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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01S
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G01S
管理番号 1348093
審判番号 不服2018-5403  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-19 
確定日 2019-02-05 
事件の表示 特願2016-538554「デバイス・ツー・デバイス近接度サービスのためのブロードキャストに基づく測位」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日国際公開、WO2015/088812、平成29年 2月16日国内公表、特表2017-505426、請求項の数(30)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)12月1日(パリ条約による優先権主張 2013年12月12日(以下、「優先日」という。) 米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年7月5日付けの拒絶理由通知に対して平成29年10月11日付けで手続補正がなされたが、平成29年12月12日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達日 平成29年12月19日)、これに対し、平成30年4月19日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次の通りである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<理由1(特許法第29条第1項第3号)について>

・請求項1
・引用文献1

・請求項2,4-6,8-14,16-17,19-23,25,27,29
・引用文献1

<理由2(特許法第29条第2項)について>

・請求項1-2,4-6,8-14,16-17,19-23,25,27,29
・引用文献1

・請求項3,15,24,28
・引用文献1-2

・請求項7,18,26,30
・引用文献1,3

<引用文献等一覧>
1.特開2008-306532号公報
2.米国特許出願公開第2005/0215269号明細書
3.特開2007-053753号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-30に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明30」という。)は、平成29年10月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-30に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、13、22、27は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
無線通信ネットワーク内で通信する方法であって、
ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信することと、
前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別することと、
複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定することと、
を備え、
前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、
入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である、方法。」

「【請求項13】
無線通信のためのシステムであって、
ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信するための手段と、
前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別するための手段と、
前記複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定するための手段と、
を備え、
前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、
入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である、システム。」

「【請求項22】
無線通信のための装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサと電子的通信状態にあるメモリと、
前記メモリに格納された命令と、
を備え、前記命令は、
ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信し、
前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別し、および
前記複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定する
ために前記プロセッサによって実行可能であり、
前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、
入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である、装置。」

「【請求項27】
無線通信のためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を備え、前記非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、命令を記憶し、前記命令は、
ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信し、
前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別し、および
前記複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定する
ためにプロセッサによって実行可能であり、
前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である、コンピュータプログラム製品。」

本願発明2-12は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明14-21は、本願発明13を減縮した発明である。

本願発明23-26は、本願発明22を減縮した発明である。

本願発明28-30は、本願発明27を減縮した発明である。


第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2008-306532号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付したものである。以下同様。)。
「【0001】
本発明は、アドホックネットワーク方式による通信が可能な移動端末、該移動端末を利用した測位システム、測位方法及びそのプログラムに関する。」

「【0024】
図1は、測位を行う移動端末の処理フローを示す。
(S10)受信段階であり、測位を行う移動端末は、周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)が配信する測位信号を監視し、通信品質が所定の閾値以上の測位信号(例えば、受信信号強度が所定の閾値以上である信号)を発する周辺ノードを親ノード候補として取得する。
(S11)選択段階であり、移動端末は、親ノード候補が4点以上ある場合、親ノードの測位信号に含まれる信頼指数の低いもの上位3点を親ノードとして選択する。上述したように固定基準局の信頼指数は常に0であるため、固定基準局は、優先的に選択される。
(S12)測位段階であり、移動端末は、親ノードから配信される測位信号に含まれる親ノードの位置座標、及び各信号の発信強度、受信強度(又は送信時間、受信時間)から3点測量により自身の位置座標を導出する。ここで移動端末と親ノード間の距離の測定は、電波強度か伝搬速度かのいずれを使用してもよい。
(S13)配信段階であり、測位を行った移動端末は親ノードの信頼指数から自身の測位結果の信頼指数T_dを以下のように計算して求める。
【0025】
T_d=(T_1+T_2+T_3)/3+k (式1)
T_d:測位を行った移動端末の信頼指数
T_1、T_2、T_3:親ノードの信頼指数
k:パラメータであり本実施形態では1とする。
移動端末は自身の位置座標と信頼指数T_dを自身の発する測位信号に載せて周辺に配信する。」


上記引用文献1に記載された事項及び図面の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所である。)。
「アドホックネットワーク方式による通信が可能な移動端末を利用した測位方法であって(【0001】)、
受信段階(S10)で、測位を行う移動端末は、周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)が配信する測位信号を監視し、受信信号強度が所定の閾値以上である信号を発する周辺ノードを親ノード候補として取得し、
選択段階(S11)で、移動端末は、親ノードの測位信号に含まれる信頼指数の低いもの上位3点を親ノードとして選択し、
測位段階(S12)で、移動端末は、親ノードから配信される測位信号に含まれる親ノードの位置座標、及び各信号の送信時間、受信時間から3点測量により自身の位置座標を導出し、
配信段階(S13)で、測位を行った移動端末は(【0024】)、自身の位置座標を自身の発する測位信号に載せて周辺に配信する(【0025】)、方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(米国特許出願公開第2005/0215269号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「[0139] Summary of TDOA method. FIG. 4 illustrates a TDOA technique for locating the target. The positions of the base stations are known from the information gathered using the TOA method. The master station BS, broadcasts a signal 202 to the target 203; the same broadcast signal 204, 206 and 208 are also received by the slave stations BS2, BS3 and BS4. The slave stations wait a set delay, TD2, TD3, TD4, and re-send the signals 214, 216 and 218 to the target. Based on the difference in arrival times of each of the signals 202, 214, 216 and 218, the target can determine its own position according to the calculation discussed above. A schematic depiction of the arrival times of is shown at the bottom of FIG. 4. 」
(当審訳:TDOA方法の要約。図4は、目標を探索するためにTDOA技術を示している。基地局の位置は、TOA法を使用して集めた情報から知られている。マスタ局は、信号202をターゲット203にブロードキャストし、同じブロードキャスト信号204、206、208は子局BS2、BS3及びBS4で受信される。子局は、TD2、TD3、TD4、設定遅延を待機し、信号214、216、及び218をターゲットに再送信する。信号202、214、216および218のそれぞれの到着時間の差に基づいて、ターゲットは、上述した計算に基づいてそれ自体の位置を決定することができる。到着時間の概略図は図4の下部に示されている。)

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(特開2007-053753号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0009】
本発明の実施例は、既知の外部信号を使用して通信システム内の位置検出ユニットのローカルクロックを同期化する時刻同期化システムを提供する。位置検出ユニットのそれぞれは、既知の地理的な場所に位置する送信機から高周波(RF)信号を受信してRF信号を計測し、受信したRF信号の個々の計測値と、位置検出ユニットのローカルクロックのそれぞれと実質的に同一時刻において記録された、計測値の個々のタイムスタンプとを生成する。コントローラは、タイムスタンプ及び計測値を使用して位置検出ユニット間の実測TDOA(Time Difference Of Arrival)を判定し、実測TDOAと予測TDOAとの差から位置検出ユニット間の時刻同期誤差を演算し、位置検出ユニットのそれぞれに対して個々の時刻調整値を供給して時刻同期誤差をオフセットする。
【0010】
一実施例においては、予測TDOAは、位置検出ユニットのそれぞれと送信機の間の個々の距離から判定される。コントローラは、その個々のタイムスタンプによって調整された2つの計測値を比較することにより、実測TDOAを判定する。それぞれの位置検出ユニットの時刻調整値は、位置検出ユニット間の時刻同期誤差を分割することにより決定される。例えば、一実施例においては、時刻同期誤差は位置検出ユニット間において均等に分割されている。別の実施例においては、位置検出ユニットのうちの1つの位置検出ユニットのローカルクロックが基準クロックとして使用されており、その他の位置検出ユニットの時刻調整値は、この基準クロックからの時刻同期誤差に基づいている。この時刻調整値が、位置検出ユニットのローカルクロックの同期化に使用される。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「アドホックネットワーク方式による通信が可能な移動端末を利用した測位方法」は、「測位」のために、「移動端末」が、「アドホックネットワーク」内で「通信」する「方法」を特定しているので、本願発明1の「無線通信ネットワーク内で通信する方法」に相当する。

イ 引用発明は「親ノードから配信される測位信号に含まれる親ノードの位置座標、及び各信号の送信時間、受信時間から3点測量により自身の位置座標を導出し」ているので、引用発明の「親ノードから配信される測位信号」は、本願発明1の「基準信号」に相当する。
また、引用発明の「周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)が」「測位信号」を「配信する」ことは、ブロードキャストであり、引用発明の「測位を行う移動端末」は、「測位信号を監視し」ているので、「周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)」から「測位信号」を備えるブロードキャストを受信している。
したがって、引用発明の「測位を行う移動端末は、周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)が配信する測位信号を監視し」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信すること」に相当する。

ウ 引用発明は、「測位を行う移動端末は、周辺のノード(固定基準局、又は移動端末)」を「親ノードとして選択し、」「親ノードから配信される測位信号に含まれる親ノードの位置座標、及び各信号の送信時間、受信時間から3点測量により自身の位置座標を導出し」ているので、引用発明の「測位を行う移動端末」は、「親ノードとして選択し」た「移動端末」からの「位置座標」を識別しており、このことは、本願発明1の「前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別すること」に相当する。

エ 引用発明の「移動端末は、親ノードから配信される測位信号に含まれる親ノードの位置座標、及び各信号の送信時間、受信時間から3点測量により自身の位置座標を導出」することは、本願発明1の「複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定すること」に相当する。

すると、本願発明1と引用発明1とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「無線通信ネットワーク内で通信する方法であって、
ユーザ機器(UE)において、複数のモバイルランドマークデバイスの各々から基準信号を備えるブロードキャストを受信することと、
前記複数のモバイルランドマークデバイスの各々からの位置情報を識別することと、
複数の受信された基準信号および前記複数の位置情報に少なくとも部分的に基づいて前記UEの位置を決定することと、
を備える、方法。」

(相違点)
本願発明は、「前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である」のに対して、引用発明は、周辺のノードが配信する測位信号を監視する「受信段階(S10)」、3点を親ノードとして選択する「選択段階(S11)」、自身の位置座標を導出する「測位段階(S12)」、自身の位置座標を周辺に配信する「配信段階(S13)」を備えるが、「ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作」することの特定がない点。

(2)判断
ア 特許法第29条第2項について
上記相違点について検討する。
まず、上記相違点に係る「モード」が、どのようなものか検討する。
一般に、「モード」とは、「方法。様式。特に、複数の機能をもつ機械などで、その運転方式。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版DVD-ROM版」)であるから、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」が「ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作」するとは、「ユーザ機器(UE)」が「ターゲットモード」や「ランドマークモード」など、複数の運転方式の一つを採用して動作することができ、しかも、その運転方式を適宜変更可能であることをいうものと解される。
本願の明細書には、「モバイルデバイス115-dは、複数のモードで動作することができる。ターゲットモードと呼ばれる一モードにおいては、モバイルデバイスは、他のモバイルデバイスからのおよび/またはネットワークからの受信された信号に少なくとも部分的に基づいてそれの位置を決定するのを試みることができる。ランドマークモードと呼ばれる他のモードにおいては、モバイルデバイスは、可能なことにターゲットモードにあるその他のモバイルデバイスが信号を受信し、受信された信号に少なくとも部分的に基づいて各々の位置を決定することができるようにそれの位置を含む信号をブロードキャストすることができる。モバイルデバイス115-dは、モバイルデバイス115-dが現在入手可能な情報に基づいてターゲットモードとランドマークモードとの間で移行することができる。」(【0042】)という記載があり、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」の一例である「モバイルデバイス115-d」が「他のモバイルデバイスからのおよび/またはネットワークからの受信された信号に・・・基づいてそれの位置を決定する」という運転方式を採用して動作したり、「それの位置を含む信号をブロードキャストする」という運転方式を採用して動作したりすることができ、しかも、これら2つの運転方式の一方から他方へと、採用する運転方式を適宜変更可能であることが記載されているから、上記のように解することは、本願の明細書の記載とも整合する。

ここで、引用発明の「測位方法」は、「移動端末」が、「受信段階(S10)」、「選択段階(S11)」、「測位段階(S12)」及び「配信段階(S13)」においてそれぞれの処理を行うが、引用文献1には、各段階の処理が終了した後に当該段階にとどまり動作をつづけることの記載はなく、引用発明の「測位方法」は、ある段階の処理が終了すると、その段階にとどまることなく、順次その次の段階に移行するものであるから、引用発明の「測位方法」の各段階を、「移動端末」がその動作に際して採用する運転方式と見ることはできない。
また、引用発明は、各段階の処理が終了すると、同じ段階にとどまることはなく、次の段階に移動するものであるから、引用発明において、「受信段階(S10)」、「選択段階(S11)」、「測位段階(S12)」及び「配信段階(S13)」を、「受信段階(S10)」、「選択段階(S11)」及び「測位段階(S12)」のグループと、「配信段階(S13)」のグループの、2グループに分けて、各グループをそれぞれ別の運転方式である「ターゲットモード」と「ランドマークモード」とすることは想定できず、さらに、「入手可能な情報」に基づいて「ターゲットモード」と「ランドマークモード」との間で移行可能とするとすることも想定できない。

また、引用文献2、3にも、UEを、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、入手可能な情報に基づいてターゲットモードとランドマークモードとの間で移行可能とすることは記載されていない。

したがって、上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

よって、本願発明1は、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 特許法第29条第1項第3号について
上記「ア」で検討したように、上記相違点は、実質的な差異であるから、本願発明1は、引用発明であるとはいえない。

2 本願発明2-12について
本願発明2-12も、上記相違点に係る本願発明1の「前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明13-30について
本願発明13-30も、上記相違点に係る本願発明1の「前記UEは、ターゲットモードとランドマークモードとを含む複数のモードで動作し、入手可能な情報に基づいて前記ターゲットモードと前記ランドマークモードとの間で移行可能である」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明であるとはいえず、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-30は、引用発明であるとはいえず、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-21 
出願番号 特願2016-538554(P2016-538554)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01S)
P 1 8・ 113- WY (G01S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼場 正光  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 櫻井 健太
須原 宏光
発明の名称 デバイス・ツー・デバイス近接度サービスのためのブロードキャストに基づく測位  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井関 守三  
代理人 福原 淑弘  
代理人 中丸 慶洋  
代理人 蔵田 昌俊  

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