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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A43B
管理番号 1347287
審判番号 不服2017-8747  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-14 
確定日 2018-12-20 
事件の表示 特願2015- 8774「表示部を有する靴」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月25日出願公開、特開2016-131752〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1.手続の経緯

本願は、平成27年1月20日の出願であって、平成29年3月8日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成29年6月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審により平成30年6月5日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、平成30年8月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2.本願発明

本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成30年8月13日付け手続補正書でした補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

【本願発明】
「靴の装着者の脚部の衝撃を感知することができる、衝撃センサもしくは圧力センサからなる脚部センサと、
前記脚部センサからの信号をもとに前記靴の装着者の消費カロリとして演算することを含んで前記センサからのデータを処理する演算部と、
前記靴の表面にあって前記演算部からの演算結果である運動量表示情報を積み上げ棒グラフ状に表示する表示部であって、前記運動量表示情報は、前記脚部センサからの信号をもとに前記演算部によって演算された、前記靴の装着者の運動を行う際の運動量である歩数又は消費カロリに係る情報である、表示部と、
前記脚部センサ、前記演算部、前記表示部の各部への供給電源としての内蔵充電電池と
を備え、
前記内蔵充電電池は前記靴に内蔵される電磁誘導コイルに電力エネルギーが伝送されることで充電されることを特徴とする靴。」

第3.当審により通知された拒絶の理由

平成30年6月5日付けで当審により通知された拒絶の理由のうち、理由1(進歩性)の概要は、次のとおりのものである。

「本願の請求項1ないし7に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし12に記載された周知の事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開平10-313902号公報
引用文献2.米国特許第5640786号明細書
引用文献3.特開2009-279239号公報
引用文献4.特開2006-204446号公報
引用文献5.国際公開第00/78170号
引用文献6.米国特許第6278378号明細書
引用文献7.特開2002-119498号公報
引用文献8.特表2011-528240号公報
引用文献9.特開2009-207511号公報
引用文献10.特開平10-215903号公報
引用文献11.実願昭62-143840号(実開昭64-49105号)のマイクロフィルム
引用文献12.特表2008-546500号公報」

第4.引用文献の記載事項

1.引用文献1

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献1には、図面とともに以下の(1)ないし(12)の記載があり、更に、これらの記載及び図面の記載から、以下の(13)ないし(18)の事項が記載されているといえる。なお、下線は、参考のため当審が付したものである。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子計測靴に関するものである。特に、体重、歩数を計測することができ、さらに消費カロリー数を概算することができる電子計測靴に係るものである。」

(2)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電子計測靴を提供することにより、他に器材を必要とせず、靴本体が体重計測、歩数計測の機能を具えている・・・さらに、使用者の体重、歩数の乗法数値から消費カロリー数を推算することもできる。また、そのデータはいつでも得ることができ、他に器材を必要とせず靴本体により必要なデータを得ることができる。」

(3)「【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の電子計測靴は、靴本体、液体チューブ、圧力センサー、回路板、及び液晶ディスプレーを含んでいる。・・・また靴本体は甲部と靴底を具えており、該靴底には設置空間がある。液体チューブは内部に流動体が充填されており、該靴底の設置空間に配置されている。」

(4)「【0005】一方、圧力センサーは液体チューブと相互に接触しており、液体チューブの圧力を感知することができ、また、液体チューブ内に設置することができる。・・・回路板は靴底の設置空間に設置されており、圧力転換回路とマイクロプロセッサーを具えている。圧力転換回路は圧力センサーに接続しており、圧力センサーが感知した圧力を周波信号に転換させ、マイクロプロセッサーに送信し、マイクロプロセッサーは数値を算出する。液晶ディスプレーはマイクロプロセッサーと接続しており、数値の表示に供される。該液晶ディスプレーは甲部のあらゆる位置に配置することができるが、観察、読み取りの便のために、甲部前方の目立つ位置に配置する方が良い。」

(5)「【0006】本発明電子計測靴のマイクロプロセッサーは機能キーと接続しており、該マイクロプロセッサーは表示パターンを具えており、その表示パターンは機能キーの状態に応じて更改される。その表示パターンは最大重量表示パターン、及び回数計測表示パターンを含む。該最大重量表示パターンは、マイクロプロセッサーが得た最大値を以て液晶ディスプレーに表示を命令するものであり、この時には体重計の機能を具有する。また回数計測の表示パターンは、該マイクロプロセッサーが計算し得た数値の上昇、及び下降がある一定の程度に至れば一回とし、このように回数を累積し、該液晶ディスプレーに表示を命令する。こうして、歩数計測の機能を有している。」

(6)「【0007】本発明の電子計測靴は、左右どちらでも良く、また当然一足の靴(左の靴と右の靴)すべてを電子計測靴とすることもできる。・・・また歩数の計測時には、機能キーを万歩計機能に切り替える。使用者が歩くと液晶ディスプレーは使用者の歩数を表示する。」

(7)「【0010】
【発明の実施の形態】図1に示すように、本発明の電子計測靴は、靴本体10、液体チューブ20、圧力センサー45(図1には図示なし)、温度センサー50、回路板400、及び液晶ディスプレー88、電池60、電源ボタン61、機能キー62を含んでいる。その内、靴本体10は甲部11と靴底12を具えており、液晶ディスプレー88は甲部11の前方に嵌入している。一方、液体チューブ20、回路板400、及び電源である電池60は、すべて該靴底12の設置空間13に配置されている。電源ボタン61及び機能キー62は靴底12の片側に設置されている。」

(8)「【0011】・・・一方、液体チューブ20は靴底12の設置空間13に配置されているため、使用者が靴をはく時、体重がこの液体チューブ20にかかり、それとつながっている圧力センサー45は液体チューブ20の圧力を受ける状態を感知し、同時に温度センサー50も液体チューブ20中を流動している液体の温度を感知する。」

(9)「【0013】一方、図6に示すように、圧力センサー45により液体チューブ20内の流動体の圧力を感知すると、第一緩衝増幅回路2により、電圧信号を発信し、温度センサー50が液体チューブ20内の流動体の温度を感知すると、第二緩衝増幅回路3により、温度信号を発信する。この発信された信号は総合増加回路4により処理され、電圧信号を発信する(電流信号の発信とも言える)。さらに、電圧/周波転換回路5(内部に電圧制御振動器を含む。発信された信号が電流信号の場合には、電流/周波転換回路に切り替える)を経由し、周波に転換、発信し、次にマイクロプロセッサー6により処理され、さらに液晶ディスプレー88を経て、その結果を表示する。マイクロプロセッサー6の各機能表示の選択は、外部でつながっている機能キー62により制御される。」

(10)「【0014】電源スイッチ節電回路7は、マイクロプロセッサー6に接続しており、電源ボタン61、及びリニアスイッチ71を含む。電源ボタン61が押されると、電源はリニアスイッチ71を経由し、マイクロプロセッサー6の電源端まで連接しシステムをスタートさせる。システムのスタート後、信号はリニアスイッチのG2まで送信され、電源をロックする。一方、マイクロプロセッサー6は電源ボタン61が押されたことを再度感知すると、直ちにG2の信号を切断し、電源はオフとなる。機能キー62は、マイクロプロセッサー6と接続しており、この機能キー62の使用により、多種の機能に切り替えることができるが、それはマイクロプロセッサー6内部のソフトにより設定、執行され、簡単、かつ操作が容易である。その多種機能について、下記に説明する。」

(11)「【0015】1.重量表示:マイクロプロセッサー6は、0.3?0.5秒おきに、現在の重量を液晶ディスプレー88上に表示させる。
2.最大重量表示:マイクロプロセッサー6は、次にさらに大きい数値が現れるまで当面の最大値を表示する。この機能から離れる時、最大値を再表示する。
3.回数表示:マイクロプロセッサー6内部には、予め数値が設定されており、重量がこの数値を超え、さらに下降すると、マイクロプロセッサー6は一をプラスし、これにより圧力を加えた総数を計算する。即ち、使用者が走る(歩く)時、本発明電子計測靴を履いた使用者の足が着地時、感知した重量は設定値より大きくなり、また、電子計測靴を履いた足が持ち上げられる時、感知した重量は設定値より小さくなるため、マイクロプロセッサー6は一をプラスする。この動作により、万歩計の機能を達成する。
4.重量と歩数の乗法表示:その乗法した数字にある係数をさらに掛けることにより、消費カロリー数を得ることができる。」

(12)「【0025】
【発明の効果】人々は外出、或いは運動時には靴をはかなければならないが、本発明の発信受信電子計測靴をはいていれば、他の道具を必要とせず、随時歩数をカウントでき、体重を計測でき、及び今まで運動により消費したおよそのカロリー数を表示することができる。この一時を争い、随時情報を掌握しなければならない時代にあって、現代人がスマートで健康を求めるための最良の利器である。」

(13)図6に記載された回路図から、電源スイッチ節電回路7のリニアスイッチ611(なお、図6の記載、及び明細書の【符号の説明】での「611 リニアスイッチ」との記載から、上記(10)の「リニアスイッチ71」は「リニアスイッチ611」の誤記と認める。)及び電源ボタン61には直流電圧源(図6の記載において電源ボタン61の左下参照)が接続され、この直流電圧源以外に図6に記載された回路には直流電圧源は接続されておらず、更に、上記直流電圧源から電源供給を受けた電源スイッチ節電回路7のリニアスイッチ611から出力されたVCCが、圧力センサー45、マイクロプロセッサー6及び液晶ディスプレー88に供給されるという事項が看取できる。

(14)上記(7)の「電子計測靴は・・・電池60・・・を含んでいる」及び「電源である電池60」との記載、並びに上記(13)の図6から看取できる事項から、図6に記載された回路図において唯一の上記直流電圧源は、電池60を表していることが理解でき、更に上記(7)の「電池60は・・・該靴底12の設置空間13に配置され」との記載、及び上記(13)の図6から看取できる事項から、靴底の設置空間に配置された電池は、圧力センサー、マイクロプロセッサー及び液晶ディスプレーの電源であるといえる。

(15)上記(7)の「電子計測靴は・・・圧力センサー45・・・、回路板400、及び液晶ディスプレー88、電池60・・・を含んでいる」との記載、及び上記(4)の「回路板は・・・マイクロプロセッサーを具えている」との記載から、電子計測靴は、圧力センサーと、マイクロプロセッサーと、液晶ディスプレーと、電池とを備えるものであるといえる。

(16)上記(7)の「液体チューブ20・・・は・・・該靴底12の設置空間13に配置され」との記載、上記(8)の「液体チューブ20は靴底12の設置空間13に配置されているため、使用者が靴をはく時、体重がこの液体チューブ20にかかり、それとつながっている圧力センサー45は液体チューブ20の圧力を受ける状態を感知し」との記載、及び上記(9)の「圧力センサー45により液体チューブ20内の流動体の圧力を感知する」との記載から、圧力センサーは、靴底の設置空間に配置され使用者の体重がかかる液体チューブ内の流動体の圧力を感知することができるものであるといえる。

(17)上記(1)の「消費カロリー数を概算することができる電子計測靴」との記載、上記(4)の「圧力転換回路は圧力センサーに接続しており、圧力センサーが感知した圧力を周波信号に転換させ、マイクロプロセッサーに送信し、マイクロプロセッサーは数値を算出する」との記載、上記(9)の「圧力センサー45により液体チューブ20内の流動体の圧力を感知すると、第一緩衝増幅回路2により、電圧信号を発信し・・・マイクロプロセッサー6により処理され」との記載、上記(11)の「消費カロリー数を得ることができる」との記載、及び上記(12)の「本発明の発信受信電子計測靴をはいていれば、他の道具を必要とせず、・・・今まで運動により消費したおよそのカロリー数を表示することができる。」との記載から、マイクロプロセッサーは、圧力センサーからの信号をもとに消費カロリー数を算出することを含んで圧力センサーからの信号を処理するものであるといえる。

(18)上記(1)の「歩数を計測することができ、さらに消費カロリー数を概算することができる電子計測靴」との記載、上記(4)の「圧力転換回路は圧力センサーに接続しており、圧力センサーが感知した圧力を周波信号に転換させ、マイクロプロセッサーに送信し、マイクロプロセッサーは数値を算出する。液晶ディスプレーはマイクロプロセッサーと接続しており、数値の表示に供される。該液晶ディスプレーは甲部のあらゆる位置に配置することができるが、観察、読み取りの便のために、甲部前方の目立つ位置に配置する方が良い。」との記載、上記(11)の「3.回数表示:マイクロプロセッサー6内部には、予め数値が設定されており、重量がこの数値を超え、さらに下降すると、マイクロプロセッサー6は一をプラスし、これにより圧力を加えた総数を計算する。即ち、使用者が走る(歩く)時、本発明電子計測靴を履いた使用者の足が着地時、感知した重量は設定値より大きくなり、また、電子計測靴を履いた足が持ち上げられる時、感知した重量は設定値より小さくなるため、マイクロプロセッサー6は一をプラスする。この動作により、万歩計の機能を達成する。」及び「4.重量と歩数の乗法表示:その乗法した数字にある係数をさらに掛けることにより、消費カロリー数を得ることができる。」との記載、並びに上記(12)の「本発明の発信受信電子計測靴をはいていれば、他の道具を必要とせず、随時歩数をカウントでき、・・・今まで運動により消費したおよそのカロリー数を表示することができる。」との記載から、液晶ディスプレーは、甲部に設置され、圧力センサーからの信号をもとにマイクロプロセッサーによって算出された歩数又は消費カロリー数を表示するものであるといえる。

したがって、上記(1)ないし(18)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

【引用発明】
「靴底の設置空間に配置され使用者の体重がかかる液体チューブ内の流動体の圧力を感知することができる圧力センサーと、
前記圧力センサーからの信号をもとに消費カロリー数を算出することを含んで前記圧力センサーからの信号を処理するマイクロプロセッサーと、
甲部に設置され、前記圧力センサーからの信号をもとに前記マイクロプロセッサーによって算出された歩数又は消費カロリー数を表示する液晶ディスプレーと、
前記圧力センサー、前記マイクロプロセッサー及び前記液晶ディスプレーの電源である、前記靴底の前記設置空間に配置された電池と
を備える電子計測靴。」

2.引用文献2

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献2には、図面とともに以下の(1)ないし(5)の記載がある。

(1)「This invention relates to footwear, in general, and to footwear having electronic circuitry associated therewith for measuring parameters of usage of the footwear, in particular.」(明細書第1欄第5ないし7行)
(当審訳:この発明は、一般には履物に関し、特に履物の使用に関するパラメ-タを計測するための電子回路を持つ履物に関する。)

(2)「A display 20 is shown mounted at the back 19 of shoe 100.」(明細書第2欄第30行)
(当審訳:ディスプレイ20は、靴100の後部19に取り付けられている。)

(3)「The display 20 incorporates a speed indicator 40 and a step count indicator 50.」(明細書第2欄第59ないし60行)
(当審訳:ディスプレイ20には、速度インジケータ40及び歩数インジケータ50が組み込まれている。)

(4)「In the illustrative embodiment, the speed indicator comprises a bar graph display.」(明細書第3欄第58ないし59行)
(当審訳:例示的な実施形態では、速度インジケータは棒グラフ表示を含む。)

(5)「Also, the display 20 can be placed elsewhere on the shoe such as is shown in phantom in FIG. 1.」(明細書第4欄第22ないし23行)
(当審訳:また、ディスプレイ20は、図1において破線で示された靴の上のどこにでも配置することができる。)

3.引用文献3

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献3には、図面とともに以下の(1)ないし(3)の記載がある。

(1)「【0001】
本発明は、身体活動強度計測装置に関する。」

(2)「【0056】
<表示例>
以下に、表示部104に表示される強度(表示強度)の一例について説明する。図7(A)?(D)は、本実施形態に係る身体活動強度計測装置100の表示部104の表示例を示す図である。
【0057】
・・・本実施形態に係る身体活動強度計測装置100は、表示強度を数値で表示してもよいし(図7(A))、表示強度をインジケータで表示してもよい(図7(B)?(D))。」

(3)「【0063】
・・・表示強度をインジケータで表示する場合についても同様であり、例えば、1METs毎にインジケータの表示を変えてもよいし、1/3METs毎にインジケータの表示を変えてもよい。」

4.引用文献4

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献4には、図面とともに以下の(1)ないし(2)の記載がある。

(1)「【0001】
本発明は、使用者に対して運動強度を計測する運動量計測装置及び使用者の運動レベルを提示する活動量計に関するものである。」

(2)「【0044】
・・・また設定された所定の最適運動強度の運動時間はバーグラフ11で示され、所定の最適運動強度を例えば5分継続すれば一目盛り増えるようになっており、全ての目盛りが表示されれば、60分間所定の運動をしたこととなる。それは、一日の所定の運動量の目標とすることができる。」

5.引用文献5

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献5には、図面とともに以下の(1)ないし(2)の記載がある。

(1)「The present invention relates to shoes capable of indicating the approximate remaining useful life of the shoes, and more specifically, to shoes capable of recording data relating to impacts experienced by the shoe, using the collected data to estimate the remaining useful life of the shoe, and displaying the results in a manner visible or audible to the user.」(明細書第8ページ第2ないし6行)
(当審訳:本発明は、靴のおおよその残存耐用時間を示すことができる靴に関し、より具体的には、靴が受けた衝撃に関するデータを記録し、その収集データを用いて靴の残存耐用時間を推定し、その結果をユーザに視覚的に又は聴覚的に示すことができる靴に関する。)

(2)「Prototypes have been constructed using five LEDs 152 embedded in resin, and given a matte finish to increase the effective viewing angle of the LEDs 152, as seen in FIG. 5. The LEDs 152 may be mounted directly on the shoe 100, or may be mounted under a translucent diffusion panel or cover, such as a molded clear plastic to which a frosted surface has been applied.」(明細書第17ページ第11ないし15行)
(当審訳:原型では、図5に示すように、樹脂に埋め込まれた5つのLED152を用いて構成されており、LED152の有効視野角を広げるためにつや消し仕上げが施されている。LED152は、靴100に直接取り付けることができ、また、成形された透明なプラスチックの表面につや消しを施したような、半透明の拡散パネル又はカバーの下に取り付けることができる。)

6.引用文献6

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献6には、図面とともに以下の(1)ないし(3)の記載がある。

(1)「The present invention relates to a performance and entertainment device for use on footwear, for example, children's shoes.」(明細書第1欄第6ないし8行)
(当審訳:本発明は、履物、例えば、子供用の靴を使用するパフォーマンス及びエンターテインメント装置に関する。)

(2)「In one embodiment, the front of pod 110 includes 6 performance level indicators 150 vertically aligned along the left side of pod 110 and six award level indicators 170 similarly aligned along the right side of pod 110. Performance level indicators 150 correspond to performance levels 1-6, indicating the level of personal achievement attained by the wearer. Indicators 150 are LEDs and may be of a single color or multiple colors.」(明細書第3欄第33ないし40行)
(当審訳:パフォーマンスの結果は有色光及び対応する音で表示される。一実施形態では、ポッド110の前面には、ポッド110の左側に縦方向に整列された6つのパフォーマンスレベルインジケータ150と、ポッド110の右側に同様に整列された6つのアワードレベルインジケータ170とを備えている。パフォーマンスレベルインジケータ150はパフォーマンスレベル1-6に対応し、装着者が達成した個人達成度のレベルを示す。インジケータ150はLEDであり、単色又は複数色であってもよい。)

(3)「Additionally, as discussed above, upon successful completion of an activity, performance level indicators 150 are lit to indicate the user's performance level (1-6). If the first level of performance level indicators 150 is lit (corresponding to the number "1"), then the first or lowest level of achievement has been reached; if all six performance level indicators 150 are lit, the highest level of achievement has been reached. Intermediate achievement levels are indicated by illumination of performance level indicators 150 corresponding to levels 2-5.」(明細書第4欄第42ないし51行)
(当審訳:更に、上記のとおり、アクティビティが成功して完了すると、パフォーマンスレベルインジケータ150は点灯し、ユーザのパフォーマンスレベル1-6を示す。(ナンバー「1」に対応する)第1レベルのパフォーマンスレベルインジケータ150が点灯すると、第1レベル又は最低レベルの達成度に到達したことになり、6つのパフォーマンスレベルインジケータ150の全てが点灯すると、最高レベルの達成度に到達したことになる。中間の達成レベルは、レベル2-5に対応するパフォーマンスレベルインジケータ150の点灯により表示される。)

7.引用文献7

当審が通知した拒絶の理由において引用された引用文献7には、図面とともに以下の(1)ないし(2)の記載がある。

(1)「【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。符号1は本発明の健康管理装置であって、このものは運動靴2と腕ベルト3aに取り付けて使用する機器本体3とを具えて成り、更に補機として前記運動靴2に具える蓄電器Bを充電するための充電器5を具えて成るものである。前記運動靴2は図1、2に示すように、ミッドソール6内に衝撃吸収部7を具えるものであり、この衝撃吸収部7は衝撃吸収作用を担う吸収体8と衝撃量センサ9とを具えて成るものである。前記吸収体8はフィルム8a内に衝撃吸収材としてシリコーンゲル8bを封入したものであり、一方、衝撃量センサ9は、フィルム9a内において導電性フィラーを含んだ導電性シリコーンゲル9bの上下に電極箔を貼着して封入したものである。なお前記衝撃量センサ9は、瞬間的な衝撃を検知測定できるほか、緩慢な速度での衝撃、すなわち押圧力をも検知測定できるものである。」

(2)「【0016】・・・また蓄電器Bは、非接触状態でエネルギーを伝送することのできる外部非接触電力供給手段からの給電によって充電される構成とするものであり、この非接触電力供給手段は、運動靴2に具えた受動素子15と、充電器5に具えた能動素子55とを具えて構成されるものである。このような外部非接触電力供給手段は、電磁結合を利用したもの、静電結合を利用したもの、光起電素子を利用したもの、電磁波を利用したもの等、種々の形態を取り得る。
【0017】まず電磁結合を利用したものは、図4に示すように受動素子15として磁性体から成るコア16cに対して導線を巻回したコイル16を用い、一方、能動素子55としてギャップGを形成したループ状の磁性体から成るコア56cに対して、交流電源ACに接続された導線を巻回したコイル56を用いる。そしてコイル16のコア16cがコイル56におけるギャップG内に位置した状態でコイル56に交流電流が流れたときに、コア56c及びコア16cを貫く磁束によってコイル16に交流電流が流れるものである。
【0018】この実施の形態では、充電器5に対して中空状の凸部5aを二カ所に形成するとともにこれら凸部5aの間にギャップGが位置するようにコイル56を位置させる。一方、運動靴2の底に凹部6aを二カ所に形成するとともに、これら凹部6aの間にコイル16を位置させることにより、運動靴2を充電器5に載置した状態で凸部5aと凹部6aとが嵌合し、受動素子15たるコイル16のコア16cが、能動素子55たるコイル56のコア56cにおけるギャップG内に位置するように構成した。なお図示は省略するが、前記コイル16を充電器5に具え、一方、コイル56を運動靴2側に具えるようにしてもよい。」

8.引用文献8

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献8には、図面とともに以下の(1)ないし(4)の記載がある。

(1)「【0002】
本発明は、全体として履物に関し、とりわけ、本発明は、履物物品用の充電システムに関する。」

(2)「【0068】
・・・この例示的な実施形態では、電池286は、ある種の再充電可能な電池でありえる。再充電可能な電池の例には、限定されるのではないが、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池および再充電可能なアルカリ電池が含まれる。」

(3)「【0071】
・・・ある例示的な実施形態では、履物物品は誘導充電システムに関連しうる。履物物品は、通常、湿った状態などの様々な条件で履かれるので、この誘導充電システムでは、充電回路が他の部材に露出しないように保護するのを助けることができる。とりわけ、誘導充電システムは、露出した電極を必要としないので、このシステムにより、このシステムではない場合には水に露出することにより生じうる短絡を防ぎおよび/または腐食を防ぐのを助けうる。
【0072】
この例示的な実施形態では、充電用ポート298が、内部充電コイル299に接続しうる。内部充電コイル299が、一対の誘導充電コイルの一部分でありえる場合もある。」

(4)「【0119】
図14は、一足の履物1000が挿入された状態での履物筐体800の上面図である。図14を参照すると、第1物品1002の第1内側誘導コイル1202が、第1外部誘導コイル912に位置合わせされうる。同様に、第2物品1004の第2内側誘導コイル1204が、第2外部誘導コイル914に位置合わせされうる。このように配置することにより、履物筐体800から一足の履物1000に電力が効率的に伝送されることができる。
【0120】
外部電源が受け取る電気が、電源コード916を介して充電ステーション用ECU908に伝送されうる実施形態もある。それから、この電気は第1外部誘導コイル912に伝送されうる。交流電流を備えた外部電源を用いることにより、電力が第1外部誘導コイル912と第1内部誘導コイル1202との間で誘導的に伝送されうる。とりわけ、交番磁界が第1外部誘導コイル912において発生させられることができ、これが、第1内側誘導コイル1202中で電流を誘導する。このように配置することにより、第1物品1002内に設置されている電池などの再充電可能な電源に電力が伝送されることができ、この第1物品1002が、照明システムおよび/または自動固定システム用に電力を供給することができる。
【0121】
同様に、充電ステーション用ECU908で受け取られた電気は、第2外部誘導コイル914に伝送されうる。交流電流を備えた外部電源を用いることにより、電力が第2外部誘導コイル914と第2内部誘導コイル1204との間で誘導的に伝送されうる。とりわけ、交番磁界が第2外部誘導コイル914において発生させられることができ、これが、第2内側誘導コイル1204中で電流を誘導する。このように配置することにより、第2物品1004内に設置されている電池などの再充電可能な電源に電力が伝送されることができ、この第2物品1004が、照明システムおよび/または自動固定システム用に電力を供給することができる。」

9.引用文献9

当審が通知した拒絶の理由において引用した引用文献9には、図面とともに以下の(1)ないし(4)の記載がある。

(1)「【0001】
本発明は、充電池を用いて靴内を換気する靴、充電池を用いて足を加温する靴、充電池を用いて足を冷却する靴の充電システムに関するもので、運動靴、革靴、ブーツ、作業靴、長靴、スリッパなどに適用して最適である。」

(2)「【0033】
ところで、上記アッパー13の側面には、図1に示すように、駆動・制御ユニット23が設けられている。駆動・制御ユニット23の本体部24には、図3に示すように、収納部24aが形成されており、上記シロッコファン19を駆動・制御する駆動・制御回路25、上記駆動・制御回路25に給電する充電池26、後述する受電部27が収納されている。」

(3)「【0035】
・・・また、充電池26は、後述する非接触電力供給手段からの給電によって充電されるように構成されており、具体的には、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、酸化銀亜鉛、リチウムイオン等の充電池が適用されている。
【0036】
また、受電部27は、図4に示すように、複数の磁性体が積層された第2の鉄心30、第2の鉄心30に対して導線を巻回した2次側コイル31、32、33、第2の整流回路34、補助電源回路35、本体検知/充電制御信号発振回路36、充電制御用マイコン37、コンデンサ38を具えている。上記2次側コイル31は本発明の受電素子を構成する。」

(4)「【0043】
そして、交流電源52から交流電流が供給されると、第1の整流回路47により、交流電源52から供給される交流電流を直流化し、共振回路48により高周波の発振を行い、1次側コイル44で発生した磁束エネルギーを、第1の鉄心43、第2の鉄心30を介して、2次側コイル31に伝達し、第2の整流回路34を経由して充電池26に充電を行うことができる。上記のように、第1実施形態では、非接触電力供給手段に電磁結合を利用している。」

第5.本願発明と引用発明との対比

以下、本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「電子計測靴」は、本願発明の「靴」に相当する。

(2)引用発明の「圧力センサー」は、本願発明の「圧力センサからなる脚部センサ」に相当する。更に、引用発明の「液体チューブ」は「靴底の設置空間に配置され使用者の体重がかかる」ものであることから、靴の使用者の脚部の衝撃を受けるものであるといえるので、「圧力センサー」が「靴底の設置空間に配置され使用者の体重がかかる液体チューブ内の流動体の圧力を感知することができる」ことは、本願発明の「圧力センサ」が「靴の装着者の脚部の衝撃を感知することができる」ことに相当する。そうすると、引用発明の「靴底の設置空間に配置され使用者の体重がかかる液体チューブ内の流動体の圧力を感知することができる圧力センサー」は、本願発明の「靴の装着者の脚部の衝撃を感知することができる、衝撃センサもしくは圧力センサからなる脚部センサ」に相当する。

(3)引用発明の「マイクロプロセッサー」が、「前記圧力センサーからの信号をもとに消費カロリー数を算出する」こと、及び「前記圧力センサーからの信号を処理する」ことは、本願発明の「演算部」が、「前記脚部センサからの信号をもとに前記靴の装着者の消費カロリとして演算する」こと、及び「前記センサからのデータを処理する」ことにそれぞれ相当する。そうすると、引用発明の「前記圧力センサーからの信号をもとに消費カロリー数を算出することを含んで前記圧力センサーからの信号を処理するマイクロプロセッサー」は、本願発明の「前記脚部センサからの信号をもとに前記靴の装着者の消費カロリとして演算することを含んで前記センサからのデータを処理する演算部」に相当する。

(4)引用発明の「液晶ディスプレー」が「甲部に設置され」るものであることは、本願発明の「表示部」が「前記靴の表面にあ」ることに相当する。引用発明の「液晶ディスプレー」が表示する「歩数又は消費カロリー数」は、本願発明の「前記靴の装着者の運動を行う際の運動量である歩数又は消費カロリに係る情報」に相当し、更に、引用発明の「歩数又は消費カロリー数」は、「前記圧力センサーからの信号をもとに前記マイクロプロセッサーによって算出された」ものであって、「マイクロプロセッサー」の算出結果といえるものであるから、引用発明の「歩数又は消費カロリー数」は、本願発明の「前記演算部からの演算結果で」あり「前記脚部センサからの信号をもとに前記演算部によって演算された、前記靴の装着者の運動を行う際の運動量である歩数又は消費カロリに係る情報である」「運動量表示情報」に相当する。そうすると、引用発明の「液晶ディスプレー」と本願発明の「表示部」は、「前記靴の表面にあって」、「前記演算部からの演算結果である運動量表示情報」を「表示する」点で共通する。


(5)引用発明の「電池」が「前記靴底の前記設置空間に配置された」ものであることは、「電池」が「電子計測靴」に内蔵されたものであるといえるので、引用発明の「前記圧力センサー、前記マイクロプロセッサー及び前記液晶ディスプレーの電源である、前記靴底の前記設置空間に配置された電池」と、本願発明の「前記脚部センサ、前記演算部、前記表示部の各部への供給電源としての内蔵充電電池」は、「前記脚部センサ、前記演算部、前記表示部の各部への供給電源として」機能するものであって、「靴」に「内蔵」されたものである点で共通する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

【一致点】
「靴の装着者の脚部の衝撃を感知することができる、衝撃センサもしくは圧力センサからなる脚部センサと、
前記脚部センサからの信号をもとに前記靴の装着者の消費カロリとして演算することを含んで前記センサからのデータを処理する演算部と、
前記靴の表面にあって前記演算部からの演算結果である運動量表示情報を表示する表示部であって、前記運動量表示情報は、前記脚部センサからの信号をもとに前記演算部によって演算された、前記靴の装着者の運動を行う際の運動量である歩数又は消費カロリに係る情報である、表示部と、
前記脚部センサ、前記演算部、前記表示部の各部への供給電源として靴に内蔵された電池と
を備えた靴。」

【相違点1】
「表示部」における「運動量表示情報」の表示について、本願発明は「積み上げ棒グラフ状に表示」するのに対して、引用発明は数値を表示する点。

【相違点2】
「電池」について、本願発明の「内蔵充電電池」が「充電電池」であって、「前記内蔵充電電池は前記靴に内蔵される電磁誘導コイルに電力エネルギーが伝送されることで充電される」構成であるのに対して、引用発明の「電池」には当該構成がない点。

第6.判断

1.相違点1について

表示において「積み上げ棒グラフ状に表示」することは、上記第4.2.ないし6.に挙げた引用文献2ないし6に記載されるように周知の事項であり、広く一般に用いられるものであって、引用発明における歩数又は消費カロリー数の表示を「積み上げ棒グラフ状に表示」することは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。そして、本願発明の相違点1に係る作用効果も、引用発明及び上記周知の事項が奏する作用効果から当業者が予測できる範囲のものである。

請求人は、審判請求書において、本願発明は「靴使用者の違いによる消費カロリ演算を即時的に行って、それを運動中に靴上に見えるように表示する、これにより、運動者が、運動のし過ぎや不足状況が一目でわかり、不備があればその場で是正できる」という効果を有し、当該効果が当業者の予測の範囲を超えた顕著なものである旨主張する。

しかし、引用文献1に上記第4.1.(1)及び(12)の記載があるとおり、引用発明は、歩数又は消費カロリー数の情報を靴上に表示することで、当該情報をいつでも、随時得ることができるという作用効果を奏するものである。また、「積み上げ棒グラフ状に表示」することで、状況の概略が一目でわかりやすい(例えば、上記第4.(2)には、バーグラフ11の全ての目盛りが表示されれば、一日の所定の運動量の目標である、60分間の所定の運動したことになる旨が記載されている。)という作用効果を奏することは、当業者にとって明らかなことである。また、上記情報をより詳細に把握したい場合には「積み上げ棒グラフ状に表示」するよりも、数値をそのまま数字で表示する方が好ましいことから(再び上記第4.(2)を例に挙げれば、所定の最適運動強度を5分継続すればバーグラフ11が1目盛り増えるとすると、当該運動時間を5分単位でしか把握できない。)、上記情報の表示態様を「積み上げ棒グラフ状に表示」とするか、数値での表示とするか、それら以外の表示とするかは、必要に応じて当業者が適宜選択し得ることである。
更に、本願発明において「表示部」が設けられる箇所は「前記靴の表面」であるから、本願明細書に記載された「同図bは、靴かかと部分に同様なレベル表示部11装備した例」(本願明細書【0019】及び図1b参照)、つまり、かかと部分に「表示部」がある形態も本願発明に該当するが、当該形態は、請求人が主張する「運動中に靴上に見えるように表示する」ものとはいえないことから、当該主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
以上のことから、本願発明の作用効果は、引用発明及び上記周知の事項が奏する作用効果から当業者が予測できる範囲のものであって、靴上に表示する歩数又は消費カロリー数の情報を「積み上げ棒グラフ状に表示」することに格別顕著な作用効果を奏するものとはいえず、また、請求人の上記主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではないので、請求人の上記主張は採用できない。

2.相違点2について

電池交換による手間や経費、環境問題等を考慮して、繰り返し使用できる充電可能な二次電池を用いることは、広く一般に行われていることであって、二次電池への充電を電磁誘導コイルによるワイヤレス給電によって行う構成とすることは、上記第4.7.ないし9.に挙げた引用文献7ないし9に記載されるように周知の事項であるから、上記周知の事項を引用発明に適用し、引用発明における電池を充電可能な二次電池とし、靴に内蔵された電磁誘導コイルによるワイヤレス給電によって当該二次電池を充電する構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び上記周知の事項が奏する作用効果から当業者が予測できる範囲のものである。

第7.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知の事項に基づいて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
そうすると、本願を拒絶すべきものとした原査定は維持すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-09-27 
結審通知日 2018-10-23 
審決日 2018-11-05 
出願番号 特願2015-8774(P2015-8774)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A43B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 長馬 望
永田 和彦
発明の名称 表示部を有する靴  
代理人 友野 英三  

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