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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1349240
審判番号 不服2018-3267  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-06 
確定日 2019-03-12 
事件の表示 特願2014-183839「触感制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月21日出願公開、特開2016- 57858、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月10日の出願であって、平成29年7月5日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年8月25日付けで手続補正がされたが、平成29年12月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年3月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年12月12日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成31年1月29日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項3-4に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.本願請求項3-4に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2005-10118号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1、3-4に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2014/103085号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2005-10118号公報(拒絶査定時の引用文献A)
3.特開2005-181572号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成31年1月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-2は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
タッチパネルまたはタッチパッドの操作面に対する操作時のユーザの触感を制御する触感制御システムであって、
前記操作面に対応して表示される地物を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、前記地物に対応する前記操作面の領域が前記地物に応じた触感となるように前記操作面の前記触感を制御する触感制御部と、
を備え、
前記ユーザが地図に対して任意の方向にスクロール操作を行う場合において、
前記触感制御部は、前記スクロール操作中、スクロール方向の前記地図に予め定められた前記地物が存在するとき、前記ユーザのタッチ位置の前記触感が変化するように制御し、川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御することを特徴とする、触感制御システム。
【請求項2】
タッチパネルまたはタッチパッドの操作面に対する操作時のユーザの触感を制御する触感制御システムであって、
前記操作面に対応して表示される地物を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、前記地物に対応する前記操作面の領域が前記地物に応じた触感となるように前記操作面の前記触感を制御する触感制御部と、
を備え、
前記触感制御部は、現在の地図の縮尺では表示されていない前記地物に対応する領域に前記触感を与えるように制御し、川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御することを特徴とする、触感制御システム。」

なお、本願発明3-4は、本願発明1または2を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

(1) 段落[0001]
「技術分野
本発明は、タッチ入力により操作するGUIなどのオブジェクトが存在する方向を、タッチパネルを振動させることによりユーザに出力するものである。特に、複数の指による複数のタッチ位置を同時に検出できるマルチタッチパネルを用いて、複数の指おのおのに同時に異なる振動を提示することにより、GUIなどのオブジェクトが存在する方向をユーザに提示する触覚入出力装置に関する。」

(2) 段落[0010]
「そこで、本発明は、パネルのディスプレイに対して縦および/または横方向に変位させることなく、マルチタッチパネルで検出される複数のタッチ位置のうち、目的とするGUIに近いタッチ位置に振動を提示し、同時にタッチされているその他のタッチ位置に振動を提示しないことにより、振動が提示されているタッチ位置と振動が提示されていないタッチ位置の位置関係に基づいて、目的とするGUIが存在する方向の提示を可能とする触覚入出力装置を提供する。また、本発明は、例えば、電子地図や電子ドキュメントなどのオブジェクトを拡大、縮小、スクロールさせることによって、注目していた情報が、ディスプレイの表示領域外に出た場合に、注目していた情報がディスプレイ表示領域外のどの方向に存在するのかを、ユーザに提示することができる触覚入出力装置を提供する。」

(3) 段落[0054]
「例えば、マルチタッチパネルを備えたディスプレイでは、タッチした2つのタッチ位置の距離が離れるように移動させることにより、例えば地図を拡大表示させ、逆に2つのタッチ位置の距離が短くなるように移動させることにより、地図を縮小表示する機能が実現されている。地図を拡大、縮小、または任意方向へスクロールすることにより、目的地周辺の情報を参照する際に、表示されていた目的地などの対象物(アイコンやボタンなどでディスプレイ上に図示される)が、ディスプレイの表示範囲外にでてしまい、地図をどの方向にスクロールすれば、目的地を再度ディスプレイの表示領域内に表示できるのかわからなくなる場合がある。また、マルチタッチパネルを備えたディスプレイがGPSを搭載して現在地に基づいて地図を表示する場合、ディスプレイ装置の移動に伴い地図表示を更新すると、目的地や対象物を示すアイコンやボタンがディスプレイ表示範囲外となることがある。」

(4) 段落[0059]-[0060]
「<地図データを表示するタブレット機器の例>
図1Bは、本触覚入出力装置がタブレット機器310であり、地図データ320を表示する例について説明した図である。タブレット機器310の表示領域は、特に地図を拡大した場合など、地図データ320全体を表示することができない。図1Bにおける地図データは表示領域外と表示領域内の関係を表すために模式的に示されているが、表示領域外の地図が実際に表示されない。オブジェクトとしてのターゲット地点321は、ユーザがターゲットとして設定した、あるいは、タブレット機器310が自動的に設定した地点である。図1Bにおいて、ターゲット地点321はタブレット機器310の表示領域外にあるため、表示されない。ユーザが指1及び指2によってマルチタッチした場合、指2とターゲット地点321の方が指1とターゲット地点321との距離よりも近いため、指2に対応するタッチ位置に第1の触感信号による振動を提示する。言い換えると、ターゲット地点321は画面外の右側にあるため、マルチタッチされた複数の位置のうち、より右側にある指2に対応するタッチ位置に対して振動を提示することになる。振動方法(刺激数や振幅など)、振動位置の決定方法は本明細書に記載されたどの方法も適用できる。
なお、地図データは世界全体の地図を含むこともできるし、大陸、国、地域などニーズや記憶容量に応じていかなる大きさ地図データでもよい。」

(5) 段落[0072]-[0073]
「<方向判定部104>
方向判定部104は、図3Aに示すように、コンテント(又はコンテンツ)3上に存在するオブジェクト4が、表示部110の表示領域(矩形ABCD)に対してどの方向にあるかを判定する。ここでは、説明の便宜上、図3Aにおいては、タッチ位置P1、P2を表すo-xy座標系と、コンテント13上の2次元位置を表す座標系(図示しない)を統合したO-XY座標系を用いて、方向判定の概要を説明する。紙面に対して表示部110の左上隅を原点oとする2次元平面のxy座標と、統合座標系O-XYの関係は次の通りである。x軸は表示部110の長辺上(長軸方向)で定義し、統合座標系のX軸と平行とする。また、y軸は表示部110の短辺上(短軸方向)で定義し、統合座標系のY軸と平行とする。また、紙面に対して表示部110の左上隅である原点oの統合座標系における座標値を(R L ,R T )とし、紙面に対して表示部110の右下隅の座標値を(R R ,R B )とする。このとき、表示部110の表示領域(矩形ABCD)に対して、オブジェクト4(X O (t)、Y O (t))が存在する方向を、表示部110の表示領域(矩形ABCD)の上端の座標値R T 、下端の座標値R B 、左端の座標値R L 、右端の座標値R R を用いて判定する。図3Aの例では、オブジェクト4の座標値(X O (t)、Y O (t))とR T 、R B 、R L 、R R を比較し、オブジェクト4は、紙面に対して、表示部110の上端R T より上側の方向、かつ、表示部110の右端R R より右側の方向に存在すると判定する。
例えばコンテント13としては地図、オブジェクト4としては目的地位置の表示アイコン(以下、目的地とも呼ぶ)とすることができる。なお、コンテント13およびオブジェクト4としては、これに限らず、電子的なドキュメントとすることができる。電子的なドキュメントとしては、例えばコンテント13はWebページ、オブジェクト4はハイパーリンクの位置や画像などのコンテントとすることができる。また、コンテント13を電子ブック、オブジェクト4はブックマークとすることができる。すなわち、表示部110に表示する電子コンテントであって、ユーザがページ移動やスクロール操作をすることにより、オブジェクトが表示領域外にでることがあるものに対して、特に本発明は有効である。」

(6) 段落[0189]-[0194]
「<変形された実施の形態1>
上記説明したように、振動によって表示領域外にあるオブジェクトの方向をユーザに把握させながら、ユーザが指1本又は複数で地図や文書などのコンテント13をスクロールすることができる。このとき、本変形された実施の形態では、オブジェクトが表示領域外から表示領域内に入った際(あるいは入った後のタッチ動作が行なわれた際)に、別の振動をタッチ位置に加える。具体的には、より振幅の大きい振動を与える駆動信号によりアクチュエータ102を駆動することができる。あるいは、タッチしている全ての指に対して振動を加える、又は、刺激数を増加させることでもよい。これにより、ユーザが画面を注視せずにスクロール操作を行なう場合に、オブジェクトが表示領域に入ったことを触覚により把握できる。例えば、オブジェクトが一旦表示領域内に入った場合に、ユーザが気づかないことなどにより、ユーザがスクロール操作をやめずに再び表示領域外に行くことを防ぐことができる。
<変形された実施の形態2>
上記説明したように、振動によって表示領域外にあるオブジェクトの方向をユーザに把握させながら、ユーザが指1本又は複数で地図や文書などのコンテント13をスクロールすることができる。このとき、本変形された実施の形態では、オブジェクトと表示領域境界(あるいはタッチ位置)との距離に応じて振動の大きさあるいは種類を変更する。具体的には、表示領域に近づくほど振動を大きく(又はその逆)したり、振動刺激数をより多くする(又はその逆)ことで、オブジェクトと表示領域の距離をユーザが触覚により把握できる。これにより、ユーザがオブジェクトの方向だけでなく表示領域との距離感を触覚を通じて把握できるので、ユーザがスクロール動作を停止する準備を行なうことができる。以上のように、第1の実施の形態の触覚入出力装置によれば、目的とするオブジェクトが存在する方向をユーザに提示することができ、目的とするオブジェクトを表示領域内に再度表示させるコンテントの移動操作を効率よく達成することができる。

・・・(中略)・・・

上記説明した実施の形態1に係る触覚入出力装置は、タッチ入力により機器を操作する際に、入力するタッチパネルやタッチパッドを注視することなく、機器の設定操作ができるので、ディスプレイのコンテントを注視しながら手元のタッチリモートコントローラを操作する際にはリモコンを注視することなく操作する、あるいはディスプレイをできるだけ注視しないで操作することが望まれるカーナビゲーションなどの車載システムに応用できる。また、設定項目とタッチ位置の空間順序を対応づけ、選択された設定項目に対応するタッチ位置のみを振動させることにより、機器に受け付けられた設定項目をユーザが触覚により容易に確認できるので、タッチ入力装置を供えたさまざまな機器の操作に応用できる。例えば、タッチパネルやタッチパッドなどタッチ入力で操作するタブレット端末、ゲーム機、TV用リモコン、デジタルカメラ、ムービー、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、電子黒板やデジタルサイネージ用ディスプレイなどの触覚入出力装置に応用できる。また、洗濯機、電子レンジなどのタッチパネルが搭載された家電機器の触覚入出力装置、また、家電機器を制御する携帯電話やタブレット端末などでタッチパネルが搭載されている機器の触覚入出力装置としても応用できる。」

よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているといえる。

「地図を拡大、縮小、または任意方向へスクロールすることにより、目的地周辺の情報を参照し、
触覚入出力装置はタブレット機器310であり、地図データ320を表示する場合、オブジェクトとしてのターゲット地点321は、ユーザがターゲットとして設定した、あるいは、タブレット機器310が自動的に設定した地点であり、ターゲット地点321はタブレット機器310の表示領域外にあるため、表示されない状態であり、
タッチ位置に対して振動を提示するための、振動方法(刺激数や振幅など)、振動位置の決定方法は、どの方法も適用でき、
地図データは世界全体の地図を含むこともできるし、大陸、国、地域などニーズや記憶容量に応じていかなる大きさの地図データでもよく、
振動によって表示領域外にあるオブジェクトの方向をユーザに把握させながら、ユーザが指1本又は複数で地図や文書などのコンテント13をスクロールすることができ、このとき、オブジェクトと表示領域境界(あるいはタッチ位置)との距離に応じて振動の大きさあるいは種類を変更し、具体的には、表示領域に近づくほど振動を大きくしたり、振動刺激数をより多くすることで、オブジェクトと表示領域の距離をユーザが触覚により把握できる、
タッチパネルやタッチパッドなどタッチ入力で操作するタブレット端末である、触覚入出力装置。」

2 引用文献2
当審拒絶理由に引用した引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。
(1) 段落【0034】
「【0034】
ここで例えば振動の対象に道路を設定している場合であって、ユーザーが道路の表記をタッチした場合、アクチュエータ11の駆動によりタッチパネル13を振動させ、これにより振動の有無により通行可能な道路と、類似した表記に係る用水路等を識別できるようにする。またこれに加えてこの振動により伝達する情報として、国道、県道、私道を識別する情報の伝達をユーザーが選択している場合であって、ユーザーがタッチした道路がそれぞれ国道、県道、私道の場合、それぞれ振動の振幅を段階的に小さくしてタッチパネル13を振動させ、これにより指に感じる振動の大きさにより道路の種類を識別できるようにする。なおこの場合、振動の周波数をそれぞれ段階的に切り換えるようにし、これにより振動の周波数によりこれらの情報を伝達するようにしてもよい。また振動パターンの切り換えにより、これらの情報を伝達するようにしてもよい。なおこのような振動パターンにあっては、国道の場合、短時間の振動を一定周期で繰り返し、県道の場合、この短時間の振動の2回の繰り返しを一定周期で繰り返し、私道の場合、この短時間の振動の3回の繰り返しを一定周期で繰り返す場合等が考えられる。」

(2) 段落【0045】
「【0045】
すなわちユーザーの設定により、地図の表示上で、道路の表記がタッチされると、タッチパネル13が振動させるのに対し、この道路以外の箇所がタッチされた場合には、何ら振動しないようになされる。これにより例えば区画整理された農地において、用水路が道路に平行して設けられている場合、この用水路の表記を道路の表記と見誤ってしまう場合にあっても、指を介して知覚される振動によりこれらの表示の誤認識を有効に回避することができる。」

3 引用文献3
当審拒絶理由に引用した引用文献3には、図面とともに、段落【0037】に、以下の記載がある。
「【0037】
上述した一実施の形態では、ディスプレイ1の表示画面上の中心位置が陸から海に移った場合に、スクロールスイッチ21に与える反力を軽くしたり、重くしたりしたが、別の方法により、スクロールスイッチ21の操作感を変更するようにしてもよい。例えば、スクロール操作により海に到達した時に、壁にあたって動かなくなるような感触を発生させてもよいし、池や湖の領域をスクロールしている間は、ザラザラ感や、飛び跳ねる感触を与えるようにしてもよい。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると以下のことがいえる。

ア 引用発明の「タッチパネルやタッチパッドなどタッチ入力で操作するタブレット端末である、触覚入出力装置」は、本願発明1の「タッチパネルまたはタッチパッドの操作面に対する操作時のユーザの触感を制御する触感制御システム」に相当する。

イ 引用発明の「タッチパネルやタッチパッドなどタッチ入力で操作するタブレット端末である、触覚入出力装置」は、「地図を拡大、縮小、または任意方向へスクロールすることにより、目的地周辺の情報を参照」でき、「地図データは世界全体の地図を含むこともできるし、大陸、国、地域などニーズや記憶容量に応じていかなる大きさの地図データでもよ」いから、本願発明1の「前記操作面に対応して表示される地物を含む地図情報を取得する地図情報取得部」に相当する部分を備えていることは明らかである。

ウ 引用発明の触覚入出力装置が、「地図を拡大、縮小、または任意方向へスクロールすることにより、目的地周辺の情報を参照」できるものであって、「ターゲット地点321はタブレット機器310の表示領域外にあるため、表示されない状態で」、「振動によって表示領域外にあるオブジェクトの方向をユーザに把握させながら、ユーザが指1本又は複数で地図や文書などのコンテント13をスクロールすることができ、このとき、オブジェクトと表示領域境界(あるいはタッチ位置)との距離に応じて振動の大きさあるいは種類を変更し、具体的には、表示領域に近づくほど振動を大きくしたり、振動刺激数をより多くすること」は、本願発明1が「前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、前記地物に対応する前記操作面の領域が前記地物に応じた触感となるように前記操作面の前記触感を制御する触感制御部」を備えることと、「前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、所定の操作面の領域が所定の触感となるように前記操作面の前記触感を制御する触感制御部」を備える点で共通するといえる。

エ 引用発明の触覚入出力装置が、「地図を拡大、縮小、または任意方向へスクロールすることにより、目的地周辺の情報を参照」できるものであって、「ターゲット地点321はタブレット機器310の表示領域外にあるため、表示されない状態で」、「振動によって表示領域外にあるオブジェクトの方向をユーザに把握させながら、ユーザが指1本又は複数で地図や文書などのコンテント13をスクロールすることができ、このとき、オブジェクトと表示領域境界(あるいはタッチ位置)との距離に応じて振動の大きさあるいは種類を変更し、具体的には、表示領域に近づくほど振動を大きくしたり、振動刺激数をより多くすること」は、本願発明1の「触感制御部」が、「前記ユーザが地図に対して任意の方向にスクロール操作を行う場合において、前記触感制御部は、前記スクロール操作中、スクロール方向の前記地図に予め定められた前記地物が存在するとき、前記ユーザのタッチ位置の前記触感が変化するように制御」することに相当する。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

<一致点>
「タッチパネルまたはタッチパッドの操作面に対する操作時のユーザの触感を制御する触感制御システムであって、
前記操作面に対応して表示される地物を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、所定の前記操作面の領域が所定の触感となるように前記操作面の前記触感を制御する触感制御部と、
を備え、
前記ユーザが地図に対して任意の方向にスクロール操作を行う場合において、
前記触感制御部は、前記スクロール操作中、スクロール方向の前記地図に予め定められた前記地物が存在するとき、前記ユーザのタッチ位置の前記触感が変化するように制御することを特徴とする、触感制御システム。」

<相違点1>
触感制御システムの「触感制御部」が、本願発明1では、「前記地図情報取得部にて取得された前記地図情報に基づいて、前記地物に対応する前記操作面の領域が前記地物に応じた触感となるように前記操作面の前記触感を制御」するのに対して、引用発明では、「前記地物に対応する」前記操作面の領域が「前記地物に応じた」触感となるように制御することが特定されていない点。

<相違点2>
触感制御システムの「触感制御部」が、本願発明1では、さらに、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」のに対して、引用発明では、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」ことが特定されていない点。

(2) 当審の判断
事案に鑑みて、上記<相違点2>について先に検討する。
引用文献2、及び、引用文献3(上記「第5」、「2 引用文献2」,及び、「3 引用文献3」の記載を参照。)に記載されるように、一般に、視覚の補助手段として、触感によって対象の種類を識別できるように、対象の種類に応じて互いに異なる触感を提示することは、周知技術である。
より具体的には、引用文献2には、用水路が道路に平行して設けられている場合に、通行可能な道路と、類似した表記に係る用水路等を、振動の有無によって識別できるようにすること、及び、国道、県道、私道を識別できるように、道の種類に応じて指に感じる振動の大きさを異ならせることが記載されており、引用文献3には、陸に対して、海、池や湖の領域を識別できるように、異なる触覚を提示することが記載されている。
しかし、<相違点2>に係る、本願発明1の触感制御システムの「触感制御部」が、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」という構成は、現在の縮尺では表示されていないものの、他の縮尺であれば表示される地物について、触感だけは提示するようにするとの技術思想であり、上記引用文献1-3には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2
本願発明2も、本願発明1の、触感制御システムの「触感制御部」が、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明3-4について
本願発明3-4は、本願発明1または2を減縮した発明であり、同様に、本願発明1の、触感制御システムの「触感制御部」が、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
平成31年1月29日付けの補正により補正された、請求項1-4は、触感制御システムの「触感制御部」が、「川を渡す現在の地図の縮尺では表示されていない道路が存在する位置に対応する前記川の一部の前記触感を、前記川の他の部分の前記触感とは異なるように制御する」という技術事項を有するものであり、当該技術的事項は、原査定における引用文献A(引用文献2)には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-4は、原査定における引用文献A及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-25 
出願番号 特願2014-183839(P2014-183839)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
山田 正文
発明の名称 触感制御システム  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  
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