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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01S |
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管理番号 | 1348621 |
審判番号 | 不服2017-17606 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-29 |
確定日 | 2019-02-26 |
事件の表示 | 特願2013-136765「半導体レーザ素子」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月19日出願公開、特開2015- 12153、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月28日の特許出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 4月 7日:出願審査請求書の提出 平成29年 2月16日:拒絶理由通知(2月21日発送) 同年 4月13日:意見書の提出 同年 8月22日:拒絶査定(8月29日送達) 同年11月29日:審判請求書の提出 平成30年10月17日:拒絶理由通知(10月23日発送) 同年12月18日:手続補正書・意見書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成29年8月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 「【理由】(進歩性要件) 本願請求項1ないし9に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1 特開2012-238679号公報 2 特開平6-140721号公報 3 特開平11-251685号公報(周知技術を示す文献) 4 特開平10-22586号公報(周知技術を示す文献) 5 特開2008-258277号公報(周知技術を示す文献) 6 特開2011-233705号公報(周知技術を示す文献)」 第3 平成30年10月17日付け拒絶理由通知の概要 平成30年10月17日付け拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)の概要は次のとおりである。 「【理由】(進歩性要件) 本願請求項1ないし9に係る発明は、以下の引用文献に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1 特開2012-238679号公報(原査定時の引用文献1)」 第4 本願発明 本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成30年12月18日付けの手続補正により補正された請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし本願発明6は、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 n側領域と、活性領域と、p側領域と、を順に備える半導体レーザ素子であって、 前記n側領域又は前記p側領域の少なくとも一方は、 前記n側領域又は前記p側領域中において最小のバンドギャップエネルギーを有する光吸収部と、 前記光吸収部の前記活性領域に近い側に接して設けられ、前記光吸収部に近づくにつれてバンドギャップエネルギーが小さくなると共に前記光吸収部との屈折率差が小さくなる第1組成傾斜部と、 前記光吸収部の前記活性領域から遠い側に接して設けられ、前記光吸収部から離れるにつれてバンドギャップエネルギーが大きくなると共に前記光吸収部との屈折率差が大きくなる第2組成傾斜部と、 を有し、 前記光吸収部はIn_(a)Ga_(1-a)N(0<a<1)からなる、厚みが10nm以上500nm以下の層であり、 前記第1組成傾斜部及び第2組成傾斜部は、In_(b)Ga_(1-b)N(0<b≦a)からIn_(c)Ga_(1-c)N(0≦c<b)へ連続的に変化する組成を有し、前記aは前記bと同じ値である、ことを特徴とする半導体レーザ素子。 【請求項2】 前記第1組成傾斜部及び第2組成傾斜部は、その厚みが10nm以上250nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。 【請求項3】 前記光吸収部の厚みが10nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ素子。 【請求項4】 前記第1組成傾斜部の前記活性領域側に接して、前記第1組成傾斜部の最低の屈折率よりも低い屈折率を有する第1低屈折率層が設けられ、 前記第2組成傾斜部の前記活性領域と反対の側に接して、前記第2組成傾斜部の最低の屈折率よりも低い屈折率を有する第2低屈折率層が設けられたことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。 【請求項5】 前記第1低屈折率層及び前記第2低屈折率層はAlGaNからなることを特徴とする請求項4記載の半導体レーザ素子。 【請求項6】 前記第1組成傾斜部及び第2組成傾斜部は前記n側領域に設けられ、前記n側領域の前記活性領域と反対の側に基板が設けられたことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。」(なお、下線は、当審で付した。以下、同じ。)。 第5 当審の判断 1 引用文献 (1)当審拒絶理由通知で引用した特開2012-238679号公報(平成24年12月6日公開。以下「引用文献」という。)には、図とともに以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 窒化物半導体からなる下部コンタクト層と、 窒化物半導体からなりInを含む第1層と、窒化物半導体からなりInを含まない第2層と、を含む超格子構造であると共に、暗色領域を有する光吸収層と、 窒化物半導体からなる活性層と、 窒化物半導体からなる上部コンタクト層と、を順に備える半導体レーザ素子。 【請求項2】 前記下部コンタクト層は、窒化物半導体基板である請求項1に記載の半導体レーザ素子。 【請求項3】 前記光吸収層と前記活性層との間に、前記光吸収層から順に、 窒化物半導体からなり前記第1層よりも少ない量のInを含むIn含有層と、 窒化物半導体からなりInを含まないIn非含有層と、を有する請求項1又は2に記載の半導体レーザ素子。 【請求項4】 前記第1層はInGaNからなり、前記第2層はGaNからなる請求項1から3のいずれかに記載の半導体レーザ素子。 【請求項5】 前記In含有層はInGaNからなり、前記In非含有層はGaNからなる請求項3又は4に記載の半導体レーザ素子。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、特許文献1の「自然放出光吸収層」は活性層からの光を吸収するために活性層よりも小さなバンドギャップエネルギーを有する必要がある。窒化物半導体の場合、Inの量を多くすることでバンドギャップエネルギーを小さくすることができるが、Inの量を多くすると結晶性が悪化してしまい、その後に成長する他の層を結晶性良く成長できないという問題があった。さらに、特許文献2の「光吸収層」であってもその結晶性については改善の余地があった。 【0006】 本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、主にFFPに優れた半導体レーザ素子を得ること課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 …… 【発明を実施するための形態】 【0011】 …… 【0012】 本発明の一実施形態に係る端面発光型の半導体レーザ素子100の断面図を図1に、半導体レーザ素子100の光吸収層102部分における部分拡大図を図2に示す。半導体レーザ素子100は、窒化物半導体からなる下部コンタクト層101と、窒化物半導体からなりInを含む第1層102aと窒化物半導体からなりInを含まない第2層102bとを含む超格子構造であると共に暗色領域を有する光吸収層102と、窒化物半導体からなる活性層106と、窒化物半導体からなる上部コンタクト層111と、を順に備える。ここで、光吸収層102に暗色領域を形成するには、Inを含有する第1層102aを加熱する必要がある。詳細は不明だが、加熱することで第1層102aが部分的に分解し、Inの多い領域が偏析するためと考えられる。 【0013】 …… 【0015】 また、暗色領域を生じさせるにはInを含む第1層102aが必要となるが、第1層102aはInを含むがゆえに結晶性に劣るという問題がある。そこで、光吸収層102を、第1層102aのみで構成するのではなく、暗色領域の発生には関与しないがInを含まないがゆえに結晶性に優れた第2層102bを含めた超格子構造としている。光吸収層102を超格子構造とし第1層102a及び第2層102bを比較的薄膜とすることで、光吸収層102の結晶性に起因した転位の発生を抑制することができる。さらに、第1層102a間に結晶性に優れた第2層102bを介在させることで、光吸収層102における結晶性の低下を抑制することができる。光吸収層102の結晶性が悪いとその後に成長する他の層もその結晶性を引き継ぐので歩留まりを低下させてしまう。」 ウ 「【0035】 一方、In含有層103の屈折率をIn非含有層104よりも高くすることにより、光吸収層102での光吸収をより促進させることができる。つまり、光吸収層102のみでは膜厚が薄く、光吸収層102での光閉じ込めが十分でない場合であっても、光吸収層102とIn含有層103とが一体となってIn非含有層104よりも屈折率の高い領域となる。そのため光吸収層102内部に光を閉じ込めやすくすることができ、光吸収層102での光吸収がより容易となる。また、光吸収層102と下部コンタクト層101との間に、下部コンタクト層101よりも屈折率の高いInGaN等の層(図示せず)を設けても、光閉じ込めについて同様の作用効果が期待できる(応力緩和の効果についても同様に期待できる。)。」 エ 「【0049】 <実施例1> 以下、本実施例に係る半導体レーザ素子(発振波長445nm)の主な構成について説明する。本実施例では、成長方法としてMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いる場合について説明する。 【0050】 (下部コンタクト層101) 先ず、下部コンタクト層101として、市販されているGaNよりなる窒化物半導体基板を準備した。窒化物半導体基板はn型導電性を示し、その膜厚は400μmであった。 【0051】 (下地層) 次に、成長温度を約1140℃とし、GaN基板上に、原料ガスとしてTMA、TMG、アンモニアガス、不純物ガスとしてシランガスを用いて、Al_(0.02)Ga_(0.98)Nを0.1μm成長させた(図示せず)。この層は、GaN基板上に窒化物半導体層を再成長するための下地層である。 【0052】 (電圧オフセット低減層) 次に、成長温度を約920℃とし、GaN基板上に、原料ガスとしてTMG、アンモニアガス、不純物ガスとしてシランガスを用いて、1019cm2以上SiをドープしたGaNを1nm成長した(図示せず)。この層は、電圧オフセットを低減するためのものである。 【0053】 (光吸収層102) 次に、成長温度を約795℃とし、GaN基板上に、原料ガスとしてTMI、TMG、アンモニアガス、不純物ガスとしてシランガスを用いて、SiドープのIn_(0.12)Ga_(0.88)Nよりなる第1層102aを2.0nmの膜厚で成長させた。続いて第2層102bを、同温度で原料ガスにTMG、アンモニアガスを用いてSiドープのGaNを1nmと、続いて約920℃まで昇温して2nmの膜厚でSiドープのGaNを成長させた(つまり第2層102bは変調ドープ層である。)。そして、この作業を繰り返して、最終的には、第1層102aと第2層102bを1周期として、合計15周期の総膜厚750nmの光吸収層102を形成した。 【0054】 (In含有層103) 次に、成長温度を約920℃とし、原料ガスとしてTMI、TMG、アンモニアガス、不純物ガスとしてシランガスを用いて、SiドープのIn_(0.03)Ga_(0.97)NよりなるIn含有層103を80nmの膜厚で成長させた。 【0055】 (In非含有層104) 次に、成長温度を約1000℃として、原料ガスとしてTMG、アンモニアガス、不純物ガスとしてシランガスを用いて、SiドープのGaNよりなるIn非含有層104を500nmの膜厚で成長させた。 【0056】 …… 【0062】 (上部コンタクト層111) 次に、同様の温度で、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてCp2Mgを用い、Mgを1×10^(20)/cm^(3)ドープしたGaNよりなる上部コンタクト層111を150オングストロームの膜厚で成長させた。」 オ 図1は、以下のものである。 カ 図2は、以下のものである。 (2)引用文献に記載された発明 ア 上記(1)アの記載によれば、引用文献には、 「窒化物半導体基板である下部コンタクト層と、 InGaNからなる第1層と、GaNからなる第2層と、を含む超格子構造であると共に、暗色領域を有する光吸収層と、 窒化物半導体からなる活性層と、 前記光吸収層と前記活性層との間に、前記光吸収層から順に、InGaN層と、GaN層と、 窒化物半導体からなる上部コンタクト層と、を順に備える半導体レーザ素子。」が記載されているものと認められる。 イ 上記(1)イないしエの記載を踏まえて、図1及び図2を見ると、上記アの「半導体レーザ素子」は、具体的には、 「n型導電性を示すGaN基板101上に、 In_(0.12)Ga_(0.88)N層102aとGaN層102bを1周期として、合計15周期の総膜厚750nmの光吸収層102と、 In_(0.03)Ga_(0.97)N層103と、 GaN層104と、 下部クラッド層105と、 下部ガイド層106と、 窒化物半導体からなる活性層107と、 キャリア閉じ込め層108と、 上部ガイド層109と、 上部クラッド層110と、 p型導電性を示すGaN層111と、 を順に備える半導体レーザ素子。」であってもよいものと認められる。 ウ また、上記(1)エの「<実施例1>」の記載からして、以下のことが理解できる。 (ア)上記イの「n型導電性を示すGaN基板101」の上に、下地層(Al_(0.02)Ga_(0.98)N)を設け、さらに、その上に、電圧オフセット低減層(GaN)を設けてもよいこと。 (イ)上記イの「下部クラッド層105」は、「Al_(0.08)Ga_(0.92)N」であること。 (ウ)上記イの「下部ガイド層106」は、「GaN」であること。 エ 上記アないしウより、引用文献には、実施例1に関する次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「n型導電性を示すGaN基板101上に、 下地層(Al_(0.02)Ga_(0.98)N)と、 電圧オフセット低減層(GaN)と、 In_(0.12)Ga_(0.88)N層とGaN層を1周期として、合計15周期の総膜厚750nmの光吸収層102と、 In_(0.03)Ga_(0.97)N層103と、 GaN層104と、 下部クラッド層(Al_(0.08)Ga_(0.92)N)105と、 下部ガイド層(GaN)106と、 窒化物半導体からなる活性層107と、 キャリア閉じ込め層108と、 上部ガイド層109と、 上部クラッド層110と、 p型導電性を示すGaN層111と、 を順に備える半導体レーザ素子。」 2 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下の点で一致する。 <一致点> 「n側領域と、活性領域と、p側領域と、を順に備える半導体レーザ素子であって、 前記n側領域は、 前記n側領域中において最小のバンドギャップエネルギーを有する光吸収部と、 前記光吸収部の前記活性領域に近い側に接して設けられ、前記光吸収部に近づくにつれてバンドギャップエネルギーが小さくなると共に前記光吸収部との屈折率差が小さくなる第1組成傾斜部と、 前記光吸収部の前記活性領域から遠い側に接して設けられ、前記光吸収部よりもバンドギャップエネルギーが大きく、かつ前記光吸収部との屈折率差が大きい第2組成部と、を有する、半導体レーザ素子。」 イ 一方、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1> 光吸収部に関して、 本願発明1は、「In_(a)Ga_(1-a)N(0<a<1)からなる、厚みが10nm以上500nm以下の層」であるのに対して、 引用発明は、「In_(0.12)Ga_(0.88)N層とGaN層を1周期として、合計15周期の総膜厚750nmの層」である点。 <相違点2> 本願発明1は、「光吸収部から離れるにつれてバンドギャップエネルギーが大きくなると共に前記光吸収部との屈折率差が大きくなる第2組成傾斜部」を有し、「第1組成傾斜部及び第2組成傾斜部は、In_(b)Ga_(1-b)N(0<b≦a)からIn_(c)Ga_(1-c)N(0≦c<b)へ連続的に変化する組成を有し、前記aは前記bと同じ値である」のに対して、 引用発明は、第2組成傾斜部は有しておらず、第1組成傾斜部については、In_(0.03)Ga_(0.97)N層103とGaN層104の2層構造である点。 (2)判断 ア 上記<相違点1>について検討する。 (ア)引用文献の【0005】における「…Inの量を多くすると結晶性が悪化してしまい、その後に成長する他の層を結晶性良く成長できないという問題があった。」及び【0015】における「…そこで、光吸収層102を、第1層102aのみで構成するのではなく、暗色領域の発生には関与しないがInを含まないがゆえに結晶性に優れた第2層102bを含めた超格子構造としている。」(摘記イを参照。)などの記載からして、 引用発明において、「In_(0.12)Ga_(0.88)N層とGaN層を1周期として、合計15周期の総膜厚750nmの光吸収層102」、つまり、超格子構造を採用する技術的意義は、Inを含むことによる結晶性の悪化を防止することにあるものと解される。 (イ)そうすると、引用発明において、超格子構造を「(単層の)In_(a)Ga_(1-a)N(0<a<1)からなる層」とすることには、阻害要因があるといえる。 (ウ)よって、引用発明において、上記<相違点1>に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 イ 以上のことから、上記<相違点2>について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本願発明2ないし本願発明6について 本願発明2ないし本願発明6は、本願発明1の発明特定事項をすべて備えていることから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 当審の判断のまとめ 本願発明1ないし本願発明6は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない 第6 原査定についての判断 1 原査定は、要するに、引用文献1(特開2012-238679号公報)に記載された「(高濃度にドーピングされた)電圧オフセット低減層(GaN)」を、引用文献2(特開平6-140721号公報)に記載された「組成の変化をグレーデッドにする層」に置換することは、当業者にとって容易であるから、請求項1ないし9に係る発明は、当業者が容易に発明できたものであるというものである。 2 しかしながら、引用文献2に記載された発明は、その請求項1の記載からして、ヘテロ界面近傍で高濃度不純物ドーピング領域を形成することによりキャリアを供給し、スパイク幅を減らすことに特徴のある発明であって、引用文献2の【0008】には、グレーデッド層の形成は、工程の大幅な増加を招いたり、歩留まりが低下するという問題のあることが指摘されている。 3 そうすると、引用文献1に記載された「(高濃度にドーピングされた)電圧オフセット低減層(GaN)」を、引用文献2に記載された「組成の変化をグレーデッドにする層」に変更する動機が生じるものではない。 また、引用文献1に記載された発明について、相違点1を備えることが当業者が容易でないことは、上記「第5 2(2)」で検討したとおりである。 4 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし本願発明6は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-02-04 |
出願番号 | 特願2013-136765(P2013-136765) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01S)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 百瀬 正之 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 近藤 幸浩 |
発明の名称 | 半導体レーザ素子 |