• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61J
管理番号 1347695
異議申立番号 異議2018-700849  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-16 
確定日 2019-01-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6316532号発明「水剤供給装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6316532号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6316532号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成23年12月27日に出願され、平成30年4月6日にその特許権の設定登録がされ、同年4月25日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、特許異議申立人門田康は、平成30年10月16日に特許異議の申立てを行った。


第2 本件発明
本件特許の請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ請求項に対応して「本件発明1」などという。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の異なる種類の水剤をそれぞれ収容した複数の水剤ボトルから選択的に前記水剤を投薬ボトルに供給する、水剤供給装置であって、
複数の前記水剤ボトルの各々から前記投薬ボトルへ向かう前記水剤が流れる複数の供給管と、
前記供給管を前記投薬ボトルに対し相対移動させる供給管移動部と、を備え、
前記供給管は、前記投薬ボトルへ向けて前記水剤が流出する一端を含み、
前記供給管移動部は、前記一端が前記投薬ボトルの上部開口の上方で前記上部開口に対向する供給位置に、複数の前記供給管を順次移動させ、
前記一端に付着した前記水剤の液滴を前記一端から除去するクリーニング部と、
前記水剤供給装置の動作を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、処方箋に従って前記水剤を前記水剤ボトルから前記投薬ボトルに供給して調剤を行ない、調剤が行なわれない調剤休止時間中に前記供給管の内部に残存していた前記水剤が重力の作用により下方へ流れて前記一端に付着した前記液滴を除去するように所定時間毎に前記クリーニング部を稼働させる、水剤供給装置。
【請求項2】
前記所定時間は、前記水剤ボトルに収容された前記水剤の種類に対応して設定される、請求項1に記載の水剤供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定時間毎に加えて、さらに、調剤の完了時にも前記クリーニング部を稼働させる、請求項1または請求項2に記載の水剤供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、所定時間毎に加えて、さらに、調剤の開始時にも前記クリーニング部を稼働させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の水剤供給装置。」


第3 申立理由の概要
特許異議申立人は、証拠として甲第1号証?甲第7号証を提出し、請求項1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである旨主張する。

[証拠方法]
甲第1号証:特開2009-142381号公報
甲第2号証:国際公開第2010/110303号
甲第3号証:特開平5-262393号公報
甲第4号証:実願昭52-41076号(実開昭53-136198号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭53-200号公報
甲第6号証:実願平2-45865号(実開平4-4384号)のマイクロフィルム
甲第7号証:特開平9-22487号公報


第4 甲号証の記載
本件特許の出願日前に頒布された刊行物であるか又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明の記載された文献である、甲第1?7号証には、次の事項が記載されている。
1 甲第1号証
(1)段落【0053】の「この実施形態における水薬供給装置1では、供給ノズル22の水薬供給口部26の位置は、供給ボトル3の水薬2の液面Wa高さに比べて高くなるよう構成されている。したがって、・・・重力によって水薬2が供給管29を通って供給ノズル22側へ移動して供給ノズル22から不測に滴下してしまうという現象を効果的に防止することができる。」の記載によれば、甲第1号証には、“供給ノズル22の水薬供給口部26の位置を、供給ボトル3の水薬2の液面Wa高さに比べて高くなるように構成したことによって、重力によって水薬2が供給ノズル22側へ移動して供給ノズル22から不測に滴下してしまう現象を防止する、水薬供給装置1”が記載されている。
(2)段落【0056】の「複数の供給ボトル3には異なる種類の水薬2が充填されている」の記載から、甲第1号証には、“複数の異なる種類の水薬2をそれぞれ収容した複数の供給ボトル3”が記載されている。
(3)段落【0044】の「供給ノズル22に付着したままの水薬2においてその種類によっては水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって水薬供給路内壁に付着している」、段落【0045】?【0046】の「制御装置68の洗浄手段69は、その供給ボトル3に対応する供給ポンプ18を駆動させ〔ステップ4〕、供給ノズル22の水薬吐出口部26から水薬2を吐出させるよう供給ポンプ18の駆動を制御する。・・・洗浄手段69は、洗浄時間として、水薬センサ27が水薬2の存在、すなわち水薬2が供給ノズル22の水薬吐出口部26から吐出された時点をタイマー70のカウント開始とし、カウント開始から粘性が高くなった水薬2がほぼ溶解するまでの間まで供給ポンプ18に駆動信号を出力し続け、予め設定してある洗浄時間だけ供給ポンプ18を駆動させた後、その駆動を停止させる〔ステップ5〕。」の各記載からみて、甲第1号証には、「洗浄」に関連して、“供給ノズル22に付着したままの水薬2において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって内壁に付着している水薬2を供給ノズル22から除去する洗浄手段69”が記載されている。
(4)加えて、段落【0057】の「供給ノズル22の洗浄のタイミングとして、水薬供給装置1を一定時間使用しない場合に自動的に洗浄モードとして、上記何れかの手順で供給ノズル22を洗浄するよう制御することも可能である。この場合では、水薬供給装置1にタイマーを設け、タイマーの作動を開始させるスイッチを設けて、タイマーのカウントが終了した際、すなわち一定時間が経過した際には自動的に電源スイッチ66がオンさせるよう構成し、自動的に洗浄モードとなって供給ノズル22の洗浄を行うように制御装置68を構成するものである」の記載も併せみると、甲第1号証には、「洗浄」に関連して、“制御装置68は、水薬供給装置1を一定時間使用しない場合に、供給ノズル22に付着したままの水薬2において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって内壁に付着している水薬2を供給ノズル22から除去するように洗浄手段69を稼働させる”事項が記載されている。
(5)さらに、甲第1号証の段落【0017】、【0026】?【0029】、【0039】?【0042】、【0057】等の記載及び図面も参照すれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「複数の異なる種類の水薬2をそれぞれ収容した複数の供給ボトル3から選択的に前記水薬2を水薬ボトル4に供給する、水薬供給装置1であって、
複数の前記供給ボトル3の各々から前記水薬ボトル4へ向かう前記水薬2が流れる複数の水薬供給管29と、
前記水薬供給管29を前記水薬ボトル4に対し相対移動させる回転駆動部17と、を備え、
前記水薬供給管29は、前記水薬ボトル4へ向けて前記水薬2が流出する供給ノズル22を含み、
前記回転駆動部17は、前記供給ノズル22が前記水薬ボトル4の上部開口の上方で前記上部開口に対向する供給位置に、複数の前記水薬供給管29を順次移動させ、
前記供給ノズル22に付着したままの前記水薬2において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって内壁に付着している前記水薬2を前記供給ノズル22から除去する洗浄手段69と、
前記水薬供給装置1の動作を制御する制御装置68と、をさらに備え、
前記制御装置68は、処方箋に従って前記薬液2を前記供給ボトル3から前記水薬ボトル4に供給して調剤を行ない、前記水薬供給装置1を一定時間使用しない場合に、前記供給ノズル22に付着したままの前記水薬2において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって内壁に付着している前記水薬2を前記供給ノズル22から除去するように前記洗浄手段69を稼働させ、
前記供給ノズル22の水薬供給口部26の位置を、前記供給ボトル3の水薬2の液面Wa高さに比べて高くなるように構成したことによって、重力によって前記水薬2が前記供給ノズル22側へ移動して前記供給ノズル22から不測に滴下してしまう現象を防止する、水薬供給装置1。」

2 甲第2号証
甲第2号証における、
「薬液が種類別に収容される複数の薬瓶が配置される薬液供給部と、
患者用容器をサイズ別に整列して配置可能な容器供給部と、
前記薬液供給部の薬瓶から薬液を吸引して、前記容器供給部の患者用容器に分注するノズルと、前記容器供給部に整列させた患者用容器を押圧するロッドと、を有する分注部と、を備え、
前記容器供給部は、
同一サイズの患者用容器を整列させた状態で保持する複数のガイド部材と、
前記ロッドによってガイド部材から押し出された患者用容器を分注位置に位置きめする位置決め部材と、を備えたことを特徴とする分注装置。」([請求項1])
「(1-5.洗浄部)
洗浄部5は、図7に示すように、洗浄容器48と、その上方側に配置されたエアー供給筒49とを備える。洗浄容器48は、外容器50と内容器51とからなる。内容器51は、チューブ51aを介して洗浄水供給タンク9に接続され、図示しないポンプの駆動により、適宜、洗浄水が供給されるようになっている。内容器51から溢れた洗浄水は、外容器50との間の外側領域に貯留され、外容器50の側壁に接続したチューブ50aを介して回収タンク10へと回収されるようになっている。エアー供給筒49では、内部を通過するノズル42に対して、側壁に形成した開口部42aを介してブロア42bからエアーが吹き付けられる。これにより、ノズル42の先端に残った雫や外周面に付着した水滴を落下させることができる。」([0050])
「このようにしてノズル42を介してシリンダ内に処方データに基づいた所定量の薬液が吸引されれば、支持部41(ノズル42及びロッド43)を上昇させる。このとき、ロッド43が自重により元の位置へと移動する。これにより、閉鎖板40はロッド43による押圧状態を解除され、蓋体34の筒状部34bの中心孔を閉鎖する。支持部41が所定位置まで上昇すれば、分注位置の該当する患者用容器16へと移動させる。
ノズル42が分注位置に至れば、降下させて先端部分を患者用容器16内に位置させる。そして、ピストンを前進させてシリンダ内に吸引した薬液を患者用容器16内に供給する。シリンダ内の薬液の供給が完了すれば、再びノズル42を上昇させて、今度はこのノズル42を洗浄部5へと移動させる。このとき、秤量部29を上昇させて、薬液が供給された患者用容器16と支持プレート21を秤量し、その結果を記憶する。そして、秤量結果から患者用容器16の重量を減算することにより分注された薬液の重量を算出する。
ノズル42が洗浄部5に至れば、降下させて先端部分を洗浄容器48の内容器51へと侵入させる(ここでは、ノズル42の先端から約1cmを浸水させている。)。そして、ピストンを後退させシリンダ内に洗浄水を吸引する。洗浄水が吸引されれば、ノズル42を一旦上昇させ、内容器49と外容器50の間に形成される外側領域へと移動させ、吸引した洗浄水を排出することにより洗浄処理を行う。排出された洗浄水は排水回収タンク10へと回収される。この洗浄処理は複数回行ってもよいし、洗浄できるのであれば、1回であってもよい。洗浄処理が終了すれば、ノズル42を上昇させる。このとき、エアー供給筒49でノズル42に向かってエアーを吹き付け、ノズル42に付着した洗浄水や薬液を除去する。」([0056]?[0058])
の各記載によれば、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「薬液が種類別に収容される複数の薬瓶が配置される薬液供給部と、
患者用容器をサイズ別に整列して配置可能な容器供給部と、
前記薬液供給部の薬瓶から薬液を吸引して、前記容器供給部の患者用容器に分注するノズルと、前記容器供給部に整列させた患者用容器を押圧するロッドと、を有する分注部と、を備える分注装置であって、
薬液の供給が完了すれば、ノズル42を洗浄部5へと移動させ、ノズル42が洗浄部5に至れば、降下させて先端部分を洗浄容器48の内容器51へと侵入させ、ピストンを後退させシリンダ内に洗浄水を吸引し、洗浄水が吸引されれば、ノズル42を一旦上昇させ、内容器49と外容器50の間に形成される外側領域へと移動させ、吸引した洗浄水を排出することにより洗浄処理を行い、洗浄処理が終了すれば、ノズル42を上昇させ、エアー供給筒49でノズル42に向かってエアーを吹き付け、これにより、ノズル42の先端に残った雫や外周面に付着した水滴を落下させて除去する、分注装置。」

3 甲第3号証
「【0005】○1(○の中に数字、以下同様。)ノズル内に残った残留液が自重によって自然落下する液だれ(液垂れ)が発生し、液体材料を吐出する対象物の塗布箇所の周囲や液体吐出装置の周辺等に液だれが付着し、そのため対象物や液体吐出装置等の外観を損ねたり、それらの機能を劣化させたりする。
○2吐出された液体材料とノズル内の残留液との間に糸引きが発生し、この糸が液体吐出装置の周囲に付着して外観や周囲の環境を損ねる。このため糸引きを切る作業が必要となり、手間がかかっていた。
○3ノズル内に残留した液体材料を放置しておくと、ノズル内の残留液が硬化し、ノズル詰りが発生する。このため、吐出休止時間が長い場合には人力でノズルを掃除する必要があった。あるいは、残留液がノズル内で硬化しないよう定期的に液体材料をノズルから排出させなければならず、経済性が悪かった。」

4 甲第4号証
「従来一般に使用されているこの種の自動販売機には、飲料水流出ノズルの殺菌装置がないため、使用中細菌の汚染により非衛生的であるため、已むを得ず適宜定期的に人手によって洗浄殺菌を行っていた。しかしながらこの方法では、人手を要するとともに時には失念等もあって確実な殺菌効果を期待することが困難であった。また近時この種自動販売機に対する保健衛生上当局の行政指導の強化に伴ない、この洗浄殺菌装置の必要性はますます痛感されるようになった。
そこで本考案は、この自動販売機内に常時設置されたガスボンベの炭酸ガスを利用して殺菌液を噴射せしめることにより自動的に、かつ定時的に飲料水流出ノズルを洗浄殺菌するように工夫したものである。」(第1頁第20行?第2頁第14行)
「このように構成した本考案の実施に際しては、予めセットしたタイマー(4)によりその設定時間にソレノイドバルブ(3)を開くと、ガスボンベ(B)の炭酸ガスはパイプ(1)の先端の噴射ノズル(2)より飲料水の流出ノズル(D)に向って噴出する。この噴出と同時にその負圧により容器(5)内の殺菌液(6)はパイプ(7)によって吸引され霧状となって流出ノズル(D)に付着しこれを洗浄殺菌する。
次に所定時間経過後再びタイマー(4)の作動によりソレノイドバルブ(3)を閉じガスの噴出を中止する。この殺菌工程はタイマー(4)のセットにより1日1回ないし数回行なうことができる。」(第3頁第16行?第4頁第7行)

5 甲第5号証
「自動販売機内に一定時間にセットされるタイマーあるいは飲料の販売回数をカウントするカウンターを設け、これらから発する信号によって制御回路を作動させて、湯または水を飲料ラインに放出して自動的にこれら飲料ラインを洗浄するようにしたものである。すなわちタイマーを使用する場合は、顧客の利用状況にもよるが大体数時間経過するとタイマーからパルス信号が発生するようにセットし、タイマーからのパルス信号により自動的に制御回路を作動させ一定量の湯または水を飲料ラインに放出して洗浄する。」(第2頁左上欄第5?16行)

6 甲第6号証
「この種の飲料自動販売機の自動洗浄制御装置は、商品やその原料の通路等の被洗浄装置を洗浄する洗浄手段と、所定の条件で定まる時間間隔で、洗浄起動開始信号を出力する洗浄時刻タイマー手段と、前記洗浄起動開始信号に基づいて前記洗浄手段に所定時間、洗浄動作を行わせる制御手段とを設けた構成であり、・・・」(第2頁第11?17行)

7 甲第7号証
「【0008】この発明の目的は、定期的にシロップノズルを洗浄しシロップノズルにシロップが固着しない自動販売機の飲料回路を提供することにある。」
「【0016】販売時にカップ14が置かれるベンドステージ20(図2(a)参照)、およびカップシュータ21(図2(a)参照)は、カップ14内の飲料の零れや、飲料供給時の飛び散りにより汚れるので、飲料原料の補給時、およびタイマー等による一定時間間隔で、シャワー16aによりカップシュータが,シャワー16bによりベンドステージが洗浄される。
【0017】また、上記のベンドステージ20回りの洗浄と同時に、飲料回路から分岐した洗浄回路18a(冷水)、または18b(温水)に接続された洗浄ノズル17に洗浄液が供給されて、洗浄ノズル17と一体に組み込まれたシロップノズル15a内のシロップノズル15に付着したシロップを洗い流す。」


第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「水薬2」は、その文言、機能等から見て、前者の「水剤」に相当し、以下同様に、「供給ボトル3」は「水剤ボトル」に、「水薬ボトル4」は「投薬ボトル」に、「水薬供給装置1」は「水剤供給装置」に、「水薬供給管29」は「供給管」に、「回転駆動部17」は「供給管移動部」に、「供給ノズル22」は「一端」に、「洗浄手段69」は「クリーニング部」に、「制御装置68」は「制御部」に、「水薬供給装置1を一定時間使用しない場合に、」は「調剤が行なわれない調剤休止時間中に」に、それぞれ相当する。
また、これらの相当関係を踏まえると、両者は、“前記一端に付着した前記水剤を前記一端から除去するクリーニング部を備える”と共に、“前記一端に付着した前記水剤を除去するように前記クリーニング部を稼働させる”点で共通する。

してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
複数の異なる種類の水剤をそれぞれ収容した複数の水剤ボトルから選択的に前記水剤を投薬ボトルに供給する、水剤供給装置であって、
複数の前記水剤ボトルの各々から前記投薬ボトルへ向かう前記水剤が流れる複数の供給管と、
前記供給管を前記投薬ボトルに対し相対移動させる供給管移動部と、を備え、
前記供給管は、前記投薬ボトルへ向けて前記水剤が流出する一端を含み、
前記供給管移動部は、前記一端が前記投薬ボトルの上部開口の上方で前記上部開口に対向する供給位置に、複数の前記供給管を順次移動させ、
前記一端に付着した前記水剤を前記一端から除去するクリーニング部と、
前記水剤供給装置の動作を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、処方箋に従って前記水剤を前記水剤ボトルから前記投薬ボトルに供給して調剤を行ない、調剤が行なわれない調剤休止時間中に前記一端に付着した前記水剤を除去するように前記クリーニング部を稼働させる、水剤供給装置。

<相違点1>
クリーニング部の行う洗浄・除去の対象に関し、前者では、「一端に付着した前記水剤の液滴」であり、また、「供給管の内部に残存していた前記水剤が重力の作用により下方へ流れて前記一端に付着した前記液滴」であるのに対し、後者では、一端に付着したままの水剤において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって付着している水剤である点。

<相違点2>
クリーニング部の稼働するタイミングに関し、前者では、「調剤休止時間中に」「所定時間毎に前記クリーニング部を稼働させる」のに対し、後者では、調剤休止時間中にクリーニング部を稼働させるものの、所定時間毎に稼働させるとまでの特定はない点。

(2)判断
最初に、上記相違点1に関し、特許異議申立人は特許異議申立書第13頁において、「甲2発明には、『ノズル42に対してブロア42bからエアーを吹き付け、ノズル42の先端に残った雫や外周面に付着した水滴を落下させる洗浄部5』が記載されている・・・この甲2発明に記載された洗浄部5を甲1発明の洗浄手段69として適用すれば、本件特許発明1のクリーニング部が得られると考えられる。」との主張をしているので、甲2発明の洗浄部5を甲1発明の洗浄手段69として適用できるか否かについて検討する。
甲第2号証には、上記甲2発明が記載されてところ、甲2発明は、要するに、洗浄部5において、薬液の供給完了後に、洗浄水の吸引、排出によりノズルを洗浄処理し、洗浄処理後のノズルにエアーを吹き付け、ノズルの先端に残った雫や外周面に付着した水滴を落下させて除去する事項を含む分注装置に係る発明といえる。
しかしながら、甲第2号証には、甲2発明における「洗浄処理」に関し、その洗浄の対象が、ノズル内において水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって付着している薬液であるとの記載はない。他方、甲1発明は、水分が蒸発してしまっていることで、粘度が高い状態となって付着している水剤を洗浄除去するものである。
また、甲2発明は、「洗浄処理」に当たり、ノズルから洗浄水の吸引、排出を行うものであるが、甲1発明のノズルは、吸引機能を有するものではない。
そうすると、甲1発明と甲2発明とは、洗浄除去すべき対象においても、ノズルの機能においても異なることから、甲1発明の洗浄手段に代えて甲2発明の洗浄部をそのまま適用しようとする動機付けはない。
さらに、甲2発明は、ノズルにエアーを吹き付けノズルの先端に残った雫や外周面に付着した水滴を落下させて除去する事項を含む発明であるが、甲1発明は、「重力によって前記水薬2が前記供給ノズル22側へ移動して前記供給ノズル22から不測に滴下してしまう現象を防止」済みの発明であって、そもそも、液滴や雫が不測に滴下することのない発明といえるので、甲1発明においては、敢えてエアーを吹き付けてまで水剤を除去する必要性のないことは明らかである。そうすると、甲1発明と甲2発明とは、ノズルを洗浄する目的ないし課題でも相違しており、甲1発明の洗浄手段に代えて甲2発明の洗浄部を適用すべき動機付けはない。むしろ、甲1発明の供給ノズル22にエアーを吹き付けると、ノズル内における水薬2の水分の蒸発による粘度の高まりを助長することとなり、かえって供給ノズル22の閉塞を招きかねない。

続いて、甲第3?7号証についても検討する。
上記「第4」の「3」?「7」の記載事項によれば、甲第3号証には、定期的にノズル内の残留液を排出する事項に係る発明(以下「甲3発明」という。)が、甲第4号証には、自動販売機の飲料水流出ノズルを定時的に洗浄殺菌する事項に係る発明(以下「甲4発明」という。)が、甲第5号証には、自動販売機の飲料ラインを一定時間毎に洗浄する事項に係る発明(以下「甲5発明」という。)が、甲第6号証には、飲料自動販売機の商品や原料の通路を所定の時間間隔で洗浄する事項に係る発明(以下「甲6発明」という。)が、甲第7号証には、自動販売機のシロップノズルを定期的に洗浄する事項に係る発明(以下「甲7発明」という。)が、それぞれ記載されてはいるが、甲1発明に甲2発明を適用すべきであるとの記載はない。
そうすると、甲第3?7号証に、上記甲3?7発明が記載されていたとしても、このことは、甲1発明に甲2発明を適用すべき動機付けはないとした上記の判断を左右するものではない。

したがって、上記相違点1における本件発明1の特定事項は、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。
また、上記相違点1における本件発明1の特定事項は、甲3?7発明を考慮したとしても、甲1発明及び甲2発明に基づいて当業者が容易に想到し得た事項であるとはいえない。

(3)小括
以上によれば、相違点1における本件発明1に係る事項は当業者が容易に想到することができた事項ではないことから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2発明及び甲3?7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本件発明2?4について
本件発明2?4は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する発明である。
そうすると、本件発明2?4は、本件発明1について示した理由と同様の理由により、甲1発明、甲2発明及び甲3?7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-12-21 
出願番号 特願2011-285985(P2011-285985)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 智弥  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 関谷 一夫
二階堂 恭弘
登録日 2018-04-06 
登録番号 特許第6316532号(P6316532)
権利者 株式会社タカゾノテクノロジー
発明の名称 水剤供給装置  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ