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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B41F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41F
管理番号 1347493
審判番号 不服2018-6273  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-08 
確定日 2019-01-22 
事件の表示 特願2015-520345「ステンシルワイパースポットクリーナー組立体および関連する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 3日国際公開、WO2014/004329、平成27年10月 1日国内公表、特表2015-528758、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2013年(平成25年)6月23日(パリ条約による優先権主張、外国庁受理2012年(平成24年)6月27日(以下、「優先日」という。)、米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年6月13日付けで拒絶理由が通知され、同年9月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年12月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年5月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年10月24日付けで拒絶理由が通知され、同年11月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。


第2 原査定の概要

平成29年12月25日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は次のとおりである(引用文献については、下記の引用文献等一覧を参照。)。

本願請求項1,14に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2003-260781号公報
2.特開平6-122190号公報
3.米国特許出願公開第2012/145015号明細書


第3 当審拒絶理由の概要

平成30年10月24日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである(引用文献については、下記の引用文献等一覧を参照。)。

1 請求項13,14の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 請求項1-14の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 請求項1-12,14に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2003-260781号公報
2.特開平6-122190号公報
3.米国特許出願公開第2012/145015号明細書


第4 本願発明

本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成30年11月16日付けの手続補正による補正(以下、「本件補正」という。)がなされた特許請求の範囲の請求項1-11に記載された次の事項により特定されるとおりの発明である。

【請求項1】
「上面および下面を有するステンシルと、
前記ステンシルの前記上面に材料を塗布する材料塗布機と、
前記ステンシルの前記下面をY軸方向に清掃するステンシルワイパー組立体であって、該ステンシルワイパー組立体はワイパーブレード組立体を有し、該ワイパーブレード組立体は、前記ステンシルの前記下面に係合し、該ステンシルワイパー組立体がステンシルワイパーガントリに沿って移動するときに前記ステンシルの前記下面を拭くように構成されている、ステンシルワイパー組立体と、
前記ステンシルワイパー組立体に可動に取り付けられているスポットクリーナー組立体であって、清掃ヘッドを含むと共に、X軸方向に移動し、前記ステンシルの前記下面をスポット清掃するように構成されているスポットクリーナー組立体と、を具備するステンシルプリンターであって、
前記清掃ヘッドは、余剰のはんだペーストおよびフラックスを収集する交換可能な媒体と、前記交換可能な媒体を濡らす溶剤吐出システムと、前記ステンシルを通して該清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む真空システムとを含んでおり、
該ステンシルプリンターは、更に、
前記ステンシルワイパー組立体および前記スポットクリーナー組立体の移動を制御し、前記清掃ヘッドを、スポット清掃作業を行う所望の場所に位置決めするとともに、前記溶剤吐出システムの動作と、前記清掃ヘッドの揺動または回転と、前記真空システムの動作とを制御するように構成されているコントローラーと、を具備するステンシルプリンター。」

【請求項2】
「前記スポットクリーナー組立体は、前記ステンシルワイパー組立体のフレームに固定されているフレーム部材を含む請求項1に記載のステンシルプリンター。」

【請求項3】
「前記スポットクリーナー組立体は、支持ブラケットにより支持されているキャリッジを更に含み、該キャリッジは、前記フレーム部材に沿って走行するように構成されている請求項2に記載のステンシルプリンター。」

【請求項4】
「前記スポットクリーナー組立体は、前記支持ブラケットを移動させるように構成されているX軸駆動装置を更に含む請求項3に記載のステンシルプリンター。」

【請求項5】
「前記X軸駆動装置は、モーターにより回転駆動されるボールねじを含む請求項4に記載のステンシルプリンター。」

【請求項6】
「前記スポットクリーナー組立体の前記清掃ヘッドは、前記キャリッジにより支持されている請求項3に記載のステンシルプリンター。」

【請求項7】
「前記交換可能な媒体は紙ワイパーまたはスポンジ材を含む請求項1に記載のステンシルプリンター。」

【請求項8】
「前記清掃ヘッドは、前記揺動または回転によって、前記ステンシルに付着しているはんだペーストおよびフラックスを遊離させるよう構成されている請求項6に記載のステンシルプリンター。」

【請求項9】
「前記スポットクリーナー組立体は、前記清掃ヘッドをZ軸方向に移動させるように構成されているアクチュエーターを更に含む請求項6に記載のステンシルプリンター。」

【請求項10】
「ステンシルプリンターのステンシルを清掃する方法において、
前記ステンシルの下面に係合するワイパーブレード組立体であって、ステンシルワイパー組立体がステンシルワイパーガントリに沿って移動するとき、前記ステンシルの前記下面を拭くように構成されているワイパーブレード組立体を有したステンシルワイパー組立体を移動して、前記ステンシルの下面をY軸方向に清掃することと、
前記ステンシルワイパー組立体に結合され前記ステンシルの前記下面をスポット清掃するスポットクリーナー組立体であって、溶剤吐出システムと真空システムとを含む清掃ヘッドを具備するスポットクリーナー組立体をX軸方向に移動させることと、
前記ステンシルワイパー組立体および前記スポットクリーナー組立体の移動を制御することであって、前記清掃ヘッドを、スポット清掃作業を行う所望の場所に位置決めすることと、
前記清掃ヘッドの交換可能な媒体を濡らす前記溶剤吐出システムの動作と、前記清掃ヘッドの揺動/回転と、前記ステンシルを通して前記清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む前記真空システムの動作とを制御することと、を含む方法。」

【請求項11】
「前記ステンシルプリンターにより印刷されたプリント回路基板および前記ステンシルのうちの一方を検査することであって、欠陥を検出することを更に含む請求項10に記載の方法。」


第5 引用文献

1 引用文献1
(1) 当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア 「【0021】
【発明の実施の形態】本実施の形態のスクリーン印刷装置は、スクリーン上でクリーム半田等の粘着物質をスキージングすることによって、スクリーンに設けられた開口部を通してスクリーンに対して所定の位置に密着する回路基板等のワークへ上記クリーム半田を印刷するスクリーン印刷機において、所定の回数の印刷を行なう毎に、スクリーンをクリーニング手段によってクリーニングするようにしたものである。ここでクリーニング手段として、吸引クリーニング手段、超音波クリーニング手段、および乾拭きクリーニング手段の3種類のクリーニング手段を備える。」
イ 「【0022】吸引クリーニング手段はスクリーンの下部にロールペーパを設置するものである。ロールペーパの未使用部分は供給ロールに巻装されており、この供給ロールから供給されたロールペーパが吸引ロールに所定の角度巻付けられた後巻取りロールによって巻取られるようになっている。巻取りロールの回転の駆動源としてモータを使用し、これに対して供給ロールおよび吸引ロールは回転するための駆動源を直接有せず、巻取りロールによって与えられるロールペーパの張力で回転しながらロールペーパの供給がなされるようになっている。」
ウ 「【0023】吸引ロールは断面が円形のパイプを加工したものであって、ロールペーパから成るクリーニングペーパを介してスクリーンへ押付けられる。クリーニングロールの吸引部はスクリーンの開口部よりも少し長い長さのスリットから構成されており、上記クリーニングロールが真空吸引装置に接続され、これによってクリーニングロールの内部が負圧になって上記スリットによってクリーニングペーパを介して吸引が行なわれる。なお使用済みのクリーニングペーパが巻取りロールによって順次巻取られる。」
エ 「【0031】上記一対の案内レール11、12によってさらに別のキャリッジ65が支持されるようになっている。キャリッジ65にはクリーニングユニット19が支持されている。クリーニングユニット19は後述するクリーニングクロス等によってスクリーンの下面をクリーニングするためのものである。そしてクリーニングユニット19は吸引クリーニング手段および超音波クリーニング手段を備えている。なお別の乾拭きクリーニング手段は上記カメラユニット14に取付けられている。これらのクリーニング手段については後に詳述する。」
オ 「【0039】次にこのスクリーン印刷装置のとくにスクリーン25の下面のクリーニングのための機構について図4?図7によって説明する。カメラユニット14をX軸方向に移動させる上下一対の案内レール11、12によって図4に示すようにキャリッジ65が設けられている。このキャリッジ65には吸引クリーニング手段66が設けられている。吸引クリーニング手段66は供給ロール67、巻取りロール68、および吸引ロール69を備えている。とくに吸引ロール69は図5に示すように、その上面であってスクリーン25と対接される位置に軸線方向に延びるスリット70を備え、このスリット70によって吸引動作を行なうようにしている。」
カ 「【0040】クリーニングクロス71が供給ロール67から繰出され、巻取りロール68に巻取られるようになっており、このときに吸引ロール69がクリーニングクロス71を介してスクリーン25の下面をクリーニングする。なおこのような吸引クリーニング手段66は図4Bに示すように、その長さ方向の両側にZ軸レール72を備え、このZ軸レール72によって高さ方向に移動自在になっている。」
キ 「【0041】上記キャリッジ65にさらに超音波クリーニング手段75が設けられている。超音波クリーニング手段75は矩形の板状体から成る架台76を備え、この上に図6に示すようにばね77を介して超音波振動子78を備えるクリーニングヘッドを支持している。そして超音波振動子78がリング状部材79の中心部に配されている。リング状部材79はクリーニング液を含浸させた布あるいはスポンジ等から構成される。また超音波振動子78とリング状部材79とから成るクリーニングヘッドを着脱自在に蓋体83によって覆うようにしている。」
ク 「【0042】上記架台76が図4Aに示すようにZ軸レール80によって上下方向に移動可能になっており、しかもZ軸レール80を備えるZ軸テーブル81がY軸レール82によってY軸方向、すなわちスキージの移動方向と直角な横方向に移動可能になっている。」
ケ 「【0044】図8はこのような3種類のクリーニング手段の駆動部の制御系を示しており、この制御系はコントローラ100を備えるとともに、このコントローラ100に対してその入力側に入力装置99が接続される。これに対してコントローラ100の出力側には、吸引、超音波X軸ドライブ101、吸引クリーナZ軸ドライブ102、超音波クリーナZ軸ドライブ103、超音波クリーナY軸ドライブ104、超音波クリーナ駆動部105、カメラユニットX軸ドライブ108、カメラユニットY軸ドライブ109、乾拭きクリーナZ軸ドライブ110がそれぞれ接続されている。」
コ 「【0054】図9のフローチャートに基いて、吸引クリーニング、超音波クリーニング、乾拭きクリーニングの順にクリーニング動作を行なう場合を説明する。吸引クリーナZ軸ドライブ102を駆動し、これによって吸引クリーニング手段66をZ軸レール72に沿って上昇させる。そしてこの後に吸引ロール69を真空吸引し、スリット70によってクリーニングクロス71をクリーニング動作させる。このときのスクリーン25の下面のクリーニング領域は、吸引、超音波X軸ドライブ101によるキャリッジ65の移動ストロークによって調整される。」
サ 「【0055】この後に超音波クリーニングを行なう場合には、超音波クリーナZ軸ドライブ103を作動させてクリーニングヘッドをスクリーン25の下面に接触させる。そして超音波クリーナ駆動部105によって超音波振動子78を振動させながらリング状部材79から供給されるクリーニング液によって超音波クリーニングを行なう。このときのスクリーン25の下面のクリーニング領域はキャリッジ65のX軸方向の移動量とY軸レール82に沿った超音波クリーニング手段75の移動量とによって調整される。そして所定の領域の超音波クリーニングを終了したならば、超音波クリーナZ軸ドライブ103によって超音波クリーニング手段75を下降させるとともにキャリッジ65を退避位置、すなわち図4に示す左側の位置へ移動させる。」

(2) 引用発明1の認定
上記(1)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「所定の回数の印刷を行なう毎に、スクリーンをクリーニングする、吸引クリーニング手段、超音波クリーニング手段、および乾拭きクリーニング手段の3種類のクリーニング手段と、
出力側に、吸引、超音波X軸ドライブ、吸引クリーナZ軸ドライブ、超音波クリーナZ軸ドライブ、超音波クリーナY軸ドライブ、超音波クリーナ駆動部、カメラユニットX軸ドライブ、カメラユニットY軸ドライブ、乾拭きクリーナZ軸ドライブがそれぞれ接続されているコントローラを備える、前記3種類のクリーニング手段の駆動部の制御系と、を備え、
前記吸引クリーニング手段は、カメラユニットをX軸方向に移動させる上下一対の案内レールによって支持されたキャリッジに設けられ、前記スクリーンの下部にロールペーパを設置するものであって、前記ロールペーパの未使用部分は供給ロールに巻装されており、前記供給ロールから供給された前記ロールペーパが吸引ロールに所定の角度巻付けられた後巻取りロールによって巻取られるようになっており、前記吸引ロールが前記ロールペーパから成るクリーニングペーパを介して前記スクリーンへ押付けられて前記スクリーンの下面をクリーニングし、前記スクリーンの下面のクリーニング領域は、前記吸引、超音波X軸ドライブによる前記キャリッジの移動ストロークによって調整され、
前記超音波クリーニング手段は、前記キャリッジに設けられ、矩形の板状体から成る架台を備え、この上にばねを介して超音波振動子を備えるクリーニングヘッドが支持され、超音波クリーナ駆動部によって前記超音波振動子を振動させながらリング状部材から供給されるクリーニング液によって超音波クリーニングを行ない、前記架台はZ軸レールによって上下方向に移動可能になっており、しかも前記Z軸レールを備えるZ軸テーブルがY軸レールによってY軸方向、すなわちスキージの移動方向と直角な横方向に移動可能になっており、前記超音波クリーニング手段によるスクリーンの下面のクリーニング領域は前記キャリッジのX軸方向の移動量と前記Y軸レールに沿った前記超音波クリーニング手段の移動量とによって調整され、所定の領域の超音波クリーニングを終了したならば前記超音波クリーナZ軸ドライブによって前記超音波クリーニング手段を下降させる、スクリーン印刷装置。」

2 引用文献2及び3について
(1) 当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア 「【0014】図1及び図2は本発明の原理図を示す。これらの図において、1は印刷用スクリーンであり、プリント基板等にクリームはんだ等の印刷用ペーストを印刷するための印刷パターン2が形成されている。3Aは清掃シート3の巻回体である繰り出し側ロール、3Bは巻き取り側ロールである。11は空気吸引部であり、空気吸引口12を有し、かつ吸引口12の両側に近接して掻き取りブレード4A,4Bを具備している。13は印刷用ペーストを溶解させ得る溶剤を吐出する溶剤吐出ノズルであり、清掃シートに対する溶剤含浸手段を構成するものである。また、14は空気吹き付け手段としての空気吹き付けノズルであり、印刷用スクリーン1を挟んで前記空気吸引口12に相対している。なお、溶剤吐出ノズル13の下側には溶剤のたれを受ける溶剤受けカバー15が配設されている。」
イ 「【0015】
【作用】本発明の原理図である図1の状態で、溶剤吐出ノズル13から溶剤を吐出して繰り出し側ロール3Aから引き出した清掃シート3に溶剤を含浸させる。その後、清掃シート3の溶剤含浸部分を一対の掻き取りブレード4A,4B間に位置させ、図2のように空気吸引部11を上昇させて掻き取りブレード4A,4Bを印刷用スクリーン1に押し付ける。そして、空気吹き付けノズル14から印刷用スクリーン1の上面に矢印Qのように空気を吹き付けて印刷パターン2内の印刷用ペースト8を印刷用スクリーン下面側に吹き飛ばし、かつ空気吸引部11の空気吸引口12から矢印Rのように空気吸引(真空吸引)して吹き飛ばされた印刷用ペーストを回収しながら、矢印Sのように前記印刷用スクリーン1又は清掃シート3の少なくとも一方を移動させ、印刷用スクリーン1の下面(裏面)を拭き取る。」

(2) 当審拒絶理由に引用された引用文献3には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア 「[0038] FIG. 1 shows a front perspective view of a combination stencil printer and dispenser, generally indicated at 100, in accordance with one embodiment of the disclosure. The combination stencil printer and dispenser 100, which is sometimes referred to herein simply as a "combination printer," may be configured from a MOMENTUM stencil printer platform identified above. The combination printer 100 includes a frame 102 that supports components of the combination printer, including but not limited to a controller 104 located in a cabinet 106 of the combination printer, a stencil 108, and a dispensing head, generally indicated at 110, for dispensing a viscous material, such as solder paste. The stencil 108 has apertures (not shown) through which viscous material is deposited on the surface of a circuit board, such as circuit board 112 shown in FIG. 1. The dispensing head 110 may be movable along orthogonal axes by a gantry system (not designated) under the control of the controller 104 to allow printing of the viscous material on the circuit board, which, as mentioned above, may sometimes be referred to as an electronic substrate. A cover 114 is shown in an open position to reveal the internal components of the combination printer 100.」
(下線部の当審訳:組み合わせプリンタ100は、組み合わせプリンタのキャビネット106内に配置されたコントローラ104、ステンシル108、及び、全体が110で示されたはんだペーストのような粘性材料を分配する分配ヘッドを含みこれらに限定されない組み合わせプリンタの構成要素を支持するフレーム102を含む。)
イ 「[0040] In one embodiment, the dispensing head 110 may be configured to receive at least one solder paste cartridge (not shown) that provides the viscous material, such as solder paste, to the dispensing head during a printing operation. In one embodiment, the solder paste cartridge is coupled to one end of a pneumatic air hose in a well-known manner. The other end of the pneumatic air hose may be attached to a compressor contained within the frame 102 of the combination printer 100 that, under the control of the controller, provides pressurized air to the cartridge to force solder paste into the dispensing head 110 and onto the stencil 108. Other configurations for dispensing solder paste onto the stencil 108 may also be employed. For example, in other embodiments, mechanical devices, such as a piston, may be used in addition to, or in place of, air pressure to force the solder paste from the cartridge into the dispensing head 110. In yet another embodiment, the controller 104 may be implemented using a personal computer having a suitable operating system (e.g., Microsoft(R) DOS, Windows(R) NT, Windows Vista, UNIX, etc.) with application specific software to control the operation of the combination printer 100 as described herein.」
(下線部の当審訳:圧縮空気ホースの他端は、コントローラの制御下で、はんだペーストを分配ヘッド110内とステンシル108上に押し出すために、圧縮空気をカートリッジに供給する組み合わせプリンタ100のフレーム102内に収容されたコンプレッサに取り付けられてもよい。)
ウ 「[0046] In one embodiment, the solvent application device 134 includes a solvent roller that rotates within a bath of solvent to apply solvent onto the paper as the paper moves between the supply roller 136 and the take-up roller 140. In other embodiments, the solvent application device 134 includes a hollow solvent tube with numerous small openings formed along the length of the tube. The vacuum plenum 132 includes a wiper blade for removing excess solvent and hardened solder paste from the paper as it travels underneath the stencil 108. The vacuum plenum 132 is capable of moving the paper between a first position in which the paper is spaced away from the stencil 108 and a second position in which the paper engages the stencil to wipe and draw excess material from the stencil onto the paper.」
(下線部の当審訳:真空プレナム132は、ステンシル108の下に移動するペーパから、過剰の溶媒及び硬化したはんだペーストを除去するためのワイパーブレードを含む。)
エ 引用文献3の第3図より、分配ヘッド110がステンシル108の上部に配置されることが看て取れる。

(3) 周知技術1
上記(2)ア、イ、エより、ステンシルプリンターの技術分野において、ステンシルの上面に材料を塗布する手段を設けることは、周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。

(4) 周知技術2
上記(1)、及び、上記(2)ウより、ステンシルプリンターの技術分野において、ワイパーブレードを用いてステンシルの下面を拭くように清掃することは周知技術(以下、「周知技術2」という。)であると認められる。


第6 対比・判断

1 本願発明1について
(1) 本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「スクリーン」は、上面および下面を有することは明らかであるところ、本願発明1の「上面および下面を有するステンシル」に相当する。
イ 引用発明1においては「吸引クリーニング手段」の「吸引ロールが前記ロールペーパから成るクリーニングペーパを介して前記スクリーンへ押付けられて前記スクリーンの下面をクリーニング」しているから、本願発明1の「ステンシルワイパー組立体」と引用発明1の「吸引クリーニング手段」とは「前記ステンシルの前記下面を拭く」という点で共通する。
ウ 上記イを踏まえると、引用発明1の「吸引クリーニング手段」は、本願発明1の「ステンシルワイパー組立体」に相当する。
エ 引用発明1の「Y軸方向」は、「スキージの移動方向と直角な横方向」であって、本願発明1の「X軸方向」に相当する。そして、引用発明1の「X軸方向」は、本願発明1の「Y軸方向」に相当する。
オ 引用発明1の「案内レール」は、本願発明1の「ステンシルワイパーガントリ」に相当する。
カ 引用発明1の「吸引クリーニング手段」は、「カメラユニットをX軸方向に移動させる上下一対の案内レールによって支持されたキャリッジに設けられ」ているから、「X軸方向」に移動するものであると認められ、本願発明1の「ステンシルワイパー組立体」と引用発明1の「吸引クリーニング手段」とは本願発明1にいう「Y軸方向に清掃する」という点で共通する。
キ 引用発明1の「クリーニングヘッド」は、本願発明1の「清掃ヘッド」に相当する。そして、本願発明1の「スポットクリーナー組立体」と引用発明1の「超音波クリーニング手段」とは、「清掃ヘッド」を備えるところの「クリーナー組立体」である点で共通する。
ク 本願の発明の詳細な説明には「スポット清掃」の明確な定義が記載されているわけではないところ、「点。地点。場所。」(大辞泉)という「スポット」の一般的な意味に照らせば、本願発明1の「スポット清掃」は点状の領域すなわち狭い領域の清掃を意味すると解するのが妥当である。そうすると、本願発明1の「前記ステンシルの前記下面をスポット清掃する」ことと引用発明1の「所定の領域の超音波クリーニング」とは、「前記ステンシルの前記下面のある領域を清掃する」という点で共通する。
ケ 引用発明1の「吸引、超音波X軸ドライブ」及び「超音波クリーナY軸ドライブ」は、「3種類のクリーニング手段の駆動部の制御系」の「コントローラ」の「出力側に」接続されているから、「吸引クリーニング手段」及び「超音波クリーニング手段」を移動させ「クリーニング領域」を調整するものであるといえ、当該「コントローラ」は、「吸引クリーニング手段」及び「超音波クリーニング手段」の移動を制御し、清掃作業を行う所望の場所に位置決めするものであるといえる。してみると、本願発明1の「コントローラー」と引用発明1の「コントローラ」とは、「前記ステンシルワイパー組立体および前記スポットクリーナー組立体の移動を制御し、前記清掃ヘッドを」「清掃作業を行う所望の場所に位置決めする」という点で共通する。
コ 引用発明1の「スクリーン印刷装置」は、本願発明1の「ステンシルプリンター」に相当する。

(2) 以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「上面および下面を有するステンシルと、
前記ステンシルの前記下面をY軸方向に清掃するステンシルワイパー組立体であって、前記ステンシルの前記下面を拭くように構成されている、ステンシルワイパー組立体と、
前記ステンシルワイパー組立体に可動に取り付けられているクリーナー組立体であって、清掃ヘッドを含むと共に、X軸方向に移動し、前記ステンシルの前記下面のある領域を清掃するように構成されているクリーナー組立体と、
前記ステンシルワイパー組立体および前記スポットクリーナー組立体の移動を制御し、前記清掃ヘッドを、清掃作業を行う所望の場所に位置決めするように構成されているコントローラーと、を具備するステンシルプリンター。」
【相違点1】
本願発明1の「ステンシルプリンター」は「前記ステンシルの前記上面に材料を塗布する材料塗布機」を具備するのに対して、引用発明1ではこれを具備するか否かが明示されていない点。
【相違点2】
本願発明1では「ステンシルワイパー組立体」が「前記ステンシルの前記下面に係合し、該ステンシルワイパー組立体がステンシルワイパーガントリに沿って移動するときに前記ステンシルの前記下面を拭くように構成されている」「ワイパーブレード組立体」を有するのに対して、引用発明1ではそのような「ワイパーブレード組立体」を有するか否かが不明である点。
【相違点3】
「クリーナー組立体」に関して、本願発明1では「スポット清掃」すなわち狭い領域の清掃をする「スポットクリーナー組立体」であるのに対して、引用発明1では「所定の領域」の清掃をする「超音波クリーニング手段」である点。
【相違点4】
「クリーナー組立体」の「清掃ヘッド」に関して、本願発明1では「余剰のはんだペーストおよびフラックスを収集する交換可能な媒体と、前記交換可能な媒体を濡らす溶剤吐出システムと、前記ステンシルを通して該清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む真空システムとを含んでおり」、「コントローラー」が「前記溶剤吐出システムの動作と、前記清掃ヘッドの揺動または回転と、前記真空システムの動作とを制御する」のに対して、引用発明1では「余剰のはんだペーストおよびフラックスを収集する交換可能な媒体と、前記交換可能な媒体を濡らす溶剤吐出システムと、前記ステンシルを通して該清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む真空システム」を具備しておらず「コントローラ」はその制御をしていない点。

(3) 検討・判断
ア 上記相違点4は、本件補正により本願発明1に追加された発明特定事項に関するものであるところ、最初にこれについて検討する。
引用発明1は、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を備えておらず、また、引用文献2及び3には、当該発明特定事項は記載されていない。してみると、当該発明特定事項は、当業者であっても容易に想到し得たことであるとはいえない。
イ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1並びに周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし11について
(1) 本願発明2ないし9は、本願発明1を引用するものであって、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1並びに周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2) 本願発明10は、「スポットクリーナー組立体」の「清掃ヘッド」が「溶剤吐出システムと真空システムとを含」み、「前記清掃ヘッドの交換可能な媒体を濡らす前記溶剤吐出システムの動作と、前記清掃ヘッドの揺動/回転と、前記ステンシルを通して前記清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む前記真空システムの動作とを制御する」という発明特定事項を有するものであるところ、当該発明特定事項は、引用文献1ないし3に記載されておらず、当業者であっても容易に想到し得たことであるとはいえない。してみると、本願発明10は、当業者であっても、引用発明1並びに周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明11は、本願発明10を引用するものであって、当該発明特定事項を備えるものであるから、本願発明10と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1並びに周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第7 特許法第36条に関する当審拒絶理由について

1 特許法第36条第6項第2号(明確性)について、当審では、下記の拒絶理由を通知した。

【請求項13について】
(1) 請求項13には「溶融吐出システムの動作と・・・を制御する」との記載があるが、「溶融吐出システム」のどのような動作を制御するのかが規定されていないため、請求項13に係る発明の技術的意義が不明確である。
(2) 請求項13には「前記スポットクリーナー組立体の真空システムとを制御する」との記載があるが、「真空システム」をどのように制御するのかが規定されていないため、請求項13に係る発明の技術的意義が不明確である。
(3) 請求項13には「溶融吐出システムの動作と、前記清掃ヘッドの揺動/回転と、前記スポットクリーナー組立体の真空システムとを制御する」との記載があるが、「溶融吐出システムの動作」と「前記清掃ヘッドの揺動/回転」は動作に関するものであるが、「前記スポットクリーナー組立体の真空システム」は物品に関するものであり、種類の異なるものが並列にされており、整合が取れていない。
(4) したがって、請求項13の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

【請求項14について】
(1) 請求項14には「プリント回路基板および前記ステンシルのうちの一方を検査する」との記載があるが、当該「プリント回路基板」は請求項14に係る発明における「ステンシルプリンター」により印刷されたものであることが規定されておらず、当該「プリント回路基板」が請求項14に係る発明における「ステンシルプリンター」と無関係なものである場合、これを検査することの技術的意義が不明確である。
(2) したがって、請求項14の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 特許法第36条第6項第2号(明確性)の拒絶理由についての判断

(1) 本件補正により、請求項10(本件補正前の請求項13に対応。)に係る発明において、「溶剤吐出システムの動作」が「清掃ヘッドの交換可能な媒体を濡らす」ことであることが明確になったから、上記1【請求項13について】(1)の拒絶理由は解消した。
(2) 本件補正により、請求項10(本件補正前の請求項13に対応。)に係る発明において、「真空システム」を、「ステンシルを通して前記清掃ヘッドの前記交換可能な媒体に空気を引き込む」ように制御することが明確になったから、上記1【請求項13について】(2)の拒絶理由は解消した。
(3) 本件補正により、請求項10(本件補正前の請求項13に対応。)に係る発明において、「溶融吐出システムの動作」と「前記清掃ヘッドの揺動/回転」と「真空システムの動作」とが並列にされることとなり、これらはいずれも動作に関するものであるから、上記1【請求項13について】(3)の拒絶理由は解消した。
(4) 本件補正により、請求項11(本件補正前の請求項14に対応。)に係る発明において、「プリント回路基板」が 「前記ステンシルプリンターにより印刷された」ものであることが明確になったから、上記1【請求項14について】(1)の拒絶理由は解消した。
(5) したがって、上記1の拒絶理由は解消した。

3 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について、当審では、下記の拒絶理由を通知した。

【請求項1-14について】
(1) 請求項1,12には「前記スポットクリーナー組立体の前記清掃ヘッドの移動を制御し」との記載がある。
これに対して、発明の詳細な説明の段落29には、「スポットクリーナー組立体」の移動を制御することが記載されていると認められるものの、「スポットクリーナー組立体」の「清掃ヘッド」のみの移動を制御することは発明の詳細な説明に記載も示唆もされておらず、これを含む請求項1,12に係る発明は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。
(2) 上記(1)の点について、請求項1を引用する請求項2-11、および、請求項12を引用する請求項13,14においても同様である。
(3) したがって、請求項1-14の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

4 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の拒絶理由についての判断

(1) 本件補正により、請求項1の「前記スポットクリーナー組立体の前記清掃ヘッドの移動を制御し」との記載は、「前記スポットクリーナー組立体の移動を制御し」と補正されたから、請求項1に係る上記3の拒絶理由は解消した。
(2) そして、請求項1を引用する請求項2-9も、請求項1と同様に、上記3の拒絶理由を有しない。また、本件補正による請求項10には「前記スポットクリーナー組立体の移動を制御する」と記載されているところ、請求項10及びこれを引用する請求項11も、上記3の拒絶理由を有しない。
(3) したがって、上記3の拒絶理由は解消した。


第8 原査定についての判断

請求項1,14に係る発明の進歩性に関して、原査定の理由に引用された引用文献1ないし3は、当審拒絶理由に引用された引用文献1ないし3と同じであり、引用文献1から主引用発明を認定し、引用文献2及び3から周知技術を認定している点でも、原査定の理由と当審拒絶理由は共通している。
そして、上記第6のとおり、請求項1-11に係る発明は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、原査定の理由は解消した。


第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2015-520345(P2015-520345)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41F)
P 1 8・ 537- WY (B41F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 昌伸  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
後藤 昌夫
発明の名称 ステンシルワイパースポットクリーナー組立体および関連する方法  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 廣瀬 繁樹  

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