• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63B
管理番号 1348190
審判番号 不服2018-3755  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-15 
確定日 2019-02-05 
事件の表示 特願2016- 84524「運動機能性を有するウェアラブルデバイスアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月21日出願公開、特開2016-129778、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年1月11日(以下、「原出願日」という。)に出願された特願2013-3124号(パリ条約による優先権主張、外国庁受理2012年(平成24年)1月18日(以下、「優先日」という。)、米国)の一部を分割して、平成28年4月20日に新たな特許出願としたものであって、同年5月2日に手続補正がなされ、平成29年2月24日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年11月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。その後、当審より平成30年10月31日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月6日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 原査定の概要

平成29年11月16日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は次のとおりである(引用文献については、下記の引用文献等一覧を参照。)。

1 本願請求項1,3,8,12-13,17,19,21-24に係る発明は、引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 本願請求項1-4,8-24に係る発明は、引用文献Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 本願請求項5-7に係る発明は、引用文献AないしCに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2012-005841号公報
B.特開2011-127917号公報
C.特表2011-516174号公報


第3 当審拒絶理由の概要

平成30年10月31日付け拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである(引用文献については、下記の引用文献等一覧を参照。)。

1 本願は、請求項1-24の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 本願は、請求項1-24の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3 本願請求項1-4,8-24に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 本願請求項5,6に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された周知技術、並びに、引用文献4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5 本願請求項7に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に記載された周知技術、並びに、引用文献5に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2012-005841号公報
2.特表2007-536852号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2011-199381号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2011-127917号公報
5.特表2011-516174号公報(周知技術を示す文献)


第4 本願発明

本願請求項1-24に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明24」という。)は、平成30年12月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-24に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-24は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
「第一の装置において、ユーザに装着されるように構成された第二の装置が第一のしきい値至近距離内にあるか否かを検出するステップと、
前記第二の装置が前記第一のしきい値至近距離内にあると検出されたことに応じて、前記第二の装置によって送信された第一の活動データを、前記第一の装置で自動的に受信するステップと、
前記第一の装置の1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザの身体における前記第二の装置の着用位置に基づいて、前記第二の装置から前記ユーザへ提供されるフィードバックを調整するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記第二の装置の前記着用位置に基づいて、前記第一の活動データを測定するためのアルゴリズムを選択するステップと、
前記第一の活動データに基づいて、前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数を判定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記第一の活動データが測定された前記1つ以上の活動期間を示すユーザ入力を受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザ入力がなされた前記1つ以上の活動期間を、少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザによって獲得された前記活動ポイント数および前記第一の活動期間カテゴリに基づいて第一の運動活動を実行するように前記第一の運動活動および継続時間を勧告するステップと、
を含み、
前記1つ以上の活動期間を分類するステップにおいて、前記第一の活動データが測定された1つ以上の活動期間の間に前記第二の装置から取得した位置情報に基づいて、前記ユーザによって実行された活動のタイプを決定する、方法。」
【請求項2】
「前記1つ以上の活動期間を分類するステップは、さらに、前記1つ以上の活動期間を前記第一の活動期間カテゴリに割り当てるユーザ入力データを受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項3】
「前記第一の活動期間カテゴリは、活動監視デバイスの種類、前記第一の運動活動のロケーション、および活動パートナーのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項4】
「前記第一の活動期間カテゴリに応じて受信された前記第一の活動データの一部について運動遂行メトリクスを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項5】
「前記第一の活動期間カテゴリは、一つまたは複数の副次カテゴリを含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項6】
「前記一つまたは複数の副次カテゴリに応じて受信された前記第一の活動データの一部について運動遂行メトリクスを生成するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。」
【請求項7】
「前記第一の装置は手首装着用監視デバイスである、請求項1に記載の方法。」
【請求項8】
「前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記受信された第一の活動データが最高活動ポイント合計を超えたか否かを判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項9】
「前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記活動期間のうち一期間中に受信された前記第一の活動データが最高活動ポイント合計を超えたか否かを判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項10】
「前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記受信された第一の活動データが前回の活動期間の活動ポイント合計を所定量だけ超えたか否かを判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項11】
「前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記受信された第一の活動データが所定の活動ポイント数だけ活動ポイント目標を超えたか否かを判定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項12】
「1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサと動作可能に連結されてコンピュータ可読命令を格納するメモリと、を備えた装置であって、
前記コンピュータ可読命令は、実行時に前記装置に対し、
ユーザに装着されるように構成された第二の装置が第一のしきい値至近距離内にあるか否かを検出させ、
前記第二の装置が前記第一のしきい値至近距離内にあると検出されたことに応じて、前記第二の装置によって送信された第一の活動データを自動的に受信させ、
前記ユーザの身体における前記第二の装置の着用位置に基づいて、前記第二の装置から前記ユーザへ提供されるフィードバックを調整させ、
前記第二の装置の前記着用位置に基づいて、前記第一の活動データを測定するためのアルゴリズムを選択させ、
前記第一の活動データに基づいて、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数を判定させ、
前記第一の活動データが測定された前記1つ以上の活動期間を示すユーザ入力を受信させ、
前記ユーザ入力がなされた前記1つ以上の活動期間を、少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類させ、前記1つ以上の活動期間を分類する際に、前記第一の活動データが測定された1つ以上の活動期間の間に前記第二の装置から取得した位置情報に基づいて、前記ユーザによって実行された活動のタイプを決定させ、
前記ユーザによって獲得された前記活動ポイント数および前記第一の活動期間カテゴリに基づいて第一の運動活動を実行するように前記第一の運動活動および継続時間を勧告させる、装置。」
【請求項13】
「前記第一の活動期間カテゴリは、活動監視デバイスの種類、前記第一の運動活動のロケーション、および活動パートナーのうち少なくとも一つを含む、請求項12に記載の装置。」
【請求項14】
「前記コンピュータ可読命令は、実行時に前記装置に対し、さらに、
前記第一の活動期間カテゴリに応じて受信された前記第一の活動データの一部から運動遂行メトリクスを生成させる、請求項12に記載の装置。」
【請求項15】
「前記コンピュータ可読命令は、実行時に前記装置に対し、さらに、
活動ポイント目標を受信させ、
前記受信した第一の活動データが前記活動ポイント目標を超えたか否かを判定させ、
前記第一の活動データが前記活動ポイント目標を超えたと判定されたことに基づいて前記ユーザにその内容を伝えさせる、請求項12に記載の装置。」
【請求項16】
「前記内容は、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数が前記活動ポイント目標を下回っている旨をユーザに伝えるメッセージ、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数が前記活動ポイント目標を上回っている旨をユーザに伝えるメッセージ、および前記ユーザによって獲得された活動ポイント数が所定の値だけ前記活動ポイント目標を上回っている旨をユーザに伝えるメッセージのうちの一つを含む、請求項15に記載の装置。」
【請求項17】
「第一の装置において、ユーザに装着されるように構成された第二の装置が第一のしきい値至近距離内にあるか否かを検出するステップと、
前記第二の装置が前記第一のしきい値至近距離内にあると検出されたことに応じて、前記第二の装置によって送信された第一の活動データを、前記第一の装置で自動的に受信するステップと、
前記ユーザの身体における前記第二の装置の着用位置に基づいて、前記第二の装置から前記ユーザへ提供されるフィードバックを調整するステップと、
前記第二の装置の前記着用位置に基づいて、前記第一の活動データを測定するためのアルゴリズムを選択するステップと、
前記第一の活動データに基づいて、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数を判定するステップと、
前記第一の活動データが測定された前記1つ以上の活動期間を示すユーザ入力を受信するステップと、
前記ユーザ入力がなされた前記1つ以上の活動期間を、少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類するステップであって、前記1つ以上の活動期間を分類する際に前記第一の活動データが測定された1つ以上の活動期間の間に前記第二の装置から取得した位置情報に基づいて、前記ユーザによって実行された活動のタイプを決定するステップと、
前記ユーザによって獲得された前記活動ポイント数および前記第一の活動期間カテゴリに基づいて第一の運動活動を実行するように前記第一の運動活動および継続時間を勧告するステップと、
をコンピュータ装置に実行させるように構成されたコンピュータ実行命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。」
【請求項18】
「前記第一の活動期間カテゴリに応じて受信された前記第一の活動データの一部から運動遂行メトリクスを生成するステップを前記コンピュータ装置に実行させるように構成されたコンピュータ実行命令をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。」
【請求項19】
「前記ユーザに前記第一の活動データを伝達するアプリケーションインタフェースを提供するステップを前記コンピュータ装置に実行させるように構成されたコンピュータ実行命令をさらに含み、
前記アプリケーションインタフェースは、活動ポイント目標の達成に向けたユーザの進捗を反映する一つまたは複数の仮想オブジェクトを含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。」
【請求項20】
「前回の活動期間中に前記ユーザによって実行された運動活動に基づいて第二の活動データを生成するステップと、
少なくとも前記第二の活動データに基づく活動ポイント目標に応じて、前記活動ポイント数を調整するステップと、
を前記コンピュータ装置に実行させるように構成されたコンピュータ実行命令をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。」
【請求項21】
「前記第一の装置の第一の動きを検出するステップと、
前記第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、前記受信した第一の活動データに基づいて前記ユーザにより獲得された活動ポイント数を更新するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項22】
「前記第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、前記第一の装置のディスプレイに表示される第一の活動ポイントインジケータの表示を更新するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。」
【請求項23】
「前記第一の装置の第一の動きを検出するステップと、
前記第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、前記第一の活動データを前記第二の装置と同期させるステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。」
【請求項24】
「前記第一の装置および前記第二の装置の少なくとも一方から取得された位置データに基づいて前記ユーザの第一の位置を検出するステップと、
少なくとも一部において、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数および前記ユーザの前記第一の位置に基づいて、前記ユーザの第二の運動活動を実行するように勧告するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。」


第5 引用文献

1 引用文献1
(1) 当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア 「【0039】
運動情報モニタリング装置
図2は、本発明の各種の例に従って、ユーザーの運動活動に対応する運動情報の測定に使用可能である運動情報モニタリング装置201の1つの例を示す。この図に示すように、運動情報モニタリング装置201は、デジタル音楽プレイヤー203、電子インターフェース装置205、および運動パラメータ測定装置207を含む。さらに詳細に説明するように、デジタル音楽プレイヤー203は、電子インターフェース装置205に(解放可能に)接続されており、この組み合わせは、ユーザーにより、彼または彼女が走行または歩行などの運動活動を行っている間、着用されているか、そうでなければ携行されている。運動パラメータ測定装置207はまた、ユーザーにより、彼または彼女が運動活動を行っている間、着用または携行されており、ユーザーが行っている運動の成果に関する1つまたは複数の運動パラメータを測定する。運動パラメータ測定装置207は、電子インターフェース装置205に、測定された運動パラメータに対応する信号を伝送する。電子インターフェース装置205は、運動パラメータ測定装置207から信号を受け取り、デジタル音楽プレイヤー203に受け取った情報を与える。」
イ 「【0050】
上記の本発明のいくつかの特定の態様は、デジタル音楽プレイヤー203に関するものであるが、任意の携帯電子装置を用いて本発明の代替例を実施できることを理解すべきである。例えば、本発明のいくつかの実施では、運動パラメータ測定装置207を、携帯電話、腕時計、携帯情報端末、別の種類の音楽プレイヤー(例えばコンパクトディスクもしくは衛星ラジオ音楽プレイヤー)、携帯用コンピュータ、または任意の他の所望の電子装置と組み合わせて使用することができる。さらには、本発明のいくつかの実施では、インターフェース装置205の使用を代わりにまたはさらに省くことができる。例えば、運動パラメータ測定装置207は、短距離無線伝送プロトコル(例えば短距離RF伝送)、長距離伝送プロトコル、有線伝送方法および/またはその組み合わせを使用して通信するように構成することができる。例えば、短距離無線方法は、BLUETOOTH無線通信プロトコルを含み得るものであり、したがってそれをBluetooth対応携帯電話、WiBree、携帯情報端末、腕時計またはパーソナルコンピュータで使用することができる。一般にWiBreeは、低電力消費を伴う短距離トランシーバ能力を与えるデジタルラジオ技術を意味する。1つまたは複数の配置では、WiBreeはBluetoothなどの他のプロトコルを補うことができる。無論、インターフェース装置205を省略しながら、さらに他の無線または有線通信技術を使用する可能性がある。例えば、デジタル音楽プレイヤーもしくは携帯式通信装置(またはその組み合わせ)を、短距離無線または有線方法を通じてセンサまたは測定装置207と直接通信するように構成することができる。」
ウ 「【0051】
理解を容易にするために運動パラメータ測定装置207の特定の例を上記で説明したが、任意の種類の所望の運動パラメータ測定装置207を本発明の各種態様で使用できることも理解すべきである。例えば、本発明のいくつかの実施では、運動パラメータ測定装置207は、心拍数モニタ、血中酸素モニタ、衛星ポジショニング装置(例えばグローバルポジショニング衛星(GPS)ナビゲーション装置)、ユーザーの電気的活動を測定するための装置(例えばEKGモニタ)、またはユーザーの1つもしくは複数の身体パラメータを測定する任意の他の装置であり得る。さらに、運動パラメータ測定装置207は、ユーザーが操縦する何らかの装置の1つまたは複数の操作パラメータ、例えば自転車の速度および/または距離、トレッドミル、ローイングマシン、エリプティカルマシン、または固定自転車が行う速度および/またはワーク、ユーザーが着用するスキー(水中もしくは雪中)、スケート(ローラーもしくはアイス)、またはスノーシューズなどにより移動する速度および/または距離などを測定することができる。」
エ 「【0114】
1つまたは複数の局面によれば、ユーザーは、行った歩数、燃焼カロリー数、移動距離、運動活動を行って費した時間の量などのデータを自己報告することができる。図15は、運動活動データの自己報告に使用可能な携帯式データ収集および表示装置1500を図示する。例えば、ディスプレイ1501はユーザーインターフェース1503を含み得るものであり、これは様々な運動活動のリスト1505を時間のリスト1507と共に含む。ユーザーは、リスト1505および1507をスクロールすることで、行う活動、および時間の長さをそこから選択することができる。平均心拍数、距離、上り勾配/下り勾配などを含む他の運動成果パラメータも、運動成果活動の入力のために選択することができる。次に装置1500は、選択に基づいて燃焼カロリー数を推定し、その推定を部分1509に表示することができる。データの選択および入力を最終決定した時点で、ユーザーは、データをデータベースに入力しかつ/または運動追跡およびモニタリングネットワークサイトに伝送する完了オプション1511を選択することができる。ユーザーが運動成果データを入力可能なディスプレイおよびソフトウェアを操作するために、他の装置を同様に使用することができる。例えば、パーソナルコンピュータまたは携帯情報端末を通じて、ユーザーはデータ入力を行うことができる。」
オ 「【0115】
さらに、所与の期間において運動成果データの概要を表示するように、装置1500を構成することができる。例えば図16は、6月22日に行った運動活動がユーザー用にリスト1601に要約されるユーザーインターフェース1600を図示する。リスト1601は、活動の種類、活動を行って費やした時間、および燃焼カロリー数(実際または推定)を含み得る。さらに、燃焼カロリーの1日の合計1603および燃焼カロリーの1週間の合計1605も表示することができる。運動活動を行った日を同定するために、1週間の日に対応するマーカー1607を与えることができる。次にユーザーは、マーカー1607のうち異なるものを選択することで、様々な日に対して切り替えを行うことができる。運動成果データの表示用に、特定の時間枠に基づいてマーカー1607の数を決定することができる。時間枠は、ユーザーが定義することができ、またはデフォルト(例えば1週間)に基づいて構成することができる。」
カ 「【0142】
図32は、ユーザーが運動活動モニタリングおよび追跡ネットワークサイトにログインした時点で出現し得る運動活動モニタリングインターフェース3200を図示する。インターフェース3200は、図31のページ3100と同様のいくつかの要素を含み得る。例えば、インターフェース3200は目標物体3201、目標概要情報3203および目標トラッカーバー3205を含み得る。インターフェース3200は、ユーザーが現在の目標3209から次の目標、例えば目標3211に進むことを可能にするオプション3207をさらに含み得る。以前の目標が完了するまで、さらなる目標3213?3219は隠されているかまたはロックされていることがある。インターフェース3200は、燃焼したカロリーおよび/または行った歩数の概要を直近の同期から与える同期データセクション3221をさらに含み得る。同期は、運動活動データ収集装置とネットワークサイトとの間での運動ワークアウトデータのアップロード、比較および調整を含み得る。運動活動データ収集装置に記憶された全データおよび/または特定期間に記憶されたデータについて同期を行うことができる。インターフェース3200は、同期されたデータに加えて、ユーザーの最も活動的な日の日付、およびその日の燃焼したカロリーおよび行った歩数などの運動活動データを表示する、最も活動的な日セクション3223を与える。」
キ 「【0176】
図78Bは、別の例示的進捗追跡マップを図示する。この例では、マップは、ユーザーがさらに進むように励ますメッセージを表示することができる。例えば、ユーザーがちょうど120燃料ポイントを得た場合、マップは、行った進捗を示すことができ、次の目標に到達するために得なければならない燃料ポイントの数を示すことでユーザーが次の目標に到達するように励ますことができる。」
ク 「【0190】
図87A?87Cは、目標位置を進むことで得ることが可能な意外なまたは予期しない達成または表彰を図示する。予期しないまたは意外な達成は、進捗マップ上で同定されないかまたはユーザーが事前の知識を有さない達成または目標を含み得る。図87Aの例では、得た燃料の量(カロリーの量から変換される)に対応する食品物体を表す大メダルをユーザーに授与することができる。例えば、クロワッサンについて375カロリーのカロリー当量を使用し、ユーザーが375燃料ポイント(1カロリー=1燃料ポイントの変換率に基づく)を得たと決定した時点で、クロワッサンの大メダルを授与することができる。以前の例で375燃料ポイントを得て、クロワッサンの大メダルを獲得することで、ユーザーは活動をクロワッサン分の燃焼と同等とみなすことができる。別の例では、図87Bはユーザーが別の都市または位置をロック解除したことを示す。この例では、位置のロック解除は、ユーザーがある数の大メダルを得るかまたはある数の目標を完了することを条件とすることができる。ある数の得た燃料ポイント、ある数の完了した位置、および/またはその組み合わせを含む他のロック解除条件も使用することができる。さらに別の例では、図87Cに図示するように、様々な有名人、運動者および/または他の個人の意外なポストカードをユーザーに授与することができる。ポストカードの授与は、目標位置の進行経路内のある地点に到達すること、ある数の目標を完了することなどを条件とすることができる。」
ケ 上記エの記載を踏まえると、図15より、ユーザーにより、運動活動のリストおよび時間のリストから選択された活動の種類および費やした時間が報告されることが看て取れる。
コ 上記オの記載を踏まえると、図16より、活動の種類毎に、費やした時間および燃焼カロリー数が表示されることが看て取れる。
(2) 引用発明1の認定
ア 上記(1)ア,イより、「携帯電子装置」は、ユーザーにより着用されている「運動パラメータ測定装置」と、「BLUETOOTH無線通信プロトコル」による「短距離無線を通じて直接通信」をして、「測定された運動パラメータに対応する信号を伝送」されるものと認められる。
イ 上記(1)イの「本発明のいくつかの特定の態様は、デジタル音楽プレイヤー203に関するものであるが、任意の携帯電子装置を用いて本発明の代替例を実施できることを理解すべきである。例えば、本発明のいくつかの実施では、運動パラメータ測定装置207を・・・携帯情報端末・・・と組み合わせて使用することができる。」との記載、及び、上記(1)エの「携帯情報端末を通じて、ユーザーはデータ入力を行うことができる。」との記載より、上記(1)エ及びケの「ユーザー」による「報告」は「携帯情報端末」すなわち「携帯電子装置」に対して行われると認められる。
ウ 上記(1)キの記載において、「120燃料ポイント」はユーザーが得た燃料ポイントの例示であるところ、引用文献1には、ユーザーが得た燃料ポイントに応じて「マップ」に「行った進捗を示」し、「次の目標に到達するために得なければならない燃料ポイントの数を示すことでユーザーが次の目標に到達するように励ます」ことが記載されていると認められる。
エ 以上より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「携帯電子装置が、
ユーザーにより着用されている運動パラメータ測定装置と、BLUETOOTH無線通信プロトコルによる短距離無線を通じて直接通信をして、測定された運動パラメータに対応する信号を伝送され、
ユーザーにより運動活動のリストおよび時間のリストから選択された活動の種類および費やした時間を報告され、
当該選択に基づいて燃焼カロリー数を推定し、
活動の種類毎に、費やした時間および燃焼カロリー数を表示し、
運動活動モニタリングおよび追跡ネットワークサイトが、
1カロリー=1燃料ポイントの変換率に基づくユーザーが得た燃料ポイントに応じてマップに行った進捗を示し、
次の目標に到達するために得なければならない燃料ポイントの数を示すことでユーザーが次の目標に到達するように励ます、方法。」


第6 対比・判断

1 本願発明1について
(1) 本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「携帯電子装置」は、本願発明1の「第一の装置」に相当する。
イ 引用発明1の「ユーザーにより着用されている運動パラメータ測定装置」は、本願発明1の「ユーザに装着されるように構成された第二の装置」に相当する。
ウ 引用発明1の「測定された運動パラメータ」は、本願発明1の「第一の活動データ」に相当する。
エ 本願発明1の「第一のしきい値至近距離」と引用発明1の「短距離」とは、共に、「第一の装置」と「第二の装置」とが通信可能とされる短い距離である点において共通する。
オ 引用発明1の「携帯電子装置が・・・ユーザーにより着用されている運動パラメータ測定装置と、BLUETOOTH無線通信プロトコルによる短距離無線を通じて直接通信をして、測定された運動パラメータに対応する信号を伝送され」と、本願発明1の「前記第二の装置が前記第一のしきい値至近距離内にあると検出されたことに応じて、前記第二の装置によって送信された第一の活動データを、前記第一の装置で自動的に受信する」とは、通信可能とされる短い距離内にある「前記第二の装置によって送信された第一の活動データを、前記第一の装置で」「受信する」点で共通する。
カ 引用発明1の「活動の種類」は、本願発明1の「第一の活動時間カテゴリ」に相当する。
キ 引用発明1の「ユーザーにより運動活動のリストおよび時間のリストから選択された活動の種類および費やした時間を報告され」は、本願発明1の「第一の活動データが測定された前記1つ以上の活動期間を示すユーザ入力を受信する」に相当する。
ク 引用発明1においては「活動の種類毎に、費やした時間および燃焼カロリー数を表示し」ている以上、「費やした時間」を「活動の種類」に応じて分類していることは明らかであるとともに、一般に「携帯電子装置」がプロセッサを有し当該プロセッサが制御を行うことは技術常識であるから、本願発明1と引用発明1とは「前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザ入力がなされた前記1つ以上の活動期間を、少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類する」という点で共通する。
ケ 引用発明1の「ユーザーが得た燃料ポイント」は、本願発明1の「ユーザによって獲得された活動ポイント数」に相当する。そして、引用発明1においては「ユーザーが得た燃料ポイントに応じてマップに行った進捗を示し」ている以上、「ユーザーが得た燃料ポイント」を判定していることは明らかであるから、本願発明1と引用発明1とは「前記第一の活動データに基づいて、前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数を判定する」という点で共通する。
コ 引用発明1においては「ユーザーにより運動活動のリストおよび時間のリストから選択された活動の種類および費やした時間」に基づいて「燃焼カロリー数を推定し」、これを「1カロリー=1燃料ポイントの変換率」で「燃料ポイント」に変換しているから、「燃料ポイント」は「活動の種類」に基づくものであると認められる。してみると、引用発明1の「ユーザーが得た燃料ポイントに応じてマップに行った進捗を示し・・・ユーザーが次の目標に到達するように励ます」は、本願発明1の「前記ユーザによって獲得された前記活動ポイント数および前記第一の活動期間カテゴリに基づいて第一の運動活動を実行するように・・・勧告する」に相当する。
サ 以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点および相違点は、下記のとおりである。
【一致点】
「ユーザに装着されるように構成された、通信可能とされる短い距離内にある第二の装置によって送信された第一の活動データを、前記第一の装置で自動的に受信するステップと、
前記第一の活動データに基づいて、第一の装置の1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザによって獲得された活動ポイント数を判定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記第一の活動データが測定された前記1つ以上の活動期間を示すユーザ入力を受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサにおいて、前記ユーザ入力がなされた前記1つ以上の活動期間を、少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類するステップと、
前記ユーザによって獲得された前記活動ポイント数および前記第一の活動期間カテゴリに基づいて第一の運動活動を実行するように勧告するステップと、
を含む、方法。」
【相違点1】
本願発明1では「第一の装置において、ユーザに装着されるように構成された第二の装置が第一のしきい値至近距離内にあるか否かを検出」して「前記第二の装置が前記第一のしきい値至近距離内にあると検出されたことに応じて」「第一の活動データを、前記第一の装置で自動的に受信する」のに対して、引用発明1ではそのように自動的に受信することが明示されていない点。
【相違点2】
本願発明1では「ユーザの身体における前記第二の装置の着用位置に基づいて、前記第二の装置から前記ユーザへ提供されるフィードバックを調整する」のに対して、引用発明1ではそもそもユーザへフィードバックを提供していない点。
【相違点3】
本願発明1では「第二の装置の前記着用位置に基づいて、前記第一の活動データを測定するためのアルゴリズムを選択する」のに対して、引用発明1ではそのようにアルゴリズムを選択するか否か不明である点。
【相違点4】
「第一の運動活動を実行するように勧告する」ことについて、本願発明1では「第一の装置の1つ以上のプロセッサ」が行うのに対して、引用発明1では「運動活動モニタリングおよび追跡ネットワークサイト」が行う点。
【相違点5】
「第一の運動活動を実行」することを促すために、本願発明1では「前記第一の運動活動および時間を勧告する」のに対して、引用発明1では「次の目標に到達するために得なければならない燃料ポイントの数を示す」点。
【相違点6】
本願発明1では「第一の活動データが測定された1つ以上の活動期間の間に前記第二の装置から取得した位置情報に基づいて、前記ユーザによって実行された活動のタイプを決定する」のに対して、引用発明1では位置情報に基づいて活動の種類を決定していない点。
(2) 検討・判断
ア 上記相違点2,3,6は、本件補正により本願発明1に追加された発明特定事項に関するものであるところ、最初に相違点2について検討する。
引用発明1は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えていないところ、引用文献2ないし5には、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が記載されていない。してみると、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても容易に想到し得たものとはいえない。
イ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし24について
(1) 本願発明2-11,21-24は、本願発明1を引用するものであって、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-4,8-11,21-24は、引用発明1、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明5,6は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された周知技術、並びに、引用文献4に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明7は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された周知技術、並びに、引用文献5に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本願発明12,17は、本願発明1とカテゴリーは異なるが実質的に同内容の発明であるから、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明12を引用する本願発明13-16、及び、本願発明17を引用する本願発明18-20も、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第7 特許法第36条に関する当審拒絶理由について

1 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について、当審では、下記の拒絶理由を通知した。

【請求項1,12,17について】
請求項1,12,17には「第一の運動活動データセット」および「活動時間」との記載があるが、これらの用語は発明の詳細な説明に記載されていないところ、これらは発明の詳細な説明に記載の何に対応するのかが不明である。
【請求項4,6,14,18について】
請求項4,6,14,18に記載された「運動遂行メトリック」は、発明の詳細な説明に記載の何に対応するのかが不明である。
【請求項8,9について】
請求項8,9に記載された「活動ポイント合計の最大値」は、発明の詳細な説明に記載の何に対応するのかが不明である。
【請求項22,23について】
平成29年5月29日付け意見書において、請求項22,23の発明特定事項に対応する事項は発明の詳細な説明の段落【0165】に記載されていると主張しているが、当該段落【0165】には当該対応する事項の記載が見当たらない。
【結論】
(1) 上記【請求項1,12,17について】のとおり、請求項1,12,17の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。また、同様に、請求項1を引用する請求項2-11,21-24、請求項12を引用する請求項13-16および請求項17を引用する請求項18-20の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2) 上記【請求項4,6,14,18について】のとおり、請求項4,6,14,18の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(3) 上記【請求項8,9について】のとおり、請求項8,9の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(4) 上記【請求項22,23について】のとおり、請求項22,23の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の拒絶理由についての判断
(1) 本件補正により、請求項1,12,17において、「第一の運動活動データセット」は「第一の活動データ」に補正され、「活動時間」は「活動期間」に補正された。そして、発明の詳細な説明の段落【0093】等には「活動データ」との記載があり、これが請求項1、12,17の「第一の活動データ」に対応することは明らかである。また、「活動期間」は発明の詳細な説明の段落【0091】等に記載されている。
よって、上記1【結論】(1)の拒絶理由は解消した。
(2) 本件補正により、請求項4,6,14,18において、「運動遂行メトリック」は「運動遂行メトリクス」に補正された。そして、「運動遂行メトリクス」は発明の詳細な説明の段落【0086】に記載されている。
よって、上記1【結論】(2)の拒絶理由は解消した。
(3) 本件補正により、請求項8,9において、「活動ポイント合計の最大値」は「最高活動ポイント合計」に補正された。そして、「最高活動ポイント合計」は発明の詳細な説明の段落【0230】に記載されている。
よって、上記1【結論】(3)の拒絶理由は解消した。
(4)ア 本件補正により、請求項22において、「第一の活動ポイントインジケータを視覚的に変更する」は、「第一の活動ポイントインジケータの表示を更新する」に補正された。そして、「第一の活動ポイントインジケータの表示を更新する」ことについては、発明の詳細な説明の段落【0165】に記載されている。
イ 本件補正により、請求項23において、「第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、第二の運動活動データセットを前記第二の装置と同期させる」は、「第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、前記第一の活動データを前記第二の装置と同期させる」に補正された。そして、「第一の装置の前記第一の動きを検出したことに応じて、前記第一の活動データを前記第二の装置と同期させる」ことについては、発明の詳細な説明の段落【0165】に記載されている。
ウ よって、上記1【結論】(4)の拒絶理由は解消した。

3 特許法第36条第6項第2号(明確性)について、当審では、下記の拒絶理由を通知した。

【請求項1について】
(1) 請求項1には「第一の運動活動データセット」および「1つ以上の活動時間」との記載があるが、「第一の運動活動データセット」が測定された時間と「1つ以上の活動時間」との関係が規定されておらず、「1つ以上の活動時間」が、「第一の運動活動データセット」が測定された時間に対してずれていることもあり得るところ、両者の関係がどのようなものであるのかが不明確である。
(2) 請求項1には「ユーザ入力を受信するステップ」との記載があるが、「ユーザ入力を受信する」動作の主体が何であるのかが不明確である。
(3) 請求項1には「前記1つ以上の活動時間を、少なくとも第一の活動時間カテゴリに応じて分類する」との記載があるが、「前記1つ以上の活動時間」は、「1つ以上の活動時間を示すユーザ入力を受信する」の「1つ以上の活動時間」を指すと認められるところ、これは「ユーザ入力」された「活動時間」に限定されるということであるのか否かが不明確である。
(4) 請求項1には「少なくとも一部において」との記載があるが、当該「一部」とは何の一部を意味するのかが不明確である。
(5) 請求項1の上から4行目に記載の「第一の運動活動データセット」の「第一の運動活動」と、請求項1の下から3行目に記載の「第一の運動活動」は同じものを指すのか否かが不明確である。
(6) 請求項1には「時間を勧告する」との記載があるが、当該「時間」とは、どのような時間を意味するのかが不明確である。
(7) 請求項1には「第一の運動活動および時間を勧告するステップ」との記載があるが、「第一の運動活動および時間を勧告する」動作の主体が何であるのかが不明確である。
【請求項12について】
上記【請求項1について】(1)、(3)-(6)の点について、請求項12に係る発明は不明確である。
【請求項17について】
上記【請求項1について】(1)-(7)の点について、請求項17に係る発明は不明確である。
【結論】
(1) 上記【請求項1について】のとおり、請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、同様に、請求項1を引用する請求項2-11,21-24の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2) 上記【請求項12について】のとおり、請求項12の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、同様に、請求項12を引用する請求項13-16の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(3) 上記【請求項17について】のとおり、請求項17の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。また、同様に、請求項17を引用する請求項18-20の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

4 特許法第36条第6項第2号(明確性)の拒絶理由についての判断
(1)ア 本件補正により、請求項1に係る発明において、「1つ以上の活動期間」は「第一の活動データが測定された」期間であることが明確になった。
イ 本件補正により、請求項1に係る発明において、「ユーザ入力を受信する」動作の主体が「1つ以上のプロセッサ」であることが明確になった。
ウ 本件補正により、請求項1に係る発明において、「少なくとも第一の活動期間カテゴリに応じて分類」される「前記1つ以上の活動期間」は「前記ユーザ入力がなされた」ものであることが明確になった。
エ 本件補正により、請求項1から、「少なくとも一部において」との記載が削除された。
オ 本件補正により、請求項1において、「第一の運動活動データセット」は「第一の活動データ」に補正されたところ、当該「第一の活動データ」と「第一の運動活動」とは別のものであると認められる。
カ 本件補正により、請求項1において、「時間を勧告する」は「継続時間を勧告する」に補正されたから、どのような時間を指すのかが明確になった。
キ 本件補正により、請求項1に係る発明において、「第一の運動活動および継続時間を勧告する」動作の主体が「1つ以上のプロセッサ」であることが明確になった。
ク よって、上記3【結論】(1)の拒絶理由は解消した。
(2) 上記(1)ア,ウ-カと同様の理由により、上記3【結論】(2)の拒絶理由は解消した。
(3) 上記(1)ア-キと同様の理由により、上記3【結論】(3)の拒絶理由は解消した。


第8 原査定についての判断

1 原査定の理由に引用された引用文献Aは、当審拒絶理由に引用された引用文献1であるから、上記第6 1(1)のとおり、本願発明1と引用文献Aに記載された発明とを対比すると、少なくとも次の相違点がある。

【相違点A】
本願発明1では「ユーザの身体における前記第二の装置の着用位置に基づいて、前記第二の装置から前記ユーザへ提供されるフィードバックを調整する」のに対して、引用発明Aではそもそもユーザへフィードバックを提供していない点。

そして、原査定の理由に引用された引用文献B及びCには、相違点Aに係る本願発明1の発明特定事項は記載されていない。してみると、相違点Aに係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、引用文献Aに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2(1) 本願発明2-11,21-24は、本願発明1を引用するものであって、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明3,8,21-24に係る発明は、引用文献Aに記載された発明ではない。また、本願発明2-4,8-11,21-24は、引用文献Aに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明5-7は、引用文献AないしCに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本願発明12,17は、本願発明1とカテゴリーは異なるが実質的に同内容の発明であるから、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、引用文献Aに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明12を引用する本願発明13、及び本願発明17を引用する本願発明19は、引用文献Aに記載された発明ではない。本願発明12を引用する本願発明13-16、及び、本願発明17を引用する本願発明18-20は、引用文献Aに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、原査定の理由を維持することはできない。


第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-21 
出願番号 特願2016-84524(P2016-84524)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63B)
P 1 8・ 537- WY (A63B)
P 1 8・ 113- WY (A63B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大澤 元成  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
後藤 昌夫
発明の名称 運動機能性を有するウェアラブルデバイスアセンブリ  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ