• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1348362
審判番号 不服2018-4369  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-02 
確定日 2019-01-24 
事件の表示 特願2016- 92814号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月 5日出願公開、特開2016-159175号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月4日に出願した特願2015-42407号の一部を平成28年5月2日に新たな特許出願(特願2016-92814号)としたものであって、平成29年6月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月22日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年12月28日付けで、平成29年12月8日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成30年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年4月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成30年4月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成29年8月22日付け手続補正によって補正された本件補正前の請求項1に、
「遊技枠に設けられ、原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体と、
前記可動体を制御可能な制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記可動体を、前記原点位置で第1発光態様にて発光させると共に、
前記原点位置から前記進出位置に向かって移動する場合、該原点位置における当該可動体の前記第1発光態様を、該第1発光態様に比して輝度が低い第2発光態様に変更又は消灯し、前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行い、
前記可動体の前記特定演出態様として、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出を実行可能であること
を特徴とする遊技機。」とあったものを、

「遊技枠に設けられ、原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体と、
前記可動体を制御可能な制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記可動体を、前記原点位置で第1発光態様にて発光させると共に、
前記原点位置から前記進出位置に向かって移動する場合、該原点位置における当該可動体の前記第1発光態様を、該第1発光態様に比して輝度が低い第2発光態様に変更又は消灯し、前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行い、
前記可動体の前記特定演出態様として、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出を、前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能であること
を特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出」を「前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中に」「実行可能である」とする補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面の【0249】、【0272】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出」を「実行可能」とするのが「前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中」であることに限定するものである。

(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしCは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技枠に設けられ、原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体と、
B 前記可動体を制御可能な制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
B-1 前記可動体を、前記原点位置で第1発光態様にて発光させると共に、
B-2 前記原点位置から前記進出位置に向かって移動する場合、該原点位置における当該可動体の前記第1発光態様を、該第1発光態様に比して輝度が低い第2発光態様に変更又は消灯し、前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行い、
B-3 前記可動体の前記特定演出態様として、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出を、前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能であること
C を特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-105873号公報(平成24年6月7日出願公開、以下「引用例1」という。)には、弾球遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される弾球遊技機に係り、特に、電子抽選の結果を遊技者に示唆または報知することができる可動役物装置を備えた弾球遊技機に関するものである。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の弾球遊技機では、可動体の回転中に背後からの光が光透過部でデジタル的に点滅しているように見せることにより、可動体の回転に連動したライティング演出を行うようにしているが、光を点滅させるだけの単純な発光形態であるため、遊技者に強いインパクトを与えることは困難であった。また、可動体の光透過部に光拡散処理を施してライティング演出効果を高めるようにしているが、光透過部を透過する全ての光が拡散するだけであるため、この点からも遊技者に与えるインパクトは弱いものであった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、インパクトのあるライティング演出を行うことができる弾球遊技機を提供することにある。」
(ウ)「【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明の実施形態例に係る弾球遊技機(パチンコ機)は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された後述する遊技盤3と、本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、ガラス扉4の下側で本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられた前面ボード5と、前面ボード5の右下隅部に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には遊技球を収容する受皿7が設けられている。ガラス扉4の中央部には透明なガラス板8が取り付けられており、遊技盤3の前面はこのガラス板8を通して外部から目視可能となっている。また、ガラス扉4の上部にはスピーカ9が左右に1個ずつ取り付けられており、これらスピーカ9から遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。
・・・略・・・
【0016】
図3に示すように、遊技盤3の前面(盤面)はガイドレール19等によって略円形状に区画され遊技領域20となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受皿7に保留された遊技球を遊技領域20に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域20の上部中央付近には中央役物ユニット21が配設されており、この中央役物ユニット21は、中央部に矩形状の開口22aを有する装飾ケース22と、装飾ケース22の上壁裏側に配設された後述する可動役物装置23とを具備している。また、中央役物ユニット21の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる演出表示装置24が配設されており、この演出表示装置24の表示画面24aは装飾ケース22の開口22aから露出している。
【0017】
装飾ケース22の真下の遊技領域20には上面に入賞孔を有する単純構造の第1始動入賞口25が配設されており、装飾ケース22の右側の遊技領域20には可動片を有する電動チューリップ構造の第2始動入賞口26が配設されている。そして、第1始動入賞口25または第2始動入賞口26に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて演出表示装置24の表示画面24a上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、第2始動入賞口26の上方の遊技領域20には通過チャッカー27が配設されており、遊技球がこの通過チャッカー27を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2始動入賞口26の可動片を一時的に駆動して遊技球の入賞を許可するようになっている。
【0018】
さらに、第1始動入賞口25の右側方の遊技領域20にはアタッカー28が配設されており、このアタッカー28によって内部の大入賞口(図示せず)が覆われている。アタッカー28は、第1始動入賞口25または第2始動入賞口26に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が大当たりの場合、演出表示装置24の表示画面24a上に演出用図柄の変動表示を例えば「777」のように特定図柄で停止させると共に、アタッカー28の開閉扉が複数回繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー28は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。その他、遊技領域20内には、遊技球の流下経路を担う遊技釘29と風車30や、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口31等が配設されており、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口31にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域20の最下端部に設けられたアウト口32から遊技盤19の裏面側に排出されるようになっている。
【0019】
可動役物装置23は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体(役物)の可動態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、前述したように、可動役物装置23は装飾ケース22の上壁裏側に配設されている。図4?図7に示すように、この可動役物装置23は、装飾ケース22の内部にねじ止め等によって固定された横長形状のベース体33と、ベース体33の前面の左右両側に配置された一対の駆動ギア34と、両駆動ギア34を個別に回転駆動する一対のモータ35と、両駆動ギア34の内側に配置された左右一対の回転板36と、両回転板36の間に配置された可動体37と、両回転板36と可動体37とを連結する左右一対のアーム38とによって主に構成されている。
・・・略・・・
【0022】
図4と図5は可動体37が最も上側の初期位置に保持されている状態を示しており、この初期位置において、左右両アーム38は可動体37を介してほぼ一直線の水平姿勢となっている。そして、モータ35を駆動源として両回転板36を一方向へ回転駆動することにより、左右のアーム38の交叉角度が次第にV字状に狭まっていくため、それに伴って両アーム38の連結部38bに連結された可動体37が図7に示す最下位置(動作位置)まで下降する。また、可動体37が動作位置にあるときに両回転板36を他方向へ回転駆動すると、アーム38の交叉角度がV字姿勢から次第に水平姿勢に拡がっていくため、それに伴って可動体37は初期位置まで上昇する。すなわち、左右のモータ35から可動体37に至るまでの動力伝達系、具体的には、モータ35と駆動ギア34と回転板36とアーム38とによって、可動体37を昇降動作させる駆動機構が構成されている。
・・・略・・・
【0028】
このように構成された弾球遊技機において、通常、可動役物装置23の可動体37は演出表示装置24の上方の初期位置に保持されて非動作状態となっており、図3に示すように、可動体37は装飾ケース22の上壁裏側に隠れて演出表示装置24の表示画面24aには出現していない。ここで、まず、図4?図7を参照して可動体37の昇降動作について説明すると、図4と図5に示すように、かかる初期位置で左右両アーム38の先端部近傍はそれぞれストッパ突起39の上面に当接しており、また、左右の回転板36に形成された長孔41はいずれも回転板36の回転中心O(軸40)を介して可動体37の反対側位置にあると共に、両アーム38の先端部に設けられた駆動ピン43は連結部38b(支軸44)と回転板36の回転中心Oとを結ぶ直線L(図5参照)よりも下方位置で長孔41の内側端部に係合している。したがって、両アーム38の連結部38bに連結された可動体37の自重はストッパ突起39によって受け止められ、凸レンズ58群を含む回転装飾体50やその駆動源であるモータ48等を搭載して重量が大きい可動体37であるにも拘わらず、この可動体37を演出表示装置24の上方の初期位置に確実に停止させておくことができる。なお、このように可動体37が初期位置に保持されているとき、ベース体33から突出するボス33aは両アーム38の先端側に形成された鉤形状の逃げ部38a内に位置しており、この逃げ部38aによって回転板36の軸受部であるボス33aと駆動ピン43を有するアーム38の先端部との当接が回避されている。
【0029】
この状態で左右のモータ35を始動して右側の回転板36を図4の反時計方向に回転駆動すると共に、左側の回転板36を図4の時計方向に回転駆動すると、両回転板36の回転運動が長孔41に係合する駆動ピン43を介して左右の両アーム38に伝達され、これら両アーム38が互いの交叉角度を次第に狭めるように可動体37と共に下方へ移動するため、初期位置に保持されていた可動体37が図4から図6の途中状態を経て図7に示す動作位置まで下降する。その際、長孔41の姿勢(長軸の向き)は回転板36の回転角度に応じて変化し、左右の回転板36が図4から図7に示す角度まで回転する間に、長孔41は傾斜姿勢から鉛直姿勢(図6参照)になった後、逆向きに傾斜しながら水平姿勢を経て傾斜姿勢(図7参照)となり、それに伴って駆動ピン43が長孔41内を内側端部から外側端部に向かって移動する。そして、可動体37が図7に示す動作位置まで下降した時点でモータ35を停止すると、図11に示すように、左右のアーム38に吊り下げられた可動体37が装飾ケース22の上壁から落下して表示画面24aの前方に出現する。このとき、両アーム38の上端部(駆動ピン43の周囲)をストッパ突起39に当接させることで可動体37のそれ以上の落下が阻止され、可動体37は図7に示す動作位置に安定的に保持される。
・・・略・・・
【0032】
次に、図8?図10を参照して可動体37の発光動作について説明すると、図11に示すように、可動役物装置23の可動体37が表示画面24aの前方に出現しているときに、第1回路基板49上の各LED55を点灯した状態で回転装飾体50を回転駆動すると、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光を放射することができる。すなわち、モータ48を始動して回転装飾体50を第1回路基板49の前方で回転駆動すると、第1回路基板49上に実装されたLED55の光が回転する回転装飾体50の凸レンズ状光透過部50a(凸レンズ58)と平板状光透過部50bとを交互に透過して前方へ放射される。その際、LED55から出射して平板状光透過部50bに向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部50aに向かう光は収束光となって前方へ放射されるため、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となり、斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【0033】
また、第2回路基板52上に実装された各LED62を点灯動作すると、これらLED62の光が意匠部材51の前面板60と外周板61を透過して前方へ放射されるため、回転装飾体50の中央部に配置された意匠部材51を照光することができる。特に、第1回路基板49上のLED55と第2回路基板52上のLED62とを同時に点灯動作すると、照光する意匠部材51の周囲を回転装飾体50が回転しながら発光するという極めてインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【0034】
以上説明したように本実施形態例に係る弾球遊技機(パチンコ機)では、可動役物装置23に備えられる可動体37の回転装飾体50に凸レンズ状光透過部50a(凸レンズ58)と平板状光透過部50bとが円周方向に沿って交互に配列されており、この回転装飾体50がモータ48を駆動源として第1回路基板49上のLED55の前方位置で回転することにより、LED55の光が凸レンズ状光透過部50aと平板状光透過部50bとを交互に透過して回転装飾体50の前方へ放射されるが、その際、LED55から出射されて平板状光透過部50bに向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部50aに向かう光は収束光となって前方へ放射されるため、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となり、斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。そして、かかる回転装飾体50の動作と演出表示装置24の表示画面24a上における変動表示とに関連性を持たせ、例えば、リーチや擬似連等の変動表示に合わせて回転装飾体50を動作させて大当たりとなる期待度が高くなるように設定すれば、インパクトのあるライティング演出と相俟って遊技者の遊技機への印象を強くすることができ、興趣性を高めることができる。
【0035】
また、回転装飾体50が中央部に開口を有するリング状に形成されていると共に、第1回路基板49を支持する支持ベース45に回転装飾体50の開口を覆う意匠部材51が固定されており、この意匠部材51と支持ベース45とによって回転装飾体50が回転可能に支持されているため、リング状の回転装飾体50が意匠部材51の周囲を回転しながら発光するというライティング演出を実現できると共に、意匠部材51を回転装飾体50の回転用ガイド部材として機能させることができる。
【0036】
さらに、可動体37の支持ベース45にアーム38が連結されており、このアーム38の回動によって回転装飾体50が演出表示装置24の上方から前方に落下するようになっているため、回転装飾体50を演出表示装置24の落下位置(動作位置)で回転発光させたり、上方位置(初期位置)と落下位置の途中で回転発光させるなど、回転装飾体50の昇降位置とライティング演出を組み合わせたインパクトの強い演出効果を発揮することができる。なお、可動体37が初期位置で装飾ケース22の上壁裏側に隠れている場合でも回転装飾体50は回転発光できるようになっており、かかる初期位置で回転装飾体50が回転発光している様子は装飾ケース22の意匠構造物を通して認識できるようになっている。また、上記した回転装飾体50の発光回転による演出動作の他に、回転装飾体50が発光回転を伴わずに動作位置に出入するだけの演出動作や、回転装飾体50が動作位置で発光しないで回転するだけの演出動作も行うようにし、これら各動作態様との間で大当たりとなる期待度に変化を持たせるようにすると、興趣性をより一層高めることができる。この場合、回転装飾体50を動作位置で発光回転させる動作形態が最も期待度の高いものであるとすれば、回転装飾体50が動作位置で発光回転した時点で、遊技者は大当たりになった可能性が高いと認識することができる。」
(エ)「【図3】

・・・略・・・
【図11】


(オ)上記(ア)ないし(エ)からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしcについては本願補正発明のAないしCに対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 遊技盤3の装飾ケース22の上壁裏側に配設された可動役物装置23に備えられ、最も上側の初期位置と、最下位置であり演出表示装置24の表示画面24aの前方に出現する位置である動作位置とに昇降動作し、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光を放射することができる可動体37(【0016】、【0019】、【0022】、【0028】、【0029】、【0032】)を備え、
b-1’可動体37が初期位置で装飾ケース22の上壁裏側に隠れている場合でも回転装飾体50を回転発光させ(【0036】)、
b-2’回転装飾体50を演出表示装置24の落下位置(動作位置)で回転発光させたり、上方位置(初期位置)と落下位置の途中で回転発光させ(【0036】)、
b-3’特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆することができ、回転装飾体50を動作位置で発光回転させた時点で、遊技者は大当たりになった可能性が高いと認識することができる(【0019】、【0036】)、
c 弾球遊技機(【0014】)。」(以下「引用発明」という。)

イ 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-170603号公報(平成24年9月10日出願公開、以下「引用例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部と、該ベース部に対して移動可能に設けられた可動部と、該可動部を第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で駆動させる駆動手段と、を有する演出装置を備える遊技機に関する。」
(イ)「【実施例】
【0015】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
・・・略・・・
【0018】
遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット(図示略)が一体的に組み付けられている(図2参照)。
【0019】
遊技盤ユニット310は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体(図示略)と、該装飾体の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
【0020】
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。」
(ウ)「【図1】


(エ)「【0066】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0067】
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
・・・略・・・
【0071】
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して駆動モータ503a,503b、装飾用ソレノイド553に対して駆動信号を出力する。また、演出制御用CPUは、入力ポートを介して可動センサ507a,507bからの検出信号を取得する。
【0075】
図4?図6に示すように、演出装置500は、ベース部を構成する左右のベース部材501a,501bと、ベース部材501a,501bに対して移動可能に設けられた可動部を構成する可動部材502a,502bと、可動部材502a,502bを駆動させる駆動手段としての駆動モータ503a,503bと、右側の可動部材502bの前面側に該可動部材502bを隠蔽するように配設される装飾ユニット504(図6参照、図4,5では図示略)と、から主に構成される。
・・・略・・・
【0104】
次に、このように構成された演出装置500の作用を、図面にもとづいて説明する。
【0105】
図4に示すように、可動部材502a,502bは、可動演出部520bが垂直板部505bの前面側に重畳するように起立姿勢で配置され、開口内に配置される演出表示装置9の表示画面(図示略)から側方の装飾部材552a?552cの背面側に退避して該装飾部材552a?552cにより遊技者側から視認し難くまたは視認不能に隠蔽される隠蔽位置と(図4(a)参照)、可動演出部520bが開口内に配置される演出表示装置9の表示画面(図示略)側に突出して現出され、該表示画面に重畳するように配置される現出位置(図4(b)参照)との間で、回動軸506a,506bを中心として往復回動可能に設けられている。
【0106】
そして、駆動モータ503a,503bによりピニオンギヤ510a,510bが回転駆動されることにより、従動ギヤ528bを介して可動部材502a,502bが回動する。尚、各可動部材502a,502bに対応して駆動モータ503a,503bが別個に設けられているので、いずれか一方の駆動モータ503a,503bにより一方の可動部材502a,502bのみ駆動したり、双方の駆動モータ503a,503bにより双方の可動部材502a,502bを連動することも可能である。
【0107】
また、現出位置において、左右の可動部材502a,502bは前後に配置され、互いの可動演出部520bが演出表示装置9の前面側で正面視略X状に交差するため、左右の可動部材502a,502bが別個に可動するだけのものに比べて演出効果が向上される。」
(オ)「【図4】


(カ)「【0151】
このように、可動部材502bが隠蔽位置に位置したときに、該可動部材502bの少なくとも発光部である各レンズ部材532a?532cの前面側が枠側装飾部11a及び装飾部材552a?552cにより遊技者側から視認不能に隠蔽されるとともに、透光ベース550に設けられる装飾部材552a?552cからなる装飾部を、可動部材502bに設けられた可動LED530a?530cの光により装飾することができるようになっている。
・・・略・・・
【0153】
ここで、このように構成された演出装置500における発光態様の一例を、図19のタイミングチャートとにもとづいて、図16?図18に示す概略図を参照しながら説明する。尚、図16?図18では各部材が概略的に示されている。
【0154】
まず、通常時においては、装飾LED557(557a)、サイドLED555、可動LED530a?530cは消灯されており、特別図柄の変動表示が開始されたことにもとづいて、例えば装飾LED557が発光するようになっている(図16(a)参照)。
【0155】
そして、変動表示が開始された後、リーチが成立した場合、装飾LED557が消灯した後(図16(b)参照)、これに替わり背面側の装飾LED557a(図示略)及びサイドLED555が点灯し(図16(c)参照)、さらに可動LED530a?530cが点灯する。このように段階的に点灯していくことでスーパーリーチへ発展することに対する期待感を煽る(図17(d)参照)。尚、このとき可動LED530a?530cは例えば単色が点灯される。
【0156】
次いで、サイドLED555及び可動LED530a?530cが消灯すると同時に駆動モータ503bがonになり、可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて駆動される(図17(e)参照)。そして現出位置に到達して駆動モータ503bがoffになると同時に、サイドLED555及び可動LED530a?530cが再び点灯する(図17(f)参照)。このとき可動LED530a?530cは例えば複数色が交互に点灯される。
【0157】
また、ここでは左側の可動部材502aは図示されていないが、図4(b)にて説明したように、現出位置において左右の可動部材502a,502bが略X字状に交差するが、このとき中段のレンズ部材532b同士が前後に重畳されるため、前面側のレンズ部材532bに対応する可動LED530bを、上段や下段の可動LED530a,530bとは異なる発光態様にて発光させることで、前後の重畳状態を際立たせることができる。
【0158】
現出位置に到達してから所定時間が経過したら、駆動モータ503bがonになって可動部材502bが現出位置から隠蔽位置に向けて駆動される(図18(g)参照)。そして、隠蔽位置に到達する直前で、サイドLED555及び可動LED530a?530cが消灯され(図18(h)参照)、隠蔽位置に到達して駆動モータ503bがoffになると同時に、装飾LED557が点灯し、変動表示はスーパーリーチに発展する。
【0159】
このように、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて移動を開始する直前や、隠蔽位置に到達する直前において、可動LED530a?530cを消灯するので、可動LED530a?530cが隠蔽位置から次第に遠ざかって装飾部材552a?552cの光が徐々に弱まったり、可動LED530a?530cが隠蔽位置に到達してないのに装飾部材552a?552cが光ることにより、遊技者に違和感を与えることがない。
【0160】
また、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置するとき(図17(d)参照)と現出位置に位置するとき(図17(f)参照)とで、可動LED530a?530cを異なる発光態様で発光させることで、現出位置で発光する場合と隠蔽位置で発光する場合とで発光態様が変わるため、印象を異ならせることができる。
【0161】
尚、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置するときと現出位置に位置するときとで、光の輝度、LEDの発光数、発光時間、発光間隔(点滅)、発光色、明度等のうち少なくともいずれか1つを異ならせることで印象が変わるようにしてもよい。
【0162】
尚、ここでは特別図柄の変動表示に伴う装飾ユニット504及び枠側装飾部11aの発光状況の一例を説明したが、非変動表示中(待機状態も含む)や大当り遊技状態中等他の遊技状態においても、装飾ユニット504及び枠側装飾部11aは発光可能である。
【0163】
以上説明したように、演出装置500にあっては、可動部材502bが隠蔽部である枠側装飾部11a及び装飾部材552a?552cにより隠蔽されたときに、可動部材502bに設けられた可動LED530a?530cからの光が装飾部材552a?552cの背面である光導入部に入射可能となることで、可動LED530a?530cにより装飾部材552a?552cを発光させることができるため、可動部材502bが隠蔽されたときでも該可動部材502bの可動LED530a?530cを有効に利用して装飾部材552a?552cを発光させることができる。」
(キ)「【図17】

・・・略・・・
【図19】


(ク)上記(ア)ないし(キ)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。
「遊技盤6の遊技領域7の中央付近に設けられた演出表示装置9の表示画面から側方の装飾部材552a?552cの背面側に退避して該装飾部材552a?552cにより遊技者側から視認し難くまたは視認不能に隠蔽される隠蔽位置と、可動演出部520bが演出表示装置9の表示画面側に突出して現出され、該表示画面に重畳するように配置される現出位置との間で、回動軸506bを中心として往復回動可能に設けられ、隠蔽位置から現出位置に向けて移動を開始する直前や、隠蔽位置に到達する直前において消灯する可動LED530a?530cを設けた可動部材502b(【0018】、【0020】、【0105】、【0156】、【0159】)と、
可動部材502bを駆動させる駆動手段としての駆動モータ503bに対して駆動信号を出力するとともに、可動部材502bが隠蔽位置に位置するときと現出位置に位置するときとで、光の輝度、LEDの発光数、発光時間、発光間隔(点滅)、発光色、明度等のうち少なくともいずれか1つを異ならせる、演出制御用マイクロコンピュータ(【0067】、【0161】)と、
を備え、
前記演出制御用マイクロコンピュータは、
変動表示を開始させた後、リーチが成立した場合、装飾LED557を消灯させた後、これに替わり背面側の装飾LED557a及びサイドLED555を点灯させ、さらに可動LED530a?530cを隠蔽位置で点灯させるように、段階的に点灯させていくことでスーパーリーチへ発展することに対する期待感を煽り(【0155】、【図19】)、
点灯していた可動LED530a?530cを消灯させると同時に可動部材502bを隠蔽位置から現出位置に向けて駆動させ、現出位置に到達すると同時に、可動LED530a?530cを再び点灯させる(【0156】)、
パチンコ遊技機1(【0015】)。」(以下「引用例2の記載事項」という。)

ウ 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-33704号公報(平成26年2月24日出願公開、以下「引用例3」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の枠に突出して設けられる演出装置を備える遊技機に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機では、仕切り板は揺動可能に軸着して設けられるので耐久力や収容力が乏しく、仕切り板には放音装置、発光装置、表示装置及び排煙装置のいずれかが設けられるのみである。放音装置、発光装置又は表示装置による画一的な演出はインパクトが弱く、遊技者も飽きており演出効果が低い。また、排煙装置は煙草の煙を外に送るだけなので演出効果が全くない。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、演出効果を高めることができる遊技機を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0505】
〔突出演出ユニット-第1及び第2突出表示装置〕
図64は、本発明の第3の実施の形態の変形例1の突出演出ユニット200の演出態様の一例を示す図であり、(A)は突出演出ユニット200の上面図の態様変化例、(B)は突出演出ユニット200の右側面図の態様変化例を示す。
【0506】
図64(A)及び(B)に示すように、第3の実施の形態の変形例1の突出演出ユニット200は、第3の実施の形態の表示器ユニット(第1突出表示装置)230の内部に前方にスライドして延びるスライド突出表示器(第2突出表示装置)240を備える。突出演出ユニット200は、通常状態では第1突出表示装置230のみで機種キャラクタを表示するが、所定条件が成立した場合には第2突出表示装置240及び第1突出表示装置230でも同様に機種キャラクタを表示する。このとき表示される機種キャラクタは第2突出表示装置240の突出前後で変形して表示される。」
(エ)「【図64】


(オ)「【0526】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の遊技機1は、第3の実施の形態の遊技機1をベースとし、突出演出ユニット200に外側表示器231を有する表示器ユニット230と、遊技盤30の遊技領域31の前方を横断可能な枠側可動役物250とを備える。
【0527】
以下、本発明の第4の実施の形態について、図68?図72を参照して説明する。図68は、本発明の第4の実施の形態の遊技機1について説明する図である。図68(A)は遊技機1の上面図であり、図68(B)及び(C)は遊技機1の正面図であり、突出演出ユニット200の枠側可動役物250の動作態様を示す。
【0528】
第4の実施の形態の突出演出ユニット200は、図68(A)及び(B)に示すように内部に枠側可動役物250を収納する。枠側可動役物250は、クリア部材保持枠5の上スピーカー7aの下方から操作ハンドル14の上方まで上下方向に設けられ、下端には回動軸部251が固定して配設される。そして、回動軸部251の枠側可動役物駆動モータ252(図70参照)が駆動すると、図68(C)に示すように枠側可動役物250が遊技者に視認可能に出現し、遊技領域31の前方を横切るように動作する。
【0529】
なお、本実施の形態の遊技機1は、センターケース35に枠側可動役物250と同様の動作を行う盤側可動役物255を備え、枠側可動役物250と関連した演出を実行する。図69?図72では、枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作について説明する。
【0530】
図69は、本発明の第4の実施の形態の遊技機1の正面図であり、(A)?(C)は枠側可動役物250及び盤側可動役物255の演出態様を示す。
【0531】
図69(A)に示すように、静止状態において枠側可動役物250は突出演出ユニット200の内部に収納され、盤側可動役物255もセンターケース35の内部に収納され、双方の可動役物は遊技者から視認されない。
【0532】
そして、図69(B)に示すように、所定のタイミングでまず盤側可動役物255が回動軸部256を中心に反時計まわりに回動されて表示装置36の前方に出現する演出が実行される。このとき枠側可動役物250は突出演出ユニット200の内部に収納された状態である。
【0533】
その後、図69(C)に示すように、表示装置36の前方で盤側可動役物255が停止し、次に枠側可動役物250が回動軸部251を中心に反時計まわりに回動されて表示装置36の前方を横切る演出が実行される。このとき枠側可動役物250は、クリア部材保持枠5に設けられているので、盤側可動役物255よりも前方で動作し、盤側可動役物255の回動よりも大きく回動する。
【0534】
続いて、突出演出ユニット200及び盤側可動役物255の制御について説明する。図70は、本発明の第4の実施の形態の演出制御装置700の構成のうち第1の実施の形態(図5)と異なる構成についてのみ説明する簡易ブロック図である。
【0535】
演出制御装置700には、枠側可動役物250の回動軸部251に設けられる枠側可動役物駆動モータ252の初期位置を検出する第1枠側可動役物位置検出センサ250aのオン/オフ状態、動作完了位置を検出する第2枠側可動役物位置検出センサ250bのオン/オフ状態を検出した検出信号が入力される。そして、演出制御装置700は、検出信号に基づいて枠側可動役物250を回動する枠側可動役物駆動モータ252を駆動制御する。同様に、演出制御装置700には、盤側可動役物255の回動軸部256に設けられる盤側可動役物駆動モータ257の初期位置を検出する第1盤側可動役物位置検出センサ255aのオン/オフ状態、動作完了位置を検出する第2盤側可動役物位置検出センサ255bのオン/オフ状態を検出した検出信号が入力される。そして、演出制御装置700は、検出信号に基づいて盤側可動役物255を回動する盤側可動役物駆動モータ257を駆動制御する。なお、演出制御装置700は、突出演出ユニット(突出表示装置)200の外側表示器231に表示する映像の制御も行う。
【0536】
ここで、枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作に係る制御処理は、演出制御装置700の主制御用マイコン(1stCPU)710によって実行される。また、外側表示器231の表示内容に係る映像制御処理は、演出制御装置700の映像制御用マイコン(2ndCPU)720によって実行される。
【0537】
図71は、本発明の第4の実施の形態の枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【0538】
図69(A)?(C)の動作態様で前述したように、第4の実施の形態では、枠側可動役物250の動作の前に盤側可動役物255を動作させる。そして、盤側可動役物255の動作が停止した後に、枠側可動役物250の動作が開始する。
【0539】
〔枠/盤可動役物制御処理〕
図72は、本発明の第4の実施の形態の枠/盤可動役物制御処理について説明する図であり、(A)は手順を示すフローチャート、(B)はフローチャートで用いるテーブルの一例を示す。
【0540】
遊技装置球制御処理は、前述のモータ/SOL制御処理(S2117)の一つであり、演出制御装置700の主制御用マイコン(1stCPU)710によって実行される。ここでは、遊技状態に応じて枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作の有無を設定する。
【0541】
主制御用マイコン(1stCPU)710は、まず、大当りが発生したか否かを判定する(S7201)。そして大当りが発生しない場合には(S7201の結果が「N」)、Aテーブル(図72(B))を参照して可動役物の動作を決定し(S7202)、枠/盤可動役物制御処理を終了する。
【0542】
一方、主制御用マイコン(1stCPU)710は、大当りが発生する場合には(S7201の結果が「Y」)、確率変動状態が発生するか否かを判定する(S7203)。
【0543】
そして、主制御用マイコン(1stCPU)710は、確率変動状態が発生しない場合には(S7203の結果が「N」)、Bテーブル(図72(B))を参照して、可動役物の動作を決定し(S7204)、枠/盤可動役物制御処理を終了する。
【0544】
また、主制御用マイコン(1stCPU)710は、確率変動状態が発生する場合には(S7203の結果が「Y」)、Cテーブル(図72(B))を参照して、可動役物の動作を決定し(S7205)、枠/盤可動役物制御処理を終了する。
【0545】
図72(B)に示すように、Aテーブル、Bテーブル及びCテーブルでは、枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作パターンに「共に動かず」、「盤側のみ動作」、「枠側のみ動作」及び「共に動作」の4パターンを設定し、各パターンの振り分け割合を設定している。
【0546】
Aテーブルは、90%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が動かない。また、大当りかつ確率変動状態が発生する場合に用いられるCテーブルは、60%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動く。Cテーブルで共に動かない割合は1%である。そして、大当りが発生しても確率変動状態は発生しない場合に用いられるBテーブルは、30%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動く。Bテーブルで共に動かない割合は35%である。このように、遊技状態が遊技者にとって有利な状態になるほど、枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動く演出が実行される確率が高くなる。
【0547】
(本発明の第4の実施の形態の効果)
本発明の第4の実施の形態によれば、遊技情報に応じて突出演出ユニット200の内側から枠側可動役物250が出現するので、遊技の興趣を高めることができる。また、枠側可動役物250は、遊技盤30のセンターケース35に設けられる盤側可動役物255の動作と関連して、盤側可動役物255の動作後に出現して表示装置36の前方を横切る。センターケース35だけでなくクリア部材保持枠5からも可動役物が出てきて2段階の動作演出が実行されるので、遊技者の意表を突くことができ、遊技の興趣を高めることができる。
【0548】
また、枠側可動役物250は演出制御装置700によって制御されるので、遊技盤30に依存した演出が可能である。また、遊技者は枠側可動役物250及び盤側可動役物255の動作から遊技情報を判断することができるので、より動作演出に関心を持たせることができる。」
(オ)「【図69】

・・・略・・・
【図72】


(カ)「【0571】
(本発明の第4の実施の形態の変形例4)
本発明の第4の実施の形態の変形例4の遊技機1は、第4の実施の形態の枠側可動役物250を備え、変形例4の枠側可動役物250の先端にはLED発光する表示器258が設けられる。
【0572】
以下、本発明の第4の実施の形態の変形例4について、図77及び図78を参照して説明する。図77は、本発明の第4の実施の形態の変形例4の遊技機1の正面図であり、(A)は枠側可動役物250の演出態様、(B)は表示器258の側面図を示す。
【0573】
図77(A)に示すように、遊技中において枠側可動役物250は突出演出ユニット200に収納された状態である。このとき遊技機1の上右角には、枠側可動役物250の先端に設けられる表示器258が遊技者から視認可能に配置される。表示器258には「愛」が表示されている。そして、デモ中になると枠側可動役物250は回動軸部251を中心に反時計まわりに回動して表示器258が遊技領域31の第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38周辺を被覆する位置で停止する。このとき表示器258には「節電中」が表示される。なお、表示器258は図77(B)に示すように遊技者から視認可能な表示面258aと、表示面258aの後方にLED基板258bと、を備える。表示器258で表示される内容はLEDの発光色に応じて異なり、例えば「愛」は赤色で表示され「節電中」は青色で表示される。」
(キ)「【図77】


(ク)上記(ア)ないし(キ)からみて、引用例3には、第4の実施の形態として、次の事項が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。
「遊技機の枠に遊技盤30の遊技領域31の前方を横断可能な枠側可動役物250を突出して設け、センターケース35に枠側可動役物250と同様の動作を行う盤側可動役物255を備え(【0001】、【0526】)、
枠側可動役物250の先端にはLED発光する表示器258が設けられ(【0571】、【0573】)、
遊技中において枠側可動役物250は突出演出ユニット200に収納された状態で、表示器258には赤色で「愛」が表示され、デモ中になると枠側可動役物250は表示器258が遊技領域31の第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38周辺を被覆する位置で停止し、このとき表示器258には青色で「節電中」が表示され(【0573】、【0577】)、
大当りが発生しない場合、90%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が動かず、大当りが発生しても確率変動状態は発生しない場合、30%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動き、20%の割合で枠側可動役物250のみ作動し、
大当りかつ確率変動状態が発生する場合、60%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動き、20%の割合で枠側可動役物250のみ作動するというように、遊技状態が遊技者にとって有利な状態になるほど、枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動く演出が実行される確率が高くなる(【0541】、【0545】、【0546】、図72)、
遊技機(【0001】)。」(以下「引用例3の記載事項」という。)

エ 原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願出願遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-217593号公報(平成26年11月20日出願公開、以下「引用例4」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の遊技機では、枠ランプを順次発光させる示唆演出では演出のインパクトが小さく、遊技者の注目を集められずに遊技興趣を低下させてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、遊技興趣の低下を抑制することのできる遊技機の提供を目的とする。
・・・略・・・
【0010】
このような構成によれば、可動役物が動作することで遊技枠による演出の注目度を向上させることができ、遊技興趣の低下を抑制することができる。」
(ウ)「【0077】
この実施の形態では、リーチ演出あるいは「滑り」や「擬似連」などの可変表示演出とは異なり、左右の遊技用枠3に設置された可動物99を駆動させることにより、飾り図柄の可変表示結果が「大当り」となることなどを遊技者に示唆する示唆演出が実行される。示唆演出は、詳しくは後述するが、左右の遊技用枠3の下方に設置された可動物99を遊技用枠3上方との間で駆動させる演出である。なお、示唆演出は、遊技者によるプッシュボタン31Bの操作が行われたことが検知されたタイミングで実行される。すなわち、プッシュセンサがプッシュボタン31Bに対してなされた遊技者の操作行為を検知したタイミングで、例えば可動物モータに駆動信号を伝送し、可動物99を駆動させることで示唆演出が実行される。なお、示唆演出の実行前のプッシュボタン31Bの操作(ボタン操作)を有効とする有効期間には、遊技者にプッシュボタン31Bの操作を促す画像を画像表示装置5に表示させる演出(ボタン表示演出)が行われる。この実施の形態では、例えば、ボタン表示の表示期間が、実際のボタン有効期間よりも0.2秒前に終了するように設定している。通常、遊技者はボタン表示の表示期間がプッシュボタン31bの操作の有効期間であると認識し、ボタン表示が画像表示装置5から消える以前にプッシュボタン31Bを操作しようと試みる。しかしながら、遊技者がボタン表示が画像表示装置5から消える直前にプッシュボタン31Bを操作したと認識した場合であっても、実際にプッシュボタン31Bが操作されたのはボタン表示の表示期間が過ぎた後である場合がある。このようなケースで、仮にボタン表示の表示期間の終了時と、プッシュボタン31Bのボタン有効期間の終了時が合致しているとすると、遊技者は、「ボタン有効期間内にプッシュボタン31Bを操作したにもかかわらず、演出が実行されない」と誤解して、遊技の興趣が減退するという問題がある。本実施形態のように、ボタン有効期間よりも前にボタン表示を終了させることで、実際のボタン有効期間内に遊技者がプッシュボタン31Bを操作する可能性が高まり、興趣の減退を防止することができる。
・・・略・・・
【0218】
図14に戻り、ステップS953の処理を実行した後、または、ステップS952にて示唆演出を実行しないと決定された場合(ステップS952;No)、示唆演出実行設定処理を終了する。ステップS951およびステップS953の処理により、可変表示結果が「大当り」となる場合には、可変表示結果が「ハズレ」となる場合よりも高い割合で示唆演出が実行されることとなり、かつ、第2位置まで上昇させる態様の示唆演出が実行されることとなる。なお、図15および図16に示す例では、可変表示結果が「大当り」となるか「ハズレ」となるかに応じて、示唆演出の実行有無や実行態様の決定割合が異なる例を示したが、例えば、可変表示結果が「大当り」となる場合、さらに大当り種別が「非確変」であるか「確変」であるかに応じて示唆演出の実行有無や実行態様の決定割合が異なるようにしてもよい。
・・・略・・・
【0231】
(変形例1)
上記実施の形態では、示唆演出が可変表示結果が「大当り」となることなどを遊技者に示唆する演出である例を示したが、これは一例である。示唆演出は、例えば、「潜伏確変状態」であることを遊技者に報知するようにしてもよい。ここで、「潜伏確変状態」とは、確変制御が行われているか否かを遊技者が認識不可能または認識困難な遊技状態である。この「潜伏確変状態」では、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」である場合と、可変表示結果が「小当り」である場合とに対応して、短期開放大当り状態または小当り遊技状態が終了した後に、確変制御が行われる確変状態といった特別遊技状態であるか否かにかかわらず、共通の背景画像を表示することなどにより、確変制御が行われているか否かを遊技者が認識不可能または認識困難とする。そして、示唆演出にて「潜伏確変状態」であることなどを報知する場合には、確変制御開始後予め定められた回数の可変表示が行われた後に、示唆演出により可動物が動作すればよい。また、当該示唆演出と同時に「確変制御中」などのメッセージが遊技者に視認可能となるようにしてもよい。
・・・略・・・
【0241】
また、示唆演出は、可変表示結果が「大当り」となることを示唆する演出でなく、スーパーリーチのリーチ演出が行われることを示唆する演出であってもよい。また、示唆演出は、大当り遊技状態の開始時や大当り遊技状態におけるラウンドの実行中、大当り遊技状態においていずれかのラウンドが終了してから次のラウンドが開始されるまでの期間、大当り遊技状態において最終のラウンドが終了してから次の可変表示ゲームが開始されるまでの期間などにて、確変状態に制御するか否かの確変報知演出となる大当り中昇格演出として実行されるようにしてもよい。さらに、示唆演出は、再抽選演出における再抽選当選演出として実行されるようにしてもよい。また、示唆演出は、例えば、時短制御が行われることを示唆する演出であってもよく、また、賞球の払い出しとは関係なく、例えば、遊技者が所有する端末装置(携帯端末)などで読み取り可能な2次元コードを表示することを示唆する演出であってもよい。遊技者は、この端末装置を用いて管理サーバにアクセスすることにより、例えば所定のデジタルコンテンツを取得すればよい。このように、示唆演出は、遊技者が所定の特典を付与されることを示唆する演出であってもよい。
・・・略・・・
【0248】
(変形例6)
上記実施の形態では、示唆演出が実行されると左右の遊技用枠3に設けられた可動物99が動作する例を示したが、例えば、可動物99内に発光ランプを設け、示唆演出が実行され可動物99が動作すると当該発光ランプが発光する(発光演出を実行する)ようにしてもよい。また、例えば、可変表示結果が「大当り」となるか否かに応じて発光演出における色を異ならせてもよい(例えば「大当り」となるときは「赤」、「ハズレ」のときは「緑」など)。これによれば、示唆演出が実行されると、可動物99の動作と発光演出とが実行されることとなり、遊技用枠3における遊技者の注目をより集めることができる。なお、発光ランプは、遊技用枠3内に設けられていれば、可動物99内に設けられていなくてもよい。」

(エ)上記(ア)ないし(ウ)からみて、引用例4には、次の事項が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。
「左右の遊技用枠3に設置され、駆動されることにより、飾り図柄の可変表示結果が「大当り」となることなどを遊技者に示唆する示唆演出を実行する可動物99(【0077】)と、
可動物99が動作すると、該可動物99内に設けられた発光ランプが発光する発光演出を実行するものであり、可変表示結果が「大当り」となるか否かに応じて発光演出における色を異ならせてもよく(【0248】)、
可変表示結果が「大当り」となる場合、さらに大当り種別が「非確変」であるか「確変」であるかに応じて示唆演出の実行有無や実行態様の決定割合が異なるようにしてもよく、また、確変制御が行われているか否かを遊技者が認識不可能または認識困難な遊技状態である「潜伏確変状態」であることを示唆演出で遊技者に報知するようにしてもよく、さらに、示唆演出が、大当り遊技状態の開始時や大当り遊技状態におけるラウンドの実行中、大当り遊技状態においていずれかのラウンドが終了してから次のラウンドが開始されるまでの期間、大当り遊技状態において最終のラウンドが終了してから次の可変表示ゲームが開始されるまでの期間などにて、確変状態に制御するか否かの確変報知演出となる大当り中昇格演出として実行されるようにしてもよい(【0218】、【0231】、【0241】)、
パチンコ遊技機(【0001】)。」(以下「引用例4の記載事項」という。)

(3)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(c)は、本願補正発明のAないしCに対応させている。

(a)引用発明の「初期位置」、「最下位置であり演出表示装置24の表示画面24aの前方に出現する位置である動作位置」、「回転」、「強弱に調光された光を放射すること」及び「可動体37」は、それぞれ、本願補正発明の「原点位置」、「進出位置」、「所定の態様の動作である演出動作」、「発光」及び「可動体」に相当する。
また、引用発明は、初期位置(原点位置)と最下位置である動作位置(進出位置)とに昇降動作し、回転(演出動作)中の回転装飾体50から強弱に調光された光を放射すること(発光)ができるもの、すなわち、回転(演出動作)と光の放射(発光)とを組み合わせた演出ができるものである。
そうすると、引用発明の「a 遊技盤3の装飾ケース22の上壁裏側に配設された可動役物装置23に備えられ、最も上側の初期位置と最下位置である動作位置とに昇降動作し、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光を放射することができる可動体37」と、本願補正発明の「A 遊技枠に設けられ、原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体」とは、「A’原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体」である点で一致する。

(b)引用発明は、特定事項b-1’ないしb-3’のように、特別図柄に係る電子抽選の結果を示唆するために、可動体37を昇降動作させたり、可動体37の回転装飾体50を回転発光させることができるものであるから、技術常識からみて、可動体を制御するための何らかの手段を備えるものである。そうすると、引用発明が、本願補正発明の「B 前記可動体を制御可能な制御手段」を備えることは明らかである。

(b-1)引用発明は、特定事項b-1’のように、可動体37(可動体)が初期位置(原点位置)で装飾ケース22の上壁裏側に隠れている場合でも、回転装飾体50が回転発光するものであるから、引用発明の特定事項b-1と、本願補正発明の「B-1 前記可動体を、前記原点位置で第1発光態様にて発光させる」とは、「B-1’前記可動体を、前記原点位置で発光させる」点で一致する。

(b-2)引用発明は、特定事項b-2’のように、回転装飾体50を演出表示装置24の動作位置(進出位置)で回転発光させるものであるから、引用発明の特定事項b-2’と、本願補正発明の「B-2 前記原点位置から前記進出位置に向かって移動する場合、該原点位置における当該可動体の前記第1発光態様を、該第1発光態様に比して輝度が低い第2発光態様に変更又は消灯し、前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行」うこととは、「B-2’前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行う」点で一致する。

(c)引用発明の「弾球遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A’原点位置と進出位置との間の移動と、所定の態様の動作である演出動作と、発光と、のうちの複数の組み合わせにより特定演出態様を実行可能に構成された可動体と、
B 前記可動体を制御可能な制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
B-1’前記可動体を、前記原点位置で発光させると共に、
B-2’前記進出位置において前記演出動作を実行する演出を行う、
C 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項A)
「可動体」が、
本願補正発明では、「遊技枠に設けられ」ているのに対し、
引用発明では、遊技盤3の装飾ケース22に配設され、遊技枠に設けられているとはいえない点。

・相違点2(特定事項B-1、B-2)
「可動体」の「発光」に関し、
本願補正発明では、「前記可動体を、前記原点位置で第1発光態様にて発光させると共に」、「前記原点位置から前記進出位置に向かって移動する場合、該原点位置における当該可動体の前記第1発光態様を、該第1発光態様に比して輝度が低い第2発光態様に変更又は消灯」するのに対し、
引用発明では、そのような特定はない点。

・相違点3(特定事項B-3)
本願補正発明では、「前記可動体の前記特定演出態様として、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出を、前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能である」のに対し、
引用発明では、そのような特定はない点。

(4)判断
ア 相違点1について検討する。
(ア)遊技機において、演出用の可動体を遊技機枠に設けることは本願出願遡及日前に周知(以下「周知技術」という。例.引用例3の記載事項(上記(2)ウ(ク))、引用例4の記載事項(上記(2)エ(エ))、特開2014-124303号公報(【0024】ないし【0029】、図3ないし図6参照。))である。
(イ)引用発明は、大当りの可能性を可動体の可動態様で示唆するものであり、当該可動体が演出のために用いられるものであるところ、上記(ア)の周知技術を考慮すれば、引用発明において、可動体を遊技機枠に設けるようになすこと、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2について検討する。
(ア)引用例2の記載事項(上記(2)イ(ク))は、パチンコ遊技機1において、可動LED530a?530cを設けた可動部材502b(可動体)は、点灯していた可動LED530a?530cが隠蔽位置(原点位置)で消灯すると同時に、隠蔽位置(原点位置)から現出位置(進出位置)に向けて駆動され、現出位置に到達すると同時に、可動LED530a?530cが再び点灯するものであり、可動LED530a?530cは、光の輝度等を異ならせることが可能というものである。
(イ)引用発明は、可動体37が初期位置(原点位置)で装飾ケース22の上壁裏側に隠れている場合でも回転装飾体50を回転発光させ、落下位置(進出位置)で回転発光させたり、初期位置と落下位置の途中で回転発光させたりするものである。そして、上記(ア)からみて、引用発明と引用例2の記載事項とは、遊技機において、発光する可動体を備える点で共通するとともに、両者とも、該可動体の演出により、遊技の興趣を向上させることはその明示的な記載がなくとも自明な課題である。
(ウ)上記(イ)からみて、引用発明において、引用例2の記載事項を適用することは当業者であれば格別困難なく着想し得たことであり、具体的に、可動体37の初期位置(原点位置)で回転装飾体50が発光している状態を引用例2の記載事項のように初期位置(原点位置)から落下位置(進出位置)に向けて移動を開始する直前に一旦消灯してから、可動体37の落下位置(進出位置)に向けて駆動するようになすことは当業者が容易になし得たことである。してみると、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について検討する。
(ア)引用例3の記載事項(上記(2)ウ(ク))は、大当りが発生しない場合、90%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が動かず、大当りが発生しても確率変動状態は発生しない場合、30%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動き、20%の割合で枠側可動役物250のみ作動し、大当りかつ確率変動状態が発生する場合、60%の割合で枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動き、20%の割合で枠側可動役物250のみ作動する、というように、遊技状態が遊技者にとって有利な状態になるほど、枠側可動役物250及び盤側可動役物255が共に動く演出が実行される確率が高くなるものである。そうすると、「大当りが発生しても確率変動状態は発生しない場合」(以下「通常大当り」という。)と、「大当りかつ確率変動状態が発生する場合」(以下「確変大当り」という。)とで、枠側可動役物250及び盤側可動役物250が共に動く割合と、枠側可動役物250のみ動く割合とが異なるので、異なる態様の演出をし得るといえ、通常大当りが発生すること又は確変大当りが発生することが「成立」し、その「成立」している状態によって異なる態様の演出をし得ることは、本願補正発明の「成立している遊技状態に係る遊技中によって異なる態様の演出を」「前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能である」ことに相当する。
(イ)そして、引用発明と引用例3の記載事項とは、遊技機において、演出用の可動体を備える点で共通するとともに、引用例1の【0007】に記載のインパクトのあるライティング演出を行うことと、引用例3の【0006】に記載の演出効果を高めることとは、両者とも、可動体の演出により、「演出効果を高める」という課題で共通する。してみると、引用発明に引用例3の記載事項を適用することは当業者であれば格別困難なく着想し得たことであり、引用発明において、具体的に、特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆する際に、成立している遊技状態によって異なる態様の演出を前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能であるようになすことは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)さらに、上記(ア)及び(イ)とは別の観点で相違点3について検討する。引用例4の記載事項(上記(2)エ(エ))は、大当り種別が「非確変」であるか「確変」であるかに応じて示唆演出の実行態様の決定割合が異なるようにしてもよく、また、確変制御が行われているか否かを遊技者が認識不可能または認識困難な遊技状態である「潜伏確変状態」であることを示唆演出で遊技者に報知するようにしてもよいものである。そうすると、「非確変」の大当りと「確変」の大当りとで、又は、「潜伏確変状態」であるか否かで、それぞれ異なる態様の演出をし得るといえ、「非確変」の大当り、「確変」の大当り又は「潜伏確変状態」が「成立」し、その「成立」している状態によって異なる態様の演出をし得ることは、本願補正発明の「成立している遊技状態に係る遊技中によって異なる態様の演出を」「前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能である」に相当する。
(エ)また、引用例4の記載事項は、前記示唆演出が、大当り遊技状態中に確変状態に制御するか否かの確変報知演出となる大当り中昇格演出として実行されるものである。そうすると、確変大当りは非確変大当りと区別できるものであるから、大当りが確変大当りであることによって、非確変大当りとは異なる確変報知演出となる大当り中昇格演出が確変大当りに係る大当り遊技状態中に実行されるといえるので、大当り遊技状態中に確変報知演出となる大当り中昇格演出を実行することは、本願補正発明の「大当り種別」「によって異なる態様の演出を」「前記大当りに係る遊技中に実行可能である」ことに相当する。
(オ)そして、引用発明と引用例4の記載事項とは、遊技機において、演出用の可動体を備える点で共通するとともに、引用例1の【0007】に記載のインパクトのあるライティング演出を行うことと、引用例4の【0010】に記載の演出の注目度を高めることとは、両者とも、可動体の演出により、演出効果をを向上させる点で共通する。してみると、引用発明に引用例4の記載事項を適用することは当業者であれば格別困難なく着想し得たことであり、引用発明において、具体的に、特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆する際に、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様の演出を前記大当たりに係る遊技中または前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能であるようになすことは、当業者が容易になし得たことである。
(カ)以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点3に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が引用例3の記載事項又は引用例4の記載事項に基づいて容易になし得たことである。

エ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2、3の記載事項の奏する効果及び周知技術から、又は、引用発明の奏する効果、引用例2、4の記載事項の奏する効果及び周知技術から、予測することができた程度のものである。

オ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、以下のとおり概略主張している。
「3.本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
(4)本願発明と引用文献との対比
1月9日発送の補正の却下の決定でも述べられるように、引用文献1及び引用文献2には、大当たりに係る遊技中または成立している遊技状態に係る遊技中の演出態様が、大当りの種別又は成立している遊技状態によって異なる態様である点(相違点3)について開示されていません。つまり、上記Cについて開示されていません。
補正の却下の決定では、引用文献1?3、又は引用文献1、2、4に基づいて進歩性を否定しています。
ここで、引用文献3については、補正の却下の決定において『デモ画面タイミングで、発光色を変更することが記載されているから、出願人の上記主張は採用できない。』と述べられています。しかしながら、「デモ画面タイミング」は、明らかに、遊技中ではありません。つまり、デモ画面タイミングの演出内容がどうであれ、少なくとも遊技中の演出ではないので、引用文献3の技術を引用文献1及び2を組み合わせた構成に適用しても、本願発明の上記[C]の特徴を有する構成とはなりません。
また、引用文献4には、大当たりに係る遊技中または成立している遊技状態に係る遊技中に実行する演出の態様を異ならせるという、本願発明の上記[C]の特徴については開示されていません。補正の却下の決定においては、『大当り遊技状態で確変報知演出を行わせること等が記載されているから、上記主張も採用できない。』と述べられています。しかしながら、確変報知演出は、その後に確変制御を行うか否かを示唆する演出であり、上記[C]にあるように、その大当たり種別又は遊技状態に対応する遊技中に行う演出ではありません。よって、引用文献4の技術を引用文献1及び2を組み合わせた構成に適用しても、本願発明の構成とはなりません。」

(イ)上記ウ(ア)で説示したとおり、引用例3(引用文献3)の記載事項は、通常大当りと確変大当りとで、異なる態様の演出をし得るものであり、通常大当りが発生すること又は確変大当りが発生することが「成立」し、その「成立」している状態によって異なる態様の演出をし得るものであるから、デモ画面が遊技中の演出であること云々にかかわらず、本願補正発明の「成立している遊技状態に係る遊技中によって異なる態様の演出を」「前記成立している遊技状態に係る遊技中に実行可能である」との構成を含むものである。
また、引用例4(引用文献4)には、上記ウ(オ)で説示したとおり、大当たりに係る遊技中または成立している遊技状態に係る遊技中に実行する演出の態様を異ならせることが記載されているといえる。
以上のとおり、審判請求人の主張を採用することはできない。

(6)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2、3の記載事項及び周知技術に基づいて、又は、引用例1に記載された発明、引用例2、4の記載事項及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年8月22日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の平成29年8月22日付けの手続補正により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。


引用文献1.特開2012-105873号公報
引用文献2.特開2012-170603号公報
引用文献3.特開2014-33704号公報
引用文献4.特開2014-217593号公報

本願の請求項1に係る発明は、引用文献1-3に記載された発明、又は、引用文献1、2及び4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

3 引用例
(1)引用例1ないし4(引用文献1ないし4)の記載事項は、上記第2〔理由〕3(2)及び(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2、3の記載事項及び周知技術に基づいて、又は、引用例1に記載された発明、引用例2、4の記載事項及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2、3の記載事項及び周知技術に基づいて、又は、引用例1に記載された発明、引用例2、4の記載事項及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2、3の記載事項及び周知技術に基づいて、又は、引用例1に記載された発明、引用例2、4の記載事項及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-21 
結審通知日 2018-11-27 
審決日 2018-12-10 
出願番号 特願2016-92814(P2016-92814)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小泉 早苗  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鉄 豊郎
倉持 俊輔
発明の名称 遊技機  
代理人 田中 信介  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ