• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1347157
審判番号 不服2016-1101  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-26 
確定日 2018-12-18 
事件の表示 特願2013-219035「多機能ハンドヘルド装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月 6日出願公開、特開2014- 42334〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
この出願は,2006年3月3日を国際出願日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2005年3月4日 米国,2005年3月16日 米国)とする特許出願である特願2007-558347号の一部を、平成24年4月26日に新たな特許出願とした特願2012-101602号の一部をさらに平成25年10月22日に新たな特許出願としたものであって、平成27年9月11日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年1月26日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされ、その後当審において、同年8月9日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月10日付けで手続補正がされ、同年3月27日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月2日付けで手続補正がされ、同年11月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年6月4日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。
その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年6月4日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「タッチ及び力感知装置であって、
複数の物体が、複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、複数のタッチ信号及び前記複数のタッチ位置を示すタッチイメージを生成することが可能な複数のタッチ感知ノードを含むタッチ感知機構と、
前記タッチ感知機構とは異なる力感知機構であって、前記複数の物体が、前記複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、1つ又は複数の力信号を生成するように構成された1つ又は複数の力センサを含む力感知機構と、を有し、
前記タッチイメージは、前記力感知機構とは無関係に前記複数のタッチ信号から生成され、
前記複数のタッチ信号及び前記1つ又は複数の力信号は、前記複数のタッチ位置の座標と、前記複数の物体によって前記タッチ及び力感知装置に加えられた力の量とを判定するための情報を含む、タッチ及び力感知装置。」

2 引用文献と引用発明
(1)引用文献と引用発明
当審拒絶理由で引用された特開平9-6525号公報(以下、「引用文献」という。)には,図面と共に以下の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】接触覚センサを面状に分布・配置してなる接触覚ボードと、緩衝材料からなる中間ボードと、圧覚センサを面状に分布・配置してなる圧覚ボードとを、接触覚ボードが表面側になるように順に積層してなる入力ボードを備えることを特徴とする位置入力装置。」(2頁1欄)

イ 「【0009】
【実施例】この発明に係る、位置入力装置およびこれと接続される表示装置の実施例について、以下に図を参照しながら説明する。図1は実施例の構成を示す模式図である。図において、位置入力装置10は、入力媒体である入力ボード5と、その各位置からの出力を電圧に変換して、CRT表示装置20に対し出力する信号出力部8とからなる。
【0010】入力ボード5は、位置の入力をロボット技術の皮膚感覚(接触覚・圧覚)に基づいておこなう媒体であって、分解斜視図で示したように、最上層に保護シート1、第2層に接触覚ボード2、第3層に中間ボード3、第4層に圧覚ボード4をそれぞれ配置・積層して構成される。ところで、一般にロボットにおける皮膚感覚は接触覚・圧覚・力覚の三つに分類される。通常、接触覚は接触圧力をオン・オフの二値でとらえ、圧覚は面に作用する圧力をアナログ量としてとらえ、力覚は面に作用する力を大きさと方向をもつベクトル量としてとらえるものである。この実施例では、接触覚と圧覚の二つを利用する。
【0011】接触覚ボード2と圧覚ボード4は、それぞれ接触覚と圧覚を検知し、たとえばカーボン・ファイバ製の板状フェルトを電極で両側から挟んだものが共通に用いられる。表面の一部分が押圧されると、電極間の電気抵抗が低下する原理に基づくものである。ここで、このフェルト板には、微細な接触覚センサや圧覚センサが面状に分布・配置されていると見做される。ここで接触覚は、圧迫の程度が比較的弱いときに対応し、電気抵抗が一定値未満か以上かで接触の有無が規定される。圧覚は、押圧の程度が比較的強いときに対応し、この押圧箇所(狭い領域)の電気抵抗に応じて押圧度合いが定められる。
【0012】元に戻って、保護シート1は柔軟な薄いシートで、場合によっては位置入力を補助する枠やマークなどが印刷される。接触覚ボード2と圧覚ボード4は、先に述べたように、カーボン・ファイバ製のフェルト板を電極で両側から挟んだものが用いられるが、その他の方式として、微細な感圧半導体や圧電素子、歪みセンサなどの集合体による方式、または導電性ゴムなどを用いる方式が適用される。たとえば、導電性ゴムを用いた方式は次のとおりである。導電性シリコンゴム棒と金属棒とをマトリックス状に交差配置し、各シリコンゴム棒と金属棒の端子をそれぞれ独立に制御部に接続して、各端子間の電気抵抗を順次チェックする。外力によってマトリックス上のある点が押圧されると、その点を交点とするシリコンゴム棒と金属棒との接触抵抗だけが異常に低下する。制御部によって走査されて、その異常低下に係るシリコンゴム棒と金属棒の組合わせを検出して、圧迫点の位置を検出する。さて、中間ボード3は、ゴムなどの緩衝材料からなる板状部材で、接触覚ボード2に作用する接触圧を吸収して、これが圧覚ボード4に伝達しないように阻止する働きをもつ。
【0013】次に、信号出力部8は、接触覚ボード2の出力に対応する第1出力部6、および圧覚ボード4の出力に対応する第2出力部7からなる。第1出力部6から出力される接触覚信号、つまりある値以上の圧力で接触された領域に位置する接触覚センサの座標位置を表す信号、および、第2出力部7から出力される圧覚信号、つまり比較的強い押圧を受ける箇所(狭い領域)と押圧度合いを表す信号とは、詳しく後述するCRT表示装置20の、CRTディスプレイ12に表示する画像を制御する表示制御部11に入力される。
【0014】ここで、位置入力装置10では、入力ボード5に属する接触覚ボード2上に(正確には保護シート1を介して)、両手の指・掌を軽く置くことによって、その接触領域に含まれる各箇所の接触覚センサから信号が出力され、この出力信号によって指・掌の接触領域がわかる。次に指で強く押圧することによって、接触覚ボード2と中間ボード3を介して、圧覚ボード4におけるその押圧箇所の圧覚センサから信号が出力され、この出力信号によって指の押圧箇所と押圧度合いがわかる。なお、指・掌がやや強く接触したとき、その接触圧力が圧覚ボード4に伝達されて、後段の指による押圧度合いと混同されないために、その接触圧力を中間ボード3が吸収して、この接触圧力の圧覚ボード4への伝達を阻止することができる。
【0015】さて、CRT表示装置20は、表示制御部11と、CRTディスプレイ12とからなる。表示制御部11は、先に述べた接触覚信号と圧覚信号とに基づいて、接触覚ボード2の各位置に係るセンサ出力の有無に対応する第1画像と、圧覚ボード4の各位置に係るセンサ出力の大きさに対応する第2画像とを、CRTディスプレイ12の画面上に重ね合わせて表示させる。たとえば、第1画像は淡い色で表示され、第2画像は、出力信号の大きさに応じた濃さの、第1画像と同じか別の色からなる。
【0016】このCRTディスプレイ12の画面上の第1,第2の各画像について、図2を参照しながら詳しく説明する。図2は表示装置の画面画像に関し、(a) は接触領域の例示図、(b) は接触領域および押圧箇所の例示図である。このCRTディスプレイ12(図1参照)の画面13には、予め位置入力用のベース図形、たとえば位置入力装置10で選択するためのメニューやアイコンなどが表示されているものとする。図2(a) において、△印で表示した指定位置14と、◇印で表示した指定位置15とが予め画像表示されている。接触覚ボード2上に、両手の指・掌を軽く置くことによって、表示制御部11を介し、画面13上に斜線ハッチングした各第1画像16,17が画面上に表示される。この各第1画像16,17は左右の手の指・掌の接触領域をそれぞれ示し、淡い色(たとえば心理的に暖かく軽い感じを与える赤・黄などの暖色)で表示される。
【0017】次に、圧覚ボード4の各位置に係る出力信号の大きさに対応して、図2(b) に示すように、指による押圧箇所と押圧度合いを示す各第2画像18,19が画面上に表示される。しかも、この第1,第2の各画像16?19は、画面13の上に重ね合う形で表示されるから、各第1画像16,17によって、入力すべき位置との関係の概略が探られる、つまり大体の見当がつけられる。これに基づいて指・掌の位置を少しずらし、最寄りの指先端の位置を各指定位置14,15にそれぞれ一致させた後に、その各指で入力ボード5(正確には力覚ボード4)を押圧し、その位置を画面13の上でクロス・ハッチングした各第2画像18,19で確認することができる。各第2画像18,19が出力信号の大きさに応じた濃さの、第1画像と同じか別の色(たとえば心理的に寒く重い感じを与える青系統の寒色)で表示するときには、淡い色の接触領域を背景として、押圧箇所が濃い色で示されることで、さらに認識しやすさが増す。」(3頁3欄-4頁5欄)

ウ 図1

エ 図2

上記アないしエには、図1の位置入力装置10について、以下の事項が記載されている。
a 上記イの段落【0009】、ウより、前記位置入力装置10は入力ボード5と信号出力部8を備えている。
b 上記イの段落【0010】、ウより、前記入力ボード5は、最上層に保護シート1、第2層に接触覚ボード2、第3層に中間ボード3、第4層に圧覚ボード4をそれぞれ配置・積層して構成される。
c 上記ア及び上記イの段落【0011】より、前記接触覚ボード2は、接触覚センサを面状に分布・配置してなり、前記圧覚ボード4は、圧覚センサを面状に分布・配置してなり、それぞれ接触覚と圧覚を検知するものである。この場合、接触覚ボード2は複数の接触覚センサを有し、圧覚ボード4は複数の圧覚センサを有することは明らかである。
d 上記イの【0013】より、前記信号出力部8は、接触覚ボード2の出力に対応する第1出力部6、および圧覚ボード4の出力に対応する第2出力部7からなり、前記第1出力部6から出力される接触覚信号は、ある値以上の圧力で接触された領域に位置する接触覚センサの座標位置を表す信号であり、前記第2出力部7から出力される圧覚信号は、比較的強い押圧を受ける箇所(狭い領域)と押圧度合いを表す信号である。
e 上記イの【0014】より、前記位置入力装置10では、入力ボード5に属する接触覚ボード2上に、両手の指・掌を軽く置くことによって、その接触領域に含まれる各箇所の接触覚センサから信号が出力される。次に、指で強く押圧することによって、接触覚ボード2と中間ボード3を介して圧覚ボード4における押圧箇所の圧覚センサから信号が出力され、この出力信号によって指の押圧箇所と押圧度合いがわかる。
f 上記イの【0015】より、表示制御部11は、前記接触覚信号と圧覚信号とに基づいて、接触覚ボード2の各位置に係るセンサ出力の有無に対応する第1画像と、圧覚ボード4の各位置に係るセンサ出力の大きさに対応する第2画像とを、CRTディスプレイ12の画面上に重ね合わせて表示させる。
g 上記イの【0016】より、上記エの図2は、表示装置(CRTディスプレイ12)の画面画像に関し、(a)は、接触領域の例示図、(b)は接触領域および押圧領域の例示図である。
そして、図2(a)は、両手の指・掌を接触覚ボード2上に軽く置いた時の左右の手の指・掌の接触領域を示す第1画像を示したものであり、複数の接触位置に対応して、複数の前記接触覚センサから複数の接触覚信号が出力されるものと解され、このとき、図2(a)の接触領域全体を「タッチイメージ」と称することは任意である。また、図2(b)は、指による押圧箇所と押圧度合いを示す第2画像を、前記第1画像と画面13上に重ね合う形で表示した図であって、上記イの【0011】よれば、圧覚は、押圧程度が比較的押圧程度が比較的強いときに対応するものであるから、前記複数の接触位置のうち比較的強い押圧を受けた位置の前記圧覚センサから複数の圧覚信号が出力されるものと解される。
h ここで、接触覚を検知する前記接触覚ボード2と圧覚を検知する前記圧覚ボード4は、「ゴムなどの緩衝材料から成る板状部材」(上記イの段落【0012】)である前記中間ボード3を挟んで配置され、個別に接触覚及び圧覚を検知してそれぞれ接触覚信号及び圧覚信号を出力しているから、前記接触覚ボード2と圧覚ボード4は異なるものといえる。
i また、前記gの「タッチイメージ」は、前記fからみて接触覚信号のみから生成されており、前記圧覚ボード4とは無関係に生成されているといえる。
j さらに、前記d、gより、前記複数の接触覚信号は、複数の接触領域に位置する接触覚センサの座標位置を表し、前記e、gより、前記複数の圧覚信号は、前記複数の接触位置のうち前記入力ボード5が比較的強い押圧を受けた位置の押圧度合いを表すものである。
k 接触覚を検知する前記「接触覚ボード2」と接触覚信号を出力する前記「第1出力部6」とを合わせて「接触覚検知出力手段」と称すること、及び、圧覚を検知する前記「圧覚ボード4」と圧覚信号を出力する「第2出力部7」とを合わせて「圧覚検知出力手段」と称することは任意である。

上記事項aないしkを総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「接触覚と圧覚とを検知する位置入力装置であって、
両手の指・掌が、複数の接触位置で同時に前記位置入力装置に接触した時に、複数の接触覚信号及び前記複数の接触位置を示すタッチイメージを生成することが可能な複数の接触覚センサを含む接触覚検知出力手段と、
前記接触覚検知出力手段とは異なる圧覚検知出力手段であって、前記両手の指・掌が、前記複数の接触位置で同時に前記位置入力装置に接触した時に、前記複数の接触位置のうち比較的強い押圧を受けた位置で複数の圧覚信号を生成する複数の圧覚センサを含む圧覚検知出力手段と、を有し、
前記タッチイメージは、前記圧覚検知出力手段とは無関係に前記複数の接触覚信号から生成され、
前記複数の接触覚信号は、前記複数の接触位置の接触覚センサの座標位置を表し、前記1つ又は複数の圧覚信号は、前記両手の指・掌によって前記位置入力装置に加えられた押圧度合いを表す、位置入力装置。」

3 対比・判断
本願発明と引用発明とを技術常識を踏まえて対比する。
ア 本願発明の「タッチ及び力感知装置」は、明細書において、1以上のタッチが検出されると(段落【0115】)、そのタッチが軽いタッチか堅いタッチかについての決定がなされ、その決定はタッチの力または圧力に基づく(段落【0115】)とされていることから、「力」の感知には「圧力」の感知も含まれるといえる。そうすると、引用発明の「接触覚」及び「圧覚」は、それぞれ本願発明の「タッチ」及び「力」に含まれ、引用発明の「検知」と本願発明の「感知」とは同義であるから、引用発明の「接触覚と圧覚とを検知する位置入力装置」は、本願発明の「タッチ及び力感知装置」に含まれる。
イ 引用発明の「両手の指・掌」は、本願発明の「複数の物体」に含まれる。そうすると、引用発明の「両手の指・掌が、複数の接触位置で同時に前記位置入力装置に接触した時に」は、本願発明の「複数の物体が、複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に」に含まれる。
さらに、引用発明の「複数の接触覚信号」、「前記複数の接触位置を示すタッチイメージ」及び「接触覚センサ」は、それぞれ本願発明の「複数のタッチ信号」、「前記複数のタッチ位置を示すタッチイメージ」及び「複数のタッチ感知ノード」に相当するから、引用発明の「接触覚検知出力手段」は、本願発明の「タッチ感知機構」に含まれる。
ウ 本願発明の「力信号」について、明細書で定義された信号ではないが、明細書の「力センサ310は、ディスプレイに加えられている力の大きさを計測し、所望の力閾値に達すると、制御信号を生成する。」(段落【0080】)、「力が閾値を超えないとき、そのタッチは軽いタッチとして考慮される。力が閾値を超えるとそのタッチは堅いタッチとして考慮される。」(段落【0081】)等の記載からみて、「力信号」は、加えられている力が閾値以上であることを検出した力センサが生成し、出力する信号のことであると解される。
一方、引用発明の「圧覚信号」は、比較的強い押圧を受ける箇所(狭い領域)と押圧度合いを表す信号(段落【0013】)であり、指で強く押圧することによって、接触覚ボード2と中間ボード3を介して圧覚ボード4におけるその押圧箇所の圧覚センサから出力される信号(段落【0014】)のことといえ、前記中間ボード3が接触圧力を吸収する(同段落【0014】)から、接触覚センサにより接触覚の検知と圧覚センサによる圧覚の検知とは区別されているといえる。
そうすると、引用発明の「接触位置のうち比較的強い押圧を受けた位置で圧覚信号を生成する」「圧覚センサ」は、本願発明の、「力信号を生成するように構成された」「力センサ」に含まれるといえる。
さらに、前記イも踏まえると、引用発明の「前記両手の指・掌が、前記複数の接触位置で同時に前記位置入力装置に接触した時に、前記複数の接触位置のうち比較的強い押圧を受けた位置で複数の圧覚信号を生成する複数の圧覚センサを含む圧覚検知出力手段」と、本願発明の「前記複数の物体が、前記複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、1つ又は複数の力信号を生成するように構成された1つ又は複数の力センサを含む力感知機構」とは、「前記複数の物体が、前記複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、複数の力信号を生成するように構成された複数の力センサを含む力感知機構」の点で共通する。
エ 前記イを踏まえると、引用発明の「前記タッチイメージは、前記圧覚検知出力手段とは無関係に前記複数の接触覚信号から生成され」は、本願発明の「前記タッチイメージは、前記力感知機構とは無関係に前記複数のタッチ信号から生成され」に相当する。
オ 本願発明の「前記複数のタッチ信号及び前記1つ又は複数の力信号は、前記複数のタッチ位置の座標と、前記複数の物体によって前記タッチ及び力感知装置に加えられた力の量とを判定するための情報を含む」について、「判定」する主体は、請求項1では特定されていない、「タッチ及び力感知装置」から「前記複数のタッチ信号及び前記1つ又は複数の力信号」を受け取る装置であって、「判定するための情報」には、「前記複数のタッチ位置の座標」及び「前記複数の物体によって前記タッチ及び力感知装置に加えられた力の量」についての情報が含まれるといえる。
そこで、前記イを踏まえると、「前記複数のタッチ信号」に関し、引用発明の「前記複数の接触覚信号」が表す「前記複数の接触位置の接触覚センサの座標位置」は、本願発明の「前記複数のタッチ位置の座標」「を判定するための情報」に含まれるといえる。
また、上記ウを踏まえると、「前記1つ又は複数の力信号」に関し、引用発明の「前記1つ又は複数の圧覚信号」が表す「前記両手の指・掌によって前記位置入力装置に加えられた押圧度合い」は、本願発明の「前記複数の物体によって前記タッチ及び力感知装置に加えられた力の量」「を判定するための情報」に含まれるといえる。

上記アないしオの対比より、本願発明と引用発明は

「タッチ及び力感知装置であって、
複数の物体が、複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、複数のタッチ信号及び前記複数のタッチ位置を示すタッチイメージを生成することが可能な複数のタッチ感知ノードを含むタッチ感知機構と、
前記タッチ感知機構とは異なる力感知機構であって、前記複数の物体が、前記複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時に、複数の力信号を生成するように構成された複数の力センサを含む力感知機構と、を有し、
前記タッチイメージは、前記力感知機構とは無関係に前記複数のタッチ信号から生成され、
前記複数のタッチ信号及び前記複数の力信号は、前記複数のタッチ位置の座標と、前記複数の物体によって前記タッチ及び力感知装置に加えられた力の量とを判定するための情報を含む、タッチ及び力感知装置。」

である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は引用発明と同一である。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は引用発明から当業者が容易に想到することができたものである。

4 請求人の主張について
ここで、審判請求人は、平成30年6月4日付けで提出した意見書の「3.(2)(c)」の項において、引用文献(当審注:意見書では「引用文献1」)に記載された発明に関し、
「引用文献1には、直交するトレースで形成され、圧力によって抵抗が変化する中間層で分離された上部タッチ感知層、下部力感知層が開示されております。この3つの層は、抵抗ネットワークを形成するために組合わさって機能するものであり、それぞれが独立して機能するものではありません。タッチ位置は、低圧力の位置で特定され、力位置は、閾値を超える高圧力の位置で特定されます(引用文献1の段落[0011]等参照)。
一方、本願補正後の請求項1,5,16に係る発明は、力感知機構とは無関係に複数のタッチ信号からタッチイメージが生成されるものであります。
したがいまして、引用文献1には、本願補正後の請求項1,5,16に係る発明の上記特徴については、開示も示唆もされておりません。」
と主張しているので検討する。
引用文献の段落【0011】の記載からみて、接触覚ボード2及び圧覚ボード4は、それぞれが例えば「カーボン・ファイバ製の板状フェルトを電極で両側から挟んだもの」が用いられるものといえるから、それぞれ単なる「上部タッチ感知層」及び「下部力感知層」とはいえない。また、段落【0012】の記載からみて、前記接触覚ボード2及び圧覚ボード4の間に配置される中間ボード3は、「ゴムなどの緩衝材料から成る板状部材で、接触覚ボード2に作用する接触圧を吸収して、これが圧覚ボード4に伝達しないように阻止する働きをもつ」ものであり、請求人が主張する「圧力によって抵抗が変化する中間層」とはいえない。
そうすると、請求人が引用文献に記載されているとする、3つの層からなる抵抗ネットワークは引用文献の記載に基づくものではなく、引用発明において「前記タッチイメージは、前記圧覚検知出力手段とは無関係に前記複数の接触覚信号から生成され」る点は、前記「3 対比・判断」の項に記載したとおりであるから、審判請求人の前記主張を採用することはできない。

さらに、審判請求人は同項において、
「引用文献1及び引用文献2とは対照的に、本願補正後の請求項1,5,17に係る発明は、個別のタッチ感知機構が、x-yタッチを検出しますので、物理的に分離された力感知機構は、位置検出を行う必要がありません。このことにより、本願補正後の請求項1,5,17に係る発明は力感知機構が感圧センサをアレイ全域に配置する必要がない、という顕著な作用・効果を奏します。そして、力検出を実行するのに数少ない力センサで足ります。」
と主張しているので検討する。
確かに、1つのタッチにつき、力を感知するのであれば位置を特定する必要はないが、本願発明は、「複数の物体が、複数のタッチ位置で略同時に前記タッチ及び力感知装置に接触した時」を前提にしており、複数のタッチ位置でそれぞれ力を感知するためには、力感知装置において、力が加えられた複数のタッチ位置を区別する必要があること、及び、感圧センサをアレイ全域に配置する必要があることは明らかであるから、審判請求人の前記主張を採用することはできない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-07-13 
結審通知日 2018-07-17 
審決日 2018-08-06 
出願番号 特願2013-219035(P2013-219035)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
P 1 8・ 113- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松平 英  
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 中野 浩昌
山中 実
発明の名称 多機能ハンドヘルド装置  
代理人 大塚 文昭  
代理人 岩崎 吉信  
代理人 弟子丸 健  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 西島 孝喜  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ