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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A23F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A23F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23F
管理番号 1348000
審判番号 不服2018-1981  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-13 
確定日 2019-01-09 
事件の表示 特願2016-89296号「のどごし感に優れた高濃度茶由来粒子含有容器詰め茶飲料」拒絶査定不服審判事件〔平成29年1月5日出願公開、特開2017-135号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件拒絶査定不服審判に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成27年6月10日に出願した特願2015-117294号の一部を平成28年4月27日に新たに特許出願としたものであって、平成29年5月12日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成29年7月28日に意見書及び手続補正書が提出された後、平成29年11月14日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成29年11月27日)、これに対して、平成30年2月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出された。

第2 平成30年2月13日に提出された手続補正書による手続補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年2月13日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおりに補正された(下線部は、補正箇所である。)。

【請求項1】
680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が1.1?5.3に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、該濁度が1.1?5.3に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液の、テアニン濃度を50?210ppmに調整し、該茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填することを特徴とする、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項2】
濁度(OD_(680))が1.1?5.3に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した茶飲料の濁度の調整が、茶飲料への抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上の添加により行うことを特徴とする、請求項1に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項3】
テアニンの濃度調整を、かぶせ茶又は玉露の抽出液を原料茶抽出液への添加により行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項4】
680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が、1.1?5.3に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、該濁度が1.1?5.3に調整された茶由来粒子を含有する原料茶抽出液を、テアニン濃度を50?210ppmに調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料飲用時の茶由来粒子のざらつきを低減する方法。

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成29年7月28日に提出された手続補正書により手続補正された次のとおりのものである。

【請求項1】
680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が0.5?5.3に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、該濁度が0.5?5.3に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液の、テアニン濃度を50?500ppmに調整し、該茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填することを特徴とする、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項2】
濁度(OD_(680))が0.5?5.3に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した茶飲料の濁度の調整が、茶飲料への抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上の添加により行うことを特徴とする、請求項1に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項3】
テアニンの濃度調整が、かぶせ茶又は玉露の抽出液を原料茶抽出液への添加により行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項4】
680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が、0.5?5.3に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、該濁度が0.5?5.3に調整された茶由来粒子を含有する原料茶抽出液を、テアニン濃度を50?500ppmに調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料飲用時の茶由来粒子のざらつきを低減する方法。

2 本件補正の適否
本件補正のうち、請求項1,2,4に記載された発明を特定するために必要な事項である「濁度」の下限値について「0.5」であったものを「1.1」とし、かつ、請求項1,4に記載された「テアニン濃度」の上限値について「500ppm」であったものを「210ppm」とする補正は、数値範囲を減縮するものであって、本件補正前の請求項1?4に記載された発明と本件補正後の請求項1?4に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1?4に記載された発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第6項第1号の要件及び同条第4項第1号の要件について
ア 本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「 【技術分野】
【0001】
本発明は、茶由来の粒子を高濃度に含有するにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰め茶飲料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然志向や健康志向の流れを受けて、容器詰めの茶飲料は多くの消費者の支持を受けている。その中でも抹茶や粉砕した緑茶葉などを配合した緑茶飲料は、茶由来の粒子を取り除いた従来の緑茶飲料に比べて、家庭で飲む急須でいれた緑茶に近い香味を有することなどの理由で人気が高まっている。しかし、抹茶や粉砕した緑茶葉を多く入れすぎると、飲用時に口内にざらつきを感じて、飲みにくくなるという問題が生じるため、その添加量には限界があった。
【0003】
粉砕緑茶葉を用いて、緑茶の微粒子を含有させた緑茶飲料においては、そのコク、深い味わいの風味、色調等を生かす方法として、各種の方法が開示されている。例えば、特許文献1には、緑茶抽出液から抽出に伴って生じる微粒子を除去し、飲料調合時に緑茶粉末を添加する方法により、濁度をOD720で0.05?3.00とし、適度な濁度に自由に調整することができる緑茶飲料の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、茶抽出液に対して、カフェイン、銅置換クロロフィル及びヒドロキシカルボン酸を一定比率で配合し、緑色の安定性の保持と、濁り成分の旨味を保持した濁り茶が開示されている。実施例には濁度が高い濁り茶が開示されているが、濁度は茶由来粒子によるものではなく、専ら、緑色植物から調製した銅置換クロロフィルによるものであることが示されている。
【0004】
また、粉末茶等を含有する茶飲料において、のどごし感等を改良する方法も開示されている。例えば、特許文献3には、緑茶飲料中に粉砕茶葉は0.3重量%以上?10.0重量%未満添加し、SOD(スーパーオキサイドデスムターゼ)様活性を1,000?25,000(U/ml)有する缶入り緑茶飲料において、原料茶葉を、粒径0.4?200μm以下に粉砕することにより、飲用時のざらつきの問題がない、のどごしの良い緑茶飲料が提供できることが、特許文献4には、粒子径2μm以下の粉末茶葉と、モノガラクトシルジグリセリド及びジガラクトシルジグリセリドとを含有させることにより、香り立ちを増強しながら、ざらつき感を低減した粉末茶飲料を提供できることが、それぞれ開示されている。
【0005】
更に、特許文献5には、粉末抹茶を含有する飲料中の、全粒子数に対する、粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数の割合及び粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数に対する、粒子径2μm以下の粒子の割合を、特定な値に調整することによる、粉末抹茶が有する香り立ちを保持しながら、苦渋味やざらつき感を低減した粉末茶飲料が、特許文献6には、抹茶と、緑茶抽出物及び/又は穀類抽出物と、甘味成分とを含み、飲料100mLあたりの不溶性固形分が0.3g?0.9gであるように調整することによる、多量に水不溶性固形分を含むにもかかわらず、抹茶本来の深いコク(味わい)と飲み易さを実現した抹茶入り飲料が開示されている。これらの粉末茶を含有する茶飲料は、粉末茶葉の粒子径や、添加量を調整して、粉末抹茶が有する香り立ちを保持しながら、粉末茶粒子に起因するざらつきを低減し、のどごし感等を改善するものであるが、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め緑茶飲料においては、香味に優れ、のどごしの良い容器詰め緑茶飲料を調製し、安定的に維持することが難しいという面がある。
【0006】
他方で、容器詰め茶飲料において、茶抽出液にテアニンを添加して、テアニンの有する旨味や、コク或いは甘味を茶抽出液に増強して、旨味やコクの付与された容器詰め茶飲料を製造する方法が開示されている。例えば、特許文献7には、テアニン及びアルギニンのようなアミノ酸を含有させることによる、旨味やコクが強く、渋味が抑えられ、かつ旨味と渋味のバランスのとれた容器詰め緑茶飲料が、特許文献8には、テアニンと、(A)モノガラクトシルジグリセリド及び(B)ジガラクトシルジグリセリドを所定量で添加、配合することによる、テアニンの有する旨味や甘味が増強された容器詰め茶飲料が開示されている。しかし、該開示のものは、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料の味覚の改善に向けられたものではなく、また、該容器詰め茶飲料の茶由来粒子に起因する飲用の際のざらつきの低減について開示されているものでもない。
【0007】
なお、茶由来粒子を高濃度に含む、紅茶やウーロン茶といった緑茶以外の容器詰め茶飲料はこれまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-163958号公報
【特許文献2】特開2014-14315号公報
【特許文献3】特開平10-234301号公報
【特許文献4】特開2014-68636号公報
【特許文献5】特開2014-68635号公報
【特許文献6】特開2014-221018号公報
【特許文献7】特開2006-061125号公報
【特許文献8】特開2014-068634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するべく、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料において、抹茶や粉砕茶葉について特別な加工や分級を要することなく、また茶飲料にとって特殊な原材料を使用することなく、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料のざらつきを低減し、のどごし感を改善する方法について、鋭意検討を行った結果、思いがけずも、茶飲料中のテアニン及び/又はグルタミン酸の濃度を一定範囲に調整することで、茶由来粒子が高濃度に含まれていても、飲用時に口内のざらつきを感じにくくなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料、特に容器詰め緑茶飲料において、テアニン濃度を50?2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10?1000ppmにそれぞれ調整したことを特徴とする、のどごし感に優れた茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料からなる。本発明の容器詰め茶飲料は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料である。本発明の作用機序は明確にはできていないが、テアニンやグルタミン酸の呈味と、のどごし感の相互作用により、高濃度の茶由来粒子によってもたらさせる、口内のざらつきがマスキングされるものと推測できる。」

「【0019】
本発明は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れ、かつ、茶由来粒子を高濃度に含有する、容器詰めの茶飲料、及びその製造方法を提供する。」

「【0021】
本発明でいう「ざらつき」とは、飲料を口に含んだ際に上あごと舌の間で感じる、ざらざらとした不快な食感をさす。「ざらつき」を低減することで、口当たりがよく、すっきりとしたのどごしの、飲みやすい茶飲料となる。」

「【0024】
更に、通常、容器詰め茶飲料で使用することが知られている、甘味料、香料、酸味料、pH調整剤、又は増粘剤なども適宜使用することが可能である。
【0025】
<茶由来粒子>
本発明の茶飲料は、高濃度の茶由来粒子を含有する。ここで、茶由来粒子は、茶由来であって、0.1?300μm程度の微粒子のことをさし、(1)茶抽出液に別途添加した茶粉砕物に由来するもの、及び(2)茶抽出のために使用する茶葉中に混在する茶由来粒子に由来するものがある。これら(1)若しくは(2)のいずれか、又は両方を茶飲料中に含有させることで、高濃度、すなわち茶飲料の濁度(OD_(680))を0.5以上に調整することができる。」

「【0030】
茶由来粒子は、高濃度、すなわち、最終的に茶飲料の濁度(OD_(680))を0.5以上に調整するために必要な量を添加、含有させる。具体的には茶粉砕物の添加量を調整したり、固液分離の際の遠心強度を調整したりして、茶飲料最終製品の濁度(OD_(680))を調整する。なお、本発明は濁度(OD_(680))0.5以上でざらつきの低減効果を発揮するが、当該効果をより強く実感できるという観点から、濁度1.0以上が好ましく、濁度1.5以上がより好ましく、濁度2.0以上が最も好ましい。なお、本発明の濁度とは、680nmにおける吸光度(OD_(680))で示され、常法にしたがい、一般の分光光度計で測定することができる。
【0031】
<テアニン・グルタミン酸>
本発明では、茶中のテアニン濃度を50?2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10?1000ppmに調整することが必要である。この範囲よりも濃度が低い場合にはざらつきの低減効果が弱く、多い場合にはアミノ酸由来の異味が目立って好ましくない。
【0032】
更に、効果を明確にするためには、テアニンなら、70?1000ppmに調整するのが好ましく、80?500ppmに調整するのがより好ましく、110?500ppmに調整するのが最も好ましい。一方、グルタミン酸は、15?1000ppmが好ましく、14?800ppmがより好ましく、24?500ppmが最も好ましい。テアニン又はグルタミン酸いずれか一方のみでもこれら濃度範囲を満たせばざらつきの低減効果を発揮するが、テアニンは口に含んだ際のトップ?ミドルで特にざらつき感低減の効果を発揮し、グルタミン酸はミドル?ラストで特にざらつきの低減効果を発揮するため、両成分とも上記濃度範囲を満たした方がより効果を発揮する。」

「【0040】
[調製例]
【0041】
<(1)茶由来粒子調合液の調製>
イオン交換水に抹茶(碾茶の石臼粉砕物;市販品)を0.6重量%、ビタミンCを0.12重量%、重曹を0.12重量%添加し、茶由来粒子含有調合液を得た(以下、ベース調合液)。以下の試験サンプル調製時には、全サンプルにおいてベース調合液が3倍希釈(抹茶換算で0.2重量%)となるよう、他原料・イオン交換水を配合した。なお、本ベース調合液(3倍希釈時)はOD680が2.2、テアニン濃度10ppm、グルタミン酸濃度4ppm、タンニン値20mg/100mLであった。」

「【0044】
<(2)緑茶抽出液の調製>
【0045】
(A)かぶせ茶抽出液の調製:
緑茶葉(かぶせ茶)100gに対して50℃の熱水2500gを添加し、5分間抽出した。抽出後、目開き100μmのメッシュを通し、3000rpm10分の条件で遠心分離処理を行ってから、冷却機を用いて10℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た(以下、かぶせ茶抽出液)。以下の試験サンプル調製時には、かぶせ茶抽出液が3倍希釈となるように配合した。なお、かぶせ茶抽出液(3倍希釈時)のテアニン濃度100ppm、グルタミン酸濃度は20ppm、タンニン値は40mg/100mLであった。
【0046】
(B)煎茶抽出液の調製:
緑茶葉(低級煎茶)100gに対して80℃の熱水3000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、目開き100μmのメッシュを通し、3000rpmで10分の条件で遠心分離処理を行ってから、冷却機を用いて10℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た(以下、煎茶抽出液)。下記試験サンプル調製時には、煎茶抽出液が最終的に5倍希釈となるように配合した。なお、煎茶抽出液(5倍希釈)のテアニン濃度は10ppm、グルタミン酸濃度は4ppm、タンニン値は40mg/100mLであった。
【0047】
[実施例1?7、比較例1?3]
【0048】
表1の通りサンプルを配合し、UHT殺菌し、ペットボトルに充填することで実施例1?7及び比較例1?3の容器詰め緑茶飲料サンプルを調製した。」

「【0050】
<(3)評価>
各実施例及び比較例の、濁度、テアニン、グルタミン酸及びタンニン値、並びにざらつき低減効果を表2に示す。ざらつき低減効果は、茶飲料の開発に精通したパネラー6人で飲用し、協議の上評価した。
評価軸は以下の通りである。なお対照は比較例1のサンプルとした。
◎:飲用時のざらつきが顕著に低減した。
○:飲用時のざらつきが低減した。
×:ざらつきが低減していない、または低減効果が不十分である。
【0051】
【表2】


【0052】
試験の結果、飲料中のテアニン50ppm以上、又はグルタミン酸10ppm以上で、ざらつきの低減効果が見られた。テアニン・グルタミン酸いずれか一方のみでも含有量を満たせば効果を発揮するが、テアニンは口に含んだ際のトップ?ミドルで特にざらつき低減効果を発揮し、グルタミン酸はミドル?ラストで特にざらつき低減効果を発揮するため、両成分とも上記量を満たした方がより効果を発揮することが分かった。また、実施例4と実施例7の比較により、タンニン値が変化しても、ざらつき低減効果に影響がないことを確認した。
【0053】
[実施例8?11]
【0054】
各種緑茶抽出液、抹茶又は茶粉砕物を組み合わせて、様々な濁度、テアニン濃度、グルタミン酸濃度を有する容器詰め緑茶飲料を調製し、それぞれのざらつき低減効果を上記評価例と同様にして確認した。その結果を以下に示す。本発明の緑茶飲料はいずれも、ざらつきをほとんど感じない、口当たりの良い、すっきりとしたのどごしの飲料であった。
【0055】
【表3】



イ 判断
(ア)本願明細書の発明の詳細な説明の記載に開示される発明は、「茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料、及びその製造方法を提供すること」を解決せんとしたものであって(段落【0009】)、請求項1?4に記載された事項を発明特定事項としたことで「茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず,飲用時にざらつきを感じにくく,口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する,のどごし感に優れ,かつ,茶由来粒子を高濃度に含有する,容器詰めの茶飲料,及びその製造方法を提供する」(段落【0019】)ことができるというものである。

(イ)ここで、段落【0021】で「本発明でいう「ざらつき」とは、飲料を口に含んだ際に上あごと舌の間で感じる、ざらざらとした不快な食感をさす。」と説明されている。この「ざらつき」は、「テアニン」や「グルタミン酸」の濃度を一定範囲に調整することにより低減できるとされているのであるが(段落【0010】等)、そのことにつき段落【0011】では「本発明の作用機序は明確にはできていないが,テアニンやグルタミン酸の呈味と,のどごし感の相互作用により,高濃度の茶由来粒子によってもたらさせる,口内のざらつきがマスキングされるものと推測できる。」と述べられている。
これらの記載によれば、「ざらつき」とは、一種の“食感”であるところ、これが「テアニン」や「グルタミン酸」の“呈味”等により低減できるとされているが、その技術的な理由は当業者に直ちに理解できるものではない。
また、「テアニン」や「グルタミン酸」は、そもそも茶飲料に通常含まれるものであるから、これらがどの程度の濃度であれば「ざらつき」の低減に関する技術的な意義が生ずるものなのか、十分実証的な裏付けが必要である。
したがって、「テアニン」や「グルタミン酸」により「ざらつき」が低減されるかどうかは、実施例等の具体的な事実の提示を待って理解するほかはない事項である。

(ウ)そこで、以下発明の詳細な説明の実施例及び比較例の記載から、請求項1?4に記載されたようにテアニン濃度を特定することにより、「ざらつき」が低減されるといえるか否かについて検討する。
本願明細書の発明の詳細な説明には,条件の異なる複数種の容器詰め緑茶飲料サンプルについてざらつき低減効果を評価したところ,特定の濁度,テアニン濃度,グルタミン酸濃度を有する11種類の容器詰め緑茶飲料サンプル、すなわち実施例1?11につき,ざらつき低減効果があったと示されている(段落【0040】?【0055】)。
しかし、a 実施例3(テアニン濃度,グルタミン酸濃度が,それぞれ,10ppm,44ppm。以下の例でも同様に表記。)及び比較例1(10ppm,4ppm)の評価結果をみると、対照とされた比較例1に対して、実施例3では○(飲用時のざらつきが低減した)となっている。
実施例3と比較例1は、テアニン濃度が同じでグルタミン酸濃度が異なるものであるから、ざらつき低減効果の評価結果に違いが生じたことは、グルタミン酸濃度に起因するものと考えられる。
また、b 実施例2(210ppm,4ppm)及び実施例4,7(210ppm,44ppm)の評価結果をみると,実施例2では○(飲用時のざらつきが顕著に低減した)であるのに対して実施例4、7では◎となっている。
このことからも、ざらつき低減効果がグルタミン酸濃度に影響されるものと考えられる。
さらに、c 請求項1?4に記載された事項によれば、テアニン濃度の下限値は「50」ppmとなっているが、これに対応する実施例は、実施例6のみである。
しかし、実施例6は、テアニン濃度を50ppmとしただけでなく、グルタミン酸濃度も14ppmにまで高めたものである。
既に述べたように、ざらつき低減効果にはグルタミン酸濃度も影響するものと考えられるのであるから、例えば、テアニン濃度を50ppmとしただけでグルタミン酸が高められていないような飲料でもざらつき低減効果があるかどうかは、不明というべきである。

(エ)以上、a?cの検討からすると、請求項1?4に記載された発明は「ざらつき」の低減を図ったものであるが、「ざらつき」の低減を実現できる構成として、グルタミン酸濃度に関する事項を欠いた請求項1?4に記載された事項で特定された範囲まで拡張ないし一般化できず、請求項1?4の記載は,発明の課題を解決するための手段が反映されているとは認められない。
したがって、請求項1?4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(オ)また、実施例1?11に係る濁度,テアニン濃度,グルタミン酸濃度の範囲外であっても、請求項1?4に係る発明の範囲内であれば、実施例1?11と同様のざらつき低減効果を奏するのかどうか,当業者は理解することができないものといわざるを得ず、また、テアニン濃度を50?210ppmに調整するだけで、同様にざらつき低減効果を奏するのか、当業者は理解することができないから、発明の詳細な説明の記載からでは、当業者が請求項1?4に係る発明の実施をすることができない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定された要件を満たさず、また、特許請求の範囲の記載は、 同条第6項第1号に規定された要件を満たさない。

(2)特許法第29条第2項の要件について
ア 本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

イ 引用文献の記載事項
(ア)原査定の拒絶の理由に示された、本願の原出願の出願日である平成27年6月10日前に日本国内において頒布された引用文献1(特開2014-68631号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
(A)ガレート型カテキン、(B)遊離型カテキン及び(C)モノガラクトシルジグリセリドを含有する茶飲料であって、それらの含有量が飲料1L当たり、
(イ) (A)+(B)=100?1500mg
(ロ) (B)>(A)
(ハ) (C)/(B)=0.0030?0.2000
である、容器詰め緑茶飲料。」

「【0003】
近年、缶やペットボトル等の容器に充填された容器詰め緑茶飲料が多く開発、市販されている。容器詰め緑茶飲料は、保存中における沈殿抑制の観点から、緑茶抽出液を微細なメッシュ(フィルター)での濾過、遠心分離、珪藻土濾過、限外濾過、またはこれらを併用した分離処理により、緑茶由来の懸濁粒子或いは茶葉組織の微細片を取除くことによって製造されている。このように茶葉由来の固形分が除去されてしまうため、容器詰め茶飲料は、茶特有の香りや、旨味、コク味が物足りないという欠点を有する。また、製造時の加熱殺菌により良質な香気が著しく損なわれる、旨味・甘味・渋味・苦味のバランスが崩れるという問題もある。」

「【0007】
本発明の目的は、旨味・甘味・渋味・苦味がうまく調和し、バランスのとれた容器詰め緑茶飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
緑茶飲料において、苦味・渋味をもたらす成分はカテキン類やカフェインであり、旨味・甘味をもたらす成分は、グルタミン酸やアミノ酸である。したがって、これら成分が適量となるように制御することで、緑茶飲料の旨味・甘味・渋味・苦味のバランスを取ることが可能ではないかと考えられる。しかしながら、容器詰め緑茶飲料の場合、これら成分の量を単に増減するだけでは、うまく調和したバランスのとれた味にならないことが判明した。そこで、本発明者らは、容器詰め緑茶飲料の旨味・甘味・渋味・苦味のバランスについて検討した結果、ガレート型カテキンと遊離型カテキンを特定比率で含有させ、かつモノガラクトシルジグリセリドを遊離型カテキン対して一定の割合になるように配合したときに、バランスに優れる容器詰め緑茶飲料が得られることを見出し、本発明を完成した。」

「【0017】
本発明におけるMGDGは、食品で使用できるものであればどのようなものでも使用できる。MGDGは市販品の他、合成品を用いてもよい。また葉緑体チラコイド膜を有する植物体など天然物からの抽出物を用いてもよく、香味の観点から茶葉の抽出物として添加するのが好ましい。MGDGを高濃度に含有する茶抽出物の製造方法は、例えばWO2009/055188に記載されている。ここで、茶抽出物とは、茶抽出液、その濃縮物又はそれらの精製物を包含する概念である。」

「【0021】
上述のとおり、(A)ガレート型カテキンと(B)遊離型カテキンを特定比率で含有させ、かつ(C)モノガラクトシルジグリセリドを遊離型カテキン対して一定の割合になるように配合することにより、本発明のバランスに優れる容器詰め緑茶飲料が得られる。従来、粉末抹茶を配合した粉末茶飲料において、OD680nmにおける吸光度が0.25を超える茶飲料は、一定量のグリセロ糖脂質を配合しても粉末抹茶固有の収斂味が残り好ましくない風味であることが指摘されている(WO2009/055188)が、本発明の構成を満たすことにより、OD680nmにおける吸光度が高い(例えば、0.25以上、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上、さらに好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.6以上)茶飲料であっても、バランスに優れた茶飲料で、抹茶本来のコクと深みがありながら、まろやかで飲みやすい味わいの茶飲料となる。」

「【0024】
また、甘味成分であるテアニン含量を調整するとよい。(F)テアニン含量は、飲料1L当たり20?80mg、好ましくは25?70mg、より好ましくは30?65mg、特に好ましくは40?60mgとなるように調整する。このとき、容器詰め緑茶飲料中の(C)MGDG及び(D)DGDGを、上記の要件(ニ)及び(ホ)を満たすように調整すると、テアニンの自然な甘味を増強して容器詰め緑茶飲料に深いコクを付与することができるとともに、アミノ酸含量が高い容器詰め茶飲料で発生しがちな不快臭(例えば、レトルト臭)を抑制することができ、爽やかな香りを保持することができる。」

「【0028】
以下、実験例及び実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
(1)MGDG茶抽出物の調製
碾茶を石臼挽きした抹茶(粒度:10,000±2,000cm2/g)を、80倍量の50℃の水に懸濁し、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理し、遠心分離処理(6000rpm、2分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、MGDG茶抽出物を調製した。
【0029】
(2)茶抽出液の調製
煎茶葉の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃、90℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、茶抽出液を得た。
【0030】
(3)容器詰め緑茶飲料の調製
上記(1)及び(2)で得られた茶抽出液を任意の割合で混合し、非重合カテキン類、グリセロ糖脂質の含量が異なる茶飲料(14種類)を製造した。それぞれをペットボトル容器に充填し、加熱殺菌を行った後、冷却して各成分を定量するとともに、専門パネル(5名)で官能評価を行った。」

(イ)上記記載を、特に段落【0021】で述べられた粉末抹茶を配合した粉末茶飲料に着目し、かつ、その製造方法の観点から検討する。
引用文献1が開示する容器詰め緑茶飲料は、(A)ガレート型カテキン、(B)遊離型カテキン及び(C)モノガラクトシルジグリセリドを含有するものであるが、粉末抹茶を配合したOD680nmにおける吸光度が高い茶飲料であっても、抹茶本来のコクと深みがありながら、まろやかで飲みやすい味わいが得られる(段落【0021】)。
また、容器詰め緑茶飲料は、MGDG茶抽出物と茶抽出液とを混合し、ペットボトル容器に充填し、加熱殺菌を行って製造される(段落【0028】?【0030】)。
上記を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。

「粉末抹茶を配合した、OD680nmにおける吸光度が高い茶飲料の製造において、
(A)ガレート型カテキン、(B)遊離型カテキン及び(C)モノガラクトシルジグリセリドの含有量が飲料1L当たり、
(イ) (A)+(B)=100?1500mg
(ロ) (B)>(A)
(ハ) (C)/(B)=0.0030?0.2000
となるように調整し、ペットボトル容器に充填し、加熱殺菌を行う、粉末抹茶を配合した容器詰め緑茶飲料の製造方法。」

ウ 発明の対比
(ア)本件補正発明(以下、「前者」ということがある。)と引用発明(以下、「後者」ということがある。)を対比する。
a 前者の「680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が1.1?5.3に調整された」と後者の「OD680nmにおける吸光度が高い」は、「680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が高濃度の値に調整された」という限りで一致する。
b 後者の「粉末抹茶」は、前者の「茶由来粒子」に相当する。
c 後者における「粉末抹茶を配合し」と前者における「該濁度が1.1?5.3に調整された」は、「濁度が高濃度の値に調整された」という限りで一致する。
そして、後者での「粉末抹茶を配合し」た状態の緑茶飲料には、抹茶由来粒子(粉末抹茶)も含まれているから、前者の「茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液」に相当する。
d 後者における「ペットボトル容器に充填し、加熱殺菌を行う」は、前者における「加熱殺菌処理し、容器に充填する」に相当する。
e 後者の「OD680nmにおける吸光度が高い」「粉末抹茶を配合した容器詰め緑茶飲料」は、前者の「茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料」又は「茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料」に相当する。

(イ)以上を踏まえると、両発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

《一致点》
「680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD_(680))が高濃度の値に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、該濁度が高濃度の値に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填する、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。」

《相違点1》
高濃度たる濁度(OD_(680))について、前者では「1.1?5.3に調整された」とされているのに対して、後者ではそのように特定されたものではない点。

《相違点2》
前者では「テアニン濃度を50?210ppmに調整し」ているのに対して、後者ではそのように特定されたものではない点。

エ 判断
上記相違点1、2について検討する。
引用発明を開示する引用文献1の段落【0021】には、濁度(OD_(680))を0.6以上とすることも記載されている。
そして、引用文献1には濁度の上限が特定されていないことからすれば、濁度を本件補正発明でいう「1.1?5.3」という範囲に入る値とすることは、当業者にとって適宜なし得たことである。
また、引用文献1の段落【0024】には、テアニン含量を、飲料1L当たり20?80mgとなるように調整することが好ましいと記載されている。
そして、これの効果として「テアニンの自然な甘味を増強して容器詰め緑茶飲料に深いコクを付与することができる」と記載されている。
引用発明として粉末抹茶を配合することは、引用文献1の段落【0003】にも関連記載があるように、コク味等の付加と理解することができるところ、上記のようにテアニン含量を調整することは、このコク味の調整にも寄与するところである。
そうしてみると、引用発明においてテアニン濃度を調整することも、当業者にとって格別の創作能力を要さずに採用し得たことということができ、しかも、引用文献1に記載されたテアニン濃度は、「飲料1L当たり20?80mg」であるのだから、本件補正発明におけるテアニン濃度と重複する。
本件補正発明は、上記(1)で検討したように、その濁度、テアニン濃度の全範囲にわたって効果を認め得るものではないから、本件補正発明によって格別顕著な効果がもたらされるということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのまとめ
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正却下の結論のとおり決定する。

第3 本願について
1 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概要、次のとおりである。

(1)特許法第29条第2項について
本願の請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2014-68631号公報
引用文献2.特開2014-68634号公報

(2)特許法第36条第6項第1号及び同条第4項第1号について
テアニンやグルタミン酸の添加量が多いほどざらつき効果が得られる、とは必ずしもいえず、また、実施例のテアニン添加量の下限にあたる、テアニン50ppmでの実施例は、グルタミン酸14ppmを含むものであり、テアニン50ppm単独において、同様に、ざらつき低減作用を有するか否かは不明であるから、本願の請求項1-4に係る発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであって、発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-4に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

2 当審の判断
(1)特許法第36条第6項第1号の要件及び同条第4項第1号の要件について
ア 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願明細書及び特許請求の範囲は、平成29年7月28日に提出された手続補正書により手続補正されたものである。
これによれば、特許請求の範囲の記載は、前記第2[理由]1(2)記載のとおりのものである。また、発明の詳細な説明の記載についていえば、本件補正の前後で前記第2[理由]2(1)アに摘記した事項に変更はない。

イ 本件補正前後で請求項1?4の記載上、濁度の下限値とテアニン濃度の上限値が異なるのであるが、特許法第36条第6項第1号の要件及び同条第4項第1号の要件については、前記第2[理由]2(1)イで示したのと同様の判断が成り立つ。

ウ したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定された要件を満たさず、また、特許請求の範囲の記載は、同条第6項第1号に規定された要件を満たさない。

(2)特許法第29条第2項の要件について
ア 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年7月28日付け手続補正書により手続補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)記載のとおりのものである。

イ 引用文献
原査定の拒絶の理由に示された引用文献1及びその記載事項並びに引用発明は、前記第2[理由]2(2)イに記載したとおりである。

ウ 発明の対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明で、「1.1」とされた「濁度」の下限値を「0.5」とし、かつ、「210ppm」とされた「テアニン濃度」の上限値を「500ppm」としたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項の数値範囲を減縮したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(2)ウ,エに記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定された要件を満たさず、また、特許請求の範囲の記載は、 同条第6項第1号に規定された要件を満たさない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-12 
結審通知日 2018-11-13 
審決日 2018-11-27 
出願番号 特願2016-89296(P2016-89296)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (A23F)
P 1 8・ 537- Z (A23F)
P 1 8・ 121- Z (A23F)
P 1 8・ 575- Z (A23F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 裕美子  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 井上 哲男
槙原 進
発明の名称 のどごし感に優れた高濃度茶由来粒子含有容器詰め茶飲料  
代理人 小澤 誠次  
代理人 廣田 雅紀  
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