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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1348145
審判番号 不服2017-6783  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-10 
確定日 2019-01-16 
事件の表示 特願2015- 37472「金属トランジスターデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 6日出願公開、特開2015-144295〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年(2005年)1月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2004年1月22日,米国)を国際出願日とする出願である特願2006-551303号の一部を,平成27年2月26日に新たな出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 2月26日 上申書の提出
平成28年 1月29日付け 拒絶理由通知書
平成28年 7月21日 意見書,手続補正書の提出
平成28年12月27日付け 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成29年 5月10日 審判請求書,手続補正書の提出
(以下,「本件補正」という。)
平成29年 5月16日 補正書の提出
平成29年10月13日付け 拒絶理由通知書
平成30年 4月12日 意見書の提出
(以下,「意見書」という。)

第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は,本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
ソース、ドレイン、ゲート、および前記ソース及びドレインの間に配置された金属チャネルからなるトランジスターデバイスであって、
前記金属チャネルは、電子をキャリアとするn型の高伝導金属から形成される連続伝導体薄膜であって、前記連続伝導体薄膜は、前記ソース及び前記ドレインの底面まで拡がっており、前記金属チャネルの厚さは単一層の厚さ未満から、前記ゲートに制御電圧を加えると、最大ゲート電圧において前記金属チャンネルが完全に空乏化する厚さ未満の範囲であることによって、デプレションモードデバイスを形成し、
前記トランジスターデバイスはさらに絶縁層およびゲート絶縁膜を備え、前記金属チャネルが前記ゲート絶縁膜と前記絶縁層との間に位置する、トランジスターデバイス。
【請求項2】
ソース、ドレイン、ゲート、および前記ソース及びドレインの間に配置された金属チャネルからなるトランジスターデバイスであって、
前記金属チャネルは、高伝導金属から形成される連続伝導体薄膜であって、前記ゲートに制御電圧を加えると空乏層と反転層が形成されることによって、エンハンスメントモードデバイスを形成し、
前記トランジスターデバイスはさらに絶縁層およびゲート絶縁膜を備え、前記金属チャネルが前記ゲート絶縁膜と前記絶縁層との間に位置する、トランジスターデバイス。
【請求項3】
ソース、ドレイン、ゲート、および前記ソース及びドレインの間に配置された金属チャネルからなるトランジスターデバイスであって、
前記金属チャネルは、
ドーピングされた金属、
金属窒化物、
金属シリサイド、および
ホールをキャリアとするp型の金属、
からなる群から選択される高伝導材料から形成される連続伝導体薄膜からなり、
前記トランジスターデバイスはさらに絶縁層およびゲート絶縁膜を備え、前記金属チャネルが前記ゲート絶縁膜と前記絶縁層との間に位置する、トランジスターデバイス。
【請求項4】
さらにシリコン、サファイア、水晶、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、およびダイアモンドから構成される群から選定される基板を備える請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項5】
さらにシリコン基板を備える請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項6】
前記金属チャネルがサブナノレイヤー金属チャネルである、請求項1?5のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項7】
前記金属チャネルが0.2?3nmの範囲の厚さを有する請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項8】
前記トランジスターデバイスがエンハンスメントモードデバイスからなる請求項3に記載のトランジスターデバイス。
【請求項9】
前記トランジスターデバイスがデプレッションモードデバイスからなる請求項3に記載のトランジスターデバイス。
【請求項10】
ゲート長が50nm未満であり、かつ前記ゲート絶縁膜が二酸化シリコン、シリコン窒素酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル五酸化物、チタニウム酸化物、およびアルミニウム酸化物からなる群から選択される、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項11】
前記金属チャネルまたは前記ゲートが、アルミニウム、銀、銅、プラチナ、金、ハフニウム、ニッケル、タンタル、チタニウム、タングステンまたはそれらの組合せから構成される、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項12】
前記金属チャネルが複合構造物からなる請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項13】
前記金属チャネルまたは前記ゲートが、ハフニウム窒化物、ケイ化ニッケル、タンタル窒化物、チタン窒化物、ケイ化チタンまたはそれらの組合せからなる群から選定される、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項14】
さらに複数の集積回路を構成する回路部品が含まれる請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項15】
前記絶縁層が二酸化シリコン、シリコン窒化物、アルミニウム酸化物およびサファイアからなる群から選定される絶縁材料からなる、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項16】
前記トランジスターデバイスがさらにn型チャネルおよびp型チャネルを有する相補型トランジスターデバイスからなる請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項17】
前記金属チャネルに、複数の層からなる複合構造物が含まれる請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項18】
少なくとも1個の前記金属チャネルを有する前記トランジスターデバイスが含まれる集積回路デバイスである、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。
【請求項19】
前記金属チャネルの厚さがデプレッションモードデバイスのための空乏層の厚さ未満である、請求項3に記載のトランジスターデバイス。
【請求項20】
前記金属チャネルの厚さが単一層の厚さ未満である、請求項1?3のうちのいずれか1項に記載のトランジスターデバイス。」

第3 拒絶の理由
平成29年10月13日付けの当審が通知した拒絶理由は,次のとおりのものである。

「(実施可能要件)本件出願は、発明の詳細な説明が、下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


本願発明は、金属をトランジスタのチャネル層に用いて、一般的には、半導体材料に用いられる「p型」、「n型」という特性を金属に用い、「ディプレッションモードのデバイス」については「空乏化」が、「エンハンスモードのデバイス」については「反転層」が、それぞれ金属層に発生することを前提としたトランジスタを提案している。
しかし、発明の詳細な説明には、金属層における「p型」、「n型」という特性の意義及び金属層内における「空乏化」及び「反転層」が発生することについて、十分な説明がなされておらず、また、提案されたトランジスタの電気的特性など、トランジスタ動作を実証するデータの提示もない。
一般的には、「p型」、「n型」の導電型や「空乏化」、「反転層」は、伝導帯と価電子帯の間に禁制帯があり、禁制帯中にフェルミ準位がある半導体のバンド構造を前提とするものであり、金属はこのようなバンド構造をとらないから、「p型」、「n型」,「空乏化」、「反転層」の意義は不明である。なお、本願明細書【0018】には、「量子井戸の部分的なディプレッション」との記載があるが、どのような条件で「量子井戸の部分的なディプレッション」が起きるのか不明であるし、同明細書【0013】に記載された「完全なディプレッション」との関係も不明である。ましてや「量子井戸」により「反転層」が生じるのか、生じるとすればどのような条件で生じるのか全く不明である。
したがって、本願は、発明の詳細な説明が本願発明のトランジスタの動作原理及び動作特性について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。」

第4 請求人の主張について(下線は,当審で付与した。以下同じ。)
(1) 請求人は,意見書において
「ロ)本願出願人は、拒絶理由に対し検討を行った結果、本願発明は特許を受けるに値すると判断しましたので、以下に意見を述べます。

(i)拒絶理由について
審判官殿は拒絶理由通知書において、「発明の詳細な説明には、金属層における「p型」、「n型」という特性の意義及び金属層内における「空乏化」及び「反転層」が発生することについて、十分な説明がなされておらず、また、提案されたトランジスタの電気的特性など、トランジスタ動作を実証するデータの提示もない」と指摘されております。
本意見書では、審判官殿の上記指摘を踏まえて、1)金属層における「p型」、「n型」、および2)金属層内における「空乏化」及び「反転層」の発生、が明細書に記載の事項及び本願出願時の当業者の周知技術により理解可能であることを説明するとともに、3)トランジスタ動作を実証するデータを追加データとして提示します。
・・・ 中 略 ・・・
2)金属層内における「空乏化」及び「反転層」の発生について
空乏層または反転層を有する金属トランジスタのエネルギーバンド図は、対応するn型またはp型の、高濃度にドープされたCMOSトランジスタのエネルギーバンド図と定性的に類似しています。高濃度にドープされたCMOSトランジスタは 伝導帯または価電子帯にフェルミ準位を有する縮退半導体材料であり、金属トランジスタと類似しています。
参考図2の、単純化された、ゲート絶縁体界面における、単純化された、空間位置対エネルギーバンドを示す図は、本願発明で開示された、空乏化の概念を示しています。これらの図は、当業者であれば、本願明細書に記載の内容に基づいて容易に描くことができます。E_(C)とE_(V)をそれぞれチャンネル領域における伝導体と価電子帯の端部とします。ゲート金属のフェルミ準位をE_(FG)とすると、ゲートのフェルミ準位E_(FG)はゲートバイアスゼロではチャンネル領域のフェルミ準位E_(FC)と一致していますが、参考図2(a)および2(b)に示すように、ゲートバイアスを印加することによりゲートのフェルミ準位E_(FG)はシフトします。参考図2(a)および2(b)はそれぞれ、p型金属およびn型金属の空乏の始まり、ないし部分的空乏を示しています。ゲート金属の状態密度は、チャネル金属のそれよりもはるかに高いと仮定されるので、ゲート金属の追加のバンドを示す必要もなく、ゲート金属の空乏も示す必要はないと考えます。なお、図は一定の縮尺で描かれてはいません。また、この図は、1つのバイアス条件での空乏を説明するために描かれたものであり、デバイスのすべての動作条件を示すものではありません。ゲートバイアスが増加すると、ゲートフェルミ準位はシフトし続け、参考図2のチャネルの急峻なバンドの曲がりは、チャネルの完全空乏化のためにバンドのフラット部分が完全に消失するまで金属チャネル全体に広がります。
【参考図2】空乏トランジスタにおける空間位置対エネルギーバンドを示す図
・・・ 図2 略 ・・・
反転の概念は、参考図3の、ゲート絶縁体をまたぐ、単純化された、空間位置対エネルギーバンドを示す図に示されています。この図も当業者であれば容易に描くことができます。この図でも、ゲート金属の状態密度は、チャネル金属のそれよりもはるかに高いと仮定されるので、ゲート金属の追加のバンドも、ゲート金属の空乏も示されていません。また、単純化のために、チャネル厚さは空乏及び反転層よりもはるかに厚く示されています。正のゲートバイアス印加時のチャネル(図3(a)を参照)では、伝導帯が価電子帯よりもチャネルのフェルミ準位E_(FC)に近づき、チャネル-ゲート絶縁体の近くのp型金属中に正孔より多くの電子が存在する電子反転層を形成します。図3(b)を参照すると、負のゲートバイアスでは、価電子帯が伝導帯よりもE_(FC)に近づき、n型金属のゲート絶縁体界面の近くに電子より多くのホールが存在する反転層を形成します。
これらの図は、1つのバイアス状態での反転を説明するために描かれており、デバイスのすべての動作状態を示すものではありません。これらの各場合に対して、より大きなゲートバイアスを有するチャネルにおいて、各バンドがフェルミ準位に近づくにつれて、反転の程度がより強くなります。
【参考図3】反転トランジスタにおける空間位置対エネルギーバンドを示す図
・・・ 図3 略 ・・・」
旨主張する。
つまり,上記参考図2の説明では,ゲートにゲートバイアスを印加することにより,ゲートのフェルミ準位(E_(FC))がシフトし,チャネルの急峻なバンドの曲がりがおき,p型金属およびn型金属で構成されるチャネルの完全空乏化のためのバンドのフラット部分が消失し,チャネルが完全空乏化するとしている。
また,上記参考図3の説明では,ゲートにゲートバイアスを印可することにより,伝導帯(価電子帯)がチャネルのフェルミ準位(E_(FC))に近づき,チャネル-ゲート絶縁体の近くのp型(n型)金属中により多くの電子(正孔)が存在し反転層を形成するとしている。
しかしながら,ゲートと,p型金属およびn型金属で構成されるチャネルは,ゲート絶縁膜により隔てられており,ゲート金属内の電子とチャネル内の電子は行き来することができす,電子のフェルミ準位は平準化できないから,ゲートのフェルミ準位のシフトが,チャネルのバンドに影響するものではない。
請求人のいう「フェルミ準位」は,学術用語としての「フェルミ準位」ではないか,「フェルミ準位」について誤解をしているかのどちらかであり,いずれにせよ,請求人の主張は前提において失当である。
そもそも,参考図2及び参考図3に記載されたバンド構造は,「縮退半導体」のものであり「金属」のものではない。
この点について請求人は,「縮退半導体材料であり、金属トランジスタと類似しています。」と主張している。確かに,導電率が高いという点では,縮退半導体と金属は類似するが,半導体である縮退半導体と金属とでは,そのバンド構造が異なるものであることは,上記「第3 拒絶の理由」で示したとおりであり,両者のバンド構造を混同する請求人の主張は前提において失当である。
また,上記説明は,発明の詳細な説明に記載されているとは認められない。
加えて,本件特許と,発明の詳細な説明に記載された「量子井戸の部分的なデプレッション」(段落【0018】)及び「全なデプレッション」(段落【0013】)並びに「量子井戸」との関係も,依然として不明であると認められる。
そうすると,請求人の上記主張では,依然として,発明の詳細な説明が,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。

(2) 同じく,請求人は,意見書において
「3)トランジスタ動作を示す実験データについて
出願当初の明細書には、トランジスタ動作を示すデータが提示されておりませんでしたので、今回、トランジスタ動作を示すデータを提出します。なお、本実験の結果は、本願の出願日後に提出されてはおりますが、明細書に記載の内容を補足するものであり、考慮されるべきであると思料いたします(知的財産高等裁判所2010年7月15日判決参照)。
参考図4に、PtチャネルおよびPtゲートを有する空乏型金属FETの以下の実験におけるドレイン電圧(V_(DS))?ドレイン電流(I_(DS))特性を、ゲート電圧Vgをパラメータとして変化させて示します。Ptは単一元素金属であり、n型金属です。負のゲート電圧が0から-1Vに増加すると、ドレイン電流は約82マイクロアンペアから15マイクロアンペアに顕著に変化します。
これは金属チャネルと金属電界効果トランジスタのゲート電圧制御の最初のデモンストレーションです。
-2Vへのゲートバイアスのさらなる増加は、ドレイン電流の変化をほとんど生じさせません。 平均実効導電チャネル厚さは、同じウェハ上の他のデバイスの電気抵抗に基づいて、FuchsおよびSondheimerの式から、単層よりも小さい0.1nm未満であると推定されます。表面粗さおよび不完全性によって抵抗が増加するため、表面粗さおよび不完全性が原因で、厚さの推定値が小さくなっている可能性があります。第3象限のトレースのいくつかのノイズは測定上の問題である可能性があります。非常に近接している2つのプローブの間のミラー容量結合によって高周波発振が生じているのかもしれません。ソースとドレインのリードを判定した場合でもノイズは同じ象限にとどまります。

【参考図4】ゲート電圧をパラメータとした空乏型金属FETのドレイン電圧?電流特性
・・・ 図4 略 ・・・」
旨主張する。
しかしながら,出願当初の明細書において,発明の効果が記載され,ないし自明であった場合に,その効果を実証するために,出願後に実験データを提出するならともかく,本願の場合,出願当初の明細書において,発明が実施可能であるように開示されていなかったところ,実験データを補充することにより,当業者にとって実施をすることができる程度の発明の詳細な説明の記載に代えることは許されない。
そうすると,請求人の上記主張をもって,発明の詳細な説明が,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。

第5 当審判断
本願発明は,金属をトランジスタのチャネル層に用いて,一般的には,半導体材料に用いられる「p型」,「n型」という特性を金属に用い,「ディプレッションモードのデバイス」については「空乏化」が,「エンハンスモードのデバイス」については「反転層」が,それぞれ金属層に発生することを前提としたトランジスタを提案している。
しかし,発明の詳細な説明には,金属層内における「空乏化」及び「反転層」が発生することについて,十分な説明がなされておらず,また,提案されたトランジスタの電気的特性など,トランジスタ動作を実証するデータの提示もない。
そして,半導体とバント構造の異なるp型金属およびn型金属で構成されるチャネルにおける,「空乏層」,「反転層」の意義は不明である。加えて,「量子井戸の部分的なディプレッション」との記載(段落【0018】)があるが,どのような条件で「量子井戸の部分的なディプレッション」が起きるのか不明であるし,「完全なディプレッション」(段落【0013】)との関係も不明である。ましてや「量子井戸」と「反転層」の関係も全く不明である。
したがって,本願は,発明の詳細な説明が本願発明のトランジスタの動作原理及び動作特性について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。
なお,上記「第4」で検討したように,意見書の請求人の主張に基づいては,発明の詳細な説明が,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められない。

第6 むすび
以上のとおり,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから,本願は,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-08-09 
結審通知日 2018-08-14 
審決日 2018-08-27 
出願番号 特願2015-37472(P2015-37472)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹口 泰裕  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 加藤 浩一
小田 浩
発明の名称 金属トランジスターデバイス  
代理人 ▲吉▼川 俊雄  

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