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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1348017
審判番号 不服2017-11151  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-27 
確定日 2019-02-04 
事件の表示 特願2016-506368「プロバイダネットワーク内のコンピューティングリソースを割り当てるシステム、方法および非一時的コンピュータ可読記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/165507、平成28年 6月30日国内公表、特表2016-519368、請求項の数(25)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2014年4月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年4月2日(以下,「優先日」という。),米国)を国際出願日として出願したものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年10月 2日 :国内書面の提出
平成27年11月 6日 :翻訳文の提出
平成28年11月25日付け :拒絶理由の通知
平成29年 3月 3日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年 3月22日付け :拒絶査定
平成29年 7月27日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成29年11月22日 :上申書の提出
平成30年 3月29日付け :拒絶理由の通知(当審)
平成30年 9月 3日 :意見書,手続補正書の提出

第2 本願発明
本願請求項1-25に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明25」という。)は,平成30年9月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-25に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
プロバイダネットワーク内のコンピューティングリソースを割り当てるシステムであって,前記システムは,
それぞれがコンピューティングインスタンスをホスティングするように構成された1つ以上のリソーススロットを含む1つ以上のコンピューティングデバイスと,
コンピュータ可読命令が内部に記憶された少なくとも1つのメモリと,
を具え,
前記コンピュータ可読命令は,前記システムの1つ以上のプロセッサによって実行されると,
複数のリソーススロットを,前記プロバイダネットワークの割り当て方針に従って,第1ユーザに割り当てるステップと,
前記第1ユーザが,前記複数のリソーススロットの少なくとも一部分を第2ユーザに割り当てることを可能にするステップであって,前記第2ユーザは,前記第1のユーザによって確立された割り当て方針に従って,前記割り当てられた一部分にアクセスし,かつ,使用する権限を与えられており,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,前記プロバイダネットワークの割り当て方針とは異なり,前記プロバイダネットワークは,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針によって権限を与えられていない前記第2ユーザからの,前記複数のリソーススロットの前記割り当てられた一部分へアクセスする要求を拒否するように構成されている,ステップと,
前記割り当てられた一部分が,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針に従って,前記第2ユーザによってアクセスされている間,前記プロバイダネットワークの割り当て方針に従った,前記複数のリソーススロットの前記第1ユーザへの割り当てを維持するステップと
を前記システムに少なくとも行わせる,システムであって,
前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
前記入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較することと,
前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することと
を含む,システム。」

なお,本願発明2-25の概要は以下のとおりである。

本願発明2-4は,本願発明1を減縮した発明である。

本願発明5は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明6-20は,本願発明5を減縮した発明である。

本願発明21は,本願発明1に対応するコンピュータ可読記憶媒体の発明であり,本願発明22-25は,本願発明21を減縮した発明である。

第3 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2011/087982号)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(当審注:訳には,パテントファミリーである特表2013-517544号公報を参照した。下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「[0011] In some embodiments, at least some excess or otherwise unused program execution capacity of a PES or other group of computing nodes may be made available to execute programs on behalf of users on a temporary or non- guaranteed basis, such that the excess program execution capacity may be available to execute such programs until a time that the program execution capacity is desired for other purposes (e.g., for preferential or reserved use to execute one or more other programs). Such excess program execution capacity may, for example, be made available as part of one or more general excess computing capacity pools that are available for use by various users (e.g., any customers of a PES that provides the general excess computing capacity pools), such as via a spot market with dynamically changing pricing to reflect supply and demand, or instead in other manners. In some cases, one or more programs may be executing on behalf of a user using excess program execution capacity at the time that the excess program execution capacity is desired for other purposes, and, in some such cases, the execution of those one or more programs may be automatically terminated (e.g., shut down, aborted, etc.) by the PES in order to make that excess program execution capacity available for the other purposes. In at least some such embodiments, programs that are automatically terminated may be automatically restarted on behalf of the user at a future time, such as a future time when a sufficient amount of excess program execution capacity again becomes available to execute the programs for the user. Alternatively, rather than terminating the one or more programs that are using excess program execution capacity that is desired for other purposes, in some embodiments and situations, other program execution capacity may be identified and used in place of the excess program execution capacity that is desired for the other purposes, so as to enable the one or more programs using the excess program execution capacity to continue to execute. Additional details related to using excess program execution capacity are included below. 」
(訳: 【0005】
いくつかの実施形態において,PESまたは他のコンピューティングノード群の少なくともいくつかの余剰プログラム実行能力または他の場合において未使用状態であるプログラム実行能力が,ユーザを代表するか,そのために一時的様態または非保証様態でプログラム実行を行うために利用することが可能であり,これにより,前記余剰プログラム実行能力は,他の目的(例えば,1つ以上の他のプログラムの実行のための優先的使用または予約使用)のために当該プログラム実行能力が必要となるときまで,このようなプログラムの実行に利用することが可能である。このような余剰プログラム実行能力は,例えば,多様なユーザ(例えば,一般的な余剰コンピューティング能力プールを提供するPESの任意の顧客)によって利用可能な1つ以上の一般的な余剰コンピューティング能力プールの一部として利用可能であり,例えば,供給および需要を反映して価格が動的に変動するスポット市場を介してあるいは他の様態で利用することが可能である。いくつかの場合において,余剰プログラム実行能力が他の目的のために必要であるときに前記余剰プログラム実行能力を用いるユーザを代表するか,そのために1つ以上のプログラムが実行され得,いくつかのこのような場合において,余剰プログラム実行能力を他の目的のために利用することができるよう,これらの1つ以上のプログラムの実行が自動的にPESによって終了され得る(例えば,シャットダウン,アボートされ得る)。少なくともいくつかのこのような実施形態において,自動終了されたプログラムは,将来(例えば,将来において,十分な量の余剰プログラム実行能力が前記ユーザのためのプログラム実行のために再度利用可能となった場合)に前記ユーザを代表するか,そのために自動的に再開させることができる。あるいは,他の目的に必要な余剰プログラム実行能力を用いている1つ以上のプログラムを終了させる代わりに,いくつかの実施形態および状況において,他のプログラム実行能力を特定して,前記他の目的に必要な前記余剰プログラム実行能力の代わりにこのプログラム実行能力を用いることもでき,これにより,前記余剰プログラム実行能力を用いた前記1つ以上のプログラムの実行継続が可能となる。余剰プログラム実行能力の利用に関連するさらなる詳細について,以下に記載する。)

B 「 [0023] In the example of Figure 1 A, a number of users are interacting over a network 100 with an illustrated embodiment of a Program Execution Service System Manager module 1 10 to execute programs on one or more computing nodes 120 available for executing programs of the users, with the PESSM module 1 10 providing some or all of the functionality of a particular program execution service (not shown). In particular, in the illustrated embodiment, the PESSM module 1 10 and the computing nodes 120 are provided by a program execution service provider 105 as part of a provided program execution service, and the PESSM module 1 10 may execute on one or more computing systems (not shown). In this example, the program execution service provides a variety of functionality for managing execution of programs on the computing nodes 120 for various users.
…(中略)…
[0025] The illustrated computing nodes 120 are provided for use in executing programs on behalf of the users, and in some embodiments may include multiple physical computing systems and/or multiple virtual machines that are hosted on one or more physical computing systems (as is described in greater detail with respect to Figure 1 B). Each of the computing nodes 120 has some amount of computing resources available for executing one or more programs and provides a specific amount of program execution capacity, such as may be measured, for example, by a combination of one or more of processing capacity (e.g., number and/or size of processing units), memory capacity, storage capacity, network bandwidth capacity, etc. In some embodiments, the PES provider 105 may provide preconfigured computing nodes, with each preconfigured computing node having similar and/or equivalent amounts of resources available for executing programs on behalf of users, while in other embodiments, the PES provider 105 may provide a selection of various different computing nodes from which a user may choose for executing programs on behalf of the user, such as each selection having varying amounts and/or types of computing-related resources (e.g., size, speed and/or type of processing units; number of processing units; amount of memory and/or storage; platform configuration, such as 32-bit or 64-bit; etc.). 」
(訳: 【0018】
図1Aの例において,プログラム実行サービスシステムマネージャモジュール110の図示の実施形態を用いて,複数のユーザがネットワーク100を介して相互作用している。プログラム実行サービスシステムマネージャモジュール110は,ユーザのプログラム実行において利用することが可能な1つ以上のコンピューティングノード120上においてプログラムを実行する。このPESSMモジュール110は,特定のプログラム実行サービス(図示せず)の機能のうち一部または全体を提供する。詳細には,図示の実施形態において,PESSMモジュール110およびコンピューティングノード120は提供されるプログラム実行サービスの一部としてプログラム実行サービスプロバイダ105によって提供され,PESSMモジュール110は,1つ以上のコンピューティングシステム(図示せず)上において実行し得る。この例において,前記プログラム実行サービスは,多様なユーザのためにコンピューティングノード120上においてプログラム実行を管理するための多様な機能を提供する。
…(中略)…
【0020】
例示のコンピューティングノード120は,ユーザを代表するか,そのためにプログラム実行を行う際に用いられ,いくつかの実施形態において,複数の物理的なコンピューティングシステムおよび/または複数の仮想マシンを含み得る。これらの複数の物理的なコンピューティングシステムおよび/または複数の仮想マシンは,(図1Bを参照してさらに詳述するように)1つ以上の物理的なコンピューティングシステム上においてホストされる。コンピューティングノード120はそれぞれ,1つ以上のプログラム実行において利用することが可能な一定量のコンピューティングリソースを有し,特定の量のプログラム実行能力を提供する(例えば,処理能力(例えば,処理ユニットの数および/またはサイズ),メモリ能力,記憶能力,ネットワーク帯域能力などのうちの1つ以上の組み合わせによって測定することが可能なもの)。いくつかの実施形態において,PESプロバイダ105は,事前構成されたコンピューティングノードを提供し得,各事前構成されたコンピューティングノードは,ユーザのためのプログラム実行において利用することが可能な類似のかつ/または相当量のリソースを有し,他の実施形態において,PESプロバイダ105は,選択対象として多様な異なるコンピューティングノードを提供し得,これらのコンピューティングノードから,ユーザは,前記ユーザのためのプログラム実行の際に用いられるものを選択することができる(例えば,異なる量および/または種類のコンピューティング関連リソース(例えば,処理ユニットのサイズ,速度および/または種類,処理ユニット数,メモリおよび/または記憶,プラットフォーム構成(例えば,32ビットまたは64ビット)))。)

C 「[0028] In addition, in this example, a subset of the computing nodes 120 has been allocated for use by one or more of the dedicated capacity users 140, such that each of the one or more dedicated capacity users 140 may have priority access to execute programs for the user on at least some portion of those allocated computing nodes. For example, in some embodiments, each of the dedicated capacity users 140 may have one or more computing nodes 120 dedicated for executing programs of that user during a specified use time period, such that the user may access the one or more computing nodes at any time during the specified use period to execute programs on behalf of the user and/or may continuously execute programs on the one or more computing nodes for the duration of the specified period. As one specific example, one or more of the dedicated capacity users 140 may enter into a long-term (e.g., 1 year term) agreement with the PES provider 105, such that each of those users has priority access to a dedicated amount of the computing nodes 120 over the term of the agreement in exchange for a fixed fee payment (e.g., upfront or periodically billed) and, in some cases, other use fees (e.g., variable fees associated with use of various resources, such as electricity, physical rack space, network utilization, etc.). 」
(訳: 【0023】
加えて,この例において,コンピューティングノード120の一部が専用能力ユーザ140のうち1つ以上によって用いられるように割り当てられており,これにより,1つ以上の専用能力ユーザ140のうちそれぞれは,これらの割り当てられたコンピューティングノードの少なくとも一部上における前記ユーザのためのプログラム実行のための優先アクセスを持つことができる。例えば,いくつかの実施形態において,専用能力ユーザ140はそれぞれ,指定された利用期間におけるユーザのためのプログラム実行の際に専用として用いられる1つ以上のコンピューティングノード120を持ち得,これにより,前記ユーザは,前記指定された利用期間内における任意の時期において,ユーザのためのプログラム実行を行うために前記1つ以上のコンピューティングノードにアクセスすることができ,かつ/または,前記1つ以上のコンピューティングノード上においてプログラムを前記指定された利用期間にわたって連続的に実行することができる。1つの特定の例として,専用能力ユーザ140のうち1つ以上は,長期(例えば,1年間の)契約をPESプロバイダ105と締結し得,これにより,これらのユーザはそれぞれ,(例えば前払い方式で課金されるかまたは定期的に課金される)固定料金および,いくつかの場合において,他の利用料金(例えば,多様なリソース(例えば,電気,物理的なラック空間,ネットワーク利用)の利用と関連付けられた可変料金)を支払うことで,契約期間における専用量のコンピューティングノード120への優先アクセスを持つ。)

D 「[0041] In addition, in some embodiments, the PESSM 1 10 may provide an electronic marketplace (not shown) to one or more dedicated capacity users 140, such that the one or more dedicated capacity users 140 may transfer access to their dedicated computing nodes to one or more other users 160 during the use time period of the dedicated capacity, while in other embodiments a dedicated capacity user 140 and an other user 160 may arrange an exchange in a manner external to the PES. In some embodiments, a user 160 may provide payment to a dedicated capacity user in exchange for access to a transferred portion of the dedicated capacity user's dedicated computing nodes, such that the purchasing user may access the transferred portions of dedicated program execution capacity to execute programs on behalf of the purchasing user. A price for the exchanged access may be determined in various manners in various embodiments, such as via a fixed price specified by the dedicated capacity user, a price that is bid or suggested by the user 160, etc. In some embodiments, an exchange for dedicated computing nodes may be made such that the exchange is temporary and/or permanent. For example, in some embodiments, an exchange may be made for a specified limited period of time and/or various intervals of time, such that the purchasing user may access the computing nodes during that specified time and/or during the various intervals, after which the dedicated computing nodes may revert back to the dedicated capacity user for use by the dedicated capacity user. In other embodiments, the exchange may be permanent, such that the purchasing user may be provided with access to the dedicated computing nodes for any remaining use period associated with the dedicated computing nodes. In some embodiments, as part of the initial allocation of one or more computing nodes for dedicated use by a subscribing dedicated capacity user 140, the PESSM 1 10 may assign one or more user tokens to the subscribing user and/or may otherwise associate the allocated computing nodes with the subscribing dedicated capacity user's account, such that the dedicated capacity user's use of the computing nodes may be tracked for various purposes (e.g., configuration, authorization, billing, etc.) - in such embodiments, when a dedicated capacity user transfers a portion of their dedicated computing nodes to a new user, any provided tokens may be transferred to the new user and/or the portion of computing nodes may be otherwise associated with an account of the new user. In some embodiments, a provider of the PESSM 1 10 may further collect a fee in conjunction with a transfer of a portion of dedicated computing nodes from one user to another. 」
(訳: 【0036】
加えて,いくつかの実施形態において,PESSM110は,電子市場(図示せず)を1つ以上の専用能力ユーザ140へと提供することができ,これにより,1つ以上の専用能力ユーザ140は,前記専用能力の使用期間において,自身の専用コンピューティングノードへのアクセスを1つ以上の他のユーザ160へと移転させることができる。他の実施形態において,専用能力ユーザ140および別のユーザ160は,PESの外部において入れ替えて配置され得る。いくつかの実施形態において,ユーザ160は,専用能力ユーザの専用コンピューティングノードの移転された部位へのアクセスの対価として支払いを専用能力ユーザへと提供し得,これにより,購入したユーザは,前記専用プログラム実行能力の移転された部位へとアクセスして,前記購入したユーザを代表するか,そのためにプログラム実行を行うことができる。交換のために提供されるアクセスの価格は,例えば専用能力ユーザが指定した固定価格またはユーザ160が提案した入札価格を介して,多様な実施形態において多様な様態で決定することができる。いくつかの実施形態において,専用コンピューティングノードのための交換は,当該交換が一時的でありかつ/または永久となるように,行われ得る。例えば,いくつかの実施形態において,交換は,指定された一定期間にわたっておよび/または多様な時間間隔にわたって行われ得,これにより,購入したユーザは,当該指定された期間にわたっておよび/または多様な間隔にわたってコンピューティングノードへアクセスすることができ,その後,前記専用コンピューティングノードは,前記専用能力ユーザによって用いられるよう前記専用能力ユーザへと戻り得る。他の実施形態において,前記交換は永久であり得,その場合,購入したユーザは,専用コンピューティングノードと関連付けられた残りの利用期間全体にわたって前記専用コンピューティングノードへアクセスすることができる。いくつかの実施形態において,加入した専用能力ユーザ140による専用使用のための1つ以上のコンピューティングノードの初期割り当ての一環として,PESSM110は,1人以上のユーザトークンを加入ユーザへと割り当て得,かつ/または,割り当てられたコンピューティングノードを他の場合において加入専用能力ユーザのアカウントと関連付け得,これにより,前記専用能力ユーザによるコンピューティングノードの利用を多様な目的のために追跡することが可能となる(例えば,構成,認証,課金)。このような実施形態において,専用能力ユーザが自身の専用コンピューティングノードのうち一部を新規ユーザへと移転させた場合,任意の提供されたトークンを前記新規ユーザへと移転させることができ,かつ/または,前記コンピューティングノードの一部を他の場合において前記新規ユーザのアカウントと関連付けることができる。いくつかの実施形態において,PESSM110のプロバイダは,専用コンピューティングノードの一部のユーザ間での移転と関連して,さらに料金を収集し得る。)

2 引用発明
したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プログラム実行サービスシステムマネージャモジュール(PESSMモジュール)110およびコンピューティングノード120を備えたプログラム実行サービスプロバイダ(PESプロバイダ)105であって,
前記コンピューティングノード120は,複数の物理的なコンピューティングシステムおよび/または複数の仮想マシンを含むコンピューティングリソースを有し,
前記PESSMモジュール110は,前記PESプロバイダ105との利用期間や利用料金に関する契約に基づき前記コンピューティングノード120の一部を1つ以上の専用能力ユーザ140へ割り当て,
これにより,1つ以上の前記専用能力ユーザ140が,専用能力の使用期間において,自身の専用コンピューティングノードへのアクセスを1つ以上の他のユーザ160へと移転させることを可能とし,
前記他のユーザ160は,アクセスの対価を前記専用能力ユーザ140へ支払うことにより,前記専用能力ユーザ140の前記専用コンピューティングノードの移転された部位へとアクセスすることを可能とし,アクセスの対価は,例えば前記専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定することができ,
前記他のユーザ160は,指定された期間にわたっておよび/または多様な間隔で前記専用コンピューティングノードへアクセスすることができ,その後,前記専用コンピューティングノードは,前記専用能力ユーザ140によって用いられるよう前記専用能力ユーザ140へと戻すことを可能とする,
ことを特徴とするPESプロバイダ105。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明の「プログラム実行サービスプロバイダ(PESプロバイダ)105」は,「プログラム実行サービスシステムマネージャモジュール(PESSMモジュール)110」および「コンピューティングノード120」を備え,「PESSMモジュール110」は,「コンピューティングノード120の一部を1つ以上の専用能力ユーザ140へ割り当て」ること,「コンピューティングノード120」は“コンピューティングリソース”とみることができることから,本願発明1の「プロバイダネットワーク内のシステム」に相当するといえる。
そうすると,引用発明の「プログラム実行サービスプロバイダ(PESプロバイダ)105」は,“コンピューティングリソース”を割り当てるといえることから,引用発明と本願発明1とは,“プロバイダネットワーク内のコンピューティングリソースを割り当てるシステムであ”る点で一致する。

イ 引用発明では,「コンピューティングノード120は,複数の物理的なコンピューティングシステムおよび/または複数の仮想マシンを含むコンピューティングリソースを有」するところ,「複数の物理的なコンピューティングシステムおよび/または複数の仮想マシン」は“コンピューティングインスタンス”であるといえ,「コンピューティングリソース」は,“コンピューティングインスタンス”をホスティングするように構成された1つ以上の「コンピューティングノード120」を含むとみることができるから,引用発明の「コンピューティングノード120」,「コンピューティングリソース」はそれぞれ,本願発明1の「リソーススロット」,「コンピューティングデバイス」に相当するといえる。
したがって,引用発明と本願発明1とは,“それぞれがコンピューティングインスタンスをホスティングするように構成された1つ以上のリソーススロットを含む1つ以上のコンピューティングデバイス”を具える点で一致する。

ウ 引用発明の「PESプロバイダ105」において,「プログラム実行サービスシステムマネージャモジュール(PESSMモジュール)110」は「コンピューティングノード120の一部を1つ以上の専用能力ユーザ140へ割り当て」ることからすると,“コンピュータ可読命令”を用いるといえるから,「PESプロバイダ105」は,“コンピュータ可読命令”が内部に記憶された“メモリ”を具え,“コンピュータ可読命令”は,「PESプロバイダ105」において“プロセッサ”によって実行されることは明らかである。
そうすると,上記アでの検討より,引用発明の「プログラム実行サービスプロバイダ(PESプロバイダ)105」は本願発明1の「プロバイダネットワーク内のシステム」に相当するといえるから,引用発明と本願発明1とは,“コンピュータ可読命令が内部に記憶された少なくとも1つのメモリ”を具え,“前記コンピュータ可読命令は,システムの1つ以上のプロセッサによって実行される”点で一致するといえる。

エ 引用発明では,「前記PESSMモジュール110は,前記PESプロバイダ105との利用期間や利用料金に関する契約に基づき前記コンピューティングノード120の一部を1つ以上の専用能力ユーザ140へ割り当て」るところ,上記イでの検討より,引用発明の「コンピューティングノード120」は本願発明1の「リソーススロット」に相当するといえ,「利用期間や利用料金に関する契約」は「PESプロバイダ105」の“割り当て方針”とみることができるから,引用発明の「専用能力ユーザ140」は本願発明1の「第1ユーザ」に相当するとともに,引用発明と本願発明1とは,“複数のリソーススロットを,前記プロバイダネットワークの割り当て方針に従って,第1ユーザに割り当てるステップ”を“システム”に行わせる点で一致するといえる。

オ 引用発明では,「これにより,1つ以上の前記専用能力ユーザ140が,専用能力の使用期間において,自身の専用コンピューティングノードへのアクセスを1つ以上の他のユーザ160へと移転させることを可能と」するところ,引用発明の「他のユーザ160」は本願発明1の「第2ユーザ」に相当するといえ,「自身の専用コンピューティングノードへのアクセス」を「他のユーザ160へと移転させること」は,“リソーススロット”を“第2ユーザに割り当てること”に他ならないから,上記エでの検討より,引用発明は,“第1ユーザが,複数のリソーススロットの少なくとも一部分を第2ユーザに割り当てることを可能にする”といえる。
また,引用発明では,「前記他のユーザ160は,アクセスの対価を前記専用能力ユーザ140へ支払うことにより,前記専用能力ユーザ140の前記専用コンピューティングノードの移転された部位へとアクセスすることを可能とし,アクセスの対価は,例えば前記専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定することができ」るところ,「アクセスの対価」が「前記専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定すること」は,「他のユーザ160」に対する「専用能力ユーザ140」によって確立された“割り当て方針”であるといえ,「他のユーザ160」は“割り当て方針”に従って「コンピューティングノード120」の“割り当てられた一部分にアクセスし,かつ,使用する権限を与えられて”いるとみることができるから,すなわち,引用発明は,“第2ユーザは,前記第1のユーザによって確立された割り当て方針に従って,前記割り当てられた一部分にアクセスし,かつ,使用する権限を与えられて”いるといえる。
そして,引用発明は,「専用能力ユーザ140」によって確立された“割り当て方針”である「アクセスの対価」を「前記専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定すること」と,「PESプロバイダ105」の“割り当て方針”である「利用期間や利用料金に関する契約」は異なることは自明である。
したがって,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“第1ユーザが,複数のリソーススロットの少なくとも一部分を第2ユーザに割り当てることを可能にするステップであって,前記第2ユーザは,前記第1のユーザによって確立された割り当て方針に従って,前記割り当てられた一部分にアクセスし,かつ,使用する権限を与えられており,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,前記プロバイダネットワークの割り当て方針とは異なる,ステップ”を“システム”に行わせる点で共通するといえる。

カ 上記オでの検討より,引用発明では,「専用能力ユーザ140」によって確立された“割り当て方針”は,「アクセスの対価」を「前記専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定すること」であるが,割り当てに際して,「他のユーザ160」は所望の「コンピューティングノード120」に対する“要求”をすることは明らかであり,「他のユーザ160」による「入札」は「入札価格」と「コンピューティングノード120」に対する“要求”を含むと解されるから,引用発明の「専用能力ユーザ140」によって確立された“割り当て方針”は,「他のユーザ160」が,“入札額”と“リソーススロット”に対する“要求”とを含む“入札”を提示することを含むといえる。
そうすると,引用発明と本願発明1とは,後記する点で相違するものの,“第1ユーザによって確立された割り当て方針は,第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にする”点で共通するといえる。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「 プロバイダネットワーク内のコンピューティングリソースを割り当てるシステムであって,前記システムは,
それぞれがコンピューティングインスタンスをホスティングするように構成された1つ以上のリソーススロットを含む1つ以上のコンピューティングデバイスと,
コンピュータ可読命令が内部に記憶された少なくとも1つのメモリと,
を具え,
前記コンピュータ可読命令は,前記システムの1つ以上のプロセッサによって実行されると,
複数のリソーススロットを,前記プロバイダネットワークの割り当て方針に従って,第1ユーザに割り当てるステップと,
前記第1ユーザが,前記複数のリソーススロットの少なくとも一部分を第2ユーザに割り当てることを可能にするステップであって,前記第2ユーザは,前記第1のユーザによって確立された割り当て方針に従って,前記割り当てられた一部分にアクセスし,かつ,使用する権限を与えられており,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,前記プロバイダネットワークの割り当て方針とは異なる,ステップと,
を前記システムに少なくとも行わせる,システムであって,
前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
を含む,システム。」

(相違点)
(相違点1)
プロバイダネットワークの割り当て方針に関し,本願発明1では,「プロバイダネットワークは,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針によって権限を与えられていない前記第2ユーザからの,前記複数のリソーススロットの前記割り当てられた一部分へアクセスする要求を拒否するように構成されている」のに対して,引用発明では,「PESSMモジュール110は,前記PESプロバイダ105との利用期間や利用料金に関する契約に基づき前記コンピューティングノード120の一部を1つ以上の専用能力ユーザ140へ割り当て」るものの,「他のユーザ160」からの「コンピューティングノード120」へのアクセス要求について「PESプロバイダ105」が如何なる対応をとるか言及されていない点。

(相違点2)
第1ユーザにより確立される割り当て方針に含まれる第2ユーザによる入札処理に関し,本願発明1では,「入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較」し,「前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断する」のに対して,引用発明では,「他のユーザ160」による「専用コンピューティングノード」の「アクセスの対価」を決定する態様として,「他のユーザ160が提案した入札価格により決定する」ことを含むものの,「入札価格」と「専用コンピューティングノード」の割り当て決定手順について具体的に特定されていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点2について
事案に鑑みて,上記相違点2を先に検討すると,引用発明では,「他のユーザ160」による「専用コンピューティングノード」の「アクセスの対価」を決定すること,「アクセスの対価」の決定方針の態様として,「専用能力ユーザ140が指定した固定価格または前記他のユーザ160が提案した入札価格により決定すること」が特定されるものの,一般的なサービス対価の決定手順の一つとして「他のユーザ160が提案した入札価格」を用いることを挙げるにとどまることから,1つ以上のリソーススロットを第2ユーザに割り当てるか,割り当てを中断するかの判断を,第1ユーザによって確立された割り当て方針である入札額と設定可能な予定最低価格との大小関係に基づいて行うことの動機付けは直ちには認められない。
加えて,コンピューティングリソースへのアクセスの対価を決定する方針として,アクセスするユーザが提案する入札価格を用いる旨の技術が本願の優先日前に当該技術分野の周知技術であったとしても,プロバイダネットワークによりコンピューティングリソースを割り当てられた第1ユーザによって確立された第2ユーザへのコンピューティングリソースの再割り当て方針として,入札額が設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することが周知技術であったとはいえない。
そうすると,引用発明において,第2ユーザへのリソーススロットの割り当ての入札額を,第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較し,前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断すること,すなわち,上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものであるとすることはできない。

イ まとめ
上記相違点1について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-4について
本願発明2-4は本願発明1を減縮した発明であり,本願発明1の
「前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
前記入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較することと,
前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することと
を含む,」
と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明5-20について
本願発明5は本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明6-20は本願発明5を減縮した発明であり,本願発明1の
「前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
前記入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較することと,
前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することと
を含む,」
に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明21-25について
本願発明21は本願発明1に対応するコンピュータ可読記憶媒体の発明であり,本願発明22-25は本願発明21を減縮した発明であり,本願発明1の
「前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
前記入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較することと,
前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することと
を含む,」
に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1-25について上記引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
しかしながら,平成30年9月3日付け手続補正により補正された請求項1,5,21は,
「前記第1ユーザによって確立された割り当て方針は,
前記第2ユーザが,入札額とリソーススロットに対する要求とを含む入札を提示することを可能にすることと,
前記入札額を,前記第1ユーザによって確立された割り当て方針の設定可能な予定最低価格と比較することと,
前記入札額が前記設定可能な予定最低価格よりも上にある間,1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当て,前記設定可能な予定最低価格が前記入札額よりも上になったとき,前記1つ以上のリソーススロットを前記第2ユーザに割り当てることを中断することと
を含む,」
という事項を有するものとなっており,上記のとおり,本願発明1-25は,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
(特許法第36条第6項第2号について)
1 当審では,請求項1の「割り当て方針によって権限を与えられていない,前記複数のリソーススロットの前記割り当てられた一部分へアクセスする要求を拒否するように構成されている」が特定する事項,請求項5,21の「割り当て方針によって権限を与えられていない,前記特定されたリソーススロットへアクセスする要求を拒否するように構成されている」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年9月3日付けの手続補正により,請求項1が「割り当て方針によって権限を与えられていない,前記第2ユーザからの,前記複数のリソーススロットの前記割り当てられた一部分へアクセスする要求を拒否するように構成されている」と補正され,請求項5,21が「割り当て方針によって権限を与えられていない,前記他のユーザからの,前記特定されたリソーススロットへアクセスする要求を拒否するように構成されている」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

2 当審では,請求項1,5,21の「設定可能な最低価格」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年9月3日付けの手続補正により,「設定可能な予定最低価格」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

3 当審では,請求項9の「前記通貨は,CPUサイクル,ストレージ,メモリまたはネットワーク帯域に関する,請求項7の方法。」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年9月3日付けの手続補正により,「前記通貨は,CPUサイクル,ストレージ,メモリまたはネットワーク帯域の単位に選択される,請求項7の方法。」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

4 当審では,請求項10の「前記入札は,CPUサイクルまたはネットワーク帯域に入札するステップを含む,請求項5の方法。」が特定する事項が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが,平成30年9月3日付けの手続補正により,「前記入札は,CPUサイクルまたはネットワーク帯域の単位に入札するステップを含む,請求項5の方法。」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1-25は,当業者が引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-21 
出願番号 特願2016-506368(P2016-506368)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 辻本 泰隆
須田 勝巳
発明の名称 プロバイダネットワーク内のコンピューティングリソースを割り当てるシステム、方法および非一時的コンピュータ可読記憶媒体  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

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