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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B65F
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 B65F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B65F
管理番号 1348102
審判番号 不服2017-4905  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-06 
確定日 2019-02-12 
事件の表示 特願2015-105913「鋭利物廃棄容器を新製品収納容器と一体化した輸送容器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月17日出願公開、特開2015-164878、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年9月17日(パリ条約による優先権主張2009年9月18日、米国)の出願である特願2010-209561号の一部を平成27年5月25日に新たな特許出願としたものであって、平成28年6月15日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年9月21日に手続補正書が提出され、平成28年11月30日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成29年4月6日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成30年3月12日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年7月13日に手続補正書が提出され、平成30年8月2日付けで最後の拒絶理由通知がされ、平成30年11月7日に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年11月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1?9に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1:実願平1-131341号(実開平3-72506号)のマイクロフィルム
引用文献2:特開平9-295701号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1 平成30年3月12日付けで通知した拒絶理由の概要
(1)理由1(新規事項の追加)
平成28年9月21日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(2)理由2(明確性要件)
本願は、特許請求の範囲の請求項6の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(3)理由3(新規性)
本願の請求項1、3、4、6及び8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(4)理由4(進歩性)
本願発明1及び3ないし9は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献A:特開平9-295701号公報(拒絶査定時の引用文献2)

2 平成30年8月2日付けで通知した拒絶理由(最後)の概要
(明確性要件)本願は、特許請求の範囲の請求項1及び2(並びに請求項1の記載を引用する請求項3ないし8)の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、平成30年11月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された以下の事項により特定されるとおりの発明である。
「【請求項1】
使用済み製品を収納するための廃棄容器であって、第1の底部壁と、前記廃棄容器の内容積を調整するための、収縮、拡張する可動部分を含む第1の側壁と、を有する廃棄容器と、
新製品を収納するための第1の容積を画定する第2の底部壁および第2の側壁と、第2の容積とを備えた収納容器であって、前記廃棄容器が前記収納容器の前記第2の容積内に配設され、前記廃棄容器の前記第1の底部壁が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する、収納容器と、
前記収納容器の前記第2の側壁に連結される蓋と
を備え、
前記蓋は、使用済み製品を前記廃棄容器の前記内容積内に入れるための少なくとも1つの開口を備え、前記収納容器は、前記収納容器内に収納された前記新製品を取り出すための、前記第1の容積内への開口を有することを特徴とする輸送容器。
【請求項2】
前記第1の容積内への開口は、可動のドアによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項3】
前記可動部分によって、前記新製品が前記収納容器の前記第1の容積からから取り出されると、前記廃棄容器の前記内容積が増大し、前記収納容器の前記第1の容積が減少することを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項4】
前記蓋は、前記収納容器の前記第2の側壁に取り外し可能に連結されることを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項5】
前記蓋は、異なる種類の前記使用済み製品に対応する複数の異なる寸法の開口を有するとを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項6】
前記廃棄容器および前記蓋は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリラクチドで作成されることを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項7】
前記廃棄容器が、前記使用済み製品で満たされると、プラグによって前記少なくとも1つの開口を封止することを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。
【請求項8】
前記廃棄容器が、前記使用済み製品で満たされると、カバーを前記蓋に連結して、前記廃棄容器を封止することを特徴とする請求項1に記載の輸送容器。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された実願平1-131341号(実開平3-72506号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付したものである。
ア 「〔産業上の利用分野〕
本考案は、生理用品等の使用されることにより不要な物となる用品の収納および廃棄を行うことのできる収納部を有した廃棄物処理器に関する。
〔従来の技術〕
この種小物の収納または廃棄物処理器として、・・・一つの筒状体を仕切り板により分割したものであった。
〔考案が解決しようとする問題点〕
上記の物品は、テッシュペーパーまたはペーパータオル等の比較的薄手のものを対象としたものであったため、例えば生理用品等の比較的厚みを有したものについてはそのまま使用することはできなかった。
本考案は、この点について考慮されたもので上記の考案をさらに発展させたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
このため、この考案においては、
筒状に形成された本体の一端側に取り出し口をもうけるとともに、他端側に使用済みのものを投入するための投入口を設け、この投入口に廃棄物を収納するための袋を取りつけた物である。
この袋と上記取り出し口との間に未使用の用品を保持させ、上記袋と上記投入口との間に使用済みの用品が圧入される。
〔作用〕
廃棄物を収納するための袋は、筒状形成された本体の内部に取りつけられている。この袋と取り出し口との間に未使用の用品が収納されておりこの未使用の用品を取り出すにつれて廃棄部のスペースが徐々に増加し、廃棄物を収納するためのスペースが確保される。」(明細書2頁4行?3頁末行)

イ 「第1図Aは、この処理器の本体部すなわち筒状体の作成のための折り曲げ材の1例を示す展開図である。図において、1は折り曲げられて、この処理器の本体部となるボール紙等の薄板材であり、1’はその折り曲げ部、符号(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)で示したものは本体部1が形成された際、使用済みの用品を圧入するための投入口となるそれぞれ投入口片であり、符号(ソ)および(レ)で示したものは未使用の用品の取り出し口を形成するそれぞれ取り出し口片とその切り取り部(ミシン目)、符号(卜)、(チ)、(リ)および(ヌ)はそれぞれ底部片、符号(ヨ)、(ワ)および(カ)で示した部分はそれぞれのり代、符号(タ)、(ル)および(ヲ)で示したものはそれぞれ上記のり代に対応する接合部、符号(ツ)で示したものは袋止め切り込みである。この第1図に示した薄板材1を折り曲げ接合することにより、第2図に示す筒状体(本体)1が形成される。第1図Bは、使用済みの廃棄物が投入されて廃棄物処理部となるいわゆるビニル製の薄手の袋(以下、薄手ビニール袋という)で、2’で示す下端部を溶着することにより形成される。 第3図は、第2図に示す組み立てられた本体部1にこの薄手ビニール袋2を取りつけた状態を示している。薄手ビニール袋2の上端の4つの端縁をそれぞれ4つの袋止め切り込み(ツ)に係止している。
第4図は、この処理器の投入口を詳細に説明するもので、第1図に示した4つの投入口片(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)をそれぞれ所定の順で折り込んで投入口が形成されている。
第5図は、この処理器の底部付近を詳細に説明するものである。まず、第1図に示す4つの底部片(卜)、(チ)、(リ)および(ヌ)のおのおのの本体脚部のり代(ヨ)をそれぞれ内側に折り曲げて対応する本体脚部のり代接合部(タ)に接着し、ついでそれぞれその余の底部片(卜)、(チ)、(リ)および(ヌ)を所定の順で折り込む(第5図A)とともに、第1図に示す底部のり代(カ)および(ワ)をそれぞれ対応する底部のり代接合部(ヲ)および(ル)に接着している(第5図B)。そして、第1図に符号(レ)で示されているミシン目が施された取り出し口切り取り部に沿って取り出し口片(ソ)を切り取って取り出し口を形成している。
第6図Aに示すように、最初の状態においては、多数の例えば生理用品3がその収納部(b)内に一個ずつ取り出し可能に保持されている。この収納部(b)内の生理用品3は、廃棄物処理部aを形成する薄手ビニール袋2により分離されている。使用済みの生理用品3は、第6図Bに示すように上方の投入口から廃棄物処理部a内に投入される。未使用の生理用品3を取り出す毎に廃棄物処理部aの空間が大きくなる。
なお、この廃棄物処理器は、第6図Aに示すように支持部材3により、例えば壁等に取りつけることができるよう構成することによりさらに使い勝手が向上する。」(明細書4頁13行?7頁10行)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)並びに第1図A、第2図、第5図A?第6図Bの記載によると、本体部1は、未使用の用品を収納するための生理用品収納部を画定する底部片ト、チ、リ、ヌおよび側部と、前記生理用品収納部の上方に形成される空間とを備え、薄手ビニール袋2が前記本体部1の前記生理用品収納部の上方に形成される廃棄物を収納するためのスペース内に配設されることが分かる。
イ 上記(1)並びに第1図A、第2図、第4図、第6図A及び第6図Bの記載によると、投入口片イ、ロ、ハ、ニが、本体部1の側部の上縁に折り曲げ部1’で折り曲げられて形成されることが分かる。

(3)引用発明1
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「使用済みの廃棄物を投入するための薄手ビニール袋2と、
未使用の用品を収納するための生理用品収納部を画定する底部片ト、チ、リ、ヌおよび側部と、前記生理用品収納部の上方に形成される廃棄物を収納するためのスペースとを備えた本体部1であって、前記薄手ビニール袋2が前記本体部1の前記生理用品収納部の上方に形成される廃棄物を収納するためのスペース内に配設される、本体部1と、
前記本体部1の前記側部の上縁に折り曲げ部1’で折り曲げられて形成される投入口片イ、ロ、ハ、ニと
を備え、
前記投入口片イ、ロ、ハ、ニは、使用済みの廃棄物を前記薄手ビニール袋2の廃棄物処理部a内に圧入するための投入口を備え、前記本体部1は、前記本体部1内に収納された前記未使用の用品を取り出すための、前記生理用品収納部への取り出し口を有する廃棄物処理器。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
本願の優先日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由及び平成30年3月12日付けで当審において通知された拒絶の理由に引用された特開平9-295701号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付したものである。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療廃棄物の焼却処理用等に好適に使用することができる廃棄物処理用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】医療廃棄物の焼却処理用として金属製容器、ダンボール製容器及び合成樹脂製容器が使用されている。
【0003】金属製容器は、注射針等が容器外に突き出すことがなく、安全性に優れているが、コストが高く、また廃棄物を焼却する際に廃棄物を容器から取り出して焼却しなければならない為に廃棄作業性に劣る欠点があった。
【0004】ダンボール製容器は、コストが安く、廃棄物を焼却する際に廃棄物を容器から取り出すことなく、容器と一体に焼却し得る為に廃棄作業性に優れているが、注射針等が容器外に突き出し易く、安全性に劣る欠点があった。
【0005】また、合成樹脂製容器は、安全性や廃棄作業性に優れているが、一体成形されたものが使用されるため、大きな病院であれば使用頻度が高いことにより通常40L(縦29cmX横24cmX高さ45cm程度)のものを多数保管しなければならず省スペース化が要求されている。また、容器全体を廃棄物と一緒にして使い捨てにすると、省資源化の観点からも望ましくなく、且つコストが高くなるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、安全性、廃棄作業性に優れ、保管スペースを低減し、且つ省資源化に寄与し得る廃棄物処理用容器について研究を進めた結果、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、容器本体と、該容器本体に着脱可能に取り付けられた焼却可能な蓋体とから成り、容器本体が底部と、該底部の周辺に立設された側壁部とを有し、蓋体が天板部と、該天板部に設けられた蓋体開口部と、該蓋体開口部に着脱可能な蓋部と、天板部に取り付けられた折り畳み可能な内容器部と、天板部に取り付けられた取手とを有していることを特徴とする廃棄物処理用容器に関する。」

イ 「【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って本発明を説明する。図1は本発明に係わる廃棄物処理用容器の一例を示す斜視図、図2は図1に示した廃棄物処理用容器に於いて蓋部を開けた状態を示す斜視図、図3は図1に示した廃棄物処理用容器に於いて容器本体から蓋体を取り外している状態を示す斜視図、図4は図1に示した廃棄物処理用容器に於いて容器本体から取り出した蓋体の斜視図、図5は図1に示した廃棄物処理用容器に於いて蓋体を折り畳んだ状態を示す斜視図、図6は図5に於けるA-A線に沿った断面図及び図7は内容器部を天板部に取り付ける他の状態を示す図6に相当する断面図である。
【0013】容器本体1は、底部と、底部の周辺に立設された対向する長側壁部2と、底部の周辺に立設された対向する短側壁部3とを有している。本発明での容器本体は医療廃棄物とともに焼却されずに使用されるため合成樹脂以外の金属等の他の材質のものであってもよいが、製造の容易さ等から合成樹脂製のものが好ましい。かかる容器本体は、特にポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形されたものであり、射出成形することによって形成することができる。
【0014】蓋体4は、天板部5と、該天板部5に蝶番部6を介して取り付けられた一対の取手7とを有し、該取手7は天板部5の周辺に折り畳まれている。蓋体4の中央には、蓋体開口部8が形成され、該蓋体開口部8の周縁には筒部9が立設され、該筒部9の外周面には溝10が形成されている。蓋体開口部8に着脱可能な蓋部11が蝶番部12を介して天板部5の周辺に取り付けられている。蓋部11は、蓋天板部13と、該蓋天板部13の周辺から垂下した蓋筒部14とを有し、該蓋筒部14の内周面には筒部9の外周面に形成された溝10と嵌合する突条15が形成されている。蓋体4は、天板部5と、取手7と、蓋部11と、天板部5に対して取手7を屈曲可能とする蝶番部6と、天板部5に対して蓋部11を屈曲可能とする蝶番部12とを有している。
【0015】蓋体4は、医療廃棄物とともに焼却されるため合成樹脂製であり、天板部と蓋部と取手とが射出成形により一体に成形され、特に屈曲性に優れたポリプロピレン製のものが好ましい。
【0016】蓋体4には、天板部5の下面に折り畳み可能な内容器部16が取り付けられている。内容器部16を天板部5の下面に取り付けるには、図6に示すように内容器部16の上端を天板部5の下面に嵌合装着によって取り付けてもよいし、或いは図7に示すように内容器部16の上端を天板部5の下面に熱溶着若しくは接着剤によって取り付けてもよい。かかる内容器部16は、合成樹脂製であり、再生ポリエチレンテレフタレート等をブロー成形することにより、成形することができる。また上記内容器部は、図4に示すようなジャバラ状であるのが好ましいが、折り畳まれた袋状のものであってもよい。
【0017】蓋体4は、取手7を容器本体1の長側壁部2及び短側壁部3の上端に乗せることにより、容器本体1に着脱可能に取り付けることができる。蓋体4の蓋部11は、蝶番部12を屈曲させることにより、蓋体開口部8に着脱可能である。蓋部11を蓋体開口部8に被せた際に、蓋筒部14の内周面に形成された突条15と筒部9の外周面に形成された溝10とを嵌合させることにより、蓋部11が蓋体開口部8から不用意に外れることを防止することができる。
【0018】本発明に係わる廃棄物処理用容器は、蓋体4の内容器部16が医療廃棄物で一杯になった時に、蝶番部6を屈曲させて天板部5に対して取手7を直立させ、取手7を把持して蓋体4を容器本体1から取り出し、蓋体4を医療廃棄物と一緒に焼却する。
【0019】また、本発明に係わる廃棄物処理用容器は、蓋体4を医療廃棄物と一緒に焼却した後に、新しい蓋体4を容器本体1内に設置し、容器本体1を繰り返して使用する。尚、蓋体4を貯蔵、保管する際に、図5に示すように内容器部16をジャバラ状に折り畳むことにより、貯蔵、保管容積を小さくすることができる。」

ウ 「【0022】
【発明の効果】本発明に係わる廃棄物処理用容器は、蓋体の内容器部が医療廃棄物で一杯になった時に、蓋体を容器本体から取り出し、蓋体を医療廃棄物と一緒に焼却することにより、廃棄作業性が優れており、且つ蓋体に取り付けられた内容器部が折り畳み可能であるため従来の容器の保管に比べてその保管スペースを大幅に低減せしめることができる。また、本発明の容器は、蓋体を医療廃棄物と一緒に焼却した後に、新しい蓋体を容器本体内に設置し、該容器本体を繰り返して使用することにより、容器全体を焼却する場合に比較して省資源化となり、しかもコストを大幅に低減させることができる。」

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)ア?ウ及び図1?7の記載によると、引用文献2には、内容器部16、容器本体1及び蓋体4を備えた廃棄物処理用容器が記載されていることが分かる。
イ 上記(1)イ及び図1?7の記載(特に、段落【0016】及び【0019】並びに図3?5の記載)によると、内容器部16は、注射針等の医療廃棄物を収納するためのものであって、第1の底部壁と、前記内容器部16の内容積を調整するための、収縮、拡張するジャバラ状の部分を含む第1の側壁と、を有することが分かる。
ウ 上記(1)イ及び図1?4の記載(特に、段落【0013】及び【0016】?【0019】並びに図3及び4の記載)によると、容器本体1は、底部並びに長側壁部2及び短側壁部3を備えたものであって、内容器部16が内部に配設され、医療廃棄物とともに焼却されずに使用されることが分かる。
エ 上記(1)イ及び図1?4の記載(特に、段落【0014】?【0017】並びに図2及び3の記載)によると、蓋体4は、内容器部16が取り付けられ、取手7を容器本体1の長側壁部2及び短側壁部3の上端に乗せることにより、前記容器本体1に着脱可能に取り付けられるものであって、注射針等の医療廃棄物を前記内容器部16の内容積内に入れるための蓋体開口部8を備えることが分かる。

(3)引用発明2
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「注射針等の医療廃棄物を収納するための内容器部16であって、第1の底部壁と、前記内容器部16の内容積を調整するための、収縮、拡張するジャバラ状の部分を含む第1の側壁と、を有する内容器部16と、
底部並びに長側壁部2及び短側壁部3を備えた容器本体1であって、前記内容器部16が内部に配設され、医療廃棄物とともに焼却されずに使用される、容器本体1と、
前記内容器部16が取り付けられ、取手7を前記容器本体1の長側壁部2及び短側壁部3の上端に乗せることにより、前記容器本体1に着脱可能に取り付けられる蓋体4と
を備え、
前記蓋体4は、注射針等の医療廃棄物を前記内容器部16の前記内容積内に入れるための蓋体開口部8を備える廃棄物処理用容器。」

第6 対比・判断
1 引用発明1を主とした場合について
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
・引用発明1の「使用済みの廃棄物」は、本願発明1の「使用済み製品」に相当し、以下同様に、「投入する」は「収納する」に、「薄手ビニール袋2」は「廃棄容器」に、「未使用の用品」は「新製品」に、「生理用品収納部」は「第1の容積」に、「底部片ト、チ、リ、ヌ」は「第2の底部壁」に、「側部」は「第2の側壁」に、「生理用品収納部の上方に形成される廃棄物を収納するためのスペース」は「第2の容積」に、「本体部1」は「収納容器」に、「投入口片イ、ロ、ハ、ニ」は「蓋」に、「ビニール袋2の廃棄物処理部a」は「廃棄容器の内容積」に、「圧入する」は「入れる」に、「投入口」は「少なくとも1つの開口」に、「生理用品収納部への取り出し口」は「第1の容積内への開口」に、それぞれ相当する。
・引用発明1の「前記本体部1の前記側部の上縁に折り曲げ部1’で折り曲げられて形成される投入口片イ、ロ、ハ、ニ」は、本願発明1の「前記収納容器の前記第2の側壁に連結される蓋」に相当する。
・引用発明1における「廃棄物処理器」は、本願発明1における「輸送容器」に、「所定用途の容器」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「使用済み製品を収納するための廃棄容器と、
新製品を収納するための第1の容積を画定する第2の底部壁および第2の側壁と、第2の容積とを備えた収納容器であって、前記廃棄容器が前記収納容器の前記第2の容積内に配設される、収納容器と、
前記収納容器の前記第2の側壁に連結される蓋と
を備え、
前記蓋は、使用済み製品を前記廃棄容器の前記内容積内に入れるための少なくとも1つの開口を備え、前記収納容器は、前記収納容器内に収納された前記新製品を取り出すための、前記第1の容積内への開口を有することを特徴とする輸送容器。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点A1]
本願発明1は、「廃棄容器」が「第1の底部壁と、前記廃棄容器の内容積を調整するための、収縮、拡張する可動部分を含む第1の側壁と、を有する」ものであって、「前記廃棄容器の前記第1の底部壁が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する」ものであるのに対して、引用発明1は、「薄手ビニール袋2」がそのような構成を有するものではない点。

[相違点A2]
「所定用途の容器」に関し、本願発明1は、「輸送容器」であるのに対して、引用発明1は、「廃棄物処理器」である点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点A2について先に検討する。
引用文献1には、上記第5の1(1)に摘記したように、「本考案は、生理用品等の使用されることにより不要な物となる用品の収納および廃棄を行うことのできる収納部を有した廃棄物処理器に関する。」(明細書2頁5?7行)、「薄手ビニール袋2の上端の4つの端縁をそれぞれ4つの袋止め切り込み(ツ)に係止している。」(明細書5頁17?19行)、「この廃棄物処理器は、第6図Aに示すように支持部材3により、例えば壁等に取りつけることができるよう構成することによりさらに使い勝手が向上する。」(明細書7頁7?10行)と記載されており、これら記載及び第6図Aの記載によれば、引用発明1の「廃棄物処理器」は、所定の場所に設置して使用することを前提とするものであるから、これを「輸送容器」とすることは、当業者であっても容易に想到し得ることではない。
また、上記第5の2(1)に摘記した引用文献2に記載された事項や本願の優先日前における技術常識を考慮しても、引用発明1の「廃棄物処理器」を「輸送容器」とすべき、格別な事情は見当たらない。
そうすると、引用発明1において、上記相違点A2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であっても容易になし得たこととはいえない。
そして、本願発明1は、上記相違点A2に係る本願発明1の発明特定事項を備えることにより、「新製品を収納するために必要となる容器よりもそれほど大きくない輸送容器が提供される。」(本願明細書の段落【0013】)という所期の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点A1について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2?8について
本願発明2?8は、本願発明1の構成を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 引用発明2を主とした場合について
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
・引用発明2における「注射針等の医療廃棄物」は、本願発明1における「使用済み製品」に相当し、以下同様に、「内容器部16」は「廃棄容器」に、「ジャバラ状の部分」は「可動部分」に、「底部」は「第2の底部壁」に、「長側壁部2及び短側壁部3」は「第2の側壁」に、「容器本体1」は「収納容器」に、「蓋体4」は「蓋」に、「蓋体開口部8」は「少なくとも1つの開口」に、それぞれ相当する。
・引用発明2の「底部並びに長側壁部2及び短側壁部3を備えた容器本体1であって、前記内容器部16が内部に配設され、医療廃棄物とともに焼却されずに使用される、容器本体1」は、本願発明1の「新製品を収納するための第1の容積を画定する第2の底部壁および第2の側壁と、第2の容積とを備えた収納容器であって、前記廃棄容器が前記収納容器の前記第2の容積内に配設され、前記廃棄容器の前記第1の底部壁が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する、収納容器」に、「第2の底部壁および第2の側壁を備えた収納容器であって、前記廃棄容器が内部に配設される、収納容器」という限りにおいて一致する。
・引用発明2における「廃棄物処理用容器」は、本願発明1における「輸送容器」に、「所定用途の容器」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「使用済み製品を収納するための廃棄容器であって、第1の底部壁と、前記廃棄容器の内容積を調整するための、収縮、拡張する可動部分を含む第1の側壁と、を有する廃棄容器と、
第2の底部壁および第2の側壁を備えた収納容器であって、前記廃棄容器が内部に配設される、収納容器と、
蓋と
を備え、
前記蓋は、使用済み製品を前記廃棄容器の前記内容積内に入れるための少なくとも1つの開口を備える所定用途の容器。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点B1]
本願発明1は、「収納容器」が「新製品を収納するための第1の容積を画定する第2の底部壁および第2の側壁と、第2の容積とを備えた」ものであって、「前記廃棄容器が前記収納容器の前記第2の容積内に配設され、前記廃棄容器の前記第1の底部壁が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する」ものであり、さらに、「前記収納容器内に収納された前記新製品を取り出すための、前記第1の容積内への開口を有する」ものであるのに対して、引用発明2は、「容器本体1」が「底部並びに長側壁部2及び短側壁部3を備えた」ものであって、「前記内容器部16が内部に配設され、医療廃棄物とともに焼却されずに使用される」ものである点。

[相違点B2]
本願発明1は、「蓋」が「前記収納容器の前記第2の側壁に連結される」ものであるのに対して、引用発明2は、「蓋体4」が「内容器部16が取り付けられ、取手7を前記容器本体1の長側壁部2及び短側壁部3の上端に乗せることにより、前記容器本体1に着脱可能に取り付けられる」ものである点。

[相違点B3]
「所定用途の容器」に関し、本願発明1は、「輸送容器」であるのに対して、引用発明2は、「廃棄物処理用容器」である点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点B3について先に検討する。
引用文献2には、上記第5の2(1)に摘記したように、「また、合成樹脂製容器は、安全性や廃棄作業性に優れているが、一体成形されたものが使用されるため、大きな病院であれば使用頻度が高いことにより通常40L(縦29cmX横24cmX高さ45cm程度)のものを多数保管しなければならず省スペース化が要求されている。また、容器全体を廃棄物と一緒にして使い捨てにすると、省資源化の観点からも望ましくなく、且つコストが高くなるという欠点があった。」(段落【0005】)、「本発明に係わる廃棄物処理用容器は、蓋体4の内容器部16が医療廃棄物で一杯になった時に、蝶番部6を屈曲させて天板部5に対して取手7を直立させ、取手7を把持して蓋体4を容器本体1から取り出し、蓋体4を医療廃棄物と一緒に焼却する。」(段落【0018】)、「また、本発明に係わる廃棄物処理用容器は、蓋体4を医療廃棄物と一緒に焼却した後に、新しい蓋体4を容器本体1内に設置し、容器本体1を繰り返して使用する。」(段落【0019】)と記載されており、これら記載によれば、引用発明2の「廃棄物処理用容器」は、病院等の所定の場所に設置して使用することを前提とするものであるから、これを「輸送容器」とすることは、当業者であっても容易に想到し得ることではない。
また、上記第5の1(1)に摘記した引用文献1に記載された事項や本願の優先日前における技術常識を考慮しても、引用発明2の「廃棄物処理用容器」を「輸送容器」とすべき、格別な事情は見当たらない。
そうすると、引用発明2において、上記相違点B3に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であっても容易になし得たこととはいえない。
そして、本願発明1は、上記相違点B3に係る本願発明1の発明特定事項を備えることにより、「新製品を収納するために必要となる容器よりもそれほど大きくない輸送容器が提供される。」(本願明細書の段落【0013】)という所期の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点B1及びB2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明2及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2?8について
本願発明2?8は、本願発明1の構成を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明2及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
上記第6のとおりであるから、本願発明1?8は、上記引用発明1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 平成30年3月12日付けで通知した拒絶理由について
(1)理由1(特許法第17条の2第3項)について
当審では、平成28年9月21日に提出された手続補正書による補正は、補正後の請求項1及び4における次の事項が当初明細書等に記載も示唆もされていないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとした。
ア 請求項1について
・「廃棄容器」が「第1の側壁と、廃棄容器の内容積を調整するための可動部分と、を有する」こと
・「収納容器」において、「廃棄容器が収納容器の第2の容積内に配設され、廃棄容器の少なくとも可動部分の外側が収納容器の第1の容積をさらに画定する」こと
・「蓋」が「廃棄容器の第1の側壁と収納容器の第2の側壁に連結される」こと
イ 請求項4について
・「蓋」が「廃棄容器の第1の側壁に固定して連結され」ること
しかし、平成30年11月7日に提出された手続補正書により特許請求の範囲が補正された結果、拒絶の理由1は解消した。

(2)理由2(特許法第36条第6項第2号)について
平成30年11月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲において、平成28年9月21日に提出された手続補正書により補正されたときの特許請求の範囲の請求項6は削除されたものとなった。
その結果、拒絶の理由2は解消した。

(3)理由3及び4(特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項)について
上記第6の2の検討を踏まえると、本願発明1?8は、引用発明2ではなく、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当しない。
また、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
そうすると、拒絶の理由3及び4は解消した。

以上のとおり、平成30年3月12日付けで通知した拒絶理由は全て解消した。

2 平成30年8月2日付けで通知した拒絶理由(最後)について
平成30年11月7日に提出された手続補正書による補正の内容は次のとおりである。
・補正前の請求項1における「前記廃棄容器の内容積を調整するための可動部分を含む第1の側壁」を、補正後の請求項1において「前記廃棄容器の内容積を調整するための、収縮、拡張する可動部分を含む第1の側壁」とする。
・補正前の請求項1における「前記廃棄容器の前記第1の底部壁の下部領域が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する」を、補正後の請求項1において「前記廃棄容器の前記第1の底部壁が前記収納容器の前記第1の容積をさらに画定する」とする。
・補正前の請求項1における「前記収納容器は、前記収納容器内に収納された前記新製品を取り出すための、前記第1の容積内への開口であって閉めることが可能な開口を有する」を、補正後の請求項1において「前記収納容器は、前記収納容器内に収納された前記新製品を取り出すための、前記第1の容積内への開口を有する」とする。
・補正前の請求項2における「前記閉めることが可能な開口は、前記第1の容積内に可動のドアによって形成される」を、補正後の請求項2において「前記第1の容積内への開口は、可動のドアによって形成される」とする。
この結果、補正前の請求項1及び2において不明確であった記載が、補正により明確となった。
そうすると、上記拒絶理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審において通知した拒絶理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-28 
出願番号 特願2015-105913(P2015-105913)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65F)
P 1 8・ 55- WY (B65F)
P 1 8・ 537- WY (B65F)
P 1 8・ 113- WY (B65F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 芝井 隆大宮 功次金丸 治之  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 槙原 進
佐々木 正章
発明の名称 鋭利物廃棄容器を新製品収納容器と一体化した輸送容器  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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