・
しかし、イソブチレンとイソプレンの重合時にイソプレンが一部、重合停止剤として作用するために共重合体中に少量の未反応物及びイソブチレン数分子とイソプレンが結合した分子鎖の短いオリゴマー(高沸点炭化水素C_(16)?C_(30))が残存する。すなわち、イソブチレンにイソプレンを共重合したブチルゴム(IIR)を主成分とした粉末製剤用ゴム栓は、バイアル内に減圧下で保存された製剤へオリゴマー等の物質が揮発し、吸着されて製剤の変質、例えば用時溶解時に混濁を起こす原因となり易い。」(【0009】?【0011】)

c「この発明は、医療用ゴム栓として要求される諸特性や日本薬局方輸液用ゴム栓試験規格を満足しかつゴム栓からの揮発物質をなくし、通常粉末、凍結乾燥粉末などの製剤の貯蔵、特に減圧下の貯蔵安定性を向上させることが可能なゴム栓の提供を目的とし、さらに、簡単な工程で成形性よく、安価に提供できる構成からなる粉末製剤用ゴム栓の提供を目的としている。」(【0017】)

d「詳述すると、従来の問題を解決するため、医療用ゴム栓として適用されるエチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、シリコンゴム(SiR)、エビクロルヒドリンゴム(CO.ECO)、弗素ゴム(FM)、及びイソブチレンとポリメチルスチレン共重合体等について鋭意研究した結果、粉末製剤用ゴム栓として従来より用いられているイソブチレンとイソプレン共重合体(IIR)の特性である低ガス透過性、低水分透過性、耐熱性、耐老化性等の性能を備え、なおかつ製剤の変質や用時溶解時の混濁の原因となるオリゴマー等の炭素数C_(16)?C_(30)の高沸点炭化水素を含まないイソブチレンとポリメチルスチレンの共重合体に臭素を付加したポリマーを見い出した。」(【0019】)

e「無機質補強剤としてはクレー、硫酸バリウム、タルク、シリカ及びシリカゲルが用いられる。その中でもクレー、タルク類が一般な補強剤として用いられ、シリカゲルなどは配合組成物中の揮発物質の吸着剤として効果がある。無機補強剤は、その効果を得るため少なくと5重量部の配合が必要であるが、60重量部を越える配合では、配合組成物の粘度が高くなりすぎ、加硫成形時の流動性が悪くなり、加硫成形品の変形や硬さが高くなるため、針刺時のコアリングが起こりやすく、又、クレーなどの補強材には鉛、カドミウムなどの重金属が含有し、日本薬局法、輸液用ゴム栓試験において不適になるため、5?60重量部の配合とする。望ましい配合量は10?50重量部である。」(【0029】)


f「【実施例】
実施例1
以下、この発明の実施例として、イソブチレンとポリメチルスチレン共重合体を主成分とするポリマー、比較例として従来の粉末製剤用ゴム栓組成物の主成分であるレギュラーブチルゴム及び塩素化ブチルゴムについて説明する。表2に示す各実施例及び比較例の配合表に準じて、原料ゴム、加硫剤及び、無機補強剤等の配合剤を秤量し、密閉加圧型ニーダー(株式会社トウシン製)にて、温度90℃?120℃、時間15分の条件下で均一に混合する。この後、加圧ニーダーより取出し、オープンロールで加硫剤を添加し、試験用未加硫ゴム試料を作成した。
【表2】

表2における薬剤の製造元は以下のとおりである。
(1) エクスプロ、EMDX93-5 エクソン化学(株)製
(2) MDB87-I 日本ブチル(株)製
(3) HT10-66 エクソン化学(株)製
(4) ジスネットF 三協化成(株)製
(5) アルカマイザー1 協和化学工業(株)製
(6) SH6062 トーレ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
(7) ノクセラーBZ 大内新興化学工業(株)製
(8) バルタックNo.5 エルフ・アトケム・ジャパン(株)製
(9) ニプシールVN-3 日本シリカ工業(株)製
(10) STカオリン 土屋カオリン(株)製
(11) オパノールB-3 BASFジャパン(株)製
(12) ダイソラックH-135 ダイソー(株)製
・・・
実施例2
この発明によるゴム栓1は、通常の粉末製剤用ゴム栓は図1に、また、凍結真空乾燥製剤用ゴム栓は図3に示すごとく、上面の笠部2と下面側の製剤と接触する足部3並びにリング部4、半打栓用突起部5も全て同一のポリマーからなり、一体化成形されている。溶出物試験は、第12改正日本薬局方輸液用ゴム栓試験に準じて行い、その結果を表4に示す。揮発性物質試験は図2及び図4に示すバイアル6にシリカゲル1個を入れ、試験用ゴム栓1を減圧密封止栓する。これを恒温槽中で50℃、1ケ月間経時させた後、シリカゲルに吸着した物質を溶剤抽出し、ガスクロマトグラフでこの抽出液中の高沸点炭化水素を検出する。この結果を表5に示す。
・・・
表5の実施例1?4に示されるようにイソブチレンとポリメチルスチレンに共重合体の組成物は製剤の変質や混濁の原因となる揮発物質(高沸点炭化水素、C_(21)定量値)の検出が見られず、比較例に示される如くレギュラーブチルゴム及び塩素化ブチルゴムは多く検出される。また、比較例のゴム栓の製剤接触面にテトラフロロエチレンフィルムをラミネートしたものはゴム栓構造上、一部フィルムがラミネートされていない部分からの揮発物質が微量に検出された。
・・・
【表5】

」(【0031】-【0041】)

記載事項a及びdから、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。
「イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とし、シリカである無基質補強剤を5?60重量部配合して加硫成形してなる粉末製剤用ゴム栓。」(以下、「甲1-1発明」という。)

また、記載事項f(特に比較例1)から、甲1には以下の発明も記載されていると認められる。
「塩素化ブチルゴムを100重量部と、トリアジンチオール化合物を1重量部と、合成ハイドロタルサイトを3重量部と、ステアリン酸カルシウムを0.5重量部と、シランカップリング剤を0.3重量部と、無機補強剤ニプシールVN-3を10重量部と、無機補強剤STカオリンを30重量部含む未加硫ゴム試料を加硫して得た粉末製剤用ゴム栓。」(以下、「甲1-2発明」という。

(イ)甲2には、以下の記載がある。
a-2「【請求項1】
過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマー100質量部に対し、BET法により測定される比表面積が30m^(2)/g?500m^(2)/gである親水性乾式シリカを3質量部?50質量部、および有機過酸化物を0.5質量部?3質量部含有する、含フッ素エラストマー組成物。
・・・
【請求項6】
半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置またはそれらの周辺機器に装着される部品に用いられる、請求項5に記載のゴム部材。
【請求項7】
部品が、シール材、搬送ローラまたは搬送パッドである、請求項5または6に記載のゴム部材。」(特許請求の範囲)

b-2「従って、本発明の目的は、高負荷のかかった状態でプラズマ照射した際において、プラズマによる質量減少のみならず、クラックの発生も良好に抑制されるゴム部材を成形することのできる含フッ素エラストマー組成物を提供することにある。
上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明者らは、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマーに対し、一定範囲の比表面積を有する親水性乾式シリカおよび有機過酸化物を特定範囲の質量比で含有する含フッ素エラストマー組成物を架橋して成形した際に、良好な耐プラズマ性を示し、高負荷のかかった状態でプラズマ照射しても、クラックの発生が良好に抑制されるゴム部材が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。」(【0013】、【0014】)

c-2「本発明の目的には、親水性乾式シリカのBET法により測定される比表面積は30m^(2)/g?500m^(2)/gであり、好ましくは40m^(2)/g?400m^(2)/gであり、より好ましくは50m^(2)/g?300m^(2)/gである。前記比表面積が30m^(2)/g未満であると、得られる含フッ素エラストマー組成物の補強性が弱くなり、該エラストマー組成物を成形して得たゴム部材においてクラックを生じるおそれがある。一方、前記比表面積が500m^(2)/gを超えると、混合加工性および成形加工性が悪くなり、得られるゴム部材の圧縮永久ひずみも悪くなる傾向にある。
なお、BET法により測定される比表面積が40m^(2)/g?400m^(2)/gである親水性乾式シリカは、商業的に入手が容易である。」(【0024】)

d-2「さらに本発明は、上記含フッ素エラストマー組成物を適宜成形することにより、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置またはそれらの周辺機器に装着される部品(シール材、搬送ローラまたは搬送パッドなど)に好適に用い得るゴム部材を提供することができる。
本発明のゴム部材の形状は、特に限定されず、たとえば、Oリング、Dリング、角リング、Xリング、Tリング等のリング形状や、シート形状、円柱形状等が挙げられる。本発明のゴム部材は、金属材料や樹脂材料と接着等により組み合わせた複合体としてもよい。本発明のゴム部材の大きさは、特に限定されず、目的に応じ適宜選ばれる。」(【0036】、【0037】)

e-2 「・・・
【実施例】
・・・
親水性乾式シリカとしては、次のものを用いた。
(a)「アエロジル50」(日本アエロジル株式会社製)、SiO_(2)純度=99.9%
、平均一次粒子径=30nm、BET比表面積=50m^(2)/g
・・・
[実施例1?11および比較例1?7]
表1に示す処方に従い、各成分をオープンロールにて混練して、実施例1?11および比較例1?7の含フッ素エラストマー組成物を得た。次いで、各含フッ素エラストマー組成物を、それぞれプレス成形装置にて160℃で10分間プレス架橋した後、さらに180℃で4時間2次架橋して成形し、シート形状(縦:約150mm、横:約150mm、厚さ:約2mm)、円柱形状(直径:約29mm、高さ:約12.5mm)、およびOリング形状(内径および太さ:AS568-206の規定の通り)の各形状を有するゴム部材を得た。なお、表1中の各成分の含有量は、質量部により示した。
【表1】

実施例1?11および比較例1?7の各含フッ素エラストマー組成物を架橋して得られるゴム部材を用いて、以下の評価を行った。
・・・
(2)圧縮永久ひずみ
・・・
上記についての評価結果は、表2に示した。
【表2】

表2より明らかなように、本発明の実施例1?11の含フッ素エラストマー組成物を架橋して得たゴム部材は良好な常態物性を示し、圧縮永久ひずみも十分に小さいものであった。また、20%伸張した状態でプラズマを照射した場合においても、クラックの発生は認められないか、試料の一部において認められる程度であり、高負荷のかかった状態でプラズマ照射した際に良好な耐プラズマ性を有することが確認された。」(【0037】-【0055】)

(ウ)甲3には、以下の記載がある。
a-3「要旨
・・・
比表面積が400m^(2)/g以上で粒径が20μm以下の球状シリカであれば吸油量も大きく,ゴム中で0.1?0.3μmの微粒子に分散してバウンドラバーを形成し,ゴム補強性に適していることがわかった.一方,低比表面積,低吸油量又は30μm以上の大きい粒径の球状シリカはほとんどバウンドラバーを形成していないことがわかった.」(605頁 要旨)
)
b-3 「3.1 球状シリカの物性
粒径,比表面積,カサ密度,吸油量,pH,バウンドラバー分率,平衡水分の測定結果をTable 3に示す.」(606頁右欄 3.結果と考察 1?4行)

c-3 「

」(607頁)
ここで表3は、甲3のTable 3の部分翻訳文として提出された、甲3-2による。

(エ)周知技術を示す文献(甲4ないし甲10)の記載
甲4には、熱可塑性エラストマーを主成分とし、可視光線透過率が5%以上である、医療用具又は医薬品ゴム栓若しくはゴムピストンに用いるゴム組成物又はその架橋体が記載されており、熱可塑性エラストマーが、イソブチレン-イソプレン共重合体、塩素化イソブチレン-イソプレン共重合体、臭素化イソブチレン-イソプレン共重合体、架橋イソブチレン-イソプレン-ジビニルベンゼン三元共重合体、臭素化イソブチレン-パラメチルスチレン共重合体から選ばれること、上記ゴム組成物にはシリカ系充填剤等の無機系補強剤を添加することができることが記載されている。そして、実施例では、アエロジル200、アエロジルR972、ニップシルVN-3、ニップシルNAであるシリカ系充填剤を使用することが記載されている(特許請求の範囲、【0016】、【0030】、【0031】)。

甲5には、「Nipsil」「ゴム補強用シリカ」と記載されている。また、各種Nipsilにおいて、BET比表面積が、80?210m^(2)/gであることが記載されており、Nipsil VN3は、BET比表面積が、210m^(2)/gであることが記載されている(表紙及び「Nipsil粉体特性(代表値)」なる表)。

甲6には、AEROSIL 50が、BET法による比表面積50±15m^(2)/g、見掛比重約50g/lであり、AEROSIL NAX50が、BET法による比表面積40±10m^(2)/g、見掛比重約60g/lであることが記載されている(「テクニカルデータ」なる表)。

甲7には、「ブチルゴム」が、イソブチレンに少量のイソプレンを共重合させてつくる、略称IIRのものであることが記載されている(「ブチルゴム」の項)。

甲8には、輸液用ゴム栓に使用するゴム栓は、内容医薬品と物理的又は化学的に作用してその性状又は品質に影響を与えないもので、また、微生物の侵入を防止し、内容輸液の使用に支障を与えないものであることが記載されている(B-664 下から10行?下から6行)。

甲9には、「見掛け比重」が「見掛け密度」であり、「見掛け密度」を粉体分野では「かさ密度」ともよぶことが記載されている(「見掛け比重」の項及び「見掛け密度」の項)。

甲10には、「マナセアイト、ハイドロタルク石(manasseite,hydrotalcite)」の産地が、ノルウェーのスナルムなどであることが記載されている(「マナセアイト、ハイドロタルク石」の項)。

イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
a 本件発明1と甲1-1発明とを対比する。
甲1-1発明の「イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマー」は、「ゴム栓」の主成分であることから、「ゴム分」であるということができ、本件発明1の「ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分」と、「ゴム分」である点で一致する。
そして、甲1-1発明の「イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とし、シリカである無機質補強剤を5?60重量部配合」したものは、本件発明1の「ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分、および当該ゴム分の総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下の、BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130gリットル以下のシリカを含むゴム組成物」と、ゴム分とシリカを含むゴム組成物である点で一致し、これを「加硫成形してなる」「ゴム栓」は、「ゴム組成物からなる」「ゴム部品」といえる。
また、甲1-1発明の「粉末製剤用ゴム栓」は、記載事項cからみて「医療用ゴム栓」であるといえるから、本件発明1の「医療用ゴム部品」に包含される。
そうすると、本件発明1と甲1-1発明とは、
「ゴム分およびシリカを含むゴム組成物からなる医療用ゴム部品。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
「シリカ」に関して、本件発明1では「BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下」と特定しているのに対して、甲1-1発明ではこの点についての記載がない点。

<相違点2>
「ゴム分」に関して、本件発明1では「ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種のゴム分」であるのに対して、甲1-1発明では「イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマー」である点。

<相違点3>
「シリカ」の配合量に関して、本件発明1ではゴム分の総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下であるのに対して、甲1-1発明では、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とし、シリカを5?60重量部配合した点。

上記相違点について、検討する。
<相違点1>について
(a)甲2には、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマー100質量部に対し、BET法により測定される比表面積が30m^(2)/g?500m^(2)/gである親水性乾式シリカを3質量部?50質量部、有機過酸化物を0.5質量部?3質量部含有する含フッ素エラストマー組成物が記載されており(記載事項a-2)、BET比表面積が50m^(2)/gの「アエロジル50」を用いた含フッ素エラストマー組成物を架橋して得られるゴム部材の圧縮永久ひずみは十分に小さいものであったことも記載されている(記載事項e-2)。特に表2の実施例1ないし5からは、BET比表面積が小さくなると圧縮永久ひずみが小さくなることが看て取れる(記載事項e-2)。
また、上記親水性乾式シリカの、BET法により測定される比表面積が500m^(2)/gを超えると、得られるゴム部材の圧縮永久ひずみが悪くなる傾向にあることが記載されている(記載事項c-2)。
確かに、上記「アエロジル50」のBET比表面積「50m^(2)/g」の値は、本件発明1の「1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下」の範囲に包含される。また、甲6の記載によれば、「アエロジル50」の見掛比重は約50g/lであり、甲9の記載を併せ考えれば、「アエロジル50」の嵩比重は、本件発明1で規定される「嵩比重30g/リットル以上、130g/リットル以下」の範囲内に包含されるものと解される。
しかし、甲2は、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置またはそれらの周辺機器に装着される部品(シール材、搬送ローラまたは搬送パッドなど)に好適に用いられるものである(記載事項a-2及びd-2)のに対して、甲1-1発明は、粉末製剤用ゴム栓に係るものであり、両者の属する技術分野は異なっているというべきである。
また、甲2は、高負荷のかかった状態でプラズマ照射した際において、プラズマによる質量減少のみならず、クラックの発生も良好に抑制されるゴム部材を成形することのできる含フッ素エラストマー組成物を得ることを課題とするものであるのに対して(記載事項b-2)、甲1-1発明は、医療用ゴム栓として要求される諸特性や日本薬局方輸液用ゴム栓試験規格を満足しかつゴム栓からの揮発物質をなくし、通常粉末、凍結乾燥粉末などの製剤の貯蔵、特に減圧下の貯蔵安定性を向上させることが可能なゴム栓を提供すること、及び、簡単な工程で成形性よく、安価に提供できる構成からなる粉末製剤用ゴム栓を提供することを課題とする(記載事項c)ものであり、両者の課題は異なっている。
さらに、甲2には、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体については何ら記載されていないのに対して、甲1-1発明は、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体に臭素を付加させたポリマーを主成分とするものである。
これらのことに鑑みると、甲1-1発明において、シリカとして、甲2に記載された親水性乾式シリカを使用することに、何らの動機付けは見出せない。
(b)甲3には、比表面積が1.0、1.9、2.3m^(2)/gの球状シリカが記載され、表3から、比表面積が小さいシリカの方が、平衡水分が少ないことも看て取れる(b-3、c-3)。
しかしながら、甲3には、上記比表面積が1.0、1.9、2.3m^(2)/gの球状シリカが、嵩比重30g/リットル以上、130g/リットル以下のものであることについては記載されていない。
また、甲3には、ゴム補強性について、比表面積が400m^(2)/g以上で粒径が20μm以下の球状シリカのものが適している旨記載されている(記載事項a-3)。
これらのことに鑑みると、甲1-1発明において、シリカとして比表面積が400m^(2)/gよりも小さい、「1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下」のものを用いることに、何らの動機付けも見出せないし、万一動機づけられ、甲1-1発明において甲3に記載の上記球状シリカを使用したとしても、当該シリカは、嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下との規定を満たすものであるとはいえない。
(c)さらに、甲1ないし甲3のいずれの部分の記載をみても、また、これらと、周知技術(甲4-10)を併せ考えても、甲1-1発明において、シリカとして、甲2又は甲3に記載されたシリカを使用することに、何らの動機付けも見出せない。
(d)ここで、本件発明1が、相違点1に係る事項を具備することによる効果を検討する。
本件特許明細書の、【0015】、【0016】、実施例、比較例(特に【表4】ないし【表6】及び【0094】)によれば、本件発明1は、「BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下」のシリカを用いることにより、当該規定を満たさない従来のシリカを用いた場合に比して、水分を吸収したり透過したりしにくい上、圧縮永久ひずみが小さいゴム部品が得られるという効果を奏するものと認められる。
これに対して、甲1には、粉末製剤用ゴム栓として従来より用いられているイソブチレンとイソプレン共重合体(IIR)は、低ガス透過性、低水分透過性、耐熱性、耐老化性等の性能を備えることが記載されているものの(記載事項b)、シリカとして特定のBET比表面積及び嵩比重のものを用いることにより、上記本件発明1の効果が奏されることについては、何ら記載も示唆もされていない。
また、甲2及び甲3のいずれの記載をみても、さらに、甲4ないし甲10のいずれの記載をみても、上記本件発明1の効果について、何ら記載も示唆もされていない。
してみると、相違点1に係る事項を具備することによる本件発明1の効果は、甲1ないし甲3に記載された事項、あるいはこれらと周知技術とから、当業者が予測をすることができたものではない。
(e)以上のとおりであるから、相違点1に係る事項は、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、相違点2及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1-1発明、すなわち甲1に記載された発明と甲2及び甲3の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、これらと周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

b 本件発明1と甲1-2発明とを対比する。
甲1-2発明の「塩素化ブチルゴム」は、ハロゲン化ブチルゴムであるから、本件発明1の「ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムよりなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分」に相当する。
甲1-2発明の「無機補強剤ニプシールVN3」は、ゴム補強用シリカであるから(甲5)、本件発明1の「シリカ」に相当する。
さらに甲1-2発明の「塩素化ブチルゴムを100重量部と、トリアジンチオール化合物を1重量部と、合成ハイドロタルサイトを3重量部と、ステアリン酸カルシウムを0.5重量部と、シランカップリング剤を0.3重量部と、無機補強剤ニプシールVN-3を10重量部と、無機補強材STカオリンを30重量部含む未加硫ゴム試料」は、塩素化ブチルゴム100重量部に対して無機補強剤ニプシールVN-3を10重量部含むから、本件発明1の「ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分、および当該ゴム分の総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下の、BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130gリットル以下のシリカを含むゴム組成物」と、ゴム分と、ゴム分の総量100質量部当たり3質量部以上50質量部以下のシリカを含むゴム組成物である点で一致し、当該「未加硫ゴム試料」を「加硫して得た」「ゴム栓」は、「ゴム組成物からなる」「ゴム部品」といえる。
また、甲1-2発明の「粉末製剤用ゴム栓」は、記載事項cからみて「医療用ゴム栓」であるといえるから、本件発明1の「医療用ゴム部品」に包含される。
してみると、本件発明1と甲1-2発明とは、
「ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種のゴム分、および当該ゴム分の総量100質量部あたり3質量部以上、50質量部以下のシリカを含むゴム組成物からなる医療用ゴム部品。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4>
「シリカ」に関して、本件発明1では、「BET比表面積が1m^(2)/g以上、60m^(2)/g以下で、かつ嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下」と特定するのに対して、甲1-2発明では、「ニプシールVN-3」である点。

上記相違点4について検討する。
甲2及び甲3には、上記aの相違点1についての検討(a)及び(b)において述べたとおりの事項が記載されている。
しかしながら、甲1-2発明は、甲1-1発明と同様に、粉末製剤用ゴム栓に係るものであって、甲2とは属する技術分野が異なり、甲1-2発明において甲2に記載された親水性乾式シリカを使用することに何らの動機付けは見出せない。
また、甲3の、ゴム補強性について、比表面積が400m^(2)/g以上で粒径が20μm以下の球状シリカのものが適している旨の記載(記載事項a-3)に鑑みれば、甲1-2発明において、「ニプシールVN-3」に代えて甲3に記載されたBET比表面積が1.0、1.9、2.3m^(2)/gのシリカを使用することに何らの動機付けは見出せないし、仮に見出せたとしても、甲3に記載された、BET比表面積が1.0、1.9、2.3m^(2)/gのシリカは、嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下との規定を満たすものであるとはいえない。
そもそも甲1-2発明は、塩化ブチルゴムを使用したことから、分子鎖の短いオリゴマー等の物質が揮発するという問題を有するものであり(記載事項b、e(特に表5))、医療用ゴム栓として要求される医療用ゴム栓として要求される諸特性や日本薬局方輸液用ゴム栓試験規格を満足しかつゴム栓からの揮発物質をなくし、通常粉末、凍結乾燥粉末などの製剤の貯蔵、特に減圧下の貯蔵安定性を向上させることが可能なゴム栓を提供するという甲1の課題(記載事項c)を解決し得ないものである。
そうであれば、甲1-2発明において、塩化ブチルゴムはそのまま使用し、「ニプシールVN-3」に代えて、甲2又は甲3に記載のシリカを使用することには、何らの動機付けも見出せない。
さらに、相違点4に係る事項を具備することによる本件発明1は、上記aの相違点1についての検討(d)で述べたものと同じ理由により、甲1ないし甲3に記載された事項、あるいはこれらと周知技術とから、当業者が予測をすることができたものではない。
以上のとおりであるから、相違点4に係る事項は、当業者が容易に想到しうるものではない。
したがって、本件発明1は、甲1-2発明、すなわち甲1に記載された発明と甲2及び甲3の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、これらと周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(イ)本件発明2及び本件発明3について
本件発明2及び本件発明3は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、上記(ア)で述べたものと同様の理由により、甲1に記載された発明と甲2及び甲3の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、これらと周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 小括
よって、取消理由1によっては、本件発明1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。

(2)取消理由2について
ア 申立人の主張する取消理由2は、要するに、
甲11をみれば、シリカの嵩比重の値は、その測定方法や測定条件に依存するということが本件特許出願時の技術常識であるところ、請求項1にはシリカの嵩比重の根拠となる規格も測定方法も測定条件も一切規定されておらず、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許出願時の技術常識を考慮しても、単に「嵩比重」として表される値が如何なる測定方法によって規定された値であるのか当業者が特定できないから、本件発明1は明確でない、
というものである。
ここで、甲11には、「粉体の仕様表示方法に関するガイドライン」として、以下の事項が記載されている。
「6.3 表示方法
(1)粉体の仕様に密度を表示するときは,
1)規格類による場合には,その規格類の番号又は名称を記述し,それに従って表示を行う。また必要事項がある場合には追加する。
2)規格類がない場合には,必要に応じて用語とその定義,測定方法,測定条件等を明示する。
・・・
6.4 試験方法・測定方法の表示
粉体の粒子密度,真密度,及びかさ密度の仕様表示を行うに当たって,試験方法・測定方法を表示する場合には,
(1)規格類による場合は,その規格類の番号又は名称を記述し,それに従って表示を行う。また必要事項がある場合には追加する。
(2)規格類がない場合は,測定装置名又は基本となる原理名,容器名等必要事項を明示する。
(3)かさ密度を規格類によらないで仕様表示する場合には,測定方法,容器の大きさ,充てん方法を明示する。
また,タッピング,振動などを使用する場合には,タッピング高さ,タッピング速度,衝撃面材料,タッピング回数等の必要事項を明記する。」

イ 当審の判断
確かに甲11には、かさ比重の仕様表示の際、規格や、測定方法等を明示することが記載されている。
一方、本件特許出願時の技術常識、本件特許明細書をみると、本件発明1のBET比表面積、嵩比重の両範囲を満足するシリカの具体例として、東ソー・シリカ(株)製のNipsil(登録商標)EL〔湿式法(沈殿法)シリカ、BET比表面積:30?60m^(2)/g、嵩比重:80?130g/リットル〕の合成シリカ、及び、U.S.Silica(USシリカ)社製のMIN-U-SIL(登録商標)5〔BET比表面積:2.06m^(2)/g、嵩比重:30g/リットル〕、10、15、30;UNIMIN(ユニミン)社製のIMSIL(登録商標)A-8、A-10、A-15、A-25、A-108;(株)龍森製のCRYSTALITE(登録商標)A-A、VX-S、VX-S2、VX-SRの天然シリカが例示されている(【0029】、【0030】)。そして実施例では、Nipsil(登録商標)ELとU.S.Silica(USシリカ)社製のMIN-U-SIL(登録商標)5が使用されている。
そうすると、本件発明1における「嵩比重」とは、規格や測定方法等の明示はないものの、上記例示あるいは実施例で使用されたシリカが、「30g/リットル以上、130g/リットル以下」の値を示すような測定方法により測定されるものであるということができ、本件発明1の「嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下のシリカ」とは、そのような測定方法で測定されたときに、「30g/リットル以上、130g/リットル以下」との嵩比重を有するシリカを意味するものといえる。
してみると、本件発明1の「嵩比重が30g/リットル以上、130g/リットル以下のシリカ」なる記載の意味するところは明確であって、このことは、「嵩比重」自体の根拠となる規格や、測定方法または測定条件が具体的に規定されていないことに、何ら左右されない。
よって、本件発明1は明確であり、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第2項の規定に違反するものであるとはいえない。
本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明2及び3についても、同様である。

ウ 小括
よって、取消理由2によっては、本件発明1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。

第4 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。
また、本件発明1ないし3に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものではなく、これらの特許は、同法第113条第4号に該当せず、取り消すべきものではない。
また、ほかに本件発明1ないし3に係る特許を取り消すべき理由もない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-11-21 
出願番号 特願2014-146025(P2014-146025)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08L)
P 1 651・ 537- Y (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 督  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 海老原 えい子
小柳 健悟
登録日 2018-02-16 
登録番号 特許第6288850号(P6288850)
権利者 住友ゴム工業株式会社
発明の名称 医療用ゴム部品  
代理人 京村 順二  
代理人 川崎 実夫  
代理人 稲岡 耕作  

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