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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C30B
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 C30B
管理番号 1348041
審判番号 不服2017-13957  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-20 
確定日 2019-01-17 
事件の表示 特願2016-125696「結晶成長装置、結晶成長方法および結晶成長用坩堝」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日出願公開、特開2016-183105〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成24年 3月19日に出願された特願2012-61980号(以下「原出願」という。)の一部を平成28年 6月24日に新たな特許出願としたものであって、平成28年10月12日付けで手続補正書が提出され、平成29年 2月27日付けで拒絶理由が通知され、同年 4月27日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年 6月14日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年 9月20日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2.平成29年 9月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年 9月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)

「開口部、壁部および底部を有し、溶液を収容可能な坩堝であって、
前記壁部の内壁面の高さ方向の途中、且つ前記溶液の液面よりも上方に配され、前記内壁面から中央部に向かって延びている板状部材を有し、
前記板状部材の縁は、平面視において、内壁面の全周にわたって配されている、坩堝(ただし、坩堝が内坩堝と外坩堝とを有しており、外坩堝の内壁面にのみ板状部材が配されている場合を除く。)。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年 4月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「開口部、壁部および底部を有し、溶液を収容可能な坩堝であって、
前記壁部の内壁面の高さ方向の途中、且つ前記溶液の液面よりも上方に配され、前記内壁面から中央部に向かって延びている板状部材を有し、
前記板状部材は、平面視において、内壁面の全周にわたって配されている、坩堝(ただし、坩堝が内坩堝と外坩堝とを有しており、外坩堝の内壁面にのみ板状部材が配されている場合を除く。)。」

2.補正の適否
本件補正前の請求項1では、板状部材のすべてが平面視において、内壁面の全周にわたって配されているものであったところ、本件補正後の請求項1では、板状部材の縁部のみが平面視において、内壁面の全周にわたって配されていることが特定されるものであるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものではなく、また、請求項の削除、誤記の訂正又は拒絶理由に示す事項について明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもない。
なお、請求人は審判請求書において、本件補正により、板状部材と内壁面に空間がないことが特定されると主張しているが、本件補正により、板状部材の基端部は内壁面の全周にわたって存在する必要がなくなったのだから、当該主張は採用できない。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。
よって、この補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明
平成29年 9月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年 4月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2.1.(2)に記載のとおりのものである。

2.原査定における拒絶理由の概要
平成29年 6月14日付けの原査定における拒絶理由の概要は、
「本件出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開(特開2013-1619号公報)がされた特願2011-136600号(以下「先願3」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。」
というものである。

3.引用文献の記載事項
先願3には、次の記載がある。

(ア)「【0037】
[坩堝の構成]
図2は、図1中の坩堝14の縦断面図である。図2に示すように、坩堝14は、本体140と、中蓋42と、上蓋44とを備える。要するに、坩堝14は、上下に配置された2つの蓋(中蓋42及び上蓋44)を備える。
【0038】
本体140は上端が開口した筐体である。本体140は、筒部38と底部40とを備える。筒部38は、上下方向に延びる。筒部38は例えば円筒である。筒部38の内径寸法は、シードシャフト30の外径寸法よりも十分に大きい。底部40は、筒部38の下端部に配置される。底部40は例えば、筒部38に一体形成されている。
【0039】
中蓋42は、底部40から離れて、底部40の上方に配置される。中蓋42は、板状であり、中央部に貫通孔48を有する。貫通孔48は、中蓋42の厚さ方向に延び、中蓋24の上面46から下面461に至る。貫通孔48は、シードシャフト30を通す。したがって、SiC単結晶を製造するとき、シードシャフト30の下端は中蓋42よりも下方に配置される。」

(イ)「【0042】
中蓋42は、筒部38内に配置され、その外周は筒部38の内周面に取り付けられる。中蓋42は筒部38と一体的に形成されていてもよいし、筒部38とは別体であってもよい。好ましくは、中蓋42の下面461は底部40の表面と略平行である。」

(ウ)「【0066】
加熱装置20はSiC溶液16を結晶成長温度に保持する。そのため、保温空間64においても、冷却空間62と同様に、筒部38側のほうが、シードシャフト30側よりも、温度が高い。これにより、図3に示すように、保温空間64内の不活性ガスが流動する。具体的には、筒部38の内周面に沿って上昇した不活性ガスは、中蓋42の下面461に沿って、中蓋42の外周側から内周側へ流れる。中蓋42の内周側へ流れてきた不活性ガスは、筒部50の外周面に沿って下降した後、シードシャフト30の外周面に沿って下降する。シードシャフト30の外周面に沿って下降した不活性ガスは、SiC溶液16の液面に沿って、シードシャフト30側から筒部38側へ流れる。」

(エ)「【0068】
本実施形態で採用可能な坩堝14は、図2に示す構造に限定されない。例えば、図4に示すように、中蓋42が筒部50を備えていなくても良い。また、図4に示すように、中蓋42の上面46は、平坦でも良い。このような構成であっても、冷却空間62と保温空間64とが中蓋42を挟んで坩堝14内に形成される。その結果、冷却空間62は、シードシャフト30の抜熱機能が阻害されるのを抑制する。そして、保温空間64は、SiC溶液16からの放射熱を蓄え、SiC溶液16内の周辺領域の温度のばらつきを抑制する。」

(オ)「【実施例】
【0069】
種々の構成を有する坩堝を用いたSiC単結晶の製造を想定した。想定された各坩堝内の温度分布を、シミュレーションにより調査した。・・・
【0071】
熱流動解析ではさらに、形状が異なる4つの坩堝(マーク1?マーク4)を計算モデルに設定した。マーク1の坩堝は、図4に示す構造を有した。・・・
【0073】
マーク1?マーク3の坩堝では、中蓋42の厚さT42は10mmであった。中蓋42とSiC溶液16の液面との距離L64は50mmであった。中蓋42と上蓋62との間の距離L62は40mmであった。中蓋42の内周面とシードシャフト30の外周面との距離G42は2.5mmであった。」

(カ)「【図3】



(キ)「【図4】



4.先願3発明の認定
記載事項(ア)、(イ)、(エ)、(オ)、(キ)によれば、先願3には、マーク1の坩堝として、「開口、筒部および底部を有する本体と上蓋、中蓋を備え、SiC溶液を収容可能な坩堝であって、板状の中蓋が、上蓋の下方40mm、SiC溶液の液面との距離が50mm位置の筒部の内周面に取り付けられた坩堝」(以下、「先願3発明」という。)が記載されていると認められる。

5.本願発明と先願3発明との対比
本願発明と先願3発明とを対比する。
先願3発明の「開口」は、本願発明の「開口部」に相当し、以下、同様に、「筒部」は「壁部」に、「SiC溶液」は「溶液」に、「内周面」は「内壁面」に、「板状の中蓋」は「板状部材」に、それぞれ相当する。
また、先願3発明の中蓋は、「上蓋の下方40mm、SiC溶液の液面との距離が50mm位置の筒部の内周面に取り付けられ」ていることから、本願発明でいう「壁部の内壁面の高さ方向の途中、且つ前記溶液の液面よりも上方に配され、前記内壁面から中央部に向かって延びている」に相当するといえる。
してみれば、本願発明と、先願3発明とは、
「開口部、壁部および底部を有し、溶液を収容可能な坩堝であって、前記壁部の内壁面の高さ方向の途中、且つ前記溶液の液面よりも上方に配され、前記内壁面から中央部に向かって延びている板状部材を有する坩堝(ただし、坩堝が内坩堝と外坩堝とを有しており、外坩堝の内壁面にのみ板状部材が配されている場合を除く。)。」である点で一致し、
本願発明が、板状部材が、平面視において、内壁面の全周にわたって配されているのに対し、先願3発明は、その点が明記されていない点(相違点)で一応相違する。

6.相違点についての判断
記載事項(ウ)、(カ)によれば、中蓋は、保温空間を形成し、「筒部38の内周面に沿って上昇した不活性ガスは、中蓋42の下面461に沿って、中蓋42の外周側から内周側へ流れる」ように設けられているものであるから、中蓋が、不活性ガスを通過させないように内周面の全周にわたって配されていることは、その機能からみて明らかである。
したがって、一応の相違点は実質的なものではない。

7.請求人の主張について
請求人は平成29年 9月20日付けで提出された、審判請求書において、上記相違点について、本願発明では、板状部材は、平面視において、内壁面の全周にわたって配されているという構成要件を有しているのに対して、先願3には、上記構成要件については、記載も示唆もなく、先願3発明は、中蓋と筒部の内面との間に、空間があるのか、空間がないのかは明らかにされておらず、本願発明は、上記構成要件を有することによって、溶液の温度を均一にしやすくすることができるという、先願3発明にはない新たな効果を奏することができる旨主張している。
しかしながら、上記6.で検討したとおり、先願3発明は、中蓋が筒部の内周面の全周にわたって取り付けられていることは明らかであるから、請求人が主張する相違点は実質的なものではない。
よって、上記の主張は採用できない。

8.小括
以上のとおり、相違点は実質的なものでないから、本願発明は、先願3に記載された発明である。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明及び他の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-14 
結審通知日 2018-11-20 
審決日 2018-12-03 
出願番号 特願2016-125696(P2016-125696)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (C30B)
P 1 8・ 161- Z (C30B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 淳一  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 宮澤 尚之
山崎 直也
発明の名称 結晶成長装置、結晶成長方法および結晶成長用坩堝  
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