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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B24B
管理番号 1347047
審判番号 不服2017-7133  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-17 
確定日 2018-12-06 
事件の表示 特願2016-522072「アンカー穴の形成方法および拡径装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月26日国際公開,WO2016/080107〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)10月8日(優先権主張 平成26年11月20日)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成28年11月24日付け:拒絶理由通知
平成28年12月26日 :意見書及び手続補正書提出
平成29年 3月 8日付け:拒絶査定
平成29年 5月17日 :審判請求書及び手続補正書提出
平成30年 7月 5日付け:補正の却下の決定及び拒絶理由通知
平成30年 9月 3日 :意見書及び手続補正書提出


第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は,平成30年9月3日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)の記載は,以下のとおりである。

「コンクリート製の定着体に穿孔した下穴部に拡径部を形成する拡径用ドリルビットと,前記拡径用ドリルビットを回転させる電動ドリルと,から成る拡径装置を用い,
前記下穴部に前記拡径用ドリルビットを挿入した状態で,前記拡径用ドリルビットを回転させ,前記拡径用ドリルビットの切刃部を,遠心力により径方向に移動させながら前記下穴部の一部を研削して拡径部を形成する,後施工アンカー用のアンカー穴の形成方法であって,
前記拡径部を研削するために加えられる遠心力の最低値が,9.7Nとなるように,前記拡径用ドリルビットの回転数を,9000rpm以上20000rpm以下とし,
且つ,前記切刃部が,50/60メッシュ以上16/18メッシュ以下の粒子径を有するダイヤモンド切刃で構成されていることを特徴とするアンカー穴の形成方法。」


第3 拒絶の理由
平成30年7月5日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由2の概要は,次のとおりである。
本願発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2014/129119号
引用文献2:実願昭61-131361号(実開昭63-39508号)のマイクロフィルム


第4 引用文献の記載及び引用発明

1.引用文献1の記載及び引用発明
引用文献1には,以下の事項が記載されている(なお,下線は,理解の便のために当審で付したものである。)。

(1)段落[0001]
「本発明は,主として,コンクリート等の躯体に穿孔した下穴の一部を拡径するための拡径用ドリルビットに関するものである。」

(2)段落[0037]及び[0038]
「以下,添付の図面を参照して,本発明の一実施形態に係る拡径用ドリルビットについて説明する。この拡径用ドリルビットは,主として,アンカーを打ち込むためにコンクリートや石材等の躯体に形成した下穴に対し,その一部を拡径するものであり,打ち込んだアンカーの引抜き強度を高め得るものである。ダイヤモンドコアドリル等で穿孔したストレート形状の下穴は,微小な軸ブレにより開口部側が広く奥側が狭く穿孔され,実質上,微小なテーパー形状となる。このため,打ち込んだアンカーに,地震等による大きな力が繰り返し加わると,経時的に引抜き強度が低下する。拡径用ドリルビットは,このようなアンカーの経時的な引抜き強度の低下を防止すべく,下穴と同様の作業要領で下穴の一部を拡径するものである。
図1は,拡径用ドリルビットを穿孔装置に装着した状態の外観図である。同図に示すように,穿孔装置1は,手持ちの電動ドリル2と,電動ドリル2に装着した冷却液アタッチメント3とを有し,この冷却液アタッチメント3に拡径用ドリルビット10が装着される。すなわち,拡径用ドリルビット10は,動力源を構成する穿孔装置1(電動ドリル2)の冷却液アタッチメント3における回転軸3aに着脱自在に装着して用いられる。」

(3)段落[0040]及び[0041]
「図2は,第1実施形態に係る拡径用ドリルビット10の構造図である。同図に示すように,拡径用ドリルビット10は,先端部で下穴Hの拡径を行うビット部11と,基端側で穿孔装置1の回転軸3a(冷却液アタッチメント3)に着脱自在に装着され,先端側でビット部11を基部において同軸上に支持するシャフト部12と,を備えている。
また,ビット部11は,下穴Hを研削する複数(実施形態のものは2つ)の切刃部21と,複数の切刃部21を径方向に移動自在に保持する切刃保持部22と,切刃保持部22を介して複数の切刃部21を支持するシャンク部23と,を有している。この拡径用ドリルビット10では,ビット部11を下穴Hに挿入した状態で,穿孔装置1により拡径用ドリルビット10を回転させることで,遠心力により,複数の切刃部21が径方向外側に拡開する(図5参照)。」

(4)段落[0050]及び[0051]
「各切刃部21は,切刃保持部52の外周面に沿うように設けた切刃本体61と,切刃本体61の内側に突設されたリブ部62と,リブ部62の先端に設けた抜止め部63と,を有している。切刃本体61と抜止め部63とは,略1/4円弧の断面形状を有しており,リブ部62がスリット部55に対し径方向にスライド自在に係合している。すなわち,切刃保持部52(保持部本体41)の外側に切刃本体61が位置すると共に,内側に抜止め部63が位置し,この状態で,リブ部62がスリット部55に対しスライド自在に係合している。
したがって,切刃保持部22に保持された2つの切刃部21は,回転により生ずる遠心力により径方向外側に拡開する。すなわち,拡開の初期状態において,切刃本体61の内面が上記の円筒保持部52の外周面に接触し,拡開の完了状態において,抜止め部63の外面が円筒保持部52の内周面に接触する(図5参照)。もっとも,本実施形態の切刃本体61は,研削による目減りを考慮して十分な厚みを有しており,実際には,拡径部の研削を時間で管理(10秒?20秒程度)することが好ましい。したがって,抜止め部63が円筒保持部52に接触する状態となったら,切刃部21の交換(寿命)を考慮することとなる。なお,実施形態における下穴Hの拡径は,アンカーの引抜き強度を高めるものであるため,拡径寸法は微小であってもよい。したがって,切刃部21のスライド移動を0.1?2mm程度とすることが好ましい。」

(5)段落[0053]
「切刃本体61は,断面円弧状のダイヤモンドの切刃で構成されており,研削用のダイヤモンドは外周部に設けられている。これにより,下穴Hの最奥部Ha内周面が研削され,所定の寸法に拡径される。また,この研削に際し切刃部21には,強い遠心力が作用することが好ましい。このため,切刃本体61の内面には,錘65を設けることが好ましい(図3において,仮想線で示す)。錘65は,例えば鉛やタングステン等の比重の重いものとする。」

(6)段落[0055]ないし[0057]
「次に,図1および図5を参照して,拡径用ドリルビット10による下穴Hの拡径作業について説明する。この拡径作業では,予め対象となるコンクリート躯体A等に下穴Hが形成されているものとする。なお,この場合のコンクリート躯体Aには,コンクリート製の外壁,内壁,スラブの他,基礎や梁等が含まれる。下穴Hは,例えば上記の穿孔装置1にダイアモンドコアビットを装着した穿孔作業により形成される。
拡径作業では,先ず穿孔装置1に拡径用ドリルビット10を装着し,そのビット部11を下穴Hに挿入する(図5(a)参照)。ビット部11の尖塔部54を下穴Hの穴底に突き当てるように挿入したら,電動ドリル2を駆動して拡径用ドリルビット10を回転させる。また同時に或いは相前後して,シャフト内流路32およびビット内流路34を介して,切刃部21に冷却液を供給する。
拡径用ドリルビット10が回転すると,2つの切刃部21に遠心力が作用し,2つの切刃部21を外側に拡開してゆく(図5(b)参照)。また,ビット内流路34の先端部から放出された冷却液も,遠心力により,2つの切刃部21の内側部分で放射状に広がり,切刃部21の拡開を促進する。これにより,回転するビット部11の切刃本体61が,下穴Hの内面を研削し,下穴Hの最奥部Haが拡径されてゆく。やがて,抜止め部63が保持部本体41により位置規制され,或いは所定時間経過すると,最奥部Haが所定の寸法に拡径される。」

(7)引用発明
ア.上記(1)には,コンクリート等の躯体に穿孔した下穴の一部を拡径することが記載され,上記(2)には,拡径した穴がアンカーを打ち込むためのものであることが記載されているから,引用文献1には,後施工アンカー用のアンカー穴を形成するという事項が記載されているといえる。
イ.また,上記(2)には,穿孔装置1が,電動ドリル2と冷却液アタッチメント3を有するという事項,及び,冷却液アタッチメント3に拡径用ドリルビット10を装着するという事項が記載され,上記(6)には,拡径用ドリルビット10を下穴Hに挿入するという事項,電動ドリル2を駆動して拡径用ドリルビット10を回転させるという事項,拡径用ドリルビット10が回転すると,2つの切刃部21に遠心力が作用し,2つの切刃部21が外側に拡開するという事項,及び,切刃部21が下穴Hの内面を研削し,下穴Hの最奥部Haを拡径するという事項が記載されている。
ウ.そして,上記(5)には,切刃部21がダイヤモンドの切刃で構成されているという事項が記載されている。
エ.上記ア.ないしウ.に示す事項を整理すると,引用文献1には,以下の発明が記載されているといえる。

「コンクリート躯体に穿孔した下穴の一部を拡径するための拡径用ドリルビット10と,前記拡径用ドリルビット10を回転させる電動ドリル2と,冷却液アタッチメント3と,から成る穿孔装置1の冷却液アタッチメント3に拡径用ドリルビット10を装着した装置を用い,
前記下穴に前記拡径用ドリルビット10を挿入した状態で,前記拡径用ドリルビット10を回転させ,2つの切刃部21に遠心力が作用し,2つの切刃部21を外側に拡開して下穴の内面を研削し,下穴の最奥部を拡径する,後施工アンカー用のアンカー穴の形成方法であって,
前記切刃部21がダイヤモンドの切刃で構成されているアンカー穴の形成方法。」(以下「引用発明」という。)

2.引用文献2の記載
引用文献2の明細書第2ページ下から第9行ないし第3ページ第8行には,以下の記載がある。
「そこで,本考案者は実開昭60-87650号及び特開昭61-146412号にてシャンク軸先端に柱状の切削部材を設け,この切削部材に軸と平行なスリットを設けて成るドリルを開発し,軸方向の打撃を与えることなく高速回転のみによって穿孔可能としている。・・・(中略)・・・
従来のツイストドリルでは約1000rpm以下の低速回転で穿孔していたが,上記回転ドリルでは約15000?30000rpmの高速回転で使用するために,自由端となっている切削部材側の軸先端が旋回し,回転継続に伴って斯る旋回率が次第に大きくなり,ひいてはシャンク軸が湾曲する現象が新たに知見された。」


第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると,引用発明の「コンクリート躯体」が本願発明の「コンクリート製の定着体」に相当することは明らかであり,以下同様に,「下穴の一部を拡径」することが「下穴部に拡径部を形成」することに,「拡径用ドリルビット10」が「拡径用ドリルビット」に,「電動ドリル2」が「電動ドリル」に,「穿孔装置1の冷却液アタッチメント3に拡径用ドリルビット10を装着した装置」が「拡径装置」に,「下穴」が「下穴部」に,「2つの切刃部21に遠心力が作用し,2つの切刃部21を外側に拡開して下穴の内面を研削し,下穴の最奥部を拡径」することが「前記拡径用ドリルビットの切刃部を,遠心力により径方向に移動させながら前記下穴部の一部を研削して拡径部を形成」することに,それぞれ相当する。
また,引用発明において,「前記切刃部21がダイヤモンドの切刃で構成」されていることと,本願発明において,「前記切刃部が,50/60メッシュ以上16/18メッシュ以下の粒子径を有するダイヤモンド切刃で構成」されていることは,「前記切刃部が,ダイヤモンド切刃で構成」されている点で一致する。
以上から,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致及び相違する。

<一致点>
「コンクリート製の定着体に穿孔した下穴部に拡径部を形成する拡径用ドリルビットと,前記拡径用ドリルビットを回転させる電動ドリルと,から成る拡径装置を用い,
前記下穴部に前記拡径用ドリルビットを挿入した状態で,前記拡径用ドリルビットを回転させ,前記拡径用ドリルビットの切刃部を,遠心力により径方向に移動させながら前記下穴部の一部を研削して拡径部を形成する,後施工アンカー用のアンカー穴の形成方法であって,
且つ,前記切刃部が,ダイヤモンド切刃で構成されているアンカー穴の形成方法。」

<相違点1>
本願発明の方法は,「前記拡径部を研削するために加えられる遠心力の最低値が,9.7Nとなるように,前記拡径用ドリルビットの回転数を,9000rpm以上20000rpm以下」とするものであるのに対して,引用発明の方法は,遠心力の最低値や,拡径用ドリルビットの回転数の数値が不明な点。

<相違点2>
本願発明のダイヤモンド切刃は,「50/60メッシュ以上16/18メッシュ以下の粒子径」を有するものであるのに対して,引用発明のダイヤモンド切刃は,粒子径が不明な点。


第6 判断
(1)相違点1について
ア.引用文献1の段落[0051]には「本実施形態の切刃本体61は,研削による目減りを考慮して十分な厚みを有しており,実際には,拡径部の研削を時間で管理(10秒?20秒程度)することが好ましい。」と記載され,切刃本体が過度に目減りしないように,10秒?20秒程度の時間で研削を終了させることが示されている(上記第4の1.(4))。
また,段落[0051]には「実施形態における下穴Hの拡径は,アンカーの引抜き強度を高めるものであるため,拡径寸法は微小であってもよい。したがって,切刃部21のスライド移動を0.1?2mm程度とすることが好ましい。」と記載され,研削による拡径寸法を0.1?2mm程度とすることが示されている(上記第4の1.(4))。
イ.さらに,段落[0053]には「この研削に際し切刃部21には,強い遠心力が作用することが好ましい」と記載され(上記第4の1.(5)),切刃部に強い遠心力を作用させる必要性が示されている。そして,本願が優先権主張の基礎とする先の出願の出願時(以下「先の出願時」という。)には,当業者にとって技術常識であった遠心力を示す一般的な式,F=m×r×ω^(2)で示されるとおり,切刃の質量(m),切刃の径方向の大きさ(r),切刃の角速度(ω)のいずれを大きくしても,切刃部の遠心力を強くできるが,切刃の質量や径方向の大きさは,下穴部の大きさや切刃の材質といった制約を受けて,自由に大きくできないのに対して,切刃の角速度,すなわち回転数は,そのような制約がない上に,遠心力に対して2乗で作用することから,当業者であれば,切刃部に強い遠心力を作用させるためには,回転数の最適化を試みるといえる。
ウ.また,切刃部の回転数が研削時間に影響を与え,回転数が高い程,研削時間を短くできることは技術常識であるところ,引用文献2には,コンクリートにアンカー穴を設ける目的で,軸方向の打撃を与えずに高速回転のみで穿孔するドリルについて,回転数を15000?30000rpmとすることが記載されており(上記第4の2.),引用発明のドリルの回転数を9000rpm以上20000rpm以下とすることは,本願の優先日当時の技術水準から見て,十分に実現可能な数値範囲である。
エ.以上を考慮すると,10秒?20秒程度の研削時間で0.1?2mm程度の拡径を行うことができるように,遠心力や回転数の最適値を試行錯誤により決定することは,数値範囲の最適化にすぎず,引用発明の拡径用ドリルビットの回転数を9000rpm以上20000rpm以下として,遠心力の最低値を9.7N以上とすることは,当業者が容易に想到できた事項である。

(2)相違点2について
ア.上記のとおり,引用文献1には,切刃本体が過度に目減りしないように,10秒?20秒程度の時間で研削を終了させること(上記(1)ア.),拡径寸法を0.1?2mm程度とすること(上記(1)イ.)が示されている。
イ.そして,砥粒を用いて研削を行う場合に,径の大きい砥粒を用いれば,研削量が多くなり,研削時間を短くできるできることは,当業者にとって自明な事項であるところ,ダイヤモンド等の砥粒の大きさは,先の出願時には当業者に知られていたJIS規格の B 4130に規定されており,16/18は,径の最も大きい粒子とされている。
ウ.そうすると,10秒?20秒程度の研削時間で0.1?2mm程度の拡径を行うことができるように,径の大きい砥粒を選択することは,数値範囲の最適化にすぎず,引用発明のダイヤモンド切刃の粒子径として50/60メッシュ以上16/18メッシュ以下の粒子径のものを選択することは,当業者が容易に想到できた事項である。

(3)請求人の主張について
ア.請求人は,平成30年9月3日に提出した意見書の【意見の内容】の5.(3)において,本願発明の拡径用ドリルビットは,回転数及び粒子径の2つのパラメータから成り,これらの数値範囲は,その技術的意義において相互に一体性を有しているところ,回転数及び粒子径の2つのパラメータの組み合わせは,引用文献1及び2に一切記載されていないから,本願発明は,個々のパラメータが数値範囲の適正化に過ぎないものであっても,通常の技術者が適切に選択して実施できる程度の単純な数値限定ではなく,進歩性を具備する旨を主張している。
イ.しかし,上記(1)及び(2)で説示するように,引用文献1には,切刃本体が過度に目減りしないように,10秒?20秒程度の時間で研削を終了させること,及び,拡径寸法を0.1?2mm程度とすることが示されているのに対して,本願の明細書においても,10秒の間に拡径寸法が0.3mm以上となるように形成されるものを適正としている(本願明細書の段落[0057])。
ウ.そして,短時間で研削を終了させるにあたり,拡径用ドリルビットの回転数を高回転とすることや,ダイヤモンド切刃の粒子径を大きいものとすることは,それぞれ,当業者が容易に想到できる事項であって,できるだけ短時間(できるだけ10秒に近い時間)で,できるだけ拡径寸法が大きくなる(2mm程度となる)ように,回転数及び粒子径の2つのパラメータを最適化すれば,結果として,本願発明と同程度の回転数及び粒子径となるといわざるを得ない。
したがって,請求人の当該主張は採用できない。


第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,先の出願時前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,先の出願時前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,請求項2に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-03 
結審通知日 2018-10-09 
審決日 2018-10-24 
出願番号 特願2016-522072(P2016-522072)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B24B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 義久塩治 雅也  
特許庁審判長 平岩 正一
特許庁審判官 篠原 将之
刈間 宏信
発明の名称 アンカー穴の形成方法および拡径装置  
代理人 特許業務法人真菱国際特許事務所  

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