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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1348391 |
審判番号 | 不服2017-12707 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-29 |
確定日 | 2019-01-30 |
事件の表示 | 特願2015-556368「取引方法、取引システムおよび装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日国際公開、WO2013/167055、平成28年 3月31日国内公表、特表2016-509733〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)7月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年2月6日、中国)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月15日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して平成28年11月2日に意見書が提出されたものの、平成29年4月20日付けで拒絶査定(原査定)がなされた。これに対し、平成29年8月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項6】 オンラインストアサーバであって、 実店舗情報を管理し、ユーザ端末のログインを受付けて、前記ユーザ端末により提出された選択済み商品リストに基づいて対応する商品を持っている実店舗情報を検索し、その中からスクリーニングポリシーに従って前記ユーザ端末のために適切な実店舗を選択し、選択された実店舗の名称と位置情報を第一の端末インタラクションモジュールにより前記ユーザ端末に送信するように構成される実店舗管理モジュールと、 オンラインストアサーバとユーザ端末の間の情報伝送を実行するように構成される前記第一の端末インタラクションモジュールと、 オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行するように構成される第一の実店舗インタラクションモジュールとを含む、前記オンラインストアサーバ。」 本件補正後の請求項6の記載は、本件補正前の請求項8に係る発明の記載と同一である。したがって、本件補正後の請求項6は、本件補正前の請求項8の項番を改めたものであり、内容についての補正は行われていない。 第3 原査定の概要 原査定(平成29年4月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1.本願請求項8に係る発明は、以下の引用文献1,2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-245333号公報 2.特開2008-027330号公報 第4 引用文献 1.引用文献1について 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。) 「【0024】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明に係る実施の形態1による店舗情報提供システムのネットワークの接続経路および商品の流通経路を示す構成図であり、図において、10はユーザ11が利用するために自宅に設置されたユーザ端末、12はユーザ端末10がIP接続された情報提供サーバを保有するプロバイダ、13はユーザ端末10とプロバイダ12との間を接続するインターネット通信網、14は通信サーバを介してインターネット通信網13に接続されたバーチャルモール、15はプロバイダ12とバーチャルモール14との間を接続するインターネット通信網、16はインターネット通信網15にてバーチャルモール14と接続された販売業者サーバを保有する販売業者、17はバーチャルモール14と接続された店舗サーバ、18は店舗サーバ17が設置されて店内に商品が陳列された店舗、19は店舗内に陳列された陳列商品、20は販売業者サーバと専用回線で接続された工場サーバを保有する工場、21は工場サーバと専用回線で接続された配送センターサーバを保有する配送センター、22は配送センター21に出入りする商品を、配送センター内で一時的に保管する倉庫、23は店舗サーバ17、工場20b、配送センター21bおよびインターネット通信網15に接続され、工場20bの生産品を大量に仕入れて倉庫に保管する卸問屋を示す。また、図中実線矢印はデータの流れ、点線矢印は商品の流れを示す。 【0025】また、図2は、ユーザ11が利用する移動体端末のネットワークへの接続経路を示す図であり、図において24は携帯電話(PDA、PHS等)のようにユーザが常に携行することのできる移動体端末、25は移動体端末24と通信するとともにインターネット通信網26に接続された基地局、27はインターネット通信網26に接続された位置情報検索サーバを有する位置情報サービスセンターを示し、インターネット通信網26はインターネット通信網15に接続されている。 【0026】また、図3は、バーチャルモール14の構成を示す図であり、図において、27はインターネット通信網15との間で、当該通信網を流れる各種情報を受信するとともにその受信情報を各管理部に伝送し、またこの受信情報に基づいて各管理部にて処理された情報を当該通信網へ送信する通信サーバから成る統合情報処理部、28はバーチャルモール14を利用する顧客の情報をユーザ情報として管理するユーザ情報管理部、29はバーチャルモール14を通じて販売を行う販売業者の情報を管理する販売業者管理部、30はバーチャルモール14で販売される商品種別や商品群に関する情報を管理する商品情報管理部、31はバーチャルモール13で販売を行う販売業者に対して、陳列商品の情報を提供する店舗に関する情報を管理する店舗情報管理部、32はバーチャルモール14の接続されたインターネット通信網15を通じてデータの送受信を行う利用者の情報を管理する利用者データ管理部を示す。また、図において、33はバーチャルモール14にアクセスしている顧客のIPアドレスや、会員登録された特定顧客の個人情報を格納するユーザ情報データベース、34は販売業者のIPアドレスや、販売業者の扱う商品に関する情報を格納する販売業者情報データベース、35は商品種別、商品群、商品属性に関する情報を格納する商品情報データベース、36は商品を特定するためのメーカ名、商品名、型名等から成る商品識別情報毎に、その商品識別情報に対応する商品を陳列している店舗の所在地(店舗の位置情報)、店舗名等の店舗情報が格納された店舗情報データベース、37は利用者情報データベースを示す。販売業者情報データベース34では、商品情報データベース35に格納された商品属性情報に対応して、その商品属性情報とマッチした商品を取り扱っている販売業者の情報を格納している。」 「【0028】さらに、図5は店舗18に陳列される商品の情報を管理する店舗システムの構成を示す図であり、図において店舗サーバ17は、インターネット通信網15に接続されて、販売業者16の統合管理部38や、バーチャルモール14の統合情報管理部27との間で情報の授受を行うものであって、また51は商品の入荷品情報52と商品の販売品情報53を受けて店舗内の在庫を管理する在庫管理部、54は商品の在庫情報を格納した在庫情報データベース、55は陳列された商品の情報を格納する陳列品情報データベース、56は新規に陳列した商品と陳列を取りやめた商品の情報を入力するための陳列品情報設定部を示す。」 「【0030】図6において、ユーザ11がユーザ端末10を通じて(プロバイダ12、インターネット通信網13、15を経由して)バーチャルモール14(の統合情報処理部27)にアクセスすると、バーチャルモール14(の統合情報処理部27)から商品種別情報が送信されて、ユーザ端末10の画面(ユーザ画面)上で図7(a)のような商品種別情報の表示が実行される(ステップS100)。この商品種別情報は、例えば電化製品、家具、装飾品、布団、自転車・バイク、装飾品、化粧品と言った類の、バーチャルモール14に接続された販売業者16が販売する工業製品を分類するための情報であって、バーチャルモール14の商品情報データベース35に格納されており、統合情報処理部27のIPアドレスに伝送されてきたユーザ端末10からのアクセス要求に対応して、商品情報管理部30がアクセス要求をしてきたユーザ端末10に対して商品情報データベース35中の商品種別情報を伝送する。またこのとき、ユーザ情報管理部28が、このアクセス要求してきたユーザのIPアドレスを、ユーザ情報データベースに一時的に保管して、上述の商品情報管理部の情報伝送先をコントロールする。次に、ユーザはこの商品種別情報の中から所望の種別の商品を選択する(ステップS101)。具体的には、各商品種別名称のボタンをクリックして(例えば電化製品のボタン上でマウスボタンを押下して)、商品群情報表示画面(例えば図7(b)に示すような電化製品の商品群情報画面)にアクセスする(ステップS102)。この商品群情報は、例えば洗濯器、エアコン、冷蔵庫、パソコン、AV機器、照明機器等の各種同じ製品種別(この例では電化製品)での分類を示すものであり、商品情報データベース35に情報が格納されている。この次に、ユーザはこの商品群情報の中から所望の分類の商品群(例えば洗濯器)をマウスのクリックなどによって選択する(ステップS103)。更に、選択された商品群における商品属性情報が、商品情報データベース35から出力され、図7(c)に図示したように表示される(ステップS104)。例えば、メーカ毎の種別、洗濯容量毎の種別、機能毎の種別といった属性情報が表示される。そして、この商品属性情報から希望する商品の種別(例えばメーカ名)が選択されると(ステップS105)、販売業者管理部29が販売業者情報データベースを参照して、図7(d)に示すように、選択された商品属性情報に対応する商品を取り扱っている販売店の情報が表示される(ステップS106)。この販売店情報から販売業者(例えばヤジマネット)を選択すると(ステップS107))、ステップS108にて図8(a)に示すようにユーザ画面に商品情報が表示される。この商品情報は、各商品毎の型名、機能、特徴、販売価格、外観やその他商品に関する情報から成り、選択された販売店の保有するカタログ情報データベース45に格納されており、カタログ情報管理部39がそのデータの送信を行う。 【0031】次に、図8(a)に示すような商品情報の中から、例えば希望する商品Noの上でマウスボタンを押下することにより、希望する商品が選択される(ステップS109)。このとき、図示しない選択終了の意思を示すボタンを押下するまで商品を選択することによって(例えばNo1、No2の商品を選択)、その選択された商品情報がバーチャルモール14の店舗情報管理部31に対して送信される。店舗情報管理部31はこの商品情報を受信すると、ユーザ11に対してユーザ端末10の設置された住所の入力要求を促し、ユーザ11がこれに応答して住所(ユーザ端末10の設置場所)を入力する。店舗情報管理部31は、この入力されたユーザ端末10の設置場所に基づいて店舗情報データベース36を参照することによって、当該設置場所(位置P0)と店舗データベース36中の位置情報との2点間を接続するルートの距離を算出し、この距離が最も近い店舗から更にいくつかの店舗を選択することによって、各選択された商品を陳列している店舗で、かつユーザ端末10の設置場所から最寄りに位置するいくつかの店舗の情報を選定する。店舗情報データベース36には、予め商品を特定するための商品識別情報(型名、メーカ名、製品名等)を対応付けられた各店舗の位置が記録されている。この選定された最寄りの店舗の情報は、図8(b)に示すようにユーザ端末10の設置場所(位置P0)から距離の近い順に表示され、その店舗に至るまでに要する運賃、所要時間、ルートの情報が表示される(図8(b)にはルート情報は図示せず)。この店舗情報によって、ユーザは店舗名、当該店舗までの運賃、所要時間を知ることができる。またこれと同時に、店舗情報管理部31から複数選択された商品情報が送信され、図8(b)に示すような商品リストとなってユーザ端末10の画面上に表示される(ステップ110)。次に、ステップS111にて、この店舗情報に基づいて商品の閲覧を希望する店舗を設定することによって(例えば閲覧希望店舗の情報を、希望店舗名を示すセルの上でマウスの押下によって入力することによって)、閲覧する店舗が設定される(この例では、希望商品を多く陳列している矢島電器を選択する)。この設定された店舗情報は、バーチャルモール14からユーザ端末10に伝送されるとともに、同情報および選択した希望商品の情報(例えば図8(b)の商品No1及び2の情報)が移動体端末24に伝送される(ステップS113)。そして、図9(a)の移動体端末24において、図9(b)に示すような希望商品および選択された店舗17の情報と、ステップS112で設定された図9(c)に示すようなユーザの自宅(ユーザ端末10の設置場所、すなわち位置P0)から選択された店舗17までのルート情報が表示され(ステップS114)、ステップS115にて店舗17へのユーザの誘導が行われる。このときステップS112において、ユーザの自宅(位置P0)から選択された店舗17までのルート情報が次のように設定される。店舗情報管理部31が、インターネット通信網13、15、26経由でユーザの自宅位置P0と選択された店舗17の位置情報を位置情報サービスセンター27に送信する。位置情報サービスセンター27では、伝送された自宅位置(ユーザ端末の設置場所)と店舗の位置情報に基づいて、保有する地図データベース(図示せず)からその2地点間を接続するルート、あるいは交通経路を検索する。この検索されたルート、あるいは交通経路にしたがってルートの分岐点や交通経路上の乗降ポイントにノードポイント(例えば、位置P1?P6)が設定され、この設定されたノードポイントの情報が、位置情報サービスセンター27からバーチャルモール14の店舗情報管理部31に送信される。次に、店舗情報管理部31から移動体端末24に対して、この店舗17までのルート情報が伝送され、移動体端末24ではメモリ(図示せず)のルート情報記憶領域に当該ルート情報を格納し、表示画面にそのルート情報を表示する(図9(c))。」 「【0037】図5に示した陳列品情報データベース55には、店舗に実際に陳列されている陳列品の商品情報(型名、メーカ名等)がリスト化されて格納されており、在庫管理部51は、一定の間隔(例えば、1時間間隔)でこの情報を集積し、各陳列品の商品情報に自店舗を識別する固有情報(店舗ID)と店舗の所在地情報(位置情報)を付与して、店舗サーバ17を介してバーチャルモール14の店舗情報管理部31に、この陳列品の商品情報を伝送する。図3に示した店舗情報管理部31は、各店舗サーバ17から伝送された陳列品の商品情報を収集して、メーカ名、商品の型名の順序でソーティングを掛けて情報を並べ替え、その型名に対応した店舗IDと所在地情報を検索できるようにデータを構築して、構築された情報を店舗情報データベース36に格納する。」 したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ユーザ端末10と、販売業者の商品の販売を行うバーチャルモール14と、店舗18に設置された店舗サーバ17と、販売業者サーバ等とを有する店舗情報提供システムにおけるバーチャルモール14であって、 インターネット通信網15との間で、当該通信網を流れる各種情報を受信するとともにその受信情報を各管理部に伝送し、またこの受信情報に基づいて各管理部にて処理された情報を当該通信網へ送信する通信サーバから成る統合情報処理部27と、 バーチャルモール14にアクセスしている顧客のIPアドレスや、会員登録された特定顧客の個人情報を格納するユーザ情報データベース33と、 商品を特定するためのメーカ名、商品名、型名等から成る商品識別情報毎に、その商品識別情報に対応する商品を陳列している店舗の所在地(店舗の位置情報)、店舗名等の店舗情報が格納された店舗情報データベース36と、 店舗に関する情報を管理し、統合情報処理部27にアクセスしたユーザ端末10の画面に表示された商品情報の中からユーザにより選択された複数の希望する商品の商品情報を受信し、ユーザ端末10の設置場所に基づいて店舗情報データベース36を参照することによって、当該設置場所(位置P0)と店舗データベース36中の位置情報との2点間を接続するルートの距離を算出し、この距離が最も近い店舗から更にいくつかの店舗を選択することによって、各選択された商品を陳列している店舗で、かつユーザ端末10の設置場所から最寄りに位置するいくつかの店舗の情報を選定する店舗情報管理部31とを備え、 前記選定された最寄りの店舗の情報はユーザ端末10に表示され、当該店舗の情報には店舗名とその店舗に至るルートの情報が含まれ、 ユーザ端末10はプロバイダ12、インターネット通信網13、15を介して、バーチャルモール14の統合情報処理部27にアクセスし、 店舗サーバ17は、インターネット通信網15に接続されて、バーチャルモール14の統合情報管理部27との間で情報の授受を行うものであって、一定の時間間隔でバーチャルモール14の店舗情報管理部31に陳列品の商品情報を伝送する、 バーチャルモール14。」 2.引用文献2について 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0018】 実施の形態1. 図1は実施の形態1に係る商品検索システムのシステム構成図である。本実施の形態における商品検索システムは、店舗内又は所定の位置に設置されたサーバ1と、商品を購入する複数の顧客(以下、ユーザという)が店舗内においてそれぞれ携帯する携帯端末2と、店舗内に複数配置された商品陳列棚400の1又は所定の数ごとにそれぞれ配置されたICタグリーダー装置3とから構成されている。尚、図1においては、携帯端末2及びICタグリーダー装置3は一式のみを図示している。サーバ1は、所定の検索条件に基づき商品情報を検索する情報処理装置であり、複数の携帯端末2と無線通信により情報の授受を行い、ICタグリーダー装置3と接続されている。携帯端末2は、ICタグリーダーを有し、携帯可能な携帯型の端末装置であり、サーバ1と無線通信により情報の授受を行い、ユーザにより商品の検索条件が入力され、サーバ1の検索結果に基づき、ユーザが選択した購入する商品の買い物リストを生成する。尚、携帯端末2には、各端末毎に異なる端末識別IDが付与され、サーバ1は端末識別IDに基づき各携帯端末2を識別して情報の授受を行う。ICタグリーダー装置3は、サーバ1と接続され、商品陳列棚400に陳列された商品4に取り付けられたICタグ40(後述)の情報を読み取りサーバ1へ出力するリーダー部30と、赤色灯などの表示ランプ31とから構成される。」 「【0028】 次に、携帯端末2は、仕掛けの構成品目のうち、全ての構成品目の商品が選択されたか否かを判断し(S10)、全ての構成品目の商品選択が終了するまで、上記手順S7?S9を繰り返す。手順S10にて、全ての構成品目の商品選択が終了したと判断したとき、携帯端末2は、記憶した商品情報に基づき、買い物リストを生成し、図8(b)に示すように、買い物リストを表示画面に表示すると共に、サーバ1に買い物リストの情報を送信する(S11)。 【0029】 尚、上記説明では、全ての構成品目の商品を選択するまで、選択処理を繰り返したが、ユーザによる所定の入力操作により、商品選択を終了させ、買い物リストを生成しても良い。 【0030】 次に、買い物リストからユーザにより選択された商品の陳列位置を表示し、取得された商品を買い物リストに反映させる動作について図5に基づき説明する。 【0031】 (2)商品陳列位置表示・商品取得処理 まず、ユーザは、携帯端末2に表示された買い物リストのうち、店舗内の陳列位置を表示させる商品を選択し、携帯端末2は、選択された商品の陳列位置要求をサーバ1に送信する(S21)。サーバ1は、商品の陳列位置要求を受信したとき、店舗内に配置された全てのICタグリーダー装置3に対して、ICタグ40の読み取りを指示する(S22)。ICタグリーダー装置3は、当該商品陳列棚400に陳列された全ての商品4について、ICタグ40に記録されたユニークIDの情報を読み込み、読み込んだユニークIDの情報と、当該ICタグリーダー装置3の設置位置に関する情報とをサーバ1へ出力する。サーバ1は、入力されたICタグ40のユニークIDの情報と、ICタグリーダー装置3の設置位置に関する情報と、予め保存された各商品に対するユニークIDの情報とに基づき、陳列位置要求された商品が陳列されている商品陳列棚400を求める(S23)。 【0032】 次に、サーバ1は、求めた陳列位置の情報を携帯端末2に送信し(S24)、陳列位置要求された商品が陳列されている商品陳列棚400に設置されたICタグリーダー装置3の表示ランプ31を点灯させる(S25)。携帯端末2は、図9(a)に示すように、店舗内のレイアウト図を表示部22に表示させ、受信した陳列位置の情報に基づき、店舗内のレイアウト図のうち、陳列位置要求された商品が陳列されている陳列棚表示201を識別表示する(S26)。ここで、識別表示は例えば、当該陳列棚表示201を点滅させる。」 したがって、上記引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。 「端末において商品情報に基づいてリストを生成し、生成したリストの情報をサーバが受信する技術。」 第5 対比 1.本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1)引用発明における「バーチャルモール14」は、「通信サーバ」である「統合情報処理部27」を備えたサーバであって、販売業者と顧客との間のB2Cのビジネスプロセスを実現する仮想店舗(本願明細書段落【0022】)として機能するものであるから、後述する相違点を除いて、本願発明の「オンラインストアサーバ」に相当する。 (2)引用発明における「店舗」は、所定の地理的位置に存在して商品を陳列するものであり、伝統的な店舗または仮想店舗により確立される体験店舗(本願明細書段落【0023】)であるから、本願発明における「実店舗」に相当する。また、引用発明の「店舗情報データベース36」に格納される「店舗情報」は、商品を陳列している実店舗の所在地である位置情報や店舗名等の情報であるから、本願発明の「実店舗情報」に相当する。 (3)引用発明の「ユーザ端末10」は、本願発明の「ユーザ端末」に相当する。また、引用発明の「店舗サーバ17」は、引用発明のオンラインストアサーバの「統合情報処理部27」との間で情報の授受を行ってこのオンラインストアサーバの「店舗情報管理部31」に実店舗の陳列品の商品情報を伝送するものであるから、本願発明の「実店舗端末」に相当する。 (4)引用発明の「統合情報処理部27」は、上述のとおり「通信サーバ」であって、インターネット通信網13、15を介してユーザ端末からのアクセスを受け付け、当該ユーザ端末との間の情報伝送を実行する機能を有するから、本願発明における「オンラインストアサーバとユーザ端末の間の情報伝送を実行するように構成される前記第一の端末インタラクションモジュール」に相当する。さらに、引用発明の「統合情報管理部27」は、オンラインストアサーバと実店舗端末との間で商品情報の伝送を行う機能を有するから、本願発明の「オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行する」という機能を備えているといえる。 (5)本願発明の「選択済み商品リスト」は複数の選択済み商品の情報を含むから、本願発明と引用発明とは、「前記ユーザ端末により提出された複数の選択済み商品の情報」を取得するという点で共通する。 (6)引用発明の「店舗情報管理部31」における店舗の選択手順は、「店舗情報データベース36」から「各選択された商品を陳列している店舗」を検索し、検索された店舗の中からユーザ端末の設置場所との「距離が最も近い店舗から更にいくつかの店舗を選択」するものであり、また、「距離が最も近い」という選択基準は、ユーザ端末の場所からの訪問に適切な店舗を選択するためのスクリーニングポリシーであるから、引用発明は、本願発明における「(前記ユーザ端末により提出された選択済み商品の情報)に基づいて対応する商品を持っている実店舗情報を検索し、その中からスクリーニングポリシーに従って前記ユーザ端末のために適切な実店舗を選択し」との構成を備えている。 (7)引用発明においては、「選定された最寄りの店舗の情報」に「店舗名とその店舗に至るルートの情報が含まれ」ており、これがユーザ端末に表示されるにあたって、上記(4)のとおり、オンラインストアサーバとユーザ端末間の情報の伝送が第一の端末インタラクションモジュールによって行われるから、引用発明は、本願発明における「選択された実店舗の名称と位置情報を第一の端末インタラクションモジュールにより前記ユーザ端末に送信する」との構成を備えているといえる。 (8)引用発明の「店舗情報管理部31」は、後述する相違点1及び相違点2において相違するものの、上記(5)?(7)のとおり、「実店舗情報を管理」し、かつ、「前記ユーザ端末により提出された複数の選択済み商品の情報に基づいて対応する商品を持っている実店舗情報を検索し、その中からスクリーニングポリシーに従って前記ユーザ端末のために適切な実店舗を選択し、選択された実店舗の名称と位置情報を第一の端末インタラクションモジュールにより前記ユーザ端末に送信」するものである点において、本願発明の「実店舗管理モジュール」に相当する。 2.したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「オンラインストアサーバであって、 実店舗情報を管理し、ユーザ端末により提出された複数の選択済み商品の情報に基づいて対応する商品を持っている実店舗情報を検索し、その中からスクリーニングポリシーに従って前記ユーザ端末のために適切な実店舗を選択し、選択された実店舗の名称と位置情報を第一の端末インタラクションモジュールにより前記ユーザ端末に送信するように構成される実店舗管理モジュールと、 オンラインストアサーバとユーザ端末の間の情報伝送を実行するように構成される前記第一の端末インタラクションモジュールとを含み、 オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行する機能を有する、前記オンラインストアサーバ。」 (相違点) [相違点1]本願発明は「ユーザ端末のログインを受付けて」との構成を有するのに対し、引用発明はそのような構成を有しない点。 [相違点2]本願発明はユーザ端末から提出される「複数の選択済み商品の情報」が「商品リスト」の形態となっているのに対し、引用発明では「複数の選択済み商品の情報」が「商品リスト」であるかは不明である点。 [相違点3]本願発明は「オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行する機能」を備えるモジュールとして「第一の実店舗インタラクションモジュール」を備えるのに対し、引用発明では「オンラインストアサーバとユーザ端末の間の情報伝送を実行するように構成される前記第一の端末インタラクションモジュール」が「オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行する機能」を併せて備える構成となっている点。 第6 判断 1.相違点1について 仮想店舗を提供するシステムにおいて、登録されたユーザをサーバが識別するためにユーザ端末にログインを行わせることは周知技術である(例えば、特開2010-272015号公報の段落【0023】,【0031】-【0036】には、ネットショッピング管理サーバにおいて、ユーザ端末からの要求に応じて登録ユーザのログインを行うことが記載されている。また、特開2012-256265号公報の段落【0012】,【0015】,【0070】-【0071】,【0110】には、物品等のアイテムを販売するサーバにおいて、端末装置から送信されるログイン名とパスワードまたは端末識別子に基づいて端末装置のユーザが登録済みのユーザか否かを判定することが記載されている。)。 そして、引用発明は、「会員登録された特定顧客の個人情報を格納するユーザ情報データベース33」を備え、登録された顧客をサーバが識別するものである。してみると、引用発明において登録された顧客をサーバが識別するための手段として上記周知技術を適用し、ユーザ端末のログインを受け付ける構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 2.相違点2について 引用文献2には、上記第4 2.のとおり、「端末において商品情報に基づいてリストを生成し、生成したリストの情報をサーバが受信する技術」が記載されている。 そして、引用発明と、引用文献2に記載された技術とは、いずれもユーザの商品購入を支援する技術であるという点で共通するものであり、引用発明において「前記ユーザ端末により提出された複数の選択済み商品の情報」を取得するにあたり、引用文献2に記載された技術を適用し、商品の情報を「リスト」の形態で取得する構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 3.相違点3について コンピュータシステムを構築するにあたり、複数の異なる機能を1個のモジュールに担わせる構成とするか、あるいは複数のモジュールにより分担する構成とするかは、当業者にとって設計上の選択事項に過ぎない。 してみると、引用発明の「第一の端末インタラクションモジュール」が「オンラインストアサーバとユーザ端末の間の情報伝送を実行する」機能と「オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行する機能」との2つの機能を備える構成に代えて、異なる2個のモジュールに各機能を分担させ、「オンラインストアサーバと実店舗端末の間の情報伝送を実行するように構成される第一の実店舗インタラクションモジュール」を備える構成とすることは、当業者が適宜になし得ることである。 4.効果について 相違点1?3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術、及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2018-08-23 |
結審通知日 | 2018-08-28 |
審決日 | 2018-09-18 |
出願番号 | 特願2015-556368(P2015-556368) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小原 正信 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 宮久保 博幸 |
発明の名称 | 取引方法、取引システムおよび装置 |
代理人 | 特許業務法人前田特許事務所 |