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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1347402 |
審判番号 | 不服2018-1193 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-01-29 |
確定日 | 2018-12-27 |
事件の表示 | 特願2016- 80346号「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月19日出願公開、特開2017-189376号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年4月13日の出願であって、平成29年9月5日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月6日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月4日付け(発送日:同年12月12日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成30年1月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成30年1月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年1月29日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 (1) 本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、平成29年10月6日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 (補正前:平成29年10月6日付けの手続補正) 「【請求項1】 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであり、 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであり、 前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり、 前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく、 前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり、 前記第二のミニゲームが表示される場合は、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示され、 前記第一のミニゲームが表示される場合は、前記操作有効期間表示が表示されない、 ことを特徴とする遊技台。」 (補正後:本件補正:平成30年1月29日付け手続補正) 「【請求項1】 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 表示手段と、 を備えた遊技台であって、 前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであり、 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであり、 前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり、 前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく、 前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり、 前記第一のミニゲームは、第一の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、 前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、 前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であり、 前記第二の操作促進表示は、複数のパターンのうちの一のパターンで表示される表示であり、 前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第一のパターンであり、 前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第二のパターンであり、 前記第二のミニゲームにおいて、前記第一のパターンで前記第二の操作促進表示が表示された場合よりも前記第二のパターンで該第二の操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやすく、 前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームであり、 前記第一のミニゲームは、前記操作有効期間表示が表示されないミニゲームである、 ことを特徴とする遊技台。」 2 補正の適否 本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、 補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1のミニゲーム」と「第2のミニゲーム」に関して、「前記第一のミニゲームは、第一の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であり、前記第二の操作促進表示は、複数のパターンのうちの一のパターンで表示される表示であり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第一のパターンであり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第二のパターンであり、前記第二のミニゲームにおいて、前記第一のパターンで前記第二の操作促進表示が表示された場合よりも前記第二のパターンで該第二の操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやすく」と限定し、 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第二のミニゲームが表示される場合は、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示され、前記第一のミニゲームが表示される場合は、前記操作有効期間表示が表示されない」との記載を、「前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームであり、前記第一のミニゲームは、前記操作有効期間表示が表示されないミニゲームである」との記載にすることにより表現上の変更を行ったものである。 そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の【請求項8】、【1591】等の記載からみて、新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「1 本件補正の概要」に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである(A?Sは、本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。 「【請求項1】 A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 B 表示手段と、 C を備えた遊技台であって、 D 前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 E 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであり、 F 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであり、 G 前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり、 H 前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく、 I 前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり、 J 前記第一のミニゲームは、第一の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、 K 前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、 L 前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であり、 M 前記第二の操作促進表示は、複数のパターンのうちの一のパターンで表示される表示であり、 N 前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第一のパターンであり、 O 前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第二のパターンであり、 P 前記第二のミニゲームにおいて、前記第一のパターンで前記第二の操作促進表示が表示された場合よりも前記第二のパターンで該第二の操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやすく、 Q 前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームであり、 R 前記第一のミニゲームは、前記操作有効期間表示が表示されないミニゲームである、 S ことを特徴とする遊技台。」 (2)刊行物に記載された事項 ア 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された特許5896493号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ・記載事項 (ア) 「【0005】 このような構成を採用するぱちんこ遊技機は、従来機種として既に多数存在しているため、従来機種との差別化を図るには、いわゆる保留内連荘演出による遊技の興趣性の向上が求められる。 【0006】 本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣性の向上を図ることのできるぱちんこ遊技機を提供することを目的とする。」 (イ) 「【0010】 以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る、ぱちんこ遊技機は、従来の第1種ぱちんこ遊技機に相当する機能を二つ混在した機種であり、第1の遊技(第1特別図柄遊技)と第2の遊技(第2特別図柄遊技)とを展開可能である。 【0011】 [第1実施形態] 本実施形態に係る、ぱちんこ遊技機PMの正面図及び背面図を図1及び図2に示しており、まず、この図を参照して、ぱちんこ遊技機PMの全体構成について概要説明する。」 (ウ) 「【0014】 ガラス枠5の前面側には、遊技の展開状況に応じて発光する枠ランプ(LEDランプ)10や、遊技の展開状況に応じて効果音を発生するスピーカ11が設けられている。球皿ユニット6には、遊技球を貯留する上下の球皿(上球皿8及び下球皿9)が設けられており、上球皿8の正面中央には遊技者によって押圧操作される演出ボタン15が設けられ、下球皿9の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル12が設けられている。」 (エ) 「【0103】 まず、「保留内連荘」とは、或る先行の作動保留球が消化された当否判定結果として大当りとなる場合、当該作動保留球に係る当否判定が許可されてから特別遊技の終了時までの特定期間内における所定タイミングにおいて存在する一以上の後続の作動保留球内に、大当りとなることが予定される作動保留球(「特定保留」とも称する)が存在することをいう。なお、以下では、後続の作動保留球のうち、はずれとなることが予定される作動保留球を「はずれ保留」、小当りとなることが予定される作動保留球を「小当り保留」とも称する。」 (オ) 「【0107】 保留内連荘演出Bの実行可否は、特別遊技の開始前のタイミングにおいて第2実行条件が成立している場合に抽選にて決定される。…」 (カ) 「【0416】 それでは、本変形例における保留内連荘演出Bについて説明する。図50は、本変形例における保留内連荘演出Bの演出内容の一例を示す模式図である。本変形例における保留内連荘演出Bの演出内容は、遊技者が演出ボタン15を複数回に亘り操作することによって、画面に表示された宝箱が開放されることで、その獲得したポイント値に応じて、後続の作動保留球内における特定保留の有無および変動演出態様が示唆又は報知されるものである。このように保留内連荘演出Bにおいて特定保留の有無および変動演出態様の示唆又は報知を受けるためには、遊技者による複数回のボタン操作を要する。 【0417】 本変形例では、図50に示すように、画面上に合計3個の宝箱が横一列に配置されており、演出ボタン15の1回の操作によって宝箱が1個開放され、この開放された宝箱の中から獲得点数(0点又は1点)が出現するようになっている。そして、宝箱を全数開放したときに得られる総獲得点数に応じて、後続の作動保留球における特定保留の有無および変動演出態様が示唆又は報知されるものとなる。」 (キ) 「【0424】 このような保留内連荘演出Bの演出内容について図50を用いて具体的に説明する。本例では、連荘演出パターンPB37が選択された場合を例示する。この連荘演出パターンでは、前述のとおり、1回目の操作で「0点」、2回目の操作で「1点」、3回目の操作で「1点」を獲得可能であるため、総獲得点数は2点、すなわち、保留内連荘の発生を確定的に報知する演出内容となる。 【0425】 まず、図50(A)に示すように、演出ボタン15の操作を有効とする操作有効期間の開始に伴い、画面上に3個の宝箱(閉じた宝箱)の画像が表示されるとともに、「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字が表示される。また、画面上には、演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」とともに、現段階で獲得した点数を表す「総獲得点数」が表示される。さらに、画面上には、操作の対象となる宝箱を指し示すカーソルが表示され、操作可能な残り時間に応じて、カーソルが左側から右側へ宝物1個分ずつ段階的にシフトするようになっている。なお、画面上において左側の宝箱を「1個目の宝箱」、中央の宝箱を「2個目の宝箱」、右側の宝箱を「3個目の宝箱」とも称する。」 (ク) 上記(ア)?(キ)の記載事項及び図面の図示内容を総合すれば、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(a?sは本願補正発明の記号A?Sに対応させて付与した。)。 「a 上球皿8の正面中央に設けられ、遊技者によって押圧操作される演出ボタン15と、(【0014】) b 画面と、(【0417】) c を備え、第1特別図柄遊技と第2特別図柄遊技とを展開可能であるぱちんこ遊技機PMであって、(【0010】、【0011】)、 d、f、i 画面上に合計3個の宝箱が横一列に配置されており、演出ボタン15の1回の操作によって宝箱が1個開放され、この開放された宝箱の中から獲得点数(0点又は1点)が出現するようになっており、宝箱を全数開放したときに得られる総獲得点数に応じて、後続の作動保留球における特定保留(大当りとなることが予定される作動保留球)の有無が示唆又は報知される保留内連荘演出Bが実行され、(【0103】、【0107】、【0417】) k、m、q 前記保留内連荘演出Bでは、画面上に、3個の宝箱(閉じた宝箱)の画像が表示されるとともに、「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字が表示され、演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」が表示され、さらに、操作の対象となる宝箱を指し示すカーソルが表示され、操作可能な残り時間に応じて、カーソルが左側から右側へ宝物1個分ずつ段階的にシフトするようになっている、(【0424】、【0425】) s ぱちんこ遊技機PM。」 イ 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された特開2012-217792号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ・記載事項 (ア) 「【0015】 本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、遊技者が他の遊技機に移動するのを抑制して、同一の遊技機で遊技するように促すことができる遊技機を提供することを目的とする。」 (イ) 「【0018】 たとえば、遊技者は、遊技機で遊技を開始する前に遊技機がゲーム開始待機状態になっている際に、操作入力手段を操作することによって、待機中ゲームを開始することができ、操作入力手段の操作によりゲーム結果を導出できる。さらに、ゲーム結果に基づいて、上述のポイントの積算値に加算または乗算される仮ポイント増加値が発生する。」 (ウ) 「【0026】 … 【図9】可変表示装置におけるデモ中にデモ中ゲームに誘導するための画面表示を示す図である。 【図10】可変表示装置におけるデモ中ゲームの開始時の画面表示を示す図である。 【図11】可変表示装置におけるデモ中ゲーム時の画面表示を示す図である。 【図12】可変表示装置におけるデモ中ゲーム時の画面表示を示す図である。 【図13】可変表示装置におけるデモ中ゲームの終了時の画面表示を示す図である。 【図14】可変表示装置における変動表示ゲーム大当たり時の仮ポイントのポイントへの反映を報知する画面表示を示す図である。 …」 (エ) 「【0027】 本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 図1に示すように、この実施の形態のパチンコ遊技機は、所謂デジパチと呼ばれる種類のパチンコ遊技機としての基本的な構成を有するものである。 遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、その略中央部に可変表示装置3が設けられている。可変表示装置3は、例えば、液晶表示装置からなるもので、抽選手段として機能する後述の主制御装置14で行われる抽選の各種大当たりおよびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当たりおよびはずれによって上述の抽選結果を報知するようになっている。」 (オ) 「【0048】 また、主制御装置14は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて、上述の特図保留数の処理を行うとともに、特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を取得し、特図保留数が上限未満の場合に当該乱数をRAM14c(乱数記憶手段の一部)に記憶する。なお、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2特図ゲームの大当たりおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示器4a,4bを制御して第1および第2特図ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25等にコマンドを出力する。」 (カ) 「【0081】 したがって、ゲームフラグがセットされている場合に、デモ中ゲーム処理を終了する。 次に、可変表示装置3では、遊技者にデモ中ゲームを行うように誘導する表示(ゲーム誘導表示)と、ログアウトするかを質問(ログアウト誘導表示)する表示とが時間をずらして行われる(ステップS22)。 ここでは、デモ中ゲームとして、おみくじを引き、おみくじを引いた結果で仮ポイントが発生するようになっている。ゲーム誘導表示では、例えば、図9に示すように、おみくじを引くように誘導する表示が行われ、おみくじを引くなら押しボタンスイッチ23aを押すように促す表示が行われる。」 (キ) 「【0086】 このおみくじのゲームは、例えば、乱数と判定値とを用いた抽選でおみくじの大吉、中吉、吉、小吉を選択するようになっている。例えば、乱数は、0?99の数値(整数)のいずれかになる。判定値は、0?99までの数値で、大吉に0?4が割り振られ、中吉に5?19が割り振られ、吉に20?59までの数値が割り振られ、小吉に60?99までの数値が割り振られている。抽選では、乱数を取得し、取得された乱数と一致する判定値が割り振られたおみくじの結果が選択される。例えば、乱数が3の場合に、大吉が抽選で選択される。なお、大吉の出現率が5%、中吉の出現率が15%、吉の出現率が40%、小吉の出現率が40%になる。」 (ク) 「【0087】 また、各おみくじの結果には、仮ポイントが設定されている。例えば、大吉に10000ポイントが設定され、中吉に5000ポイントが設定され、吉に1000ポイントが設定され、小吉に500ポイントが設定されている。 上述のようにゲーム開始後、押しボタンスイッチ23aが押されると図11、図12に示すようにおみくじを引く画像表示され、図13に示すように、上述の抽選結果に対応して、おみくじの結果が表示される。」 (ケ) 「【0104】 3 可変表示装置(表示手段) 14 主制御装置(主制御手段) 16 副制御部(副制御手段) 23 図柄制御装置(副制御手段、ポイント発生積算手段、ゲーム開始待機表示制御手段、待機中ゲーム制御手段、仮ポイント増加値決定手段、ポイント実増手段、待機中ゲーム禁止手段) 23a 押しボタンスイッチ(操作入力手段)」 (コ) 「【図10】 」 (サ) 「【図11】 」 (シ) 「【図12】 」 (ス) 「【図13】 」 ・認定事項 (セ) 【0087】に記載されるように、「おみくじを引く画像」は図11、図12に示され、「おみくじの結果」は図13に示されるものであるが、これらの図における「3」との符号は、【0104】の記載から「可変表示装置」を示すものである。したがって、「おみくじを引く画像」と「おみくじの結果」は「可変表示装置3」に表示されるものと認められる。 (ソ) 【0081】の「デモ中ゲームとして、おみくじを引き」との記載から、「おみくじのゲーム」は、「デモ中ゲーム」であると認められる。そして、【0026】、【0087】に記載されるように、「おみくじのゲーム」(「デモ中ゲーム」)は、図10?13に示されるものであるが、図10に、「ゲームの開始時の画面表示」として、「おみくじを引いてください」との文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印と、「御神籤」との文字列が記載された御神籤箱とが表示される画面表示が示されており、図11、12に、「ゲーム時の画面表示」として、「御神籤」との文字列が記載された御神籤箱と、御神籤の棒とが表示される画面表示が示され、図13に、「ゲーム終了時の画面表示」として、「大吉 一万ポイント発生 ポイントは大当たりまで御預け!!! がんばってね」との文字列が表示される画面表示が示されていると認められる。そして、「ゲーム」の「開始」から「終了」までの画面表示としてこれら以外は図示されていない。 (タ) 上記(ア)?(ス)の記載事項、上記(セ)、(ソ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すれば、刊行物2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる(a?sは本願補正発明の記号A?Sに対応させて付与した。)。 「a 遊技者が操作する押しボタンスイッチ23a(操作入力手段)と、(【0018】、【0104】) b 可変表示装置3と、(【0081】) c を備えたパチンコ遊技機であって、(【0027】) d、e、g 可変表示装置3には、ゲーム開始後、押しボタンスイッチ23aが押されるとおみくじを引く画像が表示され、抽選結果に対応して、おみくじの結果が表示され、(【0087】、認定事項(セ)) h おみくじのゲームは、デモ中ゲームであり、乱数と判定値とを用いた抽選でおみくじの大吉、中吉、吉、小吉を選択するようになっており(認定事項(ソ)、【0086】)、特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて取得されるようになっており(【0048】)、 j、l、r おみくじのゲームでは、「ゲームの開始時の画面表示」では、「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印と、「御神輿」という文字列が記載された御神籤箱とが表示され、「ゲーム時の画面表示」では、「御神籤」という文字列が記載された御神籤箱と、御神籤の棒とが表示され、「ゲーム終了時の画面表示」では、「大吉 一万ポイント発生 ポイントは大当たりまで御預け!!! がんばってね」という文字列が表示される、(認定事項(ソ)) s パチンコ遊技機。(【0027】)」 (3)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 (a)引用発明1の「上球皿8の正面中央に設けられ、遊技者によって押圧操作される演出ボタン15」は、「上球皿8の正面中央」が「遊技者が操作可能な位置」であることが明らかであるから、本願補正発明の「遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段」に相当する。 (b)引用発明1の「画面」は、本願補正発明の「表示手段」に相当する。 (c)引用発明1の「ぱちんこ遊技機PM」は、本願補正発明の「遊技台」に相当する。 (d)引用発明1の「画面」で実行される「保留内連荘演出B」は、本願補正発明の「表示手段」に「表示」される「ミニゲーム」に相当する。したがって、引用発明1の構成d、f、iと本願補正発明の構成Dとは、「前記表示手段は、ミニゲームの表示を表示可能な手段であ」る点で共通する。 (f)引用発明1の「保留内連荘演出B」は、本願補正発明の「第二のミニゲーム」に相当する。したがって、引用発明1の構成d、f、iと本願補正発明の構成Fとは、「前記ミニゲームは、第二のミニゲームであ」る点で共通する。 (i)引用発明1において、「保留内連荘演出B」で、「演出ボタン15の1回の操作によって宝箱が1個開放され、この開放された宝箱の中から獲得点数(0点又は1点)が出現するようになっており、宝箱を全数開放したときに得られる総獲得点数に応じて、後続の作動保留球における特定保留(大当りとなることが予定される作動保留球)の有無が示唆又は報知される」ことは、本願補正発明の「前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (k)引用発明1の「「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字列」、「演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」」は、本願補正発明の「第二の操作促進表示」に相当する。また、引用発明1は、「操作可能な残り時間に応じて、カーソルが左側から右側へ宝物1個分ずつ段階的にシフトするようになって」おり、例えば、遊技者が中央の宝箱を開けたい場合には、「操作の対象となる宝箱を指し示すカーソル」が中央の宝箱を指しているタイミングで「演出ボタン15の操作」を行う必要があることから、「操作の対象となる宝箱を指し示すカーソル」と「宝箱」は遊技者の操作のタイミングを知らせるものであるといえ、該「カーソル」及び該「宝箱」も本願補正発明の「第二の操作促進表示」に相当するといえる。したがって、引用発明1において、「保留内連荘演出B」で、「3個の宝箱(閉じた宝箱)の画像が表示されるとともに、「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字が表示され、演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」が表示され、さらに、操作の対象となる宝箱を指し示すカーソルが表示され」ることは、本願補正発明において、「前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (m)引用発明1は、上記(k)に記載のとおり、本願補正発明の「第2の操作促進表示」に相当する表示を行うものである。したがって、引用発明1の構成k、m、qと本願補正発明の構成Mとは、「前記第二の操作促進表示は、一のパターンで表示される表示であ」る点で共通する。 (q)引用発明1において、「保留内連荘演出B」で、「演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」が表示され」ることは、本願補正発明において、「前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (s)上記(c)に記載したとおり、引用発明1の「ぱちんこ遊技機PM」は、本願補正発明の「遊技台」に相当する。 上記(a)?(s)から、本願補正発明と引用発明1とは、 [一致点] 「A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 B 表示手段と、 C を備えた遊技台であって、 D’ 前記表示手段は、ミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 F’ 前記ミニゲームは、第二のミニゲームであり、 I 前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり、 K 前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、 M’ 前記第二の操作促進表示は、一のパターンで表示される表示であり、 Q 前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームである、 S ことを特徴とする遊技台。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成D、F) 本願補正発明は、「前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり」、「前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであ」るのに対して、引用発明1は、そのような構成を有しているか否か不明な点。 [相違点2](構成D、E、G、H、J、L、R) 本願補正発明は、「前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり」、「前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであ」り、「前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり」、「前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく」、「前記第一のミニゲームは、第一の操作促進表示が表示されるミニゲームであり」、「前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であり」、「前記第一のミニゲームは、前記操作有効期間表示が表示されないミニゲームである」のに対して、引用発明1は、そのような構成を有しているか否か不明な点。 [相違点3](構成M、N、O、P) 本願補正発明は、「前記第二の操作促進表示は、複数のパターンのうちの一のパターンで表示される表示であり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第一のパターンであり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第二のパターンであり、前記第二のミニゲームにおいて、前記第一のパターンで前記第二の操作促進表示が表示された場合よりも前記第二のパターンで該第二の操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやす」いのに対して、引用発明1はそのような構成を有していない点。 (4)判断 ア 相違点1、2について 相違点1、2は、いずれも「複数のミニゲーム」を有することに関する事項であるため、まとめて判断を行う。 刊行物2には、「第2[理由]3(2)イ(タ)」に記載したとおりの引用発明2が記載されている。 ここで、本願補正発明の構成G、構成H、構成J、構成L、構成Rと、引用発明2の構成d、e、g、構成h、構成j、l、rとを対比する。 (g)引用発明2において、「ゲーム」で、「押しボタンスイッチ23aが押されるとおみくじを引く画像が表示され、抽選結果に対応して、おみくじの結果が表示され」ることは、本願補正発明において、「前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (h)引用発明2では、「おみくじのゲームは、デモ中ゲームであり、乱数と判定値とを用いた抽選でおみくじの大吉、中吉、吉、小吉を選択するようになって」いる。そして、「デモ中ゲーム」である「おみくじのゲーム」の後の「特図ゲーム」においては、「大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて取得されるようになって」いるから、これらの「各種乱数」は、「おみくじのゲーム」の「乱数」とは異なるものである。したがって、「おみくじのゲーム」の結果と「特図ゲーム」の結果とは関係するものではない。よって、引用発明2において、「おみくじのゲームは、デモ中ゲームであり、乱数と判定値とを用いた抽選でおみくじの大吉、中吉、吉、小吉を選択するようになっており」、「特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて取得されるようになって」いることは、本願補正発明において、「前記第一のミニゲーム結果は、予告ではな」いことに相当する。 (j)引用発明2の「「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印」は、本願補正発明の「第一の操作促進表示」に相当する。 (l)「第2[理由]3(2)イ(ソ)」に記載したとおり、引用発明2の「「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印」を図示しているのは図10のみであり、また、これらを図10に示される態様以外の態様で図示する点については、刊行物2には記載がないことから、引用発明2において、「「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印」「が表示され」ることは、本願補正発明において、「前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であ」ることに相当する。 (r)引用発明2において、「可変表示装置3」に表示されるのは、「「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印と、「御神輿」という文字列が記載された御神籤箱」、「御神籤の棒」、「「大吉 一万ポイント発生 ポイントは大当たりまで御預け!!! がんばってね」という文字列」であり、これらは本願補正発明の「操作有効期間表示」ではない。したがって、引用発明2において、「おみくじのゲームでは、「ゲームの開始時の画面表示」では、「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印と、「御神輿」という文字列が記載された御神籤箱とが表示され、「ゲーム時の画面表示」では、「御神籤」という文字列が記載された御神籤箱と、御神籤の棒とが表示され、「ゲーム終了時の画面表示」では、「大吉 一万ポイント発生 ポイントは大当たりまで御預け!!! がんばってね」という文字列が表示され」ることは、本願補正発明において、「前記第一のミニゲームは、前記操作有効期間表示が表示されないミニゲームである」ことに相当する。 したがって、引用発明2は、本願補正発明の構成G、構成H、構成J、構成L、構成Rを備えるものである。 また、引用発明2は、「第2[理由]3(2)イ(ア)」に記載したように、「遊技者が他の遊技機に移動するのを抑制して、同一の遊技機で遊技するように促すことができる遊技機を提供することを目的とする」ことを課題とする発明であるが、当該課題は、引用発明1も含めた遊技機一般が内包する課題といえる。 よって、引用発明1において、特別図柄遊技が行われていないときに、引用発明2の「おみくじのゲーム」(デモ中ゲーム)ができるようにし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成(G、H、J、L、R)とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、引用発明1においては、複数のゲーム(保留内連荘演出B(第二のミニゲーム)とおみくじのゲーム(第一のミニゲーム))が行われることになるから、上記相違点1に係る本願補正発明の構成(D、E)、及び上記相違点2に係る本願補正発明の構成(F)も、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点3について 遊技機の技術分野において、遊技の興趣を向上させるために、複数のパターンのうちの一のパターンで操作促進表示を行い、第一のパターンで前記操作促進表示が表示された場合よりも第二のパターンで該操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやすくなるようにすることが、例えば、特開2015-91379号公報(【0006】には、予告により大当り遊技に制御されることに対する興趣を向上させるとの課題が記載されており、【0409】?【0415】、図39には、ボタン操作促進演出の一部を構成する封筒画像9Bについて、ボタン予告演出後に当りとなる割合に応じて封筒の色が選択されるようにすることが記載されている。)、特開2015-150052号公報(【0013】には、遊技興趣をより向上させるとの課題が記載され、【0080】、図38?40には、大当り時と外れ時とで、各ボタン演出態様毎の出現確率を異ならせることにより、操作促進演出の態様として「デカボタン」が出現した場合の方が「通常ボタン」が出現した場合よりも大当りの信頼度を高くすることが記載されている。)、特開2015-167692号公報(【0007】には、遊技の興趣をより向上させるとの課題が記載され、【0237】?【0241】、図30には、操作促進画像9aの表示態様が、「赤/小」、「赤/大」、「白/小」、「白/大」のいずれかに決定されるようにし、大当りになる場合には、はずれになる場合に比べて、「赤」に決定される割合が大きく、「赤/大」に決定される割合は、大当りになる場合には、はずれになる場合に比べて、さらに大きくなるようにすることが記載されている。)、特開2015-15997号公報(【0208】?【0210】、図21には、操作促進演出である、「ボタンを押せ」などの表示202の数に応じて、ボタン予告演出が実行された場合の大当りに対する期待度を異ならせることが記載されている。また、当該操作促進演出が、上記他の文献と同様に遊技の興趣を向上させることを課題としていることは当業者にとって自明である。)に記載されるように、本願出願前に周知(以下、「周知技術」という。)である。 引用発明1(「第2[理由]3(2)ア(ア)」を参照)と上記周知技術は、遊技の興趣を向上させるという同様の課題を有するものである。 したがって、引用発明1の「宝箱」、「「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字」、「演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」」、及び「カーソル」の表示(第二の操作促進表示)について、上記周知技術を適用し、上記相違点3に係る本願補正発明の構成(M、N、O、P)とすること(例えば、引用発明1において、総獲得点数や特定保留の有無に関する期待度に応じて、開かれる前の宝箱の色を変えること、ボタン画像を表示しその大きさを変えること、「ボタンを押して宝箱を開けよう」という文字列の表示数を変えること)は、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明が奏する作用効果も、引用発明1、引用発明2及び周知技術から当業者が予測できる効果の範囲のものである。 よって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)請求人の主張について 請求人は審判請求書において、 「補正後の本願発明は、上述した通りの、『前記第一のミニゲームは、第一の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、前記第二のミニゲームは、第二の操作促進表示が表示されるミニゲームであり、前記第一の操作促進表示は、一のパターンでのみ表示される表示であり、前記第二の操作促進表示は、複数のパターンのうちの一のパターンで表示される表示であり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第一のパターンであり、前記複数のパターンのうちの一のパターンは、第二のパターンであり、前記第二のミニゲームにおいて、前記第一のパターンで前記第二の操作促進表示が表示された場合よりも前記第二のパターンで該第二の操作促進表示が表示された場合の方が遊技者に有利となりやす』い点に特徴を有するものである。」、 「これに対し、本願発明は、上記構成を備えているので、『予告ではない余興的なミニゲームでは、遊技者に過度な期待を持たせないようにして射幸心を煽ることを抑制しつつ、操作有効期間表示を表示しないことで操作を焦らせず、ミニゲームを堪能させることができる一方、第二のミニゲームにおいて、ミニゲームの結果としての予告の他に、操作促進表示(第二の操作促進表示)の表示パターンにより予告演出を重畳的に行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる。』といった格別の作用効果を奏する。 」 と主張している。 しかしながら、「(4)判断」に記載したとおり、本願補正発明の構成は、引用発明1、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、また、「第二のミニゲームにおいて、ミニゲームの結果としての予告の他に、操作促進表示(第二の操作促進表示)の表示パターンにより予告演出を重畳的に行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる。」との効果は、周知技術から当業者が予測し得た効果にすぎない。 よって、請求人の主張は採用できない。 (6)まとめ したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正(平成30年1月29日付け手続補正)は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年10月6日付け手続補正により補正された、上記「第2[理由]1」で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 B 表示手段と、 C を備えた遊技台であって、 D 前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 E 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであり、 F 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであり、 G 前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり、 H 前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく、 I 前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり、 Q 前記第二のミニゲームが表示される場合は、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示され、 R 前記第一のミニゲームが表示される場合は、前記操作有効期間表示が表示されない、 S ことを特徴とする遊技台。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?4、6?8に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2、4?6に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献2:特開2012-217792号公報 引用文献4:特開2015-223522号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特許第5896493号公報 引用文献6:特開2014-045904号公報(周知技術を示す文献) 3 刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された引用文献2(本審決の刊行物2)、引用文献5(本審決の刊行物1)の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。 4 対比 本願発明と引用発明2とを対比する。 (a)引用発明2の「遊技者が操作する押しボタンスイッチ23a(操作入力手段)」は、「遊技者」が操作するものであるから、「遊技者が操作可能な位置」に設けられていることは明らかであり、本願発明の「遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段」に相当する。 (b)引用発明2の「可変表示装置3」は、本願発明の「表示手段」に相当する。 (c)引用発明2の「パチンコ機」は、本願発明の「遊技台」に相当する。 (d)引用発明2の「可変表示装置3」に表示される「ゲーム」は、本願発明の「表示手段」に「表示」される「ミニゲーム」に相当する。したがって、引用発明2の構成d、e、gと本願発明の構成Dとは、「前記表示手段は、ミニゲームの表示を表示可能な手段であ」る点で共通する。 (e)引用発明2の「ゲーム」は、本願発明の「第一のミニゲーム」に相当する。したがって、引用発明2の構成d、e、gと本願発明の構成Eとは、「前記ミニゲームは、第一のミニゲームであ」る点で共通する。 (g)前記「第2[理由]3(4)ア(g)」と同様に、引用発明2において、「ゲーム」で、「押しボタンスイッチ23aが押されるとおみくじを引く画像が表示され、抽選結果に対応して、おみくじの結果が表示され」ることは、本願発明において、「前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (h)前記「第2[理由]3(4)ア(h)」と同様に、引用発明2において、「おみくじのゲームは、デモ中ゲームであり、乱数と判定値とを用いた抽選でおみくじの大吉、中吉、吉、小吉を選択するようになっており」、「特図ゲームの大当たり外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力と特図ゲームの開始に基づいて取得されるようになって」いることは、本願発明において、「前記第一のミニゲーム結果は、予告ではな」いことに相当する。 (r)前記「第2[理由]3(4)ア(r)」と同様に、引用発明2において、「おみくじのゲームでは、「ゲームの開始時の画面表示」では、「おみくじを引いてください」という文字列と、ボタンスイッチ23aと、矢印と、「御神輿」という文字列が記載された御神籤箱とが表示され、「ゲーム時の画面表示」では、「御神籤」という文字列が記載された御神籤箱と、御神籤の棒とが表示され、「ゲーム終了時の画面表示」では、「大吉 一万ポイント発生 ポイントは大当たりまで御預け!!! がんばってね」という文字列が表示され」ることは、本願発明において、「前記第一のミニゲームが表示される場合は、前記操作有効期間表示が表示されない」ことに相当する。 (s)上記(c)に記載したとおり、引用発明2の「パチンコ機」は、本願発明の「遊技台」に相当する。 上記(a)?(s)から、本願発明と引用発明2とは、 [一致点] 「A 遊技者が操作可能な位置に設けられた操作手段と、 B 表示手段と、 C を備えた遊技台であって、 D’ 前記表示手段は、ミニゲームの表示を表示可能な手段であり、 E’ 前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであり、 G 前記第一のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて第一のミニゲーム結果が表示されるミニゲームであり、 H 前記第一のミニゲーム結果は、予告ではなく、 R 前記第一のミニゲームが表示される場合は、前記操作有効期間表示が表示されない、 S ことを特徴とする遊技台。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点4](構成D、E) 本願発明は、「前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり」、「前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第一のミニゲームであ」るのに対して、引用発明2は、そのような構成を有しているか否か不明な点。 [相違点5](構成D、F、I、Q) 本願発明は、「前記表示手段は、複数のミニゲームの表示を表示可能な手段であり」、「前記複数のミニゲームのうちの一のミニゲームは、第二のミニゲームであ」り、「前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり」、「前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであり」、「前記第二のミニゲームが表示される場合は、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示され」るのに対して、引用発明2は、そのような構成を有しているか否か不明な点。 5 判断 ア 相違点4、5について 相違点4、5は、いずれも「複数のミニゲーム」を有することに関する事項であるため、まとめて判断を行う。 刊行物1には、「第2[理由]3(2)ア(ク)」に記載したとおりの引用発明1が記載されている。 ここで、本願発明の構成I、構成Qと、引用発明1の構成d、f、i、構成k、m、qとを対比する。 (i)前記「第2[理由]3(3)(i)」と同様に、引用発明1において、「保留内連荘演出B」で、「演出ボタン15の1回の操作によって宝箱が1個開放され、この開放された宝箱の中から獲得点数(0点又は1点)が出現するようになっており、宝箱を全数開放したときに得られる総獲得点数に応じて、後続の作動保留球における特定保留(大当りとなることが予定される作動保留球)の有無が示唆又は報知される」ことは、本願発明の「前記第二のミニゲームは、前記操作手段が操作されたことに応じて予告が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 (q)引用発明1において、「保留内連荘演出B」で、「演出ボタン15の操作が可能となる「残り時間」が表示され」ることは、本願発明において、「前記第二のミニゲームは、前記操作手段の操作有効期間に関する表示(以下、「操作有効期間表示」という。)が表示されるミニゲームであ」ることに相当する。 引用発明1(「第2[理由]3(2)ア(ア)」を参照)は、遊技の興趣を向上させるという課題を有するものであるが、当該課題は、引用発明2も含む遊技機一般が内包する課題といえる。 よって、引用発明2において、特図ゲームに係るゲームとして、引用発明1の保留内連荘演出B(第二のミニゲーム)が実行できるようにし、上記相違点5に係る本願発明の構成(I、Q)とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、引用発明2においては、複数のゲーム(おみくじのゲーム(第一のミニゲーム)と保留内連荘演出B(第二のミニゲーム))が行われることになるから、上記相違点4に係る本願発明の構成(D、E)、及び上記相違点5に係る本願発明の構成(F)とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する作用効果も、引用発明1及び引用発明2から当業者が予測できる効果の範囲のものである。 よって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-10-26 |
結審通知日 | 2018-10-30 |
審決日 | 2018-11-13 |
出願番号 | 特願2016-80346(P2016-80346) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮川 数正 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 荒井 誠 |
発明の名称 | 遊技台 |
代理人 | 中 大介 |
代理人 | 吉延 彰広 |