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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1347384
審判番号 不服2017-4264  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-24 
確定日 2018-12-27 
事件の表示 特願2012-236093「電子機器、制御方法及び制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月12日出願公開、特開2014- 86974〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成24年10月25日の出願であって、平成27年9月30日付けで拒絶理由が通知され、同年12月7日に手続補正がされ、平成28年6月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月24日に手続補正され、同年12月27日付けで同年8月24日の手続補正の補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定がされ、これに対して、平成29年3月24日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに同時に手続補正がされたものであり、その後当審より平成30年5月10日付けで拒絶理由が通知され、同年7月13日に手続補正がされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項10の記載は、平成30年7月13日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
2つの他の機器に無線接続する接続部と、
前記2つの他の機器の双方を従属させて接続する第1モード、および前記2つの他の機器の双方に従属して接続する第2モードの一方で、前記接続部を前記他の機器に無線接続させる制御部と、
前記第1モード若しくは前記第2モードに対応する画面を表示する表示部と
を有し、
前記制御部は、
前記第1モードで前記接続部が前記他の機器に接続されている場合には、基地局から受信する音声データを前記他の機器に対して転送し、前記第2モードで前記接続部が前記他の機器に接続されている場合には、前記他の機器が基地局から受信した前記他の機器から転送された前記音声データを受信し、
前記第1モード若しくは前記第2モードの変更に応じて、前記画面を変更し、
前記第1モードに対応する画面には、前記第2モードに切り替える画面が含まれ、
前記第2モードに対応する画面には、前記第1モードに切り替える画面が含まれる電子機器。」

3.平成30年5月10日付けの拒絶理由
平成30年5月10日付けで当審より通知された拒絶理由は以下のとおりである。

「 1(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



請求項1ないし10について
(1)2つの他の機器に接続する機器の画面表示について
まず、発明の詳細な説明の(実施形態1)?(実施形態3)は、携帯電話が1つの他の携帯電話と接続し、モード変更に際しての画面表示について記載しているだけで、2つの他の携帯電話を接続する場合のモード変更に際しての画面表示については、記載も示唆もない。
他方、(その他の実施形態)は、携帯電話が2つの他の携帯電話との間での設定し得るモードについて記載しているものの、モードの設定、変更し得る画面表示については記載も示唆もない。
それに対して、請求項1に記載された発明のうち、「2つの他の機器に無線接続する接続部」については、発明の詳細な説明の”(その他の実施形態)”の記載(【0121】?【0150】、図18?図24)に基づき、「前記第1モード若しくは前記第2モードの変更に応じて、前記画面を変更し、前記第1モードに対応する画面には、前記第2モードに切り替える画面が含まれ、前記第2モードに対応する画面には、前記第1モードに切り替える画面が含まれる」については、発明の詳細な説明の”(実施形態1)”(【0020】、図2、図3)、”(実施形態2)”(【0071】?【0083】、図10、図11)、”(実施形態3)”(【0110】?【0120】、図16、図17)に基づくものと解されるので、請求項1に記載された発明は、(実施形態1)ないし(実施形態3)に基づくものと(その他の実施形態)に基づくものとを組み合わせて特許を請求していると解される。
そこで、請求項1に記載された発明のように(実施形態1)ないし(実施形態3)に基づくものと(その他の実施形態)に基づくものとを組み合わせることが発明の詳細な説明から自明な事項であるかについて検討する。

(2)(実施形態1)ないし(実施形態3)によれば、他の1つの携帯電話(携帯電話20B)に対して「親機モード」、「子機モード」のメニュー画面(40a,40b)により表示し、該メニュー画面からモードの切り替え画面に遷移することが開示されている。他方、(その他の実施形態)によれば、携帯電話20Aが他の2つの携帯電話(携帯電話20B、20C)に対するモードとして、「2つの親機モード」、「2つの子機モード」、「親機モード」と「子機モード」の3種類を有することが開示されているものの、その3種類の各モードの「表示部2」における画面表示については記載されておらず、上記メニュー画面(40a,40b)を参酌しても、その画面表示の具体的な構成を特定することができない。このため各モードを切り替える画面の構成も特定することができない。
したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

同様の理由により、請求項9、10及び請求項1を引用する請求項2?8に係る発明も、発明の詳細な説明に記載したものでない。

なお、補正にあたっては、(実施形態1)ないし(実施形態3)または、(その他の実施形態)のいずれに基づくのか選択する必要があることに留意されたい。

拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。」

4.当審の判断
(1)本願の発明の詳細な説明の記載内容
本願の発明の詳細な説明には、次の記載がある(下線は、当審にて付与。)。
ア 「【0012】
(実施形態1)
図1?図4を参照しながら、実施形態1に係る携帯電話による各種制御方法について説明する。図1は、着信の通知の例を示す図である。図1に示す携帯電話20A、20B及び30は、通信部6aを有する。携帯電話20A及び20Bは、通信部6bをさらに有する。
【0013】
通信部6aは、公衆回線ネットワーク90を通じて通話を行うことができるように構成されている。図1に示す場面において、携帯電話20A及び20Bの通信部6aは、基地局91bとの無線通信を介して、公衆回線(キャリア回線)ネットワーク90に接続されている。図1に示す場面において、携帯電話30の通信部6aは、基地局91aとの無線通信を介して、公衆回線ネットワーク90に接続されている。
【0014】
通信部6bは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を通じて通話を行うことができるように構成されている。図1に示す場面において、携帯電話20A及び20Bの通信部6bは、相互に通信可能な状態で無線接続されている。図1に示す例では、携帯電話20Aは、他の電子機器を従属させて接続する第1のモード(以下、親機モード)で、通信部6bを携帯電話20Bに無線接続させる。図1に示す例では、携帯電話20Bは、他の機器に従属して接続する第2のモード(以下、子機モード)で、通信部6bを携帯電話20Aに無線接続させる。
(中略)
【0020】
図2及び図3は、モードの切り替え例を示す図である。図2に示すように、携帯電話20Aは、通信部6bに対する操作を行うためのメニュー画面40aを表示させる(ステップS11)。携帯電話20Aは、メニュー画面40aにおいて、子機モードへ切り替えが選択操作されると、自機のモードを親機モードから子機モードに切り替える(ステップS12)。一方、図3に示すように、携帯電話20Bにおいても、図2に示す携帯電話20Aと同様の制御が実行される。図3に示すように、携帯電話20Bは、通信部6bに対する操作を行うためのメニュー画面40bを表示させる(ステップS21)。携帯電話20Bは、メニュー画面40bにおいて、親機モードへ切り替えが選択操作されると、自機のモードを子機モードから親機モードに切り替える(ステップS22)。図2及び図3に示す制御の双方が完了した時点で、携帯電話20A及び携帯電話20Bに設定中のモードの切り替えが完了する。
(中略)
【0037】
図6は、実施形態1に係る接続関連データ9Bの例を示す図である。図6に示すように、接続関連データ9Bには、自機モードの情報、接続相手である電子機器を特定するための登録機器の情報、接続相手である電子機器の種別を特定するための情報、他の電子機器との接続状態を特定するためのステータスの情報が含まれる。自機モードには、「親」、「子」又は「なし」のいずれかに対応する値が登録される。登録機器には、接続相手の電子機器に一意に付与される製造番号、MACアドレスなどの値が登録される。種別には、接続される電子機器に一意に付与される文字の組合せが登録される。TP1は、例えば、携帯電話に対応する。ステータスには、「接続中」又は「未接続」に対応する値が登録される。」

イ 「【0106】
(実施形態3)
上記実施形態において、携帯電話(携帯電話20A又は携帯電話20B)は、子機モードで通信部6bが他の電子機器に無線接続されたときに利用されたプロファイルを表示させるようにしてもよい。
(中略)
【0111】
図16は、親機モードであるときに登録機器一覧を表示する制御の例を示す図である。図16に示すように、携帯電話20Aは、親機モードに対応するメニュー画面40aを表示部2に表示させる(ステップS61)。
【0112】
続いて、携帯電話20Aは、メニュー画面40aにおいて、登録機器一覧を表示させる操作を検出すると(ステップS62)、登録機器一覧の表示画面50aを表示部2に表示させる(ステップS63)。
【0113】
登録機器一覧の表示画面50aには、携帯電話20Bとの接続関係に基づくデータ、及び登録機器2との接続関係に基づくデータが表示される。携帯電話20Bは、親機モードの携帯電話20Aと現在無線接続中の電子機器であり、登録機器2は過去に無線接続したことのある電子機器である。携帯電話20Bとの接続関係に基づくデータには、通信部6bに携帯電話20Bが無線接続されていることを示すアイコンIxと、携帯電話20Bの機器の種別を識別するためのアイコンIyと、携帯電話20Aと携帯電話20Bとの間で共通するプロファイルの情報(例えば、HSP,HFP)が含まれる。携帯電話20Aに表示される情報では、HSP及びHFPのうち、どちらのプロファイルで携帯電話20Bと接続しているかは分からない。登録機器2との接続関係に基づくデータには、登録機器2の機器の種別を識別するためのアイコンIyと、携帯電話20Aと登録機器2との間で共通するプロファイルの情報(例えば、HSP,HFP,PBAP)が含まれる。
【0114】
図17は、子機モードであるときに登録機器一覧を表示する制御の例を示す図である。図17に示すように、携帯電話20Bは、子機モードに対応するメニュー画面40bを表示部2に表示させる(ステップS71)。
【0115】
続いて、携帯電話20Bは、メニュー画面40bにおいて、登録機器一覧を表示させる操作を検出すると(ステップS72)、登録機器一覧の表示画面50bを表示部2に表示させる(ステップS73)。
【0116】
登録機器一覧の表示画面50bには、携帯電話20Aとの接続関係に基づくデータ、及び登録機器3との接続関係に基づくデータが表示される。携帯電話20Aは、子機モードである携帯電話20Bと現在無線接続中の電子機器であり、登録機器3は過去に無線接続したことのある電子機器である。携帯電話20Aとの接続関係に基づくデータには、通信部6bに携帯電話20Aが無線接続されていることを示すアイコンIxと、携帯電話20Aの機器の種別を識別するためのアイコンIyと、携帯電話20Aと携帯電話20Bとの間の無線接続に利用されているプロファイルの情報(例えば、HSP)が含まれる。携帯電話20Bに表示されている情報では、HSPを用いて、携帯電話20Aと接続していることが分かる。登録機器3との接続関係に基づくデータには、登録機器3の機器の種別を識別するためのアイコンIyと、携帯電話20Bと登録機器3との間で共通するプロファイルの情報(例えば、HFP)が含まれる。」

ウ 「【0121】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、携帯電話(携帯電話20A又は携帯電話20B)は、他の電子機器と1対1の関係で無線接続する例を説明したが、複数の他の電子機器と1対多の関係で接続するようにしてもよい。
【0122】
図18?図20を参照しながら、その他の実施形態に係る携帯電話による各種制御方法について説明する。図18?図20は、その他の実施形態に係る着信の通知の例を示す図である。図18?図20に示す携帯電話20A、20B、20C、30a及び30bは、通信部6aを有する。携帯電話20Aは、通信部6b-1及び6b-2をさらに有する。携帯電話20B及び20Cは、通信部6bをさらに有する。
【0123】
通信部6aは、公衆回線ネットワーク90を通じて通話を行うことができるように構成されている。図18に示す場面において、携帯電話20A及び20Bの通信部6aは、基地局91bとの無線通信を介して、公衆回線(キャリア回線)ネットワーク90に接続されている。図18に示す場面において、携帯電話30aの通信部6aは、基地局91aとの無線通信を介して、公衆回線ネットワーク90に接続されている。図18に示す場面において、携帯電話20A及び20Cの通信部6aは、基地局101bとの無線通信を介して、公衆回線(キャリア回線)ネットワーク100に接続されている。図18に示す場面において、携帯電話30bの通信部6aは、基地局101aとの無線通信を介して、公衆回線ネットワーク100に接続されている。
【0124】
通信部6b、6b-1及び6b-2は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を通じて通話を行うことができるように構成されている。図18に示す場面において、携帯電話20Aの通信部6b-1と、携帯電話20Bの通信部6bは、相互に通信可能な状態で無線接続されている。携帯電話20Aは、親機モードで、通信部6b-1を携帯電話20Bに無線接続させ、携帯電話20Bは、子機モードで、通信部6bを携帯電話20Aに無線接続させる。さらに、図18に示す場面において、携帯電話20Aの通信部6b-2と、携帯電話20Cの通信部6bは、相互に通信可能な状態で無線接続されている。携帯電話20Aは、子機モードで、通信部6b-2を携帯電話20Cに無線接続させ、携帯電話20Cは、親機モードで、通信部6bを携帯電話20Aに無線接続させる。
(中略)
【0131】
図19に示す場面では、図18に示す場面と異なり、携帯電話20Aは、親機モードで、通信部6b-2を携帯電話20Cに無線接続させる。
【0132】
そして、携帯電話20Aは、着信があった場合に、通信部6b-1による近距離無線通信を介して、携帯電話20Bに着信を通知するか、あるいは、通信部6b-2による近距離無線通信を介して、携帯電話20Cに着信を通知するかを選択する。携帯電話20Aは、携帯電話20B及び携帯電話20Cのどちらに先に着信を通知するかを予め設定してもよいし、交互に着信の通知先を変更してもよい。携帯電話20Aが異なる経路で公共回線ネットワークに接続できる場合に、携帯電話20Aは、着信があったときに、携帯電話20B又は携帯電話20Cのどちらか一方に対して、既に別の着信を通知して通話をしているときには、まだ着信を通知していない携帯電話に対して着信を通知する。
【0133】
図19に示す場合では、携帯電話20Aにより携帯電話30bからの着信が携帯電話20Cに通知される。そして、携帯電話20Aに対する着信に対して、携帯電話20Cのオフフック操作により応答した場合、携帯電話30bと携帯電話20Aとの間でやり取りされる音声データD5は、携帯電話20Aから携帯電話20Cに中継(転送)される。
【0134】
図20に示す場面では、図18に示す場面と異なり、携帯電話20Aは、子機モードで、通信部6b-1を携帯電話20Bに無線接続させる。」

エ 「【0141】
図22は、図18に対応する携帯電話20Aにおける接続関連データ9Bの例を示す。図22に示すように、接続関連データ9Bには、携帯電話20B及び携帯電話20Cとの接続に関する情報が含まれる。図22に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Bとの接続に関する情報として、自機モードの情報“親”、接続相手である携帯電話20Bを特定するための登録機器の情報“20B(00:11:22:AA:BB:CC)”と、接続相手である携帯電話20Bの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Bとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。さらに、図22に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Cとの接続に関する情報として、自機モードの情報“子”、接続相手である携帯電話20Cを特定するための登録機器の情報“20C(01:12:23:AB:BC:CD)”と、接続相手である携帯電話20Cの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Cとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。
(中略)
【0143】
図23は、図19に対応する携帯電話20Aにおける接続関連データ9Bの例を示す。図23に示すように、接続関連データ9Bには、携帯電話20B及び携帯電話20Cとの接続に関する情報が含まれる。図23に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Bとの接続に関する情報として、自機モードの情報“親”、接続相手である携帯電話20Bを特定するための登録機器の情報“20B(00:11:22:AA:BB:CC)”と、接続相手である携帯電話20Bの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Bとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。さらに、図23に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Cとの接続に関する情報として、自機モードの情報“親”、接続相手である携帯電話20Cを特定するための登録機器の情報“20C(01:12:23:AB:BC:CD)”と、接続相手である携帯電話20Cの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Cとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。
(中略)
【0145】
図24は、図20に対応する携帯電話20Aにおける接続関連データ9Bの例を示す。図24に示すように、接続関連データ9Bには、携帯電話20B及び携帯電話20Cとの接続に関する情報が含まれる。図24に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Bとの接続に関する情報として、自機モードの情報“子”、接続相手である携帯電話20Bを特定するための登録機器の情報“20B(00:11:22:AA:BB:CC)”と、接続相手である携帯電話20Bの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Bとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。さらに、図24に示す接続関連データ9Bには、携帯電話20Cとの接続に関する情報として、自機モードの情報“子”、接続相手である携帯電話20Cを特定するための登録機器の情報“20C(01:12:23:AB:BC:CD)”と、接続相手である携帯電話20Cの種別を特定するための情報“TP1”、携帯電話20Cとの接続状態を特定するためのステータスの情報“接続中”が含まれる。」

オ 「【0148】
その他の実施形態において、携帯電話20Aと、携帯電話20B及び携帯電話20Cとの間の無線接続の関係は、変更することができる。」

カ 図18?20及び図22?24は、次のとおりである。


(2)判断
上記ウの記載によれば、「その他の実施形態」として、「複数の他の電子機器と1対多の関係で接続」した図18?図20に係る、概略以下の3つの場面(ア)?(ウ)が存在することが記載されている。
(ア)携帯電話20Aは、親機モードで、通信部6b-1を携帯電話20Bに無線接続させ、子機モードで、通信部6b-2を携帯電話20Cに無線接続させている場面。(【0124】、図18)
(イ)携帯電話20Aは、親機モードで、通信部6b-1を携帯電話20Bに無線接続させ、親機モードで、通信部6b-2を携帯電話20Cに無線接続させている場面。(【0131】、図19)
(ウ)携帯電話20Aは、子機モードで、通信部6b-1を携帯電話20Bに無線接続させ、子機モードで、通信部6b-2を携帯電話20Cに無線接続させている場面。(【0134】、図20)

また、上記エの記載及び図22?24によれば、図18?図20にそれぞれ対応する携帯電話20Aにおける接続関連データ9Bは、携帯電話20Bとの接続に関する情報と携帯電話20Cとの接続に関する情報とのそれぞれについて、自機モードの情報(“親”又は“子”)を含む。

そうすると、携帯電話20Aと携帯電話20Bとは、双方の無線部6b-1を通じて無線接続され、携帯電話20Aと携帯電話20Cとは、双方の無線部6b-2を通じて無線接続され、どちらが“親”又は“子”として機能するかは、無線部6b-1及び6b-2のそれぞれについて設定されるといえるから、発明の詳細な説明に発明として記載した発明では、1対多の関係で無線接続される2つの他の機器のそれぞれについて、従属させて接続する親機モード、及び従属して接続する子機モードのいずれかが、自機モードの情報として設定されるといえる。

次に、画面の表示については、上記アには、携帯電話20Aと携帯電話20Bとを1対1の関係で無線接続する例に関し、親機モードにある携帯電話20Aの「メニュー画面40a」において、「子機モードへ切り替えが選択操作されると、自機のモードを親機モードから子機モードに切り替え」、子機モードにある携帯電話20Bの「メニュー画面40b」において、「親機モードへ切り替えが選択操作されると、自機のモードを子機モードから親機モードに切り替え」、「双方が完了した時点で、携帯電話20A及び携帯電話20Bに設定中のモードの切り替えが完了する」ことが記載されている。 また、上記イには、「携帯電話(携帯電話20A又は携帯電話20B)は、子機モードで通信部6bが他の電子機器に無線接続されたときに利用されたプロファイルを表示させる」ようにしてもよく、「登録機器一覧の表示画面50a」に、「親機モードの携帯電話20Aと現在無線接続中の電子機器」である「携帯電話20B」との「接続関係に基づくデータ」と「過去に無線接続したことのある電子機器」である「登録機器2」との「接続関係に基づくデータ」を表示することが記載されている。

以上によれば、発明の詳細な説明に発明として記載した発明では、1対多の関係で無線接続される2つの他の機器のそれぞれについて、従属させて接続する親機モード、及び従属して接続する子機モードのいずれかが、自機モードの情報として設定されるから、携帯電話20Aと携帯電話20Bとを1対1の関係で無線接続する例における画面の表示を参照したとしても、1対多の関係で無線接続される2つの他の機器のそれぞれについて設定された「自機のモードの情報」を「親機モード」から「子機モード」又は「子機モード」から「親機モード」に切り替えることが示唆されるに留まり、請求項1にいう「2つの他の機器の双方を従属させて接続する第1モード」「に切り替える画面」を含む「前記第2モードに対応する画面」を「表示する」ことが、発明の詳細な説明中に記載又は示唆されているとはいえない。
同様に、請求項1にいう「2つの他の機器の双方に従属して接続する第2モード」「に切り替える画面」を含む「前記第1モードに対応する画面」を「表示する」ことも、発明の詳細な説明に記載又は示唆されているとはいえない。

よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないから、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

6.むすび
以上より、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-23 
結審通知日 2018-10-30 
審決日 2018-11-12 
出願番号 特願2012-236093(P2012-236093)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山岸 登  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山中 実
吉田 隆之
発明の名称 電子機器、制御方法及び制御プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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