• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1348018
審判番号 不服2017-11879  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-08 
確定日 2019-02-04 
事件の表示 特願2016- 73026「ゲーム装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-176753、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年3月31日の出願であって、平成29年1月20日付けで拒絶理由が通知され、同年3月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年5月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。その後、当審より平成30年8月29日付けで拒絶理由が通知され、同年10月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、当審より同年11月14日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年12月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。


第2 原査定の概要

平成29年5月9日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は次のとおりである(引用文献については、下記の引用文献等一覧を参照。)。

1 平成29年3月27日付け手続補正後の請求項1-15の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 平成29年3月27日付け手続補正後の請求項1-9,12-15に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015-73712号公報
2.特開2007-18544号公報


第3 当審拒絶理由の概要

1 平成30年8月29日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は次のとおりである。
(1) 平成29年8月8日付け手続補正後の請求項1-12の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2) 平成29年8月8日付け手続補正後の請求項1-12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 平成30年11月14日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。
(1) 平成30年10月29日付け手続補正後の請求項1-11の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


第4 本願発明

本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成30年12月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-11は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
「ゲームに係る処理を実行する実行手段と、
前記ゲームのプレイを要件として、前記ゲームのゲーム内要素に対応付けられた、第1の物品または該第1の物品とは異なる第2の物品を排出する排出手段と、
前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する選択手段と、
前記選択されたモードに基づいて、前記実行手段及び前記排出手段を制御する制御手段と、を備え、
前記第1の物品は、予め製造された既製の物品であり、
前記第2の物品は、オンデマンド印刷された物品であり、
前記制御手段は、
前記第1のモードにおいて、前記ゲームのプレイ内容に基づかない状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第1の物品を排出させ、
前記第2のモードにおいて、前記ゲームのプレイ内容に基づいた状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第2の物品を排出させるよう前記排出手段を制御し、
前記排出手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品の各々につき、排出可能な状態であるか否かを検知する手段を有し、
前記制御手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、該排出可能な状態でない物品が排出不可能であることを通知した上で、排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御するゲーム装置。」
【請求項2】
「対価の支払いがなされたことを検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、対価の支払いに基づいて、前記排出手段に物品の排出を行わせる請求項1に記載のゲーム装置。」
【請求項3】
「前記排出手段による前記第1の物品の排出は、対価の支払いに基づく前記ゲームのプレイ前に行われ、
前記排出手段による前記第2の物品の排出は、対価の支払いに基づく前記ゲームの少なくとも一部のゲームのプレイ後に行われる請求項2に記載のゲーム装置。」
【請求項4】
「前記検出手段は、対価の支払いに基づく1単位の前記ゲームのプレイ後、更なる対価の支払いがなされたことを検出し、
前記選択手段は、更なる対価の支払いに基づく、別の1単位の前記ゲームにつき、前記第1のモードまたは前記第2のモードをさらに選択する請求項2または3に記載のゲーム装置。」
【請求項5】
「前記検出手段は、対価の支払いに基づく1単位の前記ゲームのプレイ後、更なる対価の支払いがなされたことを検出し、
前記制御手段は、更なる対価の支払いに基づく前記ゲームに係る処理を前記実行手段に実行させない請求項2乃至4のいずれか1項に記載のゲーム装置。」
【請求項6】
「予め定められた、同一ユーザにつき、前記1単位のゲームを連続してプレイ可能な条件を満たすか否かを判断する判断手段をさらに備え、
前記制御手段は、更なる対価の支払いがなされた際に、前記連続してプレイ可能な条件が満たされない場合に、前記ゲームに係る処理を前記実行手段に実行させない請求項5に記載のゲーム装置。」
【請求項7】
「前記判断手段は、前記1単位のゲームのプレイ回数、及び同一のユーザに係る前記ゲームの総プレイ時間の少なくともいずれかに基づき、前記連続してプレイ可能な条件を満たすか否かを判断する請求項6に記載のゲーム装置。」
【請求項8】
「物品から情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、情報の取得がなされた物品に対応するゲーム内要素を登場させるよう前記ゲームに係る処理を前記実行手段に実行させ、
前記取得手段による物品からの情報取得は、前記第1のモードでは前記排出手段による前記第1の物品の排出後に行われ、前記第2のモードでは前記排出手段による前記第2の物品の排出前に行われる請求項1乃至7のいずれか1項に記載のゲーム装置。」
【請求項9】
「前記第1のモード及び前記第2のモードの各々には、支払いが要件付けられる対価の額が定められており、
前記ゲーム装置は、前記第1の物品及び前記第2の物品の双方を排出する第3のモードをさらに有し、
前記選択手段は、前記第1のモード及び前記第2のモードについて定められたいずれの額よりも大きな対価の支払いがなされた場合に、前記第1のモード、前記第2のモード及び前記第3のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のゲーム装置。」
【請求項10】
「前記制御手段は、前記ゲームのプレイ内容に基づいて、前記排出手段に排出させる前記第2の物品につき、該第2の物品が対応付けられたゲーム内要素を決定する決定手段を有し、
前記ゲーム装置は、物品から情報を取得する取得手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記第3のモードにおける対価の支払いに基づく前記ゲームのプレイ中、前記排出手段により排出され、前記取得手段により情報の取得がなされた前記第1の物品に対応付けられたゲーム内要素と、前記決定手段により決定された前記排出させるゲーム内要素とが同一カテゴリであると判断する場合に、前記ゲームが有利に進行するよう前記実行手段を制御する請求項9に記載のゲーム装置。」
【請求項11】
「コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のゲーム装置の各手段として機能させるためのプログラム。」


第5 特許法第29条第2項に関する原査定の理由について

1 引用文献
(1) 引用文献1
ア 原査定の理由に引用された引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
(ア) 「【0009】
<装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係るカード販売装置Aの斜視図である。まず、カード販売装置Aの概要について説明し、その後、その構造の詳細について説明する。カード販売装置Aは、カードの販売機能とゲーム機能とを備え、カードが購入されるとゲームを実行するゲーム機能付きのカード販売装置である。」
(イ) 「【0019】
画面の指示に従いプレイヤがカードCをカード挿入口32aに挿入し、読取部33がカードCを読み取ると、ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)が設定される。そして、表示部21にゲーム画像を表示し、操作部31R又は31L、ジョイスティック34に対するプレイヤの操作と、設定したパラメータとに基づいて勝敗を決定する処理等を行う。一人プレイの場合は、プレイヤ対コンピュータとなり、二人プレイの場合はプレイヤ対プレイヤとなるが、基本的な処理は同様のものとなる。」
(ウ) 「【0034】
次に図9を参照して、設置台51上にプリンタ45の代わりにストッカ61を配置した場合を説明する。ストッカ61は、印刷済みの複数のカードを積層状態で収容し、1枚ずつ排出することができる。排出されたカードCはカード収容器12aへ投下される。図9はストッカ61が2台設置された例を示しており、各ストッカ61は設置台51上での占有面積がプリンタと少なくとも同じか、より小さいことが望ましい。これにより設置台51を共通に使用することが可能となる。よって、ストッカ61にカードを補充する場合にも設置台51を第2の位置に引き出すことが可能となるので、カードの補充作業がより効率的に実施可能となる。なお、ストッカ61とプリンタ45とを併設してもよい。その場合には、プリンタ45からはゲーム実行結果に応じた情報が印刷されたカードCが排出され、ストッカ61からは印刷済みのカードCが排出されることとなるが、排出されるカード及びカードの排出元は、ゲームの進行状況や結果、及び、プレイヤの選択の少なくともいずれかに応じて切り替えることができる。」
イ 以上より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「カードの販売機能とゲーム機能とを備え、カードが購入されるとゲームを実行するゲーム機能付きのカード販売装置であって、
ストッカとプリンタとが併設され、
前記プリンタからはゲーム実行結果に応じた情報が印刷されたカードが排出され、前記ストッカからは印刷済みのカードが排出され、
前記カードの排出元はプレイヤの選択に応じて切り替えることができ、
プレイヤが前記カードをカード挿入口に挿入し、読取部が前記カードを読み取ると、ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)が設定される、ゲーム機能付きのカード販売装置。」
(2) 引用文献2
ア 原査定の理由に引用された引用文献2には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
(ア) 「【請求項1】
ゲーム用のデータを記録した記録媒体を備えるカードを販売するカード販売装置であって、
前記カードを搬出するための搬出口を備えた筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記カードを収納する複数のカードディスペンサと、
前記カードディスペンサから排出されるカードを前記搬出口へと誘導するカード誘導部材と、
前記複数のカードディスペンサのうち、カードを排出するカードディスペンサを所定の排出条件にしたがって選択する選択部と、
前記選択部により選択されたカードディスペンサに対して排出信号を送信する制御部とを含むカード販売装置。」
(イ) 「【請求項11】
前記カード販売装置がゲーム装置に搭載される場合に、
ゲームモードとカード購入モードとのうち一方を選択するモード選択部をさらに備え、
前記制御部は、
前記購入モードが選択された場合には、ゲームをスキップして前記カードの排出信号を送信し、前記ゲームモードが選択された場合は、ゲーム終了時またはゲームの進行に応じて前記カードの排出信号を送信する請求項1ないし10の何れかに記載のカード販売装置。」
(ウ) 「【0109】
また、コイン投入の際に、ゲームモードとカードモードとを選択できるようにしたので、ゲームよりもカードの収集に対して興味があるユーザにとっては、ゲームをプレイすることなくカードを購入できるため、次のカードを購入できるようになるまでの時間を短縮できる利点がある。また、装置のオーナーにとっては、装置の回転率を高めることができる利点がある。」
イ 以上より、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「ゲームモードとカード購入モードとのうち一方を選択するモード選択部と、
前記カード購入モードが選択された場合には、ゲームをスキップして前記カードの排出信号をカードディスペンサに対して送信し、前記ゲームモードが選択された場合は、ゲーム終了時またはゲームの進行に応じて前記カードの排出信号をカードディスペンサに対して送信する制御部と、を備える、ゲーム装置に搭載されたカード販売装置。」

2 対比・判断
(1) 本願発明1について
ア 本願発明1と引用発明1とを対比する。
(ア) 引用発明1は「ゲーム機能」を備えているから、本願発明1の「ゲームに係る処理を実行する実行手段」に相当する構成を有することは明らかである。
(イ) 引用発明1の「ストッカから」「排出される」「印刷済みのカード」は、本願発明1の「予め製造された既製の物品であ」る「第1の物品」に相当する。また、引用発明1の「プリンタから」「排出され」る「ゲーム実行結果に応じた情報が印刷されたカード」は、本願発明1の「オンデマンド印刷された物品であ」る「第2の物品」に相当する。
(ウ) 引用発明1においては「カードが購入されるとゲームを実行する」のであるから、本願発明1と引用発明1とは「ゲームのプレイを要件として」「第1の物品または該第1の物品とは異なる第2の物品を排出する」という点で共通する。
(エ) 引用発明1の「ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)」は、本願発明1の「ゲームのゲーム内要素」に相当する。そして、引用発明1においては「読取部が前記カードを読み取ると、ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)が設定される」のであるから、「カード」は「ゲームの進行に必要なパラメータ(例えば、キャラクタに関する体力、攻撃力、防御力等)」に対応付けられているといえる。してみると、本願発明1と引用発明1とは「ゲームのゲーム内要素に対応付けられた、第1の物品または該第1の物品とは異なる第2の物品を排出する」という点で共通する。
(オ) 引用発明1の「プリンタ」及び「ストッカ」は、本願発明1の「排出手段」に相当する。
(カ) 引用発明1は、「カードの排出元はプレイヤの選択に応じて切り替えることができ」るのであるから、本願発明1の「前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する選択手段」、及び、「前記選択されたモードに基づいて」「前記排出手段を制御する制御手段」に相当する構成を有することは明らかである。
(キ) 引用発明1の「ストッカから」「排出される」「印刷済みのカード」は、予め製造されたものであってゲームのプレイ内容に基づいていないから、本願発明1の「ゲームのプレイ内容に基づかない状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第1の物品」に相当する。
(ク) 引用発明1の「プリンタから」「排出され」る「ゲーム実行結果に応じた情報が印刷されたカード」は、本願発明1の「ゲームのプレイ内容に基づいた状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第2の物品」に相当する。
(ケ) 以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「ゲームに係る処理を実行する実行手段と、
前記ゲームのプレイを要件として、前記ゲームのゲーム内要素に対応付けられた、第1の物品または該第1の物品とは異なる第2の物品を排出する排出手段と、
前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する選択手段と、
前記選択されたモードに基づいて、前記排出手段を制御する制御手段と、を備え、
前記第1の物品は、予め製造された既製の物品であり、
前記第2の物品は、オンデマンド印刷された物品であり、
前記制御手段は、
前記第1のモードにおいて、前記ゲームのプレイ内容に基づかない状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第1の物品を排出させ、
前記第2のモードにおいて、前記ゲームのプレイ内容に基づいた状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第2の物品を排出させるよう前記排出手段を制御するゲーム装置。」
【相違点1】
「制御手段」が、本願発明1では「選択されたモードに基づいて」「実行手段」を制御するのに対して、引用発明1では「選択されたモードに基づいて」「実行手段」を制御するか否か不明である点。
【相違点2】
本願発明1においては「前記排出手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品の各々につき、排出可能な状態であるか否かを検知する手段を有し、前記制御手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、該排出可能な状態でない物品が排出不可能であることを通知した上で、排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御する」のに対して、引用発明1ではそのような「検知する手段」を有しておらず、そのように「排出手段を制御」していない点。
イ 相違点についての判断
(ア) 上記相違点1について検討する。
上記1(2)イのとおり、引用文献2に記載された技術においては、「カード購入モードが選択された場合には、ゲームをスキップ」するのに対して、「ゲームモードが選択された場合」にはゲームを行うことは明らかであるから、当該技術は、「選択されたモードに基づいて」「ゲームに係る処理を実行する実行手段」を制御していると認められる。
そして、引用発明1と引用文献2に記載された技術とはいずれもゲーム機能付きのカード販売装置に関するものであって、カードを効率的に販売するという自明の課題に基づいて、引用発明1に、引用文献2に記載された技術を適用して、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項となすことは当業者であれば適宜なし得たことである。
(イ) 上記相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用文献2に記載されておらず、また、周知技術であるともいえない。してみると、当該発明特定事項は、当業者であっても容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ) したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本願発明2-11について
本願発明2-11は、本願発明1を引用するものであって、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えているから、引用発明1及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおり、特許法第29条第2項に関する原査定の理由は解消した。


第6 特許法第36条に関する原査定の理由について

1 特許法第36条第6項第2号(明確性)に関する原査定の理由は、次のとおりである。この項における請求項1-15は、平成29年3月27日付け手続補正後のものである。
(1) 請求項10には「前記選択手段は、前記第1のモード及び前記第2のモードについて定められたいずれの額よりも大きな対価の支払いがなされた場合に、前記第1のモード、前記第2のモード及び前記第3のモードのいずれかのモードを選択する」と記載されている。
しかし、上記記載では、選択を行う主体が明確ではない。
なお、選択手段のみが主体となって、選択を行っているのであれば、明細書等を参酌しても、どのように選択を行うのか不明である。
請求項10を引用する請求項11、13-15についても同様。
よって、請求項10、11-15に係る発明は明確でない。
(2) 請求項1には「前記選択手段は、・・・前記第1の物品を排出可能な状態ではないと検知された場合に、前記第2のモードを選択し、前記第2の物品を排出可能な状態ではないと検知された場合に、前記第1のモードを選択し」と記載されているが、第1の物品、及び、第2の物品の両方が、排出可能な状態ではないと検知された場合にモードが、どのように選択されることとなるのか明確ではない。
請求項1を引用する請求項2-15についても同様。
よって、請求項1-15に係る発明は明確でない。

2 特許法第36条第6項第2号(明確性)に関する原査定の理由についての判断
(1) 上記1(1)の点に関して、本件補正後の請求項9(平成29年3月27日付け手続補正後の請求項10に対応。)においては「前記選択手段は、前記第1のモード及び前記第2のモードについて定められたいずれの額よりも大きな対価の支払いがなされた場合に、前記第1のモード、前記第2のモード及び前記第3のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する」とされたので、「操作入力」を行う者の指示により、「選択手段」が「モードを選択する」ことが明確になった。
してみると、上記1(1)の原査定の理由は解消した。
(2) 上記1(2)の点に関して、本件補正後の請求項1(平成29年3月27日付け手続補正後の請求項1に対応。)においては「前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、・・・排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御する」とされたので、「排出可能な状態の他方の物品を排出させる」ことが明確になった。
してみると、上記1(2)の原査定の理由は解消した。


第7 当審拒絶理由1について

1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について、当審では、平成30年8月29日付けで下記の拒絶理由を通知した。この項における請求項1-12は、平成29年8月8日付け手続補正後のものである。
(1)(ア) 請求項1には、「ゲームのプレイ内容に基づかない状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第1の物品」および「ゲームのプレイ内容に基づいた状態のゲーム内要素に対応付けられた前記第2の物品」との記載があるが、「第1の物品」および「第2の物品」がどのようなものであるかについては規定されていない。
これに対して、発明の詳細な説明の段落【0005】-【0006】には、本願発明の課題として、「オンデマンド印刷により排出されるカードは、動的なデザイン変更や変動するゲーム要素を表現することが可能である反面、予め決まったデザインで製造された既製のカードに比べて、印刷品質や印刷媒体の品質(紙質)は劣り得る。このことは、特許文献1のカード販売装置においてカード購入のモードを利用するような、カードの収集を主たる目的としているユーザにとっては好適でない。本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザのニーズに応じて好適な物品を提供するゲーム装置及びプログラムを提供することを目的とする。」と記載されている。しかしながら、請求項1に係る発明においては「第1の物品」および「第2の物品」がオンデマンド印刷された物品および既製の物品に限定されていないところ、「第2の物品」の品質が「第1の物品」の品質よりも劣るか否かは不明であり、請求項1に係る発明は上記本願発明の課題を解決し得ないものを含んでいる。してみると、請求項1に係る発明は発明の詳細な説明において上記本願発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えていると認められる。
(イ) 上記(ア)の点について、請求項1を引用する請求項2-10,12においても同様である。
(ウ) 請求項11には、「前記第1の物品は、排出可能な状態で予め保持されている物品であり、前記第2の物品は、少なくとも1つの生成過程を経て排出可能となる状態で予め保持されている物品である」との記載があるが、「第2の物品」が「少なくとも1つの生成過程を経て排出可能となる」としても、「生成過程」の種類によっては「第2の物品」の品質が「第1の物品」の品質と比べて劣らない場合もあるため(例えば、「生成過程」が磁気データの記録である場合)、請求項11に係る発明は発明の詳細な説明において上記本願発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えていると認められる。
(エ) したがって、請求項1-12の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2)(ア) 請求項1には、「前記第1の物品を排出する第1のモードまたは前記第2の物品を排出する第2のモードを選択する選択手段」との記載があり、請求項1に係る発明においては、「選択手段」が「第1のモード」と「第2のモード」のいずれかの「選択」を行っていると認められる。
他方で、発明の詳細な説明の段落【0028】-【0032】には、「ユーザ」が「第1のモード」と「第2のモード」のいずれかの「選択」を行い「操作入力」を行うことが記載されており、発明の詳細な説明には「選択手段」が「第1のモード」と「第2のモード」のいずれかの「選択」を行うことは記載も示唆もされていない。
(イ) 上記(ア)の点について、請求項1を引用する請求項2-12においても同様である。
(ウ) 請求項9には、「選択手段は、前記第1のモード及び前記第2のモードについて定められたいずれの額よりも大きな対価の支払いがなされた場合に、前記第1のモード、前記第2のモード及び前記第3のモードのいずれかのモードを選択する」との記載があり、請求項9に係る発明においては、「選択手段」が「第1のモード」と「第2のモード」と「第3のモード」のいずれかの「選択」を行っていると認められる。
他方で、発明の詳細な説明の段落【0059】には、「これまで、第1のモードか第2のモードのいずれかのモードで、ゲームプレイを提供する構成について説明してきたが、例えば各モードについて定められた対価の合計額の支払いがなされたことを契機に、既製カードの排出を行い、かつゲームプレイを行ってオンデマンドカードの排出も可能な第3のモードを選択可能に構成してもよい。」と記載されており、「第1のモード」と「第2のモード」と「第3のモード」のいずれかを「選択可能」にすることは記載されているものの、発明の詳細な説明には「選択手段」が「第1のモード」と「第2のモード」と「第3のモード」のいずれかの「選択」を行うことは記載も示唆もされていない。
(エ) 上記(ウ)の点について、請求項9を引用する請求項10においても同様である。
(オ) したがって、請求項1-12の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 上記1の拒絶理由についての判断
(1) 本件補正後の請求項1-11に係る発明は、「前記第1の物品は、予め製造された既製の物品であり、前記第2の物品は、オンデマンド印刷された物品であり」との発明特定事項を有しているところ、「第2の物品」の品質は「第1の物品」の品質と比べて劣ることは明らかであるから、当該発明は上記1(1)(ア)の本願発明の課題を解決できるものであると認められる。
してみると、上記1(1)の拒絶理由は解消した。
(2) 上記1(2)の点に関して、本件補正後の請求項1(平成29年8月8日付け手続補正後の請求項1に対応。)においては「前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する選択手段」とされ、本件補正後の請求項9(平成29年8月8日付け手続補正後の請求項9に対応。)においては「選択手段は、前記第1のモード及び前記第2のモードについて定められたいずれの額よりも大きな対価の支払いがなされた場合に、前記第1のモード、前記第2のモード及び前記第3のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する」とされたので、「操作入力」を行う者の指示により、「選択手段」が「モードを選択する」ことが明確になった。
してみると、上記1(2)の拒絶理由は解消した。

3 特許法第36条第6項第2号(明確性)について、当審では、平成30年8月29日付けで下記の拒絶理由を通知した。この項における請求項1-12は、平成29年8月8日付け手続補正後のものである。

請求項1には、「前記選択手段は、・・・前記第1の物品を排出可能な状態ではないと検知された場合に、前記第2のモードを選択し、前記第2の物品を排出可能な状態ではないと検知された場合に、前記第1のモードを選択し、」との記載がある。
しかしながら、この記載によると、「第1の物品」と「第2の物品」がともに「排出可能な状態ではないと検知された場合」に、「第2のモード」と「第1のモード」の両方が選択されることとなり、技術的にみて不整合が生じる。
上記の点について、請求項1を引用する請求項2-12においても同様である。
したがって、請求項1-12の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

4 上記3の拒絶理由についての判断
上記3の点に関して、本件補正後の請求項1(平成29年8月8日付け手続補正後の請求項1に対応。)においては「前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、・・・排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御する」とされたので、「排出可能な状態の他方の物品を排出させる」ことが明確になった。
してみると、上記3の拒絶理由は解消した。


第8 当審拒絶理由2について

1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について、当審では、平成30年11月14日付けで下記の拒絶理由を通知した。この項における請求項1-11は、平成30年10月29日付け手続補正後のものである。
(1) 請求項1に係る発明は、「前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモードの選択を受け付ける選択手段」を備えるとの発明特定事項を有するものである。
これに対して、発明の詳細な説明の段落【0032】には「制御部101は、例えばモード選択に係る画面を表示制御部107に生成させて表示部130に表示させた後、なされた操作入力に基づいて選択されたモードの判断を行う。」との記載はあるものの、発明の詳細な説明には「モードの選択を受け付ける選択手段」という記載はなく、発明の詳細な説明において、請求項1に係る発明における上記発明特定事項に対応するものが何であるのかが不明である。
してみると、請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものとは認められない。
(2) 請求項1には「前記制御手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御する」との記載がある。
これに対して、発明の詳細な説明の段落【0061】には「カードディスペンサ140または印刷部150がカード排出不能な状態であることが検出された場合に、制御部101はモード選択画面において該当のモードは選択不能であることが通知されるよう制御してもよい。あるいは排出できないことを通知した上で、他方の排出機能によりカード排出を行うよう、処理を制御してもよい。」と記載されており、いずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、そのことを通知した上で、排出可能な状態の他方の物品を排出させることは記載されていると認められるものの、そのような通知をすることなく他方の物品を排出させることは記載も示唆もされていない。
してみると、請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものとは認められない。
(3) 上記(1)および(2)のとおり、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。また、同様に、請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2-11の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 上記1の拒絶理由についての判断
(1)上記1(1)の点に関して、 本件補正後の請求項1(平成30年10月29日付け手続補正後の請求項1に対応。)においては「前記第1の物品を排出する第1のモード及び前記第2の物品を排出する第2のモードのいずれかのモード選択に係りなされた操作入力に基づいて、1つのモードを選択する選択手段」とされている。
これに対して、発明の詳細な説明の段落【0032】には「制御部101は、例えばモード選択に係る画面を表示制御部107に生成させて表示部130に表示させた後、なされた操作入力に基づいて選択されたモードの判断を行う。」と記載されているところ、本件補正後の請求項1の「選択手段」は、発明の詳細な説明に記載の「制御部101」に対応することが明確になったから、上記1(1)の拒絶理由は解消した。
(2) 上記1(2)の点に関して、本件補正後の請求項1(平成30年10月29日付け手続補正後の請求項1に対応。)においては「制御手段は、前記第1の物品及び前記第2の物品のいずれか一方の物品が排出可能な状態ではないと検知された場合に、該排出可能な状態でない物品が排出不可能であることを通知した上で、排出可能な状態の他方の物品を排出させるよう前記排出手段を制御する」とされたので、「通知した上で」「他方の物品を排出」することが特定された。
してみると、上記1(2)の拒絶理由は解消した。
(3) 上記1(1)及び(2)の拒絶理由が解消したので、上記1(3)の拒絶理由も解消した。


第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由、並びに、当審拒絶理由1及び2によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-22 
出願番号 特願2016-73026(P2016-73026)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 後藤 昌夫
藤本 義仁
発明の名称 ゲーム装置及びプログラム  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
代理人 高柳 司郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ