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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08F
管理番号 1348744
異議申立番号 異議2018-700858  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-18 
確定日 2019-02-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6314211号発明「高吸収性を有する超吸収性ポリマー及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6314211号の請求項1?20に係る特許を維持する。 
理由
第1 手続の経緯

特許第6314211号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?20に係る特許についての出願は、平成26年4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年5月15日 ドイツ)を国際出願日とする特許出願(特願2016-513268号)に係るものであって、平成30年3月30日にその特許権の設定登録がされたものである(特許掲載公報の発行日は、同年4月18日である。)。
その後、同年10月18日付けで特許異議申立人 株式会社日本触媒(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1?20)がされたものである。

第2 本件特許発明

本件特許の請求項1?20に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」?「本件特許発明20」といい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
吸水性ポリマー組成物の製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%の、重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合することを特徴とする方法。
【請求項2】
ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%の、重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル類から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合することを特徴とする方法。
【請求項3】
前記界面活性剤が、少なくとも1つのエチレングリコール単位と、前記エチレングリコール単位とは異なる、炭素原子数が3?6の少なくとも1つのアルキレングリコール単位と、からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が、少なくとも1つのエチレングリコール単位と、プロピレングリコール及びブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの他の単位と、からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記界面活性剤が、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも1つの末端官能基と、水酸基及びR基でエーテル化又はO=CR基でエステル化されていてもよい水酸基からなる群から選択される非重合性末端官能基を含み、
前記R基が、直鎖又は分岐状のC_(3)-C_(4)アルキル基およびC_(6)-C_(9)アルキルアリール基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記不飽和ポリエーテル界面活性剤が、下記式で表される化合物であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【化1】

式中、アルキレングリコール単位(C_(2)H_(4)O)及び(C_(q)H_(2q)O)は、ランダム状又は勾配状に分布しており、R_(1)は、-H又は-CH_(3)であり、R_(2)は、メチレンであり、R_(3)は、-H、直鎖又は分岐状のC_(1)-C_(7)アルキル基、C_(6)-C_(9)アルキルアリール基又はC_(1)-C_(7)アシル基であり、qは、3?4の数であり、n及びmは、4?8の数である。
【請求項7】
前記界面活性剤及び前記発泡剤を前記モノマー溶液に同時に添加することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記発泡剤が、無機粒子の粉末からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡剤が、炭酸ナトリウム粒子からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記発泡剤が、10?900μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1?9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記発泡剤の35重量%超が100?300μmの粒径を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記吸水性ポリマー組成物又は前記ヒドロゲルポリマーが、0.30?0.70のFSRを有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記吸水性ポリマー組成物又は前記ヒドロゲルポリマーが、50mN/mを超える表面張力(ST)を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記吸水性ポリマー組成物又は前記ヒドロゲルポリマーが、30?200の透過率(SFC(1.5g))を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項15】
請求項1?14のいずれか1項に記載の方法によって得られる吸水性ポリマー。
【請求項16】
請求項15に記載の吸水性ポリマーを含む複合体。
【請求項17】
請求項15に記載の吸水性ポリマーと助剤とを互いに接触させることを特徴とする、複合体の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法によって得られる複合体。
【請求項19】
請求項15に記載の吸水性ポリマー又は請求項18に記載の複合体を含む、吸液性衛生用品。
【請求項20】
請求項15に記載の吸水性ポリマー又は請求項16に記載の複合体の、吸液性衛生用品における使用。」

第3 特許異議申立理由の概要

申立人は、証拠方法として、以下の甲第1?7号証を提出し、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)において概ね次の取消理由(以下、「取消理由1」?「取消理由8」という。)を主張している。

取消理由1(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第1号証に記載された発明と甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由2(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第2号証に記載された発明と甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由3(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第3号証に記載された発明と甲第1?2、5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由4(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第4号証に記載された発明と甲第1?2、5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由5(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第5号証に記載された発明と甲第1?3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由6(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第6号証に記載された発明と甲第1?5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由7(進歩性)
本件特許発明1?20は、甲第7号証に記載された発明と甲第1?5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項1?20に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由8(サポート要件)
本件特許の請求項1?2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

・証拠方法
甲第1号証:特表2001-503310号公報
甲第2号証:特表2002-515079号公報
甲第3号証:国際公開第2013/007819号
甲第3号証-1:甲第3号証の日本語部分翻訳
甲第4号証:米国特許第6107358号明細書
甲第4号証-1:甲第4号証の日本語部分翻訳
甲第5号証:国際公開第2012/143235号
甲第5号証-1:甲第5号証の日本語部分翻訳
甲第6号証:国際公開第96/17884号
甲第7号証:国際公開第2011/078298号

第4 各甲号証に記載の事項及び同号証に記載された発明

1 甲第1号証に記載された事項及び同号証に記載された発明

(1)甲第1号証に記載された事項

「【特許請求の範囲】
1.部分的に中和されたモノエチレン性不飽和の、酸基含有モノマー、該モノマーと共重合可能な任意的である他のモノマー、及びグラフトベースとして適する任意的であるポリマーからなる、液体吸収性架橋ポリマーであって、
I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせからなる架橋剤を用いて製造することができることを特徴とする液体吸収性架橋ポリマー。
・・・
5.請求項1-4のいずれか一項のポリマーであって、前記架橋剤の組み合わせがモノマーに対して、0.3-1.0重量%の量で使用されることを特徴とする前記ポリマー。
・・・
7.請求項1-6のいずれか1項のポリマーであって、前記不飽和で酸基含有のモノマーが、アクリル酸,メタクリル酸、ビニル酢酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸からなる群から選ばれることを特徴とする前記ポリマー。
・・・
16.請求項1-9のいずれか1項に記載の液体吸収性架橋ポリマーの製造法であって、不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマー、及び
I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせからなる架橋剤
の水溶液が、溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロケルに重合され、破砕され、乾燥され、粉砕され、篩別されることを特徴とする前記製造方法。」

「実に驚くべきことに、酸基含有モノマーに基づき、かつそれ自体公知である2種の予備架橋剤I及びII:
I. CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせ並びにその後の再架橋により製造される超吸収体を用いると、30g/g以上の保持力、20g/g以上の圧力下吸収量、12%以下の可溶分(16時間)、そして同時に40秒以下という膨潤速度により示される高い液体吸収速度を示す製品が得られることがわかった。
予備架橋剤I、即ちポリグリコールモノ(メタ)アリルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アリル官能基、(メタ)アクリル酸エステル官能基、およびこれら二つの官能基の間に挿入され、少なくとも3個、好ましくは5ないし20個、もっとも好ましくは8ないし12個のグリコール単位からなる親水性の鎖を有する。好適なグリコール単位としては、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール単位の両方が挙げられ、これらは単独でも混合していてもよい。混合している場合には、ランダムおよびブロックのアルコキシレートがいずれも適している。エチレングリコール/ポリエチレングリコールの混合鎖も純粋なプロピレングリコール鎖も使用することができるが、純粋なポリエチレングリコール鎖が好ましい。」(第11頁第3-27行)
「予備架橋剤II、即ちポリヒドロキシル化合物の(メタ)アクリル酸エステルは、アルコール官能基が(メタ)アクリル酸エステルに転化された多官能性アルコールである。好適なポリヒドロキシル化合物としては、例えばトリメチロールプロパン、エチレングリコール、ポロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、又はこれらのエトキシル化ホモローグ、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。工業的製品において有り得るようにヒドロキシル基の一部はエステル化されない状態で残っているエステルも含まれる。特に、架橋剤IIとしては、通常モノマー溶液に溶けにくい(メタ)アクリル酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン-3EO-トリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートを使用することもできる。というのはこれらは架橋剤Iによって溶液状態に保たれるからである。
タイプIIの予備架橋剤は商業的に入手することができる。実施例で使用したCraynor CN 435は15-EO-トリメチロールプロパンのトリアクリル酸エステルである。Craynor SR 351はトリメチロールプロパンのトリアクリル酸エステルである。どちらの製品もCray-Valley Companyによって製造されている。
予備架橋剤Iは架橋剤混合物に対して40ないし90、好ましくは40ないし80、最も好ましくは60ないし80モル%で使用され、予備架橋剤IIは架橋剤混合物に対して10ないし60、好ましくは20ないし60、最も好ましくは20ないし40モル%で使用される。不飽和酸モノマー成分に対してはこの架橋剤の組み合わせは0.1ないし2重量%、好ましくは0.3ないし1.0重量%の濃度で使用される。
・・・特に、本発明による架橋剤の組み合わせと二次架橋との組み合わせによる利点は触れられてもいないし認識されてもいない。」(第12頁第10行?第13頁第14行)
「本発明による重合の過程は種々の条件によって開始することができる。例えば、放射線、電磁線または紫外線の照射によって、あるいは二成分、例えば亜硫酸水素ナトリウムと過硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸と過酸化水素、のレドックス反応によって開始してもよい。いわゆるラジカル開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過硫酸ナトリウム、t-ブチルハイドロパーオキサイドもしくはジベンゾイルパーオキサイドの熱により誘発される分解も重合を開始するのに使用することができる。更に、上記した方法のいくつかを組み合わせることもできる。本発明によると、重合は過酸化水素とアスコルビン酸との間のレドックス反応によって開始することが好ましく、過硫酸ナトリウムおよび/または2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸アミド)ジヒドロクロリドの熱的に誘発される分解によって完了される。」(第14頁第18-28行)
「本発明の親水性超吸収体は水性液体が吸収される必要があるいかなるところにも使用される。例えばこのような製品の公知の応用、即ち赤ん坊用のおむつや大人用の失禁製品の形をした衛生用品、生理用ナプキン、傷にあてるパッチ、食料の包装;植物栽培における農業、ケーブルの絶縁材、紙、水溶性ポリマーおよび熱可塑性材料および発泡体でできた吸収性シート材料;有効成分を周囲に除放するための担体が挙げられる。」(第17頁第26行-第18頁第2行)
「以下の例は、本発明に従って使用される架橋剤の製造を示し、また本発明によるポリマーの製造およびその特性を示すものである。「試験法」の項には、超吸収体の特性の測定方法が説明されている。
試験法
1.保持力(Retention;TB)
保持力は、EP514724(4頁6-22行)に記載の方法により測定される。
2.圧力下の液体吸収量(Liquid Absorption under Pressure;AUP)
圧力下の液体吸収量(21g/cm^(2)および49g/cm^(2)にそれぞれ対応する0.3psiおよび0.7psiにおけるAUP)は、US5 314 420の9頁28ff行に記載の方法により測定される。0.9%の食塩溶液が測定液として使用される。
3.可溶性成分(Soluble Constituents;SC)
可溶性成分(1時間および16時間)は、US4 654 039に記載の方法により測定される。ただし、試験液としては、合成尿の代りに0.9%の食塩溶液が使用される。
4.膨潤速度(Swell rate;SR)
ポリマーの膨潤速度(SR)は、次の方法で測定される。(US4 654 039に従って調製された)合成尿溶液20gを秤量し、細いビーカーに入れる。試験に用いるポリマー1gを測定し、直径5cmの円筒形の皿真中に入れる。超吸収性をもつ当該ポリマー粉末を、少し振って、この皿の底全体に一様に分布させる。この皿の底から1cmの高さにあるホッパーの先から、この合成尿溶液を一度に注ぐ。この時から時間測定を開始する。時間の測定は、液体がなくなると同時に終了する。

例1:(アリルアルコールと5モルのエチレンオキサイドとの反応)
攪拌機つきの5L容オートクレーブの中に、アリルアルコール(メルク社)464.8gと25%ナトリウムメチラート溶液4gを入れる。そしてチッ素を導入し、5バールまで上げ、次に1バールまで下げることを5回行い、酸素を取り除く。続けてチッ素を流しながら、反応器内容物を70℃まで加熱し、触媒によって持込まれるメタノールを取り除く。その後、反応器を閉じ、140℃まで加熱し、全圧3?6バールで30分以内にエチレンオキサイド1760gを導入する。生成物として、淡黄色液体2210gが得られる。その特性は、表1に示されている。
例2(アリルアルコールと10モルのエチレンオキサイドの反応)
アリルアルコール290.5g(5モル)と固体のKOH(85%)2.5gを用意し、例1と同様にして、不活性にする。エチレンオキサイド2200g(50モル)を4?6バール、反応温度140℃で1時間以内に導入する。生成物として淡黄色液体2480gが得られる。その特性は、表1に示されている。
例3(アリルアルコールと20モルのエチレンオキサイドとの反応)
例2の生成物1495.8g(3モル)を5L容オートクレーブの中に用意し、例1の手順に従って、不活性にする。そしてエチレンオキサイド1320g(30モル)と140℃で1時間以内反応させる。黄色固体2805gが得られる。その特性が表1に示されている。
表1 生成したエトキシレート(ethoxylates)の特性

例4(10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル AAA-10):
例2の10-EO-アリルアルコール245g(0.726モル)をアクリル酸155.6g(2.16モル)とp-メトキシフェノール0.8gと共に、このp-メトキシフェノールが完全に溶解するまで、20℃でかき混ぜる。次に硫酸2.2gを加える。これら全部を圧力800ミリバールで90℃に加熱し、均一な気流をガスフリット(gas frit)を通して入れる。90℃に達した時、真空度を400ミリバールに高め、それから蒸留を開始する。約3?4時間後には留出物が流出しなくなる。そこで、反応を完了させるために、真空度を100ミリバールに高める。更に2時間後、そのバッチを冷却して取り出す。淡黄色のオイル451gが得られる。酸価(acid number):69.1mgKOH/g、けん化価(saponification number):175.6mgKOH/g、エステル化度(degree of esterfication):99%。
例5(5-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル AAA5):
例1の5-EO-アリルアルコール275g(1モル)、p-メトキシフェノール0.8g、アクリル酸216.3g(3モル)、及び硫酸2.0gを、例4と同様に反応させる。黄色のオイル385gが得られる。酸価:76.5mgKOH/g、けん化価:237.4mgKOH/g、エステル化度:94.5%
例6(20-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル AAA20):
例3の20-EO-アリルアルコール445.3g(0.42モル)、p-メトキシフェノール0.8g、アクリル酸216.4g(3モル)および硫酸2.0gを例4と同様に反応させる。橙色のワックス547gを得る。酸価:68.5mgKOH/g、けん化価:126.1mgKOH/g、エステル化度:97%
例7(20-EO-アリルアルコールのメタクリル酸エステル MAA20)
例3の20-EO-アリルアルコール445.3g(0.42モル)、p-メトキシフェノール0.8g、メタクリル酸385g(4.53モル)および濃硫酸4gを、例4と同様に反応させる。ただし、反応時間を2倍にし、反応終了時の真空度を20ミリバールに高める。固形生成物555gを得る。酸価:103.5mgKOH/g、けん化価:158.3mgKOH/g、エステル化度:93.9%
例8(5-EO-アリルアルコールのメタクリル酸エステル MAA5)

例1の5-EO-アリルアルコール275g(1モル)をp-メトキシフェノール0.8g、メタクリル酸516.6g(6.08モル)および濃硫酸2gと、例7と同様に反応させる。黄色の液体が得られる。酸価:98.1mgKOH/g、けん化価:247.8mgKOH/g、エステル化度:91.6%例9(10-EO-アリルアルコールのメタクリル酸エステル MAA10)
例2の10-EO-アリルアルコール479.5g(1.01モル)、p-メトキシフェノール0.8g及びメタクリル酸258.3g(3.04モル)を、例7と同様に反応させる。黄色のオイル680gが得られる。酸価:99.5mgKOH/g、けん化価:196.0mgKOH/g、エステル化度:94%
以下の(例10-17と比較例C1-C5)に記載の重合バッチの製造は、次の一般的な方法に従った。
a)出発製品
円筒形のプラスチック容器の中で、本実験で使用される架橋剤と共に、アクリル酸265.2gと脱イオン水372.4gから成るモノマー溶液が調製される。冷却と撹拌をしながら、50%カセイソーダ溶液206.1gで部分中和を行う(中和度70%)。その溶液を7?8℃まで冷却し、モノマー溶液中の酸素の含有量が0.2ppm以下の値に低下するまで、チッ素を通気し続ける。
次に、脱イオン水10gに溶解したアゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加える。それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012gを添加することにより、重合が開始すると、それに伴い温度がかなり上昇する。その後、得られたポリマーを細かく刻み、空気循環乾燥器の中で140℃で破砕し、粉砕し、篩分けして粒度画分150?850μmを得る。
例18および比較例C6-C10の重合は、上述の一般的な製造指針に従って行われる。しかし、炭酸ナトリウムは添加しない。
b)二次的な架橋
150?800μmに篩分けされた粉砕ポリマー100gを、MTIミキサー(a mixer of MTI)の中で炭酸エチレン(ethylene carbonate)0.5gと脱イオン水1.5gから成る溶液と強くかき混ぜ、湿潤させ、次にそれをオーブンの中で温度180℃で30分間加熱する。
添付資料1の表は、例10-18と比較例C1-C10のポリマーの組成と特性を示している。
この表は、本発明の例10-18が優れた特性を合わせもつポリマーを提供することを示している。すなわち:
保持力>30g/gであり、圧力(21g/cm^(2))下の吸収量>30g/gであり、圧力(49g/cm^(2))下の吸収量>20g/gであり、膨潤速度<40秒であり、しかも可溶性成分(16時間)<12%である。」(第18頁第3行-第22頁第13行)


」(第24頁)

(2)甲第1号証に記載された発明

ア 甲第1号証の、特に、特許請求の範囲、請求項1、5、7、16の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲1発明a」という。)。

<甲1発明a>

「部分的に中和されたモノエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、該モノマーと共重合可能な任意的である他のモノマー、及びグラフトベースとして適する任意的であるポリマーからなる、液体吸収性架橋ポリマーであって、
I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせからなる架橋剤が、モノマーに対して、0.3-1.0重量%の量で使用される液体吸収性架橋ポリマーの製造方法であって、
不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマー、及び
I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせからなる架橋剤
の水溶液が、溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロケルに重合され、破砕され、乾燥され、粉砕され、篩別されることを特徴とする液体吸収性架橋ポリマーの製造方法。」

イ 甲第1号証の第19頁下から2行-第20頁第11行、第21頁第12-27行、第24頁の表の実施例10の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲1発明b」という。)。

<甲1発明b>

「円筒形のプラスチック容器の中で、架橋剤Iとして10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル(AAA-10EO)0.53g(0.96mmol)、架橋剤IIとしてクレイ・バレイ(Cray Valley)のトリメチロールプロパン・トリアクリレート(SR351)0.27g(1.03mmol)
と共に、アクリル酸265.2gと脱イオン水372.4gから成るモノマー溶液が調製され、冷却と撹拌をしながら、50%カセイソーダ溶液206.1gで部分中和を行い(中和度70%)、その溶液を7?8℃まで冷却し、モノマー溶液中の酸素の含有量が0.2ppm以下の値に低下するまで、チッ素を通気し続け、次に、脱イオン水10gに溶解したアゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加え、それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012gを添加することにより、重合が開始し、その後、得られたポリマーを細かく刻み、空気循環乾燥器の中で140℃で破砕し、粉砕し、篩分けして粒度画分150?850μmを得る液体吸収性架橋ポリマーの製造方法。」

2 甲第2号証に記載された事項及び同号証に記載された発明

(1)甲第2号証に記載された事項

「【特許請求の範囲】
1.部分的に中和されたモノエチレン性不飽和の、酸基含有モノマー、任意的である該モノマーと共重合可能な他のモノマー、及びグラフトベースとして適する任意的であるポリマーからなる、水性液体吸収性架橋ポリマーであって、
I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤の組合せを用いて製造することができることを特徴とする前記ポリマー。
・・・
3.請求項1のポリマーであって、前記架橋剤が、モノマーに対し、
I)0.1-0.4重量%、
II)1.0-3.5重量%、そして、
III)0.05-0.3重量%、
で使用されることを特徴とする前記ポリマー。
・・・
16.請求項1-7の水性液体吸収性架橋ポリマーの製造法であって、不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマーと、
I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤混合物の水溶液が、溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロゲルに重合され、破砕され、乾燥され、粉砕され、篩別されることを特徴とする前記製造方法。」

「モノエチレン性不飽和酸基を有する、部分中和されたモノマー及び場合によりこれと共重合可能な任意的であるモノマー並びにグラフトベースとして好適な任意的成分である水溶性重合体で構成される、水性液体を吸収する架橋重合体であって、
I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤の組合せを用いて製造され、次いで表面架橋させられたものであるが、30g/gを超える保持力を有し、20g/gを超える圧力63g/cm^(2)下での液体吸収力(AUL0.9psi)を示し、またその1時間後の可溶分は6.5%未満であり、16時間後の可溶分は10%未満であり、更にゲル層内での浸透性は、少なくとも15g/g、好ましくは20g/g AAP50-A_(X)による少なくとも50%のテスト(吸収表面をx%減少させた、圧力に抗する吸収量)を使用可能にすることが意外にも見い出された。本発明により達成される、AAP-A_(X)重合体構造における荷重50g/cm^(2)での好ましくは少なくとも60%の吸収能力によって、該重合体と表面架橋剤間に、改良された耐久性性のある架橋が生じる。これは、表面架橋の安定性を測定する荷重テスト後、AUL(63g/cm^(2))がなお18g/gを超える値を有するという事実に示される。またこれは並外れて安定な表面架橋及び表面架槁剤による極めて徹底した反応を示唆している。
こうして発明した式Iの架橋剤は、(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基、並びに少なくとも3個、好ましくは5?20個のエチレンオキサイド単位からなる、これら2つの官能基間に位置する親水性鎖を有する。エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド混合鎖の使用も可能である。これはランダム又はブロック共重合体として製造できる。重合される単量体溶液への架橋剤の溶解性はEO/PO単位の関係によって調整できる。該架橋剤は、例えばアルコキシル化アリルアルコールの(メタ)アクリル酸によるエステル化によって製造できる。この新規に発明された架橋剤には、製造方法の故に原料成分が残存する可能性はあるが、該超吸収剤の特性にマイナスの効果を与えるものではない。式Iの架橋剤又はそれらの混合物はモノマー全量に対し、0?1.0重量%、好ましくは0.05?0.6重量%、より良くは0.1?0.4重量%の割合で使用される。
式IIの架橋剤とともに使用される新規発明の単量体は、好ましくはポリアルキレングリコール類から誘導された、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アリルアルコールエーテルである。好ましいタイプは末端にアルキル残基を有するポリオキシアルキレングリコール鎖である。該アルキル残基中の炭素数は1?10の範囲、好ましくは1?7の範囲、更に好ましくは1?4の範囲である。アルキル基を選ぶ際、単量体の界面活性特性に注意すべきであり、また必要ならば、その点を考慮して、泡の形成を避けるように、アルキル残基を調整しなければならない。泡は重合方法によっては中断作用を有する可能性があるからである。このポリオキシアルキレングリコール鎖は、好ましくはエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドで構成され、そのためEO/PO比により水性単量体溶液への架橋剤の溶解度を調整することができる。ポリオキシアルキレングリコール鎖中のアルキルグリコール単位の含有量は、1?45個の範囲、好ましくは1?30個の範囲、最善では5?25個の範囲である。式IIの単量体又はその混合物は単量体全量に対し、0.1?10重量%以下、好ましくは0.5?5重量%、更に好ましくは1.0?3.5重量%で使用される。IIで述べた単量体は、市販品として入手でき、例えばメチルポリエチレングリコールメタクリレートはInterorgana社からBisomerMPEG(x)MA(x=350,1000,2000)という名称で入手できる。」(第12頁第28行-第14頁第27行)
「水性液体を吸収するための新規な発明の重合体は、酸基を有するエチレン性不飽和単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、マレイン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メチル)アリルスルホン酸又はそれらの混合物から選ばれるものを、成分I、II及びIIIの架橋剤/単量体の組合せの存在下に重合することにより得られる。該単量体混合物中のこれら酸性単量体の割合は55?99重量%である。」(第16頁第5-10行)
「新規発明の親水性超吸収剤は水性液体を吸収する必要のあるところではどこでも使用される。例えば小さい子供用のおしめや大人用の失禁製品の形の衛生用品;婦人用のナプキン;石膏;食品包装;植物栽培用の農業分野;ケーブルの絶縁材;紙、水溶性重合体、並びに熱可塑性人工の材料及び発砲体で作った吸収層、さらに、環境に対し有効物質を徐放する有効物質用の担体での超吸収剤といった一般に知られた用途が挙げられる。」(第19頁第1-7行)
「例
比較例1
a)水酸化ナトリウム溶液で70モル%まで部分中和されたアクリル酸、(アクリル酸に対して)3.5重量%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、(アクリル酸に対して)0.35重量%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび(アクリル酸に対して)0.4重量%の炭酸ナトリウムから成る33%のモノマー溶液400kg/hに、連続的にチッ素を流し、4-5℃で次の触媒溶液と混合する。触媒溶液は、100ppmの過酸化水素、150ppmのナトリウムパーオキサイドサルフェート(sodium peroxide sulfate)および100ppmのアゾイソブチロアミジンジヒドロクロリド(azoisobutyroamidine dihydrochloride)から成る。
無限のループ(on an endless loop)で連続重合を行うために、15ppmのアスコルビン酸を加える。重合時間40分後、生成したゲルは小片にされ、ベルト乾燥器の上で空気温度160℃で乾燥される。

粉砕し、篩分けで、150-850μmとした後、得られたポリマーは、一時的に保管される。
出発製品の特性:
保持力:39.5g/g
1時間後の可溶分:9.3%
16時間後の可溶分:14.1%
b)出発製品の再架橋
比較1a)で得られた粉末状ポリマーは、パドルミキサー(2000rpm)の中で、炭酸エチレン1部と水2部から成る1.5%溶液が、80kg/hの割合でスプレーされ、加熱された混合エレメントを備えるパドル乾燥機内で加温される。
スチーム温度:190℃
加熱面積: 1.6m^(2)
平均保持時間:20分
製品を冷却した後、保護的篩分け(protective sieving)が850μmで行われる。
再架橋後の製品の特性:
保持力:33.5g/g
AuL(21g/cm^(2)):31g/g
AUL(63g/cm^(2)):18g/g
1時間後の可溶成分:6.4%
16時間後の可溶成分:11.0%
SG:33s
AUL(63g/cm^(2))n.SDOV:12g/g
QD(20’):496g」(第22頁第10行-第23頁第21行)

「例1
a)比較例1a)におけると同様に、アクリル酸に対して、3.5%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、0.2%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび0.3%のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレートを含有する、70モル%まで部分中和されたアクリル酸の溶液を重合させ、粉末状の樹脂に加工する。この樹脂は次の特性を有する。
保持力:41g/g
1時間後の可溶分: 6.1%
16時間後の可溶分:9.5%
b)再架橋
例1a)により製造された粉末状ポリマーが、比較例1b)におけると同様に後処理されて、次の特性を持つ:
保持力:34g/g
AUL(21g/cm^(2)):34g/g
AUL(63g/cm^(2)):25.5g/g
1時間後の可溶成分:4.8%
16時間後の可溶成分:9.4%
SG:30s
SDOVによるAUL(63g/cm^(2)):19g/g
QD(20’):810g」(第24頁第12行-第25頁第4行)

(2)甲第2号証に記載された発明

ア 甲第2号証、特に、特許請求の範囲1、3、16の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、甲2発明aという。)。

<甲2発明a>
「部分的に中和されたモノエチレン性不飽和の、酸基含有モノマー、任意的である該モノマーと共重合可能な他のモノマー、及びグラフトベースとして適する任意的であるポリマーからなる、水性液体吸収性架橋ポリマーであって、
I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤の組合せを用いて製造することができ、前記架橋剤が、モノマーに対し、
I)0.1-0.4重量%、
II)1.0-3.5重量%、そして、
III)0.05-0.3重量%、
で使用されることを特徴とする水性液体吸収性架橋ポリマーの製造方法であって、不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマーと、
I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤混合物の水溶液が、溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロゲルに重合され、破砕され、乾燥され、粉砕され、篩別される水性液体吸収性架橋ポリマーの製造方法。」

イ 甲第2号証、特に、第22頁第11行-第23頁第21行の比較例1の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲2発明b」という。)

<甲2発明b>
「a)水酸化ナトリウム溶液で70モル%まで部分中和されたアクリル酸、(アクリル酸に対して)3.5重量%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、(アクリル酸に対して)0.35重量%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび(アクリル酸に対して)0.4重量%の炭酸ナトリウムから成る33%のモノマー溶液400kg/hに、連続的にチッ素を流し、4-5℃で次の触媒溶液と混合し、触媒溶液は、100ppmの過酸化水素、150ppmのナトリウムパーオキサイドサルフェート(および100ppmのアゾイソブチロアミジンジヒドロクロリドから成り、無限のループで連続重合を行うために、15ppmのアスコルビン酸を加え、重合時間40分後、生成したゲルは小片にされ、ベルト乾燥器の上で空気温度160℃で乾燥され、粉砕し、篩分けで、150-850μmとした後、得られるポリマーの製造方法。」

ウ 甲第2号証、特に、第24頁第12行-第25頁第4行に記載の例1を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲2発明c」という。)

<甲2発明c>
「アクリル酸に対して、3.5%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、0.2%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび0.3%のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレートを含有する、70モル%まで部分中和されたアクリル酸の溶液を重合させ、粉末状の樹脂に加工する製造方法。」

3 甲第3号証に記載された事項及び同号証に記載された発明

(1)甲第3号証に記載された事項


「1 . Verfahren zur Herstellung wasserabsorbierender Polymerpartikel durch Polymerisation einer Monomerlosung oder -suspension, enthaltend

a) mindestens ein ethylenisch ungesattigtes, sauregruppentragendes Monomer, das zumindest teilweise neutralisiert sein kann,
b) mindestens einen Vernetzer,
c) mindestens einen Initiator,
d) optional ein oder mehrere mit den unter a) genannten Monomeren copolymerisierbare ethylenisch ungesattigte Monomere und
e) optional ein oder mehrere wasserlosliche Polymere,

dadurch gekennzeichnet, dass die Monomerlosung oder -suspension mindestens ein ethylenisch ungesattigtes, ionisches Tensid enthalt.」(第29頁第3-15行)
(当審訳:「1.
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つのエチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意に、a)に記載されたモノマーと共重合しうる、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーおよび
e)任意に、1つ以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー溶液またはモノマー懸濁液を重合させることによって、吸水性ポリマー粒子を製造する方法であって、
前記のモノマー溶液またはモノマー懸濁液が少なくとも1つのエチレン性不飽和のイオン性界面活性剤を含有することを特徴とする、前記方法。」)

「Ganz besonders bevorzugte Vernetzer b) sind die mit Acrylsaure oder Methacrylsaure zu Dioder Triacrylaten veresterten mehrfach ethoxylierten und/oder propoxylierten Glyzerine, wie sie beispielsweise in WO 2003/104301 A1 beschrieben sind. Besonders vorteilhaft sind Di- und/oder Triacrylate des 3- bis 10-fach ethoxylierten Glyzerins. Ganz besonders bevorzugt sind Di- oder Triacrylate des 1- bis 5-fach ethoxylierten und/oder propoxylierten Glyzerins. Am meisten bevorzugt sind die Triacrylate des 3- bis 5-fach ethoxylierten und/oder propoxylierten Glyzerins, insbesondere das Triacrylat des 3-fach ethoxylierten Glyzerins.」(第5頁第5-11行)
(当審訳:「殊に好ましい架橋剤b)は、例えばWO 2003/104301A1に記載されている、アクリル酸またはメタクリル酸でジアクリレートまたはトリアクリレートへとエステル化された、数回エトキシル化された、および/またはプロポキシル化されたグリセリンである。3?10回エトキシル化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートは、特に好ましい。1?5回エトキシル化された、および/またはプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートは、殊に好ましい。3?5回エトキシル化された、および/またはプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に3回エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートは、最も好ましい。」)

「Die Polymerpartikel konnen zur weiteren Verbesserung der Eigenschaften oberflachennachvernetzt werden. Geeignete Oberflachennachvernetzer sind Verbindungen, die Gruppen enthalten, die mit mindestens zwei Carboxylatgruppen der Polymerpartikel kovalente Bindungen bilden konnen. Geeignete Verbindungen sind beispielsweise polyfunktionelle Amine, polyfunktionelle Amidoamine, polyfunktionelle Epoxide, wie in EP 0 083 022 A2, EP 0 543 303 A1 und EP 0 937 736 A2 beschrieben, di- oder polyfunktionelle Alkohole, wie in DE 33 14 019 A1 , DE 35 23 617 A1 und EP 0 450 922 A2 beschrieben, oder β-Hydroxyalkylamide, wie in DE 102 04 938 A1 und US 6,239,230 beschrieben.」(第8頁第35-42行)
(当審訳:「前記ポリマー粒子は、前記性質のさらなる改善のために表面後架橋されていてよい。適した表面後架橋剤は、前記ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共役結合を形成しうる基を含む化合物である。適した化合物は、例えば欧州特許出願公開第0083022号明細書A2、欧州特許出願公開第0543303号明細書A1および欧州特許出願公開第0937736号明細書A2中に記載された多価アミン、多価アミドアミン、多価エポキシド、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3314019号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3523617号明細書A1および欧州特許出願公開第0450922号明細書A2中に記載された二価アルコールまたは多価アルコール、または例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10204938号明細書A1および米国特許第6239230号明細書中に記載されたβ-ヒドロキシアルキルアミドである。」)
「Herstellung der Grundpolymere:

Beispiel 1 (Vergleichsbeispiel)

Ein Kneter mit zwei Sigma-Wellen vom Modell LUK 8.0 K2 (Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co. KG, Stuttgart, Deutschland) wurde zur Inertisierung mit Stickstoff durchspult und danach mit einer durch Durchperlen von Stickstoff von Sauerstoff befreiten Mischung aus 4786,99 g einer 37,3 Gew.-%igen Natriumacrylatlosung, 514,45 g Acrylsaure und 522,95 g entsalztem Wasser initial gefullt. Anschliesend wurden 6,9 g 3-fach ethoxyliertes Glycerintriacrylat (ca. 85 gew.-%ig) gelost in 100,0 g Acrylsaure als Innenvernetzer sowie im Anschluss daran als Initiator 11 ,89 g einer 15 gew.-%igen wassrigen Natriumpersulfatlosung und 1,32 g einer 3 gew.-%igen wassrigen Wasserstoffperoxidlosung zugefugt. Anschliesend wurden 19.82 g einer 0,5 gew.-%igen wassrigen Ascorbinsaurelosung zugegeben. Der Kneter wurde mit Geschwindigkeiten von 96 Umdrehungen pro Minute an der einen Welle und mir 48 Umdrehungen pro Minute an der anderen Welle betrieben. Unmittelbar nach Zugabe der Ascorbinsaurelosung wurde die Losung mittels Durchleiten von Heizflussigkeit (80°C) durch den Heizmantel des Kneters erwarmt. Sobald die Temperatur im Kneter nicht weiter anstieg wurde die Beheizung beendet und das Polymergel fur weitere 13 Minuten geknetet. Anschliesend wurde das Gel auf etwa 63°C gekuhlt und dann aus dem Kneter entnommen. Das Gel wurde in Portionen von je 1080 g gleichmasig auf Gitterbleche aufgeteilt und in einem Umlufttrockenschrank bei 175°C fur 90 min getrocknet. Anschliesend wurde das getrocknete Gel auf einem Walzenstuhl vom Modell LRC 125/70 (Bauermeister Zerkleinerungstechnik GmbH, Norderstedt, Deutschland) gemahlen, wobei nacheinander Spaltweiten von 1000 μm, 600 μm und 400μm eingestellt wurden. Die wasserabsorbierenden Polymerpartikel wurden abgesiebt und die erhaltenen Siebfraktionen so abgemischt, dass folgende Partikelgrosenverteilung erhalten wurde:
>710 μm 0 Gew.-%
600 - 710 μm 13,3 Gew.-%
500 - 600 μm 23,3 Gew.-%
300 - 500 μm 43,6 Gew.-%
150 - 300 μm 19,8 Gew.-%
<150 μm 0 Gew.-%.」(第16頁第5行-第17頁第1行)
(当審訳:
「基本ポリマーの製造:
例1(比較例)
型式LUK 8.0 K2の2本のSigma軸を備えた混練機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,Stuttgart、ドイツ連邦共和国)を、不活性化のために窒素で十分に洗い流し、かつその後に窒素の散布によって酸素を取り除いた、37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4786.99gとアクリル酸514.45gと脱塩水522.95gとからなる混合物で最初に充填した。引続き、3回エトキシル化されたグリセリントリアクリレート6.9g(約85質量%)を内部架橋剤としてのアクリル酸100.0g中に溶解し、ならびにそれに引き続いて開始剤として15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液11.89gおよび3質量%の過酸化水素水溶液1.32gを添加した。引続き、0.5質量%のアスコルビン酸水溶液19.82gを添加した。前記混練機を一方の軸に対して毎分96回転の速度で運転し、かつ他方の軸に対して毎分48回転で運転した。前記アスコルビン酸溶液の添加直後に、溶液を混練機の加熱ジャケットによる熱媒体(80℃)の貫流を用いて加熱した。前記混練機中の温度がさらに上昇しなくなると同時に、加熱を終了し、ポリマーゲルをさらに13分間混練した。引続き、このゲルを約63℃に冷却し、次に前記混練機から取り出した。このゲルを各1080gの少量ずつ均一に格子シートメタル上に分配し、かつ空気循環乾燥キャビネット中で175℃で90分間乾燥させた。引続き、乾燥されたゲルを型式LRC 125/70のローラーミル(Bauermeister Zerkleinerungstechnik GmbH,Norderstedt、ドイツ連邦共和国)上で微粉砕し、その際に順次に間隙幅を1000μm、600μmおよび400μmに調節した。前記吸水性ポリマー粒子を篩別し、得られた篩画分を、以下の粒度分布が得られる程度に混合した:
710μm超 0質量%
600?710μm 13.3質量%
500?600μm 23.3質量%
300?500μm 43.6質量%
150?300μm 19.8質量%
150μm未満 0質量%。」)

「Beispiel 15 (Vergleichsbeispiel)

Beispiel 1 wurde wiederholt. Es wurden zusatzlich 2,00 g
Methoxypolyethylenglykol-2000- methacrylat (MPEGMA) in der Monomerlosung gelost.

Die erhaltenen wasserabsorbierenden Polymerpartikel wurden analysiert. Die Ergebnisse sind in Tabelle A zusammengefasst.」(第20頁第1-7行)」
(当審訳: 「例15(比較例)
例1を繰り返した。さらに、メトキシポリエチレングリコール-2000-メタクリレート(MPEGMA)2.00gをモノマー溶液中に溶解した。
得られた吸水性ポリマー粒子を分析した。結果は、第A表中にまとめられている。」)

「Oberflachennachvernetzung in Gegenwart eines zusatzlichen Tensids:

Beispiel 18 (Vergleichsbeispiel)

1200 g des Grundpolymers aus Beispiel 1 wurden zur Oberflachennachvernetzung in einem Pflugschar(R)-Mischer mit Heizmantel vom Typ M5 (Gebr. Lodige Maschinenbau GmbH, Paderborn, Deutschland) bei 23°C und einer Wellendrehzahl von 200 Umdrehungen pro Minute mittels einer Zweistoff-Spruhduse mit folgender Losung beschichtet (jeweils bezogen auf das Grundpolymer):
0,992 Gew.-% Isopropanol
0,14 Gew.-% einer Losung aus 50 Gew.-% 1,3-Propandiol
und 50 Gew.-% N-(2-Hydroxyethyl)-2-oxazolidinon
0,248 Gew.-% entsalztes Wasser
0,70 Gew.-% 1,2-Propandiol
0,50 Gew.-% einer 22 gew.-%ige wassrige Aluminiumlaktatlosung
0,20 Gew.-% einer 2 gew.-%ige wassrige Losung von Sorbitanmonococoat」(第21頁第7-23行)
(当審訳:「さらなる界面活性剤の存在下での表面後架橋
例18(比較例)
例1からの基本ポリマー1200gを、表面後架橋のために、型式M5の加熱ジャケットを備えたPflugschar(登録商標)ミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Paderborn,ドイツ連邦共和国)中で23℃および毎分200回転の軸回転数で二物質流噴霧ノズルを用いて次の溶液で被覆した(それぞれ基本ポリマーに対して):
イソプロパノール 0.992質量%、
1,3-プロパンジオール50質量%およびN-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリジノン50質量%からなる溶液 0.14質量%、
脱塩水 0.248質量%、
1,2-プロパンジオール 0.70質量%、
22質量%の乳酸アルミニウム水溶液 0.50質量%、
ソルビタンモノココエートの2質量%の水溶液 0.20質量%。」)

「Nach dem Aufspruhen wurde die Wellendrehzahl auf 50 Umdrehungen pro Minute reduziert und das Produkt durch Erhohung der Temperatur des Heizmantels (Temperatur der Heizflussigkeit 238°C) auf eine Produkttemperatur von 185°C gebracht. Dem Reaktionsgemisch wurden alle 5 Minuten in Summe 10 Proben von jeweils etwa 20 g, beginnend mit dem Erreichen der Produkttemperatur von 185°C, entnommen. Die Proben wurden jeweils auf 23°C abkuhlen gelassen und bei 710 μm abgesiebt, wobei die Fraktion <710 μm verwendet wurde.」(第22頁第1-6行)
(当審訳:「噴霧後に、軸回転数を毎分50回転に減少させ、生成物を加熱ジャケットの温度(熱媒体の温度238℃)を高めることによって185℃の生成物温度にもたらした。前記反応混合物から、全部で5分間、それぞれ約20gの合計で10個の試料を、185℃の生成物温度の達成と同時に開始して取り出した。前記試料をそれぞれ23℃に冷却させ、および710μmで篩別し、その際に710μm未満の画分を使用した。」)

(2)甲第3号証に記載された発明

甲第3号証の記載、特に、例18(比較例)の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲3発明」という。)。

<甲3発明>
「型式LUK 8.0 K2の2本のSigma軸を備えた混練機(Coperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co.KG,Stuttgart、ドイツ連邦共和国)を、不活性化のために窒素で十分に洗い流し、かつその後に窒素の散布によって酸素を取り除いた、37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4786.99gとアクリル酸514.45gと脱塩水522.95gとからなる混合物で最初に充填し、引続き、3回エトキシル化されたグリセリントリアクリレート6.9g(約85質量%)を内部架橋剤としてのアクリル酸100.0g中に溶解し、ならびにそれに引き続いて開始剤として15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液11.89gおよび3質量%の過酸化水素水溶液1.32gを添加し、引続き、0.5質量%のアスコルビン酸水溶液19.82gを添加し、前記混練機を一方の軸に対して毎分96回転の速度で運転し、かつ他方の軸に対して毎分48回転で運転し、前記アスコルビン酸溶液の添加直後に、溶液を混練機の加熱ジャケットによる熱媒体(80℃)の貫流を用いて加熱し、前記混練機中の温度がさらに上昇しなくなると同時に、加熱を終了し、ポリマーゲルをさらに13分間混練し、引続き、このゲルを約63℃に冷却し、次に前記混練機から取り出し、このゲルを各1080gの少量ずつ均一に格子シートメタル上に分配し、かつ空気循環乾燥キャビネット中で175℃で90分間乾燥させ、引続き、乾燥されたゲルを型式LRC 125/70のローラーミル(Bauermeister Zerkleinerungstechnik GmbH,Norderstedt、ドイツ連邦共和国)上で微粉砕し、その際に順次に間隙幅を1000μm、600μmおよび400μmに調節し、前記吸水性ポリマー粒子を篩別し、得られた篩画分を、以下の粒度分布が得られる程度に混合し、
710μm超 0質量%
600?710μm 13.3質量%
500?600μm 23.3質量%
300?500μm 43.6質量%
150?300μm 19.8質量%
150μm未満 0質量%

得られた基本ポリマー1200gを、表面後架橋のために、型式M5の加熱ジャケットを備えたPflugschar(登録商標)ミキサー(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH,Paderborn,ドイツ連邦共和国)中で23℃および毎分200回転の軸回転数で二物質流噴霧ノズルを用いて次の溶液(それぞれ基本ポリマーに対して)
イソプロパノール 0.992質量%、
1,3-プロパンジオール50質量%およびN-(2-ヒドロキシエチル)-2-オキサゾリジノン50質量%からなる溶液 0.14質量%、
脱塩水 0.248質量%、
1,2-プロパンジオール 0.70質量%、
22質量%の乳酸アルミニウム水溶液 0.50質量%、
ソルビタンモノココエートの2質量%の水溶液 0.20質量%
で被覆した吸水性ポリマーの製造方法。」

4 甲第4号証に記載された事項及び同号証に記載された発明

(1)甲第4号証に記載された事項

「1. A method for the production of a water-absorbent resin capable of fast water absorption, comprising the steps of dispersing bubbles of an inert gas in an aqueous monomer solution of a mixture of a water-soluble unsaturated monomer and a water-soluble cross-linking monomer which contains a surfactant and subjecting said mixture to copolymerization, wherein the inert gas is dispersed in the monomer solution to increase the volume of said monomer solution in the range of 1.02 to 5 times of the volume of said monomer solution in a non-dispersed state and wherein the dispersion of said bubbles is accomplished by introducing said inert gas into said aqueous solution.
・・・
3. A method according to claim 1, wherein the amount of said surfactant is in the range of 0.001-30 parts by weight, based on 100 parts by weight of the total amount of said water-soluble unsaturated monomer and said water-soluble cross-linking monomer.
・・・
6. A method according to claim 1, wherein the dispersion of said bubbles is accomplished by adding a foaming agent to said aqueous solution.
・・・
8. A method according to claim 1, which further comprises treating the produced water-absorbent resin with a surface cross-linking agent.
・・・
13. A method according to claim 10, wherein said aqueous monomer solution contains a surfactant.」(第40欄第27行-第41欄第15行)

(当審訳:「1.界面活性剤の存在下に、不活性ガスの気泡を、水溶性不飽和単量体および水溶性架橋性単量体の混合物の単量体水溶液に分散させ、混合物を共重合することを特徴とする高吸水速度吸水性樹脂の製造方法であって、不活性ガスが分散した単量体水溶液の体積は、非分散状体の単量体水溶液の体積の1.02?5倍に増加し、気泡の分散は不活性ガスを水溶液中に導入することにより行われることを特徴とする高吸水速度吸水性樹脂の製造方法。
・・・
3.前記水溶性不飽和単量体および前記水溶性架橋性単量体の合計量100重量部当たりの前記界面活性剤の量が0.001?30重量部であることを特徴とする請求項1に記載の高吸水速度吸水性樹脂の製造方法。)
・・・
6.前記気泡の分散は発泡剤を水溶液中に添加することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の高吸水速度吸水性樹脂の製造方法。
・・・
8.吸水性樹脂をさらに表面架橋剤で処理することを特徴とする請求項1に記載の高吸水速度吸水性樹脂の製造方法。
・・・
13.前記単量体水溶液が界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の高吸水速度吸水性樹脂の製造方法。」)

「As typical examples of the nonionic surfactant, polyoxy ethylene alkyl aryl ethers such as polyoxyethylene lauryl ether, polyoxyethylene cetyl ether, polyoxyethylene stearyl ether, polyoxyethylene oleyl ether, polyoxyethylene alkyl ethers like polyoxyethylene higher alcohol ethers, and polyoxyethylene nonyl phenyl ether; sorbitan fatty esters such as sorbitan monolaurate, sorbitan monopalmitate, sorbitan monostearate, sorbitan tristearate, sorbitan monooleate, sorbitan trioleate, sorbitan sesquioleate, and sorbitan distearate; polyoxyethylene sorbitan fatty esters such as polyoxyethylene sorbitan monolaurate, polyoxyethylene sorbitan monolaurate, polyoxyethylene sorbitan monopalmitate, polyoxyethylene sorbitan monostearate, polyoxy-ethylene sorbitan tristearate, polyoxyethylene sorbitan mono-oleate, and polyoxyethylene sorbitan trioleate; polyoxyethylene sorbitol fatty esters such as tetraoleic acid polyoxyethylene sorbit; glycerin fatty esters such as glycerol monostearate, glycerol monooleate, and self-eumlsifying glycerol monostearate; polyoxyethylene fatty esters such as polyethylene glycol mono-laurate, polyethylene glycol monostearate, polyethylene glycol distearate, and polyethylene glycol monooleate; polyoxyethylene alkyl amines; polyoxyethylene hardened castor oil; and alkyl alcohol amines may be cited.」(第9欄第13-36行)
(当審訳:「代表的なノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等がある。」)
「The foaming is implemented by either introducing an inert gas such as, for example, nitrogen, carbon dioxide, or air into the aqueous solution or subjecting the aqueous solution to fast intense stirring. The foaming is otherwise attained by adding a foaming agent to the aqueous solution prior to the polymerization.
As typical examples of the foaming agent, carbonates such as sodium carbonate, potassium carbonate, ammonium carbonate, magnesium carbonate, calcium carbonate, sodium hydrogen carbonate, potassium hydrogen carbonate, ammonium hydrogen carbonate, magnesium hydrogen carbonate, calcium hydrogen carbonate, zinc carbonate, and barium carbonate, water-soluble azo polymerization initiators such as azobisamidinopropane dichloride, dicarboxylic acids such as malonic acid, and volatile organic solvents such as trichloroethane and trifluoroethane may be cited. When the foaming agent is added, the amount of this foaming agent to be used is in the range of 0-5 parts by weight, preferably 0-1 part by weight, based on the total amount of the water-soluble unsaturated monomer and the water-soluble cross-linking monomer or on 100 parts by weight of the water-soluble ethylenically unsaturated monomer.」(第15欄第24-46行)
(当審訳:「発泡は、窒素、二酸化炭素又は空気等の不活性ガスを導入するか、水溶液を高速撹拌することにより行われる。また、発泡は、重合前に発泡剤を水溶液中に添加することによっても行われる。
代表的な発泡剤の代表例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム等の炭酸塩、アゾビスアミジノプロパン二塩酸等の水溶性アゾ系重合開始剤、マロン酸等のジカルボン酸、トリクロロエタン、トリフルオロエタン等の揮発性有機溶剤などが挙げられる。発泡剤を添加する場合、使用される発泡剤の量は、水溶性不飽和単量体および水溶性架橋性単量体の合計量当りもしくは水溶性のエチレン性不飽和単量体100重量部当り、0?5重量部の範囲であり、0?1重量部の範囲が好ましい。」)

「EXAMPLE 10
An aqueous monomer solution containing 153 parts of acrylic acid, 1615 parts of 37% sodium acrylate, 4.9 parts of poly-ethylene glycol (n=8) diacrylate, 1.5 parts of a nonionic surfactant (produced by Kao Soap Co., Ltd. and marketed under trademark designation of "Rheodol TW-S120"), and 710 parts of purified water was deionized. This aqueous solution was intensely stirred fast under a current of nitrogen to displace the dissolved oxygen in the aqueous solution with nitrogen and disperse a large volume of nitrogen bubbles in the aqueous monomer solution. When the nitrogen gas was uniformly dispersed in the aqueous monomer solution and the volume of the solution was consequently increased to 1.10 times the original volume, 10 parts of an aqueous 10% sodium persulfate solution and 10 parts of an aqueous 4% L-ascorbic acid solution were added to the resultant dispersion under fast intense stirring to start polymerization immediately. The stationary polymerization was left proceeding for two hours at a temperature in the range of 25°-75℃. with the bubbles in a dispersed state. The hydrogel polymer resulting from the polymerization and containing bubbles copiously was cut into cubes of 5 mm and then dried in a hot air drier at 150℃. for 1 hour. The dried cubes of hydrogel polymer were pulverized with a pulverizer and the polymer particles that passed a sieve having meshes of 850μmm were separated to obtain a water-absorbent resin (10), 300 μm in average particle diameter, of this invention. The capacity for water absorption, the water absorption speed, and the content of water-soluble component of the water-absorbent resin (10) of this invention were respectively 40.8 g/g, 69 seconds, and 8.6%.」(第28欄第50行-第29欄第15行)
(当審訳:「例10
アクリル酸153部、37%アクリル酸ナトリウム1615部、ポリエチレングリコール(n=8)ジアクリレート4.9部、非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)1.5部、純水710部を含有する単量体水溶液を脱イオン化した。窒素気流下に水溶液を高速強攪拌しながら水溶液中の溶存酸素を窒素置換し、単量体水溶液中に多量の窒素気泡を分散させた。単量体水溶液中に窒素ガスが均一に分散し、その体積が1.10倍となった時点で、高速強撹拌下に10%過硫酸ナトリウム溶液10部および4%L-アスコルビン酸溶液10部を添加し、直ちに重合を開始した。気泡が分散した状態で温度25?75℃で2時間静置重合を行った。重合後得られた気泡を含むゲル状重合体を5mm角の大きさに裁断し、ついで150℃の熱風乾燥機中で1時間で乾燥した。含水ゲル状重合体の乾燥物を粉砕機で粉砕し、開口が850μmの篩通過物を分取して平均粒子径300μmの本発明の吸水性樹脂(10)を得た。本発明の吸水性樹脂(10)の吸水性、吸水速度および水溶性成分量はそれぞれ40.8g/g、69秒、8.6%であった。」)

(2)甲第4号証に記載された発明

上記甲第4号証の例10の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲4発明」という。)。

<甲4発明>
「アクリル酸153部、37%アクリル酸ナトリウム1615部、ポリエチレングリコール(n=8)ジアクリレート4.9部、非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)1.5部、純水710部を含有する単量体水溶液を脱イオン化し、窒素気流下に水溶液を高速強攪拌しながら水溶液中の溶存酸素を窒素置換し、単量体水溶液中に多量の窒素気泡を分散させ、単量体水溶液中に窒素ガスが均一に分散し、その体積が1.10倍となった時点で、高速強撹拌下に10%過硫酸ナトリウム溶液10部および4%L-アスコルビン酸溶液10部を添加し、直ちに重合を開始し、気泡が分散した状態で温度25?75℃で2時間静置重合を行い、重合後得られた気泡を含むゲル状重合体を5mm角の大きさに裁断し、ついで150℃の熱風乾燥機中で1時間で乾燥し、含水ゲル状重合体の乾燥物を粉砕機で粉砕し、開口が850μmの篩通過物を分取して平均粒子径300μmの吸水性樹脂(10)を得る製造方法。」

5 甲第5号証に記載された事項および同号証に記載された発明

(1)甲第5号証に記載された事項

「1. Ein Verfahren zur Herstellung einer wasserabsorbierenden Polymerzusammensetzung, umfassend die Verfahrenschritte
(i)Mischen von
(a1) 0,1 bis 99,999 Gew.-%, bevorzugt 20 bis 98,99 Gew.-% und besonders bevorzugt 30 bis 98,95 Gew.-% polymerisierten, ethylenisch ungesattigten, sauregruppenhaltigen Monomeren oder deren Salze oder polymerisierten, ethylenisch ungesattigten, einen protonierten oder quarternierten Stickstoff beinhaltenden Monomeren, oder deren Mischungen, wobei mindestens ethylenisch ungesattigte, sauregruppenhaltige Monomere, vorzugsweise Acrylsaure, beinhaltende Mischungen besonders bevorzugt sind,
(a2) 0 bis 70 Gew.-%, bevorzugt 1 bis 60 Gew.-% und besonders bevorzugt 1 bis 40 Gew.-% polymerisierten, ethylenisch ungesattigten, mit (a1) copolymerisierbaren Monomeren,
(a3) 0,001 bis 10 Gew.-%, bevorzugt 0,01 bis 7 Gew.-% und besonders bevorzugt 0,05 bis 5 Gew.-% eines oder mehrerer Vernetzer,
(a4) 0 bis 30 Gew.-%, bevorzugt 1 bis 20 Gew.-% und besonders bevorzugt 5 bis 10 Gew.-% wasserloslichen Polymeren, sowie
(a5) 0 bis 20 Gew.-%, bevorzugt 0,01 bis 7 Gew.-% und besonders bevorzugt 0,05 bis 5 Gew.-% eines oder mehrerer Hilfsstoffe, wobei die Summe der Gewichtsmengen (a1) bis (a5) 100 Gew.-% betragt
(ii) radikalische Polymerisation unter Vernetzung, um ein wasserunlosliches, wassriges unbehandeltes Hydrogel-Polymer zu bilden,
(iii) Trocknen des Hydrogel-Polymers,
(iv) gegebenenfalls Mahlen und Absieben der wasserabsorbierenden Polymers,
(v) Oberflachennachvernetzung des gemahlenen Hydrogel-Polymers und
(vi) Trocknung und Konfektionierung des wasserabsorbierenden Polymers,
wobei
der wassrigen Monomerlosung, vor der Zugabe des Initiators und dem Start der radikalischen Polymerisation, Blahmittel mit einer Partikelgrose von 100μm bis 900μm zugesetzt werden.
・・・
4. Verfahren nach einem der vorhergehenden Anspruche dadurch gekennzeichnet, dass die Blahmittel aus einem Granulat aus Sodapartikeln bestehen.
」(第34頁第2行-第35頁第2行)
(当審訳:「1.吸水性ポリマー組成物の製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%、好ましくは20?98.99重量%、より好ましくは30?98.95重量%の、エチレン性不飽和酸基含有モノマー又はその塩、又はプロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー、又はそれらの混合物(特に好ましくは、少なくともエチレン性不飽和酸基含有モノマー(好ましくはアクリル酸)を含む混合物)と、
(α2)0?70重量%、好ましくは1?60重量%、より好ましくは1?40重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%、好ましくは1?20重量%、より好ましくは5?10重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合させると共に架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)必要に応じて前記吸水性ポリマーを粉砕及び篩い分けする工程と、
(v)前記ヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前に、100?900μmの粒径を有する発泡剤を前記モノマー水溶液に添加することを特徴とする方法。
・・・
【請求項4】
前記発泡剤は、炭酸ソーダ粒子の細粒からなることを特徴とする、請求項1?3のいずれか1項に記載の方法。)」

「Als Hilfsstoffe (a5) sind in den Polymeren, organische oder anorganische Partikel wie beispielsweise Geruchsbinder, insbesondere Zeolithe oder Cyclodextrine, Hautpflegesubstanzen, oberflachenaktive Mittel oder Antioxidantien enthalten.」(第13頁第4-6行)
(当審訳:「ポリマーに含まれる助剤(α5)としては、有機又は無機粒子、例えば消臭剤(特にゼオライト又はシクロデキストリン)、スキンケア物質、界面活性剤及び酸化防止剤が挙げられる。」)

「Beispiel 1
Eine Monomerlosung bestehend aus 2480 g Acrylsaure, 3124 g Wasser, 14.92 g Polyethylenglykol-300-diacrylat, 11.94 g
Monoallylpolyethylenglykol-450-monoacrylsaure-ester wird durch Spulen mit Stickstoff vom gelosten Sauerstoff befreit. Die Acrylsaure ist zu 70 Mol-% mit Natronlauge neutralisiert (in diesem Beispiel mit 1927 g 50%ige NaOH). Die Stickstoffspulung erfolgt uber einen Zeitraum von ca. 10 Minuten. Wahrend der Inertgasspulung werden 2.33 g Natriumperoxodisulfat in 50 g Wasser zur Monomerlosung hinzugefugt. Kurz vor Transfer der Monomerlosung in den Polymerisationsreaktor erfolgt die Zugabe von 0.54 g 35%ige Wasserstoffperoxidlosung in 50 g Wasser zu der mit Inertgas gespulten Monomerlosung. Hieran schliest sich der Transfer der Monomerlosung in den Polymersationsreaktor an, der im Inertgasgegenstrom durchgefuhrt wird. Der Polymerisationsreaktor besteht aus einem zweiwelligen, gleichlaufig drehenden, diskontinuierlich betriebenen Knetreaktor (LIST 10 Liter CKR Knetreaktor). Der Reaktor wird vor Zugabe der Monomerlosung uber eine Mantel- und Wellenheizung auf ca. 85°C Heizmanteltemperatur gehalten. Die Wellen des Reaktors drehen mit 30 Umdrehungen pro Minute. Sofort nach Uberfuhrung der Monomerlosung in den Reaktor werden 0.5 Gew. %. Natriumcarbonat (hergestellt im Fliesbett - Spray- Granulationsverfahren, Partikelgrose 400-600μm) zu der Monomerlosung gegeben und durch die drehenden Wellen im Reaktionsraum verteilt. Hierauf erfolgt die Zugabe von 0.233 g Ascorbinsaure in 50 g Wasser als Polymerisationsinitiator. Eine exotherme Polymerisationsreaktion findet statt. Die adiabatische Endtemperatur liegt im Bereich von 105°C bis 110°C und die Verweilzeit des Reaktionsgemisches betragt 10 Minuten. Ohne weitere Zerkleinerungsschritte wird das entstandene Hydrogel im Labor-Umlufttrockenschrank 120 Minuten bei 150°C getrocknet. Das getrocknete Polymerisat wird in einer Schneidmuhle (2mm) zerkleinert. Typ: Retsch- Muhle Durch Siebung wird eine Partikelgrose des zerkleinerten, getrockneten Superabsorbers von 150μm bis 850μm erhalten.」(第28頁第10-35行)
(当審訳:「実施例1
2480gのアクリル酸、3124gの水、14.92gのポリエチレングリコール-300ジアクリレート及び11.94gのモノアリルポリエチレングリコール-450モノアクリレートからなるモノマー溶液から窒素パージによって溶存酸素を除去した。アクリル酸は、水酸化ナトリウム溶液(本実施例では1927gの50%NaOH)によって70モル%まで中和した。窒素パージは約10分間にわたって行った。不活性ガスパージ中に、50gの水に溶解させた2.33gのペルオキソ二硫酸ナトリウムをモノマー溶液に添加した。モノマー溶液を重合反応器に移す直前に、50gの水に溶解させた0.54gの35%過酸化水素溶液を不活性ガスでパージしたモノマー溶液に添加した。その後、不活性ガス気流下においてモノマー溶液を重合反応器に移した。重合反応器としては、二軸共回転バッチ式混練反応器(twin-shaft corotatory batchwise kneading reactor)(LIST 10L CKR混練反応器)を使用した。反応器は、モノマー溶液の添加前にジャケットとシャフトを加熱することによって約85℃のジャケット温度に保った。反応器のシャフトは30rpmで回転させた。モノマー溶液を重合反応器に移した直後に、0.5重量%炭酸ナトリウム(流動床噴霧造粒法で調製、粒径:400?600μm)をモノマー溶液に添加し、シャフトを回転させて反応空間内で分散させた。次に、50gの水に溶解させた0.233gのアスコルビン酸を重合開始剤として添加した。発熱を伴う重合反応が生じた。断熱終了温度(adiabatic end temperature)は105?110℃であり、反応混合物の滞在時間は10分間とした。得られたヒドロゲルを実験用強制空気乾燥棚内において150℃で120分乾燥させた。乾燥させたポリマーをRetschカッティングミル(2mm)で粉砕した。ポリマーを篩い分け、150?850μmの粒径を有する粉砕及び乾燥後の超吸収体を得た。」)

(2)甲第5号証に記載された発明

上記甲第5号証の、特に、請求項1および4の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲5発明」という。)。

<甲5発明>
「吸水性ポリマー組成物の製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%、好ましくは20?98.99重量%、より好ましくは30?98.95重量%の、エチレン性不飽和酸基含有モノマー又はその塩、又はプロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー、又はそれらの混合物(特に好ましくは、少なくともエチレン性不飽和酸基含有モノマー(好ましくはアクリル酸)を含む混合物)と、
(α2)0?70重量%、好ましくは1?60重量%、より好ましくは1?40重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%、好ましくは1?20重量%、より好ましくは5?10重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合させると共に架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)必要に応じて前記吸水性ポリマーを粉砕及び篩い分けする工程と、
(v)前記ヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前に、100?900μmの粒径を有する炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤を前記モノマー水溶液に添加する方法。」

6 甲第6号証に記載された事項および同号証に記載された発明

(1)甲第6号証に記載された事項

「請 求 の 範 囲
1.吸水性樹脂の製造方法は、
不飽和単量体と架橋剤とを含む単量体水溶液に、平均粒子径が1μm?100μmの範囲内の固体の発泡剤を分散させた後、該不飽和単量体を重合させるステップを含んでいる。
・・・
5.クレーム1に記載の吸水性樹脂の製造方法であって、
上記不飽和単量体は、 アクリル酸、および、アクリル酸の水溶性塩類からなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリル酸塩系単量体を主成分として含んでいる。
・・・
8.クレーム1に記載の吸水性樹脂の製造方法であって、
上記発泡剤は、不飽和単量体100重量部に対して、0.005重量部?25重量都の範囲内で用いられる。
・・・
15.クレーム1に記載の吸水性樹脂の製造方法であって、
不飽和単量体を重合させるステップは、分散安定剤の存在下で行われる。
16.クレーム15に記載の吸水性樹脂の製造方法であって、
上記分散安定剤は界面活性剤である。
19.クレーム1に記載の吸水性樹脂の製造方法は、さらに、
不飽和単量体を重合させるステップの後に、
吸水性樹脂の表面近傍を表面架橋剤を用いて処理し、共有結合を形成するステップを含んでいる。
・・・
25.クレーム1に記載の吸水性樹脂の製造方法は、さらに、
不飽和単量体を重合させるステップの後に、含水ゲルを乾燥させるステップを含んでいる。
26.クレーム25に記載の吸水性樹脂の製造方法は、さらに、
含水ゲルを乾燥させるステップの後に、
乾燥物を粉砕するステップを含んでいる。」

「ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系界面活性剤」(第22頁第3-7行)
「界面活性剤のうち、アニオン系界面活性剤、およびノニオン系界面活性剤がさらに好ましく、HLBが7以上のノニオン系界面活性剤が特に好ましい。」(第22頁第21-23行)
「発泡剤に対する分散安定剤の使用量は、発泡剤および分散安定剤の組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、不飽和単量体100重量部に対して5重量部以下であり、かつ、発泡剤100重量部に対して500重量部以下、より好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下、特に好ましくは10重量部以下とすればよい。具体的には、0.01重量部?500重量部の範囲内、より好ましくは0.05重量部?100重量部の範囲内、さらに好ましくは0.5重量部?50重量部の範囲内、特に好ましくは0.5重量部?1 0重量部の範囲内とすればよい。
上記の発泡剤が分散された単量体水溶液中における不飽和単量体は、公知の方法によって重合させることができる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合法、放射線重合法、電子線重合法、光増感剤を用いた紫外線重合法等の種々の方法を採用でき、特に限定されるものではない。上記方法のうち、ラジカル重合法が、不飽和単量体の重合を定量的かつ完全に行うことができるのでより好ましい。」(第23頁第3-18行)
「吸水性樹脂の形状や大きさ(粒子径)は、該吸水性樹脂の用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。吸水性樹脂は、例えば、シート状やブロック状等、種々の形状とすることができるが、該吸水性樹脂を衛生材料として用いる場合には、粉砕や分級等の工程を行って、その平均粒子径が50μm?1,000μmの範囲内、より好ましくは150μm?800μmの範囲内、さらに好ましくは200μm?600μmの範囲内である粒子状に調整すればよい。また、造粒操作を行って吸水樹脂を粒子状に形成することもできる。」(第28頁第7-14行)
「吸水性樹脂を表面架橋剤を用いて処理する際の処理温度や処理時間は、吸水性樹脂および表面架橋剤の組み合わせや、所望する架橋密度等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば処理温度は、0℃?250℃の範囲内が好適である。」(第32頁第17-20行)
「〔実施例1〕
先ず、不飽和単量体としてのアクリル酸38.6部およびアクリル酸ナトリウム37%水溶液409部、架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート0.48部、および、脱イオン水53部を混合することにより、単量体水溶液を調製した。つまり、該単量体水溶液は、中和率が75モル%のアクリル酸塩系単量体38%水溶液である。
上記の単量体水溶液を温度25℃に保ちながら、液中に窒素ガスを吹き込む(バブリング)ことにより、溶存酸素を追い出した。次いで、攪拌しながら、単量体水溶液に、発泡剤前駆体としての2,2'?アゾビス(2?メチルブロピオンアミジン)二塩酸塩の10%水溶液4.3部を添加した。その後、該水溶液を窒素気流下、温度25℃で攪拌した。
攪拌を開始してから約7分後に水溶液は白濁し、平均拉子径9μmの白色の微粒子状固体が生成した。該微粒子状固体は発泡剤としての2,2'?アゾビス(2?メチルブロピオンアミジン)二アクリル酸塩であった。そして、攪拌を開始してから10分後に、単量体水溶液の固形分、つまり、アクリル酸塩系単量体に対する2,2'?アゾビス(2?メチルブロピオンアミジン)二アクリル酸塩の生成量が0.29%となった。2,2'?アゾビス(2?メチルブロピオンアミジン)二アクリル酸塩は単量体水溶液中に均一に分散していた。
この時点(攪拌を開始してから10分後)で、単量体水溶液を攪拌しながら、レドックス開始剤(ラジカル重合開始剤)としての過硫酸ナトリウム10%水溶液2.6部と、L-アスコルビン酸1%水溶液1部とを添加した。そして、充分に攪拌した後、該単量体水溶液を静置した。
過硫酸ナトリウム水溶液を添加してから約10分後に、単量体水溶液の温度は約89℃に達した。その後、温度を70℃?80℃に維持しながら、さらに10分間、単量体水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体を重合させた。これにより、多孔質の架橋重合体である気泡含有含水ゲルを得た。
得られた気泡含有含水ゲルを取り出し、約20mm?1mmの大きさに細分した後、熱風乾燥機を用いて150℃で熱風乾燥した。次いで、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらにJIS規格の標準篩(850μm)で分級することにより、本発明にかかる吸水性樹脂を得た。
上記の吸水性樹脂が多孔質であることを電子顕微鏡写真で確認した。該吸水性樹脂の平均孔径は60μmであった。また、吸水性樹脂の諸性能を上記の方法により測定した結果、保水量は29g/g、残存単量体量は200ppm、水可溶性成分量は9%、拡散速度は33秒、ドライタッチ性は4.3g、加圧下の吸水量は11g/gであった。上記の結果を表1に示す。」(第46頁第23行-第48頁第12行)
「〔実施例5〕
先ず、アクリル酸21.6部、アクリル酸ナトリウム37%水溶液178部、N,N'-メチレンビスアクリルアミド0.046部、水溶性高分子(分散安定剤)としてのヒドロキシルエチルセルロース0.18部、および、脱イオン水50部を混合することにより、単量体水溶液を調製した。つまり、該単量体水溶液は、中和率が70モル%のアクリル酸塩系単量体38%水溶液である。
上記の単量体水溶液を温度25℃に保ちながら、液中に窒素ガスを吹き込む(バブリング)ことにより、溶存酸素を追い出した。次いで、攪拌しながら、単量体水溶液に、界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.18部と、発泡剤としての重質炭酸カルシウム2.63部とを添加した。炭酸カルシウムの平均粒子径は3μmであり、単量体水溶液中に均一に分散していた。
その後、該水溶液を窒素気流下、温度25℃で攪拌しながら、過硫酸ナトリウム10%水溶液1.2部と、L?アスコルビン酸1%水溶液0.5部とを添加した。そして、充分に攪拌した後、該単量体水溶液を静置した。
過硫酸ナトリウム水溶液を添加してから約10分後に、単量体水溶液の温度は約99℃に達した。その後、温度を60℃?80℃に維持しながら、さらに10分間、単量体水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体を重合させた。これにより、気泡含有含水ゲルを得た。
得られた気泡含有含水ゲルを取り出し、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、吸水性樹脂を得た。上記吸水性樹脂の平均孔径は250μmであった。また、吸水性樹脂の諸性能を上記の方法により測定した結果、保水量は45g/g、残存単量体量は520ppm、水可溶性成分量は13%、拡散速度は24秒、ドライタッチ性は4.5g、加圧下の吸水量は8g/gであった。上記の結果を表1に示す。」(第52頁第1行-第53頁第3行)

(2)甲第6号証に記載された発明
上記甲第6号証の、特に、実施例5の記載を整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲6発明」という。)。

<甲6発明>
「アクリル酸21.6部、アクリル酸ナトリウム37%水溶液178部、N,N’-メチレンビスアクリルアミド0.046部、水溶性高分子(分散安定剤)としてのヒドロキシルエチルセルロース0.18部、および、脱イオン水50部を混合することにより、中和率が70モル%のアクリル酸塩系単量体38%水溶液である単量体水溶液を調製し、上記の単量体水溶液を温度25℃に保ちながら、液中に窒素ガスを吹き込む(バブリング)ことにより、溶存酸素を追い出し、次いで、攪拌しながら、単量体水溶液に、界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.18部と、発泡剤としての重質炭酸カルシウム2.63部とを添加し、炭酸カルシウムの平均粒子径は3μmであり、単量体水溶液中に均一に分散し、その後、該水溶液を窒素気流下、温度25℃で攪拌しながら、過硫酸ナトリウム10%水溶液1.2部と、L?アスコルビン酸1%水溶液0.5部とを添加し、そして、充分に攪拌した後、該単量体水溶液を静置し、過硫酸ナトリウム水溶液を添加してから約10分後に、単量体水溶液の温度は約99℃に達し、その後、温度を60℃?80℃に維持しながら、さらに10分間、単量体水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体を重合させ、これにより、気泡含有含水ゲルを得て、得られた気泡含有含水ゲルを取り出し、約20mm?1mmの大きさに細分した後、熱風乾燥機を用いて150℃で熱風乾燥し、次いで、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらにJIS規格の標準篩(850μm)で分級することにより、吸水性樹脂を得る吸水性樹脂の製造方法。」

7 甲第7号証に記載された事項および同号証に記載された発明

(1)甲第7号証に記載された事項

「[請求項1]
気泡を含有したアクリル酸系単量体水溶液を重合する工程と、当該重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程とを含むポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
界面活性剤及び/又は分散剤存在下で単量体水溶液中の溶存気体の溶解度を低下させることによって、該アクリル酸系単量体水溶液中に気泡を発生させ含有させる気泡発生含有工程を含むことを特徴とする製造方法。
・・・
[請求項20]
含水ゲル状架橋重合体を乾燥する上記工程後に、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する工程をさらに含む、請求項1?19の何れか1項に記載の製造方法。
・・・
[請求項23]
重合工程が連続ベルト重合で行われ、重合後にゲル粉砕が行われる、請求項1?21の何れか1項に記載の製造方法。
[請求項24]
含水ゲル状架橋重合体を乾燥する上記工程後に、分級する工程をさらに含み、
分級工程後の微粉を、乾燥工程以前の工程において再利用する、請求項1?23の何れか1項に記載の製造方法。」
「[0118]
本発明において、使用できる界面活性剤としては、特許文献28及び特許文献30に例示の界面活性剤を含め特に限定されないが、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が各種使用でき、それらは吸水性樹脂粉末の単量体との重合性若しくは反応性基を持っていてもよい。」
「[0298]
[実施例1]
容量3リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸(p-メトキシフェノール:70mg/L含有品)181.1g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1727.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)4.38g、界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液59.7gを投入し、溶解(混合)させて単量体水溶液(1)を作製し、液温を24℃に調整した。
[0299]
次に、上記単量体水溶液(1)を、100℃のオイルバスに浸漬したステンレス製のコイル式熱交換器(自立コイル式交換機、型番JC-S1;アズワン株式会社、研究総合機器カタログ)に、定量ポンプを用いて0.5[L/min]で通過させ、液温を98.5℃まで昇温させた。このとき、界面活性剤を含んだ単量体水溶液(1)は、非常に細かい気泡の導入によって白濁していた。なお、この白濁現象は、単量体水溶液(1)の昇温による気体の溶解度低下に起因している。
[0300]
続いて、容量1リットルのポリプロピレン製容器に上記単量体水溶液(1)986gを量り取り、攪拌しながら冷却した。液温が95℃となった時点で、4重量%過硫酸ナトリウム水溶液14.0gを加えた後、すぐにステンレス製バット型容器(底面340×340mm、高さ25mm、内面;テフロン(登録商標)を貼り付け)に大気開放系で注いだ。なお、該バット型容器は、ホットプレート(株式会社井内盛栄堂社製;NEO HOTPLATE HI-1000)を用いて、表面温度が80℃となるまで加熱した。
[0301]
上記単量体水溶液(1)がバット型容器に注がれて40秒後に重合反応が開始した。該重合反応は、水蒸気を発生しながら上下左右に膨張発泡して進行し、その後、バット型容器よりも若干大きなサイズにまで収縮した。この膨張、収縮は約1分以内に終了した。重合反応の開始から3分経過後に、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)を取り出した。なお、これら一連の操作は、大気開放系で行い、重合時のピーク温度は110℃であった。
[0302]
上記重合反応で得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)をミートチョッパー(飯塚工業株式会社製、MEAT-CHOPPER TYPE:12VR-400KSOX、ダイ孔径:6.4mm、孔数:38、ダイ厚み8mm)を用いて解砕し、細分化された含水ゲル状架橋重合体を得た。このとき、含水ゲルの投入量は350[g/min]、含水ゲル投入と並行して90℃に調温した脱イオン水を80[g/min]で添加しながら解砕を行った。
[0303]
上記解砕操作で得られた細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き850μmのステンレス製金網上に広げ、180℃で30分間熱風乾燥を行った。続いて、該乾燥操作で得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μm及び目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級した。
[0304]
上記一連の操作により、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)420μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(1)の諸物性を表1に示す。」

(2)甲第7号証に記載された発明

上記甲第7号証の記載、特に、実施例1の記載の整理すると、次の発明が記載されていると認める(以下、「甲7発明」という。)。

「容量3リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸(p-メトキシフェノール:70mg/L含有品)181.1g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1727.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)4.38g、界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液59.7gを投入し、溶解(混合)させて単量体水溶液を作製し、液温を24℃に調整し、次に、上記単量体水溶液を、100℃のオイルバスに浸漬したステンレス製のコイル式熱交換器(自立コイル式交換機、型番JC-S1;アズワン株式会社、研究総合機器カタログ)に、定量ポンプを用いて0.5[L/min]で通過させ、液温を98.5℃まで昇温させ、続いて、容量1リットルのポリプロピレン製容器に上記単量体水溶液986gを量り取り、攪拌しながら冷却し、液温が95℃となった時点で、4重量過硫酸ナトリウム水溶液14.0gを加えた後、すぐにステンレス製バット型容器(底面340×340mm、高さ25mm、内面;テフロン(登録商標)を貼り付け)に大気開放系で注ぎ、上記単量体水溶液がバット型容器に注がれて40秒後に重合反応が開始し、該重合反応は、水蒸気を発生しながら上下左右に膨張発泡して進行し、その後、バット型容器よりも若干大きなサイズにまで収縮し、重合反応の開始から3分経過後に、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)を取り出し、上記重合反応で得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)をミートチョッパー(飯塚工業株式会社製、MEAT-CHOPPER TYPE:12VR-400KSOX、ダイ孔径:6.4mm、孔数:38、ダイ厚み8mm)を用いて解砕し、細分化された含水ゲル状架橋重合体を得て、上記解砕操作で得られた細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き850μmのステンレス製金網上に広げ、180℃で30分間熱風乾燥を行い、続いて、該乾燥操作で得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μm及び目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級し不定形破砕状の吸水性樹脂粉末を得る吸水性樹脂粉末の製造方法。」

第5 取消理由について

1 取消理由1について

(1)本件特許発明1と甲1発明aとの対比および判断

ア 対比

本件特許発明1と甲1発明aを対比する。

(ア)甲1発明aの「不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマー」は、甲第1号証の請求項7には「不飽和で酸基含有のモノマーが、アクリル酸・・・」であることが記載されていることから、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」に相当する。

甲1発明aの
「I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
[ここで、R^(1)は、多価のC_(2)?_(10)アルキル基、
R^(2)は、線状又は分岐したC_(2)?_(10)アルケニル基、
R^(3)は、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)、
R^(5)は、H、CH_(3)、
xは、2?6、
uは、0?15、
zは、3?20]
の組み合わせからなる架橋剤」は、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲1発明aの「水溶液」は、不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマー及び架橋剤を含むから、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲1発明aの「溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロゲルに重合され」るとの事項は、本件特許発明1の「フリーラジカル重合および架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る」に相当する。
甲1発明aの「乾燥され」るとの事項は、本件特許発明1の「乾燥させる」に相当する。
甲1発明aの「粉砕され、篩別される」との事項は、本件特許発明1の「粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。

(イ)甲1発明aの「液体吸収性架橋ポリマー」は、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致する。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>

「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点1A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点2A>
架橋剤の含有量について、甲1発明aは「モノマーに対して、0.3-1.0重量%の量で使用される」と特定するのに対し、本件特許発明1は「0.001?10重量%」と特定する点。

<相違点3A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点4A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点5A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点6A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲1発明aは、「液体吸収性架橋ポリマー」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点5Aについて検討する。

(ア)甲1発明aの「架橋剤」について
甲1発明aには、「I.40-90モル%の、
CH_(2)=CHR^(5)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))zO-CH_(2)-CHR^(5)=CH_(2)
II.10-60モル%の、
R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)u-CO-R^(2)]x
・・・の組み合わせからなる架橋剤」と特定され、これに関し、甲第1号証の第11頁第3-17行には、高い液体吸収速度を示す製品に用いられる超吸収体を製造するための架橋剤として、予備架橋剤I及びIIが記載されている。
そして、甲第1号証の第11頁第18-25行には、「予備架橋剤I、即ちポリグリコールモノ(メタ)アリルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アリル官能基、(メタ)アクリル酸エステル官能基、およびこれら二つの官能基の間に挿入され、少なくとも3個、好ましくは5ないし20個、もっとも好ましくは8ないし12個のグリコール単位からなる親水性の鎖を有する。好適なグリコール単位としては、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール単位の両方が挙げられ、これらは単独でも混合していてもよい。混合している場合には、ランダムおよびブロックのアルコキシレートがいずれも適している。」と記載されており、甲第1号証に記載の予備架橋剤Iとしてのポリグリコールモノ(メタ)アリルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
そうすると、甲1発明aの上記架橋剤は、「界面活性剤」であるとまではいえない。

(イ)「発泡剤」について
甲1発明aには、「発泡剤」について特定されていないものの、甲第1号証の第21頁下から6行には、「炭酸ナトリウム」が記載されている。
そして、本件明細書の段落【0045】には、「発泡剤としては、・・・炭酸ナトリウム・・・等の任意の炭酸塩を使用することができる。」と記載されているから、甲第1号証に記載の「炭酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当する。
しかしながら、当該「炭酸ナトリウム」は、「アゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加え、それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012g」とあり、過硫酸ナトリウム等の重合開始剤とともに加えられているものであって、当該重合開始剤を加え重合を開始するよりも前の時点で炭酸ナトリウムを加えるものではない。
さらに、炭酸ナトリウムの粒径についても、記載されていない。

してみれば、相違点5Aは、実質的な相違点である。

そして、甲第5号証の記載、特に、第13頁第4-6行の記載を参照すると吸水性ポリマー組成物に含まれる助剤として界面活性剤が挙げられることが記載され、特許請求の範囲1には、「開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前に、100?900μmの粒径を有する炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤を前記モノマー水溶液に添加する」と記載されており、発泡剤を開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前に添加すること、及び発泡剤の粒径について記載されている。
しかしながら、甲1発明aにおいて、炭酸ナトリウムを加える時期を、ヒドロゲルに重合するよりも前にすると動機付ける記載は、甲第1号証全体を参照しても見いだすことはできない。
また、甲第5号証の記載、特に実施例1の記載を参照すると、吸水性ポリマーを製造する工程における炭酸ナトリウムの粒径が400?600μmであることが記載されているものの、甲1発明aにおいて、炭酸ナトリウムを加える時期を、ヒドロゲルに重合するよりも前にするとの動機付けは、甲第5号証の記載に見いだすことができない。
さらに、甲第1号証及び甲第5号証には、甲1発明aにおいて、界面活性剤として、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」を使用することを動機付ける記載は見当たらない。

そのため、相違点5Aは、甲1発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点1A?4A、6Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲1発明aとの対比および判断

ア 対比

本件特許発明2と甲1発明aを対比する。

甲1発明aの「液体吸収性架橋ポリマー」は、重合されたヒドロゲルであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲1発明aの
「液体吸収性架橋ポリマーの製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>

「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマ
ー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点1B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点2B>
架橋剤の含有量について、甲1発明aは「モノマーに対して、0.3-1.0重量%の量で使用される」と特定するのに対し、本件特許発明1は「0.001?10重量%」と特定する点。

<相違点3B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点4B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

<相違点5B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲1発明aは、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点5Bについて検討する。

上記相違点5Bは、上記(1)アの相違点5Aと同一である。
そのため、相違点5Bについての判断も、上記(1)イの相違点5Aについての判断と同一である。
そうすると、相違点5Bは、甲1発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点1B?4Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲1発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲1発明a及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(4)本件特許発明1と甲1発明bとの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲1発明bを対比する。

(ア)甲1発明bの「アクリル酸」は、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」に相当する。
甲1発明bの「架橋剤Iとして10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル(AAA-10EO)0.53g(0.96mmol)、架橋剤IIとしてクレイ・バレイ(Cray Valley)のトリメチロールプロパン・トリアクリレート(SR351)0.27g(1.03mmol)」は、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲1発明bの「モノマー溶液」は、「架橋剤Iとして10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル(AAA-10EO)0.53g(0.96mmol)、架橋剤IIとしてクレイ・バレイ(Cray Valley)のトリメチロールプロパン・トリアクリレート(SR351)0.27g(1.03mmol)と共に、アクリル酸265.2gと脱イオン水372.4gから成る」から、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲1発明bの「モノマー溶液」に「脱イオン水10gに溶解したアゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g」、「それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012gを添加することにより、重合が開始」することは、本件特許発明1の「得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させ」るとの事項に相当する。
甲1発明bの「得られたポリマー」は、甲第1号証の請求項16の記載を参照すると、「ヒドロゲルに重合され」たものであるから、本件特許発明1の「非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマー」に相当する。
甲1発明bの「空気循環乾燥器の中で140℃で破砕し」は、本件特許発明1の「乾燥させる」に相当する。
甲1発明bの「粉砕し、篩分けして」は、本件特許発明1の「粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。

(イ)甲1発明bの「液体吸収性架橋ポリマー」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー」は、「吸水性ポリマー」の限りで一致する。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含むことを特徴とする方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点7A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。。

<相違点8A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点9A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点10A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含み」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点11A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と、特定するのに対し、甲1発明bは、「脱イオン水10gに溶解したアゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加え、それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012gを添加する」点。

<相違点12A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲1発明bは、「液体吸収性架橋ポリマー」である点。

イ 判断

事案に鑑み、相違点11Aについて検討する。

(ア)甲1発明bの「架橋剤I」について
甲1発明bには、「架橋剤Iとして10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル(AAA-10EO)」と特定され、これに関し、甲第1号証の第11頁第3-17行には、高い液体吸収速度を示す製品に用いられる超吸収体を製造するための架橋剤として、予備架橋剤Iが記載されている。
そして、甲第1号証の第11頁第18-25行には、「予備架橋剤I、即ちポリグリコールモノ(メタ)アリルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アリル官能基、(メタ)アクリル酸エステル官能基、およびこれら二つの官能基の間に挿入され、少なくとも3個、好ましくは5ないし20個、もっとも好ましくは8ないし12個のグリコール単位からなる親水性の鎖を有する。好適なグリコール単位としては、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール単位の両方が挙げられ、これらは単独でも混合していてもよい。混合している場合には、ランダムおよびブロックのアルコキシレートがいずれも適している。」と記載されており、甲1発明bの「架橋剤Iとして10-EO-アリルアルコールのアクリル酸エステル(AAA-10EO)」は、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。

(イ)「発泡剤」について
甲1発明bには、「発泡剤」について特定されていないものの、甲第1号証の第21頁下から6行には、「炭酸ナトリウム」が記載されている。
そして、本件明細書の段落【0045】には、「発泡剤としては、・・・炭酸ナトリウム・・・等の任意の炭酸塩を使用することができる。」と記載されているから、甲第1号証に記載の「炭酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当する。
しかしながら、甲1発明bの「炭酸ナトリウム」は、「アゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加え、それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012g」とあり、過硫酸ナトリウム等の重合開始剤とともに加えられているものであって、当該重合開始剤を加え重合を開始するよりも前の時点で炭酸ナトリウムを加えるものではない。
さらに、炭酸ナトリウムの粒径についても、記載されていない。

してみれば、相違点11Aは、実質的な相違点である。

そして、甲1発明bにおいて、炭酸ナトリウムを加える時期を、重合開始剤を加え重合を開始するよりも前にするとの動機付ける記載は、甲第1号証全体を参照しても見いだすことはできない。
また、甲第5号証の記載、特に実施例1の記載を参照すると、吸水性ポリマーを製造する工程における炭酸ナトリウムの粒径が400?600μmであることが記載されているものの、甲1発明bにおいて、炭酸ナトリウムを加える時期を、重合開始剤を加え重合を開始するよりも前にするとの動機付けは、甲第5号証の記載に見いだすことができない。
さらに、甲第1号証及び甲第5号証には、甲1発明bにおいて、界面活性剤として、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」を使用することを動機付ける記載は見当たらない。
そのため、相違点11Aは、甲1発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点7A?10A、12Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件特許発明2と甲1発明bとの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲1発明bを対比する。

甲1発明bの「液体吸収性架橋ポリマー」は、甲第1号証の請求項16の記載を参照すると、「ヒドロゲルに重合され」たものであるから、甲1発明bの「液体吸収性架橋ポリマーの製造法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点は、上記(4)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマ
ー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含むことを特徴とする方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点7B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点8B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点9B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点10B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含み」と特定するのに対し、甲1発明bは、そのような特定がない点。

<相違点11B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と、特定するのに対し、甲1発明bは、「脱イオン水10gに溶解したアゾ-ビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(azo-bis(2-amidinopropane)dihydrochloride)0.3g、脱イオン水6gに溶解した過硫酸ナトリウム0.05g、脱イオン水6gに溶解した35%過酸化水素0.005g、および炭酸ナトリウム2gを加え、それから脱イオン水2gに溶解したアスコルビン酸0.012gを添加する」点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点11Bについて検討する。

上記相違点11Bは、上記(4)アの相違点11Aと同一である。
そのため、相違点11Bについての判断も、上記(4)イの相違点11Aについての判断と同一である。
そうすると、相違点11Bは、甲1発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点7B?10Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲1発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(6)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(4)及び(5)で述べた理由と同様に、甲1発明b及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(7)小括

よって、取消理由1は、理由がない。

2 取消理由2

(1)本件特許発明1と甲2発明aとの対比及び判断

ア 対比
本件特許発明1と甲2発明aを対比する。

(ア)甲2発明aの「部分的に中和されたモノエチレン性不飽和の、酸基含有モノマー」は、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」に相当する。
甲2発明aの「任意的である該モノマーと共重合可能な他のモノマー」と、本件特許発明1の「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」とは、前者は「任意的である」から、後者の「0?70重量%」に相当し、両者は「成分(α1)と共重合可能な」「モノマー」の限りで一致する。
甲2発明aの
「I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
III.R^(1)-[O(CHR^(3)-CHR^(3)O)_(u)-CO-R^(2)]_(x)及び/又はジ-もしくはトリアリルアミン及び/又はビスアクリルアミド
(但し、R^(1):多価の炭素数2?10のアルキル、
R^(2):線状又は分岐した炭素数2?10のアルケニル、
R^(3):H,CH_(3),C_(2)H_(5)、
R^(4):H,線状又は分岐した炭素数1?10のアルキル、
R^(5):CO,CH_(2)、
R^(6):H,CH_(3)、
x:2?6、
u:0?15、
v:1?45、
z:3?20)
の架橋剤の組み合わせ」は、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲2発明aの「不飽和で酸基含有の部分的に中和されたモノマー」と「架橋剤」との「混合物の水溶液」は、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲2発明aの「溶液重合又は懸濁重合の方法により、ラジカル形成剤の添加の下で、ヒドロゲルに重合され」ることは、本件特許発明1の「フリーラジカル重合及び架橋させて未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る」に相当する。
甲2発明aの「乾燥され」ることは、本件特許発明1の「乾燥させる」に相当する。
甲2発明aの「粉砕され、篩別される」ことは、本件特許発明1の「粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。

(イ)甲2発明aの「水性液体吸収性架橋ポリマー」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」は、「吸水性ポリマー」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なモノマー
と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点13A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点14A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明aは、「モノマーに対し、I)0.1-0.4重量%、II)1.0-3.5重量%、そして、III)0.05-0.3重量%、で使用される」と特定する点。

<相違点15A>
成分(α1)と共重合可能なモノマーについて、本件特許発明1は、「エチレン性不飽和」モノマーと特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点16A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点17A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点18A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲2発明aは、「液体吸収性架橋ポリマー」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点17Aについて検討する。

(ア)甲2発明aの「架橋剤」について

甲2発明aには、「I. CH_(2)=CHR^(6)-CO-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(z)O-CH_(2)-CHR^(6)=CH_(2)
II. CH_(2)=CHR^(6)-R^(5)-(OCHR^(3)-CHR^(3))_(V)OR^(4)
(但し、・・・R^(6):H,CH_(3)、)・・・の架橋剤」と特定されている。

これに関し、甲第2号証の第13頁第29行-第14頁第4行には、「こうして発明した式Iの架橋剤は、(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基、並びに少なくとも3個、好ましくは5?20個のエチレンオキサイド単位からなる、これら2つの官能基間に位置する親水性鎖を有する。エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド混合鎖の使用も可能である。」と記載されており、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
そうすると、甲2発明aの式Iの架橋剤は、「界面活性剤」であるとまではいえない。

また、甲2発明aの架橋剤の式IIにおいて、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえるものの「界面活性剤」であるとまではいえない。

(イ)甲2発明aには、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前」に、「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合すること」に相当する事項は存在しない。

したがって、相違点17Aは、実質的な相違点である。

そして、甲第2号証の記載を参照しても、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前」に「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合すること」は記載も示唆もされていない。
してみれば、甲2発明aにおいて、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の重合の開始前」に「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤を混合すること」を動機付ける記載は、甲第2号証に見いだすことができない。
また、甲第5号証の記載、特に、第28頁の実施例1には、超吸収体を得るためのモノマー溶液に添加される炭酸ナトリウムの粒径が400?600μmであることが記載されるにとどまり、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の重合の開始前」に「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤を混合すること」に相当する事項は記載も示唆もされていない。
さらに、甲第2号証及び甲第5号証には、甲2発明aにおいて、界面活性剤として、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」を使用することを動機付ける記載は見当たらない。

そのため、相違点17Aは、甲2発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点13A?16A、18Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件特許発明2と甲2発明aとの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲2発明aを対比する。

甲2発明aの「水性液体吸収性架橋ポリマー」は重合されたヒドロゲルであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲2発明aの「水性液体吸収性架橋ポリマーの製造法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点は、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>

「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なモノマー
と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点13B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点14B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明aは、「モノマーに対し、I)0.1-0.4重量%、II)1.0-3.5重量%、そして、III)0.05-0.3重量%、で使用される」と特定する点。

<相違点15B>
成分(α1)と共重合可能なモノマーについて、本件特許発明2は、「エチレン性不飽和」モノマーと特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点16B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

<相違点17B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明aは、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点17Bについて検討する。

上記相違点17Bは、上記(1)アの相違点17Aと同一である。
そのため、相違点17Bについての判断も、上記(1)イの相違点17Aについての判断と同一である。
そうすると、相違点17Bは、甲2発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点13B?16Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明a及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲2発明a及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(4)本件特許発明1と甲2発明bとの対比及び判断

ア 本件特許発明1と甲2発明bを対比する。

(ア)甲2発明bの「アクリル酸」は、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」に相当する。
甲2発明bの「(アクリル酸に対して)3.5重量%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、(アクリル酸に対して)0.35重量%のトリメチロールプロパントリアクリレート」は、甲第2号証の第13頁第29行?第16頁第4行の記載を参照すると、架橋剤であるから、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲2発明bの「ベルト乾燥器の上で空気温度160℃で乾燥され」ることは、本件特許発明1の「乾燥させる」に相当する。
甲2発明bの「粉砕し、篩分け」することは、本件特許発明1の「粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。

(イ)甲2発明bの「得られるポリマー」は、重合して生成したゲルであるから、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致する。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点19A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点20A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明bは、「(アクリル酸に対して)3.5重量%」のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート及び「(アクリル酸に対して)0.35重量%」のトリメチロールプロパントリアクリレートと特定する点。

<相違点21A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点22A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点23A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点24A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲2発明bは、「得られるポリマー」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点23Aについて検討する。

本件明細書の段落【0045】には、「発泡剤としては、・・・炭酸ナトリウム・・・等の任意の炭酸塩を使用することができる。」と記載されているから、比較例1に基づく甲2発明bにおけるモノマー溶液中の「炭酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当する。
しかしながら、甲2発明bにおいて、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当する事項がない。
確かに、甲第2号証の第13頁第29行?第14頁第4行には、「こうして発明した式Iの架橋剤は、(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基、並びに少なくとも3個、好ましくは5?20個のエチレンオキサイド単位からなる、これら2つの官能基間に位置する親水性鎖を有する。エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド混合鎖の使用も可能である。」と記載されている。
しかし、当該記載を参照しても、甲2発明bのいずれかの事項が、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するということはできない。
したがって、相違点23Aは、実質的な相違点である。

そして、甲第2号証の記載全体を参照しても、比較例1に基づく甲2発明bにおいて、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」をモノマー溶液に混合することを動機付ける記載は見当たらない。
さらに、甲第5号証の記載、特に、第13頁第4-6行の記載を参照しても吸水性ポリマー組成物に含まれる助剤として界面活性剤が挙げられることが記載されるにとどまり、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するものは記載も示唆もされていない。
そのため、相違点23Aは、甲2発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点19A?22A、24Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(5)本件特許発明2と甲2発明bの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲2発明bを対比する。

甲2発明bの「得られるポリマー」は、アクリル酸、3.5重量%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、0.35重量%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび0.4重量%の炭酸ナトリウムからなるモノマー溶液に、触媒溶液と混合しアスコルビン酸を加え重合して生成したゲルであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲2発明bの「得られるポリマーの製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点は上記(4)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点19B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点20B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明bは、「(アクリル酸に対して)3.5重量%」のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート及び「(アクリル酸に対して)0.35重量%」のトリメチロールプロパントリアクリレートと特定する点。

<相違点21B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点22B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

<相違点23B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明bは、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点23Bについて検討する。

上記相違点23Bは、上記(4)アの相違点23Aと同一である。
そのため、相違点23Bについての判断も、上記(4)イの相違点23Aについての判断と同一である。
そうすると、相違点23Bは、甲2発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点19B?22Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明b及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(6)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(4)及び(5)で述べた理由と同様に、甲2発明b及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(7)本件特許発明1と甲2発明cの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲2発明cを対比する。

(ア)甲2発明cの「アクリル酸」は、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」に相当する。
甲2発明cの「3.5%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、0.2%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび0.3%のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレート」は、甲第2号証の第13頁第29行?第16頁第4行の記載を参照すると、架橋剤であるから、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲2発明cの「アクリル酸の溶液」は、アクリル酸に対して、3.5%のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、0.2%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび0.3%のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレートを含有する溶液であるから、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲2発明cの上記「アクリル酸の溶液」を「重合させ」て得られるポリマーは、甲第2号証の特許請求の範囲16の記載からみて、重合されたヒドロゲルであるから、本件特許発明1の「重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマー」に相当する。
(イ)甲2発明cの「粉末状の樹脂」は、上記「アクリル酸の溶液」を「重合させ」て得られるポリマーであって、重合されたヒドロゲルであるから、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致し、甲2発明cの「粉末状の樹脂に加工する製造方法」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」とは、「吸水性ポリマーの製造方法」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物を重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点25A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点26A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明cは、「3.5%」のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、「0.2%」のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび「0.3%」のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレートと特定する点。

<相違点27A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点28A>
本件特許発明1は、「(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点29A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点30A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲2発明cは、「粉末状の樹脂」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点29Aについて検討する。

確かに、甲第2号証の第13頁第29行?第14頁第4行には、「こうして発明した式Iの架橋剤は、(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基、並びに少なくとも3個、好ましくは5?20個のエチレンオキサイド単位からなる、これら2つの官能基間に位置する親水性鎖を有する。エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド混合鎖の使用も可能である。」と記載されており、甲2発明cの「ポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレート」は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
また、甲2発明cには、本件特許発明1の「発泡剤」に相当する事項が存在しない。
したがって、相違点29Aは、実質的な相違点である。

そして、甲第2号証の記載全体を参照しても、甲2発明cにおいて、アクリル溶液の「重合」の開始「前」に、「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤」を混合するとの記載も示唆も見当たらない。
また、甲第5号証の記載、特に実施例1の記載を参照すると、吸水性ポリマーを製造する工程における炭酸ナトリウムの粒径が400?600μmであることが記載されているものの、甲2発明cにおいて、炭酸ナトリウムを加える時期を、重合開始剤を加え重合を開始するよりも前にするとの動機付けは、甲第5号証の記載に見いだすことができない。
さらに、甲第2号証及び甲第5号証には、甲2発明cにおいて、界面活性剤として、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」を使用することを動機付ける記載は見当たらない。

そのため、相違点29Aは、甲2発明c及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点25A?28A、30Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明c及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(8)本件特許発明2と甲2発明cの対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲2発明cを対比する。

甲2発明cの「粉末状の樹脂」は、「アクリル酸の溶液」を「重合させ」て得られるポリマーであって、甲第2号証の特許請求の範囲16の記載からみて、重合されたヒドロゲルであるから、本件特許発明1の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲2発明cの「粉末状の樹脂に加工する製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(7)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物を重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点25B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点26B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲2発明cは、「3.5%」のメトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート、「0.2%」のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび「0.3%」のポリエチレングリコール(10EO)モノアリルエーテルアクリレートと特定する点。

<相違点27B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点28B>
本件特許発明2は、「(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

<相違点29B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲2発明cは、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点29Bについて検討する。

上記相違点29Bは、上記(7)アの相違点29Aと同一である。
そのため、相違点29Bについての判断も、上記(7)イの相違点29Aについての判断と同一である。
そうすると、相違点29Bは、甲2発明c及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点25B?28Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明c及び甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(9)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(7)及び(8)で述べた理由と同様に、甲2発明c及び甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(10)小括

よって、取消理由2は、理由がない。

3 取消理由3について

(1)本件特許発明1と甲3発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲3発明を対比する。

(ア)甲3発明の「アクリル酸」、「アクリル酸ナトリウム溶液」、「とからなる混合物」は、それぞれ、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」、「の混合物」に相当する。
甲3発明の「内部架橋剤としてのアクリル酸」は、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲3発明の「37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4786.99gとアクリル酸514.45gと脱塩水522.95gとからなる混合物で最初に充填し、引続き、3回エトキシル化されたグリセリントリアクリレート6.9g(約85質量%)を内部架橋剤としてのアクリル酸100.0g中に溶解し」た混合物は、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲3発明の「ポリマーゲル」は、「37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液4786.99gとアクリル酸514.45gと脱塩水522.95gとからなる混合物で最初に充填し、引続き、3回エトキシル化されたグリセリントリアクリレート6.9g(約85質量%)を内部架橋剤としてのアクリル酸100.0g中に溶解し、ならびにそれに引き続いて開始剤として15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液11.89gおよび3質量%の過酸化水素水溶液1.32gを添加し、引続き、0.5質量%のアスコルビン酸水溶液19.82gを添加し、前記混練機を一方の軸に対して毎分96回転の速度で運転し、かつ他方の軸に対して毎分48回転で運転し、前記アスコルビン酸溶液の添加直後に、溶液を混練機の加熱ジャケットによる熱媒体(80℃)の貫流を用いて加熱して」得られ、過硫酸ナトリウム等の開始剤により重合されるから、本件特許発明1の「フリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマー」に相当する。
甲3発明の「このゲルを各1080gの少量ずつ均一に格子シートメタル上に分配し、かつ空気循環乾燥キャビネット中で175℃で90分間乾燥させ」ることは、本件特許発明1の「前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる」に相当する。
甲3発明の「乾燥されたゲルを・・・微粉砕し、・・・前記吸水性ポリマー粒子を篩別」することは、本件特許発明1の「前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。
甲3発明の「得られた基本ポリマー1200gを、表面後架橋のために、・・・次の溶液・・・で被覆した」ことは、本件特許発明1の「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる」に相当する。
(イ)甲3発明の「吸水性ポリマー」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」との限りで一致し、甲3発明の「吸水性ポリマーの製造方法」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」とは、「吸水性ポリマーの製造方法」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>

「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物を重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と
を含む方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点31A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点32A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点33A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点34A>
本件特許発明1は、「(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点35A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点36A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲3発明は、「吸水性ポリマー」である点。

イ 判断

事案に鑑み、相違点35Aについて検討する。

(ア)まず、甲第3号証には、「0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」及び「0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤」については記載も示唆もされていない。

(イ)確かに、甲第1号証の第11頁第18-25行には、「予備架橋剤I、即ちポリグリコールモノ(メタ)アリルエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アリル官能基、(メタ)アクリル酸エステル官能基、およびこれら二つの官能基の間に挿入され、少なくとも3個、好ましくは5ないし20個、もっとも好ましくは8ないし12個のグリコール単位からなる親水性の鎖を有する。好適なグリコール単位としては、エチレングリコールおよびポリエチレングリコール単位の両方が挙げられ、これらは単独でも混合していてもよい。混合している場合には、ランダムおよびブロックのアルコキシレートがいずれも適している。」と記載されており、当該予備架橋剤Iは、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。

(ウ)さらに、甲第2号証の第13頁第29行-第14頁第4行には、「こうして発明した式Iの架橋剤は、(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基、並びに少なくとも3個、好ましくは5?20個のエチレンオキサイド単位からなる、これら2つの官能基間に位置する親水性鎖を有する。エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド混合鎖の使用も可能である。」と記載されており、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。
また、甲第2号証の特許請求の範囲1に記載された式IIの架橋剤において、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえる。

(エ)しかしながら、仮に、甲第1号証に記載の架橋剤I、甲第2号証に記載の式Iまたは式IIの架橋剤が本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するとしても、甲第1?3号証には、甲3発明において、甲第1号証又は甲第2号証に記載された事項を組み合わせることを動機付ける記載が存するものとは認められない。

(オ)さらに、甲第1号証の第21頁下から6行に記載の「炭酸ナトリウム」、甲第2号証の比較例1の記載におけるモノマー溶液中の「炭酸ナトリウム」及び甲第5号証の実施例1に記載の「炭酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当するといえる。
しかしながら、甲3発明において、発泡剤を加え、さらに、発泡剤を加える時期を、重合するよりも前にすると動機付ける記載は、甲第1?3及び5号証全体を参照しても見いだすことはできない。

そのため、上記相違点35Aは、甲3発明及び甲第1?2、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点31A?34A、36Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲3発明及び甲第1?2、5号証の記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲3発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲3発明を対比する。

甲3発明の「吸水性ポリマー」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲3発明の「吸水性ポリマーの製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>

「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と
(ii)得られた混合物を重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と
を含む方法。」

<相違点31B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲3発明はそのような特定がない点。

<相違点32B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲3発明はそのような特定が内典。

<相違点33B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点34B>
本件特許発明2は、「(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点35B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点35Bについて検討する。

上記相違点35Bは、上記(1)アの相違点35Aと同一である。
そのため、相違点35Bについての判断も、上記(1)イの相違点35Aについての判断と同一である。
そうすると、上記相違点35Bは、甲3発明及び甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点31B?34Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲3発明及び甲第1?2、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲3発明及び甲第1?2、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(4)小括

よって、取消理由3は、理由がない。

4 取消理由4について

(1)本件特許発明1と甲4発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲4発明を対比する。

(ア)甲4発明の「アクリル酸」、「アクリル酸ナトリウム」は、それぞれ、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」に相当する。
甲4発明の「ポリエチレングリコール(n=8)ジアクリレート」は、甲第4号証の記載、特に第5欄第64-第6欄第32行を参照すると、水溶性架橋性単量体であるから、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲4発明の「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)」と、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」とは、「非イオン性」の「界面活性剤」の限りで一致する。
甲4発明の「アクリル酸」、「アクリル酸ナトリウム」、「ポリエチレングリコール(n=8)ジアクリレート」、「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)」を含む「単量体水溶液」は、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲4発明の「アクリル酸153部、37%アクリル酸ナトリウム1615部、ポリエチレングリコール(n=8)ジアクリレート4.9部、非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)1.5部、純水710部を含有する単量体水溶液を脱イオン化し、・・・高速強撹拌下に10%過硫酸ナトリウム溶液10部および4%L-アスコルビン酸溶液10部を添加し、直ちに重合を開始し・・・重合後得られた気泡を含むゲル状重合体」を得ることは、「得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る」に相当する。
甲4発明の「重合後得られた気泡を含むゲル状重合体を・・・150℃の熱風乾燥機中で1時間で乾燥」することは、本件特許発明1の「前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる」に相当する。
甲4発明の「含水ゲル状重合体の乾燥物を粉砕機で粉砕し、開口が850μmの篩通過物を分取」することは、本件特許発明1の「前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。
甲4発明の「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)」は、10%過硫酸ナトリウム溶液10部および4%L-アスコルビン酸溶液10部を添加するよりも「前」に、単量体水溶液に含まれるものであるから、甲4発明は、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を」「非イオン性」「界面活性剤」「と混合すること」を構成として備えるといえる。
(イ)甲4発明の「吸水性樹脂」は、上記の含水ゲル状重合体から得られるものであるから、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致し、甲4発明の「吸水性樹脂を得る製造方法」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」とは、「吸水性ポリマーの製造方法」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、非イオン性の界面活性剤と混合する方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点37A>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明1は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点38A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点39A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点40A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点41A>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明1は「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲4発明はそのような特定がない点。

<相違点42A>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明1は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定するのに対し、甲4発明は、「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製) 」と特定する点。

<相違点43A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、・・・0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」のに対し、甲4発明はそのような特定がない点。

<相違点44A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲4発明は、「吸水性樹脂」である点。


イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点42Aについて検討する。

まず、甲第3号証には、「0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」については記載も示唆もされていない。
そして、確かに、甲第5号証の第13頁第4-6行には、「ポリマーに含まれる助剤(α5)として・・・界面活性剤・・・が挙げられる。」と記載されている。しかし、その界面活性剤が、「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」であることまでは記載も示唆もされていない。

上記3(1)イ(イ)で述べたように、甲第1号証に記載の予備架橋剤Iは、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。
同様に、上記3(1)イ(ウ)で述べたように、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。
また、甲第2号証の特許請求の範囲1に記載された式IIの架橋剤において、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえる。
しかしながら、仮に、甲第1号証に記載の架橋剤I、甲第2号証に記載の式Iまたは式IIの架橋剤が本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するとしても、甲第1?3及び5号証には、甲4発明の「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製)」に代えて、甲第1号証又は甲第2号証に記載の架橋剤を組み合わせることを動機付ける記載が存するものとは認められない。
そのため、上記相違点42Aは、甲4発明及び甲第1?3、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。

したがって、相違点37A?41A、43A?44Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲4発明及び甲第1?3、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲4発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲4発明を対比する。

甲4発明の「吸水性樹脂」は、含水ゲル状重合体から得られるものであるから、本件特許発明1の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲4発明の「吸水性樹脂を得る製造方法」は、本件特許発明1の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

イ 判断

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、非イオン性の界面活性剤と混合する方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点37B>
重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマーの含有量について、本件特許発明2は、「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点38B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲4発明はそのような特定がない点。

<相違点39B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点40B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲4発明は、そのような特定がない点。

<相違点41B>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明2は「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲4発明はそのような特定がない点。

<相違点42B>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明2は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定するのに対し、甲4発明は、「非イオン性界面活性剤(商品名:レオドールTW-S120、花王石鹸株式会社製) 」と特定する点。

<相違点43B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、・・・0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」のに対し、甲4発明はそのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点42Bについて検討する。

上記相違点42Bは、上記(1)アの相違点42Aと同一である。
そのため、相違点42Bについての判断も、上記(1)イの相違点42Aについての判断と同一である。
そうすると、上記相違点42Bは、甲4発明及び甲第1?3、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。

したがって、相違点37B?41B、43Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲4発明及び甲第1?3、5号証の記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲4発明及び甲第1?3、5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(4)小括

よって、取消理由4は、理由がない。

5 取消理由5について

(1)本件特許発明1と甲5発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲5発明を対比する。

(ア)甲5発明の「(i)(α1)0.1?99.999重量%、好ましくは20?98.99重量%、より好ましくは30?98.95重量%の、エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」、「プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー」、「それらの混合物」は、それぞれ、本件特許発明1の「(i)(α1)0.1?99.999重量%の、重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」、「プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー」、「それらの混合物」に相当する。
甲5発明の「(α2)0?70重量%、好ましくは1?60重量%、より好ましくは1?40重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」は、本件特許発明1の「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」に相当する。
甲5発明の「(α3)0.001?10重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の、1種以上の架橋剤」は、本件特許発明1の「(α3)0.001?10重量%の、1種以上の架橋剤」に相当する。
甲5発明の「(α4)0?30重量%、好ましくは1?20重量%、より好ましくは5?10重量%の水溶性ポリマー」は、本件特許発明1の「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマー」に相当する。
甲5発明の「(α5)0?20重量%、好ましくは0.01?7重量%、より好ましくは0.05?5重量%の1種以上の助剤」は、本件特許発明1の「(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」に相当する。
甲5発明の「(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程」、「(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程」、「(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程」、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程」「(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程」は、それぞれ、本件特許発明1の「(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程」、「(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程」、「(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程」、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程」、「(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程」に相当する。
甲5発明の「炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当し、甲5発明の「100?900μmの粒径」は、本件特許発明1の「10?900μmの粒径」と重複一致する。
そして、甲5発明の「開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前に、100?900μmの粒径を有する炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤を前記モノマー水溶液に添加すること」は、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、・・・10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合すること」に相当する。
(イ)甲5発明の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」は、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」に相当する。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%の、重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合することを特徴とする方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点45A>
開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前にモノマー溶液と混合するものとして、本件特許発明1は「前記吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤」と特定するのに対し、甲5発明は、「100?900μmの粒径を有する炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤」と特定する点。

<相違点46A>
発泡剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲5発明は、そのような特定がされていない点。

イ 判断

まず、相違点45Aについて検討する。

確かに、甲第5号証の第13頁第4-6行には、「ポリマーに含まれる助剤(α5)として・・・界面活性剤・・・が挙げられる。」と記載されている。
しかし、その界面活性剤が、「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」であることまでは記載も示唆もされていない。
また、甲第3号証には、「0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」については記載も示唆もされていない。
上記3(1)イ(イ)で述べたように、甲第1号証に記載の予備架橋剤Iは、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
同様に、上記3(1)イ(ウ)で述べたように、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
また、甲第2号証の特許請求の範囲1に記載された式IIの架橋剤において、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえる。
しかしながら、仮に、甲第1号証に記載の架橋剤I、甲第2号証に記載の式Iまたは式IIの架橋剤が本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するとしても、甲第1?3、5号証には、甲5発明の「助剤」としての界面活性剤において、甲第1又は2号証に記載の架橋剤を組み合わせることを動機付ける記載が存するものとは認められない。
そうすると、甲5発明において、開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前にモノマー溶液と混合する発泡剤とともに「吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」を混合することは、甲5発明及び甲第1?3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
そのため、上記相違点45Aは、甲5発明及び甲第1?3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点46Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲5発明及び甲第1?3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲5発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲5発明を対比する。

甲5発明の「吸水性ポリマー」は、ヒドロゲルポリマーであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲5発明の「吸水性ポリマーの製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は次の点で一致する。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)0.1?99.999重量%の、重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001?10重量%の、1種以上の架橋剤と、
(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0?20重量%の1種以上の助剤と、を混合する工程(成分(α1)?(α5)の合計は100重量%である)と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、
(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合することを特徴とする方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点45B>
開始剤の添加及び前記フリーラジカル重合の開始前にモノマー溶液と混合するものとして、本件特許発明2は「前記ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤及び0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤」と特定するのに対し、甲5発明は、「100?900μmの粒径を有する炭酸ソーダ粒子の細粒からなる発泡剤」と特定する点。

<相違点46B>
発泡剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲5発明は、そのような特定がされていない点。

イ 判断

まず、相違点45Bについて検討する。

上記相違点45Bは、上記(1)アの相違点45Aと同一である。
そのため、相違点45Bについての判断も、上記(1)イの相違点45Aについての判断と同一である。
そうすると、上記相違点45Bは、甲5発明及び甲第1?3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点46Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲5発明及び甲第1?3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲5発明及び甲第1?3号証の記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(4)小括

よって、取消理由5は、理由がない。

6 取消理由6について

(1)本件特許発明1と甲6発明を対比及び判断

ア 対比

本件特許発明1と甲6発明を対比する。

(ア)甲6発明の「アクリル酸」、「アクリル酸ナトリウム」は、それぞれ、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」に相当する。
甲6発明の「N,N’-メチレンビスアクリルアミド」は、甲第6号証の第20-21行の記載によれば、架橋剤であるから、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲6発明の「水溶性高分子(分散安定剤)としてのヒドロキシルエチルセルロース」は、本件特許発明1の「水溶性ポリマー」に相当する。
甲6発明の「単量体水溶液」は、「アクリル酸21.6部、アクリル酸ナトリウム37%水溶液178部、N,N’-メチレンビスアクリルアミド0.046部、水溶性高分子(分散安定剤)としてのヒドロキシルエチルセルロース0.18部、および、脱イオン水50部を混合」して得られるものであるから、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲6発明の「その後、該水溶液を窒素気流下、温度25℃で攪拌しながら、過硫酸ナトリウム10%水溶液1.2部と、L?アスコルビン酸1%水溶液0.5部とを添加し、そして、充分に攪拌した後、該単量体水溶液を静置し、過硫酸ナトリウム水溶液を添加してから約10分後に、単量体水溶液の温度は約99℃に達し、その後、温度を60℃?80℃に維持しながら、さらに10分間、単量体水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体を重合させ、これにより、気泡含有含水ゲルを得」ることは、本件特許発明1の「得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程」に相当する。
甲6発明の「熱風乾燥機を用いて150℃で熱風乾燥」することは、本件特許発明1の「乾燥させる」に相当する。
甲6発明の「乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらにJIS規格の標準篩(850μm)で分級すること」は、本件特許発明1の「粉砕及び篩い分けを行う」に相当する。
甲6発明の「界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート」は、甲第6号証の第22頁第3-7行の記載によれば「ノニオン系界面活性剤」であるから、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」とは、「非イオン性」の「界面活性剤」の限りで一致する。
甲6発明の「発泡剤としての重質炭酸カルシウム」は、本件特許発明1の「発泡剤」に相当する。
甲6発明の「単量体水溶液に、界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.18部と、発泡剤としての重質炭酸カルシウム2.63部とを添加し、・・・過硫酸ナトリウム10%水溶液1.2部と、L?アスコルビン酸1%水溶液0.5部とを添加し、・・・単量体水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体を重合させ」ることは、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を」「非イオン性の」「界面活性剤」及び「発泡剤と混合すること」に相当する。

(イ)甲6発明の「吸水性樹脂」とは、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致し、甲6発明の「吸水性樹脂の製造方法」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」とは、「吸水性ポリマーの製造方法」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、
(α4)水溶性ポリマーと、
を混合する工程
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、非イオン性の界面活性剤及び発泡剤と混合する方法。」

<相違点47A>
本件特許発明1は、「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩」の含有量を「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点48A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点49A>
水溶性ポリマーの含有量について、本件特許発明1は、「0?30重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点50A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点51A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点52A>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明1は、「界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート」と特定するのに対し、甲6発明は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定する点。

<相違点53A>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明1は、「吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点54A>
発泡剤の含有量について、本件特許発明1は「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲6発明はそのような特定がない点。

<相違点55A>
発泡剤の粒径について、本件特許発明1は「10?900μm」と特定するのに対し、甲6発明は「平均粒子径は3μm」と特定する点。

<相違点56A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲6発明は、「吸水性樹脂」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点52Aについて検討する。

確かに、甲第6号証の第22頁第3-7行には、「ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキンエチレンアルキルアミン、脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系界面活性剤」と記載され、同頁第21-23行には、「界面活性剤のうち、ア二オン系界面活性剤、およびノニオン系界面活性剤がさらに好ましく、HLBが7以上のノニオン系界面活性剤が特に好ましい。」と記載されている。
しかしながら、甲第6号証には、界面活性剤が、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」であることは記載も示唆もされていない。
甲第5号証の第13頁第4?6行には、「ポリマーに含まれる助剤(α5)として・・・界面活性剤・・・が挙げられる。」と記載されているものの、その界面活性剤が、「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」であることまでは記載も示唆もされていない。
また、甲第3、4号証には、「0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」については記載も示唆もされていない。

上記3(1)イ(イ)で述べたように、甲第1号証に記載の予備架橋剤Iは、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
同様に、上記3(1)イ(ウ)で述べたように、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」であるとまではいえない。
また、甲第2号証の特許請求の範囲1に記載された式IIの架橋剤において、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえる。
しかしながら、仮に、甲第1号証に記載の架橋剤I、甲第2号証に記載の式Iまたは式IIの架橋剤が本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するとしても、甲第1?5号証には、甲6発明の「界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート」の代わりに、甲第1又は2号証に記載の当該架橋剤を組み合わせることを動機付ける記載が存するものとは認められない。
そうすると、甲6発明において、「吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」を混合することは、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
そのため、上記相違点52Aは、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点47A?51A、53A?56Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲6発明の対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲6発明を対比する。

甲6発明の「吸水性樹脂」は、気泡含有含水ゲルから得られるものであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

<一致点>
「ヒドロゲルポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、
(α4)水溶性ポリマーと、
を混合する工程
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み、
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、前記吸水性ポリマーに対して、非イオン性の界面活性剤及び発泡剤と混合する方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点47B>
本件特許発明2は、「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩」の含有量を「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点48B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点49B>
水溶性ポリマーの含有量について、本件特許発明2は、「0?30重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点50B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点51B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点52B>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明2は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定するのに対し、甲6発明は、「界面活性剤(分散安定剤)としてのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート」と特定する点。

<相違点53B>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明2は、「ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲6発明は、そのような特定がない点。

<相違点54B>
発泡剤の含有量について、本件特許発明2は「0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲6発明はそのような特定がない点。

<相違点55B>
発泡剤の粒径について、本件特許発明2は「10?900μm」と特定するのに対し、甲6発明は「平均粒子径は3μm」と特定する点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点52Bについて検討する。

上記相違点52Bは、上記(1)アの相違点52Aと同一である。
そのため、相違点52Bについての判断も、上記(1)イの相違点52Aについての判断と同一である。
そうすると、上記相違点52Bは、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点47B?51B、53B?55Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲6発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(4)小括

よって、取消理由6は、理由がない。

7 取消理由7について

(1)本件特許発明1と甲7発明の対比及び判断

ア 対比

(ア)甲7発明の「アクリル酸」、「アクリル酸ナトリウム」は、それぞれ、本件特許発明1の「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー」、「その塩」に相当する。
甲7発明の「内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)」は、本件特許発明1の「1種以上の架橋剤」に相当する。
甲7発明の「単量体水溶液」は、「アクリル酸(p-メトキシフェノール:70mg/L含有品)181.1g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1727.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)4.38g、界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液59.7gを投入し」作製したものであるから、本件特許発明1の「得られた混合物」に相当する。
甲7発明の「上記単量体水溶液(1)がバット型容器に注がれて40秒後に重合反応が開始し、・・・重合反応の開始から3分経過後に、含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)を取り出す」ことは、本件特許発明1の「得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程」に相当する。
甲7発明の「180℃で30分間熱風乾燥を行」うことは、本件特許発明1の「乾燥させる工程」に相当する。
甲7発明の「該乾燥操作で得られた乾燥物をロールミル(有限会社井ノ口技研社製、WML型ロール粉砕機)を用いて粉砕した後、目開き850μm及び目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級」することは、本件特許発明1の「前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程」に相当する。
甲7発明の「界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)」は、甲第7号証の段落[0119]を参照すると、非イオン性界面活性剤であるから、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」とは、「非イオン性」の「界面活性剤」の限りで一致する。
甲7発明の「アクリル酸(p-メトキシフェノール:70mg/L含有品)181.1g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1727.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)4.38g、界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液59.7gを投入し、溶解(混合)させて単量体水溶液(1)を作製し、・・・4重量過硫酸ナトリウム水溶液14.0gを加えた後、・・・重合反応が開始」することは、本件特許発明1の「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前重合の開始前に、モノマー水溶液を」「非イオン性」「界面活性剤」「と混合すること」に相当する。
(イ)甲7発明の「吸水性樹脂粉末」は、含水ゲル状架橋重合体から得られるものであるから、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物」とは、「吸水性ポリマー」の限りで一致し、甲7発明の「吸水性樹脂粉末の製造方法」と、本件特許発明1の「吸水性ポリマー組成物の製造方法」とは、「吸水性ポリマーの製造方法」の限りで一致する。

そうすると、両者は、次の点で一致する。

「吸水性ポリマーの製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、非イオン性の界面活性剤と混合する方法。」

<相違点57A>
本件特許発明1は、「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩」の含有量を「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点58A>
架橋剤の含有量について、本件特許発明1は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点59A>
本件特許発明1は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点60A>
本件特許発明1は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点61A>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明1は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定するのに対し、甲7発明は「界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液」と特定する点。

<相違点62A>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明1は、「吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点63A>
本件特許発明1は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に・・・0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点64A>
本件特許発明1は、「吸水性ポリマー組成物」であるのに対し、甲7発明は、「吸水性樹脂粉末」である点。

イ 判断

事案に鑑み、まず相違点61Aについて検討する。

確かに、甲第7号証の段落[0119]には、非イオン性界面活性剤の例が記載されている。
しかし、甲第7号証には、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」について記載も示唆もされていない。
甲第5号証の第13頁第4?6行には、「ポリマーに含まれる助剤(α5)として・・・界面活性剤・・・が挙げられる。」と記載されているものの、その界面活性剤が、「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」であることまでは記載も示唆もされていない。
また、甲第3、4号証には、「0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」については記載も示唆もされていない。

上記3(1)イ(イ)で述べたように、甲第1号証に記載の予備架橋剤Iは、本件特許発明1の「メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。
同様に、上記3(1)イ(ウ)で述べたように、甲第2号証に記載の(メタ)アリル官能基及び(メタ)アクリル酸エステル官能基をもつ式Iの架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」であるが、「界面活性剤」とまではいえない。
また、甲第2号証の特許請求の範囲1に記載された式IIの架橋剤において、R^(6)がHの場合、末端がアリル基となり、当該架橋剤は、本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマー」に相当するようにみえる。
しかしながら、仮に、甲第1号証に記載の架橋剤I、甲第2号証に記載の式Iまたは式IIの架橋剤が本件特許発明1の「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」に相当するとしても、甲第1?5号証には、甲7発明の界面活性剤としての「13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液」の代わりに、甲第1又は2号証に記載の当該架橋剤を組み合わせることを動機付ける記載が存するものとは認められない。
そうすると、甲7発明において、「吸水性ポリマーに対して、0.07?1重量%の、(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」を混合することは、甲7発明及び甲第1号証又は甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
そのため、上記相違点61Aは、甲7発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点57?60A、62A?64Aについて判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲7発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(2)本件特許発明2と甲7発明との対比及び判断

ア 対比

本件特許発明2と甲7発明を対比する。

甲7発明の「吸水性樹脂粉末」は、含水ゲル状架橋重合体から得られるものであるから、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマー」に相当し、甲7発明の「吸水性樹脂粉末の製造方法」は、本件特許発明2の「ヒドロゲルポリマーの製造方法」に相当する。
その余の点については、上記(1)アの(ア)で述べたのと同様である。

そうすると、両者は次の点で一致する。

「吸水性ポリマー組成物の製造方法であって、
(i)(α1)重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩、プロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物と、
(α3)1種以上の架橋剤と、を混合する工程と、
(ii)得られた混合物をフリーラジカル重合及び架橋させて非水溶性の未処理の水性ヒドロゲルポリマーを得る工程と、
(iii)前記ヒドロゲルポリマーを乾燥させる工程と、
(iv)前記ヒドロゲルポリマーの粉砕及び篩い分けを行う工程と、
を含み
開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に、モノマー水溶液を、非イオン性の界面活性剤と混合する方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点57B>
本件特許発明2は、「重合性エチレン性不飽和酸基含有モノマー、その塩」の含有量を「0.1?99.999重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点58B>
架橋剤の含有量について、本件特許発明2は、「0.001?10重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点59B>
本件特許発明2は、「(α2)0?70重量%の、前記成分(α1)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー」と「(α4)0?30重量%の水溶性ポリマーと、(α5)0?20重量%の1種以上の助剤」とを混合すると特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点60B>
本件特許発明2は、「(v)前記粉砕及び篩い分けを行ったヒドロゲルポリマーを表面後架橋させる工程と、(vi)前記吸水性ポリマーの乾燥及び最終処理を行う工程と、を含」むと特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点61B>
非イオン性の界面活性剤について、本件特許発明2は、「(メタ)アリルエーテル基から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」と特定するのに対し、甲7発明は「界面活性剤として13.7重量%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)水溶液」と特定する点。

<相違点62B>
非イオン性の界面活性剤の含有量について、本件特許発明2は、「ヒドロゲルポリマーに対して、0.07?1重量%」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

<相違点63B>
本件特許発明2は、「開始剤の添加及びフリーラジカル重合の開始前に・・・0.07?1重量%の、10?900μmの粒径を有する発泡剤と混合する」と特定するのに対し、甲7発明は、そのような特定がない点。

イ 判断

事案に鑑み、まず、相違点61Bについて検討する。

上記相違点61Bは、上記(1)アの相違点61Aと同一である。
そのため、相違点61Bについての判断も、上記(1)イの相違点61Aについての判断と同一である。
そうすると、上記相違点61Bは、甲7発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得るということはできない。
したがって、相違点57B?60B、62B?63Bについて判断するまでもなく、本件特許発明2は、甲7発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3)本件特許発明3?20について

本件特許発明3?20は、本件特許発明1または2を直接又は間接的に引用するものであり、上記(1)及び(2)で述べた理由と同様に、甲7発明及び甲第1?5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(4)小括

よって、取消理由7は、理由がない。

第8 取消理由8について

1 本件特許発明1及び2について

(1)申立人は、「本件明細書の実施例において発明の課題を解決できることが示されているのは本件明細書の【0129】の表1のPE8482(アリルエーテル[(EO)7-(PO)3]-H)を用いた吸水性ポリマーのみである。界面活性剤の性質は、もう一方の末端の構造やポリエーテル部分の構造、繰り返し数等によって影響されるため、PE8482を用いた吸水性ポリマーの結果のみをもって、「(メタ)アリルエーテル類から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」全体について発明の課題を解決できることは示されたとは到底いえず、PE8482を用いた吸水性ポリマーの結果を本件特許発明1や2の範囲まで拡張乃至一般化できるとは到底いえない。」と主張し、本件特許発明1及び2は、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するものではない旨を主張する。

以下、検討する。

(2)本件明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。

ア「【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の全体的な目的は、先行技術から生じる欠点を克服することにある。
【0016】
より具体的には、本発明の目的は、全体的な特性並びに特に高い透過性を維持しながら、改善された膨潤率及びより高い液体吸収率を有する吸水性ポリマーの製造方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の別の目的は、有機添加剤の使用を最小化し、環境大気圧下で上記方法を経済的に実施することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、特に高い膨潤率を得ることができる吸水性ポリマーの製造方法を提供することにある。
【0019】
また、本発明の別の目的は、例えば薄型のおむつにおいて迅速な吸収及び良好な分散(対応する毛管現象)を実現することができるように、迅速かつ有効な液体輸送を行う吸水性ポリマーを製造することを可能とする方法を提供することにある。
【0020】
また、本発明の別の目的は、高い水溶液吸収容量を有する吸水性ポリマー、そのような吸水性ポリマーを含む複合体並びにそのような吸水性ポリマー又は複合体を含む化学製品を提供することにある。」

以上の記載によれば、高い透過性を維持しながら、改善された膨潤率及びより高い液体吸収率を有し、迅速かつ有効な液体輸送を行う吸水性ポリマーを製造することを可能とする方法を提供することが本件特許発明1及び2の解決しようとする課題として記載されているといえる。

イ また、本件明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。

「【0027】
本発明によれば、界面活性剤と発泡剤をモノマー溶液に添加することにより、微細な多孔性ゲル構造が得られ、大きな表面積を有する超吸収体粉末を得ることができる。全体的な表面積の増加により、従来のSAPと比較して液体のより迅速な吸収が可能となる。これは、FSR値によって示される。本発明の吸水性ポリマーは、0.30?0.70、好ましくは0.35?0.60、よりましくは0.40?0.50のFSRを有する。
【0028】
本発明によれば、界面活性剤を使用するにもかかわらず、表面張力は50mN/m、好ましくは55mN/m、より好ましくは60mN/m、最も好ましくは65mN/mを超える。本発明によれば、表面張力は71mN/m以下である。
【0029】
本発明によれば、吸水性ポリマー組成物の透過率(SFC値(1.5g))は、30?200、好ましくは50?180、より好ましくは70?150である。」
【0030】
本発明によれば、ヒドロゲルポリマーは、粒子の60%超が300?600μmの粒径を有し、粒子の5%未満が150μm未満の粒径を有する粒径分布(PSD)を有する。
【0031】
表面張力が低い場合には、再湿潤値が上昇する(例えば、裏面シート(backsheet)の再湿潤が生じる)か、超吸収体を使用したおむつの漏れが生じる場合が多い。この問題は、本発明に係る方法並びに重合によって導入することができる界面活性剤によって防止される。また、超吸収体は、保持率(CRC)及び圧力下吸収率(AAP)に関して良好な性能を示す。」

以上の記載によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,界面活性剤と発泡剤をモノマー溶液に添加することにより、高い透過性を維持しながら、改善された膨潤率及びより高い液体吸収率を有し、迅速かつ有効な液体輸送を行う吸水性ポリマーを製造することができることが記載されているといえる。

ウ さらに、本件明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
「【0032】
本発明の超吸収体を製造するためのモノマー溶液には特定の界面活性剤を添加する。特定の界面活性剤は、重合性官能基を含む。本発明によれば、特定の界面活性剤は、比較的親水性のエチレングリコール単位と、炭素原子数が3?6の比較的疎水性のアルキレングリコール単位と、からなる不飽和ポリエーテルコポリマーである。不飽和ポリエーテルは、エチレングリコール単位と共に、1以上の異なるアルキレングリコール単位を含むことができる。アルキレングリコールとしては、プロピレングリコール(例えば、1,2-又は1,3-プロパンジオール)、ブチレングリコール(例えば、1,2-、1,3-又は1,4-ブチレングリコール)、ペンチレングリコール(例えば、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール又は2,5-ペンタンジオール)又はヘキシレングリコール(例えば、1、6-ヘキサンジオール)が好ましい。アルキレングリコール単位は、界面活性剤内にランダム状、ブロック状又は勾配状に分布していてもよい。本発明において、各アルキレングリコー単位は、分子中においてアイソタクチック、シンジオタクチック又はアタクチック配列を構成していてもよい。
【0033】
界面活性剤におけるポリエーテル構造の重合度は、通常は2?100、好ましくは4?50μm、より好ましくは6?20である。なお、本願明細書におけるアルコキシ化度は平均アルコキシ化度を意味する。通常は、低次及び高次のオリゴマーがさらに存在し得る混合物が得られる。
【0034】
不飽和基は、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル、4-ビニルベンジルエーテル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル基であってもよく、好ましくは分子鎖の末端に位置する。
【0035】
重合性界面活性剤としては、ポリエーテルコポリマーと、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、α-シアノアクリル酸、β-メチルアクリル酸(クロトン酸)、α-フェニルアクリル酸、β-アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α-クロロソルビン酸、2’-メチルイソクロトン酸、桂皮酸、p-クロロ桂皮酸、β-ステアリン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン又は無水マレイン酸とのエステルも使用することができる。
【0036】
また、ポリエーテルコポリマーと、アリルスルホン酸、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸又はアクリル又はメタクリルスルホン酸とのエステルも使用することができ、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸の例としては、ビニルスルホン酸、4-ビニルベンジルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリロイル又はメタクリロイルスルホン酸(例えば、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸)、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ホスホン酸モノマー(例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸)、ホスホノメチル化ビニルアミン、(メタ)アクリロイルホスホン酸誘導体、アクリルアミド及びメタクリルアミド(例えば、アルキル置換(メタ)アクリルアミド)、(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体(例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド)、ビニルアミド(例えば、N-ビニルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド)とのエステルも使用することができる。
【0037】
ポリエーテル鎖の他方の末端には、水酸基、有機基R-でエーテル化された水酸基又は一般構造R(C=O)-を有するアシル基でエステル化された水酸基が存在し、有機基R-は、直鎖又は分岐状のC_(1)-C_(10)アルキル基又はC_(6)-C_(10)アルキルアリール基である。水酸基及びアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル又はこれらの基の異性体)でエーテル化された水酸基が好ましい。」

以上の記載によれば、高い透過性を維持しながら、改善された膨潤率及びより高い液体吸収率を有し、迅速かつ有効な液体輸送を行う吸水性ポリマーの製造方法を提供するための界面活性剤として、特定の界面活性剤であって重合性官能基として(メタ)アリルエーテル基を有するものが使用できることが理解できる。

(3)そして,本件明細書の発明の詳細な説明には、発泡剤である炭酸塩と併用した界面活性剤としてPE 8482(アリルエーテル-[EO7-(PO)3]-H)を使用した実施例1D?1F(表2)及び炭酸塩と併用した界面活性剤としてラウリルエーテル硫酸ナトリウムを使用した比較例としての実施例5Dが記載されている(表6)。
これらを比較すると、実施例1D?1Fの遠心保持容量CRC(PC)(g/g)は、それぞれ、33.6、33.8、33.6、CRC(SX)(g/g)は、それぞれ29.5、27.6、28.5、自由膨潤率FSR(g/g/s)は、それぞれ0.35、0.33、0.34、表面張力ST(mN/m)は、それぞれ67.4、66.5、65.6、0.7psiの圧力下における圧力下吸収率AAP(g/g)は、それぞれ25.4、25.0、25.3、透過率SFC1.5g(units)は、それぞれ78、131、92、固定高さ吸収率FHA(g/g)はそれぞれ25.2、24.6、24.8であるのに対し、比較例である実施例5DのCRC(PC)(g/g)は32.8、CRC(SX)(g/g)は28.2、FSR(g/g/s)は0.57、ST(mN/m)は37.5、AAPは25.2、SFC(units)は62、FHA(g/g)は16.3である。
これらのことから、発泡剤とともに界面活性剤として(メタ)アリルエーテル基を有するものを使用した場合には、おむつの再湿潤値を最小化し、おむつの吸収性コアにおける超吸収体の毛管現象を維持することができ、ST値の顕著な低下を回避することができ、重合性界面活性剤と炭酸塩を併用することにより、相乗作用によってFSR値及びFHA値を高めることができることが理解できる。
そうすると、当業者であれば,吸水性ポリマーを製造するにあたり、発泡剤とともに界面活性剤に(メタ)アリルエーテル基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーを使用すれば、高い透過性を維持しながら、改善された膨潤率及びより高い液体吸収率を有し、迅速かつ有効な液体輸送を行うことのできる吸水性ポリマーを製造できると理解できるといえる。

(4)以上のとおり、本件明細書の記載を総合すれば、「(メタ)アリルエーテル類から選択される少なくとも一つの末端官能基を有する非イオン性不飽和ポリエーテルコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤」とされた本件特許発明1は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであって、当業者が出願時の技術常識に照らして発明の詳細な説明の記載により本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものということができる。

(5)なお、申立人は、上記(1)のように「界面活性剤の性質は、もう一方の末端の構造やポリエーテル部分の構造、繰り返し数等によって影響される」と主張するが、「界面活性剤の性質は、もう一方の末端の構造やポリエーテル部分の構造、繰り返し数等によって影響される」ことと、本件特許発明1の課題を解決できないことの因果関係を示す証拠はなく、当該主張は、根拠が不明であるから採用できない。

したがって,本件特許発明1は、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するものである。
また、本件特許発明2についても、同様の理由で特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するものである。

2 小括

したがって、取消理由8は、理由がない。

第6 むすび

以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-01-31 
出願番号 特願2016-513268(P2016-513268)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (C08F)
P 1 651・ 121- Y (C08F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安田 周史  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 海老原 えい子
長谷部 智寿
登録日 2018-03-30 
登録番号 特許第6314211号(P6314211)
権利者 エボニック デグサ ゲーエムベーハー
発明の名称 高吸収性を有する超吸収性ポリマー及びその製造方法  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  
代理人 特許業務法人あしたば国際特許事務所  
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