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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H01H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01H
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01H
管理番号 1346990
審判番号 不服2017-16627  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-08 
確定日 2018-12-13 
事件の表示 特願2014-227035号「接点付きダイヤフラムを製造する方法、および、それにより製造された接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月23日出願公開、特開2016- 91887号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年11月7日の出願であって、平成29年2月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月8日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成29年11月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成29年11月8日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正の内容
平成29年11月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)における特許請求の範囲の補正は、請求項1?3及び6を補正するものであり、その前後の記載は次のとおりである。
なお、下線部は補正箇所を示す。
(1)本件補正前の請求項1?3及び6の記載
「【請求項1】
薄板金属材料で作られた素材に、可動接点部を形成するように、耐久性を有しダイヤフラムとの電気導通性を与える接点素材を接合し、接点付きダイヤフラム用素材を形成し、
前記接点付きダイヤフラム用素材を打ち抜き、接点付きダイヤフラムを形成することを含む接点付きダイヤフラムを製造する方法。
【請求項2】
薄板金属材料で作られた素材を、形状がダイヤフラムに対応するダイヤフラム素材に打ち抜き、
前記ダイヤフラム素材に、円環状の当接面を有する可動接点部を形成するように、耐久性を有しダイヤフラムとの電気導通性を与える接点素材を接合し、接点付きダイヤフラムを形成することを含む接点付きダイヤフラムを製造する方法。
【請求項3】
放射状に分岐した複数の部分からなる当接面を有する固定接点部を有する接続端子を内側に収容するハウジングと、
作動圧力が供給される管路に連通する受圧室と、
接点付きダイヤフラムを形成するために打ち抜かれたダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラムと、を備え、
前記接点付きダイヤフラムは、前記受圧室の圧力に応じて変位せしめられ、
前記接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、前記固定接点部に当接される円環状の可動接点部を形成し、前記可動接点部が前記ダイヤフラムとの電気的導通性を有することを特徴とする接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ。
【請求項6】
円環状に形成される当接面を有する固定接点部を有する接続端子を内側に収容するハウジングと、
作動圧力が供給される管路に連通する受圧室と、
接点付きダイヤフラムを形成するために打ち抜かれたダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラムと、を備え、
前記接点付きダイヤフラムは、前記受圧室の圧力に応じて変位せしめられ、
前記接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、前記固定接点部に当接される放射状に分岐した複数の部分からなる当接面を有する可動接点部を形成し、前記可動接点部が前記ダイヤフラムとの電気的導通性を有することを特徴とする接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ。」
(2)本件補正後の請求項1?3及び6の記載
「【請求項1】
薄板金属材料で作られた素材に、可動接点部を形成するように、耐久性を有しダイヤフラムとの電気導通性を与える固定接点部の突起部と接触する接点素材を接合し、前記可動接点部が表面に突出するように接点付きダイヤフラム用素材を形成し、
前記接点付きダイヤフラム用素材を打ち抜き、接点付きダイヤフラムを形成することを含み、
前記可動接点部が、複数箇所で前記固定接点部の突起部と接触する形状となっていることを特徴とする接点付きダイヤフラムを製造する方法。
【請求項2】
薄板金属材料で作られた素材を、形状がダイヤフラムに対応するダイヤフラム素材に打ち抜き、
前記ダイヤフラム素材に、円環状の当接面を有する可動接点部を形成するように、耐久性を有しダイヤフラムとの電気導通性を与える固定接点部の突起部と接触する接点素材を接合し、前記可動接点部が前記ダイヤフラム素材の表面に突出するように、接点付きダイヤフラムを形成することを含み、
前記可動接点部が、複数箇所で前記固定接点部の突起部と接触する形状となっていることを特徴とする接点付きダイヤフラムを製造する方法。
【請求項3】
放射状に分岐した複数の部分からなる当接面を有する突起部を備える固定接点部を有する接続端子を内側に収容するハウジングと、
作動圧力が供給される管路に連通する受圧室と、
接点付きダイヤフラムを形成するために打ち抜かれたダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラムと、を備え、
前記接点付きダイヤフラムは、前記受圧室の圧力に応じて変位せしめられ、
前記接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、前記固定接点部に当接される円環状の可動接点部を形成し、前記可動接点部が前記ダイヤフラムとの電気的導通性を有し、
前記ダイヤフラム素材の表面に突出する前記可動接点部が、複数箇所で前記固定接点部の突起部と接触する形状となっていることを特徴とする接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ。
【請求項6】
円環状に形成される当接面を有する突起部を備える固定接点部からなる接続端子を内側に収容するハウジングと、
作動圧力が供給される管路に連通する受圧室と、
接点付きダイヤフラムを形成するために打ち抜かれたダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラムと、を備え、
前記接点付きダイヤフラムは、前記受圧室の圧力に応じて変位せしめられ、
前記接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、前記固定接点部に当接される放射状に分岐した複数の部分からなる当接面を有する可動接点部を形成し、前記可動接点部が前記ダイヤフラムとの電気的導通性を有し、
前記ダイヤフラム素材の表面に突出する前記可動接点部が、複数箇所で前記固定接点部の突起部と接触する形状となっていることを特徴とする接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ。」

2.補正の適否
(1)補正の目的について
ア 請求項1に係る補正について
請求項1に係る補正(以下、「補正事項1」という。)は、「接点付きダイヤフラム用素材を形成する」ことに関して、薄板金属材料で作られた素材に接合する接点素材が「固定接点部の突起部と接触する」こと、及び、「可動接点部が表面に突出するように」形成されることを特定するとともに、「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」ことを特定するものである。
上記補正事項1の「固定接点部の突起部と接触する」との事項は、固定接点部に突起部が形成されていることを特定するものであり、固定接点部の形状を特定するものといえ、また、補正事項1の「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」との事項は、可動接点部の形状を固定接点部の形状(突起部)との関係で特定しようとするものである。
ところで、補正前の請求項1には、「可動接点部」が形成されたダイヤフラムを製造するための「接点付きダイヤフラムを製造する方法」が記載されているところ、「固定接点部」は記載されておらず、ダイヤフラムに形成されるものでもないので、「固定接点部」は、補正前の請求項1に係る発明において発明を特定するために必要な事項であったとはいえない。
そうすると、補正事項1は、補正前の請求項1に係る発明において、発明を特定するために必要な事項とはいえない「固定接点部」の形状を特定する補正を含むとともに、その固定接点部の形状に関する補正を前提として可動接点部の形状を特定するものであるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第1、3又は4号に掲げる事項を目的とするものともいえない。

イ 請求項2に係る補正について
請求項2に係る補正(以下、「補正事項2」という。)は、「接点付きダイヤフラムを形成する」ことに関して、ダイヤフラム素材に接合する接点素材が「固定接点部の突起部と接触する」こと、及び、「可動接点部がダイヤフラム素材の表面に突出するように」形成されることを特定するとともに、「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」ことを特定するものである。
上記補正事項2の「固定接点部の突起部と接触する」との事項は、固定接点部に突起部が形成されていることを特定するものであり、固定接点部の形状を特定するものといえ、また、補正事項2の「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」との事項は、可動接点部の形状を固定接点部の形状(突起部)との関係で特定しようとするものである。
ところで、補正前の請求項2には、「可動接点部」が形成されたダイヤフラムを製造するための「接点付きダイヤフラムを製造する方法」が記載されているところ、「固定接点部」は記載されておらず、ダイヤフラムに形成されるものでもないので、「固定接点部」は、補正前の請求項1に係る発明において発明を特定するために必要な事項であったとはいえない。
そうすると、補正事項2は、補正前の請求項2に係る発明において、発明を特定するために必要な事項とはいえない「固定接点部」に関する補正を含むとともに、その固定接点部の形状に関する補正を前提として可動接点部の形状を特定するものであるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第1、3又は4号に掲げる事項を目的とするものともいえない。

ウ 請求項3に係る補正について
請求項3に係る補正(以下、「補正事項3」という。)は、補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である「固定接点部」について「突起部を備える」と限定するとともに、同じく発明を特定するために必要な事項である「可動接点部」について「ダイヤフラム素材の表面に突出する可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」と限定するものである。
そして、補正の前後において請求項3に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項3は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。

エ 請求項6に係る補正について
請求項6に係る補正(以下、「補正事項4」という。)は、補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「固定接点部」について「突起部を備える」と限定するとともに、同じく発明を特定するために必要な事項である「可動接点部」について「ダイヤフラム素材の表面に突出する可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」と限定するものである。
そして、補正の前後において請求項6に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項4は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。

オ 補正の目的についての小括
以上のとおりであるので、補正事項1及び2は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものとはいえない。
したがって、補正事項1及び2を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件について
仮に、上記補正事項1及び2が特許請求の範囲の減縮を目的とするものとして、本件補正後の請求項1及び3に係る発明(以下、「本願補正発明1及び3」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

ア 本願補正発明1について
本願補正発明1は、上記「1.(2)本件補正後の請求項1?3及び6の記載」の【請求項1】に記載したとおりの「接点付きダイヤフラムを製造する方法」であり、可動接点部が形成されたダイヤフラムの製造方法に関するものである。
ここで、本願補正発明1は「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」との事項を有しており、当該事項は固定接点部の突起部の形状が特定されていることを前提として可動接点部の形状を特定するものといえるが、固定接点部の突起部の形状は特定されていないため、固定接点部の突起部と複数箇所で接触する可動接点部の形状は特定できず明確とはいえない。
よって、本願補正発明1は明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

イ 本願補正発明3について
(ア)本願補正発明3
本願補正発明3は、上記「1.(2)本件補正後の請求項1?3及び6の記載」の【請求項3】に記載したとおりのものと認める。
(イ)引用文献
a 引用文献1に記載された事項及び引用発明1
原査定の拒絶の理由で「引用文献1」として引用された(後記「第3 2.」参照。)、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭52-16770号(実開昭53-113379号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に、第3図及び第4図)とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様である。
(a)
「第1図に本考案の一実施例による負圧スイッチの内部構造を示し、第2図にその要部部品を示しており、図において1は筐体で、この筐体1には自動車のエンジンのインテークマニホールドに設けた負圧取出部に取付けるためのねじ部2とその負圧取出部に連通する負圧吸引部3が設けられている。
4はその筐体1内にシールパッキン5を介して固定される導電性の金属ダイアフラムで、この金属ダイアフラム4は前記筐体1とともに前記負圧吸引部3に連通する空間6を形成し、この空間6の圧力変化、すなわちインテークマニホールド負圧の変化により弾発性の反転動作を行なうものである。
7は周端部に金属リング8を取付けた非導電性の樹脂よりなるケーシング部材で、このケーシング部材7は、金属リング8をインサートモールド成形により取付けることにより構成されるとともに前記金属ダイアフラム4の周縁部に前記金属リング8の端面を当接させて前記筐体1の開口部周縁を内側に折曲させることにより筐体1に取付けられ、またこのケーシング部材7を前記筐体1に取付けることにより、前記金属ダイアフラム4の周縁部が金属リング8を介して筐体1に押付けられて筐体1に固定されている。また、このケーシング部材7には、前記金属ダイアフラム4が上方向に彎曲しているときにその金属ダイアフラム4のほぼ中央部に電気的に接触する棒状の固定接点端子9を保持するための貫通孔7aが設けられている。なお、10はその固定接点端子9の金属ダイアフラム4と電気的に接触する側の先端に取付けた接点、11はケーシング部材7に設けた通気孔で、この通気孔11により金属ダイアフラム4の上方への反転動作時における空気抵抗をなくしている。」(明細書3頁4行?4頁18行)
(b)
「上記構成における負圧スイッチでは、インテークマニホールド負圧が変化すると、筐体1の負圧吸引部2および空間6の圧力が変化し、これによって、金属ダイアフラム4が下方に反転して金属ダイアフラム4が固定接点端子9の接点10から離れるというように、この金属ダイアフラム4と固定接点端子9とからなる電気的スイッチ部の接点が開くのである。また、インテークマニホールド負圧がもとの状態にもどると、金属ダイアフラム4が上方に反転して金属ダイアフラム4と固定接点端子9の接点10とが電気的に接触してこの電気的スイッチ部の接点が閉じるのである。」(明細書4頁19行?5頁10行)
(c)
「第3図および第4図に本考案の他の実施例による負圧スイッチを示しており、この第3図および第4図に示す負圧スイッチは、固定接点端子9にねじ部9aを設け、ケーシング部材7に螺合により取付け、また金属ダイアフラム4の前記固定接点端子9の接点10に電気的に接触する部分に接点12を溶接やろう付け等により取付けたものである。」(明細書6頁18行?7頁5行)
(d)
上記(b)の記載事項及び第3図の記載からみて、金属ダイアフラム4の接点12は、空間6内が負圧から元の状態にもどると、固定接点端子9の接点10と当接すると認められる。
(e)
上記(b)及び(c)の記載事項から、接点12は金属ダイアフラム4との電気的導通性を有していると認められる。

引用文献1には、上記の記載事項、認定事項及び第3図及び第4図の記載からみて、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明1〕
「先端に接点10が取り付けられた固定接点端子9を保持するケーシング部材7と、
インテークマニホールドに設けた負圧取出部に連通する負圧吸引部3に連通する空間6と、
金属ダイアフラム4に接点12を取り付けた接点12付き金属ダイアフラム4と、を備え、
接点12付き金属ダイアフラム4は、前記空間6の圧力変化により弾発性の反転動作を行ない、
前記接点12が、該空間6内が負圧から元の状態にもどると、前記接点10に接触する接点12を形成し、前記接点12が前記金属ダイアフラム4との電気的導通性を有し、
前記金属ダイアフラム4に溶接やろう付け等により取り付けた前記接点12が、前記接点10と接触する形状となっている接点12付き金属ダイアフラム4を備える負圧スイッチ。」

b 引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由で「引用文献6」として引用された(後記「第3 2.」参照。)、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-322963号公報(以下、「引用文献6」という。)には、図面(特に、図2?4)とともに次の事項が記載されている。
(a)
「【0005】この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、接点形状の変更により、異物付着による導通不良を生じ難いよう改良され、動作信頼性に優れたスイッチの接点構造を提供することを目的としている。」
(b)
「【0018】図2?図4に示されているように、可動接点17は、固定接点13との対向面側の中央部に窪み29を有し、固定接点13との対向面側にその外郭形状に沿って延在するドーナツ形(円環形)の突条31を有し、ドーナツ形接点をなしている。固定接点13はドーナツ形接点である可動接点17を横切る方向に延在するクロスバー形(蒲鉾形)接点をなし、可動接点17の中央部の窪み29を跨いだ両側の突条31と接触している。」
(c)
「【0020】固定接点13と可動接点17とはクロスバー形接点とドーナツ形接点との組み合わせになり、固定接点(クロスバー形接点)13は可動接点(ドーナツ形接点)17の中央部の窪み29を跨いだ両側の突条31と接触し、この接点同士の接触点はa点とb点の2点になる。
【0021】これにより、a点とb点とに同時に異物が付着しない限り、導通不良を生じなくなり、導通不良が生じ難くなる。」
(d)
「【0024】このため、対をなす接点はドーナツ形接点とクロスバー形接点との組み合わせになり、クロスバー形接点はドーナツ形接点の中央部を跨いだ両側でドーナツ形接点と接触し、この接点同士の接触点が多点(2点)となり、導通不良が生じ難くなり、動作信頼性が高くなる。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献6には、次の技術事項(以下、「引用文献6に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
〔引用文献6に記載の技術事項〕
「異物付着による導通不良が生じ難く、動作信頼性を高くするために、
ドーナツ形(円環形)の突条31を有する可動接点17と、クロスバー形(蒲鉾形)接点をなす固定接点13とにより、接点同士の接触点を多点(2点)とする接点構造。」

(ウ)対比・判断
本願補正発明3と引用発明1とを対比する。
後者の「接点10」は、固定接点端子9の先端に取り付けられたものであり、先端から突出している部分を有しているといえ、また接点12と接触するものであり、当接面を有しているといえるので、前者の「放射状に分岐した複数の部分からなる当接面を有する突起部を備える固定接点部」と、「当接面を有する突起部を備える固定接点部」である限りにおいて一致する。
後者の「先端に接点10が取り付けられた固定接点端子9」は、前者の「固定接点部を有する接続端子」に相当する。
後者の「固定接点端子9を保持するケーシング部材7」は、前者の「接続端子を内側に収容するハウジング」に相当する。
後者の「負圧吸引部3に連通する空間6」は、前者の「管路に連通する受圧室」に相当する。
後者の「金属ダイアフラム4に接点12を取り付けた接点12付き金属ダイアフラム4」は、前者の「接点付きダイヤフラムを形成するために打ち抜かれたダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラム」と、「接点付きダイヤフラムを形成するためにダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラム」である限りにおいて一致する。
後者の金属ダイアフラム4に取り付けられた「接点12」は、前者のダイヤフラム素材が接合された「接点素材」及び「接点」並びに「可動接点部」に相当する。
後者の「接点12付き金属ダイアフラム4」は、前者の「接点付きダイヤフラム」に相当する。
後者の「接点12付き金属ダイアフラム4は、空間6の圧力変化により弾発性の反転動作を行な」うことは、前者の「接点付きダイヤフラムは、受圧室の圧力に応じて変位せしめられ」ることに相当する。
後者の「空間6内が負圧から元の状態にもどる」ことは、空間6内の圧力が上昇することであるので、前者の「受圧室内の圧力が所定値以上の場合」に相当する。
後者の「接点12が、該空間6内が負圧から元の状態にもどると、接点10に接触する接点12を形成」することは、前者の「接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、固定接点部に当接される円環状の可動接点部を形成」することと、「接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、固定接点部に当接される可動接点部を形成」する限りにおいて一致する。
後者の「接点12が金属ダイアフラム4との電気的導通性を有」することは、前者の「可動接点部がダイヤフラムとの電気的導通性を有」することに相当する。
後者の「金属ダイアフラム4に溶接やろう付け等により取り付けた接点12」は、その取付け態様に鑑みれば、金属ダイアフラム4の表面に突出して取り付けているといえ、接点10へ接触することと併せみれば、前者の「ダイヤフラム素材の表面に突出する可動接点部」に相当する。
後者の「接点12が、接点10と接触する形状となっている」ことは、前者の「可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」ことと、「可動接点部が、固定接点部の突起部と接触する形状となっている」限りにおいて一致する。
後者の「負圧スイッチ」は、前者の「圧力スイッチ」に相当する。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1〕
「当接面を有する突起部を備える固定接点部を有する接続端子を内側に収容するハウジングと、
管路に連通する受圧室と、
接点付きダイヤフラムを形成するためにダイヤフラム素材が接合された接点素材により形成された接点付きダイヤフラムと、を備え、
前記接点付きダイヤフラムは、前記受圧室の圧力に応じて変位せしめられ、
前記接点素材が、該受圧室内の圧力が所定値以上の場合、前記固定接点部に当接される可動接点部を形成し、前記可動接点部が前記ダイヤフラムとの電気的導通性を有し、
前記ダイヤフラム素材の表面に突出する前記可動接点部が、前記固定接点部の突起部と接触する形状となっていることを特徴とする接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ。」
〔相違点1〕
本願補正発明3では、受圧室に連通する管路が、「作動圧力が供給される管路」であるのに対し、引用発明1では、かかる管路が、「インテークマニホールドに設けた負圧取出部に連通する負圧吸引部3」であって、負圧が供給される管路である点。
〔相違点2〕
本願補正発明3では、ダイヤフラム素材が接点付きダイヤフラムを形成するために「打ち抜かれ」ているのに対し、引用発明1では、金属ダイアフラム4が「打ち抜かれ」てなるものであるか否かが不明である点。
〔相違点3〕
本願補正発明3は、固定接点部が「放射状に分岐した複数の部分からなる」当接面を有し、可動接点部が「円環状」に形成されており、可動接点部が、「複数箇所で」固定接点部の突起部と接触する形状となっているのに対して、引用発明1は、接点10と接点12の形状及び接触状態がそのように特定されていない点。

上記各相違点について、以下検討する。
〔相違点1について〕
本願補正発明3において、「作動圧力」が正圧ないし陽圧であることは限定されておらず、また、本願明細書には「本発明に係る圧力スイッチの一例においては、常開型スイッチに適用されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、常閉型スイッチに適用されてもよいことは勿論である。」(段落【0048】)とも記載されているから、「作動圧力」が「常閉型スイッチ」を「開」状態にする負圧であることは排除されていないものと解される。そうすると、相違点1は、実質的な相違点ではない。
仮に、相違点1が実質的な相違点であったとしても、ダイアフラムを有する圧力スイッチにおいて「作動圧力」をどのようなものとするかは、圧力スイッチを使用する装置の特性に応じて当業者が適宜設定するものにすぎず、したがって、相違点1に係る本願補正発明3の構成は、当業者であれば容易に想到し得たものというほかはない。
〔相違点2について〕
引用発明1における「金属ダイアフラム4」は、引用文献1の第4図からみて、金属薄板を円形に形成したものと解され、また、ダイアフラムを金属薄板を打ち抜いて形成することは技術常識といえるので、引用発明1における「金属ダイアフラム4」を「打ち抜かれ」てなるものとして、相違点2に係る本願補正発明3の構成を想到することは、当業者であれば容易になし得たことである。
〔相違点3について〕
引用文献6には、スイッチの接点構造として、異物付着による導通不良が生じ難く、動作信頼性を高くするために、可動接点17をドーナツ形(円環形)の突条31を有する接点とし、固定接点13をクロスバー形(蒲鉾形)接点とすることで、接点同士の接触点を多点(2点)とすることが記載されている(上記「引用文献6に記載の技術事項」参照)。
スイッチの接点構造において、接点同士の導通不良を抑制し動作信頼性を向上させることは周知の課題といえ、引用発明1における接点10と接点12との間においても、そのような課題が内在することは明らかといえるので、引用文献6に記載の事項を適用する動機付けは十分にあるといえる。
そうしてみると、引用発明1の接点10、接点12に、引用文献6に記載の事項を適用し、一方をドーナツ形、他方をクロスバー形とすることにより接点同士の接触点を「多点(2点)」とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえ、また、接点の間の接触点が多いほど導通不良を生じ難くできることは明らかであるほか、引用文献6は接触点を一般に「多点」とすることを示唆しているともいえるから、接触点を増やすべく、クロスバー形を放射状に分岐する形状とすることは、当業者が適宜になし得た設計的事項といえる。
よって、引用発明1を、相違点3に係る本願補正発明3の構成とすることは、引用文献6に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たといえる。

また、本願補正発明3の相違点3に係る構成に関して、本願の明細書には、
「【0027】
これにより、ダイヤフラム20Bが反転した場合、固定接点13における十字状の当接面13btが、図1に拡大されて示されるように、4箇所で円環状の可動接点部20brに当接されることとなる。従って、・・・万一、反転したダイヤフラムの頂点と固定接点13の一部との間に異物が侵入した場合であっても、ダイヤフラムおよび固定接点との相互間の確実な電気的接続を図ることができる。また、・・・4箇所で均等の圧力で円環状の可動接点部20brに当接されるのでダイヤフラムの反転時の衝撃力が分散されるとともに、ダイヤフラム20Bの円環状の可動接点部20brの耐久性が向上する。」
と記載されているが、当該作用及び効果を含めて本願補正発明3の奏する作用及び効果を総合的に検討しても、引用発明1及び引用文献6に記載の技術事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。

よって、本願補正発明3は、引用発明1及び引用文献6に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

ウ 独立特許要件についての小括
以上のとおりであるので、本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.むすび
本件補正は、上記「(1)オ」で述べたとおり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に適合するとしても、上記「(2)ウ」で述べたとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?10に係る発明は、平成29年4月28日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1及び3に係る発明(以下、「本願発明1及び3」という。)は、上記「第2 1.(1)本件補正前の請求項1?3及び6の記載」の【請求項1】及び【請求項3】に記載されたとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、また、この出願の請求項3に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献6及び7に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.実願昭52-16770号(実開昭53-113379号)のマイクロフィルム
引用文献2.特開平5-282960号公報
引用文献3.実願昭57-113386号(実開昭59-18319号)のマイクロフィルム
・・・(省略)・・・
引用文献6.特開2000-322963号公報
引用文献7.実願昭55-111993号(実開昭57-34908号)のマイクロフィルム
・・・(省略)・・・

3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、上記「第2 2.(2)イ(イ)a」に記載したとおりの記載事項が記載されているので、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明2〕
「金属ダイアフラム4に接点12を溶接やろう付け等により取付けた接点12付き金属ダイアフラム4を製造する方法。」

(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面(特に、【図1】及び【図2】)とともに次の事項が記載されている。

「【0008】
【実施例】本発明の電気接点の製造方法の一実施例を図によって説明すると、図1に示す厚さ 0.1mm、幅20mmのリン青銅よりなる帯状台材5をパイロット穴6により順送りしながら接点取付穴の穴抜き、穴成形を行って直径 1.9mmの接点取付穴7を形成し、一方帯状台材5の送り方向と直交する方向より厚さ 0.2mm、幅3mmのAuAg8%/Agのクラッドテープ8を厚さ 0.6mm、幅6mmのCuのベース帯材9にインレイ接合したクラッド接点帯材10をその下面中央長手方向に 2.5mmピッチで直径 1.2mm、深さ 0.3mmの凹溝11を形成しながらパイロット穴6により順送りし、次に前記帯状台材5の接点取付穴7の位置で前記クラッド接点帯材10を凹溝11の外側位置でプレス抜きして得た図2に示す直径 1.8mm、高さ 0.6mmの円形のクラッド接点材12を接点取付穴7に挿入して仮かしめを行い、次いでこの仮かしめを行ったクラッド接点材12を有する帯状台材5の順送り後クラッド接点材12の凹溝11を図3に示すように外側に拡げて接点取付穴7に本かしめし、然る後このクラッド接点材12を本かしめした帯状台材5を図1に示すように一端円弧の半長円形にプレス抜きして、電気接点13を得た。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
〔引用文献2に記載の技術事項〕
「帯状台材5を順送りしながら接点取付穴7を形成し、クラッド接点材12を接点取付穴7に挿入して本かしめし、然る後このクラッド接点材12を本かしめした帯状台材5をプレス抜きして、電気接点13を得ること。」

(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面(特に、第6図及び第7図)とともに次の事項が記載されている。

「次に第7図について説明する。第6図に示したものと同様なる帯状材13から、順送り加工して可動接片を完成させるわけであるが、この例ではスポツト溶接によつて接点素材を固着し、さらにそれを潰し加工して所定の可動接点形状に成形させる。
順送りの各加工位置(a)?(f)においては次の処理が行なわれる。即ち、(a).突出(ボス)部19が形成される。(b).接点素材15′が突出部19上にスポツト溶接により堅固に固着される。(c).潰し加工により所定の可動接点形状に成形される。(d).外形両側部の打抜き加工がなされる。(e).曲げ加工がなされる。(f).切り落しにより可動接片17が完成される。」(明細書12頁2?15行)

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下、「引用文献3に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「帯状材13を順送りし、接点素材15′がスポット溶接により固着され、外形両側部の打抜き加工がなされ、切り落しにより可動接片17を完成させること。」

(4)引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6に記載された事項及び「引用文献6に記載の技術事項」は、上記「第2 2.(2)イ(イ)b」に記載したとおりである。

4.対比・判断
(1)本願発明3
本願発明3は、上記「第2 2.(2)イ」で検討した本願補正発明3から「突起部を備える」との事項及び「ダイヤフラム素材の表面に突出する可動接点部が、複数箇所で固定接点部の突起部と接触する形状となっている」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明3の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本願補正発明3が、前記「第2 2.(2)イ(ウ)」に記載したとおり、引用発明1及び引用文献6に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明3も、実質的に同様の理由により、引用発明1及び引用文献6に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本願発明1
本願発明1と引用発明2とを対比する。
後者の「金属ダイアフラム4」は、ダイアフラムとして機能するものであるから、薄板金属材料の素材からなることは技術常識といえる。
後者の「接点12」は、その機能、構成からみて、前者の「可動接点部」及び「接点」に相当し、また、後者の「接点12」は、金属ダイアフラム4に取り付けられる前においては接点素材といえ、その機能に鑑みれば、前者の「ダイヤフラムとの電気導通性を与える接点素材」に相当する。
後者の「接点12付き金属ダイアフラム4」は、前者の「接点付きダイヤフラム」に相当する。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2〕
「薄板金属材料で作られた素材に、可動接点部を形成するように、ダイヤフラムとの電気導通性を与える接点素材を接合する、接点付きダイヤフラムを製造する方法。」
〔相違点4〕
本願発明1は、接点素材が「耐久性を有し」と特定されているのに対して、引用発明2は、接点12がそのように特定されていない点。
〔相違点5〕
本願発明1は、「接点付きダイヤフラム用素材を形成し、接点付きダイヤフラム用素材を打ち抜き、接点付きダイヤフラムを形成することを含む」のに対し、引用発明2では、薄板金属素材に接点12を溶接等してから金属ダイアフラム4の形状に打ち抜くことの特定が成されていない点。

上記各相違点について、以下検討する。
〔相違点4について〕
接離を繰り返すスイッチの接点に耐久性が求められるのは技術常識といえ、また、スイッチの部品に限らず、耐久性を有した部品を用いることは技術常識といえる。
そうしてみると、引用発明2の接点12を、耐久性を有したものとすることは、当業者が適宜になし得たことといえる。
〔相違点5について〕
引用文献2及び3に記載されるように、帯状材(所定の長さを有するものである)に、接点材を接合し、その後、所要の形状に打ち抜く、スイッチの接点部の製造方法は周知の事項といえる(「引用文献2に記載の技術事項」、「引用文献3に記載の技術事項」を参照)。
そうしてみると、引用発明2に、上記周知の事項を適用し、相違点5に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。
そして、本願発明1の奏する作用及び効果を総合的に検討しても、引用発明2及び周知の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。
よって、本願発明1は、引用発明2及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明1)は、引用発明2及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項3に係る発明(本願発明3)は、引用発明1及び引用文献6に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-09 
結審通知日 2018-10-16 
審決日 2018-10-29 
出願番号 特願2014-227035(P2014-227035)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01H)
P 1 8・ 537- Z (H01H)
P 1 8・ 572- Z (H01H)
P 1 8・ 575- Z (H01H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 尾崎 和寛
平田 信勝
発明の名称 接点付きダイヤフラムを製造する方法、および、それにより製造された接点付きダイヤフラムを備える圧力スイッチ  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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