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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02C
管理番号 1349207
審判番号 不服2018-7067  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-24 
確定日 2019-03-12 
事件の表示 特願2013-211500「タービン漏れ検出システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年5月8日出願公開、特開2014-80977、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)10月9日(パリ条約による優先権主張2012年10月16日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成29年5月31日付け(発送日:同年6月6日)で拒絶の理由が通知され、同年8月31日に手続補正がされ、平成30年1月19日付け(発送日:同年1月30日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年5月24日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

請求項1ないし6に対して:引用文献1及び2

引用文献等一覧
1.米国特許第7134322号明細書
2.米国特許第6165384号明細書

第3 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成30年5月24日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定された、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
タービンコンパートメント用の漏れ検出システムであって、
前記タービンコンパートメントへの流体供給部に流体的に接続されたトレーサ流体システムであって、前記タービンコンパートメントへの導入に先立って、流体供給部に光学検出可能流体を供給するように構成され、前記流体供給部が、タービンを駆動するガス燃料又は液体燃料を含む、トレーサ流体システムと、
前記タービンコンパートメントに動作可能に接続された光学検出システムであって、前記タービンコンパートメントの少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を検出するように構成された、光学検出システムと、
前記トレーサ流体システム及び前記光学検出システムに動作可能に接続された制御システムであって、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータを取得し、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータに基づいて漏れ箇所のインジケータまたは漏れの予備的な徴候の箇所を示す予備インジケータを提供するように構成された制御システムと、
を備え、
前記光学検出システムは前記タービンコンパートメントの前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を光学レベルにより検出するように構成されており、
前記制御システムが、検出された光学レベルにより、前記インジケータまたは前記予備インジケータのいずれかを提供する、
漏れ検出システム。
【請求項2】
前記トレーサ流体システムは、前記タービンコンパートメントへの前記流体供給部に対する前記光学検出可能流体の供給を制御するための少なくとも1つの弁を含む、請求項1に記載の漏れ検出システム。
【請求項3】
前記制御システムは更に、前記タービンコンパートメントへの前記流体供給部に対する前記光学検出可能流体の供給を制御するための前記少なくとも1つの弁を作動させるように構成されている、請求項2に記載の漏れ検出システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの弁がソレノイド弁を含み、前記制御システムは前記ソレノイド弁を電気的に作動させるように構成されている、請求項3に記載の漏れ検出システム。
【請求項5】
前記制御システムは、所定の経過時間スケジュールに従って、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータを定期的に取得するように構成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の漏れ検出システム。
【請求項6】
前記光学検出システムが少なくとも1つのカメラを含み、前記光学検出システムは前記タービンコンパートメントの前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を光学的に検出するように位置決めされており、前記タービンコンパートメントの前記少なくとも1つの箇所は前記タービンコンパートメントの隣接部品の間の接合部を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の漏れ検出システム。
【請求項7】
前記制御システムは、有害ガス検出及び防火システム(HGDFPS)の警報のトリガに応答して前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータの取得を開始するように構成されている、HGDFPSを更に含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の漏れ検出システム。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第7134322号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に、図1及び2を参照。)とともに次の事項が記載されている。(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)

(1)「FIG.1 illustrates an example system 10 for locating leaks in a power generating system while the power generating system is online. In particular embodiments, a power generating system is a power generator at a power plant. Example power generators include the steam turbine generator units at the Big Brown Steam Electric Station operated by TXU. Other example power generators include the steam turbine generator units at the Monticello Steam Electric Station operated by TXU. Other example power generators include gas turbine generator units. Although particular power generating systems are described, the present invention contemplates any suitable power generating systems. In particular embodiments, reference to a power generating system that is "online" encompasses a power generating system that is at least partially operating and generating at least some power.
In particular embodiments, a power generating system includes a cooling system that circulates hydrogen gas through the power generating system to cool one or more components of the power generating system when in service. Leaks may occur at seals, joints, or other areas on components of the power generating system, and hydrogen gas in the cooling system may leak out of the power generating system through such leaks. As an example and not by way of limitation, leaks may occur where instrumentation penetrates a shell of the power generating system. As yet another example, leaks may occur at hydrogen shaft seals in the power generating system. As yet another example, leaks may occur at hydrogen coolers in the power generating system. Although particular leaks in particular components of a particular power generating system are described, the present invention contemplates any suitable leaks in any suitable components of any suitable power generating system. Because hydrogen gas is extremely flammable, such leaks may be hazardous. Such leaks may also increase costs associated with operating the power generating system. To maintain operating pressure inside the cooling system, an operator of the power generating system may need to replace the hydrogen gas leaking out of the cooling system. Costs associated with replacing the hydrogen gas leaking out of the cooling system may increase costs associated with operating the power generating system. Although a particular cooling system circulating a particular gas through a particular power generating system is described, the present invention contemplates any suitable cooling system circulating any suitable gas through any suitable power generating system.
System 10 includes an example section 12 of a power generating system and a camera system 14. In particular embodiments, section 12 encompasses only a small section 12 of the power generating system. Section 12 includes segments 16 of pipes of the power generating system facilitating circulation of hydrogen gas through the power generating system. In section 12, a seal 18 couples an end of segment 16a to a component of the power generating system, and a joint 20 couples segments 16b, 16c, 16d, and 16e to each other. Although a particular section 12 including particular components of a particular power generating system is illustrated and described, the present invention contemplates any suitable section 12 including any suitable components of any suitable power generating system.
In particular embodiments, camera system 14 includes a laser component 22 and a camera component 24. Laser component 22 scatters laser light away from laser component 22 against a target, and the laser light reflects off the target back to camera component 24. In particular embodiments, camera component 24 is an infrared camera component 24. Camera component 24 generates an image of the target from the reflected laser light. In particular embodiments, because of a wavelength of the laser light, if laser light from camera system 14 passed through sulfur hexafluoride (SF6) gas between the target and camera system 14, the SF6 gas would absorb at least some of the laser light passing through the SF6 gas. Only unabsorbed laser light would reflect back to camera component 24, and the SF6 gas would be visible in the generated image of the target. As an example and not by way of limitation, in particular embodiments, the generated image would include one or more opaque, translucent, or other dark areas (instead of an image of the target behind the SF6 gas) where laser light passed through the SF6 gas. In particular embodiments, camera system 14 is tunable across a range of wavelengths of laser light. Although a particular camera system 14 including a particular laser component 22 and a particular camera component 24 is illustrated and described, the present invention contemplates any suitable camera system 14 including any suitable laser component 22 and any suitable camera component 24. Although a particular image generated from particular laser light is described, the present invention contemplates any suitable image generated from any suitable laser light. Although a particular gas absorbing particular laser light is described, the present invention contemplates any suitable gas absorbing any particular laser light.」(第2欄第42行ないし第3欄最下行)
(当審仮訳)
図1は、発電システムがオンラインである間、発電システムにおける漏れ位置を特定するための例示的なシステム10を示す。特定の実施形態では、発電システムは、発電所の発電機である。例えば、発電機は、TXUによって操作されるBig Brown蒸気発電所の蒸気タービン発電機ユニットを含む。他の例示的な発電機は、TXU操作モンティセロ蒸気発電所の蒸気タービン発電機ユニットを含む。他の例示的な発電機は、ガスタービン発電機ユニットを含む。特定の発電システムが記載されているが、本発明は、任意の適切な発電システムを意図している。特定の実施形態において、オンラインである発電システムへの言及は、少なくとも部分的に、少なくともいくらかの電力操作および生成した発電システムを包含する。
特定の実施形態では、発電システムは、発電システムに水素ガスを循環させ、発電システムの1つ以上の構成要素を冷却するための冷却システムを含む。漏れは、動力発生システムの構成要素に関するシール、継手、又は他の領域で生じる可能性があり、冷却システムにおいて水素ガスが漏れて発電システムから漏れ出ることがある。例として、限定されるものではないが、漏れは、発電システムのシェルを貫通する器具で漏れが発生することがある。さらに別の例として、漏れは電力発生システムにおいて、水素シャフトシールにおいて発生することがある。さらに別の例として、漏れは、電力発生システムにおいて、水素冷却器で発生することがある。特に、特定の発電システムの特定の構成要素の特定の漏れが記載されているが、本発明は、任意の適切な発電システムの任意の適切なコンポーネントの任意の適切な漏れをも意図している。水素ガスは極めて可燃性が高いので、このような漏れは危険であるかもしれない。このような漏れはまた、電力発生システムの操作に関連するコストを増加させ得る。冷却システム内部の動作圧力を維持するために、発電システムのオペレータは、冷却システムから漏れ出る水素ガスを交換する必要がある。冷却システムから漏れ出る水素ガスを置き換えるに伴うコストは、電力発生システムの操作に関連するコストを増加させ得る。特定の発電システムにおいて、特定のガスを循環させる特定の冷却システムについて説明したが、本発明は、任意の適切な発電システムにおいて、任意の適当なガスを循環させる任意の好適な冷却システムを意図している。
システム10は、発電システムとカメラシステム14の例示的なセクション12を含む。特定の実施形態では、セクション12は、電力発生システムの小さいセクション12のみを包含する。セクション12は、水素ガスが電力発生システム内を循環することを容易にする電力発生システムのパイプのセグメント16を含む。セクション12では、シール18は、セグメント16aの端部を発電システムの構成要素に連結し、継ぎ手20は、セグメント16b、16c、16d、及び16eを互いに結合させている。特定の電力発生システムの特定の構成要素を有する特定のセクション12を例示して説明するが、本発明は、任意の適切な発電システムの任意の適切なコンポーネントを含む任意の適切なセクションを意図している。
特定の実施形態において、カメラシステム14は、レーザ要素22及びカメラ要素24を含む。レーザ要素22は、ターゲットにレーザ光を照射し、レーザ光はターゲットから反射してカメラ要素24に戻る。特定の実施形態において、カメラ要素24は、赤外線カメラ24である。カメラ要素24は、反射されたレーザ光からターゲットの画像を生成する。特定の実施形態では、レーザ光の波長のために、カメラシステム14からのレーザ光がターゲットとカメラシステム14の間の六フッ化硫黄(SF6)ガスを通過するとき、SF6ガスは、SF6ガス中を通過するレーザ光の少なくとも一部を吸収する。吸収されなかったレーザ光だけが反射してカメラ要素24に戻り、SF6ガスは、生成されたターゲットの画像の中に可視化される。例として、限定されるものではないが、特定の実施形態では、生成された画像は、レーザ光が通過した場所において、1つまたは複数の、不透明、半透明、又は他の暗い領域を含むであろう(SF6ガスの画像の代わりに)。特定の実施形態において、カメラシステム14は、レーザ光の波長の範囲にわたって調整可能である。特定のレーザ要素22及び特定のカメラ構成要素24を含む、特定のカメラシステム14を例示して説明するが、本発明は、あらゆる適切なレーザ要素22及び任意の適切なカメラ部品24を含む任意の適当なカメラシステム14を使用することができる。特定のレーザ光から生成された特定の画像について説明したが、本発明は、任意の適切なレーザ光から生成された任意の適切な画像を想定している。なお、特定のガスを吸収する特定のレーザ光について説明したが、本発明は、任意の特定のレーザー光を吸収する任意の適切なガスを意図している。

(2)「In particular embodiments, to locate one or more leaks in the cooling system, the operator pumps sulfur hexafluoride (SF6) gas into the cooling system while the power generating system is online, i.e., without taking the power generating system offline. The SF6 gas then leaks out of the cooling system through one or more leaks leaking hydrogen gas, which enables location of the leaks, as described below. In particular embodiments, to pump SF6 gas into the cooling system, the operator couples a source of SF6 gas (such as a pressurized tank of SF6 gas) to the cooling system through a regulator. The operator then sets the regulator to a pressure approximately ten pounds per square inch (PSI) above an operating pressure inside the cooling system and allows SF6 gas to flow from the source of SF6 gas into the cooling system. As an example and not by way of limitation, to allow SF6 gas to flow from the source of SF6 gas into the cooling system, the operator may open a valve on the regulator.」(第4欄第26ないし42行)
(当審仮訳)
特定の実施形態では、冷却システム内の1つ以上の漏れ位置を特定するために、オペレータは、電力発生システムのオンライン中に、すなわち、オフラインにすることなく、六フッ化硫黄(SF6)ガスを冷却システムに注入する。そして、SF6ガスは、1つ又は複数の水素ガスの漏洩箇所から漏れ出し、以下のようにして、漏洩箇所の特定が可能となる。特定の実施形態では、SF6ガスを冷却システムに注入するために、操作者は、レギュレータを介して冷却システムにSF6ガス(六フッ化硫黄SF6ガスの加圧タンクのような)源を連結する。次に、オペレータは、レギュレータの圧力を約10ポンド/1平方インチ(PSI)の圧力に設定する。この圧力は、冷却システムの作動圧以上であり、SF6ガスが、SF6ガスの供給源から冷却システム内に流れることを可能にするものである。例として、限定されるものではないが、SF6ガスが、SF6ガスの供給源から冷却システム内に流れることを可能にするために、オペレータは、レギュレータの弁を開いてよい。

(3)「In particular embodiments, when the operator has pumped an amount of SF6 gas into the cooling system resulting in a gas mixture inside the cooling system including approximately 5% SF6 gas by volume, the operator scans sections 12 of the power generating system using camera system 14 to find leaks in the cooling system. When the operator finds a leak, the operator may mark the leak for repair. While the operator scans sections 12 of the power generating system, the operator may carry and monitor a combustible gas analyzer. The combustible gas analyzer enables the operator to determine whether unsafe conditions are developing around the power generating system as a result of a buildup of hydrogen gas leaking from the cooling system. A buildup of hydrogen gas leaking from the cooling system could possibly lead to an explosion. To scan a section 12 of the power generating system, the operator directs laser component 22 of camera section 14 at section 12. Laser component 22 scatters laser light 26 against section 12, and laser light 28 reflects off section 12 back to camera component 24 of camera system 14. Camera component 24 then generates an image of section 12 from laser light 28. If section 12 included a leak leaking hydrogen gas, SF6 gas pumped into the cooling system would leak out of the cooling system through the leak. The SF6 gas would absorb at least some laser light 26, at least some laser light 28, or both, and only unabsorbed laser light 28 would reach camera component 24. Because only unabsorbed laser light 28 would reach camera component 24, the SF6 gas leaking from the cooling system would cause an effluent, dark cloud emanating from the leak to appear in the generated image. The effluent, dark cloud would likely indicate a precise location of the leak, a size of the leak, or both. In particular embodiments, a site on the power generating system in the generated image emanating the effluent, dark cloud would likely indicate a precise location of the leak. In particular embodiments, one or more visible dimensions of the effluent, dark cloud in the generated image, a visible flow rate of the effluent, dark cloud in the generated image, or both would likely indicate a size of the leak.
FIG.2 illustrates an example image 30 generated by camera system 14 from laser light 28 reflected off section 12. Section 12 includes a leak at seal 18. Generated image 30 shows an effluent, dark cloud 32 of SF6 gas emanating from a site 34 on seal 18. Cloud 32 is visible in generated image 30 because of SF6 gas in cloud 32 absorbing at least some laser light 26, at least some laser light 28, or both, passing though cloud 32. Site 34 indicates a precise location of the leak at seal 18. One or more visible dimensions of cloud 32 in generated image 30, a visible flow rate of cloud 32 in generated image 30, or both indicate a size of the leak. Although a particular image 30 generated by a particular camera system 14 from particular laser light 28 reflected off a particular section 12 of a particular power generating system is illustrated and described, the present invention contemplates any suitable image 30 generated by any suitable camera system 14 from any suitable laser light 28 reflected off any suitable section 12 of any suitable power generating system. Although particular indicators in a particular generated image 30 providing particular indications regarding particular leaks in a particular power generating system are described, the present invention contemplates any suitable indicators in any suitable generated image 30 providing any suitable indications regarding any suitable leaks in any suitable power generating system.」(第5欄第38行ないし第6欄第34行)
(当審仮訳)
特定の実施形態では、オペレータは、冷却システムにSF6ガスを注入し、その結果、冷却システム内のガス混合物のSF6濃度が約5体積%になったならば、オペレータは、冷却システムの漏れを発見するために、発電システムのセクション12を、カメラシステム14を用いて走査する。オペレータは漏れを発見した場合、オペレータは、修理のために漏れをマークすることができる。オペレータは、発電システムのセクション12をスキャンする間、オペレータは、可燃性ガス分析器を持って来て監視することができる。可燃性ガス分析器により、オペレータは、冷却システムから漏洩する水素ガスの蓄積の結果として発生する、発電システムの周囲の危険な状態が進行しているかどうか判定できる。冷却システムから漏洩する水素ガスの蓄積は、爆発につながる可能性がある。発電システムのセクション12をスキャンするために、オペレータは、カメラシステム14のレーザ要素22をセクション12に向ける。レーザ要素22はレーザ光26をセクション12を照射すると、レーザ光28はセクション12により反射され、カメラシステム14のカメラ要素24に戻る。カメラ要素24は、次に、レーザ光28からセクション12の画像を生成する。セクション12に漏洩した水素ガスが含まれていた場合、冷却システムに注入されたSF6ガスが、漏れ箇所を通って冷却システムから漏出するであろう。SF6ガスは、レーザ光26、レーザ光28、又はこれらの両方を吸収し、吸収されなかったレーザ光28は、カメラ要素24に到達するであろう。吸収されなかったレーザ光28だけがカメラ要素24に到達するので、冷却システムから漏洩したSF6ガスは、漏れ箇所から流れ出る放散した暗い雲を、生成された画像に生じさせるであろう。放散した暗い雲は、洩れの正確な場所、漏れの大きさ、またはその両方を示すであろう。特定の実施形態では、生成された画像中の流れ出る放散した暗い雲は、発電システム上の洩れの正確な場所を示すであろう。特定の実施形態では、生成された画像中の、1または複数の放散した暗い雲の目に見える大きさ、目に見える流れの速さ、又は、その両方が、漏れの大きさを示すであろう。
図2は、セクション12で反射されたレーザ光28からカメラシステム14によって生成されたサンプル画像30を示している。セクション12は、シール18での漏れを含む。生成された画像30は、シール18の場所から流出したSF6ガスによる放散した暗い雲を示す。レーザ光26、レーザ光28又はその両方を吸収するSF6により、雲32を、生成された画像30の中に見ることができる。部位34は、シール18での漏れの正確な位置を示す。生成された画像30中の1又は複数の範囲の目に見える雲32、雲32の流れの速さは、又はその両方は、漏洩箇所の大きさを示す。特定のレーザ光28の特定の電力発生システムの特定のセクション12から反射された特定のカメラシステム14によって生成された特定の画像30を例示し、説明したが、本発明は、任意の適切な発電システムの任意の好適な部分12で反射した任意のレーザ光28から任意の適切なカメラシステム14により生成された任意の適切な画像30を意図している。特定の発電システムにおける特定の漏洩に関する特定の指示を提供する特定の生成された画像30中の特定のインジケータについて説明しているが、本発明は、任意の適切なシステムにおいて任意の適切な漏れに関する任意の適切な情報を提供する任意の適した形成画像30内の任意の適切なインジケータをも意図している。

上記記載事項並びに図1及び2の図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ガスタービン発電機ユニットを含む発電システムの水素ガス冷却システム用の漏れ検出システム10であって、
前記水素ガス冷却システムに連結される六フッ化硫黄ガス供給源であって、前記水素ガス冷却システムに六フッ化硫黄ガスを注入するように構成された、六フッ化硫黄ガス供給源と、
前記水素ガス冷却システムに動作可能に接続されたカメラシステム14であって、前記水素ガス冷却システムの少なくとも1つのセクション12における前記六フッ化硫黄ガスを可視化するように構成された、カメラシステム14と、
を備え、
前記カメラシステム14は前記水素ガス冷却システムの前記少なくとも1つのセクション12における漏れ箇所の前記六フッ化硫黄ガスを、レーザ要素22からレーザ光を照射し、前記六フッ化硫黄ガスに吸収されずにカメラ要素24に到達したレーザ光により暗い雲32を含む画像30を生成して可視化するように構成されており、前記暗い雲32の大きさ、流れの速さ、又はその両方により、漏れの大きさが示される、
漏れ検出システム10。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第6165384号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「This invention relates, generally, to the field of leak detection by illumination of fluorescent material, and more particularly to fluorescent dye compositions utilized in leak detection.」(第1欄第10ないし13行)
(当審仮訳)
本発明は、一般的に、蛍光体の発光による漏れ検出の分野に係り、特に、漏れ検出に利用される蛍光染料組成物に関するものである。

(2)「Typical automotive fluids encompass a wide range of physical properties and include air conditioning refrigerant, engine lubricating oil, transmission fluid, brake fluid, power steering fluid, radiator coolant, diesel oil, and gasoline. In an auto repair facility, where diagnostic leak detection using fluorescent dyes is commonly performed on both air conditioning and other fluid systems, there is generally only one inspection lamp available for leak detection purposes. This light source may not be optimally, or even altogether, effective on the dye in the target fluid.」(第2欄第66行ないし第3欄8行)
(当審仮訳)
典型的な自動車用流体は、広範囲の物理的性質を包含し、空調用冷媒、エンジン用潤滑油、変速機油、ブレーキ流体、パワーステアリング流体、冷却剤、ディーゼル油、およびガソリンが含まれる。自動車修理工場では、蛍光色素を用いた漏れ検出診断は、空調装置及び他の流体システムの両方に対して共通して行われる場合、1つの検査光源だけが利用可能なのが一般的である。この光源は、最適でないか又はターゲット流体の中の染料に有効でないことがある。

(3)「Thus, one objective of this invention is to create blended dye compositions of perylene and naphthalimide dye in various proportions to create effective dyes for particular fluids with a substantial fluorescent response to illumination by the entire range of inspection lamps. Another objective is to create a single all-purpose blend that is satisfactory for all automotive fluids and all inspection lamps.」(第3欄第14ないし20行)
(当審仮訳)
このように、本発明の1つの目的は、広範囲の光源によって発光するために、継続的な蛍光反応をもち、特定の流体に対して効果がある、ペリレンとナフタルイミドの様々な割合の染料要素混合物を作製することである。他の目的は、全ての自動車用流体および全ての検査光源に対して満足のいく単一の汎用混合物を作製することである。

(4)「In another aspect, the invention is a fluorescent dye composition effective for all automotive working fluids, including heavy lubricants and transmission fluids, synthetic lubricants and internal combustion oils, refrigerants, liquid and gaseous fuels, and hydraulic fluids.」(第3欄第33ないし37行)
(当審仮訳)
別の態様では、本発明は、重質潤滑油、変速機油、合成潤滑剤、油、冷却剤、液体燃料及びガス状燃料、および液圧流体を含む、自動車の全ての作動流体に対して有効な蛍光染料組成物である。

上記記載事項からみて、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「漏れ検出に利用される蛍光染料組成物であって、潤滑油、変速機油、合成潤滑剤、油、冷却剤、液体燃料及びガス状燃料及び液圧流体を含む、自動車の作動流体のための蛍光染料組成物。」

第5 対比・判断
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「漏れ検出システム10」は、本願発明1における「漏れ検出システム」に相当し、以下同様に、「六フッ化硫黄ガス供給源」は「トレーサ流体システム」に、「カメラシステム14」は「光学検出システム」に、「セクション12」は「箇所」に、「六フッ化硫黄ガスを可視化する」は「光学検出可能流体の存在を検出する」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「ガスタービン発電機ユニットを含む発電システムの水素ガス冷却システム」及び「前記水素ガス冷却システム」と、本願発明1における「タービンコンパートメント」とは、「タービン関連設備」という限りにおいて一致し、同様に、「前記水素ガス冷却システムに連結される六フッ化硫黄ガス供給源」と「前記タービンコンパートメントへの流体供給部に流体的に接続されたトレーサ流体システム」とは、「前記タービン関連設備への流体供給部に流体的に接続されたトレーサ流体システム」という限りにおいて一致し、「前記水素ガス冷却システムに六フッ化硫黄ガスを注入する」と「流体供給部に光学検出可能流体を供給する」とは、「流体供給部に光学検出可能流体を供給する」という限りにおいて一致している。
また、引用発明の「前記カメラシステム14は前記水素ガス冷却システムの前記少なくとも1つのセクション12における漏れ箇所の前記六フッ化硫黄ガスを、レーザ要素22からレーザ光を照射し、前記六フッ化硫黄ガスに吸収されずにカメラ要素24に到達したレーザ光により暗い雲32を含む画像30を生成して可視化するように構成されており、前記暗い雲32の大きさ、流れの速さ、又はその両方により、漏れの大きさが示される」について、「漏れ箇所の・・・前記六フッ化硫黄ガスに吸収されずにカメラ要素24に到達したレーザ光により暗い雲32を含む画像30を生成」することは、本願発明1の「光学検出可能流体の存在に関するデータを取得」して該「データに基づいて漏れ箇所のインジケータを提供」することに相当し、また、そのために何らかの「サブシステム」を備えることは当業者にとって自明の事項であるから、「光学検出システムは光学検出可能流体の存在を光学レベルにより検出するように構成されており」、「サブシステムが、検出された光学レベルにより、前記インジケータを提供する」という限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明の「前記カメラシステム14は前記水素ガス冷却システムの前記少なくとも1つのセクション12における漏れ箇所の前記六フッ化硫黄ガスを、レーザ要素22からレーザ光を照射し、前記六フッ化硫黄ガスに吸収されずにカメラ要素24に到達したレーザ光により暗い雲32を含む画像30を生成して可視化するように構成されており、前記暗い雲32の大きさ、流れの速さ、又はその両方により、漏れの大きさが示される」ことと、本願発明1の「前記トレーサ流体システム及び前記光学検出システムに動作可能に接続された制御システムであって、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータを取得し、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータに基づいて漏れ箇所のインジケータまたは漏れの予備的な徴候の箇所を示す予備インジケータを提供するように構成された制御システムと、を備え、前記光学検出システムは前記タービンコンパートメントの前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を光学レベルにより検出するように構成されており、前記制御システムが、検出された光学レベルにより、前記インジケータまたは前記予備インジケータのいずれかを提供する」こととは、「サブシステムであって、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータを取得し、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータに基づいて漏れ箇所のインジケータを提供するように構成されたサブシステムと、を備え、前記光学検出システムは前記タービン関連設備の前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を光学レベルにより検出するように構成されており、前記サブシステムが、検出された光学レベルにより、前記インジケータを提供する」ことという限りにおいて一致している。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「タービン関連設備用の漏れ検出システムであって、
前記タービン関連設備への流体供給部に流体的に接続されたトレーサ流体システムであって、流体供給部に光学検出可能流体を供給するように構成されたトレーサ流体システムと、
前記タービン関連設備に動作可能に接続された光学検出システムであって、前記タービン関連設備の少なくとも1つの箇所における光学検出可能流体の存在を検出するように構成された、光学検出システムと、
サブシステムであって、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータを取得し、前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在に関するデータに基づいて漏れ箇所のインジケータを提供するように構成されたサブシステムと、
を備え、
前記光学検出システムは前記タービン関連設備の前記少なくとも1つの箇所における前記光学検出可能流体の存在を光学レベルにより検出するように構成されており、
前記サブシステムが、検出された光学レベルにより、前記インジケータを提供する、
漏れ検出システム。」

[相違点1]
本願発明1においては「タービンコンパートメント」用の漏れ検出システムであるのに対して、引用発明においては「ガスタービン発電機ユニットを含む発電システムの水素ガス冷却システム」用の漏れ検出システム10である点。
[相違点2]
トレーサ流体システムに関して、本願発明1においては「前記タービンコンパートメントへの導入に先立って、流体供給部に光学検出可能流体を供給するように構成され、前記流体供給部が、タービンを駆動するガス燃料又は液体燃料を含む、トレーサ流体システム」であるのに対して、引用発明においては「前記水素ガス冷却システムに六フッ化硫黄ガスを注入する六フッ化硫黄ガス供給源」である点。
[相違点3]
本願発明1においては「前記トレーサ流体システム及び前記光学検出システムに動作可能に接続された制御システム」であって、漏れ箇所のインジケータ「または漏れの予備的な徴候の箇所を示す予備インジケータ」を提供するように構成された「制御システム」を備え、「制御システム」が、検出された光学レベルにより、前記インジケータ「または前記予備インジケータのいずれかを提供する」のに対して、引用発明においては、カメラシステム14は前記水素ガス冷却システムの前記少なくとも1つのセクション12における漏れ箇所の前記六フッ化硫黄ガスを、レーザ要素22からレーザ光を照射し、前記六フッ化硫黄ガスに吸収されずにカメラ要素24に到達したレーザ光により暗い雲32を含む画像30を生成して可視化するように構成されており、前記暗い雲32の大きさ、流れの速さ、又はその両方により、漏れの大きさが示されるものであるが、本願発明1のような上記事項を備えるか不明な点。

事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
引用文献2記載事項は「漏れ検出に利用される蛍光染料組成物であって、潤滑油、変速機油、合成潤滑剤、油、冷却剤、液体燃料及びガス状燃料及び液圧流体を含む、自動車の作動流体のための蛍光染料組成物」というものであり、自動車の作動流体の漏れ検出に利用される蛍光染料組成物に関するものであるから、蛍光染料組成物をタービンを駆動するガス燃料又は液体燃料の漏れ検出に利用することまで、開示ないし示唆するものではない。
また、引用文献1には、「本発明は、任意の適切なシステムにおいて任意の適切な漏れに関する任意の適切な情報を提供する任意の適した形成画像30内の任意の適切なインジケータをも意図している。」(第6欄第31ないし34行)との記載はあるが、タービンを駆動するガス燃料又は液体燃料を含む流体供給部に光学検出可能流体を供給することまで、開示ないし示唆するものではない。
そうすると、引用発明に、引用文献2記載事項を参酌しても、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることはできない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2ないし7について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし7は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載されたものであるから、本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし7は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-25 
出願番号 特願2013-211500(P2013-211500)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 筑波 茂樹倉橋 紀夫  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 金澤 俊郎
鈴木 充
発明の名称 タービン漏れ検出システム  
代理人 小倉 博  
代理人 荒川 聡志  
代理人 田中 拓人  
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